二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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レッドレイヴン  —からっぽの人形—
日時: 2012/05/11 17:40
名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
参照: http://www,kuroneko.cc/novel

 小説、書きまーす。
 

  

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Re: レッドレイヴン ( No.63 )
日時: 2012/03/23 13:40
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 『私が欲しいのは、力と私の言うことを聞く人形なの』

 逃げたくても体が動かない私に母は、笑いかける。




                    『だから、あなたはいらない』




 治りかけている左肩が熱く感じた。また、拒絶されたんだ。




 『あなたなんて』





 ボーっと立ち尽くしている私に母は、銃口を私の頭に向けた。





                         『生まれてこなければよかった』









 引き金が、ためらいもなく、引かれた

Re: レッドレイヴン ( No.64 )
日時: 2012/03/27 10:00
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 笑い声で、ライアーは夢うつつから目が覚めた。
 見慣れない部屋に一瞬思考が止まるが、すぐにここがレッドレイヴンの本部だということを思い出し、体から力を抜く。
 起き上がったライアーは、立てた膝に頭を押し付けた。
 あれは、幼い時の記憶だ。それを夢で見たのだ。
 まだ本名を名乗っていた頃。そして絶望を知った時でもあった。
 目をつぶると、思い出す。
 


 あの時の銃声を。
 絶望の色彩を振りまく液体を。
 冷たい床の感触を。
 そして。
 ささやかれた言葉を。
 忘れられない。


 (もう、殺されたくない)
 そのためならば、政府に力を貸してもいい。
 ライアーは、左肩に手を置いた。

Re: レッドレイヴン ( No.65 )
日時: 2012/03/27 11:19
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 「まったく、カルロは何考えってんだよ。あんな怪しい奴をレッドレイヴンにするなんて」
 「レッドレイヴンじゃなくて、補佐だって聞いたけど。あと、自分の部屋に戻ってくれない?」
 アンディは自分のベッドで横になるウォルターに冷たく言った。
 「…まぁ、それはいいとして、さっきから何やてんだ?」
 無視をしたウォルターは、床にしゃがみ込んでケースの中をかきまわしているアンディに聞く。
 「……ウォルターに関係ない」
 そう言ったアンディの手が止まった。ウォルターはこっそり背後に回ると、その手に握られていた物を取った。
 「なっ!」
 「ほー、ずいぶんと綺麗な指輪だな。誰からもらった?」
 黒い半透明の指輪はどう考えても、アンディが自分で買った物でない。
 アンディは取り返そうと立ち上がり手を伸ばした。しかし、悲しいことに身長が足りない。
 「誰だっていいだろ。返せ!」
 珍しく声を張り上げるアンディにウォルターは、
 「女からか?」
 「…ああ、そうだよ。だから早く返せ」
 とたん、ウォルターが目を丸くした。
 「どんな奴だよ。お前と付き合う物好きは?」
 (物好きってなんだよ!!)
 アンディは殴りたくなるのをこらえた。
 「友達からもらった物だ。付き合ってない」
 「なんだ。ほら」
 ウォルターは指輪を返すと、ベッドに腰掛けた。
 「お前にも友達がいるんだな」
 しみじみとつぶやくウォルター。
 「で、どんな奴なんだ?」
 「…優しくて、可愛いかった」
 ウォルターは内心驚いた。そして、肩を震わせた。
 「ウォルター?」
 「クッ…ハハハハハハハハハハハハハ!!」
 爆笑。
 アンディは突然笑い出したウォルターを、奇妙なものを見るような目で見た。
 「ヒー、ケホ」
 せきこみ、涙まで浮かべたウォルターは、アンディの顔を見てまた笑い出した。
 「ククク、いいもの見たかも」
 友達のことを語ったアンディの表情はどこか切なさを含んでいた。あまり感情というものを見せないアンディがそんな顔をするとは思わなかったので、笑ってしまった。
 ウォルターは、“こいつ大丈夫か”という目で見てくるアンディの頭に手を置いた。
 
 

Re: レッドレイヴン ( No.67 )
日時: 2012/03/27 15:26
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 トントン
 アンディはウォルターの手を払い扉を開いた。
 「…?」
 誰もいない。すると、下から可愛らしい子供の声が聞こえた。
 「あのさ、もう少し静かにしてくれない?ライアーが起きるから」
 視線を下に向ると、そこには浅緑の目を持ったノアがいた。
 ノアはそのまま勝手にアンディの部屋に入る。
 「殺風景な部屋。つまんないの」
 「なら、出ていけば?」
 「冷たいね。〈首狩り屋〉さんは。もっとフレンドリーに生きようよ」
 「余計なお世話だよ。それより、ライアーは部屋にいるの?」
 ノアはうなずいた後、可愛らしく首をかしげた。
 「なんでそんなことを聞くのかな」
 「ライアーに聞きたいことがあるから」
 「今、寝てるよ」
 ライアーの部屋に向かおうとするアンディの足をノアは引っ掻いた。地味に痛い。
 「ライアーの部屋に入る気?」
 「…」
 「女性の部屋に勝手に入るなんて、最低な男がやることだよ。それに、ライアーが素直に話すとは限らないし」
 アンディは1つおかしい単語が聞こえた気がして聞き返す。
 「もう一回言ってくれない?」
 「ライアーが素直に言うとは限らない」
 「それより前」
 「…女性の部屋に勝手に入るなんて」
 ウォルターは顔ををひきつらせた。信じられない言葉が聞こえた。
 「女性だと?あの黒ずくめが?」
 ノアはキョトンとした。そして、納得したように
 「うん。正真正銘、女の子だよ。可愛げはないし、奇怪な格好をしているし、女の子とは到底思えないような子だけど」
 「うるさい」
 扉が開き、ライアーが入ってきた。
 

Re: レッドレイヴン ( No.68 )
日時: 2012/03/29 13:56
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 ライアーはノアを抱えた。
 「悪かったな。可愛げのない、奇怪な格好をした女で」
 「自覚があるなら、まともな格好をしたらいいのに」
 ライアーはそれを無視してアンディのほうを向く。
 艶のない黒い髪に、真っ黒なコートのボタンは上半身を隠すように閉められ、これまた黒い半ズボンと黒いロングブーツが見えている。肌が見える個所は一切ない。正直のところ、これだけ見れば、アンディのほうがよっぽど女らしい。
 「で、聞きたいことは何かな?」
 「君は一体どんな力を持っているんだ」
 鋭い声で聴くアンディにライアーは無言を返す。
 「あの取り込んでいるところで悪いんですけど、いいですか?」
 扉の近くにいたモニカがアンディに判定書を渡した。
 「ライアーと一緒にルトニアに向かってください」
 ノアがライアーに聞こえる声でささやく。
 「どうするの?力を教える?]
 ライアーはノアの頭をなでただけで、何も答えなかった。


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