社会問題小説・評論板
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- Re:愛してる
- 日時: 2012/07/26 14:34
- 名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)
『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』
こんにちわ。
名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。
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2012.0219
- Re: Re:愛してる ( No.78 )
- 日時: 2012/07/26 16:27
- 名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)
「・・・・・そっか」
お母さんは話を一通り聞き終わると軽く伸びをした。
「・・・・まず、私が最初に言いたいことが一つ」
「うん、」
「——・・よくがんばったね」
そしてゆっくりと私の頭をなでた。
「・・・・・・・うんっ・・・・」
一番欲しかった言葉、なのかもしれないと思った。
「・・・・話してくれてありがとう」
お母さんは綺麗に笑った。
* * * *
「・・・・・ありがとう、お母さん・・もう大丈夫」
あのあと、私にココアを出してくれてようやく落ち着いた。
「うん、どういたしまして」
お母さんは自分のココアを一口飲んで私に言った。
「・・・・・手伝おうか?」
真剣な目。
何を手伝うのか、何が言いたいのかは言わなくてもわかっていた。
「ううん。大丈夫。これは私の問題だから」
「・・そう」
そして悲しそうに笑った。
「ねぇ、瑠璃。世の中には嫌なことから逃げるなって言う人もいるけど、お母さんはどうしてもつらくて嫌なことがあったら全力で逃げていいと思うの」
「助けを呼びたかったら大声で呼びなさい。瑠璃は一人じゃないからね」
お母さんは綺麗に笑った。その声が心地よくて。
私はもっと頑張れる。改めて思った。
「大丈夫よ、瑠璃にはもう友達がいるはずだから。理紗ちゃん以外にね」
『いるんでしょう?』と問いかけた。
「・・・・・、」
『俺と友達になろう!!』
突然あの言葉が頭をよぎった。
始めは訳がわからなかった。
でも今はすごく、嬉しかった言葉。
「うん、いるよ。できたんだ」
とても大切な、私を助けてくれた恩人が。
(ありがとう、私なんかに友達だといってくれて。)
- Re: Re:愛してる ( No.79 )
- 日時: 2012/08/04 14:28
- 名前: おかゆ (ID: qTh1yy9a)
停学六日目。
個人的に一番ちょうどいいと思った。
四日もあれば色々と考えることも出来る。
だからまた学校に行く勇気も出る。
『今日、時間ある?あって話がしたいんだ』
久しぶりのメール。もっと前に打っとけば良かったかな。なんて考えも数分後に来た理紗のメールで吹き飛んだ。
『うん、いいよ。じゃぁこの間会った場所で待ち合わせしよっか。』
『ありがとう』
「・・・・・・?」
なんで理紗はありがとうなんて言葉を使ったのか、私にはわからなかった。
そして忘れないように伊藤にもメールを打つ。
『今日の四時半過ぎにこの間言った場所で理紗と話す。』
そして数分もしないうちにメール。
『終わり次第向かう』
「・・・・別に来なくてもいいのに」
まったく、本当に伊藤は優しすぎる。
「(それがたまに、すごく重い)」
こんなに優しくされてしまっては、私は伊藤に何を返せばいいのか分からなくなる。
でも今は。今はそんなこと考えている場合じゃない。
手がかすかに震える。
何度も大丈夫と唱えた。
もう私は過去の私じゃないのに。十分向き合う覚悟は出来ているはず。
「———っ、」
『大丈夫だから』
(ああ、どうか私に勇気を。)
- Re: Re:愛してる ( No.80 )
- 日時: 2012/08/07 00:47
- 名前: おかゆ (ID: mYaacdZq)
ふわり。
ねぇねぇ、あのね、いいお話。
昔のお話なんだけど。
とっても切ない優しいお話しの、その後の話。
——————
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—————————————・・
「・・・・・瑠璃」
いつの間にか眠っていた私を優しく起こしてくれた理紗。
「もう、学校終わったの?」
「もうって、私が来てから30分は寝てたよ?」
寝すぎといって笑う理紗が変わってなくて思わず抱きしめた。
「えっ!?ちょっと、瑠璃・・?」
「ごめんね、理紗」
理紗に会う前、眠ってしまう前、始めに何を言おうか考えていた。
考えて、考えて、考えた結果こんな言葉しか出てこなかったけど。
それでもまだたりない。こんなんじゃ、まだ。
「・・・・・最近どう?」
「え?んー・・すっごく楽しいよ。皆明るくて楽しい子ばかりだし・・」
違う。
そんなのが聞きたかったわけじゃない。
本当は不安なんでしょう?
ほら、そう言って右手の甲をさすってる。嘘をつくときによくやるクセ。
「・・・・・・そういえばさ!!私最近手芸にはまったんだー」
「へぇー・・どんな物作るの?」
「ちっちゃい小物とか人形とか」
「すごいね・・・今度見せてよ」
無理に話題を変えても会話が続かない。
「いつぶりだろうね・・よくここで遊んだ記憶があるなぁ」
「そうだねー」
本当は話したいことなんて山ほどあるのに。
でも私達が話さないのは多分、
あの日のことを触れたくなかったから——・・。
でも進まなきゃいけない。もう逃げちゃダメだから。
「「あのさ、」」
同時。2人が声を出した。
—————
————————
————————————
ふわり、ふわり。
すれ違いばかり起こした少女達の、その後のお話。
あれれ?その後のお話が白紙だよ。
『ねぇ瑠璃これ今の私達みたいだね?』
どこかで懐かしい友人の声。
本当だね、似ているね。と少女は思う。
そして、
蚊の鳴くような声で呟いたんだ。
(じゃぁこの続きは今から起こる出来事なのかな、)
- Re: Re:愛してる ( No.81 )
- 日時: 2012/09/08 22:47
- 名前: おかゆ (ID: fxhCNxuy)
「「あのさ、」」
そして声が重なって、またお互い黙り込む。
「あ、えと・・理紗、どうぞ」
「えっ?いいよいいよ!!瑠璃先言って!!」
そしてまた黙り込んでしまう。
「・・・・・なんかさぁ、本当に久しぶりすぎて・・話したい事、いっぱいあったんだよなぁ」
「私も」
「でもさ、理紗にあった瞬間話すこと全部、忘れちゃって」
「私も」
「でも、すごく、あえたことが嬉しかった」
「・・・・・私も」
そして本題に入ろうとする。
のどに言葉がつっかえるようでうまくしゃべれない。
あぁ、なんでいつもこんなときに言葉が出ないんだろう。
「(悔しいなぁ)」
「——私ね、」
ふと、理沙がしゃべりだした。
「・・・私、麗華たちから・・・その、いじめられてた、時、瑠璃がいつも助けてくれたじゃん?私はいつもそれに甘えてた・・・瑠璃は普通に私を守ってくれるけど、本当は心の中では困ってるんじゃないかって・・・思ってた」
「ちがっ・・」
「瑠璃は優しいんだよ・・・優しくて、私はいつもその優しさに甘える形となったけど・・・本当は瑠璃だってこんな私となんか一緒にいたくないんだろうなって思ってて・・いつもいつも瑠璃は笑って、笑って、私を励ましてくれて・・」
泣き出しそうになった理紗に何て声をかけていいかわからなくなって。
それを察したのか理紗は続けてしゃべる。
「・・・・・それでね、私・・・ある時・・・いじめがもうちょっとひどくなったとき・・・本当にほとんどの人が私に近づかなくなったとき、そのときも瑠璃は私のそばにいてくれたよね・・私、すごく嬉しかった、でもそれと同時に瑠璃は心の中で私のことを笑ってるんじゃないかって・・馬鹿にしてるんじゃないかって・・・思えてきてっ・・・」
そしたらあんなことが起こったんだ、と自嘲気味に笑った。
「制服とか髪の毛とか、たいそう服とか・・ボロボロになって・・・バチが当たったのね」
ごめんね
そう呟いた瞬間理紗はついにポロポロと泣き出した。
あぁ、この子はなんでいつもそうなんだ。
全部自分ひとりで背負おうとする。
私にも少しぐらい、背負わせてよ。
「馬鹿だな、」
そう呟いた私の声は、この子に届いてただろうか。
馬鹿にしていたつもりはなかった。
理沙は一番の親友だった。
親友なのに、大好きなのに、
一番大変なとき、一番そばにいてやれなかった。
「馬鹿だな・・・私は」
そして私は理紗を抱きしめた。
「!?・・・瑠璃?」
戸惑う理紗に、私が流した涙は見えないはず。
「・・・・・本当にごめんね」
(やっぱり理紗は短髪より長髪のほうがよく似合ってる)
- Re: Re:愛してる ( No.82 )
- 日時: 2012/09/16 00:34
- 名前: おかゆ (ID: O9ehSN8q)
「瑠璃?どうしたの?」
突然のことに驚いたのか、涙は止まっていた。
「・・・・・・私も、いっぱい・・理紗以上に謝りたいことがあったんだよ・・」
「・・?」
一呼吸おいてからゆっくりとしゃべる。
「・・・・理紗はさ、いつも強かった。そんな何にでも負けないような強い理紗が私は大好き。だからなのかな・・私も理紗に甘えてたんだよ」
「・・・甘えてたのは、私のほうだよ」
「ううん・・理紗はそう思ってるかもしれないけど・・・今も昔も変わらない。私は理紗が大好きだよ。あのとき、理紗が一番つらいときにそばにいてあげれなかった・・・逃げたんだよ。知ってるでしょ?」
「・・・・違うよ」
「違わない。聞いてたんだよ・・あいつらの笑い声とか、理紗の叫び声とか、なんで先生やほかの生徒が誰もこないんだよって思いながら、一番近くにいた私は聞こえないフリをしてたんだよ」
「違う」
「誰かこれを止めてと思ってたんだ。助けてって思ったんだ。誰かじゃないよね、私があの場にいて助けないといけなかったんだ・・・・・あそこにいって、麗華たちを一発殴るなりなんなりすればよかったんだ」
「違うって言ってるでしょ」
「終わった後に私は理紗の前に行って・・・理紗は優しすぎるから、私のことかばってくれて・・私は謝ることしかできなかったのに」
「瑠璃っっ!!!!」
「———・・・本当のバチが当たったのは・・・・・・私の方だ」
その瞬間、抱きしめていた理紗の腕が力なく抜けた。
「・・・・・・そ、んな・・そんな、こと、ちが、」
「違わないよ・・・・全部本当のことだ・・・あの時、理紗は全部知ってたでしょ?」
「・・・っ、」
「私ね、今停学中なんだ」
「!?」
「麗華の首絞めてさ・・私、気づくのが遅かったんだよ・・・最近だったんだよ・・理紗をいじめてた主犯が私と同じ高校だったなんて」
「・・・嘘・・」
「向こうは知ってたみたいでさ、いまだに理紗のことちょくちょく脅してたなんて・・・私、知らなくて・・腹が立って私、押し倒して首絞めちゃったの」
あーあ、とため息混じりに言った。そして理紗を開放する。
「それなのに、少しの間だけど私、麗華と一緒にいた」
「・・・・・、」
「離れた瞬間寂しいとも思った」
「・・・・・っ」
「・・・・・全て、麗華から聞いてると思うけど」
『ごめんね』
(そう、口に出した瞬間彼女は————)
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