二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- レッドレイヴン —からっぽの人形—
- 日時: 2012/05/11 17:40
- 名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
- 参照: http://www,kuroneko.cc/novel
小説、書きまーす。
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- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.169 )
- 日時: 2012/05/19 21:19
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
「…何やってんだ」
バジルは汚いものを見たかのように、顔をしかめた。
「ひっど〜い。でも、許してあげる」
ビアスはくすくすと笑いながら、体を起こした。服が血で汚れたが気にしない。
「人形はやっぱり、強かったよ」
先ほどの戦いを思い出し、ビアスは身を震わせた。
腕を固定されたレイはの判断は迅速だった。右肩を、自ら外したのだ。おかげで、体勢を崩した。
すごいとしか言いようがない。
ビアスはふと、まだ息があるものを見た。致命傷は避けていたが、長くはないだろう。
その人の首に右手を置く。
徐々に、肌の色がおかしくなり、そして−腐敗した。
「さぁ、行こうか。バジル」
ビアスは、仕留め損ねた悔しさを、ようやく顔ににじませた。
その襟は少し裂かれていた。鎖骨には—何も書かれてなかった。傷1つない。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.170 )
- 日時: 2012/05/20 09:30
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
レイはリューの傷を見た。
(…傷は浅い。だが血の量が多いな)
あの少女—ビアスの力は不明な点が多い。こっそりノアの視界を通して、あの後のことを見ていたが、見知らぬ少年が来てからビアスは動き始めた。そして、人の首を腐敗させた。
2つの力。一瞬自分たちと同じ特異体質者かと思ったが、そういうわけでもなさそうだ。リバースナンバーでもない。
「レイ、リュー大丈夫かな?」
引き返してきたノアが、つぶやく。
レイは今更自分が震えていたことに気付いた。
(…ボクにこれを、リューを助けられるのか?)
自分の不注意からこうなったのだ。死んだらどうしようという気持ちがある。リューのことは嫌いだったが、死んでほしいとは思わない。
レイは震えを押さえた手で、応急処置を行った。
不安を隠しながら。
「アンディ、ウォルター、ガラクタ!!」
ノアの声が前方から聞こえた。探し回っていたアンディとウォルターが足を止める。
しばらく走ると、サイズの合わない黒いTシャツ姿のレイがリューを背負って歩いているのを見つけた。背負うと言っても、背中に乗せているようなだけだが。
「お…前、覚え…てろよ。あー、イテェ。もっと…ましな、治療はできなかったのかよ}
「…背負って、もらっている上に人のコートを借りている…身分のくせに」
「コートは、お前のせいだろうが!」
「…怒鳴る元気が…あるなら落としていいか?」
リューは痛そうに、レイは重そうに、途切れ途切れの言い争いをした。
「大丈夫か!」
「…〈葬儀屋〉それよりも、これを…持ってくれ。お、もい」
レイは今にも倒れそうなくらいフラフラと、2人のところに歩いてきた。
ウォルターがレイの背中からリューを降ろす。
「これ、火傷か?」
リューはレイのコートを着ていた。前は閉められておらず、その下のスーツは前を切られていることがわかる。そのぼろぼろの布の間から、リューの腹部が見えた。
健康そうな小麦色の肌は脇腹のところだけ、赤くやけどを負っていた。
「レイが、止血の為に熱した短刀を押し付けたの」
「この野郎…これ、絶対に痕残るだろうが。どうすんだよ」
レイは無視すると、壁に寄り掛かった。その足からは黒い血が流れている。
「レイ、足から血が流れてる」
アンディが言うと、レイは右肩を強く押してから袖を破いた。黒い布きれになったそれを足に巻く。かなり簡素な応急処置だ。
「先に駅に行っとけ。俺はこいつを届けてから、行く」
ウォルターはリューのわきに手を入れると、引きずるように運ぶ。
「…待ちたまえ」
レイはリューのところに行くと、片手を握った。そして…何を思ったのか、その手に唇を落とした。
リューの頬が赤くなるのを見て、アンディは面白くなかった。
レイは手を放すと、
「…怪我は早く治してくださいね………………お嬢様」
とたん、リューの顔が青ざめた。
「おい、こら待て。てめぇ、ふざけてんじゃねぇぞ!!俺が一体どんな気持ちだったか」
「連れて行っていいぞ」
レイはアンディの腕を掴むと、歩き出した。
(面白がっている…?)
アンディはレイの目を見た。その眼はからかいを含んでいるように、見えなくもない。
「ククク、リュー可哀想」
ノアは笑いながら、何故かシャルルを連れてウォルターを追った。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.171 )
- 日時: 2012/05/20 10:10
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
無事駅に着いたアンディはレイに訊く。
「さっきのお嬢様って何」
「…昔、ボクの力を借りたリューはリリーの頼みによって女装したんだ。それをからかいのネタにしてみた」
レイはベンチに座った。アンディもその隣に座る。
「誰にやられたのさ?」
「…ビアスと言う少女。2つの力を使っていた。1つはボクの力、もう1つは…劣化、いや腐敗の力だ」
「腐敗…バジルと同じ力だ」
レイはアンディのほうを向いた。
「…バジルとはもしかして、白いスーツを着たやつか?」
「あったの?」
レイは答えず、何か考えるように目を動かす。しかし−
「…コート貸してくれないか?」
「なんで」
「…いいから早く」
アンディは仕方なく、コートを貸してやった。
レイはそれを着ると、眠そうに眼をこする。
「寝てもいいよ。僕が起きておくから」
アンディの言葉にレイは少し驚いた顔をした。そして迷うようなそぶりをする。
だが、睡魔には勝てなかったのだろう。目をつぶって—
「え?」
アンディは困惑の声を上げた。レイが肩に頭を押し付けてきたからだ。おまけに、袖まで掴まれている。
動きたいが、レイはもう寝ている。動けば起きる、そう思ったアンディは諦めておとなしくしておいた。
ここで、レイが縮こまって寝ていたことを思い出した。それを考えると、こんなところで寝るなんてレイにとってはとんでもないことだっただろう。
(信用…してもらえてるのかな)
それだったら、嬉しいような気がしないわけでもない。
その数分後、ノアにからかわれたのは言うまでもない。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.172 )
- 日時: 2012/05/20 12:28
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
「ヘーゲルは負けて、ビアスとは引き分け…」
「引き分けって、あっちが逃げたんだから勝ったも同然でしょ。キラ」
キラはあでやかに笑って、首を横に振った。
「レイはヘーゲルと戦って、無傷だったわ。あなたは服を破られたじゃない」
「細か〜い」
ビアスは口をとがらせた。
そんなビアスをキラはため息をついた。
「次は、ヘーゲルのリベンジってところかしら?がんばってもらわないと」
わずかに波打つ黒髪を掻き上げると、キラは赤い唇をそっと撫でた。
「楽しみだわ」
「怖ーい。自分の人形がどうなってもいいの?」
「負けたら、それまでだったってことよ。さてと、私はあの人に頼んでこようかしら。今度こそ、完璧な人形にしてみせるわ」
妖艶に笑う毒花に、ビアスは怖くなった。
- Re: レッドレイヴン —からっぽの人形— ( No.173 )
- 日時: 2012/05/20 12:38
- 名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)
アンディとウォルターはカルロの前に立っていた。
次の仕事の知らせだが…。
「…………レイはまだ来ないのか」
「向かいに行ったモニカも来ないぞ」
カルロの机の上にいたシャルルは、心配になってきた。
(何かやられてないといいけどな)
レイなら女でも叩きそうだ。
カチャ—扉が開いて、ノアが入ってきた。
「カルロ、モニカっていい人だね」
「突然、どうしたんだ」
ノアが答える前に、何か暴れる音が聞こえた。
「…は、放せ!」
「いい加減にしてください!ほら、入って」
モニカは部屋に入ってきたが、レイは壁に手でもついているのか、入らないように抵抗している。
「何やってるんだ、モニカ秘書官?」
「たいしたことじゃありません」
「な…っ、ボクは着替えたいだけだ。放せ!」
「大丈夫ですよ。よく似合ってますから」
どうやら、服装のことで言い合っているようだ。
呆れた男性軍に、ノアは吹き出してしまった。
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