社会問題小説・評論板

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Re:愛してる
日時: 2012/07/26 14:34
名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)

   『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』



こんにちわ。

名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。

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2012.0219

Re: Re:愛してる ( No.63 )
日時: 2012/07/06 19:26
名前: おかゆ (ID: DYIx383H)


「・・・・」

次の日、私はすっかり忘れていたのであった。


「嘘!?まじで市川さんがやったの?」
「首絞めたってまじかよ」
「麗華大丈夫かな」
「怖ー」


私を見る目が恐怖に変わっていた。


皆から少し遠ざかった机。
その上に——・・『人殺し』の文字。



「あ・・、」


言葉に詰まる。のどに張り付いたように出てこない。


このあと、どんな行動をすれば——・・





「市川、生徒指導室に来なさい」
「・・は・・い・・」


先生の声が教室中に響いた気がした。

全体が一瞬静かになる。



カバンを持ったまま先生の後ろをついていった。



「・・・・・・・、」















「いい気味♪」










「っ!!」

麗華とすれ違った瞬間、うっすら聞こえた。
思わず殴りそうになった。



扉を閉める。途端に、また教室の中がうるさくなった。


 *    *    *    *



「・・・・それで、なんで林さんの首をしめたの・・?」

あくまでも優しく、冷静に聞いてくる。

そして私を見ている先生の目も——・・



「・・・・あ・・・」
「あと林さんを殴ったり、ホースの水をかけたりしたらしいけど」
「ちが、」


違う——・・はっきり言うことができなかった。


確かに麗華に水をかけられた。たたかれた記憶もある。


でも・・・・、



思い出そうとすればスルほど記憶が薄れていく。

気づいたら私が麗華の持っていたモップ・・で・・


「・・・・えと・・私・・は・・」


こういうときに声が、言葉が、出てこない。

涙が出てきそうになる。


「・・・・市川、何か言ったらどうだ」

周りが敵。


「・・・やってませ、ん」

声を絞り出していった。


「・・・ハァ」


出てきたのはため息。


「やってないって・・昨日のをみていた人だっていっぱいいたのよ?先生も見てたし・・」
「じゃぁっ!!・・じゃぁ、何をしゃべっていたかも・・私と麗華の話も、聞いてたんですか!?」
「・・・・そこまでは・・」
「・・・・っ、行動見てただけで・・大事な所は知らないのかよ・・」

思わず声を荒げた。


「・・・・まぁ、詳しいことはまた改めて聞くことにして・・林さんに後遺症とかが残らなくて良かったわ・・・市川さん、」






「———・・10日間の停学処分にします」











(私はこれからどちらへ進む?)

Re: Re:愛してる ( No.64 )
日時: 2012/05/30 21:01
名前: おかゆ (ID: 2QWuZ1bi)




世界が、とまった。


「停学、ですか」
そのときの声はとても冷静で、自分でもびっくりした。


「—わかりました」


自分の顔をよく見たわけではないけど。






笑っているような気がした——…




*    *    *    *



「ねぇ!!市川さんのあれ!!」
「停学だよね?やばくない!?」
「うちは退学だって聞いたよ?」
「どっちにしろアウトじゃん!!」


今日、市川が休んだ。


市川のうわさはまたあっという間に広がった。


「(どんどん有名になってってるなー)」

なんてことを考えながら携帯をだしてメールをする。



「お、翔携帯変えた?」
「あー、うん。まぁ」
「メアド変わってないよな?」
「あー、うん」
「そうか」


スマホっていいよなーとかなんとかいっている友達の話を半分無視して市川にメールを送った。


適当なあいずちをしつつ、すばやく手を動かす。




「(…送信)」



送り終わったときには友達はいなかった。






「お」



送って数分後に返信。





『私は大丈夫だけど』
『あんたは大丈夫なの?』
『私といたからいろいろいわれてるんじゃない?』





「…はぁ」



市川は優しい。


それが他人には見えてないだけで、見た目は冷たいイメージがあるが、普通の人より数倍優しいってことが最近になってわかった。





だから、



だから自分にも優しくなっていいのに。


彼女はそれを許さない。




きっと、過去に友達を裏切ったと思っているから。




「自分の心配しろよって言ってんのに」


大丈夫なんて嘘だろうな。とか思いながら、




小さく笑った。












(今日はどうして過ごそうか、)

Re: Re:愛してる ( No.65 )
日時: 2012/06/21 20:25
名前: おかゆ (ID: .SXp3Aa2)



「…伊藤?」

停学中。特に何もすることがなかったから遅くまで寝ていたら伊藤からのメールで目が覚めた。


『大丈夫か』

「まーた私にメールなんかして」

私は寝ぼけながらも何とか文章を打った。

「(…送信)」

そしてまた携帯をおく。

八時十五分。


私一人しかいない部屋で秒針の音がやけに大きく響いた。



「やさしいなぁ、伊藤は」


最近一緒にいてわかった。


だけど自分はその優しさに甘えてはいけない。

本当は少し。少しだけ気づいていた。





もうじき境界線を越えてしまう。






「(まいったな)」

伊藤の優しさに触れるたび、自分が弱くなっている。
いつか伊藤に裏切られるんじゃないかと思うと——…












「(怖い)」



嗚呼、もう気づいたら九時を回っていたわ。
このままだと10日間なんてあっという間ね、





なんてことを考えながら














涙を流した。











(考えすぎておかしくなりそう)

Re: Re:愛してる ( No.66 )
日時: 2012/07/06 19:23
名前: おかゆ (ID: DYIx383H)

停学二日目。

今日はつい昼まで寝てしまった。
リビングに行くとラップしてあったご飯。

『冷たかったら温めてね』

走り書きの文字。お母さんが書いたものだ。



「……、」


自分が停学になったとき、お母さんは何も言わなかった。
でも一瞬悲しそうな顔は、した。


「何か言えばいいのに」


悲しそうな顔なんてしないで、



理由を聞いてほしかった。
怒ってほしかった。





何か話しをしたかった。





お父さんが事故で死んでからだんだん会話がなくなった。

父親との最後の別れなんてあっさりしすぎでいた。
交通事故で死んだという事実がいつまでもまとわりついていた。


お父さんが死んでしまった直後より、死んだ後のほうがよっぽど——…


「——っ!!」


こんなことになるならもっとお父さんと話せばよかった。
親孝行するだけしとけばよかった。



葬式のとき、嘘でもいいから。














泣いておけばよかった。










今でも気を抜けばよみがえる。
















(可愛げのない子)

Re: Re:愛してる ( No.67 )
日時: 2012/07/17 13:49
名前: おかゆ (ID: dPcov1U5)


停学三日目

一日目、二日目・・とただ、だらだらすごしていただけだった。

今日の分の課題も終わった。



「・・暇だ」

家には誰もいない。

思えば家から学校が遠い。だからこのあたりでは同じ高校の子はいなかった。

ちょっと家出てフラフラしてても・・・・




「(こういう時、皆はどうするのかな)」



考えること十数分。











「・・・行ってきます」


なるべく目立たない格好をして家を出た。





電車に乗って、しばらく歩いて、ついたのは公園。





「あ、」





昔、中学のころよく遊んでいた公園。

いつの間にか、無意識に来ていた。


「なつかしいなぁ」


そして近くにあったベンチに座った。


ゆっくりと横になる。







『瑠璃!!瑠璃!!』


——理紗。



『何があっても、友達だよね!?』



うん、友達だよ。



『じゃぁなんで裏切ったの?』




——————・・っ!!!



『裏切らないで、見捨てないで』



見捨てないよ、だから理紗——・・、





『何があっても——』








「・・・・っ、」

懐かしくて、とても残酷な夢を見た。





「あたりまえじゃん」


小さくつぶやいた。

そしてこのあと、





私はとっても間抜けな声を出す。







「———・・瑠璃?」




「・・・・・え?」











『ねぇ、瑠璃』
『私たち何があっても友達だよね?』




あたりまえでしょ?




そう、






「・・り、さ」











何があっても。




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