社会問題小説・評論板
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- Re:愛してる
- 日時: 2012/07/26 14:34
- 名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)
『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』
こんにちわ。
名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。
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2012.0219
- Re: Re:愛してる ( No.58 )
- 日時: 2012/05/02 23:39
- 名前: おかゆ (ID: SDJp1hu/)
事故から数時間がたった。
暗い部屋。久しぶりに雨が降った。
「・・・・」
きっと今通夜だろうな。
目を閉じていても分かる。風景、音。
あぁ、愁のお母さんが泣いてる。
愁のお父さんだって、目に涙をためて泣くのを必死にこらえている。
まわりの親戚も皆。そういえば愁には小3の妹がいたな。
まだ現実がよく分かってないけど、周りの雰囲気で気づいたのか泣きそうになっているんだろうな。
全部、頭の中でできていく。
——・・俺も行けばよかったのかな。
でもどんな顔していけばいいのかわかんない。
ひどいこと言った。
俺は————・・、
「・・・・、」
俺は全体重をベッドに預けた。
* * *
「・・・・まぁ、小嶋のことは、その・・残念だが今は受験に集中して欲しい」
事故が起きてからの数週間後、先生との面談があった。
「・・でもその受験のせいで、俺らは—・・」
「それはお前のせいじゃない・・もちろん小嶋のせいでもない」
「・・・・」
「ひどいことを言うかもしれんが・・今はお前の行きたい高校を目指して勉強しなさい」
「・・・・・・・・はい」
これ以上、何も言うことができなかった。
* * *
「お前も大変だったな」
「親友が死んだのはつらいと思うけど・・何かあったら俺らにも言えよ?友達だしな」
「かわいそうに」
「親友を亡くした、」
「俺らが」
「何とかしないと、」
『助けないと』
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なぁ、知ってるか?俺、翔と同じ中学校だったんだけどさ」
「中学のとき、」
「親友を事故で亡くして、」
「かわいそうで—・・」
「仲良くして—・・」
「助けてやろうぜ」
『かわいそうだから仲良くしてやって』
いつしか噂は一人で歩き出した。
皆が俺を気遣うように、まるで割れ物に触れるように仲良くしてくれた。
偽りの友情。
いつしか本当の友達の接し方を忘れてしまった。
嗚呼、
すごく惨めな気分だ。
- Re: Re:愛してる ( No.59 )
- 日時: 2012/05/05 13:24
- 名前: Me (ID: LuHX0g2z)
- プロフ: 。
お久しぶりです。元クロスダムです。
『傍観者』…かぁ。
- Re: Re:愛してる ( No.60 )
- 日時: 2012/05/14 19:18
- 名前: おかゆ (ID: I4ogAiKW)
Me(もとクロスダム)様
コメントありがとうございます。
ちょっと伊藤君の過去を書いてみましたがどうでしょうか。
多分いじめってほとんどの人が『傍観者』になるのではないでしょうか。
だから伊藤君にはちょっとガツンと言って欲しかったんです。
そしてその結果がこれです。←
- Re: Re:愛してる ( No.61 )
- 日時: 2012/05/14 21:55
- 名前: おかゆ (ID: I4ogAiKW)
「・・・いと・・」
ふと、市川の声で我に返る。
「・・・ごめんね」
もう一度小さく声に出した。
「・・・も・・う、私は、だいじょ、ぶ、だから」
大丈夫じゃないだろうと心の中で思ってても、市川があまりにも綺麗に笑うから俺は『そっか』とまた小さく笑うしかなかった。
「ありがとう、理紗のことを聞いてくれて。ありがとう、さっきの麗華のこと理由も聞かないでただそばにいてくれて」
やっと本当に落ち着いてきた市川は俺の手を軽く握った。
「・・・・でもね、伊藤。もう一つだけ私のお願いを聞いて」
市川が真剣な顔をしていったから俺は少し驚いた。
「——今日はもう帰って?」
「・・・・・え?」
「しばらく一人でいたいの」
自嘲するような笑み。
まるでまた、自分を責めてるようで。
『もう』とっくの昔に友達との接し方を忘れた俺は、
市川がどんな気持ちなのか、このときになんて言葉をかければいいのかわかんなくて。
「・・・・わかった」
考えた結果やっと出てきた言葉はこんなんで。
「・・何泣きそうになってんのよ」
「大丈夫」
「もう、どこも切ったりしないから」
なんて。
気を使うどころか逆に俺が気を使われちゃって。
「・・・・何かあったらメールしろよ。電話でもなんでもいい。来て欲しいならすぐに来るから」
不器用な俺が出したのはそんな言葉。
一瞬驚いた顔をしたけど彼女はやわらかく笑って
「わかった」
そう言ったんだ。
「・・・・じゃぁ」
「うん、」
扉を閉める。
いつか、
いつか彼女に俺の過去を話そうと。
廊下を歩きながら思った。
- Re: Re:愛してる ( No.62 )
- 日時: 2012/05/19 22:19
- 名前: おかゆ (ID: BuoUCzPG)
「・・・、」
ふと、横になってみたくて床に寝転んだ。
ちょっと汚いかなとも思ったけど、そんなことどうでもいいと思った。
「・・・『俺と友達になろう』・・か」
初めて言われた気がする。
彼は一体なんなんだろう。
私と友達になって何の得があるのだろう。
「・・・ハハッ」
理紗の件があってから無意識に自分に得か損か。それだけを考えていたのかもしれない。
そういう人間にはなりたくなかった。
「あーあ・・ヤだな・・こんな自分」
何かつらい事があったとき、すぐに自分を傷つけたり
すぐに誰かのせいにしたり
『どうせ自分なんて』と言って諦めたり
誰かに八つ当たりしたり
こんなに自分はダメな奴だったんだと改めて思った。
一匹狼気取って、
なんでもないような振りして、
親には心配なんてかけたくないから、
もうこれはしかたないと諦めていた。
嗚呼、本当はすごく——・・
「(友達が欲しかった)」
でもそんなことは願ってはダメだ。
きっと、境界線を越えてしまうから。
もう自分が傷つきたくない。なんていうのはわがままだから。
「 」
(誰もいない教室で小さく呟いた声は、)
(誰にも知られずに溶けていった)
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