社会問題小説・評論板

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Re:愛してる
日時: 2012/07/26 14:34
名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)

   『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』



こんにちわ。

名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。

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2012.0219

Re: Re:愛してる ( No.93 )
日時: 2012/10/19 23:56
名前: おかゆ (ID: FbaZhPAX)


「だからさ!!市川!!俺らも名前で呼んでみようぜ!!」
「なんで、今のままでもいいじゃない」
「俺、仲良くなりたいもん」
「・・・・・、」

どうして彼はこうなんのためらいもなく恥ずかしいセリフを言えるんだろう。

「でもさ、今話してたけど早速言えてないじゃん。名前」
「あ」

伊藤はしまったというような顔をしてしばらく考え込んだ。


「る」
「る?」
「・・・・・る、る・・・・・・・る・・」


どうやら彼は今私の名前を呼ぼうとがんばっているらしい。

「・・・・っ、る、」
「さっきからるしか言えてないよ」

私が軽く笑うと彼は顔を赤くしながら


「うるせーよ!!」

と言った。

「こっ・・こういうのは改めてやるとその・・・恥ずかしい、もの・・なんだよ・・」

さっき恥ずかしいセリフを言った彼はどこへやら、今目の前にいるのはたかが一人の女子の名前を呼べない彼がいた。


それがなんだかおかしくて。


「・・・・な、に、笑ってんだよ!!」
「いやだって・・たかが名前呼ぶだけじゃん」
「なんか意識して呼ぶと恥ずくね?」
「そう?」
「絶対俺だけじゃないって!!一回お前も呼んでみろよ!!俺の名前を!!」





「翔」





なんの迷いも、ためらいもなく私は彼の名前を呼んだ。


すると彼は拍子抜けといった感じで私をまじまじと見た。



「翔、」


私はもう一度名前を呼ぶ。

「お・・・おう・・・」
「なんで照れてんの」

私が軽く笑うと伊藤は「やっぱ市川すげぇな」とブツブツ言いながらまたひたすら『る』といっていく。



「私もう帰っていいかな?」
「え!?え、ちょっと!!市川!?」

俺も、といって伊藤はかばんを持って私の隣に来た。

「名前はいいの?」
「明日がんばるわ」



伊藤が少し可愛いと思えた今日この頃。

Re: Re:愛してる ( No.94 )
日時: 2012/10/19 23:53
名前: おかゆ (ID: FbaZhPAX)



次の日。

相変わらず誰とも話さず、交流をもたず。

見事に孤立した私はずっと携帯をいじっていた。

「おはよ!!るっ———・・」

いつものように伊藤が学校に来て、私に挨拶をする。
でも今日はいつもと違う。

「るっ・・・る・・・・市川・・・」

少し待つと名前の変わりに聞こえてきたのは私の苗字。

小さな声で『市川』と呼ぶ。


「・・・・おはよ、伊藤翔クン?」

わざとらしく名前を大きく呼んでみる。

「・・・、お前・・なぁっ・・・」
「なんで名前で呼ぼうとするの」



昨日も聞いた。だけど信じれなくてもう一度聞いてみる。


「何度も言わせんなよ。お前と仲よ——」

「おーい伊藤!!借りてた漫画返すわ」
「あっ、おう」


そして伊藤がほかの友達のほうへ行く。




「・・・・・・、」




友達になりたいねぇ・・・


またいつ裏切られるか解らない恐怖がどんどんと膨れ上がっていく。


もう、いい加減やめなくちゃ。

人を疑いたくないのに。


伊藤はいい人、なのに。


また依存したら


突然の別れがとても悲しくなってしまう。




「・・・・・ふぅ」


小さくため息をつき、私は携帯をしまう。






(もうじきチャイムがなっちゃうな、)

Re: Re:愛してる ( No.95 )
日時: 2012/10/20 00:47
名前: 美久里 (ID: ChJEPbqh)  

きましたー。
ベッドの上で悶えてる人が約一名…。
はい、私です!
伊藤!お前どんだけ萌えさせたら気が済むんだぁあああ!!
瑠璃もかっわうぃ!翔って恥ずかしく言わないところが好きだぁあああ!!

………………すみません、興奮状態で…(-"-;)

すぅ…はぁ………

たまりませんなーこの2人(-ω-`)
このくっつくかくっつかないかぐらいの距離感が好きなんですよねー(´ω`)

次回が楽しみ!
執筆頑張ってください。
また来ますー。

Re: Re:愛してる ( No.96 )
日時: 2012/10/20 01:16
名前: おかゆ (ID: lt5Nu10v)



そして伊藤はうざいくらいに私に絡んできた。

「おー、何読んでんの?る・・・る、ルービックキューブの・・・本か?」
「は?何それ」


「今日は暑いよな!!る・・・・、る、ルンルン気分になるよな・・・?」
「・・何それ」


「るーっ・・・・・・るるるっるー・・」
「だから何それ」

伊藤がおかしい。それはやっぱり思っているのは私だけではないようで。


「伊藤今日どうした?」
「おい、伊藤が今日おかしいぞ」
「やたら市川さんに絡んでないか・・?」


さすがに変なうわさまでは流れなかったが注目が伊藤から私に移ろうとしていた。


「さすがに伊藤が市川さんのことを好きなんてないだろ」
「じゃぁあれは何?」
「さぁ・・?」
「付き合ってんのかな?」
「いや、ない」


共通点も接点もない私と伊藤。
それが今日突然、しかも伊藤から私にということで皆がこれ以上になくざわついていた。

聞くに聞けない状態。

そしてどんどん集まってくる視線。


私はそれに耐えられなくなった。


「もうさ、伊藤そろそろやめたら?うっとうしい」
「いや、だって・・俺」


学校が終わり、いつもの部屋に伊藤が入った瞬間に言った一言。


「何でそこまで名前呼びにこだわるの?」
「市川と仲良くなりたいんだよ」
「私と仲良くなって何のメリットがあるの」
「メリットとかそんなのどうでもいいだろ!?だいたいお前はなんでいつもそんな風にしか考えれないんだよ!!」
「・・・・・っ、私だって好きでこんなことになったわけじゃないの!!伊藤が急に私なんかに話しかけてくるから絶対なんかあるとしか思えなくてっ・・それでっ・・」


あ、どうしよう。


言い出したらどんどんとまらなく——・・・


「・・・・・もう、いい。私先帰る」

乱暴にカバンを持って部屋から出る。


「・・・・・馬鹿じゃないの?」

最後に放った一言。



伊藤の顔が歪んだ。




「・・・・・・、・・・・っ!!!!?」


その瞬間、我に返った。






だが時すでに遅く。


もう扉を閉めた後だった。





「———っ、」








(何でいつもこうなるんだ・・・、)


Re: Re:愛してる ( No.97 )
日時: 2012/10/20 23:57
名前: おかゆ (ID: o7Zmsdob)

あー、なんでいつもこうなってしまうんだろう。
自分にいらだってしょうがない。

伊藤のあんな顔、久しぶりに見た。

「・・・・・・っ、あー・・」

今さら遅い。起きてしまったものはしょうがない。問題はその後どうするかだ。

小さくため息をついて、携帯の画面を見た。

まだ水曜日、もう水曜日。

時間の流れは速いのか、遅いのか。



「・・・・・こーゆーのは・・早く元通りにしたほうがいい」

私は携帯をしまい、体を今行っている道と逆の方へ向けた。
足を無理やり早く動かせる。


急がなくちゃ、


*    *    *    *



「・・・・っあー・・」


やってしまった。また、市川を怒らせた。

「でも仲良くなりたかったんだよなー」

自分に言い聞かせるようにして目を閉じた。


「・・・・・・・・・・・・・・・瑠璃、」


ただの独り言、呟きのはずなのに。いや、呟きだからなのだろうか、その言葉はびっくりするほどすらすらと出てきて。

「・・・瑠璃」

もう一度言うと、やっぱりその二文字は簡単に声に出て、言葉となった。


「意識しないとこんなに簡単に出るのな・・」


できれば今そこに、君がいれば。


「ちょっとは驚いた顔でもしてくれたかな」

軽く笑う。

「・・明日謝ろっかな」

そして俺は帰ろうと荷物を持った時だった。




「———・・伊藤、帰るのか・・」


そこには息を切らせている市川がいた。


「あ、市川・・その・・・・・・・ごめん、」
「何であんたが謝るのさ」
「え、だって俺がお前の気持ち考えずに・・」
「それは私だって同じだから」


そう言って息を整えてから俺のほうに歩いてきた。


「——・・私だって、伊藤と仲良く・・なりたい、でも・・まだ、気持ちの整理がつかなくて・・これからもいっぱい伊藤のこと、傷つけるかもしれないけど・・それでもいいなら気長に待ってほしい」

必死で言葉を言う市川。


「私が思うにさ・・別に、名前で呼び合えるからって仲良くなったとか・・そんなんじゃないと思う・・・だからさ伊藤、そんなに無理しなくても・・いい・・」


・・・・あぁ、そっか。


「・・・・・ハハッ・・そうだよなぁ・・」

市川のおかげでなんかすっきりしたような気がする。

「・・・・そうだな、お前の言うとおりだわ・・」



そして、今なら・・今なら言える気がする。









「瑠璃」










「・・・・・・・・・・え」




一瞬の間。




そして、






みるみるうちに赤くなっていく市川の顔。




「・・・・いと、う・・・お前、今、」

「ん?」


こいつ、俺の名前呼んだときはなんともなかったのに呼ばれたときは俺より照れてるじゃねーか。


「確かにお前の言うとおり、いきなり名前呼びは難しいな。うん。よし!!じゃぁこれからも今までどおり苗字呼びでいこうな!!市川」

「えっ、えっ?」


いまだに戸惑っている市川を見ながらニヤッと笑った。

そうだよな、焦らなくてもいい。

『市川』と『伊藤』でも全然いい。
仲良くなれる方法はまだどこかにあるはずだから。


                       -END-


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