社会問題小説・評論板
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- Re:愛してる
- 日時: 2012/07/26 14:34
- 名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)
『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』
こんにちわ。
名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。
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2012.0219
- Re: Re:愛してる ( No.48 )
- 日時: 2012/04/17 22:56
- 名前: おかゆ (ID: c7fD2IHa)
伊藤 翔目線
『自分を殺してもいいかな』
その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
こいつは普段嘘でそんなことを言う人間じゃない。
「お前・・つまり、自殺・・ってこと?」
なんで、こんなことを聞いてしまったのだろう。
俺は心のどこかで『違う』と言って欲しかったんだ。
こういう嘘、俺は嫌いだけど—・・嘘であって欲しかった。
「・・・っ!?お前っ!!何やってんだよ!!」
俺が少し目を話すと市川は近くにあったはさみで自分の髪の毛を少しずつ切っていた。
「・・・・いと・・う・・私・・死にたい・・」
泣きすぎて目が真っ赤になってる市川。
普段とは違うその行動に俺は戸惑うばかりだった。
「殺してください」
手首にはうっすら切り傷。さっき切ったな・・?
「・・・理紗は、幸せなんかじゃなかったんだ・・高校になっても・・麗華から私のことでいつも脅されてたんだ・・いつも・・理紗はおびえて・・っ、」
そこで市川はまた口に手を当てた。
「・・・・理紗は・・・私のせいで・・」
「それは、」
「アンタに何がわかるのよ!!!!」
「っ!?」
市川の怒鳴り声が響いた。
「いちか、」
「うるさいっ!!だいたい私はっ・・私は嫌われてるんだ!!・・あそこで何を言っても皆麗華の肩を持つ・・そんな嫌われていじめられてる人間を助けたりして楽しいか!自分は優しい人間なんだと思いたいのか!!・・っそんなに・・皆に好かれたいのかっ・・・!!」
ここまでくるともう八つ当たりだ。
でも俺の感情は怒りではなく——・・
悲しみだった。
君は気づいているだろうか。
肩が震えている。
声が震えている。
どうしようもない感情に押しつぶされそうな、その体。
「お前に何がわかるんだ・・」
正直、お前の気持ちなんてわかんねーよ。
わかんない。だから、
「わかんないなら、分かるまで知ればいい」
「・・・、」
「市川っ!!!」
肩がビクッと震えた。
少し泣きそうな声をおさえて俺は叫ぶ。
「———・・俺と友達になろう!!」
きっと、大丈夫だから。
- Re: Re:愛してる ( No.49 )
- 日時: 2012/04/18 16:46
- 名前: クロスダム (ID: LuHX0g2z)
- プロフ: 。
伊藤くん、優しいんだね^^
蝶シリアスな場面なのになぜだか…。
でも、そうやって自殺なんかスンナって言ってくれる人って優しいよね。自殺するなんて言う人は止めてくれる人に感謝するべきだと思ったりした。
- Re: Re:愛してる ( No.50 )
- 日時: 2012/04/21 20:48
- 名前: おかゆ (ID: 3T8mb002)
クロスダム様>>伊藤は瑠璃をなんとかして助けたかったんだと思います(^^)
で、友達になるのが今なんじゃないかと思ったんでしょうね。←
コメントありがとうございます。
- Re: Re:愛してる ( No.51 )
- 日時: 2012/04/21 22:11
- 名前: おかゆ (ID: 3T8mb002)
「・・・・、い・・伊藤・・」
伊藤と目が合った。泣きそうな目。どうして・・?
「いや、確かに・・俺らただ偶然同じクラスになっただけだし、中学校が一緒だったとかでもない。市川のこと全然わかんねぇよ・・でも、分からないなら知ればいいだろ?」
伊藤は座り込んで私と同じ目線になった。
「友達になろう、親友になろう。俺はお前を絶対に裏切らない・・・だから——」
消え入りそうな声でつぶやくように言った。
「・・・・・・・・死ぬとか、言うなよ・・・」
何かにすがりつくように、そして私の肩に軽く手を置いた。
「・・いと、」
「お前はまだやり直せるんだ・・友達と勘違いですれ違っても喧嘩してもまた仲直りできるんだ・・・俺は・・・・俺ら、は・・・」
もう無理なんだ。
伊藤の目から一筋、涙がこぼれる。
「・・・ごめん」
クシャクシャになった顔。真っ赤な目でつぶやく。
「・・・ごめんね・・・伊藤・・」
資料室に2人の、嗚咽が聞える。
- Re: Re:愛してる ( No.52 )
- 日時: 2012/04/22 01:06
- 名前: おかゆ (ID: 3T8mb002)
それは。
遠い遠い、昔の話。
昔といっても俺が中学生の頃の話。
俺には『親友』がいた。
* * *
「・・・いた、愁。もうじき休み時間終わっちゃうよ?」
「えー、あー、もうそんな時間か・・」
「また演劇やってたのか?」
「まぁ、そんなとこ」
俺には親友がいた。
小嶋愁。
俺よりちょっと背の低い、優しくて素直な、そして演劇が大好きな親友。
「ねぇ、翔?ちょっとここ2人いなきゃ無理な場面があるんだけど・・練習に付き合ってくれない?」
愁は演劇部に入っていた。
そしてよく台本を読んでいて、練習。俺もそのたびに聞いて、練習に付き合わされた。
でもそれは意外に嫌でもなく。
「どこだよ」
「ここ。5行目の主人公が言う台詞から」
そして役に入ると愁は別人になる。
ある時は異国の王子様。
ある時は心に傷を負った少年。
ある時は最強の不良。
ある時は森に住んでる不思議な魔法使い。
俺が恥ずかしいと思うような役でもコイツは何のためらいもなく、簡単に、平気でこなしてしまうのだ。
俺はそんな愁が面白くて楽しくて
たまらなくかっこよかった。
「・・・俺を裏切ったなっ!!」
「お前が勝手にだまされただけだ」
今回愁が演じるのは主人公に近い存在の役らしい。
主人公ではないものの、愁はすごく喜んでいた。
「また翔演技うまくなってる・・俺は停滞期かなぁ」
「お前はいつ見てもうまいよ」
そんなやりとりが楽しくて、俺はずっとこれが続けばいいと思った。
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