二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- レッドレイヴン —からっぽの人形—
- 日時: 2012/05/11 17:40
- 名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
- 参照: http://www,kuroneko.cc/novel
小説、書きまーす。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46
- Re: レッドレイヴン ( No.114 )
- 日時: 2012/04/09 14:25
- 名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)
ライアーは顔を上に向けると。
「カラス君」
「カラス君はやめろ」
「カラス、〈首狩り屋〉さんの右目にスキャッグスの刻印があるのかい?」
「そうだが…」
カラス…間違ってはいないが自分にはシャルルという名前がある。不服に思っていると、ライアーはアンディの力について訊いてきた。
「《狂猛の目》と呼べれていて、銃弾を見切る力だ」
「…うらやましいね」
シャルルは怪訝そうに眉をひそめた。ライアーはそれに気付き説明する。
「見切る力…言い方を変えれば、目で見なければ使えない力だろ?つまり、目さえつぶせば使えない。ボクが〈首狩り屋〉さんだったらつぶしているだろうな」
冗談で言っているわけでないようだ。
「お前の力も目をつぶせば使えないんじゃ」
「半径5mの物が動かせる。見なくても、物は動かせるんだ。それにボクの力はおそらく脳細胞の変化によってのものだ」
そう言うと、何を思ったのか短刀を出して手袋の上から手を切った。
「…!?」
流れ出たのは赤……ではなく、異様なまでに赤黒い血。
「これが力を得た代償だよ。直接脳を切り開かれたわけではなく、血液を変えられ、脳を変えられたのだ。おかげで、怪我1つ負うこともできなくなった」
自嘲気味にそうつぶやく。
血を流すたび、人から気持ち悪いと言われたのだろう。シャルルでさえもぞっとしたのだ。普通の人間なら純粋に恐れるに決まっている。
- Re: レッドレイヴン ( No.115 )
- 日時: 2012/04/09 14:58
- 名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)
ライアーは短刀を回した。
「ボクは製作途中のスキャッグスを盗んだ。設計図も破いた」
「なんでそんなことをしたんだ?」
「うるさかったから」
「…ハァ?」
ライアーは淡々と答える。
「安眠妨害。ストレスが溜まりに溜まって壊してしまった」
ろくでもない理由で壊した。さすがに、やりすぎたと思った。
「殺されるかなと思ったけど、どうでもよくなって…部屋を出たらある少女にあった」
当時の自分にはあの髪色は珍しかった。あの髪を見て、生まれて初めて目を奪われた。
「少女は—ネーヴェはボクでさえ怖がっていた。なのに、施設から出ようとするその姿にボクは…尊敬した」
あそこから出ようとする意志に、その先に何があるかもわからないのに出ようとする意志に、当時の自分はあこがれた。
「…その子はどうなったんだ」
「ボクの肩を刺してどこかに行ってしまった」
シャルルはポカンと口を開くと、ため息をついた。
- Re: レッドレイヴン ( No.116 )
- 日時: 2012/04/14 16:53
- 名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)
ライアーは仮面を触る。
これさえあれば、自分は『ライアー』でいられる。掴みどころのない変わった少女だと思われる。
扉が開く音がした。
「やっと見つけた!」
自分には到底出せないような明るい声が聞こえた。
リリーはライアーの頭に手を置いた。
「あのさ、久しぶりに会った親友にあんな冷たい言葉を吐いちゃだめだよ。わかった?」
「…はい」
なんだかんだ言っても、実際のところリリーには敵わない。どれだけ逃げても彼女はライアーを見つけ出し、捕まえるだろう。
「少し話がしたいんだけど、時間ある?」
「ない」
ライアーの即答にリリーは置いた手に力を入れる。
「なら、あたしを家まで送っていけ」
命令口調でそう言われたライアーは、反論をした。
「なんで君を送らなければならないのだよ」
「あんたのせいで、すっかり日が暮れたのよ!それとも何?うら若き乙女をこの夜道の中、1人で帰れって言うこと!」
ライアーはアンディたちに助けを求めるかのごとく、顔を向けた。しかし、
「送ってやれば」
「送ってやりなさい」
「送ってやれ」
ライアーの味方はどこにもいなかった。
- Re: レッドレイヴン ( No.117 )
- 日時: 2012/04/14 17:26
- 名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)
アンディは肩にシャルルを乗せて、前を歩くライアーを見た。
機関銃のように話しかけるリリーに、ライアーはうなずく。
「うれしそうだね」
アンディはシャルルに言った。いつもは感情というものを見せないライアーがどことなくうれしそうに見えた。
「…そうか?」
シャルルの目にはそう見えないらしいが…。
「それはともかく、あとで駅に向かうぞ。ウォルターと合流する」
「わかった」
そこで、アンディは気付いた。
「ライアー、ケースは?」
「背中にからって…」
言葉を止めたライアーン背中には何もない。
(忘れてきたんだ)
教会の椅子は基本、長椅子だ。あの長いケースを背負ったままでは座りにくく、どこかに置いたのだろう。
「取ってくる」
「…ライアーはリリーを送ってきなよ。僕は教会で待っている」
アンディは踵を返した。
シャルルの視線に気づき、首をかしげる。
「何、シャルル?」
「いや、お前にも気を利かせることができたんだなと思って」
「うるさい」
シャルルは目を丸くした。
(変わったな…)
ライアーと会って、アンディは何か変わった。人のことを考えるというか、周りのことを見るようになったというか…。
(悪いことじゃないな)
- Re: レッドレイヴン ( No.118 )
- 日時: 2012/04/21 22:44
- 名前: 黒猫 (ID: XsTmunS8)
アンディはケースの近くに座った。
「…ンディ、ア〜ンディ!!」
ノアがシャルルを蹴り落とし、アンディの肩に乗った。
「ノア、ライアーをほっとおいていいの?」
「いいよ。…にしても、ライアーもだめだね。こんな大事なものを忘れるなんて」
ノアはケースを見る。
(何が入っているんだろう?)
そんなことを考えていると、ノアがくすっと笑った。
「見てもいいよ」
「……」
アンディは聞かなかったことにした。しかし、
「トリャッ!!」
シャルルはケースにくちばしを打ち込んだ。八つ当たりをしているようにも見える。ケースは派手に音を立てて、倒れた。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46
この掲示板は過去ログ化されています。