ダーク・ファンタジー小説
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- スキルワールド
- 日時: 2019/02/24 17:59
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029
どうも、マシュ&マロです
この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}
※注意書き※
・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。
・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします
・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい
・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい
それでは小説スタートッ!!
第一幕『黒奈友間という少年』
>>64
第二幕『一人の裏切り者』
(前半)>>102
- Re: スキルワールド ( No.141 )
- 日時: 2019/09/29 20:07
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「ところで、お前たち5人は何のためにいるのだ?」
シロは今、雲の上にいる。もっと詳しく言うとヘリに乗っており脱走したジャッキー達の確保を目的としており、同乗者には天羅を筆頭とする5人の傭兵団メンバーが乗っている。
「俺達も仕事なもんでしてね、ちょいとばかり同行されて頂きます」
そう笑いながらシロに言った天羅、するとその隣にいたイクサという少年がシロに対して何やら話し掛けてくる。
「アンタからも強い奴の臭いがするぜ、ストラングのボスとかいう奴より断然に濃厚な臭いがな。後で俺と一戦どうだい?」
「そうか。だとしたら好戦的な割にお前の臭いは薄いのだな」
「あ”?、俺相手に喧嘩売ってんのか!? そんなら今直ぐにでも買ってやるぜ!」
「なら私もちょうど、暇をもて余してしょうがなかったところだ」
そう言うと拳を握り締めてニヤリと悪い微笑みを見せるシロ。するとその直後ヘリの密室状態と化した空間内で何やらスキルを発動しようとしたイクサであったが、その途中段階でリーダーである天羅にチョップでたしなめられてしまう。
「ったく!、今は仮にも同じ目的を持った仲間同士だろ!」
「なら先生が相手してくれないか?」
そう言って天羅に襲いかかろうとしたが再びチョップでたしなめられてしまうイクサ、好戦的なのは間違いなさそうなのだが勢いが空回りしている感じである。
ここで一つ、シロにはある疑問の念がきたのであった。
(調子を取り戻した金森に流されるままに承諾してしまったが....、元は追手の足止めが私の役割であった気が・・・・・)
そう思いつつ色々と主人に迷惑をかけないだろうかと心配するシロ、だがそんな事よりも主人の安否の方がシロにとっては大事である。
「友間さんは今、何をしているんでしょうか....」
「ハックション!、.....たぶんこれは誰かに噂されてるな」
「おい黒奈、大丈夫か?」
「大丈夫だよ京八、それよりシセラがいる場所って何処なんだろうね?」
友間達一行が今歩いているのは何処とも知れぬ森の中、スカルに言われて勾配になっている道なき道を草を掻き分けつつ進んではいるが一向に建物らしき面影も見当たらない。
「ちょっと二人とも、仮にも此処は敵の縄張りなんだから気だけは抜かないでよね」
「任せろジャッキー!、俺と黒奈がいたら百人力だからな」
そう言って笑う京八、ふざけてる様に見えるがこれが京八なりの集中している状態なので何とも言えないジャッキーは京八に任せたとだけ告げて草むらの中を進んでいく。
するとここでシエルが一言、とある問いかけをしてきたのだった。
「一つ良いですかジャッキーさん?、妹さんを助けるのは分かったのですがその後の逃走はどうするつもり何ですか?」
「そこら辺は大丈夫よシエル、たぶん私達が尻尾を巻いて逃げる頃にはストラングからの迎えが来てると思うしね」
「僕達を捕縛するための追跡班のことですか....。間違っても争い事は避けたいですね」
「まぁ、なるべく争うべきではないのだけど.....相手の対応次第では荒事も辞さないわ」
そう言って笑みを見せたジャッキーだったが、シエルはその笑顔の奥に何か狂気じみたものを感じてしまった。
「そうですか....。その時は僕も頑張らなきゃですね」
「あら、頼もしいこと言ってくれるじゃないの。てっきり戦術的逃走とか言って逃げるんじゃないかと思ってたわ」
「僕だって男の子なんだよ?、やる時はやってやるさ」
そう言って笑ってみせるシエルであったが、これもこれでジャッキーと似たようなものが感じられたのだった。
- Re: スキルワールド ( No.142 )
- 日時: 2019/10/05 23:24
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「ねぇジャッキー、何時間も歩いてるけど見えてくるのは生い茂った草木かゴロゴロとした岩ぐらいしかないね」
「えぇ友間、少し妙ね.....ううん、とっても妙だわ、これってまさか・・・・・」
何か勘づいたように言葉を発しかけたジャッキー、するとその直後に森の物影から野球ボール程の火の玉がジャツキーめがけて飛んでくる。
急な事態に回避が遅れてしまったジャッキーだが、京八が直撃寸前に突き飛ばしたおかげでギリギリ回避することが出来た。
「おいジャッキー、大丈夫か?」
「う、うん。ありがと....京八」
「チッ!、また来やがったな」
そう言うと唐突にジャッキーを抱えて背後にある木々の間を通り抜けていく京八、その直後に火の玉が爆発を起こし先程まで立っていた場所は跡形もなく吹き飛ばされてしまう。
だがその事により他の皆も四方の物影に散っていき戦闘態勢は整ったようだった。
「ふぅー....何となく敵の位置が掴めた」
「ちょっと京八....恥ずかしい・・・・・・」
「無茶言うなジャッキー、お前って今美香さんにスキルを制限されてる最中だろ?」
ジタバタ暴れるジャッキーに京八は少し困ってしまったが、まだ見えない敵からの追撃に再び飛び退くことしか出来なかった。
「黒奈!、俺はジャッキーの護衛で精一杯だから敵の事はそっちに任せたぞ」
「分かった京八!。シエル!、土神さん!」
「「あぁ、分かってる!」」
友間は自身のスキルを発動させて体を炎へと変化させた、そして向かってきた火の玉を当たる寸前でキャッチすると迷うことなくそれを握り潰した。
すると爆発が起こり友間はそれにより巻き込まれてしまうが、スキルの相性のおかげで然程のダメージも食らわなかったらしい。
「あらら、俺の“特製の爆弾”が効かない奴がいるとは....。爆発は神から与えられた神聖なものなんだぜ?、それの痛みを拒絶するなんざ馬鹿な野郎だぜ!」
そう言って木々の間から姿を現したのは上下黒の服装に加えて背に纏うマントは爆発やボムといった爆弾に関する言葉が書かれている、第一印象で言えばまともな敵とは思えない。
「私の名は北朝千次(ほくちょう せんじ)、さぁ救いの時間だ」
すると北朝の背後からもう一人男が現れこんな事を呟いた。
「何が“救いの時間”だよ、この狂った爆弾魔野郎。それに折角作っといた俺の空間をあまり傷つけるんじゃねぇよ」
もう一人はボサボサ頭に変に曲がった猫背をしており、どうやらシセラのところへ辿り着けないのは彼が原因のようだ。
「あんた達って確か...、この前ノアが監獄を襲撃した時にノア側についた囚人達よね?」
そう言うジャッキーの目は冷淡なものである。しかし二人は気にしていない様子で話を続けていく。
「私はただの爆弾魔ではないぞ田中くん。そう、神から選ばれた爆弾魔なのさ!」
「いいか北朝、寝言ってのは寝ながら言いやがれってんだよッ!」
「あ”っ?、お前も神からのありがたい爆発を拒絶するつもりかぁ?」
「おっ、やるってのかコラァ? この青二才ッ!」
「黙れこのボサボサモップ野郎ッ!」
「だったらお前は頭のおかしい爆弾・・・・・」
田中と呼ばれた人物はまだ言葉を言い終わってはいなかったのだが、田中の北朝は視界の端に捉えた友間と土神の姿に仕方なく口喧嘩をやめ二手に飛び退く。
「チッ!、人が話してるってのに無粋な奴らだな。なぁ北朝?」
「全くだよ田中くん、そんな輩には神の代行者として神聖な爆発で粛正せねば」
なんだかんだで意見の一致してしまった二人、その様子に少し呆れてしまった友間と土神であったが気を取り戻したように敵二人を睨みつけたのだった。
- Re: スキルワールド ( No.143 )
- 日時: 2019/10/06 09:31
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
場所は変わって此処はとある屋敷の中、そして屋敷にある書斎のような場所でシセラの母が何か本のようなものを手に取った。
「懐かしいわ....小さい頃のシセラね。それに可愛さは昔と全然変わらないわねぇ」
一人思い出に浸っている様子の彼女であったが、突然現れた背後からの気配に落ち着いた様子でこう呟く。
「あら、貴方って人のプライベートを覗き見するのが趣味だったのね。それとノア、私に何の用かしら?」
「君の“義娘”が屋敷の近くまでやってきたという一応の報告だよミリー」
「気安くその名で呼ばないでもらえる?、貴方と私は仲の良い友達ではなくただのビジネスパートナーって事を忘れないことよ」
そう言うと顔を背ける義母ことミリー・システィア。だがそんなミリーの態度にも機嫌を損なうような様子はなくノアは話を続ける。
「君にしては荒れているね。もしや娘との関係は上手く行って・・・・・・」
「うるさいッ!!、もう用がないなら出て行きなさいッ!!」
「これは失礼。だがあと1つだけ君に伝えておく事がある」
「何?、言い終わったらサッサッと出てってよねノア」
「屋敷の中と外の複数箇所に部下を配置しておいた。それに君は『電脳軍』にとっての資金源そのものだしな」
「どうせ守りたいのは私ではなく私が所持している莫大な資産なんでしょ?、それに監獄からの脱獄囚なんて私は信用できないわ」
冷めた目でノアを見つめるミリー、するとノアは電脳の扉を開くと中から何か小さなモノを取りだしそれをミリーへと放り投げる。
「何よコレ?、青い液体の入ったただの注射器かしら?」
「それが我々の研究しているトリガーというものだ。君も一応はアビリティアであるのなら持っておいて損はない」
そう言い残すと電脳世界へと消えて行ってしまったノア。一人残されてしまったミリーはノアから渡された注射器を自身の机へと手荒に放り投げてこう呟いた。
「来るのなら来てみなさいジャッキー、その時はもう二度と私に反抗できないよう躾してあげるわ」
そう不敵に笑うミリー、その笑みに含まれる狂気だけはどことなくジャッキーに似ている気がした。
- Re: スキルワールド ( No.144 )
- 日時: 2019/10/06 22:07
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「あーもー、スキルさえ使えれば友間たちに加勢できるのに!」
「無茶言うなジャッキー、それに俺だって燃料切れでスキルが使えねぇんだし....」
草木の間に身を隠しているジャッキーと京八、ジャッキー自身スキルを制限されているだけで使えない訳でないのだが気休め程度の力しか出せない状況である。
「悔しいけど、ここは友間たちに任せるしかないわね」
「あぁ、俺もそれには賛成だ」
爆発による小石などの流れ弾を避けつつそう呟いた京八、何か食べられそうなものはないかと思い周りを見渡してみるがそう簡単にあるわけもない。
「畜生、やっぱストラングで使い切るんじゃなかったぜ」
「あんたが私の話を聞かないからでしょ!」
「ならあの時どうすれば良かったんだよ!」
「私だって分からな・・・・・・」
突然目の前で爆発が起こり二人は爆風と共に巻き込まれていくが、その直後間一髪でジャッキーを抱えた京八が飛び出してきて整備されていない地面に転がり込んでいく。
「き、京八!?、大丈夫っ!?」
「ヤベ.......背中、焼かれてちまったらしい」
その言葉通り京八の背は黒く変色し皮膚は所々ただれていた。一瞬、怯む様子を見せたジャッキーだったが、次の瞬間には表情は怒りで満たされ躊躇うことなくスキルを発動する。
その瞬間、いつもより薄赤いオーラがジャッキーの周りから噴き出すと敵めがけて飛び出していく。
「おい北朝、もう一人加勢が来たらしいぜ」
「神からの恵みを与えてやろう!」
北朝から放たれた火の玉は向かってくるジャッキーの顔を捉えていたが、当たる直前に回避されてしまいジャッキーの進撃は止まらない。
「ヤァアアアーーーッ!!」
ジャッキーが狙いをつけたのは北朝である。顔面を殴ろうと拳を固く握り締めた一瞬、オーラがいつものような濃い赤色へと変わりそのままの勢いで北朝を遠くへ殴り飛ばしたのであった。
(今一瞬だけ力が戻ったわね....、だけど急に疲れが・・・・・)
力を使い果たした様子で気絶し地面に倒れ込んでしまうジャッキー、するとそれを好機と捉え見逃さまいと田中という男は拳を振りかぶる。
「やめろォー!!」
そんな声と共に真横から友間のタックルが炸裂し、あまりの衝撃と炎の熱によって相手は呻き声を漏らしつつ森の奥へと吹き飛ばされていく。
すると森の風景が一変し、そよ風の吹く野原へと姿を変える。そしてその少し向こうには屋敷らしき建物が見えてきてその場にいる全員は安堵の溜め息を漏らす。
「まだ....だ..、神の名の下に爆発でお前らを粛正....する..」
その場にいた全員の視線は野原に倒れ込む北朝へと注がれる。そして北朝はポケットから何かを取りだしそれを首へと突き立てる。
「「「「トリガーッ!?」」」」
「ウハハハハッ!! 神よッ!、見ていて下さい私による最高の爆発をッ!!」
全員が頬から冷や汗を垂らすなか、北朝の体は特大の風船のように段々と膨れ上がっていく。
- Re: スキルワールド ( No.145 )
- 日時: 2019/10/07 22:46
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
友間たちは今、走っていた。遠くに見える屋敷へと背後から迫りくるであろう脅威から少しでも逃れようとしていた。
「おい黒奈!、絶対“アレ”はヤバそうだよな」
そう言ったのは京八、背中の大部分を焼かれてしまい友間に背負われているという状況。すると友間はそのまま走りつつ一瞬だけ後ろを振り返りこう呟いた。
「多分、このままだと爆発に巻き込まれるかも....」
「それには同感だな。それにこっちには負傷者1名に気絶してる奴1名だ、このまま皆仲良く灰になるのだけはゴメンだぜ?」
ジャッキーは未だ気絶しており土神が背負っている。それに背後では膨張し続ける北朝の体が象数頭は飲み込めそうな程に膨れ上がり、今にも爆発しそうな雰囲気である。
「なぁ黒奈、何か助かりそうな手段とかねぇか?」
「有るには有るけど.....、モノは試しかな。シエルはどう思う?」
「えっ、それを僕に聞くの? まぁ僕は友間に賭けてみるよ」
「ありがとシエル....。土神さん!、肉の壁なんかって張れたりしますか?」
「出来はするけど、まだ耐火性が低いから気休め程度だけど良いかな?」
「爆風を防げるだけで十分です。あとは俺が何とか対処します!」
「OK、そういう事なら・・・・・」
土神は急いでいた足取りを止めて立ち止まると、踵を返して自身のスキルで徐々に肉の壁を形成していく。
「衝撃には耐えられる筈だけど、熱風については君に一任させてもらうよ」
「性質『炎』ッ!、あとは相手の爆発の威力次第です」
遠くでは要領の限界が近いのか体の膨張が収まり嫌な予感だけが空中を漂っている。
そして、その時は訪れた・・・・・・。
耳が張り裂けるかと思えるような爆発音のあと、野原が見上げる程の炎と風圧により飲み込まれていく。
「これはちょっと予想外かな....」
友間はそう言いつつ地面を強く蹴って飛び出しいく。一瞬風圧で飛ばされそのまま炎の中へと飲み込まれてしまった。
「君を信じるよ、友間くん」
付近の気温はどんどん上昇していき土神自身もそれを感じずにはいられなかった。するとどうだろう、土神の構えた壁に炎が衝突する一歩手前で炎が何か逆らえない程の引力に引き寄せられていくかのように小さくなっていく。
だが風圧は勢いを衰退させることなく肉の壁と激突し、その間で巨大な摩擦音を響かせた。壁の内側にいた者達は壁に体を寄り添わせるかたちで風圧から我が身を守ることしか出来ないでいる。
「壁がかなり悲鳴を挙げているよ、もう少しだけ耐えられるのなら奇跡だよ!」
土神は壁と風圧が力比べをしているなか壁の補強と修復を幾度となく繰り返していた。そのせいで体力的にも限界が近づいている状況であり、額からは留まることを知らない大量の油汗が垂れ流れていく。
「ようやく、・・・・・・・止まった....」
あんなにも強烈であった風圧は止み、土神の頬を優しいそよ風が通り過ぎていく。それと同時に力尽きた様子で倒れ込むとそのまま意識を手放してしまった。
するとここでシエル、ある事を呟いた。
「ストラングからの脱出に次いで兵器並の大爆発。これら以上の何かが起こるのなら神様はかなりの物好きだな.....まぁ、いればの話だけど」
そう呟いたシエルであるが、先程の体験を受けて足が言うことを聞かなくなっていた。それにこれ以上の何かを神様が用意しているのであれば、その時は地球規模の“何か”であろう。
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