二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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レッドレイヴン  —からっぽの人形—
日時: 2012/05/11 17:40
名前: 黒猫 (ID: okEdKXH3)
参照: http://www,kuroneko.cc/novel

 小説、書きまーす。
 

  

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Re: レッドレイヴン ( No.99 )
日時: 2012/04/05 15:16
名前: 黒猫 (ID: jJL3NZcM)

 ノアは部屋に戻ると、ライアーの頭のほうに座った。
 「…あ」
 「何、ノア?」
 ノアはアンディの首を突っついた。とたん、ビリッとした痛みが走る。
 首を押さえると、ぬるりとした液体が手を伝う。血だ。
 (もしかして、ライアーを助けた時にかすったのか?)
 アンディは痛みに顔をしかめた。傷は浅いが、出血が意外とある。よく誰も気づかなかったものだ。
 「あぁ、だからか」
 「何が、“だからか”なんだ?」
 ウォルターは包帯を手に取りながら、ノアを見た。
 「ライアーが気絶した理由がわかったよ」
 ノアはライアーの頭をぽんと叩く。
 「アンディって、ライアーの保護者に似ているんだよね。目つきとか…。その保護者ね、ライアーが殺されそうになった時、ライアーをかばって死んだんだ。だから、思い出したんだと思う。自分が殺されそうになったことを」
 (それで、“殺さないで”か…)
 ウォルターは意外だと思った。ライアーが人の死を気にするような奴だとは思ってなかったからだ。
 しかし、よく考えればこの格好も納得する。黒ずくめの格好は喪服のつもりなのだろう。
 「ついでに、その保護者って、女だから」
 「僕は女じゃないよ」
 ノアは嫌そうな顔をするアンディを見て笑った。

Re: レッドレイヴン ( No.100 )
日時: 2012/04/05 15:34
名前: 黒猫 (ID: jJL3NZcM)

 ノアはライアーの頭を軽く叩きながら、
 「お・き・ろ、お・き・ろ♪」
 と妙な歌を作り、ライアーを起こす。
 アンディはライアーの手が緩んだので、そっと自分の手を抜いた。
 「お・き」
 「うるさい。黙れ、ノア」
 ライアーは呻きながら起き上った。
 「ここは…?」
 「ホテルだよ。も〜、大変だったんだよ?ライアーは意識失うし」
 ライアーは前髪を書きあげる姿勢のまま、固まっていた。どうやら、思い出したようだ。
 「…電話してくる」
 ライアーは止める間もなく、部屋を出て行った。アンディはため息をつくと、ライアーを追うように出ていく。
 「誰に電話するつもりだ?」
 シャルルの疑問にノアは悲しそうに笑う。
 「ライアーの親友でしょ」
 「親友とかいたのか!」
 ウォルターは驚きの声を上げる。親友どころか友達…知り合いさえできなさそうに見えたからだ。
 「いるよ。…まぁ、私なら親友と認められたくないけどね」
 ノアの意味ありげな言葉は、誰にも聞こえなかった。

Re: レッドレイヴン ( No.101 )
日時: 2012/04/05 16:04
名前: 黒猫 (ID: jJL3NZcM)

 ライアーはフロント電話を借りようとした。
 従業員は黒ずくめの怪しい客を、涙目で見る。
 お金を出そうとポケットに手を入れる。
 ライアーは動きを止めた。財布を忘れてきたようだ。部屋に戻ろうとした時、後ろから手が出てきた。
 「…後で返してよ」
 アンディは代わりに払ってやった。ライアーは答えずに受話器を取る。
 慣れた手つきでボタンを押すライアーを横目で見たその時、視線を感じた。振りむいて探す。
 (・・・誰だ?)
 視線を送ってきた人物を見て、眉をひそめた。
 若い女性。かなりの美人だ。女性はアンディに笑いかけた。
 

 
 ゾクッ



 はたから見れば妖艶で美しい笑みに見えただろう。
 しかしアンディには、弱者をいたぶり楽しむ残忍な笑みに見えた。
 美女は赤い口を動かした。
 

 みつけた


 聞こえないのに、そう言ったのがはっきりとわかった。
 無理やり目をそらし、ライアーが話していること聞く。さびれたホテルのフロントでは、ライアーの声は意外に響いた。
 「……あぁ、わかった。無事でよかった。…リリー、気を付けろよ。じゃ、さよなら」
 まだ向こうの人が話しているのに、ライアーは受話器を置いた。
 アンディは背後を向いた。もう、あの女性はいなかった。
 (なんだ、一体?)
 嫌な予感がアンディの頭をよぎった

Re: レッドレイヴン ( No.102 )
日時: 2012/04/05 16:32
名前: 黒猫 (ID: jJL3NZcM)

 本部に戻ると、アンディとライアーはレグラムに行かされた。
 ライアーはケースを抱えながらブツブツとつぶやく。一緒に歩いているアンディは気が滅入りそうになった。
 「帰りたい帰りたい帰りたい帰りたい」 
 「うるさいぞ!!!」
 シャルルはライアーにくちばしをたたきこもうとした。しかし、ライアーはケースでガードした上、シャルルを物体操作能力で壁にぶつける。
 「グボ!?」
 シャルルはズルズルと落ちて、顔を押さえた。いつか壊れるんじゃないかと思ってくる。
 「どうしてこの町から出たいんだ!」
 「……ここは」
 ライアーはケースをぐっと握りしめた。
 「ボクが…住んでいた町なんだ」
 思い出すのは、自分の代わりに死んだキャシーの亡骸。
 「あのさ、そんなライアーに言うのは酷かもしれないけど…アンディがいなくなっちゃった」
 シャルルが悲鳴を上げた。
 「またかよ!!!」

Re: レッドレイヴン ( No.103 )
日時: 2012/04/05 17:05
名前: 黒猫 (ID: jJL3NZcM)

 アンディはライアー達を置いて歩き出す。
 ライアーが来てから自分はおかしい。そう思いながら、歩いていると人にぶつかった。
 「ぎゃっ!」
 アンディとウォルターの中間くらいの年齢の少女が尻もちをついていた。
 「ごめん」
 「…あなた、外から来た人?」
 アンディがうなずくと、少女は立ち上がり服に付いたごみを払った。
 「あの、黒コートを着て灰色の仮面を付けた少女知らない?あなたと同じくらいの年で、怪しい雰囲気を出しているんだけど」
 そんな怪しい人、世界でも1人しかいないだろう。
 (…ライアーか)
 知らず知らず顔に出していたらしく、少女はアンディの腕を握った。
 「知っているみたいだね」
 「知っているには、知っているけど…」
 言葉を濁すアンディ。
 「どこにいるの!」
 「この町にいるけど…知り合い?」
 「知り合いどころか、姉妹と言ってもいいほどの仲だよ」
 アンディは内心、
 (面倒な人に会った)
 「ね、会わせて。お願い」
 少女はアンディに頼む。アンディは迷ったが、うなずいた。会ったらこの少女も満足して、自分を解放してくれるだろう。
 「ありがとう!あたしの名前はリリー。よろしくね」


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