社会問題小説・評論板
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- Re:愛してる
- 日時: 2012/07/26 14:34
- 名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)
『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』
こんにちわ。
名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。
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2012.0219
- Re: Re:愛してる ( No.158 )
- 日時: 2014/01/12 01:27
- 名前: おかゆ (ID: nQ72gOzB)
林 麗華目線
——意味が分からなかった。
いや、言っている言葉、単語、それらは理解している。
問題は『なんで私よりも瑠璃をを選んだのか』、だ。
思えば私は瑠璃に嫉妬ばかりしてたのかもしれない。
表面上では見下していたけれど、
本当は————・・
「・・・私帰るね」
「えっ?」
「だって、このままここにいても気まずいだけじゃない。だったら私は帰る」
「おい、林っ——」
「何よ」
「だったら俺が帰るよ。この場合お前は悪くない・・って言い方もどうかと思うがお前はこのままあいつらと遊んで——」
「これ以上惨めな気持ちにさせないでよっっっ!!!!!!!」
怒鳴った。つい、柄にもなく、感情的に怒鳴ってしまった。
高校生になって、瑠璃ともっと関わるようになって、伊藤に恋をしてから私は結構変わったな。
伊藤の前で無様な姿を見せることが多くなった。
なんて怒鳴りながら冷静に考えていた。
「——私を振っておいてその上そんな気を使わなくていいよ。余計自分が惨めな気持ちになる」
だいたいなんで瑠璃なんだろう。
いつもそればかり考えていた。
瑠璃の大切なものを壊したら、無くしたら、私は瑠璃の変わりになるんじゃないかと思った時もあった。
瑠璃がいなくなったら、私が瑠璃のポジションについたら、
伊藤は振り向いてくれるのかなって期待した。
頭のよさも、友達の多さも、周りからの評判も、圧倒的に私のほうが上だ。
なのに。
なのになのになのになのになのになのになのになのに。
伊藤は瑠璃を選んだ。
たまたまなのかもしれない。
もし、伊藤が瑠璃とそこまで話しをしなかったら。お互いのことをあまり知らなかったら。
「——、」
・・・・・・それでも、伊藤は瑠璃を選びそうだった。惹かれあうんだ。それが運命かのように。
そう考えると・・・・・
「・・・・は、林・・・・・?」
伊藤が私を心配そうな目で見てくる。
それはきっと、私が今泣きそうな顔をしているからだろう。
「 、」
無様な顔をしているからだろう。
「・・・・・・っ、」
泣いて、いるからだろう。
「・・・ごめん、はや——ぐぉっ!!?」
「謝んなっ!!!!!」
勢いよく伊藤を草むらに突き放し立ち上がる。
涙を拭いて、半分以上集まっていた皆の元へ向かった。
「——えっ?麗華どうしたの?まだ見つかってないよね?」
一瞬、ばれたのかと思った。
「・・・・・伊藤が・・・・・・・った、」
「えっ?」
「いと、う・・・・が・・・・帰った・・・な、んか急用が・・入ったんだって・・・」
途切れ途切れ、あぁもう馬鹿みたい。
声も鼻声。ほら皆が気付き始めてる。
最後に伊藤のいるほうを見つめた。
皆は見ていない。伊藤と目が合う。
彼に私なりの精一杯のトラウマを。
一番傷つく言葉を、行動を。
——あぁでも何をやればいいのかわかんないや。
じゃぁ、とりあえず八つ当たり。
一瞬だけ顔をゆがませ、泣きじゃくり睨みながら口だけ大きく動かして、
「 」
言葉を紡いだ。
(『死んじゃえ』)
- Re: Re:愛してる ( No.159 )
- 日時: 2014/03/15 23:59
- 名前: おかゆ (ID: vMaG66qM)
市川 瑠璃目線
あのパーティーから数週間。
冬休みが終わり休み明けのだるさとかで学校に行くのも億劫になるころ。
当たり前のように麗華とはしゃべらないし、伊藤ともしゃべらなかった。
ただなんだか伊藤と麗華の様子がおかしいような気がした。
麗華はまるで伊藤なんて最初からいないように振舞っていて、
伊藤は麗華に何か話しがあるようにみえて・・
「・・・・・・・・・い・・」
別に気になるわけじゃ、ないけど。
「・・・・・・川・・・」
でも三学期入ってから話さないし資料室にも来ないし・・
「——い・・・・おい市川」
「・・・・えっ!?・・あっ、はい!!」
「お前何ボーっとしてんだよ」
「え・・・あー、いえ、すみません・・・」
いつもどおりに資料室で明日の小テストの勉強をしていたら先生が何事もなく入ってきていた。
「・・てか先生いいんですか?」
「何が?」
「いや、仕事・・とか・・」
「休憩だ」
「長い休憩ですね」
先生がむっとした表情で私を見つめる。
私はそれを無視して勉強を再開しようとした。
が、
「お前、伊藤と何かあったんか?」
「・・・・・・・、」
書いていた手が止まった。
「何かって?」
「まぁ、何か」
先生はニヤニヤして聞いてくる。
「・・・・・・別に」
どちらかといえば『何か』あったのは麗華のほうだ。
なんていうのも面倒だったので黙っていた。
「・・・・・図星かよ?」
「違います」
「まぁお前があいつの事を好きになろうが別に俺は関係ないんだけどさ」
「いやだから、」
違う、というのはそれもまたおかしいのから、
「・・・・・・」
「俺的にはさ、まぁ高校生だし、恋愛なんていくらでもしていいと思うのよ。・・まぁ中には一途だとかビッ・・・変わりやすいやつもいるから全員に同じことなんて言えないけど」
「先生今何言おうとしました?ビッ——」
「あぁぁあもう黙れ市川。これ以上言うと俺いろいろ問題になる。・・・・・まぁだから、その、なんだ。お前が伊藤で悩もうと・・林で悩もうと・・案外その悩みはちっぽけだったりするかもな?・・・っていう」
「ちっぽけっ・・、まぁ、先生にしてみれば私の悩みなんてちっぽけでしょうけど・・・・でも」
「まぁ今の高校生のお前らにもお前らにしか悩めないことや解決できないこともあるのも事実だ」
「・・・・・」
「案外お前の考えてることなんて本当にちっぽけなのかもしれないな」
「そんな保障どこに———」
「伊藤はお前が思っているほどやわじゃないし弱くない」
「・・・・・・・え」
「というか多分お前なら・・・・・いやそれはいいか」
「先生何言って——」
「もっと伊藤に頼ってもいいんじゃねーの?」
そのときの先生の声は今まで聞いた中で一番優しかった。
- Re: Re:愛してる ( No.160 )
- 日時: 2014/03/15 23:33
- 名前: おかゆ (ID: vMaG66qM)
先生はどちらかといえば苦手だ。
それは最初から今でも変わらない。
今、でも——・・。
「・・・・は・・・、」
「だからー、」
『もっと伊藤に頼ってもいいんじゃねーの?』
ほら。
そうやって簡単に物事を捉えて。
「お前だって本当は伊藤に頼りたいんじゃねーの?」
そうやって簡単に、私の心の中を読んでいるみたいだ。
「・・・・・でっ、でも・・・」
「お前はさ、伊藤に頼られたら嫌なの?」
「・・・嫌じゃ、ない・・むしろもっと頼ってくれないかな・・とか、思う・・」
「だろ?お前がそう思ってる分伊藤も同じこと考えてると思うぞ?」
「・・・・・・・」
本当に先生は
「・・・・・・苦手」
「そうか」
「地獄耳」
「知ってる」
「・・・・きら、」
「でも嫌いじゃないだろ?」
・・・・・・。
そうゆうところもだよ。私が苦手なのは。
わかってて、
「・・・・・先生がちっぽけって言うと、本当にちっぽけな悩みに聞こえるよ」
「おう。少なくとも借金してまで買ったバイクを三日で盗まれ事故車として返ってきたと悩んでいた俺の友達よりはちっぽけな悩みだと思うぞ」
「なにそれ」
ちょっと笑ってしまった。
何なんだその友達。大丈夫なのか。
「だから大丈夫だよ。お前らならやり直せる」
先生はそういってピースサインを出した。
・・・そしてそのまま目の近くにもって行って、キメポーズ・・。
「・・・それは・・」
「今見てるアニメのキャラのキメポーズだ」
「はあ・・」
こんなときでも先生は私にどんな反応をしてほしいのかわからない。
でも、
先生が何をしたいのかは分かった。
「先生」
「ん?」
「・・・・ありがとうございます」
「・・・・おぉ、」
そしてまた、伊藤の笑顔とにた雰囲気で笑うんだ。
私の好きな、笑顔だ。
- Re: Re:愛してる ( No.161 )
- 日時: 2014/03/16 02:13
- 名前: おかゆ (ID: vMaG66qM)
伊藤 翔 目線
初めてあいつに会ったのは確か入学して一ヶ月も経ってない頃だ。
資料室で会った彼女を『おもしろい』と思った。
『仲良くなりたい』とも思った。
でもしばらくたって、仲良くなれたと思ったのに
彼女にとって俺は友達ではないと知った。
あいつは俺のことを信用も、信頼もしてなかった。
俺はそれがすごく悲しかったんだ。
俺はあいつの闇を少しでも取り除けたら、と思った。
「・・・・なぁ先生」
「何?」
昼休み、北村先生に用事があったついでに相談してみることにした。
「俺市川に信頼されるにはどうすればいいと思う?」
「・・・・・お前最近本当に隠す気なくなったよな」
「いやっ、別にそーゆー訳じゃっ・・!!」
「あーはいはいわかったわかった、『別に市川のことは好きじゃなくて自分はただ市川瑠璃という一人の人間との信頼関係を築けるにはどうすればいいか』ってことを聞きたいのね」
「・・・・・・・」
うざい。
「・・・・・おい・・」
「だってそうだろ?他に何がある」
先生は眼鏡を人差し指で上げて自分の仕事に戻ろうとした。
「あぁぁああごめんごめんごめんなさい!!!!そーですその通りです!!!」
そういうと先生はしぶしぶ俺のほうにまた体を向けた。
「・・・んで?えっと・・市川との信頼関係を築けるには?だと?」
「・・・ッス」
小さくうなずくと先生は少し考えて、
「——もう築けてると思うけどなぁ・・」
なんて言った。
「はぁっ!?んなわけ!!だって——」
「俺は昔のお前らなんて知らんが少なくともお前らはいろんな苦難を乗り越えてきたと見た。あいつは見ての通りあんな性格だし人より不器用だし他の人より辛い経験をしてるかもしれん。
だからまた同じ失敗を繰り返さないためにお前を突き放したり、他のやつを突き放したりしてたかもしれないがそれでもお前は今でも市川と一緒にいるだろ?これからも一緒にいたいと思うだろ?
これからもあいつの隣りでいたいと思うだろ?」
先生は俺の目を見てそれから笑って
「——まぁ聞くまでもねぇか・・だからそれが、市川にも伝わってると思うぞ?」
「・・・・そうか・・な・・」
「あとはお前がもっと市川に気付くことだ」
「・・・・?はぁ・・」
「お前、市川がお前に頼ってきたら嫌か?」
「いえ、全然・・むしろもっと頼ってくれたらとか思ってるけど・・」
「それだよ。お前が市川に頼ってほしいように、市川もお前に頼ってほしいんだよ」
そして先生はピースサインをした。
・・・そしてそれを目の近くに持ってきて、
「・・・・・何すかそれ」
「今見てるアニメのキャラのキメポーズだ」
「はあ・・」
よく見ると先生のパソコン付近にそのポーズをしているアニメキャラのフィギアがあった。
「ま、勇気が出るおまじないだ。とっとと市川に告白でもしてこい。そしたらなんか変わるんじゃねーの?」
「はぁっ!!!!?」
その瞬間チャイムが鳴った。
「・・・・・・告白ってっ・・・何言って、」
「そしたら市川だって少しは——」
「あぁあ!!うるさいっすよ!!!俺次移動なんで失礼します!!!!」
その場を逃げるようにして職員室を出た。
後ろであいつを囲んで『いやぁ青春してますよね』なんてムカつく会話を聞きながら。
- Re: Re:愛してる ( No.162 )
- 日時: 2014/04/04 01:25
- 名前: おかゆ (ID: a1.gBlqJ)
???目線
市川瑠璃といはどういう人間かと聞かれると一言では表せない。
彼女は繊細で、臆病で、人とあまり交わろうとしない人間だ。
——なんて言い方、ちょっと中二くさいか?
いつも独り。人と深く関わることを極端に避ける。
どんな陰口、嫌がらせにあっても凛としている。
そんなイメージだった。
だから俺は彼女に興味を持ったのだ。
興味半分、手助け半分ってところかな。
だんだん関わっていくうちに分かってきた彼女のもろさ、そしてある一人の人間の存在。
彼は彼女にとってあまりにも大きな存在らしい。
彼の行動、言動一つで彼女、市川瑠璃は一喜一憂する。
それまでに彼の存在は強く大きく、また彼女を強くするも弱くするも彼——伊藤翔という人間だった。
なら彼らは付き合っているのか。
答えは驚くことに『NO』だ。
面白いことに自分の気持ちにいまいち気付かず日々をすごしている。
いや、本当はもう気付いていてそれを壊したくないから『いつも通り』の生活をしているのか。
俺はそれが歯がゆくてしょうがない。
そしてその伊藤翔という人間もこれまた一言では表せない人間だ。
彼は誰にでも対等でいて、(もちろん市川は除くが)明るく優しい。
男女共に人気があるらしく、中でも同じクラスのある一人の女子は恋愛対象として伊藤のことが好きだと見た。
だけど彼には、正確に言えば彼と、彼の周りの人間は彼にほんの少しだが一線を引いているような気がしてならない。
それはきっと彼の過去に何かがあったのだろうと勝手に考える。
——もちろん、これらはあくまでも俺の考察で推察なんだが。
市川瑠璃の闇を少しでも取り除いたように、伊藤翔の闇を市川瑠璃が少しでも取り除いてくれたらどんなに——・・、
「・・・・いや、」
そこまで考えてやめた。
市川瑠璃はもう十分、彼の闇を取り除いた。
多分もう、あいつらは大丈夫なところまでいる。
お互いがお互いの過去を受け入れて、前に進もうとしている。
それはもう素晴らしいことではないか。
あとはほんの少しの勇気だけ。
「(途中から関わったやつには流石に全部はわかんねーけどな・・っと)」
俺が出来るのはその勇気をつくるだけ。
なんてたいそうなことを言うけど、
でもしょうがないじゃないか。
いつの間にか俺は
あいつらが幸せになってほしいって思うようになっちゃったんだから。
せめて高校卒業するまでは、
あいつらのいい兄貴的存在になってるといいなぁ・・・
こんなこと絶対にあいつらには言えないけど。
どんな形であれ、
どうか二人が最後まで幸せでありますように。
ふと携帯を開いてとあるサイトにアクセスする。
画面に出たのはとあるチャット名。
前はいろんな人がいろんなことを話していたけどいつしか俺を含めこのチャットには三人しかいなくなっていた。
<心さんが入室しました>
ひまわり>>あ、心さん!お久しぶりです!
ゆーし>>あー生きてたんですか。(笑)
チャットで知り合った『ひまわり』と『ゆーし』。
この二人は高校生らしい。
心>>ちょっとゆーしさんひどくないですか?
ひまわり>>アレですよ!照れ隠しってやつですよきっと。
心>>あぁ、
ゆーし>>そんなんじゃねーよ
なぜか高校生というだけであいつらを見ているような錯覚を覚える。
ゆーし>>・・あのさ、ちょっと相談。
ゆーし>>俺、今好きな奴・・いるんだけど
ゆーし>>告白しようと思うんだ
ひまわり>>ゆーしさん好きな人いたんですか?
ひまわり>>いーなぁ・・私も好きな人、いるんですけどこの想いを伝えたら今の関係に戻れなくなるような気がしてなかなか・・
ゆーし>>だよなぁ・・
「・・・・・、」
なにをこいつらも迷っているのか、
心>>もしかしたら相手も想いを伝えてくれるのを待ってるかもしれませんね。
ゆーし>>え?
心>>いや、俺の周りでいるんですよ。そうゆうゆーしさんやひまわりさんみたいな人。気持ちを伝えたら〜って。でも告白されて嬉しくない人間なんてたいていいないと思いますよ。
心>>それに案外両片思いってのもあるだろうし
心>>それは一概には言えないんですけど
心>>いつだって必要なのは一瞬の勇気だけですよ。
どこの誰かもわからないけど
なんとなく似ている君たち少年少女にもエールを。
心>>頑張って
一生のうちの一瞬をあがけ。
ゆーし>>・・・なんかまさかここまで応援して親身になってくれるとは思わなかった・・ありがとう・・なんか、今もう無敵な気分だわ
ひまわり>>ゆーしさん頑張ってください!
悩んで後悔して笑って泣いてそして、
ゆーし>>ありがとう。
「・・・・ファイト」
精一杯の、青春を。
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