二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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レッドレイヴン  —からっぽの人形—
日時: 2012/05/11 17:40
名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
参照: http://www,kuroneko.cc/novel

 小説、書きまーす。
 

  

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Re: レッドレイヴン ( No.114 )
日時: 2012/04/09 14:25
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 ライアーは顔を上に向けると。
 「カラス君」
 「カラス君はやめろ」
 「カラス、〈首狩り屋〉さんの右目にスキャッグスの刻印があるのかい?」
 「そうだが…」
 カラス…間違ってはいないが自分にはシャルルという名前がある。不服に思っていると、ライアーはアンディの力について訊いてきた。
 「《狂猛の目》と呼べれていて、銃弾を見切る力だ」
 「…うらやましいね」
 シャルルは怪訝そうに眉をひそめた。ライアーはそれに気付き説明する。
 「見切る力…言い方を変えれば、目で見なければ使えない力だろ?つまり、目さえつぶせば使えない。ボクが〈首狩り屋〉さんだったらつぶしているだろうな」
 冗談で言っているわけでないようだ。
 「お前の力も目をつぶせば使えないんじゃ」
 「半径5mの物が動かせる。見なくても、物は動かせるんだ。それにボクの力はおそらく脳細胞の変化によってのものだ」
 そう言うと、何を思ったのか短刀を出して手袋の上から手を切った。
 「…!?」
 流れ出たのは赤……ではなく、異様なまでに赤黒い血。
 「これが力を得た代償だよ。直接脳を切り開かれたわけではなく、血液を変えられ、脳を変えられたのだ。おかげで、怪我1つ負うこともできなくなった」
 自嘲気味にそうつぶやく。
 血を流すたび、人から気持ち悪いと言われたのだろう。シャルルでさえもぞっとしたのだ。普通の人間なら純粋に恐れるに決まっている。
 

Re: レッドレイヴン ( No.115 )
日時: 2012/04/09 14:58
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 ライアーは短刀を回した。
 「ボクは製作途中のスキャッグスを盗んだ。設計図も破いた」
 「なんでそんなことをしたんだ?」
 「うるさかったから」
 「…ハァ?」
 ライアーは淡々と答える。
 「安眠妨害。ストレスが溜まりに溜まって壊してしまった」
 ろくでもない理由で壊した。さすがに、やりすぎたと思った。
 「殺されるかなと思ったけど、どうでもよくなって…部屋を出たらある少女にあった」
 当時の自分にはあの髪色は珍しかった。あの髪を見て、生まれて初めて目を奪われた。
 「少女は—ネーヴェはボクでさえ怖がっていた。なのに、施設から出ようとするその姿にボクは…尊敬した」
 あそこから出ようとする意志に、その先に何があるかもわからないのに出ようとする意志に、当時の自分はあこがれた。
 「…その子はどうなったんだ」
 「ボクの肩を刺してどこかに行ってしまった」
 シャルルはポカンと口を開くと、ため息をついた。

Re: レッドレイヴン ( No.116 )
日時: 2012/04/14 16:53
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 ライアーは仮面を触る。
 これさえあれば、自分は『ライアー』でいられる。掴みどころのない変わった少女だと思われる。
 


 扉が開く音がした。
 「やっと見つけた!」
 自分には到底出せないような明るい声が聞こえた。
 リリーはライアーの頭に手を置いた。
 「あのさ、久しぶりに会った親友にあんな冷たい言葉を吐いちゃだめだよ。わかった?」
 「…はい」
 なんだかんだ言っても、実際のところリリーには敵わない。どれだけ逃げても彼女はライアーを見つけ出し、捕まえるだろう。
 「少し話がしたいんだけど、時間ある?」
 「ない」
 ライアーの即答にリリーは置いた手に力を入れる。
 「なら、あたしを家まで送っていけ」
 命令口調でそう言われたライアーは、反論をした。
 「なんで君を送らなければならないのだよ」
 「あんたのせいで、すっかり日が暮れたのよ!それとも何?うら若き乙女をこの夜道の中、1人で帰れって言うこと!」
 ライアーはアンディたちに助けを求めるかのごとく、顔を向けた。しかし、
 「送ってやれば」
 「送ってやりなさい」
 「送ってやれ」
 ライアーの味方はどこにもいなかった。

Re: レッドレイヴン ( No.117 )
日時: 2012/04/14 17:26
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 アンディは肩にシャルルを乗せて、前を歩くライアーを見た。
 機関銃のように話しかけるリリーに、ライアーはうなずく。
 「うれしそうだね」
 アンディはシャルルに言った。いつもは感情というものを見せないライアーがどことなくうれしそうに見えた。
 「…そうか?」
 シャルルの目にはそう見えないらしいが…。
 「それはともかく、あとで駅に向かうぞ。ウォルターと合流する」
 「わかった」
 そこで、アンディは気付いた。
 「ライアー、ケースは?」
 「背中にからって…」
 言葉を止めたライアーン背中には何もない。
 (忘れてきたんだ)
 教会の椅子は基本、長椅子だ。あの長いケースを背負ったままでは座りにくく、どこかに置いたのだろう。
 「取ってくる」
 「…ライアーはリリーを送ってきなよ。僕は教会で待っている」
 アンディは踵を返した。
 シャルルの視線に気づき、首をかしげる。
 「何、シャルル?」
 「いや、お前にも気を利かせることができたんだなと思って」
 「うるさい」
 シャルルは目を丸くした。
 (変わったな…)
 ライアーと会って、アンディは何か変わった。人のことを考えるというか、周りのことを見るようになったというか…。
 (悪いことじゃないな)
 

Re: レッドレイヴン ( No.118 )
日時: 2012/04/21 22:44
名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)

 アンディはケースの近くに座った。
 「…ンディ、ア〜ンディ!!」
 ノアがシャルルを蹴り落とし、アンディの肩に乗った。
 「ノア、ライアーをほっとおいていいの?」
 「いいよ。…にしても、ライアーもだめだね。こんな大事なものを忘れるなんて」
 ノアはケースを見る。
 (何が入っているんだろう?)
 そんなことを考えていると、ノアがくすっと笑った。
 「見てもいいよ」
 「……」
 アンディは聞かなかったことにした。しかし、
 「トリャッ!!」
 シャルルはケースにくちばしを打ち込んだ。八つ当たりをしているようにも見える。ケースは派手に音を立てて、倒れた。


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