複雑・ファジー小説
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- OUTLAW 【6ヶ月ぶりの更新ですっ!!ごめんなさいっ】
- 日時: 2014/05/07 00:17
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
ちわちわー、Cheshireって書いてチェシャって読みますww
んーと、誤字脱字、文が変ということがあった際は、スルーせずに言ってください、お願いします。
あと、更新が不定期です。まぁ、暇なんで、多分早いとは思いますが、遅くなるかもです。すいません
あとあと、もうお話自体が下手だと思いますが、どうぞ飽きないで読んでください。
コメント、アドバイス、イラスト、その他もろもろ大歓迎ですwwというか、ください。ください。大事なことなので2回言いました。
OUTLAW
<プロローグ>
>>1
<ハジマリ>
>>18 >>25 >>30 >>33 >>38 >>40 >>41 >>43 >>44 >>49 >>50 >>51 >>56 >>57
<JUNE>
>>86 >>87 >>88 >>90 >>93 >>94 >>95 >>99 >>100 >>101 >>111 >>116 >>121 >>125 >>128 >>131 >>134 >>138 >>139 >>140 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>152 >>159 >>160 >>163 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>190 >>194 >>197 >>198 >>199 >>200 >>204 >>219 >>221 >>222 >>227 >>228 >>231 >>232 >>237 >>240 >>248 >>253 >>257 >>258 >>261 >>263 >>266 >>267 >>269
<番外編1>
>>72 >>76 >>77 >>78
<番外編2>
>>79 >>82
<サブストーリー>
サブストーリーは、チェシャではなくキャラクターをくださった皆様方がそれぞれのキャラクターを主として、書いてくださったお話です
葉隠空悟編 >>201 >>202 >>211 007さん作
阿九根理人編 >>217 ルル♪さん作
社井狛編 >>179 ルゥさん作
黒宮綾編 >>187 朝比奈ミオさん作
<登場人物>
矢吹真夜、篠原梨緒 >>21
高嶺真 >>39
葉隠空悟 007さんより >>5
杵島灯 金平糖さんより >>3
阿九根理人 ルル♪さんより >>6
社井狛 ルゥさんより >>19
璃月那羅 雷羅さんより >>22
榊切 橘椿さんより >>11
黒宮綾 澪さんより >>64
天内小夜 ブルーさんより >>10
皐 ミケ猫さんより >>8
- OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.218 )
- 日時: 2013/07/13 23:57
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
わぁ、さっそくありがとうございます!w
理人の不良っぷりが何気にかっこいいとか思っちゃったりしてるチェシャです、すいません。w
ありがとうございましたです!w
- OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.219 )
- 日時: 2013/07/15 19:03
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
犯人の子供なんて、都合よすぎるだろ。というかまず、何でその昨日の女(多分宿題女)がこんな重要なことを知っているんだ。アウトロウより情報通だ。いや、ここまでくるとただの情報通と呼んでいいのか分からない。
本当にこいつが?ナンパから助けてくれたようなやつが?
「んー・・・何かそこらへんおかしかったんだよな」
「おかしい?」
「おう。俺にとっては父親じゃないけど、そいつにとっては俺が子供なんだと。な?意味分かんねぇだろ?」
確かにおかしい。矛盾している。
でも、さっきこいつは捨てられたと言っていた。もしかしたらそれを踏まえての言葉なのかもしれない。
だったら、こいつが犯人の子供で間違いない。
「そいつの名前、何だか分かるか?」
「さぁ、聞いてねぇな。自分の親とか興味ねぇし」
・・・そりゃ自分を捨てた親なんか会いたくねぇか。
くそ、こんなに近くまで来たのに。
「何でもいいから、父親のことで覚えてることないか」
かなり酷い質問かもしれない。けど、いてもたってもいられなかった。
こいつの一言で、事件が解決に向かうかもしれないんだ。焦らないわけがない。
露骨に顔をしかめて、再びスケッチブックへと視線を落とす。
「・・・俺が覚えているのは最後の言葉だけだ」
「最後の?」
「『お前は俺の本当の子供じゃない』」
つい、息を呑んだ。
言葉が出てこなかった。
これ以上、こいつから父親のことを聞きだして良いのか、不安になってしまった。
そんな俺を悟ったのか、今度は向こうが言葉を続けてくれた。
「俺としてもよく分かんねぇんだよ。そんな風に俺を突き放したのに、何で俺が協力すればそいつを止められるのか」
「・・・昨日の女はそう言ったのか?」
「あぁ、あなたが協力してくれれば、すぐに収まるってな」
確かにいろいろおかしい。
俺の子供じゃない、と子供を否定した親が、今更子供の登場で何か変えられるのか。
最早子供を子供と思っていないのだから、何も変わらないはずではないのか。
・・・でも、待て。
『お前は俺の本当の子供じゃない』。
その言葉が正しいのだとしたら。
言い換えれば、
こいつには本当の親が別にいる、ということだ。
産みの親と育ての親が、違うということだ。
そうだとすると昨日言われた「俺にとっては父親じゃないけど、そいつにとっては俺が子供」というのも理解できる。
こいつに子供じゃないといったのは育ての親だ。そしてきっと、こいつは産みの親と育ての親が違うことを知らないのだろう。そうすると、こいつにとっての親は育ての親しかいない。
つまり、女が言っている「あなたの親」とは育ての親ではなく産みの親ということになる。
・・・そして女は、「あなたが協力すればすぐに収まる」と言った。
ということは、こいつの産みの親、言い換えれば事件の犯人の、今回の事件の動機にこいつが関係しているはずだ。
例えば、こいつが産みと育ての親が違うという状況を生んでしまった理由とか。
詳しいことはよく分からないけど、その理由に産みの親が納得していないのだとしたら。
落ち着け、犯人の特徴を思い出せ。
そうだ、犯人は女子しか狙っていない。
いや、でもこいつは男・・・・・待て。
こいつはそんなこと一言も言っていない。
「・・・・・・・・・・お前って、男?」
「何だよ、藪から棒に」
「いいから」
明らかに嫌そうな顔をしたあとに
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・女で悪いか」
と短く告げる。
・・・人は見た目で決め付けちゃいけないって、社井に教わったはずなのに。いや、罪悪感は後だ。
こいつが、・・・女だとしたら。
娘を奪われた産みの親が、成長した娘を想い、狂った後に娘の代わりになる同い年くらいの女子をさらっているという可能性もある。
もしそうなら、犯人とこいつを合わせれば事件は解決する。こいつの協力で事件が解決できる。女が言ったことと一致する。
俺のこの推測は、一応の筋が通っている。
早くこのことをみんなに・・・
「できた」
ふいに、彼が場違いな言葉を言った。
少し戸惑ったあと、すぐに絵が完成したのだと分かった。
視線を向けると彼が手招きしていたので、俺は立ち上がって、彼が座るベンチまで歩いていく。
アウトロウに帰りたい衝動に駆られもしたが、自分を書いてくれた絵が気にならないはずもなくつい見に行ってしまう。
「色つけられなかったのが残念だけど・・・」
特に隠そうという素振りを見せなかったので、俺は彼が持つスケッチブックを覗き込んだ。
・・・ビックリした。
今まで考えていたこと全てが停止した。
確かにそれは俺だった。噴水の前に無造作に座る矢吹真夜の姿だった。
本物そっくりな、まるで写真のような、それでもどこか写真にない温かみのある不思議な絵だった。
さすがスケッチブックを持ち歩くことだけある。
凄く、上手かった。
そこらの漫画家とかより、上手だった。もしかしたら学校の美術教師より上手いかもしれない。
「凄ぇ・・・」
思った言葉を口にした。だけど、その言葉に彼は驚いたようだった。
「本当か?」
「マジで。俺こんなに絵が上手いやつに会ったの初めてだ」
彼が黙ったので視線を向けると、帽子を深く被っていて見えなかった顔がようやく見えた。
顔は真っ赤だった。でもそれより、綺麗な顔立ちが印象的だった。
・・・あれ、誰かに似てる気がする。
そんなことを思うが、すぐに勘違いだと思い直す。
自分の絵が書かれるというのは、今となれば少し気恥ずかしいことだったことに気付く。いわばモデルをやったのだから、何で自分があんなにすぐに承諾してしまったのか今となればよく分からない。
だけど、何故かそんなに嫌な気がしない。
むしろ・・・
「なぁ、また書いてくれよ」
「え?」
「何か俺、お前の絵好き」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ありがとう」
そこでようやく無表情だった彼が笑った。何だ、笑ってるほうがいいじゃん。
「お前、名前は?」
そんなことを聞かれて、自己紹介もまだだったことに気付く。
「矢吹真夜だ。そっちは?」
「皐。苗字は忘れた」
悲しいことをさらりと言いのけてしまう彼、ではなく彼女・・・皐に、少し違和感を覚えたが、ことがことなので仕方がない。
「そろそろ帰ったほうがいい。日が暮れる」
皐に言われて時計を見れば、時間は結構経ってしまっていた。確かに帰る時間だ。
いや、でもその前に。
「なぁ、連絡先交換しとこうぜ」
俺が誘うと、皐は急いでバッグの中に手を突っ込み、現代にしては少し古い形の携帯を取り出す。
あまり人と連絡先を交換したことがないらしく、俺としてもそんなことは初めてだったので、少し戸惑ってしまった。
どうにか交換が終わると、何故か皐は携帯の画面を見つめ何か考えていた。
「じゃあ、暇なときにでも連絡してくれ。時間作るから」
何を考えているのか気になったけど、あえて聞かずにそう声をかけた。
俺に声をかけられ自我に戻った皐はうろたえながらも返事をする。
「あぁ。俺は大抵ここにいるから、近くに来たときは寄ってくれ」
了解、と承諾しながら、俺は公園の出入り口へと足を向ける。
さて、アウトロウの奴らに何て言おうか。
本編更新!w
- OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.220 )
- 日時: 2013/07/21 14:49
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
さっきは言わないと、と焦ったけど、落ち着いて考えてみれば何て言ったらいいのか分からない。
まず初めにあの宿題女をどう説明する。あいつに関しては不可解な点が多すぎて、逆に怪しい。
そもそも、今俺が考えたことは第二被害者の渡辺香織のときと同じくただの推測だ。何の根拠もない。
しかも肝心なところが分かっていない。皐の産みの親が誰なのか。何故皐がこんな境遇になったのか。
動機や家族関係を分かったところで、犯人確保ができるわけがない。もっと具体的な情報でないと、みんなに言うことはできない。
まだあやふやなままだ。曖昧なことを告げて、みんなを混乱させてしまうのもよくない。
もう少し、情報が集まって俺の推測が確信に近づいたときに言えばいい。
「おい!」
そんなことを考えていると、ふいに後ろから声をかけられた。
今の今まで話していたから分かる。皐だ。
「どうかしたか?」
反射的に足を止めて振り返る。走ってくれたようで、少しだけ息が切れているようだ。
「昨日会った女の名前・・・言ってなかったから・・・」
・・・そういうのは先に言ってほしかった。と思うが、タイミングがなかったのだろう、仕方がない。
それにわざわざ気付いて言いに来てくれたのだから、むしろ感謝しないと。
「サンキュ。それで名前は?」
「あぁ。あいつの名前は・・・」
そして俺は、皐の言葉に耳を疑った。
***
「真夜」
狛くんと那羅ちゃん、そして仕事で帰れない榊さんを残したメンバーで夕食を取ったあと、僕は空悟と話していたところに真夜を呼んだ。
今日真夜くんは帰るのが遅くて随分梨緒ちゃんに怒られたようだけど、まぁ、仲が睦まじくて大変羨ましい。
呼ばれた真夜くんはすぐに反応して、僕たちが座るソファのところへ来てくれる。
「なに?」
「今日、被害者たちの狛くん以外の3人の共通点を調べてみた」
ぴく、と真夜くんが反応したことがすぐに分かる。
「・・・で?」
先を促す真夜くんに、空悟が資料を差し出す。
今日僕らが調べた結果だ。
第一被害者、黒宮綾の3年5組。第二被害者、渡辺香織の2年6組。第三被害者、如月美羽の3年7組。
各クラスの名簿、担任、教科担任、委員会、部活、などのほとんどの情報が記入されてある。
真夜くんも、少し驚いてくれたようだ。
「共通することはいくつかあるけど、3人に共通するものが全くないんだ」
そう。この資料を見てもすぐに分かることだけど、3人に共通するものが1つもない。
クラス全体としてなら多少ある。が、個人に特定すると、全くなくなってしまうのだ。
「これから予測できる可能性は2つ」
と、空悟が真夜にむかって指を1本立てる。
「1つ目。犯人は相手を特定せずに、ただ無差別に被害者を決めている」
次に指をもう1本立てる。
「2つ目。学校には関係ないプライベートなところで、3人には何らかの共通点がある」
空悟の言っていることは確かだった。
でも、どちらも避けたいことだった。
無差別行為は事前に防ぐことができない。プライベート情報も調べようと思えばいくらでもできるけど、できるだけやりたくない。
真夜はそれを聞きながら、資料を食い入るように見ていた。共通しているところを調べているのだろう。
「・・・教師絡みで行くと、教科担任が怪しいか」
3人ともクラスが5組、6組、7組と後ろのほうなので、教科担任が被っているところは多い。特に、五教科以外の科目では。
僕らもそう考えた。
「あぁ。でもその3クラスで被ってる教科担任には、犯行時刻何をしていたかちゃんと聞いてきた。まぁ、全員はいなかったけど・・・」
そりゃもう頑張った。怪しがられない程度にめちゃくちゃ小細工した。
まだ不確かなものだけど、全員がきちんと答えてきた。
そうなると、やっぱり・・・。
真夜くんは、少し考え込んでいるようだった。
と、そのとき。
つんつん、と、いつのまにか真夜くんの後ろにいた梨緒ちゃんが、彼の服を引っ張った。
考え込んでいた真夜くんも、すぐに気付いたようで振り返った。
「どうした?」
「来て」
梨緒ちゃんは真夜くんの手を掴むとそのまま引っ張って、2階へと上がっていこうとする。
「え、ちょ、おい」
突然引っ張られた真夜くんは、バランスを崩しながらも梨緒ちゃんについていく。
話していた側の俺たちは、いきなり相手を連れてかれてしまったのでその場に呆然とするしかない。
「・・・俺らも行くか」
「そうだね」
とりあえず、僕らも着いていくことにした。
2階にあがって、梨緒ちゃんについていくと、視界に入ってきたのは、
廊下に倒れた那羅ちゃんの姿だった。
「那羅ちゃん!?」
僕はすぐに駆け寄るが、その小さな体を抱き起こすことができない。
ここ数年の付き合いで、彼女に触れることに対して軽い拒否感ができてしまった。何でって触ると発狂されるから。
部屋の中は真っ暗で、今まで何をして過ごしていたのか全く想像できなかった。
丸一日・・・何をしていたのだろうか。顔色も真っ青だし、この分だと睡眠も食事も摂っていない気がする。
こんなになって・・・。
「それ」
真夜くんの隣で、梨緒ちゃんが那羅ちゃんの手を指し示した。
目を向ければ、その小さな手には数枚の紙が握られている。
起こさないようにそーっと取って、中を見ると何枚もの画像だった。
全部暗くて、夜ということが分かる。そしてそれらの画像は全て場所が違い、映しているものもそれぞれだった。
まるで、何かの防犯カメラの映像のように。
そしてその画像に赤ペンで丸がつけられているところに、同じと思われる人物が映っていた。
全て、画像の端で、窓の外や鏡に写されたものなど、一見すれば見落としてしまいそうなところばかりだった。
「おい、この自転車、あの日学校に置いてあった自転車だ」
その中の1枚、自転車の車体部分と走者の足が良く映っている写真で、真夜くんが反応する。
日時を確認すると、それは昨日の狛くんがいなくなった時刻だった。
まさか・・・。
那羅ちゃんは、1日中狛くんを探していたのか・・・?
仮にそれが正攻法ではなくても、こんな気力のいる作業をずっと?
そう考えると、自分の無力さが痛感できて、僕は唇を噛み締めた。
資料を全て見終え、一番最後の紙を見て僕らは息を呑んだ。
その紙は、ただ1枚だけ握りつぶされたようにぐしゃぐしゃになっていた。
「・・・社井・・・?」
画像が映し出していたのは校舎裏。プール更衣室の外。
見慣れた場所、高嶺高校にこんな隠しカメラがあったなんて知らなかった。・・・仮にも私立高校のセキュリティをよく・・・。
カメラが写していたのは狛くんの姿だった。
誰かに口を覆われている、正に連れ去られる寸前の場面だろう。
狛くんの影になって犯人はよく見えない。
紙の下らへんは、水に濡れた跡が残っていた。
・・・那羅ちゃんは、この画像を見て、泣いたんだ。写真越しに見た狛くんを想って。泣きはらした目が、酷く痛々しい。きっとそのあと、見たくないと思って、ぐしゃぐしゃに握り締めてしまったんだ。
そんな那羅ちゃんの葛藤が目に見えて、複雑な気分になった。
「・・・こんなに頑張ってくれたんだね」
ふと、僕はそう呟いていた。
- Re: OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.221 )
- 日時: 2013/07/24 18:59
- 名前: ルゥ (ID: KOGXbU2g)
!(◎▽◎)
とうとう那羅ちゃんがやってくれましたね!
いよいよラストスパートってとこでしょうか?
面白いです!すっごく惹かれます!
これからも応援してます!お体に気を付けて頑張って下さい!
- OUTLAW 【参照2000ありがとうございますっ!!】 ( No.222 )
- 日時: 2013/07/26 10:28
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
本当に長くなってしまい、申し訳なく思っています・・・orz
次回っていうか、次章(?)からは手短にまとめることを心がけていきますので、暖かく見守ってください。お願いします。
ですね、もうすぐ終わりそうです。またこれが全部つなげるのが大変そうで、少し手こずってしまっているのです・・・。更新が遅れてしまい、もどかしい気分です^^;
応援ありがとうございますw そう言っていただけて何よりです。w
というわけで、本編の続きです
真夜くんや空悟、梨緒ちゃんは、何も言わなかった。
無駄にはできない。
こんな小さい子の頑張りを、無駄にできない。
「明日探そう。この資料を元にすれば、見つかるかもしれない」
そう言うと、みんな無言で頷いた。
さて、じゃあ明日に備えて寝ようか。
と声をかけようとすると、ポケットの中の携帯が突然震えた。
もう夜も遅いのに、と思いながら携帯を開くと、蓮井凪くんからのメールだった。
『報告です!
1年6組の天内小夜さんが拉致されました。
他にも目撃者がいるので噂の広がりようが尋常じゃありません。
学校も早急に対処するはずなので、動きにくくなるかもしれません。気をつけてください。
灯ちゃんにも連絡が行ってるはずなのですが、きっと言ってないと思うので一応言っておきました。
夜分遅くにすみません。蓮井凪』
「・・・え」
冷や汗が伝った。
どうした?と聞いてくる周りに向かって、雑に携帯の画面を見せる。
みんなの顔が青くなる。
予想通りに犯人が動いた。動揺している。目撃者がいるということも、それを物語っている。
空悟がぎり、と歯を噛み締めると、「杵島っ!!」と叫んだ。
部屋が近いこともあり、灯ちゃんがすぐに出てくる。
「何かしら。こんな夜にうるさいわよ」
「しらばっくれてんじゃねぇよ!何で被害者が出たことを言わない!?」
1年6組、ということは灯ちゃんと同じクラスのはずだ。凪くんも知ってるんだから、当然灯ちゃんも知っている。
「いつ知ったって何も変わらないじゃない。明日になんないとどうせ動けないんだし」
確かに灯ちゃんの言うことにも一理ある。
でも、うん、なんか・・・。
「そういう問題じゃねぇだろっ!!」
殴りかかる勢いで灯ちゃんに迫っていこうとする空悟を、真夜くんが腕を掴んで止める。
「お前は!どうしてそうやってっ・・・」
「そうやって、なに?私、今あなたたちに迷惑かけたかしら」
灯ちゃんの言うことはいつも捻くれているけど、どこか正しいから反論ができない。
だから空悟も、言葉が詰まってしまう。
「昔から言ってるでしょ。アウトロウとしての責務は果たすわ。だけど、必要以上に干渉してこないで」
そうやって自分を守っている灯ちゃんを見ると、胸がきりきりと痛い。
「用件はそれだけかしら。じゃあ私は寝るから。静かにしなさいよね」
面倒くさそうに言い残したあと、灯ちゃんは自分の部屋のドアをバタンと閉める。
不穏な空気が流れる中、恐る恐る手を上げる人物が1人。
「・・・悪ぃ。ちょっと思い当たる節があるんだけど・・・」
真夜くんだった。
視線で促すと真夜くんが言葉を選びながら、慎重に口を開く。
「その、天内小夜って子のことなんだけど、今日・・・」
*翌日*
「え、熊谷先生休みなんすか?」
「あぁ。体調を崩されたみたいで、今日一日お休みするそうだよ。先生が、どうかしたかい?」
つい、呆然としてしまい、目の前の教師に反応することを忘れる。
「・・・・、あ、いや、べつに、えっと・・・美術の教材、もらおうかと思って・・・」
適当に思いついた言い訳を難なく信じてくれたことに死ぬほど感謝したい。
昨日の夜、1年6組の天内小夜がいなくなった。
狛を除く、4人目の被害者だった。
天内小夜は比較的おとなしい性格で、教師から反感を買うような行いはしない。その中で彼女が狙われた理由を、俺はすぐ思いつくことができた。
だってその場にいたのだから。
目の前で、天内小夜が1人の教師に対して怒鳴っているところを見たのだから。
あの瞬間、天内小夜は花を蹴っていた教師から反感を買うことになる。
それを昨日みんなに告げると、みんなの行動は早かった。
まず、その教師の名前は、熊谷信之というらしい。教科担当は美術で、顧問も美術部だという。
そして熊谷信之は、第一被害者・黒宮綾と第三被害者・如月美羽の3年5組。第二被害者・渡辺香織の2年6組。そして、天内小夜の1年6組の美術の教科担任でもある。熊谷への疑いが一層深まった。
ただ、まだ証拠が少ない。4人の中の1人しか辻褄があっていない。残りの4分の3をどうにか埋めなくてはならない。
そこで今、接触を試みたのだが・・・
休み。
何故かそのことさえ、疑える要素に聞こえてしまう。
いや、現場証拠や感情論だけでは犯人を追い詰められない。もっとちゃんとした、物的証拠がないと・・・。
昨日璃月が探し出してくれた自転車の画像と、実物を照らし合わせるのが一番楽だったが、休みとなればそれさえ難しい。住所は分かっているのだから直接行ってしまうのが一番手っ取り早いけど、何にもないのに家に押しかけても逆に警戒されてしまう。
5回の犯行の中で、最低でも2回の犯行に、その時刻、その場所にいた証拠が見つかればいい。
天内の犯行は、熊谷がやったとしてまず考えていい。
今のところ犯人の手がかりは極めて少ない。
第一と第二の犯行の際は、犯人は全くミスをしなかったらしい。その頃はまだ事件性がないとアウトロウが判断していたので、情報収集が間に合わなかったらしいそうだ。第三の犯行ときに、犯人は初めて落し物をしていった。被害者である如月美羽の携帯のストラップと、パンの欠片。第四の犯行・・・つまり社井が連れ去られた・・・では、璃月の資料が役に立つだろう。自転車さえ一致すれば証明される。そして今回の天内では、目撃者がいるということなのでそいつに話しを聞けばいい。
ちなみに、今は放課後だ。授業やらがあったりすると、下手に動くことができないからだ。多分、他の奴らもそれぞれ何か調べていることだろう。
昨日倒れた璃月については、今日は梨緒が見ている。アウトロウの中で璃月に触れることができるのは女である梨緒と杵島だけだ。何となく、昨日の一件もあったので杵島には頼みづらく梨緒に頼んでしまった。その都合で、梨緒は今日欠席だ。
少し物足りない気もするが、事情によってはいないほうが助かったかもしれない。あいつはよく目立つし、・・・俺も人のこと言えないけど。
そして俺には、みんなに言っていない情報がもう1つある。
皐。
昨日、あの宿題女に言われて行った公園で知り合った、絵が上手な女の子。そう、女の子。
もしかしたらそれも犯人が熊谷だということを証明するきっかけになりえるのではないだろうか。
熊谷が皐の父親だということを明確にすれば・・・。
いや、でもあの宿題女が俺ら2人に嘘をついている可能性だってある。あいつを安易に信じていいのか分からない。
・・・ただ、このことをみんなに話していないということが、昨日の杵島と同じことをしているような気がして。
何となく、心にもやがかかっている感じだった。
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