社会問題小説・評論板

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

Re:愛してる
日時: 2012/07/26 14:34
名前: おかゆ (ID: uOIKSYv5)

   『非常識だとしても皆が常識といえばそれは常識になるんだ』



こんにちわ。

名前を変えて他の所でもちょくちょくやってますが、社会系が一番書きやすいと思ってまた書いてみることにしました。
どうぞ生暖かい目で見守ってください。

1.>>1    2.>>2    3.>>3    4.>>4
5.>>5    6.>>6    7.>>7    8.>>10
9.>>11   10.>>12     11.>>16    12.>>19
13.>>20   14.>>21     15.>>22   16.>>23
17.>>24  18.>>25    19.>>26   20.>>27
21.>>28   22.>>29   23.>>30   24.>>31 
25.>>34   26.>>35   27.>>36   28.>>37
29.>>38   30.>>39   31.>>40   32.>>41
33.>>42   34.>>43   35.>>44   36.>>47
37.>>48   38.>>51   39.>>52   40.>>53
41.>>54   42.>>55   43.>>56   44.>>57
45.>>58  46.>>61   47.>>62  48.>>63
49.>>64   50.>>65  51.>>66   52.>>67




2012.0219

Re: Re:愛してる ( No.58 )
日時: 2012/05/02 23:39
名前: おかゆ (ID: SDJp1hu/)



事故から数時間がたった。
暗い部屋。久しぶりに雨が降った。


「・・・・」

きっと今通夜だろうな。


目を閉じていても分かる。風景、音。

あぁ、愁のお母さんが泣いてる。
愁のお父さんだって、目に涙をためて泣くのを必死にこらえている。

まわりの親戚も皆。そういえば愁には小3の妹がいたな。

まだ現実がよく分かってないけど、周りの雰囲気で気づいたのか泣きそうになっているんだろうな。



全部、頭の中でできていく。



——・・俺も行けばよかったのかな。

でもどんな顔していけばいいのかわかんない。
ひどいこと言った。




俺は————・・、



「・・・・、」

俺は全体重をベッドに預けた。




 *   *   * 



「・・・・まぁ、小嶋のことは、その・・残念だが今は受験に集中して欲しい」


事故が起きてからの数週間後、先生との面談があった。


「・・でもその受験のせいで、俺らは—・・」
「それはお前のせいじゃない・・もちろん小嶋のせいでもない」
「・・・・」



「ひどいことを言うかもしれんが・・今はお前の行きたい高校を目指して勉強しなさい」





「・・・・・・・・はい」






これ以上、何も言うことができなかった。




 *   *   * 



「お前も大変だったな」
「親友が死んだのはつらいと思うけど・・何かあったら俺らにも言えよ?友達だしな」
「かわいそうに」
「親友を亡くした、」
「俺らが」
「何とかしないと、」








『助けないと』






・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



    「なぁ、知ってるか?俺、翔と同じ中学校だったんだけどさ」

                   「中学のとき、」

      「親友を事故で亡くして、」

  「かわいそうで—・・」
               「仲良くして—・・」

「助けてやろうぜ」
    
             




   『かわいそうだから仲良くしてやって』




いつしか噂は一人で歩き出した。



皆が俺を気遣うように、まるで割れ物に触れるように仲良くしてくれた。


偽りの友情。



いつしか本当の友達の接し方を忘れてしまった。





嗚呼、








すごく惨めな気分だ。




Re: Re:愛してる ( No.59 )
日時: 2012/05/05 13:24
名前: Me (ID: LuHX0g2z)
プロフ: 。

お久しぶりです。元クロスダムです。
『傍観者』…かぁ。

Re: Re:愛してる ( No.60 )
日時: 2012/05/14 19:18
名前: おかゆ (ID: I4ogAiKW)

Me(もとクロスダム)様

コメントありがとうございます。
ちょっと伊藤君の過去を書いてみましたがどうでしょうか。

多分いじめってほとんどの人が『傍観者』になるのではないでしょうか。
だから伊藤君にはちょっとガツンと言って欲しかったんです。
そしてその結果がこれです。←

Re: Re:愛してる ( No.61 )
日時: 2012/05/14 21:55
名前: おかゆ (ID: I4ogAiKW)

「・・・いと・・」


ふと、市川の声で我に返る。


「・・・ごめんね」


もう一度小さく声に出した。

「・・・も・・う、私は、だいじょ、ぶ、だから」

大丈夫じゃないだろうと心の中で思ってても、市川があまりにも綺麗に笑うから俺は『そっか』とまた小さく笑うしかなかった。


「ありがとう、理紗のことを聞いてくれて。ありがとう、さっきの麗華のこと理由も聞かないでただそばにいてくれて」


やっと本当に落ち着いてきた市川は俺の手を軽く握った。


「・・・・でもね、伊藤。もう一つだけ私のお願いを聞いて」

市川が真剣な顔をしていったから俺は少し驚いた。



「——今日はもう帰って?」
「・・・・・え?」



「しばらく一人でいたいの」



自嘲するような笑み。



まるでまた、自分を責めてるようで。

『もう』とっくの昔に友達との接し方を忘れた俺は、


市川がどんな気持ちなのか、このときになんて言葉をかければいいのかわかんなくて。



「・・・・わかった」


考えた結果やっと出てきた言葉はこんなんで。



「・・何泣きそうになってんのよ」
「大丈夫」
「もう、どこも切ったりしないから」


なんて。




気を使うどころか逆に俺が気を使われちゃって。




「・・・・何かあったらメールしろよ。電話でもなんでもいい。来て欲しいならすぐに来るから」



不器用な俺が出したのはそんな言葉。


一瞬驚いた顔をしたけど彼女はやわらかく笑って


「わかった」


そう言ったんだ。




「・・・・じゃぁ」
「うん、」





扉を閉める。





いつか、







いつか彼女に俺の過去を話そうと。







廊下を歩きながら思った。



Re: Re:愛してる ( No.62 )
日時: 2012/05/19 22:19
名前: おかゆ (ID: BuoUCzPG)

 

「・・・、」


ふと、横になってみたくて床に寝転んだ。

ちょっと汚いかなとも思ったけど、そんなことどうでもいいと思った。

「・・・『俺と友達になろう』・・か」

初めて言われた気がする。



彼は一体なんなんだろう。
私と友達になって何の得があるのだろう。


「・・・ハハッ」

理紗の件があってから無意識に自分に得か損か。それだけを考えていたのかもしれない。


そういう人間にはなりたくなかった。


「あーあ・・ヤだな・・こんな自分」


何かつらい事があったとき、すぐに自分を傷つけたり
すぐに誰かのせいにしたり
『どうせ自分なんて』と言って諦めたり
誰かに八つ当たりしたり



こんなに自分はダメな奴だったんだと改めて思った。


一匹狼気取って、
なんでもないような振りして、
親には心配なんてかけたくないから、
もうこれはしかたないと諦めていた。


嗚呼、本当はすごく——・・



「(友達が欲しかった)」




でもそんなことは願ってはダメだ。
きっと、境界線を越えてしまうから。

もう自分が傷つきたくない。なんていうのはわがままだから。







「    」








(誰もいない教室で小さく呟いた声は、)
(誰にも知られずに溶けていった)


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。