ダーク・ファンタジー小説

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スキルワールド
日時: 2019/02/24 17:59
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029

 どうも、マシュ&マロです

 この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}



※注意書き※

・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。

・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします

・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい

・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい


それでは小説スタートッ!!



 第一幕『黒奈友間という少年』
 >>64


 第二幕『一人の裏切り者』
 (前半)>>102

Re: スキルワールド ( No.126 )
日時: 2019/07/21 22:44
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 友間の視界には一寸先の暗闇だけが映り、肌を吹き荒れる嵐のような風圧だけが過ぎていく。


 (ジャッキーに一体何があったのッ!?)


 吹き荒れる風に目を細め、友間の内心は混乱して半分パニック状態に陥っていた。

 すると突然、風が止み。呆気に取られた様子で友間は顔をあげる、するとその目に何かが映り込んできて思わず友間は絶句する。


 「ジャッキー、......だよね..?」


 友間の目線の先にいた者は、ジャッキーではなく全身を赤黒い液体のようなモノで覆われている人型に近い何かであった。


 「これって、どういう事?」


 「スキルの暴走....と、言うべきかな」


 「えっ? マーヤさん、何ですかスキルの暴走って?」


 マーヤは不思議な表情を浮かべ、何か考えるような仕草をした後、こんな話を友間に語り始めてきた。


 「“暴走を起こしてしまったスキル”、それを省略してストラングでは『暴走スキル』と呼んでいる。簡単に言ってしまえばアビリティアの精神の衰弱を引き金とした、突発的なスキルの凶暴化というところだろう」


 「暴走スキルですか?、その状態になると雰囲気からしても危なそうですね」


 「危ないどころの話ではない、一度でも暴走スキルが発動されると・・・・・・」


 「ハハハハハハハハッッッ!!!」


 ______ガッシャーンッ!!


 暴走状態のジャッキーが高笑いにも似たような声を挙げながら友間とマーヤに突っ込んでくる。それを二人は間一髪で二手に散って避けると、床への着地と共にお互いの視線を交えて意思疎通を試みた。


 (どうやら友間よ、ノア達に逃げられてしまったようだな)

 (それよりマーヤさん、今はジャッキーの暴走を止める事に集中しましょう)


 (そんな事ぐらい、お前さんより分かっとるよ)


 そんな事を視線で感じた友間は自身の体を見下ろし、まだ“性質ノ解放”が保たれているのを確認すると自身の心に向かってこう呟いた。


 (エン、力を貸してくれないか....)


 (「了解しました友間様、いつでも大丈夫ですよ」)


 (ありがとうエン、それじゃあ少し力を借りるよ....)


 “出力・最大限上昇”


 次の瞬間、少しの間も置くことなく血管という血管に力が駆け巡り、友間を覆っていた猛炎が更に火力を増していく。


 「こ、これは結構キツいな....、それに後からの反動も覚悟しとかなきゃな」


 (「維持できる時間は限られています。これ以上は危険と判断した時には強制的に私が止めます」)


 「ありがとう、これだけあれば充分だよ」


 「ハハハハハハハハハハッッッ!!」


 ジャッキーが再び高笑いを挙げて襲い掛かってくる。それに対して友間は右腕に力を集中させるイメージをとり、その腕を自身の胸より後ろに引いて構ると床を強く蹴るように飛び出していく、そして突っ込んでくる相手に対して拳を思いっきり叩きつける。


 「グガッ!??」


 友間の放った拳はジャッキーの顔面を捉えると、当たったと同時に強烈な爆発を引き起こし壁際までジャッキーの体を吹き飛ばしていく。


 (さすがに、気絶までは至らなかったか......)



 だがそれと同時に友間は拳に妙な違和感を感じ、暴走スキルを所持した者が相手では一筋縄でいかないと実感させられた。

 その言葉通り、壁に叩きつけられた筈のジャッキーは平然と立ち上がり相変わらずの狂った高笑いを始めている。そしてジャッキーを覆っているエネルギーが更に厚さを増し、腕周りを中心とした体の所々がギザギザとした鉱石のように硬質化していく。


 「これは面倒な事になってきましたね、マーヤさん」


 「あの小娘、妹を奪われたことで逆鱗に触れたようだな。これは力付くで止めるか妹を差し出すかのどちらかしかないな」


 「なら力付くでいくしかないですね、シセラの居場所も分からない今の状況は特に.....」


 「そう悠長に話してもいられんぞ友間。お前さんはジャッキーを取り押さえてくれないか、その隙にわしが弱体させてこの件を終わりにする」


 「分かりました。このまま暴れらてちゃ監獄ごと海に沈むことになりますからね」


 そう苦笑いを浮かべて言った友間は、監獄の何処かへ消えてしまったジャッキーを追ってマーヤと共に半壊状態となった部屋を飛び出していく。


 そうして部屋に一人取り残されてしまった土神、すると片手が微かに動き始めると共に息を吹き替えしたかのように床にメリ込んでいた体を起こしてこう言った。


 「もう役立たずなんて言われるのはゴメンだ」


 そう言ったかと思うと友間とマーヤが消えいった方向へと土神自身も走り去って行ってしまった。

Re: スキルワールド ( No.127 )
日時: 2019/07/23 22:49
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 「ハハハハハハハハハハハッッッ!!」


 狂気じみたジャッキーの拳が空中に赤い閃光を残しながら監獄の壁を吹き飛ばす。


 「ごめんジャッキー!、後でちゃんと謝るから」


 そう聞こえた直後に友間の飛び蹴りがジャッキーの頬を強く打ち、思いっきり顔を壁にメリ込ませたのだった。


 「ハハハハハハハハハハハハツッッ!!」


 (全然効いてないっ!?)


 すると目にも止まらぬ速さでジャッキーの手が友間の片腕を掴みとり、強引に引き寄せると友間の額に頭突きを喰らわせた。


 「ぐっ!、元気すぎるよジャッキー!?」


 「ハハハハハハハハハハハッッッ!!」


 ______ドガッ!!


 強烈な一撃がジャッキーから放たれ友間の腹部に大きな衝撃を与えた、だが何とか持ち堪えた友間は戦意に満ちた目で正面に向き直ると怯む様子もなくジャッキーの体に抱きついた。


 「この手は使いたくなかったけど......」


 その言葉の後、周囲を消し飛ばす威力の爆発が友間を中心として起こり、その爆発でジャッキーの姿が飲み込まれていった。












ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「ハァ、ハァ、ハァ、どうなったのかな?」


 爆発の中心で忽然と姿を消したジャッキーを探している友間。まさか殺してしまったのではないかと罪の意識が芽生えはじめそうになった時だった、友間からして少し奥の方に積もった瓦礫の山に微かな気配のようなものを感じ、次の事態に備えて警戒態勢を整えた。


 「生きては......いるよね?」


 「ハハハハハハハハハハッッッ!!」


 「ちょっ!?、嘘だよねッ!??」


 笑い声が聞こえたが先か、突如として瓦礫の山が吹き飛ばされ暴走状態のジャッキーが変わらぬ様子で現れたのだった。

 しかし、先程の爆発が少なからず効いてはいるようで動きが鈍くなった気もしなくはない感じであった。


 「冗談きついよジャッキー、......それにこれ以上のダメージを建物に与えるのは危険そうだしね」


 苦笑いを浮かべ、どうしたら良いのか分からなくなってしまった友間。奥の手がない訳ではないが......自身への反動と建物に対してのリスクを考えると使わないという選択肢を選ばざるおえなかった。


 (これはマズイ...、本当にマズイかも)


 「考えてるとこ失礼、状況的に結構ヤバそうだね」


 「えっ、土神さん?」


 「役に立てるかは分からないけど、君にボコボコにされた時よりは成長できたと思う」


 「ありがとうございます土神さん、助かります」


 ジャッキーを目の前に対峙するように立ちはだかる二人、その目には燃えるような闘志が宿っていたのであった。

Re: スキルワールド ( No.128 )
日時: 2019/08/02 23:46
名前: 綾音ニコラ@MRK (ID: 3JA2YsPn)

上げます! 

Re: スキルワールド ( No.129 )
日時: 2019/08/04 19:00
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)



 ありがとうございますMRKさん!


 それと今回で『監獄篇』は終了となります、次回からは『奪還篇』が始まりますので楽しみにして頂けたら幸いです!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







 足を踏ん張らせ友間は何とかジャッキーを押さえつけようと自身の力を振り絞る。


 「ジャッキー、落ち着いてッ!」


 友間は必死にそうジャッキーに言ったが心に届くことはなく、首筋を強く掴まれ監護の壁に叩きつけられる。


 「ゴポ・・・・・ッ!?」


 目で見ずとも友間は自分自身が吐血した事を実感した。それに限界がそろそろ近づいてきている事も薄々気づいていた。


 「限界のようなら君は休んだ方がいい....」


 そんな声が聞こえたかと思うと、土神は自身のスキルを発動し体をムキムキに肥大化させジャッキーを殴りつける。


 「ハハハハハハハハハハハッ!!」


 「ん〜、反応はいまいちか....」


 そう土神が呟いた直後、ジャッキーの拳が腹部へと突き刺さり肋骨とその他の骨を粉砕する。


 「なんて馬鹿力だ!、暴走したからってここまで強くなるものなのか?」


 「土神さん!、実はジャッキーのスキルって怒りや恨みといった負の感情が膨れ上がるとともに力が増していくスキルなんです!」


 「だからか、なら怒りで我を忘れている今が彼女の真骨頂というわけか....」


 そう言って土神は肋骨の折れた腹部を庇いつつジャッキーの蹴りを寸前で受け止める。今の蹴りを受け止めた片腕が複雑な形に変形してしまったが、土神は構わずジャッキーの顔を蹴りあげる。


 「いててて......一応、治るは治るんだけど体力がごっそり削られるんだよね」


 「ハハハハハハハハハハハッ!!」


 ______ガシッ!


 目にも止まらぬ速さで土神の首を掴み取ったかと思うと間髪入れずタイル貼りの床へと叩きつけるジャッキー。

 すると、勝ち誇ったかのように高笑いを挙げて土神への追撃を試みたが視界の端から現れた友間に飛び蹴りを喰らわされ阻止される。


 「ハハハハハハハハハハハハハッッ!!」


 「ジャッキー、怒っても何の解決にもならないんだよっ!?」


 「・・・・・・??」


 懸命な説得がようやく実を結んだのかジャッキーの動きが止まり、首を傾けるような様子を見せると体を覆っていた衣に微かな亀裂が入る。


 「シセラは今、ノア達に囚われてる。だからジャッキーがこのまま怒りに身を任せたいのなら、俺が力付くでも止める!」


 「シ、セラ.....?」


 徐々に衣に入っていた亀裂が大きくなっていき、体の所々から本来のジャッキーの姿が現れていく。


 「シセラは私が、・・・・・守るんだから!」


 その瞬間、体から全ての衣が弾け飛びジャッキーは立ちくらみしたかのように地面に倒れ込んでしまった。


 「ジャッキー大丈夫っ!?」


 「えぇ....大丈夫、頭痛は酷いけどね」


 目覚めが悪そうな様子で上半身を起こすジャッキー、酷い頭痛に額へ片手を当ててみたが直ぐには治まりそうになく気分は最悪と言っていいだろう。


 「まさか私が迷惑かける側になるとはね、......やっぱり今も昔も変われてないみたいね私...」


 「あんまり無茶はしない方が良いよ、それに土神さんの方も深手を負ってるし.....」


 「こっちは問題ないよ、なんとかスキルで治癒できそうだから」


 「・・・・・ねぇ友間、変なこと聞いていい?」


 「んっ?、何ジャッキー?」


 「こんな状況になっちゃったけど.....この場合、京八なら何て言うのかなって......」


 「んー、やっぱり『過ぎた事をいちいち悔やんでもしょうがねぇだろ』......かな?」


 「私もそんな感じだと思ったわ、アイツって変に楽観的だから......なんていうか羨ましく思えるわ....」


 そう言ってジャッキーは友間から顔を背けた、自分への悔しさのあまり涙が流れて仕方がなかったからだ。


 「シセラを、救い出せるかな......」


 「まずは涙を拭いてジャッキー、悔やむのはそれからでも遅くはないよ」


 そう言ってスキルを解除する友間、だが途中からマーヤの姿が見えない事に気づくと辺りを少し見回してみる。


 「わしなら此処だ、ちぃとばかし応援を呼ぶのに手間を取らされてたんだが......どうやら必要なかったようだな」


 「応援、ですか?」


 「ほれ、早速来たらしいぞ」


 「えっ?、来たって・・・・・・」


 そう言ったが速いか、友間の背後で突如として風が巻き起こり複数人の話し声が聞こえてきた。


 「よお黒奈!、・・・・・生きてるよな?」


 「京八!、何でいるのッ!?」


 「美香さんに治してもらったんだよ、それに此処に送ってくれたのも美か・・・・・・」


 「友間ァ〜〜ッ!! 生きてるなッ!?、死んではいないな!?」


 京八の声を遮るような形で現れた美香、すると友間に力強く抱きつき友間自身は背骨が悲鳴を挙げて折れそうになった。


 「ぎ、ギブ....お姉ちゃん死んじゃう・・・・・」


 「その辺にしておかないと友間が死んでしまうぞ美香、それにわしから状況報告をせねばならんからな」


 「マーヤ!、久しぶりね!? ざっと5年ぶりぐらいかしら?」


 「あの小娘がましに育ったものだな、わしと最初に会った頃は今よりも天真爛漫で手が掛かったからなぁ」


 「懐かしい話は後にして、あなたが居たにも関わらず建物への被害が尋常じゃないわね」


 「わしも昔より若くはないもんでな、それに監守達も脱走した囚人らに殺られてしまった......」


 そう言って苦笑を浮かべるマーヤ、それを他所に美香は周囲を見回すとジャッキーに視線を注ぐ。


 「ジャッキー、あなたって数年前にもスキルが暴走してるわよね?」


 「えぇ...、まぁね・・・・・」


 「その時は確か、敵の兵力3000人に囲まれた時だったのよね?」


 「だから!、それが何なんですか美香さん!」


 食ってかかるように美香を睨みつけるジャッキー、それを美香は両手で宥めるように落ち着かせるとこう呟く。


 「ここまでの被害が出たのはノア達一行というより貴女が暴走した事が原因よ、悪いけど更に被害が出ない内にここで処分させてもらうわ」


 「何でそうなるのよッ!?」


 「危険因子は早急に摘むのがストラングの鉄則なのよ、分かったジャッキー?」


 冷え切った眼でジャッキーを見据える美香、そんな視線にジャッキーは嫌でも悪寒を感じてしまい床を強く踏みしめ身構える。

 すると慌てた様子で友間は二人の間に割って入り、どうにか仲裁しようと美香に説得を試みる。


 「ちょっと待ってお姉ちゃんッ!?、ジャッキーを殺すのなら俺の命に代えても止めるッ!」


 「それなら二人まとめて私が始末する......と、言いたいところなのだけど、愛する弟とその友達を殺すのは気が引けるのよね」


 「えっ?、じゃあジャッキーは?」


 「よく聞いてくれた弟よ。私が一旦ジャッキーのスキルに制限をかけて暴走しないようにしとくわ、それで良いわよね?」


 「え、あ、はい....異論はないです」


 「よし!、これで一件落着! 死体の回収は別の班に任せちゃって皆で帰りましょ!」


 「もうお姉ちゃん、本当にジャッキーを殺しちゃうのかと思ったよ.....」


 「だってぇ、ジャッキーの怯えた顔が可愛いかったんだもん♪」


 「なっ!?、私は怯えてなんかありませんからね!」


 「だけど怖がってたろ?」


 「余計なこと言わないでよ京八!」


 監獄内では色々と問題も生じたが、取り敢えずは丸くおさまったという事で良いだろう。

Re: スキルワールド ( No.130 )
日時: 2019/08/07 00:03
名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)




 ______バンッ!!


 「ボス!、シセラの救出を断念しろってどういう意味ですか!?」


 そう机を叩き、息を荒げてボスへと問いただすジャッキー、その様子を心配して落ち着かせようとした京八と友間であったが、ジャッキーの雰囲気からして今は近づかない方が良いと思い二人はグッと言葉を飲み込む。

 するとボスは粉砕されてしまった机を一度だけ見ると、ジャッキーに向けてこんな事を告げる。


 「お前たちはノアからの襲撃を受けたらしいな....、それも危惧していなかった監獄でだ。そんな事態に巻き込まれたお前達を、さらに危険に晒すような真似はできない」


 「それでもッ!、・・・・・何か手があるはずよ.....」


 言葉に詰まるジャッキー、その目には涙すら浮かんでいるように見受けられる。

 するとボスは、なるべく優しく語りかけるようジャッキーに気を遣いながら言葉を呟く。


 「ジャッキー、それに今の君はスキルに制限が掛かっていて戦うのは愚か....自分の身さえ守れない状態、そんな君を基地内から出すわけにはいかない」


 「・・・・・・分かりました....。だけどボス!、シセラは必ず助け出して下さい!」


 「あぁ、出来る限りの手は尽くすつもりだ」


 そう言って柔らかな微笑みを浮かべてジャッキーを安心させようとするボス、そんなボスとは打って変わって納得のいかない様子のジャッキーはボスに背を向けて部屋を後にする。

 その様子に京八と友間の二人はジャッキーの後ろを追って部屋から出ていく、そして扉が閉まると同時にボスは額に触れつつ溜め息を漏らしたのだった。


 「困った事態に陥ってしまったな。ジャッキーの言いたい事も分からなくもないが、現実的に言えば見つけるのは難しいかもしれんな.....」


 ______ガチャっ!


 「やっほー金森♪、なにか落ち込んでるみたいね?」


 「んっ? 美香か...、実はジャッキーについて思い悩んでいてな......」


 「それとシセラもでしょ?、それにジャッキーと言えば暴走スキルの発現ね......数年前にも発現したらしいのだけど、今の精神状態だと簡単に暴走しそうだわよ」


 そう言って部屋に設置されているソファーへともたれ込んだ美香、その顔にはいつもは見る事の出来ない真剣な表情である。


 「だからお前はスキルを制限したんだろ?、それにジャッキーの負の感情の増幅がスキルの発動条件だ。その場合、暴走されてしまうと怒りと狂気に飲み込まれ・・・・・・」


 「それによりスキルの影響で力が止まる事なく強化され続け、最終的には死ぬまで決して止められない化け物の出来上がりって訳でしょ?」


 「あぁ、それの悪い例として監獄をほんの少しの間で全壊寸前まで追いやったんだ。それにこれ以上、成長してしまうとノアやドルス以上の異常事態を生じさせかねないしな」


 「まぁ、その時はその時だよ....。それにまだジャッキーは未熟だ、私たちが見守ってやる必要があるし......それが私たちの義務だ、だろ?」


 そう言って首を傾ける美香、その様子に無言のまま頷いたボスは話の主旨を折るようにこんな事を美香に聞く。


 「ところで美香、友間の方はどうなんだ? 友間もお前に似てると言えば良いのかメキメキと腕を上げているだろ?」


 「ふふ〜ん♪、それは私の弟だもの、素質だけで言えばジャッキーと良い勝負よ。だけど友間の場合はスキルの使い方を未熟ではあるけれどちゃんと分かっているわ、だから今のところは友間の成長が嬉しくてしょうがないよ....」


 「・・・・・・お前も昔はそんな感じだったな、無鉄砲というのか命知らずというのか」


 「それはもう何年も昔の話!、懐かしむなんて貴方もそろそろ年なんじゃないの?」


 「まぁそうかもしれんな、それに所長の代もそろそろ代わり時だな」


 「・・・・・・確か貴方って第二基地が出来てからだから“2代目”よね?、それと聞く機会が中々なくて気になってたのだけど初代ってどんな人だったのかしら?」


 「・・・・・・とても我が儘で、それでいて優しい.....、そしてとても哀しい男だったよ....」


 「ふ〜ん、初めて知ったわ。私の着た時には引退してたようだし」


 そんな事を美香が呟いているとボスの神妙な面持ちに気付き、一つのわだかまりを感じた。


 「彼は......いや、初代は引退したのではなく殺されたんだ、俺の手によって......」


 「何ですって!? 金森、あなた今自分で何て言ったのか分かってるのかしら?」


 「あぁ、十分にな。それにこれ以上話す気はない、話はこれで終わりだ」


 その瞬間、美香の心には説明のしようがない感情がとぐろを巻いて絡みつく事となった。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 今此処はストラング内にある通路、誰もいない通路を足早に過ぎていくジャッキーは突然立ち止まると後ろを振り向き追いかけてきた京八と友間にある事を提案する。


 「ねぇ二人とも.....、協力してほしい事があるの。実はね・・・・・・」


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