ダーク・ファンタジー小説
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- スキルワールド
- 日時: 2019/02/24 17:59
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1029
どうも、マシュ&マロです
この小説は『スキル』と呼ばれる能力を持つ者が存在する世界を題材にしたファンタジー作品です。
{自分の文才はかなり低いですが、諦めずに書こうと思っています}
※注意書き※
・オリキャラの募集はリクエスト掲示板でやっています。
・小説への意見や指摘は、リクエスト掲示板にあるスレットへお願いします
・作者は投稿が遅かったりしますので、ご了承下さい
・スキルワールドの説明などはリクエスト掲示板にありますので興味のある方はお読み下さい
それでは小説スタートッ!!
第一幕『黒奈友間という少年』
>>64
第二幕『一人の裏切り者』
(前半)>>102
- Re: スキルワールド ( No.95 )
- 日時: 2019/01/14 00:41
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
・・・・・・・・・・・・・・・。
「えーと、・・・・・・・・あれ...?」
堂々とスキルを宣言したは良いが、体が燃え上がるどころか体からは少しの煙すら出ていなかった。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
フリストと友間には短いながらも少しの沈黙が立ち込めた。すると沈黙に耐えられなくなったのか友間から口を開いた。
「えーと......それじゃあ『鉄』の性質で戦いますね」
「まあ、僕は構わないよ友間くん」
「それはどうも、では」
先程までの熱気は何処へやら、鉄のまま変わらずの体を見下ろし軽く苦笑いを浮かべてフリストと対峙した。
「ふー・・・・・・っと、...よしっ!」
そう間を置いて友間は前方へと駆け出した。フリストは右手に持っているカメラを構えようとしているが反応速度に関しては友間の方が一歩上手だったようだ。
「はい、チーズ!」
「ッ!!、消えたっ....!」
「ここだよ、友間くん」
フリストの拳は思わぬ場所から飛んできた。いつの間にか取られていたらしい懐からフリストが煙のように現れると予想外というべき拳速からのアッパーカットが顎に炸裂した。
「うっ....何、これ」
鉄だからまだ耐えられたが生身で喰らっていると頭蓋骨は確実に砕かれていただろう。だが、そんなイメージを振り払うように友間は首を振るとフリストに向かって飛び出した。
「さすがに鉄を殴ると痛いものだね。だが君が最初に始めたのだから責任は後で取ってもらうよ」
「そうですか!、それは楽しみですね!」
友間の拳は空を切るように空振りしたがフリストの拳は止むことなく友間の体を殴りつけきたが、一発一発の威力は手加減の欠片すら無かった。
「僕はねぇ、中々怒らない方なんだけど何だかニコラの事を考えてると腹の底から怒りが込み上げてきたしょうがないよ!」
「それはこっちもだ!、お前を見てると嫌な思い出が蘇ってきそうになる!」
「そういう思い出話は酒のつまみの時にでも取っておいてくれ!」
「うわ!、ちょっ・・・・・・」
フリストは信じられない程の力で友間を投げ飛ばし、友間はそれに驚くことしか出来ずに屋敷の壁に叩きつけられた。
「僕のスキルはカメラで撮ったモノの時間を自在に操作できるんだ。自分の体にある神経の伝達時間を速めればこんな事は造作もないよ」
「いたたた......やっぱりこの状態じゃ思う存分には戦えないかな」
独り言を呟くように立ち上がった友間だったが、そこに誰かの声が頭に響いてきた。
(「なら、俺が手伝ってやろうか?」)
「へっ?、今のって・・・・・」
有無を言わせず体が何かに貫かれたような感覚に陥り、そこで力尽きたように意識は遠のいてしまった。
「おっと友間くん、大丈夫かい?」
「・・・・・・・・。」
直立したまま頭の垂れている友間のその様子を見てさすがに心配したのか声を掛けるフリスト、しかし友間からの返事はなくただ立っているだけだった。
「・・・・・・・・・。」
「おーい本当に大丈夫かい?、少し休んだりするかい友間くん?」
「・・・・・・・・、倒す。」
「えっ?、今なんて言っ・・・・・・。」
ーーバキッ!!
不意にフリストの顔を友間の拳が直撃し殴りつけた。少しよろめいたが何とか態勢を保って顔を上げてみるが今度は膝蹴りが飛んできて続けざまに次々と殴りつけてくる。
「・・・・・・・・・・・・・。」
ーーダン!、ガン! ガン!!
表情なくフリストを殴るその様は冷徹とも冷酷とも呼べるような様子であった。だがここはフリストも負けてはいなかった。
「悪いけど、ごめんね!」
フリストの高速の蹴りが三発、頭・胸・腹を貫くように叩き込まれた。これには少しばかり後退したが決定打とまでは行かなかったようだ。
「感情を捨てたのなら直ぐにでも拾い戻すことをオススメするよ。感情を失った時が芸術家にとって死に等しいものだからね。」
感情を捨てた。確かに今の友間にはその言葉が“近い”かもしれない、ただ少し違ってもいた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ここは友間の精神世界、辺り一面が真っ暗な世界で呆然とした様子で立っている友間の姿があった。
「また急に戻って来ちゃったけど、エンは元気にしてるのかな〜?」
どうして自身の精神世界なのに毎回の如く勝手に連れて来られるのか疑問に思いつつも友間は辺りを見回してみる。しかし今回はこの場にエンの姿はなかった。
「んー・・・・・今回、俺を呼んだのはエンじゃないって事なのかな?」
少し不信に思ったが思い返してみると自分の戻りたい時に元の世界に戻れた事はなく、毎回エンから時間が来たと告げられて目が覚めてばかりだった。
「いやいや、自分の世界なのに主導権が全く無いなんて悲しいな」
(「それには俺も同情するよ、情けない主人にこき使われるエンの辛さもな」)
「ちょっと!、それは本人の前で失礼じゃないですか?」
ムッとした表情で声のした方向へ振り向いた友間だったが、今更ながらエン以外の人物の声を聞いたのはこの世界では初めてだった。
「でっ、あなたは誰ですか?」
(「すぐに気づいてもらえると思ったんだがな〜。......まぁ当然と言っちゃあ当然か、こんな主人じゃな」)
呆れた様なアクションを取ってみせる相手は全身の色が変だった。それとよく見てみると鉄のような冷たい肌をしている様に見えた。
「もしかして......鉄の性質、かな?」
(「たく、ようやくかよ。.....まぁしかし消えてもらう奴には今更不要だったな。」)
「消え、・・・・えっ! ままま待ってよ!、あなたに消される筋合いは無いはずだよ!?」
(「ハァ〜、お前は馬鹿なのか?」)
本心なのか冗談なのか、友間的には前述のような気がするが理由も分からないまま相手の事を決めつけるのは失礼だと思いこんな事を聞いてみた。
「あ、あのさ....エンを見なかった?」
(「んっ?、あー・・・・・・殺した。」)
そう声が聞こえた瞬間、友間の心には驚愕と怒りの二つだけがハッキリと形を成していた。
- Re: スキルワールド ( No.96 )
- 日時: 2019/01/19 16:09
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「お前ェッ!!」
頭に血が上るとは聞いた事があるのだが、それは本当だったようで目の前にいる相手に荒々しくも冷静な足取りで近寄って行った。
(「ぷっ......はははははッ!!、その顔もまた予想通りな反応だぜ!」)
「あ“っ?、何処をまず壊されたいですか?」
目が完全に平常とは言えない友間は口調が少し荒くなりながら相手へと聞いた、だがまだ相手は笑っているばかりだった。
「よし.....じゃあ両脚から...。」
生身のまま前へと飛び出して行った友間、その様子はまさに獅子奮迅と呼べる風貌であり最早もう人間は辞めてそうだった。
(「いいぜ、俺は“鉄”だ。生身のお前じゃ俺に傷一つ・・・・・・」)
「あ”ッ!あ”ッ!あ”ッ!あ”ッ!あ”ッ!あ”ッ!あ”ッ!」
ーーバギッ!!
(「へっ?・・・・・・ぎゃあぁぁああぁあッ!!」)
悲鳴を挙げたのは蹴りを放った友間ではなく鉄である筈の相手自身であった。耳をつんざくような悲鳴を挙げながら頭の中は混乱していた。
(「嘘だろ!、ただの人間だよなコイツは!?」)
よく見てみると友間の片足は折れていた、それも奇妙な形に折れ曲がっており立つ事はできなくなっていた。
(「やっぱり体は人間か、だが俺の方も足を一本持ってかれちまってるな・・・・・。」)
冷静に状況分析をしていた所だったが友間が片足だけで立ち上がろうとしいたのを見ると思わず溜め息を吐いていた。
(「チッ!、あの様子だと何処まで落ちて行こうと俺を殺すつもりだろうな」)
「殺す.....殺す....。」
(「ったく、サッサッと主人の精神でも殺して体の主導権を奪っとけば良かったな。まさか化け物を相手にする羽目になるなんてな」)
だが次の瞬間、頭に激しい痛みを感じて舌打ちをする。そろそろ外の世界の方は時間が迫ってきているようだった。
(「よし!、これは一旦退くしかねぇな」)
そう言って頭を掻いたかと思うと飛びかかってきた友間を尻目に捨て台詞を吐き残すとこの空間から忽然と姿を消したのであった。
(「精々生きてろよ、また会う時まではな」)
- Re: スキルワールド ( No.97 )
- 日時: 2019/03/30 12:36
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
ーーバタッ!
「痛ーててて....鼻が.....」
友間は鼻を押さえながら突如現れた床から立ち上がる、すると先程まで居た精神世界から皆のいる現実世界に戻って来ていた。
「あー・・・・・、何してたんだっけ?」
「大丈夫かい、友間くん?」
「どうもご親切に、でも大丈夫ですから・・・・・・・。」
下げていた顔を上げるとそこにはフリストがおり友間は全てを思い出して弾かれたように身構えた。
「ちょっと落ち着いてくれないかい友間くん?、まだ動かない方が・・・・・・」
「ニコラを返して下さ・・・・・!」
不意に力が抜けたようにガクリと転倒しかけた友間、鼻に手を当てると少し前にぶつけたせいなのか血が指を沿って垂れていった。それと今気づいたのだが、いつの間にかスキルが解除されており生身の状態となっていた。
(急に頭が重くなってきたな。そろそろ体の限界が近いのかな?)
「本当に大丈夫なのかい友間くん?、体調が優れないなら部屋はボロボロだけど何処かで休んだ方が......。」
「いえいえ大丈夫です。それとニコラを助ける前に死ぬ覚悟ぐらいは準備済みですから」
「よーし、そこまで君が本気なら僕も相応しい対応を取らないと君に失礼かもしれないね」
フリストは何か意味ありげに友間へと微笑みを向けると間を置かずにパチンと指を鳴らす。すると何処からともなく地響きとも言える音や振動が周囲を騒然とさせ友間は思わず美琴と伊月の安否を確かめていた。
(伊月はまだ時間が停止したままだし、それに美琴さんは即座に遠くへは移動できない)
「友間くん、君には僕の本気を受け止めて欲しい。最後には芸術的な散り方を要求させてもらうよ」
「それは遠慮させて頂きます。それにシロっていう許嫁がいるので死ぬのは全てを終わらせた後にお願いしたいですね」
軽く冗談を交えてみせた友間はそんな事を言ってスキルを発動させてみるが相変わらず鉄の性質にしか変化しなかった。すると友間の真横にあった壁を何かが突き破って強引に友間を凪ぎ払った。
「ゲホ! ゲホ! ゲホ!、美琴さんや伊月は大丈夫かな?」
「わ、私なら平気よ。それと伊月も大丈夫ですので構わずにいて下さい!」
「分かりました!、なら全身全霊でぶつかって行きますので気を下さいね!」
そう言って前方を見ると友間は少し吐き気を催してしまった。なんと目の前には巨大な右腕が伸びていたのだが細部まで見ると何百....いや何千という女性の右腕が全体を形造っていたのだ。
「どうかな?、僕の傑作の中の一つを見ての御感想は?」
「ハッキリと言って悪趣味ですね。それにこの臭いは・・・・・・。」
「香しい匂いだねぇ、それにこの腕の一本一本の血の気の無さがまた堪らないチャームポイントだね」
友間の心境的には目の前の相手への不快感が強かった。そしてフリストに傑作と呼ばれていた“異形のモノ”は恐怖の造形物という名が相応しそうだった。
「うぷっ!.....、それじゃあ気を取り直して芸術にでも触れてみましょうかね」
と、言って友間はジョークを飛ばしてみせるとフリストの制作してしまった不気味な化け物へと意を決して突っ込んで行ったのだった。
- Re: スキルワールド ( No.98 )
- 日時: 2019/03/30 12:38
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
ーードゴォォオン!!
「ダメか・・・・・・。」
化け物を力試しに殴ってみたは良いのだが全く効いてる様子がないので友間は一旦後ろへと後退する。ゆらゆらと何もない空へと伸びる死体の腕の波は友間を掴もうとしてくるが、そう簡単に掴まる気は更々なかった。
「んー・・・鉄でも使えるのかなぁ、“アレ”?」
友間は少し迷いつつ腰を屈めると右腕に意識を集中させてみた。すると炎の時のように力が蓄積していく感覚が伝ってきて少し安堵すると共に目の前に見える化け物を真っ直ぐに見据えた。
(これって、鉄の場合だと......どうなるんだろう?)
躊躇いはあったが相手が人間でないなら出し惜しみをしていると足を掬われてしまう場合もある。ならここは当たって砕けろという古人の言葉に従うまでだ。
「スゥー・・・・・・。ハァ〜〜〜.....」
・・・・・・・・・・・・・・・・。
ーードンッ!
狙うは一撃必殺のみ....、もし達成できなかったら今度は両腕で叩き込むまで.......腕が残ってたらの場合だが.....。
ーードゴンッ!!
化け物に拳を当てる瞬間、周りがゆっくりになった気がし頭の回転が急加速した。そして拳がメリ込んだと同時に拳から何十もの支柱が突き出してきて化け物を体内から串刺しにした。
「・・・・・・残酷な事しちゃったな」
何かを悟ったような感じでそう言っていたのは良いのだが、ここで一つ問題が生じていた事に気づいた。
「あ、あれ.....腕が抜けない・・・・・・。」
「友間くん、それは計算内かい? それとも予想外なのかい?」
「それじゃあ、後述という事で・・・・・。」
どうしようもない状況の友間に更なる追い討ちを掛けるような出来事が起こった。
「あ、あの床が揺れてませんか?」
「それは友間くん、この芸術の真価が現れるからさ!」
何を言ってるかは分からないが状況的には危険という他なかった。すると床が軋むような音を立てて崩れていくが友間は落ちる事なく上へと昇っていく、その理由は床を破壊した張本人の右腕に乗っているからだった。
「へっ・・・・・・・。化け物は何処まで行っても化け物だとは言いますけど、それを実現させてどうするつもりですか?」
「芸術とは、何かを極め続ける事で形を成していくものだ。それを理解してくれるかい、友間くん?」
「それは無理そうなので、こっちは自分の考えを通し続けて貴方の全てでも砕いてみせますよ!」
そう叫んだ友間は化け物の顔を見て吐きそうになりつつも気合いの一斉を挙げて化け物の腕を殴りつけてみた。しかし反応という反応はなく化け物がこちらを見下ろしてきた。
「ブゥォォォオオオオオーーーッ!!」
「うあっ!、見た目以上に恐ろしい声を挙げますね!」
「さあ!、僕の芸術を全面に受けてくれ!!」
フリストのそんな声が聞こえたかと思うと化け物の予想外な速度で振り落とさせた拳が目の前へ迫ってきたと同時に友間には計り知れない程の衝撃が襲ってきて友間の体を吹き飛ばした。
ーーガッシャァァァアアアアン!!
「ゲッホ! ゲホ! ゲホ!。死ぬ....かと、思った......。」
「大丈夫ですか!、友間さん!?」
「大丈夫ですよ美琴さん、俺って思ったより頑丈なので・・・・・・。」
無茶を言ってるのは承知だ、だけど嘘の一つや二つぐらいを言える余裕はまだある。そう思いたったかは隅に置いて、友間は心の中で“ある人物”を呼んでいた。
(エン.....まだ死んでいないなら力を貸してくれ!、一瞬だって良い.....ほんの少しだけ力を貸してくれ!)
「それじゃあ友間くん、芸術の材料としては惜しい人材だったけど永久にサヨウナラ」
そんな事をフリストに言われた瞬間、周囲の風景がやけにゆっくりとして見えた。そして友間の体を段々と巨大な影が覆い尽くしてくるが、その正体はフリストが造ってしまった化け物であった。
(良い事ありますように......。)
そう心の中で呟くと友間は隣にいた美琴さんの車椅子を押し退けると何かを諦めたように目を瞑り溜め息を吐いた、そして周囲の時間は元に戻った。
ーードッゴォォォオオオンンンンッ!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あ、あれ? まだ生きてるのかな?」
目を閉じていると冷たい風が頬を擦って過ぎ去っていくのを感じた。それと同時に誰かに抱えられているという感覚もあった。そこで目を閉じたまま相手へと質問を問いかけてみる事にした。
「あのー・・・・失礼ですが、どちら様で?」
「酷いな“黒奈”、ちゃんと両目を開けて見てみろよ」
「へっ?.....、もしかして京八ッ!?」
「よっ黒奈!、それと覚悟しな芸術かぶり野郎っ!」
- Re: スキルワールド ( No.99 )
- 日時: 2019/03/30 12:50
- 名前: マシュ&マロ (ID: R9GAA8IU)
「覚悟しな!、芸術かぶり野郎っ!」
「それは心外の一言に尽きるねぇ......。まあ相手が二人になろうが三人になろうが支障はないけどね」
苦笑いをしてみせるフリスト。それと同時にスキルを発動して身構える京八と友間、そんな二人の様子を見たフリストは肩を落として二人へと近寄っていく。
「おいおいフリストさんよー、俺と黒奈の友情コンボを嘗めてると痛い目を見るぜ」
「別に嘗めてはいないさ、ただの予備動作だよ」
そう言ったかと思うと急な加速で前へ飛び出して行ったフリスト、友間と京八はそれぞれ左右に散ると着地と共に軸足を捻ってフリストに向けて蹴りを放った。
「おっと危ない!、確かに二人のコンビネーションという点では一種の武器になっているね」
「おう!、俺と黒奈ならできて当然だぜっ!」
「だけど、一人さえ潰せばコンビネーションも何もないよね?」
フリストはそう言って自身の背後にいる化け物へと合図を送る、化け物はそれに応えたように友間へと的を絞って巨体による一撃を繰り出した。
友間はそれを当たる瀬戸際で回避すると返答の代わり化け物に一発蹴りを浴びせた、化け物は特に大きなリアクションもなく友間の体を掴むと床に大振りで放り投げた。
「大丈夫かよ友間っ!?」
「だ、大丈夫......これからだよ、これから」
「これ以上、立ってもらうと僕の屋敷が崩れちゃうから遠慮願いたいかな」
「もう壊れるところまで壊れてるんだから良いんじゃねえか?、それに解体費用かからねぇぞ?」
「京八くん、その場合はストラング宛てに請求書を送ってあげますよ」
「は、はは......ホントに届いた場合は恐いかもな、それ」
「ふふふ、本当に届くかもしれませんよ?」
フリストと京八のそんな会話を横目にしていた友間は溜め息を交えながら化け物へと飛びかかって行く、一方の化け物は向かってくる友間を見下して両腕を振り落とす。
それを間一髪で避けてみせると渾身の蹴りを化け物に喰らわせてから再度また態勢を立て直して肘打ちを打ち込んだ。
「全然効いてなさそうだ、というか全く倒せる気がしないな」
「ブゥォォォオオオオーーーッ!!」
「耳が千切れそうだっ!」
「おっ!、一人で良い所を持ってかせはしねぇぜ!」
京八の電気が化け物へと放出され少しだけ後ろへと吹き飛ばした。焼けた臭いと共に焦げ残った肌が現れる、すると化け物は怒ったかの様に叫び声を挙げる。
「おっと、第2ラウンドの始まりみたいだぜ黒奈」
「それは少し遠慮したいかなぁ・・・・・・。」
そう苦笑気味に言った友間は深呼吸を一回すると気合いを入れ直したように化け物を睨みつけた。
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