社会問題小説・評論板
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- Re:愛してる
- 日時: 2012/07/26 14:34
- 名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)
『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』
こんにちわ。
名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。
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2012.0219
- Re: Re:愛してる ( No.23 )
- 日時: 2012/03/10 20:17
- 名前: おかゆ (ID: x0GEUVxB)
「市川ー」
「・・何?」
移動で美術室へ行く途中、伊藤が後ろから呼んできた。
「なんでメール返信しなかったの?」
「え、アレのどこにする要素があったの?」
ありがとうとでも打って欲しかったわけ?偽善者なの?
そんなことは言わず、ただ相手が次に言う言葉を待つ。
「・・別にそういうわけじゃないんだけど・・もしかして市川、メールとか嫌い?」
「いや・・嫌いって訳じゃないんだけど」
「まぁ急に送った俺も悪かったわ。ごめんなー」
「・・・なんであんたが謝るのよ」
「なんとなく」
「・・・私と話してるとあんたの株がさがるよ」
「そんなの気にしてんの?」
「だってあんた、人気者じゃない」
「・・・・・、まぁ株とかどうでもいい。俺は」
『じゃぁ先行くわ』といって伊藤は先に美術室へ走っていった。
「・・・・(偽善者)」
私は心の中でもう一度つぶやいた。
しょせん自分が危ない目になったらばっさり切り捨てるんだよ。
・・・・そんなもんだよ。
私はゆっくりと考えながら美術室へむかった。
『瑠璃、話しがある』
昼放課、私が楽しくチャットをしていたメールが来ていたことに気がついた。
差出人は——・・麗華。
「・・・・今頃話し・・?」
何故?またグループに入ってとかどうとか・・?
『今日の帰りに西にあるトイレで話さない?』
「・・・・トイレ」
西にあるトイレ・・そこは薄暗くあまり人が通らない場所だ。
「・・・楽しい話になりそうで・・」
本日何度目かのため息をついて携帯を閉じた。
- Re: Re:愛してる ( No.24 )
- 日時: 2012/03/12 16:05
- 名前: おかゆ (ID: 4pBYKdI8)
——私はそういう人間なのです。
「・・・・・・・・話ってなんですか、麗華さん」
わざとらしくさん付けで呼んでみた。すると麗華は声を押し殺して笑う。
「別にそんなに緊張しなくてもいいよ」
無駄に声が反響した。
「・・・・じゃぁ何?」
「あれ?荷物は?」
「・・・そんなのどうだっていいでしょ?早くしてよ。こっちだって忙しいの」
麗華の顔が少し歪んだ。私だってイラついてるんだ。
実際、荷物はあの資料室においてきてある。
長い話になると考えたから荷物があると疲れると判断した。
「・・・・ねぇ、さっき移動教室の時伊藤と話してたでしょ?伊藤と仲いいの?」
「・・・・、」
あぁ、なんだ。そういうことね。
・・・・嫉妬、か。
「ねぇ・・・メアドとか持ってるの?」
・・・こんなにも笑えるのか。
「伊藤ねぇ・・・自分で頼めばいいじゃん」
「そんなこと言われても・・・ほら、友達でしょ?」
・・・・、
・・・・そういうときにだけ友達という言葉を使うなんてね。
「・・・便利な言葉だなー・・友達・・」
この間私裏切ったばかりじゃん。
「てかさー、マジで伊藤と瑠璃ってどんな関係?」
「いやいや、ただたんにちょっとしゃべっただけでしょー?麗華も考えすぎだって」
近くで携帯をいじりながら麗華といつも一緒にいる取り巻きが声をあげた。・・いたのか。
「でもー、メールがどうとかって言ってたよねー?」
「メールしてる仲?みたいな」
「メル友?付き合ってる?まじウケルし」
そして上品ともいえない笑い声が廊下に響く。
「・・・・てかさ、どうでもいい。早く用件を言ってくれない?」
「はぁっ!?だから、」
「メアドとかなら本人に聞けばいいじゃん。それとも何?仲良く出来るように協力しろって?あ、逆?私が伊藤と話すなってこと?」
なんだろう。言葉がとまらない。
次から次へと出てくる言葉。それに比例するかのように麗華の顔が歪んでいく。
「・・でもさ、こんな私と『お話し』とか馬鹿みたいな嫌がらせやる暇があったら伊藤と近付けるように女磨きでも頑張っ—」
パンッッッッ——・・
「瑠璃のクセに何いってんの!?はっ?調子のんなよ!?伊藤が話しかけたのは友達のいないあんたがかわいそうだったからってだけだろ!?ちょっと黙って聞いていれば何えらそうにっ・・」
痛い。
頬をたたかれた。
「・・・っっまじでっ!!」
バシャァァッ——・・
「ふざけんなっ!!」
麗華はトイレにある水道につなげてあるホースで私の顔を思いっきりぬらす。
「・・・・・・っ、」
「あー、それおもしろそう。うちもやらせてー」
ほかの取り巻きどもが仲間に加わる。
冷たい。
嗚呼、冷たい。
冷たくて。
気が狂ってしまいそうだ———・・。
- Re: Re:愛してる ( No.25 )
- 日時: 2012/03/12 21:51
- 名前: おかゆ (ID: wKgYBlW2)
「だいたい瑠璃って超生意気ぃ」
「なんかいつも平気そうな顔してさー!なんとか言ってみたらどうなのぉ?」
嗚呼、うるさい。
「自分は強い人間ですみたいな?まじ笑えるー!」
そばにあったモップで腹をつかれる。
その拍子によろけてこける。嗚呼、本当。荷物持ってこなくて良かったよ。
「私達が掃除してあげるっ♪」
「っ、」
水をかけられ、モップで頭をこすられ、トイレの床に口をつける羽目に。
—・・今時こんな古典的なやり方するんだ。てかいたんだ。
なんてことを考えながらも冷たさや痛みに絶える。
「てか泣かないのー?えらーい」
・・・ホント、なんで私は泣いてないんだろう。
「あんたって本当にかわいそう!!ゴミ以下だもんね!あ、だからうちらが掃除してあげてるのかぁ」
・・・・わかった。
私はこいつらを哀れんでいるのか。
逆切れした挙句にこんなことでしか自分のストレスを発散できない哀れな人間。
「・・・・ゴホッ・・」
クズ以下の人間にゴミ以下なんていわれて私は怒りよりも哀れみの方が買っていた。
まったく。
——・・『めんどくさいですね』
ガンッッッッ——・・
麗華は本日何度目かのモップを私に当てようと振りかざした瞬間にそれを私がつかんだ。
「っ!?」
『まったく、人が下手にでていれば・・調子にのってるのはどちらですか?』
「は・・?」
『逆切れした挙句こんなことでしか日々のストレスを発散できない哀れな貴方達に、本当に掃除されるのは誰なのかを・・・教えてあげましょうか?』
そこで私の意識は切れた。
- Re: Re:愛してる ( No.26 )
- 日時: 2012/03/12 22:23
- 名前: おかゆ (ID: wKgYBlW2)
伊藤翔視点
「はぁー疲れた・・だる・・」
俺はいつものように誰にも見つからないように(ここ重要)いつもの資料室へ入っていった。
もう皆帰って部活なりなんなりしている時間帯。
周りには誰もいなかった。
「市川ー?いるー?・・・荷物はあるのか・・ジュースでも買いに行ってるのか?」
などと一人でぶつぶつといっていた。
「・・・はぁ」
それにしてもあれだ。一人だとこうもむなしいのか。
「お、トランプがある!・・って一人じゃ何も出来ないじゃん・・」
でもなんでトランプ・・?まさか市川、これでずっと一人遊びを・・
俺はそんなどうでもいい考えを一人でやっていて、やめた。
「・・・・ちょっと散歩でもしてこようかなー」
と、誰かいるわけではないのに独り言をつぶやく。
***
資料室を出て数分間散歩して、西トイレの近くまで来た。
「・・てかここらんへん久しぶりに来る・・あれ?初めて・・?」
高校生活もやっと慣れてきた所。でもこのへんはさすがに・・薄暗そうだし。
と、思っていたら—・・
「はぁっ!?またかよ!」
「いい加減にしろっ!!」
女子達の叫び声。どこか恐怖が入ってる。
『まだ足りないですか?もっと掃除してあげましょう』
・・・市川?
声は確実に市川。でもなにか違う。
『貴方達でしょう・・まったく、くだらない遊びはもう終わりにしたいんですけどね』
・・・あぁ、そうか。
敬語をつかっているのか。
そして近くの曲がり角まで行くと声はもっと大きく聞え、ゴンッと嫌な音まで聞える。
「・・・なっ・・なによぉ・・これぇ・・」
俺にも聞き覚えのある声。えっと・・名前が思い出せないけどよく俺に話しかけてくる声。
俺は思い切って顔を出すことにした。
『さっきまでの威勢はどうしたのですか・・・って・・伊藤・・?』
「・・っ!?・・いとっ、」
そこにはずぶぬれになり制服がぼろぼろになりながらもモップをもって追い詰めている市川と追い詰められている俺のクラスメイト。
「・・・たっ・・助けて!!伊藤!!市川さんがっ・・私達に襲い掛かってっ・・!!」
その女子が俺に助けを求めた。
確かにこの場面を見たらそうなるかもしれないけど・・市川の状態と市川の状況を考えるとこいつらは多分——・・
『困った時だけ助けを求めるのですね』
「・・うるさいっ!!あんただってどうせ理紗をいいように使ってたクセに——」
ガンッッッッッッ——
激しい音がした。クラスメイトの女子の後ろにあった壁からぱらぱらと壁の塗料がはがれおち、大きな傷がつく。
「・・・・・っ・・」
その女子は気を失った。
「・・・・・・・、は?」
しばらく時間がたつと市川が間抜けな声をあげてその場に座り込んだ。
- Re: Re:愛してる ( No.27 )
- 日時: 2012/03/17 23:58
- 名前: おかゆ (ID: tkwGoBUC)
「・・・・私・・あれ・・?なんで・・」
気づいたら私はモップを持ってその場に座り込んでいた。
「・・麗華?に・・皆も・・なんでたおれてるんだ・・?」
訳がわからない。
「市川・・お前・・」
そして近くに伊藤が立っている。
「・・・っ、とにかく・・そのままだと風邪ひくから・・いったん資料室に戻って・・」
「ねっ、伊藤っ・・なんで、私・・っ、」
「それより今は服!!」
半分伊藤に怒鳴られ、しぶしぶ行くことにした。
「・・れっ、麗華・・たちは・・」
「あいつらはお前みたいにぬれてないし、気を失ってるだけだから大丈夫だろ」
・・・ちょっとかわいそうだとも思ったけどとりあえず資料室に戻った。
***
「・・・・で、敬語使ってるお前がその・・麗華?っていう子を追い詰めて壁をこう・・ガンッと・・」
「・・・・、」
全然覚えてない。
ジャージに着替えた私は伊藤から自分が見たことを細かく教えてもらっていた。
「・・・・なぁ、マジで覚えてないの?」
「・・何度も言ってるでしょ?」
ちょっと私もイラつきながら返事をする。
「・・・思ったんだけどさ、こうゆうのって考えたことない?」
——・・二重人格
「・・・・二重人格?」
「そ。いや・・多重人格かも知れないけど・・お前の話し聞いてる限り俺それがずっと頭の中でぐるぐると・・」
二重人格・・話は聞いたことあるけど。
「んで、入れ替わるスイッチみたいなのがあって、その言葉を言うと人格がかわるーみたいな・・さすがにそれはないか」
伊藤がケタケタ笑った。
「・・・・・ありえないでしょ」
「そうか?しかもその麗華ってやつが・・誰だっけ理紗って名前だした瞬間物凄い勢いでやったときなんて——・・」
そこまで言ったとき、伊藤がしゃべるのをやめた。
「・・・・市川?」
あれ。
「・・・どうした・・?」
今、私。
「・・・泣いてる・・?」
どんな顔してる——・・?
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