社会問題小説・評論板

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Re:愛してる
日時: 2012/07/26 14:34
名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)

   『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』



こんにちわ。

名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。

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2012.0219

Re: Re:愛してる ( No.83 )
日時: 2012/09/09 01:16
名前: おかゆ (ID: fxhCNxuy)




「なんで、ごめんなんて言うのよ・・・っ!!」

理紗は怒ったような、困ったような顔をしていた。

「・・・やっと離れたと思ったらまだ麗華からつかまってたんだ・・・それは全部私のせいだと思う」

「違うって言ってるじゃん・・・怒るよ」
「怒ったっていいよ、それで理紗がすむのなら殴るなり、蹴るなり、好きにしていい」
「・・・やめてよ、私そんなことしたくない」
「・・・・・・」


ふと、時計をみた。


もうそろそろ六時になるころ。


「・・・・時間がたつのは早いなぁ」
「瑠璃っ!!」
「本当に・・・・早いなぁ・・・」
「お願い聞いて瑠璃・・」
「・・・私思うんだよね・・このままだと・・理紗が駄目になっちゃう」
「そんなことっ・・」





「・・・・・・絶交、しようか」


「————っ!?」


最後に、ごめん。ごめんね、理紗。

私は最後までわがままで自分勝手だ。


「何言ってるの・・ばっ・・・馬鹿じゃないのっ!?ねぇ、瑠璃!!」

「・・・自分でも馬鹿だとは思ってる・・でも、もう理紗があいつのせいでつらい思いをしてるなんて聞くだけで嫌なんだよ」

「だからって絶交なんてないでしょ!?」

「・・・これはひとつのけじめとして・・・大丈夫だよ、理紗にはもうたくさんの友達がいるでしょ?私がいなくても大丈夫」

「ねぇ・・・本当に自分勝手なこと言ってるってわかってる?」

「私たちが離れたって知ったらもう麗華は理紗には近づかないと思うよ」

「そんなわけないと思う」

「私はね・・・理紗が思っている以上に理紗に依存してた」

「何も絶交までしなくてもいいじゃん」

「ううん・・・言ったでしょ・・これはお互いのけじめ、として」

「・・・・・最低」




理紗。


「・・・こんな私と友達に・・・親友になってくれてありがとう」



理紗。


「ありがとう」


心をこめて。



「・・・・・これからも親友でいて、なんて本当に図々しいけど」



届けばいい。



「親友でいてくれたら嬉しい」



嗚呼、泣くな理紗。



「軽蔑してくれてもかまわないし、嫌いになってもかまわない。それだけ私もひどいことをした」



頼むから泣かないで。



「でも私は、死ぬまで理紗のことを嫌いになんてならない」



「・・・親友、って言ったのに絶交?本当におかしいよ」


「私もおかしいと思ってる・・絶交じゃないね・・・じゃぁこれは・・さよなら、か」

「え?」

「しばらくの間、さようなら。これならいいのかな」

「・・・・・」


あぁ、もう理紗はうすうす気づいてるのかもしれない。


『しばらく』とか『今度』なんて言葉はもうないってこと。


もしかしたらもう私たちは会わなくなるのかもしれないってことを。



「・・・・私は待ってるからね」
「ん?」
「いつかお互いが本当に幸せになったとき、また二人で遊ぼうね」
「・・・・・うん」
「絶対よ。私は絶交なんて認めない」
「・・・・そろそろ帰ろうか。お母さんがきっと心配してる。最近は不審者とかがいて怖いらしいよ?」

理紗が何か言いかけたところでやめた。


——・・また、はぐらかしたかな、なんて。





そして私たちはそれぞれの道へ歩いていった。



ふと、振り返ってみる。



理紗も振り返った。


『バイバイ』

軽く手を振る。

そして少し大きめの声で理紗は言う。


「その、いつかが来るといいね、瑠璃」


泣くな。本当に。


「また、一緒に遊びたい」



泣くな、理紗。


「・・・・・もう、帰りなよ」


泣くな・・・・

「あのねっ!瑠璃!!」


泣くな・・・・・、





「絶交なんてしないよ!!!だって私たちは親友なんだもん!!」
「———っ、」









泣くな、私。





————
————————
—————————————



「・・・・・遅かったな」
「どこから見てたの?」
「ほぼ最初から」
「へぇ」



しばらく歩いたところで伊藤が待っていた。





「なんつーかさぁ」



伊藤が私の頭を軽くたたく。





「お前、かっこよすぎんだろ」





また、私の涙腺が緩む。



「でも、驚くほど不器用だったな」


そして今度は優しく頭をなでた。



「もう、会わないつもりだったんだろ?」
「・・・・、」
「本当に馬鹿だ」




『俺にはまねできねぇよ』なんて軽く笑いながら。



「お前、笑えてねぇよ?言っとくけど」
「・・・うる、さい」
「あの子の前では必死で強がってたっぽいけど、お前、泣いてるからな今」
「・・・・っ、」











「お疲れ様」






「———っっ・・・」






(それが、最後にあの子に見せた精一杯の強がり)

Re: Re:愛してる ( No.84 )
日時: 2012/09/09 21:45
名前: おかゆ (ID: CmU3lREQ)




「(あーあ、)」

薄暗くなった帰り道を二人で歩いた。


「(・・どこまでついてきてくれるんだろう)」

さっきからずっと無言で一緒に歩いてくれてる。

もうだいぶ乾ききった目元を軽く触りながらゆっくりと伊藤に尋ねた。


「・・・・・伊藤、どこまでついてきてくれる?」
「ん?・・・あー、どこまでがいい?」
「もういいよ。私は大丈夫だから」
「って言ってもなー、お前そういう時って半分嘘だもん」
「本当だって」
「それに俺ら途中まで道一緒じゃん」
「あ・・・・」



そういえば。
いろいろありすぎて気がつかなかった。




「ほら」



伊藤が軽く笑う。



「そんなことも忘れるくらいまだ、動揺してんだろ?」
「・・・・・・、」



正直、最近彼に助けてもらってばかりだと思う。


私だって、恩返しがしたいのに肝心の彼のことについては何も知らない。

それは彼なりの優しさなのだろうかそれとも——・・


「・・・・・そうだね」


私は伊藤にそう短く返事をするとさっきまで頭の半分を占めていた考えをやめることにした。


「・・・だって理紗が転校するって聞いたときもう一生会わないのかなぁなんて思ったりしたんだもん・・・なのに、こんな、よりによって停学中にあっちゃってさ。数日で半分が解決しちゃうような・・そんな、こと・・」


「考えてなかった?」


数秒早く伊藤が言った。


「・・・うん。だって・・・数日だよ?私が・・ううん、私と理紗が何日も何ヶ月も考えて悩んでいたことがあっというまに・・・・もう、なんであんなに考えていたんだか分からなくなる・・・」


何も進まないで考え続けるくらいだったら。


「——傷つけても、進むべきだったのかなぁ・・・」


本当に私達がしたことは正しかったのか。


今思えばそれはあいまいになって消えていく。



「・・・思ったんだけどさぁ」


ふと、伊藤が声を出す。



「お前らが考えてきた時間は無駄になんてなってなかったんじゃないか?—・・って、思うんだけど・・」

「え?」

「数日で片付いたって思ってるけどそれは間違いで、その考えてる時間がたくさんあったからこそ、数日で・・いや、一日で片付いたんじゃないのか?」


「・・・・・・、そうかも」


「だろ?」



『やっと笑顔になったな』と笑われ、改めて伊藤はすごいと思った。



「まぁこんな俺の話でも役に立ててよかったわ」






そういった伊藤はやっぱりすごく綺麗に笑うのだ。









すごく・・・・・綺麗に・・・・・・、







(その笑顔を見るたびに私は何度救われて、)

(何度、泣きそうになったことだろう)


Re: Re:愛してる ( No.85 )
日時: 2012/09/16 01:30
名前: おかゆ (ID: SpLhUj83)



伊藤別れてようやく家に帰った。

「・・・・・ただいま」
「あ、お帰り瑠璃」
「うん」


なんとなくぎこちない会話をしてしまったけれど多分これでもちゃんと進めてる。


「・・・けじめ、つけてきたの?」
「・・・、うん」
「そう」


まるで何も言わなくても分かるかのようににっこり笑った。


「今日はカレーでいい?」
「うん、私おなかすいちゃった」



なにがあったのかは詳しく聞かない。

本当は知りたいんだろうな、なんて思いながら私もあえて話をしない。

まだ、心の準備ができてない。


「はい」
「あ、ありがと」



すぐに出されたおいしそうなカレーを食べる。



「・・・・おいしいね」



なぜかまた涙があふれそうになった。






*    *    *    *    


それから早いもので停学十日目。



「ついに明日から学校かぁ・・・」


まず、教室にいけるのかな。

麗華たちの嫌がらせは多分ひどくなっちゃうな。

あれから理紗に何もなければいいけど。

もし理紗に何かが起きていたらその時は麗華に『絶交した』とか言って理紗から引き離さなきゃ。

伊藤はお人好しだから———・・




「・・・・・・・・、」



伊藤・・・・・・、




あいつは・・・伊藤は本当に馬鹿なくらいお人よしで、


私なんかに気を使ってくれて、励ましてくれて、相談にのってくれて。


「・・・・・もう」


『分かってる』  『信じてはだめ』

脳内で何百回と唱えた言葉じゃないか。


信じていいのは理紗と・・・お母さん、だけ。
あと、お父さんも。


彼は自分より下の人間を助けたりして優越感に浸りだけなんだ。きっとそうだ。


あいつは偽善者。じゃなかったらこんな——・・



「こん・・な・・」

歪んだ、 
最低な、
親友を裏切った、
絶交した、      
自己中な、


こんな私と————っ・・・





「(仲良くしたいとなんて思わないでしょ)」





いつか裏切られる。



そんな未来のことが分かってるのなら今からでも準備すればいい。


裏切られたとき、裏切られた後、その全ての行動を。


「・・・・・・嫌だ・・」






こんなことを、考えている自分が本当に嫌いだ。

でも裏切られるのが怖かった。
ならば、

最初から信じなければ良いだけの話だった。


信じたいけれど、裏切られるのが怖いから彼の悪いとこばかりを探して『信用しなくてよかった』なんて安心をする。



「・・・・・・嫌だよ、」



涙がこぼれていた。






(でも分かっているなら、)
(それまでの間楽しんでもいいと思った)

(——・・そんな矛盾)

Re: Re:愛してる ( No.86 )
日時: 2012/09/16 16:41
名前: おかゆ (ID: oSsw04AE)




停学期間が終わった。

久しぶりに制服を着る。

「(こんなんだったっけ)」

ちょっと変な感じがした。

そしてしばらく開かなかったサイトを開く。



<ひまわりさんが入室しました>


「・・・・久しぶりに開いたなー」

なんて呟きながら画面を見ていった。


   ・
   ・

心>>もうホント焦りましたよー・・

心>>あ、ひまわりさんじゃないですか!

ひまわり>>おひさしぶりです。

心>>最近見ないから心配しましたよー(汗

ひまわり>>ごめんなさい。

ひまわり>>ちょっとリアルのほうで忙しくて・・

ゆーし>>ハッ

ゆーし>>男だろ。

心>>ゆーしさん言い方がww

ひまわり>>男じゃありませんよ。

ひまわり>>あー、でも、それもあったかな・・?

ひまわり>>あ、でもでも!!決して恋愛とか!!そういうのじゃないですよ!?勘違いしないでくださいね!?

心>>わかりました^^

ひまわり>>ところで何の話をしてたんですか?

心>>昨日俺が体験した話です。

ゆーし>>こいつ携帯落としたんだとよww

ひまわり>>それは大変でしたね・・

ゆーし>>気をつけろよー(笑)

心>>そうですね・・二人も気をつけてくださいよー?

心>>あ、そろそろ最寄り駅に着くのでこの辺で。

ゆーし>>おー。

心>>今日も一日がんばって。

ひまわり>>ありがとうございます。

心>>では。



<心さんが退室しました>



「・・・・・変わってないなぁ」



何はともあれ、皆かわってなくてよかった。


朝から少し、楽しかった。


そんなことを思いながら私宅を済ませて、家を出た。





(どんだけくじけそうになっても、)

(変わらないものがそこにあったのならそれでもいい、なんて。)

Re: Re:愛してる ( No.87 )
日時: 2012/09/17 02:19
名前: 美久里 (ID: DLaQsb6.)  

初めましてm(__)m

全部読みました。
とっっても感動致しました!!
読んでいる途中で何度泣いた事か!!(寝ながら読んだので枕が冷たいよ☆)

こんな素晴らしい小説を読めるなんて嬉しいです!運命です!(笑)
そう思うほど強く感銘を受けました。

私が今まで読んだ社会問題の小説と違って、もろ好みな小説です!
本っ当に読めて嬉しいです!

更新楽しみにしています。
執筆頑張ってください。

ちなみに、"見えない刃"というのを書いているので、もし良ければ読んで下さい。(駄作注意報!!)

長文失礼致しました。


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