複雑・ファジー小説

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OUTLAW 【6ヶ月ぶりの更新ですっ!!ごめんなさいっ】
日時: 2014/05/07 00:17
名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)

ちわちわー、Cheshireって書いてチェシャって読みますww

んーと、誤字脱字、文が変ということがあった際は、スルーせずに言ってください、お願いします。

あと、更新が不定期です。まぁ、暇なんで、多分早いとは思いますが、遅くなるかもです。すいません

あとあと、もうお話自体が下手だと思いますが、どうぞ飽きないで読んでください。

コメント、アドバイス、イラスト、その他もろもろ大歓迎ですwwというか、ください。ください。大事なことなので2回言いました。



OUTLAW


<プロローグ>

>>1

<ハジマリ>

>>18 >>25 >>30 >>33 >>38 >>40 >>41 >>43 >>44 >>49 >>50 >>51 >>56 >>57

<JUNE>

>>86 >>87 >>88 >>90 >>93 >>94 >>95 >>99 >>100 >>101 >>111 >>116 >>121 >>125 >>128 >>131 >>134 >>138 >>139 >>140 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>152 >>159 >>160 >>163 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>190 >>194 >>197 >>198 >>199 >>200 >>204 >>219 >>221 >>222 >>227 >>228 >>231 >>232 >>237 >>240 >>248 >>253 >>257 >>258 >>261 >>263 >>266 >>267 >>269

<番外編1>

>>72 >>76 >>77 >>78

<番外編2>

>>79 >>82

<サブストーリー>

サブストーリーは、チェシャではなくキャラクターをくださった皆様方がそれぞれのキャラクターを主として、書いてくださったお話です

葉隠空悟編 >>201 >>202 >>211 007さん作

阿九根理人編 >>217  ルル♪さん作

社井狛編 >>179  ルゥさん作

黒宮綾編 >>187  朝比奈ミオさん作


<登場人物>

矢吹真夜、篠原梨緒 >>21

高嶺真 >>39

葉隠空悟 007さんより >>5

杵島灯 金平糖さんより >>3  

阿九根理人 ルル♪さんより >>6

社井狛 ルゥさんより >>19

璃月那羅 雷羅さんより >>22

榊切 橘椿さんより >>11

黒宮綾 澪さんより >>64

天内小夜 ブルーさんより >>10

皐 ミケ猫さんより >>8



Re: OUTLAW 【第2部 START☆】 ( No.98 )
日時: 2013/03/27 11:21
名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)

金平糖さん

コメントありがとうございます!凄ぇ嬉しいっす!www


真夜は梨緒一筋設定ですからwwそしてそれに気付いていないというwwベタな感じですねw

楽しんでいただけているようで、光栄ですww

これからもこんなチェシャですが、よろしくお願いいたしますw



ルゥさん

金平糖さんに引き続き、真夜を気に入ってもらえているようで凄く光栄に思いますw嬉しいです、ありがとwww

狛は・・・一応女の子に間違えられるくらいですから、母親似ですかね?w まぁ、チェシャが勝手に思ってるだけですけどw

実を言うと、生徒行方不明事件をどう解決していくかはまだ考えていないんですよ・・・ww だから、チェシャとしてもどうなるか分からないっていうねw すいません^^;w




お2人とも、コメント凄く嬉しいっすww ありがとうございます、これからも飽きずに呆れずに読んでくーださいっw

Re: OUTLAW 【第2部 START☆】 ( No.99 )
日時: 2013/03/27 22:25
名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)

 和泉、というのは名前だったのか。確かに名前で呼ばせたほうが親近感は沸くだろうが・・・何となく先生とだけ呼ぼう。

「はい、できたっ」

 バシッ、っと、先生は手当てを終えた理人の手の甲を勢いよく叩いた。

 痛そう。今のはやってよかったのか?保険医として、・・・人として。

「いって・・・・」

 当然、理人は痛がって顔を歪めたのだけど・・・さっきまでいたうるさい女たちが今のを見ていたらきゃーきゃー言うだろうと思った。

「じゃあ、手当ても終わったことだし、2人とも帰ったほうがいいわ。話は私がいないほうがいいんでしょう?歩きながら話しなさいな」

「え」

 何でこの人は、俺らがする話が人に聞かれちゃまずいということを知っているのだろうか?

 その疑問を察してくれたらしく、先生はにっこりと笑いながら言った。


「だって、その様子だと矢吹くんもアウトロウなんでしょう?」


「な・・・」

 驚いて理人を見ると、未だに叩かれた手の甲をさすっていた。余程痛かったのだろう・・・いや、そうではなく。

 何も気にしていないようだが、いいのだろうか。アウトロウのことはあまり言うな、と言われていたのだ。

 そんな俺の動揺しきった様子も、先生には面白いらしく必死に笑いを殺していた。何なんだよ、一体。

「慌てなくて大丈夫よ。私は真と同級生でね、何かと聞かされているの。アウトロウの関連で怪我をしたときとか、逃げ込みたいときとか、普通にここを利用して構わないわ」

 俺はまだ仕事内容については一切よく分かっていないが、怪我をする際があるらしい。確かにそういうとき、家まで帰るのは些か面倒だ。保健室を使えるのはありがたいと思う。

 高嶺の奴はそこまで手を回していたのか・・・本当、侮れない奴だな。

 その時丁度よくチャイムが鳴って、俺の思考は妨げられた。

「ほら、怒られるのは私なんだから。早く帰りなさい?」

 先生は急いで俺らを保健室から追い出し、ドアに手をかけた。

「先生、今度はもうちょっと優しくしてね?」

「あら。あなたは痛いほうが好きなんだと思ってたわ」

 意味を間違えれば危ない会話を交わして、先生は俺らににっこりと笑いながら手を振った。

 理人は手を振り返していたが、実際それはあるまじき行為のはずだ。どうしていいか分からず俺が軽く頭を下げると、これまたあの先生はくすっと笑った。

 あまり好きにはなれないタイプの人だ・・・と思いつつ、俺は理人と一緒に廊下を歩き出した。

「随分時間を取らせちゃったね」

「いや、全然平気」

 授業に遅れるなんて俺にとっては日常だ。別に気にすることもない。・・・あぁ、俺は今日が初登校日だったのか。・・・まぁいいか。

「それで?何かあったのかい?」

「あぁ。行方不明者がまた1人増えたらしい」

 その瞬間から、理人の雰囲気が変わる。

 俺はまだこいつと2日しか一緒にいないが、こいつは二重人格なんじゃないかと思うときがある。

 女の子の前とかじゃ凄く優しい王子様なのに、アウトロウの仕事となると酷く冷たい厳しい目をする。

 理人だけではなく、他の奴にも当てはまることだが・・・多分それほど今までこいつらがしてきたアウトロウの仕事は危険なものだったんだろう。

「3年の如月・・・美羽って言ったっけかな?」

「え、水泳部の?」

「知り合いなのか?」

「んー・・・まぁ、ちょっとは」

「?」

 不可思議な受け答えに俺は首を傾げることしかできない。

 その様子を見て、理人は少し考えたあと小さく溜息を漏らして口を開けた。

「たまに夜、誘われてただけだよ」

「誘われ・・・」

 言葉を繰り返そうとして、続かなかった。

 社井が言うには、確か如月美羽は毎晩違う男を連れ込んでいた。そしてその連れ込まれていた男の中に理人がいたということになる。

 別にもう中学生のガキじゃねぇから、何も思わないし引きもしない。理人がそういう人種だったというだけだ。嫌いにもならない。・・・まぁ、ちょっと驚いたけど。

 先生が言ってた、女遊び、とはこういうことだったのか、と心の中で結論付ける。

「勘違いをしないために言うけど、決して抱いたわけではないよ」

「え」

「やっぱり。真夜は意外と変態なのかな?」

「今の流れだったら誰でもそう思う」

「だよね。・・・彼女の両親は共働きでね、小さい頃から寂しい思いをしていたらしい。だから夜1人でいることに耐え切れないんだ。で、そのためにただ一緒にいる話し相手ってところさ。僕1人じゃないはずだよ?」

 話し相手。

 なら、空悟から回ってきた情報にはデマが入っている。如月美羽は抱かれたりなどしていないのだから。

「まぁ、噂ではいろんな人に抱かれてるってなっちゃってるけどね。でも、そうか・・・次は彼女が・・・」

 やはり噂は当てにならないな。確かに家から毎晩違う男が出てきたらそう勘違いしてもおかしくはない。第一俺もついさっきそう思ってしまったわけだし。でも、ただの話し相手となれば、話は大きく違ってくるはずだ。

「やっぱり、ターゲットになんのは女なのか?」

「そうかもしれないね。僕としては許せないけど」

 そこらの男子より女に優しい理人だ。女ばかりを狙った行方不明を、快く思うわけがない。

「にしても、美羽ちゃんは、3年5組だったね。確か黒宮綾さんも3年5組だったはずじゃ・・・」

「黒宮さん?」

 聞き覚えのない名前に反応し、聞き返すと理人が思い出したかのように饒舌に話し出してくれた。

「そういえば、真夜にはまだ話していなかったね。この生徒行方不明事件の第一被害者だよ。3年生の黒宮綾。才色兼備って感じでかなり目立ってたんだけど、彼女、結構問題があるらしくて。よく停学になるから学校ではあまり見かけないんだ。この間やっと停学処分が解けて、久々に学校に来たと思ったら翌日行方不明・・・もう、みんなビックリだよ。でも、彼女の両親はもういないらしくて一人暮らししてるらしいから捜索願は出されていないんだけど、学校としては生徒ということに変わりはないから彼女のことも探しているみたいなんだ」

 調べようと思っていたことが、一気に分かって俺としても少し驚いた。

 でも、才色兼備ということは、彼女の成績はよかったということだ。
となると、行方不明者のターゲットが、成績の悪いもの、には絞り込めない。

「んで、その黒宮綾と、如月美羽が同じクラスなのか?」

「あぁ、そのはずだよ。黒宮さんと美羽ちゃんは、2人とも3年5組のはずだ。ちなみに渡辺香織さんは2年6組だったかな」

 クラスは・・・何か関係があるのだろうか。

 3年5組と2年6組に共通しているものがあり、尚且つこの3人の均一性が分かれば、すぐに解決できるはずなんだけど・・・。

 ・・・でも、待て。確か黒宮綾には問題があると言っていた。いくら成績が優秀でも、問題を起こしていたとしたら、それはどうなるのだろうか。

「なぁ、黒宮綾って奴はどんな問題をしてたんだ?」

「真夜は真面目なんだね」

「え?」

 いきなり突拍子もない方向に話題が逸れて、つい声をあげてしまった。
































黒宮綾ちゃん、登場です!w

Re: OUTLAW 【第2部 START☆】 ( No.100 )
日時: 2013/04/04 00:34
名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)

 今の会話のどこから俺が真面目なんていう話になったんだ・・・。

「だってまだアウトロウになったばかりなのに、こんなに事件に積極的じゃないか。まぁ、僕たちがサボってるわけじゃないけど。真夜は優しいね」

 ・・・。

 俺だって何でこんなに考えているのか、よく分からない。でも、次々に情報が流れ込んできたら、その辻褄を合わせたいって思う。

 被害者を助けたいとは思ってなくもないけど、別にそれが最優先じゃない気がする。

 ただ、これがアウトロウの役割なのだとしたら、俺はアウトロウでいるためにその役割を果たさなければならない。

 だって、アウトロウでないと、あいつの隣にいれないから。

 そう思うと、俺の行動基準はいつからあいつになったんだろう。

 ・・・雨の中での、梨緒との約束をしたときからかな。

「そんなんじゃねぇけど」

「謙遜はよくないよ?まぁ、僕らとしてもありがたいことだから。黒宮綾の問題だっけ。んー・・・数え切れないほどあったはずだけど・・・」

 程よく理人は話題を戻してくれて、俺も思考を脱線せずに済んだ。

「まとめて言ってしまえば、彼女が来てからの3年間、高嶺高校はいじめと自殺者が急増したよ。それでもかなり減ったほうなんだけどね」
「それって1人だけの問題なのか?」

「いや、最初は学年全体の問題としていたんだけど、その被害者たちについて調べていると絶対出てくる名前が黒宮綾だったんだ。でも、れっきとした証拠がないから、彼女自身に尋問ができないでいるんだ」

 それはそれで怪しいな・・・いじめの被害者や自殺者から絶対名前が出てくるなんて、関わっているとしか思えない。なのに、物的証拠がないために尋問に掛けられない。手強い相手だということが見受けられる。

「教師への反抗は尽きなかったね。凄まじかったよ。暴言、口喧嘩なんてまだいいほうだ。校長室の花瓶を割って、職員室の机をめちゃくちゃにしたことだってあった。理科教師の白衣を鋏で切ったり、この間は美術教師の絵を破いたって聞いたな・・・。屋上に行けば生徒を突き落とそうとしたしね。家庭科室では机の上に油を散らして火をつけたことだってあったね・・・とにかく、彼女は度を越えているんだよ」

 また凄い奴だな。理人とは違う意味で、俺には真似できない。暴言口喧嘩なら俺もあったけど・・・多分、比にならないだろう。

 今理人が言ってくれた具体例があってるとしたら、彼女は成績優秀だが評判が最悪だったはずだ。

 評判が悪い黒宮綾と、カンニング行為をしていた渡辺香織、そして今回の成績がガタ落ちした如月美羽・・・。

 ここで俺は1つの共通点を導き出した。


 ・・・教師に反感を買っていることだ。


 黒宮綾についてはもう説明しなくてもいいはずだ。そしてあとの2人についてだが、俺はあまりまだ実感はよく沸かないが、私立高校でのカンニングと成績ダウンはあまりいい話題ではない。

 だが、まだこれは結論ではない。1つの候補だ。しかも、行方不明事件が、人為的なもので犯人がいる場合限定の。もしかしたら、彼女たちの意思で、行方を眩ましているのかもしれない。

 これは俺の中での答えの1つ。まだアウトロウのみんなに伝えるべきではない。

 教師と言ったって、どの教師だかも分かっていないのだから。

「黒宮さんについてもっと聞きたいのなら、空悟に聞きなよ。あいつ、小中と同じだったから」

「マジで?」

「うん、確かね」

 確かに空悟は同じ学年だし、理人に聞くよりいろいろ知っているかもしれない。

 だが、今のところ欲しい情報は手に入った。とりあえず行方不明事件に犯人がいるとして考えると、教師である可能性が高い。

 しばらくは、教師についても探りを入れていこう。こうなるんだったら、午前の授業ちゃんと聞いとくんだった。担任の名前でさえちゃんと覚えてねぇ・・・。

「あぁ、そういえば、美羽ちゃんっていついなくなったんだい?」

「いつ、って?」

「だって今日は月曜日だろう。金土日の、どの日からいなくなったんだ?」

「さぁ・・・それは聞いてねぇな」

「さっきも言った通り、彼女の両親は共働きで度々しか帰ってこないらしいんだ。でも、そんな親でさえ娘の失踪に気付くくらいなんだから、金曜日からいなくなったのかな?」

 それもそうだ。滅多に帰ってこない親が、娘が1日や2日いなくなっただけでは行方不明とは考えない。金曜日の夜からいなくなったとすれば、土日の全てと今日の朝いないとなり不審に思ってもおかしくはない。理人の話を聞く限り、彼女は寂しがりやだったんだから、親が帰ってくる時間帯はいつも家にいたはず。

 つまり、両親たちは帰れば娘に会えるとなっていたのだ。それが3日も続かなかったら、さすがにおかしいと疑い始める。

「もし、美羽ちゃんが金曜日の放課後にいなくなったんだとしたら、彼女が最後にいた場所は学校のプールだ」

「え、何で?」

「美羽ちゃんは水泳が大の得意でね。しかもこの時期になると、この高校は水泳部にだけプールを開けるんだ。一般生徒のプール解放は7月からだけど、水泳部は特別に6月からなんだよ。夏には大会もあるからね。彼女は確かに不真面目だったけど、水泳に対してはいつも熱心だった。金曜日の放課後は、プールの練習があるからと言っていたし、きっと時間もギリギリまでいたんじゃないかな。彼女は意外に天然だったから忘れ物とかがあるかもしれない。そうなると、彼女がいなくなった場所の範囲が学校まで広がる」

 高嶺高校は基本的にいつ帰ってもいいが、最終的には6時までは学校を出なければならない。となると、彼女は学校のプールにいたこととなる。

 彼女がいなくなったちゃんとした時刻は分からないが、夜なのだとしたら6時であっても可能性は低くない。しかも、学校からいなくなったのだとしたら、調べることも一気に多くなってくる。

 理人の言葉は、かなりの情報力があった。

 そうこうしている間に、3階まで着いてしまった。随分とゆっくり歩いていたし、立ち止まったりもしてたから、かなり時間が掛かってしまった。

「となると、学校に忍び込む必要性があるな・・・。このことについては、今日帰ってからみんなで話そう。こればかりは僕たちの独断ではできないからね」

「あぁ、分かった」

 7組の理人は4階。俺は3階。階段のところで俺たちは一度分かれ、それぞれの教室へと向かった。

 この昼休みはかなり重かったな・・・。

 と思いつつ、俺は少しと言っても多少距離がある廊下を歩き、自分のクラスである2年3組のドアを開けた。

 途端に視線が俺へと集中し、俺はついその場で立ち止まってしまう。
 俺に全く慣れていない先生が、黒板の前であたふたと動揺していた。

「て、転校生の矢吹くんだね。授業はもうとっくに始まってるよ、どこにいたんだい?」

「ほ・・・」

 保健室、と言おうとして、あの早乙女先生が「怒られるのは私なんだからね」と言っていたことを思い出した。

 アウトロウの協力者として、機嫌を損ねるのはあまり心地よくない。
 はぁ、と息をついてから、俺は黒板の前に立つ先生を見ながら口を開けた。

「校内を歩いてたら迷ってしまいました」

 この口実は今日から3日間くらいしか使えないな、と思いながらとりあえず馬鹿丸出しの言い訳をする。















引き続きコメントもらえたら嬉しいですw

Re: OUTLAW 【第2部 START☆】 ( No.101 )
日時: 2013/03/29 22:56
名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)

 相手の教師が騙されやすくて助かった。すぐに承諾して、俺が席に着くことを許してくれた。

 ただ、それを邪魔する奴がいた。

 どうやってかって、簡単だ。

 俺の椅子に、座っている。

 空のほうの姫路がくすくすと笑いを立てているのが分かる。

「・・・梨緒さん?そこ、俺の席なんだけど」

「知ってるわ」

「え、うん。じゃあ、自分の席戻ろう?自分の席が分からないとか言わないよね、隣だよ?」

「分かってるわ」

「・・・うん、じゃあ戻ろうか」

「嫌」

「何で!?」

「昼休み、どこ行ってたの?」

「・・・は?」

「ずっと待ってたのに。真夜は帰ってこなかったわ、これは一体どういうこと?」

「・・・えっと?」

「朝、空悟に一緒にいろって言われたばかりなのに」

「え、いや、それは違うんじゃ」

「どうでもいいわ」

「えー・・・」

 一方的な会話に、俺は戸惑う。授業もストップしてしまった。

 みんな、俺と梨緒の会話をただ呆然と眺めているだけだった。表情を見るに、梨緒がこんなに喋るのは珍しいらしい。口々に迷子ちゃんが喋ってる、などという言葉が聞こえる。どんな希少価値だ、絶滅危惧種か。

「昼休み、どこにいたの」

 確かに電車で一緒にいないだけで寂しがった奴だしな・・・でも、いつも一緒にいるわけにもいかないだろうに。

 でも、きっと梨緒はそこまで分かってて言っているんだ。ただ単に俺を困らせたいだけだ。

 じゃなかったら、予測不能な行動をするこいつは昼休みに俺を探して彷徨うはずだ。

「保健室だよ」

「・・・」

「何」

「やっぱり真夜も綺麗な人が好きなのね」

「はぁ?何言ってんだ、お前」

「和泉のところに行ってたんでしょう?馬鹿」

「何でそうなんだよ。別に理人のとこに行ってただけだって」

「じゃあ、何でこんなに遅いの?」

「あいつの怪我の治療が遅かったから。他に何がある?」

 何でこいつはこう間髪入れずに会話するんだ。息する暇もねぇ。

 でもこれって梨緒はもしかして和泉に嫉妬してるんじゃ・・・?

 そんなことを考え付いてしまうと、梨緒が可愛くて仕方ない。

 だが、授業を止めておくわけにもいかない。というか座りたい、疲れた。

 んー・・・どうするかな、この我儘娘。相変わらず頬を膨らませながら俺を睨んできやがる。・・・あんまり効果ないけど。

 とりあえず、訂正しておきたいところを訂正しておこう。それからは後だ。

「あの和泉っていう先生より、お前のほうが綺麗だと思うけど?」

 何故か教室内で歓声が響く。俺なんか言ったか?本当のことじゃないか。

 つか、俺は梨緒に言ったのに、何で他の奴が赤くなるんだよ・・・意味分かんねぇ。

 梨緒は梨緒で無表情だし。

 でも、数秒経ってから梨緒はそっぽを向いて、自分の席へと戻っていった。

「仕方ないから許してあげる」

 小声でそう呟いて、俺の方をじーっと見てまた目を逸らす。

 よく分かんないけど、とりあえず梨緒の機嫌は直ったらしい。

 首をかしげながら俺もとりあえず席につくと、やっと止まっていた授業が再開した。少しおどおどした感じで、生徒たちもどこか浮ついた感じだったが、もう気にしない。気にしても無駄だ。

 食後の授業ということで、俺はかなりの眠気に襲われていたがとりあえず先生について観察することにした。

 今は黒板を見るに地理の時間らしい。

 ちなみに先生はこのクラスの担任。朝から思っていたことだが、この教師はどうも生徒に舐められている気がする。どこが自信なさげでおどおどしてて頼りない。生徒たちに好かれもしないが嫌われもしない。変な立ち位置の奴だ。

 名前はあまり覚えていないが、こいつは多分シロだ。こんな奴に女生徒を拉致する気力があるとは思えない。

 だとしたら、こいつを観察していても仕方が無い。・・・寝るか。

 あ、いや、待て。そういえば梨緒にまだ第三犠牲者が出たことを言っていない。教室では姫路たちが話しかけてくるから、ここで話すのは不可能になるし、アウトロウに帰るときの電車の中だと周りに人がたくさんいる。アウトロウに着いてからでは、梨緒が1人だけ情報が伝わっていないことになってしまう。

 それは俺の責任になってしまうし、できれば避けたいことだ。だとすれば、言う時間は今しかない。

 丁度よく、俺の隣に来てくれてるわけだし。

 気を引いてしまうから、喋るのは無理だが、隣だからこそできることがある。

 教科書は机の中に入っているが、あえて出さずに机を横へずらす。一瞬、梨緒は驚いたように身を竦めたが、すぐに思い直して元の体勢に戻った。

 転校生、というのはいろいろと都合がいいものだ。教科書をまだ貰っていないことにしてしまえば、すぐに隣の人に近づける。

 そしてノートを開き、梨緒のほうへと向けて字を書いた。

『社井から回ってきたことなんだけど』

 丁寧とも雑とも言えない俺の字を、梨緒は覗き込んできた。

 首を傾げて問い返してくる梨緒を見て、俺はそのまま続きを書き入れる。

『また1人生徒が行方不明になったらしい』

 ぴく、と梨緒が凄く小さな動きで反応したことが分かった。

 梨緒はシャーペンを取り、筆圧の薄い綺麗な字で俺へと言葉を紡いだ。

『誰?』

 とても簡潔な言葉だったが、俺はすぐに意図を察して

『3年生の如月美羽って奴。知ってるか?』

『知らないわ』

 ですよね、と俺は内心で呟く。

『今日帰ったら、きっとその話をすると思う』

 梨緒は何も言わずに俺の字を見つめている。

 返事がないを踏み切り、俺は下の行に続きを書いた。

『だから、今日は早く帰るぞ』

 そこまで書いたとき、梨緒は再びシャーペンを動かした。

『今日の放課後、図書室に本を返しに行きたいんだけど。だめ?」

 図書室、にまだ行ったことがない俺は想像しかねたのだが、本を返すくらいはそんなに時間も取られないだろう。

 だったら、別にそのくらい平気な気がする。

『分かった』

 一通りの会話を終えて、机を戻そうとしたがまだ授業は終わっていないし今戻すのは変だ。

 まぁ、この時間は梨緒と机をくっつけておこう。

 ・・・落ち着かないな。

 何でか隣が気になる。

 俺の視線は相変わらず外を向いていたが、どうも心臓の動きが早い。
 ・・・少しくらい、いいか。

 とか思って、少しだけ梨緒のほうに視線を向けると、何故かその時梨緒もこっちを見てて。

 えっ!?ってビックリしてすぐに視線を戻すと、隣の梨緒も同じような動きをした気がした。

 でもやっぱり気になって、また梨緒のほうを見ると、梨緒も同じタイミングで俺のほうに目を向けていた。

 そしたら、梨緒がくすくす笑った。こいつが目に分かるくらいに笑っているのは初めて見た。いつもそうしてればもっと可愛いのに。

 俺もつい笑ってしまった。何でか、2人して同じことをしていることが面白かった。

 こういうのも悪くないな、って心底思った瞬間だった。

















はい、真夜と梨緒のいちゃいちゃシーンですw

Re: OUTLAW 【第2部 START☆】 ( No.102 )
日時: 2013/03/29 23:11
名前: ルゥ (ID: JxRurJ5z)

自覚なしにいちゃつく……ってかデレるのはある意味の才能だとぼかぁ思うなぁwww

恥ずかしげもなく「綺麗」って面と向かってその他大勢の視線の中で言える人はある意味尊敬できるぜ!真夜!
こらそこー!公衆の前でイチャつかなーい!
って突っ込んでくれる人はいなかったみたいですねwww


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