ダーク・ファンタジー小説

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スキルワールド
日時: 2019/02/24 17:59
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64


 第二幕『一人の裏切り者』
 (前半)>>102

Re: スキルワールド ( No.105 )
日時: 2019/03/22 17:07
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「チッ!、結局は逃げるのかよ」


 そう吐き捨てるようにルギディアは言うとサングラスを掛けなおし消えていたパイプに火を着けて煙を蒸かした。


 「悪いな、面倒な奴らの相手をやらせちまって」


 「いいや。俺の店で暴れたからな、当然の結果だ」


 「そうか?、なら良いんだが」


 荒れたBARの瓦礫にもたれている進治、実のところBARがどうなろうと興味はないらしく欠伸を一つするとこんな事を呟いた。


 「一応、マザーに報告しとくか」


 「マザー?、そいつは確かお前の組織の親玉だったか?」


 「あぁ、アラクネの黒幕にして“世界の母”だとよ。大きく出過ぎてるにも程があるってもんだよな」


 「でっ、強いのか? ノアって奴が欲しがってたからな?」


 「まあ、ストラングって組織とまでには圧倒的な人数の差で届かないが一人一人の実力は折り紙付きだ。全員ではないが何人かはストラングの金森とも拮抗すると言われる強者揃いだしな」













 「でっ、お姉ちゃんが訪ねてきた本当の理由は?」


 ここは場所は変わってストラング内部、そこにある部屋内ではそんな話が聞こえてきた。


 「あー、えーと“土神”って覚えてる?」


 「えっ!?」


 聞いた瞬間に友間の体を電流が走っていき即座に戦闘態勢を取っていたのに気づいた。


 「まぁ確かにその反応を示すのは正しいのかもね、だって友間たちにとって・・・・・」


 「それでお姉ちゃん、土神がどうしたの?」


 「おっ! 強くなった友間!、お姉ちゃんは嬉しいぞ〜!」


 「ちゃかさないでよ、それにお姉ちゃんと比べたら全然だし・・・・・・」


 「いやいや照るな〜、友間にそう言われるなんて」


 「だってお姉ちゃんの二つ名って『ストラング最強』だもん」


 「んっ?、あー....あれか、あれは“スキルだけ”なら最強って意味だし他にも『最強』って言われる人物は複数いるよ?」


 「えっ、じゃあ本当の最強って誰なの?」


 「そうだなー......身体的な強さで言うなら金森かキグルミかな〜、総合的には私かしら?」


 「もーそれ自分自慢になっちゃってるじゃん!、それに話は戻すけど土神がどうしたの?」


 「あっ! そうそう!、土神が面会を求めてる」


 「・・・・・・・・・へっ?」


 「だから、監獄にいる土神が面会したいって」


 「えっ!、まず土神って監護にいるの!?」


 「そうそう、アビリティア専用の怖〜い監護にね」


 「でっ、何でお姉ちゃんが土神からの伝言を持ってるの?」


 「少し前に会ってきた、ノアやドルスとの関連や居場所について聞いてみたけど返答はこうよ......」


 “シセラちゃんを呼んでくれ!”


 「あれ?、俺は?」


 「あっ!、私の伝え方が悪かったかも。シセラの護衛として付いて行ってほしいのよ」


 「ご、護衛? 俺なんかが何で?」


 「変に護衛をつけるより仲の良い人に護衛を任せた方がシセラ自身にとって良いと思うのよね」


 「シセラにはジャッキーがいるじゃないですか?」


 「ジャッキーの方もギブスは取れているのだけれど、折れた腕はまだ酷使できる程に回復はしていないのよね」


 「分かりました、俺も行きますよ」


 「友間さん、私も行きますからね!」


 シロは鼻息を荒くして友間にすり寄ってくる、それに置いて行ったとしても地球の裏側だって来るつもりだろう。


 「分かったよシロ、今度は置いて行ったりしないよ」


 「良いねぇ愛って、子供が甥になるのか姪になるのかお姉ちゃん楽しみだな〜」


 「私と.....友間さんの子供・・・・・・」


 シロの顔から湯気が沸き立ってくると同時に顔が赤くなり息が荒くなってくる、そしてパタンと倒れてしまった。


 「シロ!?、今回は本当に付いて来ない方が良いと思う」


 「そ、そんな事は出来ません.....私は友間さんを守らなければ」


 そう言っているシロの顔は“何か”を想像してしまったのか青ざめていて友間は心配になった、すると姉の美香はこんな事を言った。


 「だけど土神と会う前に、ちょっと私からお節介をさせてもらうわよ」


 「お節介?」


 「今の友間の実力を知るためとスキルの改善点を炙り出すために私と戦ってもらうわ」


 「えっ.......、ここで?」


 「あははははははっ!!、まさか!・・・・・・でも今戦いたいなら話は別だけどね」


 思わず割って入るシロ、目の前にいる人物は先程まで笑っていたような生易しい人物ではない事は嫌でも分かる事であった。


 「友間さん、ここは私が・・・・・・」


 「いい、それにお姉ちゃんは俺と戦う気だしね」


 そう言った友間の脚は無意識に震えてきた、土神を生易しいと思わせる程に目の前にいる人物の事が怖かった。


 「怪我させたらごめんね、お姉ちゃん」


 「死なないように気をつけてね、友間」

Re: スキルワールド ( No.107 )
日時: 2019/03/24 00:07
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 ここはストラング内部にある[基礎]と[実戦]とある部屋の内の“実戦ルーム”という所だ。

 より詳しく言うと様々な場面を想定した仮想地帯で、最初は何もない真っ白な部屋だが設定次第では周囲を溶岩の燻る火山にも吹雪が荒れ狂う雪国にだって変えられるのだ。

 そして友間は姉である美香と共にその実戦ルームという場所にいる。何故かって?、それは自分の目で確かめた方が良いだろう。









 ここは廃れた廃墟ビルが立ち並ぶように設定された実戦ルーム、そんな場所に友間はおり今まさに姉に吹き飛ばされビルの壁を突き破って中へと姿を消した。


 「痛てててて、やっぱりお姉ちゃんのスキルの本質が掴めないな」


 鉄の性質を使っている友間、まだスキルの調子が戻っておらず鉄の性質だけで戦っている状況だ。

 そして廃墟ビルの内部を見回した友間、すると何かに勘づいたかの様にその場を飛び退くと天井が抜け落ちて姉の姿が現れる。


 「逃げてばかりじゃ弟の実力が分からないじゃない」


 「だからって弟を殺すつもりなの!?、これでも今の状態で出来る限りの力は出してるんだよ?」


 「なら120%の力で来いッ!、お姉ちゃん張り切っちゃうんだからね♪」


 「分かりました。あまり期待しないで下さいよ?」


 そう言うと自身の最高速度で飛び出していく友間、それを迎え撃つように指を鳴らした美香の周囲には複数の発光体が出現して瞬く間に大きな爆発を生じさせた。


 「うわっ!?、吹き飛ぶッ!」


ーーガシッ!!


 「掴まえた♪、そんな所に立ってたら危ないわよ?」


 爆風と砂煙が止んで目を開けた友間、そして姉に掴まれていた右腕は石になったかのように動かす事が出来ないでいた。

 すると美香は弟の体を軽い力で引き寄せると丸めた紙でも放り捨てるように筒抜けとなった天井に向けて投げ捨てた。


 「そうね......、姉からの意見として言わせてもらうと体力不足もあるけど一番は圧倒的に火力が欠けてるところかしら?」


 「それを今言う必要あるっ!?」


 空中でもがきながら別の廃墟ビルへと飛ばされている友間は姉の言動にツッコミを入れつつ次にくる衝撃に備えて身構えた。


 「ゲホッ!、ゲホ! ゲホ! これは冗談抜きに死ぬ気で殺りにいかないと大怪我じゃ済まないな」


 破片の散らばる床を這うような形で移動していた友間だったが、片方の脚に強烈な痛みが走って何とも言えない感情が口から出る筈だった声に代わって友間の中を渦巻いた。


 「逃げたらお姉ちゃん悲しくなっちゃうじゃないの」


 「あ、脚....が・・・・・・。」


 脚には何処からか現れたかも分からない鉄柱が鉄と化している筈の太股部分に深々と刺さり、よもや貫通してしまっていた。


 「だから最初に言ったじゃない、『殺らなきゃ殺られる』ってね」


 (“コレ”には頼りたくなかったけど、死ぬよりは何倍もマシだ!)


 友間は意識が消し飛ばされそうになる痛みを耐えながら自身のスキル“達”がいる精神世界に入っていく。

 最初は暗闇だけが広がる世界だったが、直ぐに奥の方から鉄の性質が現れこんな言葉をかけてきた。


 (「ザマねぇな俺の主人とやらよ、このまま実の姉に殺されるんじゃねぇのか?」)


 「.....せ....。」


 (「ん?、何て言ったんだ今?」)


 「今はお前の性質しか使えない......、だから一時で良いから俺に力を貸せ」


 (「おいおい、この少し前に俺と殺り合っといて虫が良すぎるんじゃねぇのか? こういうのは等価交換で決めるべきだろ」)


 「なら体を貸してやるよ、今直ぐにな」


 (「気に入った!。だけど体が後でどうなろうと文句は受け付けねぇからな?」)


 すると友間に吸い込まれるように消えていった鉄の性質、それと同時に友間は握り締めていた限界寸前の意識を後者に譲り渡した。












 「おーい友間〜!、・・・・・・ちょっと無茶させ過ぎちゃったかな〜?」


 弟の様子を心配そうに見つめていた美香、だが目の前にいる友間の雰囲気が変わったのを感じて躊躇うことなく臨戦態勢を整えた。


 「たくっ、サッサッと俺を一任していたら早い話だったのによ。強情な主人はこれだからなぁ.....」


 「友間.....ではないな、それにフレンドリーとも呼べなさそうね」


 「俺はコイツの中にあるスキルの一部でな。ちょっくら体を借りてるぜ」


 「なら、話は早いわね」


 美香が指を鳴らしたかと思うと鉄の性質は高密度の圧力を感じたのも束の間に立ち並んでいたビルを何棟にも及んで突き破っていく。

 吹き飛ばれているとうの本人は勢いが緩んでいくと同時に次に迫ってきたビルの壁を蹴り砕くと風化しかけている床に指をメリ込ませてこの勢いを完全に止めてみせた。


 「主人も、その姉も俺の扱いが酷いってもんだよな」


 「あら、誉め言葉として受け取っておくわ」


 「前言は肯定という事で」


 床に屈んでいる相手を見下ろすようにして現れた美香、今度は横にではなく下向きに吹き飛ばすとビルの床を何重にも突き破っていく相手を見下ろしつつ追撃がてら掌に呼び出した手榴弾を剛速球を越える速度で眼下に落ちていく相手へと叩きつけた。


 「まぁ、お遊びはここまでにしとくかしらね?」


 地上に近い位置で手榴弾が爆発した音が聞こえてくると背伸びをして体をリラックスさせ、次の行動に移るために指を鳴らすとその場から姿が消えたのであった。

Re: スキルワールド ( No.108 )
日時: 2019/03/26 23:45
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 鉄の性質は今、地面に上半身が埋まる形で突き刺さっていた。

 すると足がバタバタと暴れだしたかと思うと地面が盛り上がり埋まっていた上半身が這い出してきた。


 「フゥ、この前より体のコントロールが上手く出来るようになってはいるな」


 そして不意に何枚も穴の空いている天井を見上げると面倒臭そうに肩を落としてこんな事を言っていた。


 「化け物のおでましだな」


 そう言った直後、真横で地面を抉りとる程の衝撃が起こり舞った土煙の中で不満の一声が聞こえてきた。


 「人に向かって化け物とは人権侵害ね、それに流石の私でも弟を殺すのは心苦しいかしらね」


 「そうかよ、まぁ殺ろうと思ったら俺なんか瞬殺で倒せるんだろうがな」


 「あら照れちゃう♪」


 美香は可愛らしい仕草で相手に照れ隠しの平手打ちを喰らわしたが、その一撃は思ったより強めだったようで平手打ちが当たった瞬間に相手の体が廃ビルの壁を突き破って消えてしまった。


 「あっ!、これは力加減を間違えちゃったな」


 「人を吹き飛ばしといて何処が化け物じゃねぇんだよ?」


 壁に空いた大穴から吹き飛ばしてしまった相手の姿が現れそういった苦情を美香に対して漏らしたが美香に罪悪感は無さそうだった。


 「ところでアナタ、呼びづらいから名前は何て言うの?」


 「あ?、俺か? んー、俺に名前なんてねぇんだが鉄の性質ってことで“テツ”で良いや」


 「テツ。良い名前かはさておき、そろそろ終わりにしましょうか」


 「終わりねぇ、......って事はそろそろ俺もヤバそうだな」


 「稀にみる高い防御力ね、アナタが少しでもこっちの味方だったならストラングの人材として十分に相応しい実力者だと言って良いけど、敵だし弟の体だから返して貰うわよ」


 そう言い終わり指を鳴らした美香の姿が消え、次にテツの視界が真っ暗になり体が一瞬だけ浮いたかと思うと地面へと叩きつけられた。

 美香はテツの顔を覆っていた自身の手をテツから離すと片手をテツに向けて空いているもう一方の手で指を鳴らした。


 「さよなら、テツ」


 眼下でうめいているテツを他所にその体から何かが噴き出すように胸の辺りから灰色をした塊が飛び出してきて鉄と化していた体が生身へ戻っていき元の友間に戻ったのであった。


 「さぁて、“コレ”をどうするものかな?」


 美香の手には野球ボールぐらいの灰色をした球体が握り締められており何度か空中にほうっていると何処か荒々しいオーラを放っている様な気がした。


 「まぁ一旦、経過観察をしてみるって事で良いかな」


 指を鳴らすとその球体は消えて美香は天に届きそうな程の背伸びをしてみせた、そして気絶している自身の弟の方を見ると頭を少し掻いて一つの結論を見出だした。


 「よし、何か分からんけど一件落着みたいだがら良いか」


 これで人様の姉が務まるものかという思う程に開き直った美香は、友間を軽々と背負うとこの場を後にした。

Re: スキルワールド ( No.109 )
日時: 2019/03/28 00:07
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「・・・・・・や、やぁエン」


 (「いや〜久しぶりですね!、友間様っ!」)


 今の友間は自身の精神世界に呼ばれて来ていた、そして友間をここへ呼んだのは何を隠そういつも通り全身が燃えているエン本人なのだ。


 (「鉄の性質に力負けしてしまい謎の空間に閉じ込められた挙げ句、友間様のピンチに駆けつけられなかった私が憎いです」)


 「そ、それは置いといてエンが元気そうで何よりだよ」


 友間は話を変えるために自ら話を振ってみた、するとエンの炎に覆われた顔が照れたのかと受け取るべきか少し火力が増した様な気がした。


 (「で・す・が・・・・・・また無茶なさっちゃってるじゃないですか!、何で自ら火に飛び込むような危険を犯そうとするんですかっ!?」)


 「いやいや!、今回のはお姉ちゃんが強制的にしでかした事だよ!」


 (「むー・・・・私は友間様の安全を守るのが最優先なんですよ....、もしもの事なんて考えたくないんですからね!」)


 「分かったよ、出来る限りで安静に過ごす事にするよ」


 (「今の言葉にちょっとだけ不安を抱きましたが、どう願っても危険に巻き込まれてしまうと思うので私と一つだけ約束を交わしてくれませんか?」)


 「うん、分かった。エンとの約束なら絶対守るよ!」


 (「・・・・・・絶対という事をどんなに願ってもこの世に“絶対”がないのは分かっています。ですが絶対に生きて生きて髪の毛が白髪になってしまっても長生きして下さいね!」)


 「......ありがとエン、約束は絶対に守るから」


 (「ふふふ、貴方という人は初めてお会いした時と変わらず真っ直ぐなお方ですね」)


 そう言って笑っているエンをじっと見ていた友間、すると徐々に視界が霞んでいき時間が迫っている事に気付くと慌てながらエンにこう言おうとした。


 「エン!、いつもエンに頼りっ切りで心配させたりもしてきたけど本当にあり・・・・・・」


 友間は自身の体から噴き出した炎によって一瞬で燃え上がりエンの目の前で塵と化してしまった、最後の最後で言いたい事は言えないままになってしまった。


 (「・・・・・・大丈夫です、言いたい事は分かっています。だって私はアナタ様のスキルの一部なんですから」)


 そう呟いたエンの顔は何処かいつもより赤く燃えている様に見受けられた。

Re: スキルワールド ( No.110 )
日時: 2019/03/29 18:54
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



ーーぎゅ....ッ!


 「・・・・・・・・痛ててててっ!?」


 今まで眠っていた友間、すると姉に頬を引っ張られながら目を覚ました。


 「よっ!、友間」


 「んも〜・・・・、その起こし方は止めてくれないかな?」


 「いや〜、昔からの癖でして」


 「はぁー.....まぁでも、お姉ちゃんに頼んで治った事なんて指が5つあっても余るぐらいだしね」


 自身の頭を掻きながら体を起こした友間、だが直後に体から力が抜けてしまい倒れそうになったが誰かの腕が友間の体を支えてくれた。


 「ありがとシロ、・・・・・それと何か怒ってるの?」


 「いいえ......、怒ってません」


 明らかに怒っている様子のシロ、多分その理由は友間自身も薄々気づいたかもしれない。


 「もしかして無茶した事に怒ってる?」


 「“はい”、それとも“そうです”のどちらが良いでしょうか?」


 「じゃあ“勿論”という事で。それとすみませんでした....」


 「・・・・・・・・でも...、友間さんが御無事なだけでも大目に見ることにしましょうかね」


 少し肩を落としてみせたシロだったが、どうやら自分の中で折り合いをつけたようだった。

 それと友間は寝たきりの状態で自身の体を見下ろしてみると包帯やら湿布といった代物が体を隠してしまわないかと思うぐらいに敷き詰められていた。


 「あ、あの......お姉ちゃん?、これってどういう事?」


 「えーと、その〜...加減を間違えちゃった♪」


 「いやソレは間違えたでは済まないでしょ!?」


 「いや〜、私も私で色々とあったりしてさ〜」


 そうこうしていると友間は真横で禍々とした殺意を感じると振り向く間もなく殺意の張本人であるシロが美香に対して口を開いた。


 「自らの手で弟を半殺しにするのが姉のすべき役割なのか?、それなら私はお前を全力をもって殺すッ!」


 「だーかーら、さっきから謝ってるし説明もしてるわよね? 少し黙らせて挙げましょうかシロちゃん?」


 一触即発という言葉でも足りない程に火花を散らせているシロと美香、だがその二人の重圧に耐えれなくなった友間は無謀にも二人の間に割って入った。


 「ちょっとストップ! ストーーーップ!、ストラングでの武力行使は禁止なんだよ!」


 「「・・・・・・・分かった」」


 そう双方が同時に言って顔を反らすと辺りの空気が軽くなったような気がして友間自身、心の中で深々とした長い溜め息を漏らしたのであった。


 「ところで此処って何処なのお姉ちゃん?」


 「えーと....あっ、そうそう此処はストラング内の救護室ってとこ」


 「怪我の具合は?」


 「全治9ヵ月ってとこかな?」


 「・・・・・・・それじゃあ、土神に会いに行くのはいつ頃?」


 「今日でちょうど一週間後だけど?」


 「ちょっ...!!、圧倒的に時間が足りないでしょ!?」


 「大丈夫だって友間、お姉ちゃんに抜かりはないから」


 辺りによく響くような音を立てて指を鳴らした美香、すると先程まであった体の悲鳴が一瞬にして無くなり体の調子が元に戻っていた。


 「ほれ、姉が折角やってあげたんだから喜びないさいよ」


 友間の目の前でピースサインを掲げている美香、少しそれに呆れつつも自分の姉に対してお礼を述べると動くようになった体で寝ていたベッドから起き上がった。


 「それでお姉ちゃん、これからどうするの?」


 「美香、友間さんに何かあったら姉と言えども本気で殺しにかかるぞ」


 「私がいるから大丈夫よ、・・・・・・それに友間に“何か”あるなんて私自身が許さないから」


 先程まで火花を散らしていた二人だったが最終的に意見が合致したようでそれ以上はどちらも何かを言うような様子はなかった。


 「それじゃあ本題に入るわよ友間、まずは課題だけど.....」


 「うん、何?」


 「やっぱり攻撃面と体力面に欠けてるところかしらね? まぁそこら辺にいる雑魚が相手なら大体は勝てるとは思うけど、友間が今から行くのは最悪なんて言葉が似合いすぎる程の奴らがいる監獄だからね。言わば『悪の巣窟』よ」


 「分かった!、なら早速トレーニングをお願い!」


 「鍛えるのは私じゃないわよ? だって手加減とか面倒だし、“まだ”人間レベルな奴を用意してあるわ」


 「へっ? あっ、うん分かった」


 まだ、という言葉に少しだけ違和感を感じてしまったが気にしたら負けだと友間は自分に言い聞かせたのであった。


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