社会問題小説・評論板

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Re:愛してる
日時: 2012/07/26 14:34
名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)

   『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』



こんにちわ。

名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。

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2012.0219

Re: Re:愛してる ( No.138 )
日時: 2013/08/11 20:26
名前: おかゆ (ID: iV.IyZa1)


ミクサ様>>コメントありがとうございます!嬉しいです!
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!

Re: Re:愛してる ( No.139 )
日時: 2013/08/17 01:21
名前: おかゆ (ID: U94d6Dmr)


—再び市川瑠璃視点—


——・・『好き』

この感情は底を知らずどんどん膨れ上がっていた。


膨れるたびに嬉しくなって、気持ちよくなって、それと同時に、




怖くなる。




『冬休みまであと一ヵ月半!!』


誰が書いたか分からない黒板の文字をぼんやりと見ながら席に着く。



「えぇ〜?カラオケェ?でもあたしその日開いてなくてさぁ」


先生がいない教室で携帯を弄りながら一際うるさい声で麗華が話していた。



「頼むよぉ麗華がいないと盛り上がらなくってさ」

「そんなことないよぉ〜」


まんざらでもない顔で貼り付けた笑顔を振りまいていた。


嫌になって教室を出る。


「でも・・・」


教室を出るとき視界に映った麗華の目は伊藤を捉えていた。



「行くんなら大勢のほうがいいよね?」



そういって麗華は伊藤に近づいた。


「・・・っ、」


反射的に教室の扉の陰に隠れて様子を伺う。

何、何、何。



「ねぇ、伊藤?」

「・・んぁ?」


話す相手がまだ教室にいないからか、一人で携帯を弄ってる伊藤に麗華が話しかけた。



「結構先になるんだけどね?」

「12月の24日ってさ、あいてるかな?」

「もしあいてるなら皆でカラオケに行かない?」



麗華からのそれはお誘いの言葉だった。



そうだ、


まだ麗華は伊藤のことが、あぁ。


あの時は伊藤に何の感情もなかったから忘れていた。
でも麗華のことだから、伊藤はもうあきらめて次の違う誰かを狙ってるのかと思った。


「・・・・カラオケ?」


伊藤は少し不思議そうな目で麗華を見つめた。


「皆で・・ねぇ・・」


伊藤はしばらく考える・・フリをしてる。


「んー・・俺、先約があるからパス」


その瞬間周りが少しざわめきだした。



「伊藤!?お前イブに約束・・まさか彼女!?」
「あの伊藤が!?確かにかっこいいとは思うけど伊藤がっ!?」
「マジかよ伊藤・・お前リア充だったのか」
「誰?ここ!?他校!?」



いろんな声が聞こえる中、麗華はただ立ち尽くし、少しだけ絶望した表情をした。




——いや待って。


私も知らなかった・・・



「好きって自覚した瞬間失恋かよ・・」


一瞬絶望しそうになったがその後の会話で私はさらに驚くことになる。



「あーでも彼女とかじゃないから」

「・・・えっ?」

そして伊藤はあぁ、と何か思いついたように顔を上げて、


「市川との予定があるんだ」





「・・・は?」

「はっ!?」




思わず声が裏返ってしまった。


「市川って・・瑠璃のこと?」

「そ。だから悪いな」


皆がさらにざわついた。


そして扉に隠れていた私と伊藤の目が合う。


「あ、市川!!おはよう」


おはようじゃねぇよ!!!


何私を巻き込んでんだ!!


そんな約束した覚えない!!




「なっ・・な、な、何言ってんだ!!伊藤!!!」

「えっ?あれ?市川この間言ってたじゃん。24日な・・って」

「そんな約束なんて知らないってば!!」


視線が一気に集まる。


「あれー?そうか?じゃぁいつだっけ?」

「いつも何も私伊藤と約束自体してないよ!!」



嫌だ。これ以上視線を集めたくないのに!!



「——・・瑠璃」


冷ややかな声。

「・・・・・っ!?」


「・・・・瑠璃も・・一緒にどう?その、伊藤との約束が延期にできたりするならさ、カラオケ行かない?」


麗華に誘われた。


「えっ・・・あっ・・と・・」

「ね・・?」


これは、やばい。



脳内で告げている。



「う・・・ん・・」




つい、頷く。




「・・・・やった♪決まりね」



皆の視線と、伊藤の呆れた目、そして麗華のにこやかな表情。







あぁ、どうしよう。



Re: Re:愛してる ( No.140 )
日時: 2013/08/18 19:52
名前: おかゆ (ID: QSygN.Tt)




「・・・・なんで私を巻き込んだのよ」


放課後、いつもの場所で伊藤を静かに問い詰める。

「いや悪いとは思ってるよ!!ホントすまん」

「悪いと思ってないでしょ!!」

ついつい声が大きくなる。

「見た?麗華のあの顔!!声!!私・・私・・」

思い出しただけでも体が少し震える。

「だって俺乗り気じゃなかったし」

「だからって・・!!」

「まさか林が俺を誘うとは思わないじゃん?あんま話したことなかったし」

「だってそれはっ・・」


それは麗華が伊藤のこと——・・!!



「———っ」

「俺的にはちょっと市川に助けを求めたんだけど市川も流されちゃうもんなぁ」

ケタケタと笑う伊藤を少しにらむと伊藤はばつが悪そうに視線を下げた。


「まぁどっちにしろ俺と市川はカラオケに行かなきゃなんない。行くだけで歌いたくないなら歌わなきゃいいし。それに林ともなるべく接触させないようにする」

「・・・・・・」

「まだ機嫌直んない?」

伊藤は私の顔を覗き込んでくる。

「———・・っとにかく!!!」


恥ずかしくなって顔を思い切りそらしながら、


「終わったことはしょうがない!!私はなるべく麗華には近づかないようにするしトラブルも起こさないようにする!!」


もうなにか吹っ切れたように話すと伊藤は「そのいきだ!」なんて笑う。



・・・・・あれ?私、流された?なんて。










そして時は流れて遂に12月24日になる。



Re: Re:愛してる ( No.141 )
日時: 2013/08/18 21:30
名前: おかゆ (ID: QSygN.Tt)



12月24日。


うだうだ悩んでいるうちに当日になってしまい、待ち合わせの場所に来てしまった。

今回のカラオケは一応全員誘ったのだが、予定が合わなかったりで結局半分以下の人数になった。

「・・・・・あ、瑠璃!」

先に麗華は来ていたみたいで、私を見つけると小走りで私の元に来た。

「よかった来るかどうか心配してたんだぁ・・伊藤とは会おうとしてたのに友達の私とは会ってくれないのかなって思ってたの」

「・・・・・・・」


皮肉めいた言葉に若干の苛立ちを覚えながらも私は笑顔で答えた。

「別に24日にどうしても伊藤と過ごしたいという願いを邪魔するわけにはいかないからね。別に用っていっても特別なことじゃないし」


今度は麗華がイラつく番。口ものとを引くつかせながらもニコリと笑った。

「覚えとけよ」


どす黒い感情をむき出しにして私に言う言葉は呪いのようで。


麗華となるべくトラブルを起こさないようにという約束をそうそうに破ることになりそうだと申し訳なくなった。


*    *    *    *



「「「メリークリスマス!!!」」」


乾杯の代わりに皆が声をそろえてジュースを上に持ち上げた。


「て言ってもまだイブだけどなー」

「こーゆーのは雰囲気だよ!!」

「まぁ今日は盛り上がるベー」



なんて楽しそうな声。


そしてなんてアウェーな状況なんでしょう。


時々思い出したかのように私のことを視界にいれ、不思議そうな顔をする。

最近になって分かったことは、私は嫌われてるんじゃなくて怖がられていること。
皆が私のことを探っていること。


「じゃぁ皆好きに曲入れてー!」


なんて麗華が機会を持ちながら楽しそうに話す。


皆が曲を好きに入れてまわしてるうちに私のところまで来た。


「えっ・・・・と・・・市川さん・・・は・・・いれ、ます・・・か?」


別に敬語で話さなくても・・


私は「いい」と短く返すとその子(男子なんだけど)は「そう・・ですか・・」と小さく言って次の人に渡した。



「なーんか感じ悪くない?」
「だよねー」


聞こえるか聞こえないかくらいの音量でそんな会話が聞こえた。


さすがに断り方がまずかったのか。

なんて思いながらも順番は進んでいって時間も過ぎて行った。


Re: Re:愛してる ( No.142 )
日時: 2013/08/26 15:23
名前: おかゆ (ID: q.GNWgNw)


カラオケも中盤に差し掛かったところ、

皆もなれてきたのか、まるで私がいないかのようにすごし、機械を回すのもまるで当たり前かのように私をとばした。

そん中、何人かも私に声をかけてくれたりしたがそれでも同じような態度をとってしまった。

「ねぇ市川さんは好きな曲とかないの?」

一人の女子——・・高木飛鳥はにこやかに話しかけた。

「・・・・好きな曲?」

「うん。えっとねー最近だと・・」

高木さんは最近の曲を言いながら自分の好きな曲も言った。

「・・・で、いい曲なんだよ!!」

「・・・・・・そうなんだ」

「・・・・・市川さん、あたしのこと嫌い?」

「え?」


高木さんは私の目を覗き込むように話した。


「・・・ごめんね、興味もないこと長々と話して」

「えっ・・・あっ・・・」


違う。

高木さんは麗華にハブられたときも、いじめにあってたときも話しかけてくれた。

嫌いになんて。


「・・・・嫌いじゃないよ・・うん、嫌いじゃない。あのときだって、私におはようって言ってくれたとき・・だって、話しかけてくれた時だって・・すごく、嬉しかった・・!!」

誰かの歌い声で言葉がかき消される。

それでもこの気持ちが届くように必死でつむいだ。


「・・・そっか」


高木さんはとても嬉しそうに笑った。

「やっぱり市川さんは悪い子じゃなかったんだね!皆がいろいろ言ってるけど今しゃべったら全然違うじゃん!!」


「・・・・っ、」

「あとさ、名字呼びやめない?あたしのこと飛鳥って呼んでよ!!あたしも市川さんのこと下で呼んでいい?」

「・・・・うん」

不器用ながら私は笑った。


話せば伝わることもあるんだ。


それがたまらなく嬉しくて。



「・・・・・ありがとう」


(彼女に精一杯の感謝を。)



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