二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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レッドレイヴン  —からっぽの人形—
日時: 2012/05/11 17:40
名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
参照: http://www,kuroneko.cc/novel

 小説、書きまーす。
 

  

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Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.149 )
日時: 2012/05/15 15:29
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 「悪かったな。あとで注意はしておく」
 ウォルターは広場の水飲み場で髪を洗うリューに言う。さすがに、あのまま立ち去るわけにもいかない。
 アンディは少し離れたベンチに座っているレイとノアを見た。
 「べつにいい。…なぁ、あんたらレッドレイヴンだろ」
 「なんでそのことを…」
 「ラウラさんが言ってた。“またカラスが入り込んできている”って機嫌悪そうにしてたからな。スキャッグスでも見つけたのか?あー、やっぱ答えなくていいや」
 リューは水にぬれた髪を掻き上げた。
 「あいつを…どうするつもりだ?」
 アンディはふと、リューがレイのことを心配していることに気付いた。
 「レイは補佐だ。何もしない」
 「そうか…アンディ、まだあいつ怒ってるか?」
 「不機嫌そう」
 アンディはぶっきらぼうに答えた。
 ノアが近づいてきた。
 「そんなんだから、川に落とされるんだよ」
 「あれってこいつのことだったのか」
 シャルルの言葉にリューはノアをにらんだ。しかしノアは素知らぬ顔をする。
 「…もうそろそろ行く。またな、ノア」
 「あれ、レイに告白はないの?」
 リューは苦虫をかみつぶしたような顔をした。
 「これ以上何かされたら、俺の心が折れる」
 「ふーん。…まぁ、最近レイはリリーの死でふさぎ込んでいたからね。少しは元気になったよ」
 リューはレイを見た。そして舌を出して走って行った。

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.150 )
日時: 2012/05/15 20:36
名前: 黒簾香菜 (ID: xJuDA4mk)

 気が付いたらリューという新キャラがっ!?
何だか曰くありげな面白いキャラですね!!

 私は明日更新しようかと思ってます!明日テスト最終日ですがね・・・
畜生!化学とか、英語とか知るかぁぁぁああああ!!
  (結構イライラ中)

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.151 )
日時: 2012/05/16 13:47
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 ノアはため息をついた。
 (どこの悪がきよ、一体)
 好きな子をいじめる子はどこの世界にもいる。そこから察する者もいるが、レイには通じない。むしろいじめた分、倍返しになってやり返されるだけだ。…そもそも、レイがこういうものに疎くなったのは、リューのせいでもある。
 ノアはアンディを見た。この男、自分が不機嫌になっていることに気付いてないのだろうか。鈍い。そして−
 (おもしろいなー)
 恋愛小説が好きなノアはにこにこと笑う。レイの周りには恋愛下手が多くて、見ているこっちは楽しくてしょうがない。
 







 

 レイは左肩を押さえた。
 あの時受けた傷は幼かったレイにとっては、あまりにも深すぎた。神経を傷つけられていたため、再び動くようになったのは1年程前くらいだ。
 本来ならば、もっと早く治っていただろう。しかし、レイは自分の力で左腕を動かしていたので、治りが遅かったのだ。
 時々痛むのは、腕の使い過ぎで治りかけの神経が訴えてきているのだ。また千切れるぞ、と。完全に修復していないものを無理に使えばそうなるのは当たり前の結果だ。
 (…もし、腕が動かなくなったら?)
 その時は…力で動かすしかない。しかし、集中力を必要とする力を、何時間も使うことは不可能だ。いざとなった時に反応ができなくなる。
 つまり腕が使えなくなったレイは—役に立たないのだ。
 (…怖い)
 レイは顔を伏せた。
 
 怖い
 …コワイ
 動かなくなるのが
 …ステラレルコトガ
 
 

 なぜなら—


 
 
 

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.152 )
日時: 2012/05/16 14:45
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 アンディは顔を伏せたレイに気付いた。
 「レイ、どうかしたの」
 レイは顔を上げた。
 一瞬、フードから覗いた目が、大きく揺らぐ。弱々しく、今にも壊れそうに。
 しかし、すぐにどこに焦点を定めているかわからない無機質な瞳に戻る。そして、スッと目を細めた。明らかに不機嫌そうだ。
 (なんで僕をにらむのさ)
 まるで自分の物を盗られたと言わんばかしに、威嚇するレイにアンディは居た堪らない気持ちになった。
 「…何かしたのか?」
 「何もしてないよ」
 ウォルターの問いにアンディは答える。
 シャルルはため息をついた。
 「気付かないうちに気付つけたんじゃないか…心当たりはあるだろう?」
 アンディはうっと答えに詰まる。
 (ないわけじゃ……ないけど)
 ふと、レイは立ち上がるとアンディに近づいた。
 (ち…近い)
 レイはアンディの肩に手を置いた。ウォルターがシャルルの目を隠す。つまり、傍から見れば…そういうことをしようとしているように見えるのだ。これに何も感じない程、アンディの神経は図太くない。
 「…〈首狩り屋〉」
 「な、何」
 「…君、意外と小さいのだな」
 「…………今なんて言った?」
 アンディは言われた意味が分からず…いや、意味は分かるがあまりの言葉に思考がついていけず、訊かなければいいものを訊いてしまった。
 「…君、意外と小さいのだな」
 ご丁寧に同じ言葉を言ってくれたレイ。ノアは耐えきれなくなったようで、声を上げて笑い出す。
 「レ、レイ…ククッ、ア…ンディが可哀想でしょ。クッ、アハハハ」
 「…そうか?」
 アンディは少しだけ傷ついた。一応、気にしていたのだ。
 レイとアンディの差は…拳1つ分しかない。レイが年の割には高く、アンディが男としては少し低いからだ。
 「いつまで遊んでるんだ!仕事しろ!!」
 いつもはうるさいだけのシャルルの怒鳴りに、アンディは感謝した。

Re: レッドレイヴン  —からっぽの人形— ( No.153 )
日時: 2012/05/16 17:10
名前: 黒猫 (ID: 0/Gr9X75)

 「で、どうしてこうなったの?」
 「…さぁね」
 「お前のせいだろうが!!」
 シャルルはレイを怒鳴った。
 あの後、怪しい黒ずくめがいるということで、スキャッグスに警戒していた“漆黒の猟犬”であるリカルドとメーラがきた。しかし−
 「なんでケンカみたいになってんのよ」
 「…ケンカだろ、あれは」
 いつの間にか、ウォルターとリカルドの言い争いになっていた。レイは仕方なく、アンディと一緒に傍観する。
 「リカルド、このカラス、メーラが撃っていい?」
 メーラがライフルを取り出してレイはビクッとする。
 「…撃つのなら消音装置をつけたもので頼みたいのだが」
 「言うことが間違ってるだろ!」
 「…銃を仕舞ってくれ?」
 「なんで疑問形なんだよ!!」
 シャルルはレイの言葉に突っ込む。
 

 数分後、ようやく話が落ち着いた。
 「また新興マフィアに狙われてんのかよ」
 ウォルターは髪を掻き上げた。
 (どうりで、カルロが急いでいたはずだ)
 明確な情報でなかったために伝えなかったのだろう。
 「…そこの駄犬、相手の武器庫は見つけたのかね?」
 「だ…お前」
 リカルドは拳を震わせたが、我慢した。ヒールで頭をかち割られたくなかったからだ。代わりにメーラがライフルを構えたので、止める。
 「なんでそんな事訊くんだ」
 「…むやみに武器庫を置くよりも、計画的に置いた方がいいのは誰でもわかる。つまり、ある程度ならどこにあるかがわかるのだよ」
 「無駄だ。一ヶ所しか見つけてない。あとは部下が探しに行っている」
 レイは何かを考える素振りをした。
 「…あ。駄犬、シシュリューの警護は自己管理になっているのか」
 「当然だろ」
 レイはポケットから包帯を出すと右目を覆った。とたんノアが走り出す。
 「…今回の狙いはあれのほうかもしれない。あれが死ねば大事な商談は失敗だし、新興マフィアにとっては喜ばしい限りだろう。カッチーニを倒すよりも楽だしな。特にあれは町の警護はしっかりするが、自分のこととなれば1人か2人しか部下を使わない」
 レイはそこで口を止めた。
 「どうかしたの」
 「…いや、今ここで死んでもらったらボクの情報源が無くなると思って」
 リカルドは呆れたようにレイを見た。おおかた、“このガキ、最悪だな”とでも考えているのだろう。
 「…駄犬、ボーっとしている暇があるならばボスを守りに行くなりしにしろ。抗戦にならぬよう気を付けるのだな」
 「このクソガキが…。俺に恨みでもあるのか」
 レイは首を横に振った。


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