複雑・ファジー小説
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- OUTLAW 【6ヶ月ぶりの更新ですっ!!ごめんなさいっ】
- 日時: 2014/05/07 00:17
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
ちわちわー、Cheshireって書いてチェシャって読みますww
んーと、誤字脱字、文が変ということがあった際は、スルーせずに言ってください、お願いします。
あと、更新が不定期です。まぁ、暇なんで、多分早いとは思いますが、遅くなるかもです。すいません
あとあと、もうお話自体が下手だと思いますが、どうぞ飽きないで読んでください。
コメント、アドバイス、イラスト、その他もろもろ大歓迎ですwwというか、ください。ください。大事なことなので2回言いました。
OUTLAW
<プロローグ>
>>1
<ハジマリ>
>>18 >>25 >>30 >>33 >>38 >>40 >>41 >>43 >>44 >>49 >>50 >>51 >>56 >>57
<JUNE>
>>86 >>87 >>88 >>90 >>93 >>94 >>95 >>99 >>100 >>101 >>111 >>116 >>121 >>125 >>128 >>131 >>134 >>138 >>139 >>140 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>152 >>159 >>160 >>163 >>166 >>169 >>170 >>171 >>172 >>190 >>194 >>197 >>198 >>199 >>200 >>204 >>219 >>221 >>222 >>227 >>228 >>231 >>232 >>237 >>240 >>248 >>253 >>257 >>258 >>261 >>263 >>266 >>267 >>269
<番外編1>
>>72 >>76 >>77 >>78
<番外編2>
>>79 >>82
<サブストーリー>
サブストーリーは、チェシャではなくキャラクターをくださった皆様方がそれぞれのキャラクターを主として、書いてくださったお話です
葉隠空悟編 >>201 >>202 >>211 007さん作
阿九根理人編 >>217 ルル♪さん作
社井狛編 >>179 ルゥさん作
黒宮綾編 >>187 朝比奈ミオさん作
<登場人物>
矢吹真夜、篠原梨緒 >>21
高嶺真 >>39
葉隠空悟 007さんより >>5
杵島灯 金平糖さんより >>3
阿九根理人 ルル♪さんより >>6
社井狛 ルゥさんより >>19
璃月那羅 雷羅さんより >>22
榊切 橘椿さんより >>11
黒宮綾 澪さんより >>64
天内小夜 ブルーさんより >>10
皐 ミケ猫さんより >>8
- Re: OUTLAW 【んーと、いろいろ受付中?w】 ( No.143 )
- 日時: 2013/04/19 18:14
- 名前: ルゥ (ID: r7R/hJB6)
全然(狛に関しては)大丈夫です!
なんかOUTLAWめっちゃ楽しくて好きですww
お気に入り登録済みですぜ!
もう、あと二人くらいオリキャラ入れたい気分ww
まあ、ダメなのはわかってますが←
これからも応援してますので、体に気を付けて頑張ってください!
- Re: OUTLAW 【んーと、いろいろ受付中?w】 ( No.144 )
- 日時: 2013/04/19 23:04
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
そっ、そんなに言ってもらえると嬉しい半分恥ずかし半分って感じですっ!www
ありがとうございます、本当にめちゃくちゃマジで嬉しいっす!!w
オリキャラ・・・ですか・・・。
そのうちにまた募集する機会があるかもしれませんね、今はいっぱいいっぱいですが、余裕が出てきたら・・・って感じです
もしそのときは、ぜひぜひ宜しくお願いしますww
では、お話の続きを。
「このビオトロープには抜け道があるんだ。俺たちと真くらいしか知らないんだけど。あとで教えるけど、ここには直接校庭に繋がっていないところがある。ほら、校庭の東側に運動部たちの部室が並んでるだろう?」
確かに校庭の東側には運動部の部室が連なるプレハブがある。部室の割りに所有面積が広くて今日の体育のときに驚いたのを覚えている。
「あの建物の非常口は、このビオトロープに繋がっているんだよ。でも、高嶺高校は今までに部室に人がいるときに避難するようなことは起きてなかったから、運動部たちもその非常口がーのどこに出るのか、把握していないんだ。いつもは立ち入り禁止だしね」
学校の仕組みを上手く利用しているということか。
「しかもあの部室棟は昇降口と繋がっているから、そこから一番近い1学年の校舎に入って渡り廊下を通って体育館に行って、それを突っ走ってプールに到着。目的を果たして帰るときはわざわざこっちまで戻ってこないでいいから。その頃には警備員も最終段階で上のほうにいるだろうし、堂々門をくぐるから。そのときの道を確保するのが俺の役目だよ。だから、途中で俺は別行動」
昇降口は、東側も西側も1年、2年、3年と全て一緒。それからの道でそれぞれの校舎へと行くような形になっていた。そこが部室棟に繋がっていても、何もおかしくはない。今回は多分方角的に西側だろう。
・・・だが。
「待て。それじゃあ俺が引きつけるのは1年の校舎の警備員もってならないか?」
今、空悟は確かに1学年の校舎に入って渡り廊下を通って、と言った。なら、1学年校舎を見回る警備員も遭遇する可能性があるのではないだろうか。
俺は体育館などを見回る警備員1人と聞いていたから、少し話しが違ってくる。
「1年のとこの警備員・・・?・・・あぁ、そうか。そこは心配しなくて大丈夫だよ」
何故か空悟は笑い出し、俺の質問に答えていない形で返答してきた。
え、何か俺笑われるようなこと言ったの?つか、教えてくれないわけ・・・?
結局俺はどうすればいいんだろう。
「そうだな・・・。何かあったら1年の校舎に行って。そしたら何とかなるから」
「は・・・?」
「じゃあ、行こっか。奥入ってきたらフード被れな」
「お、おい、空悟「シー。静かにして」
そう言われてしまうと、俺はもう何も言えない。
大体の行動は把握したものの、何となく不安が残る形となってしまって俺は些か煮え切れない気持ちになった。
空悟と俺が立ち上がると、少し遅れて普通の流れで理人と社井も立ち上がる。誰も俺らが知り合いだなんて思いもしないだろう。見事な演技力だ。
そのまま空悟が歩き出し、俺はそれについていく。少し路線を外しながらも、それでもこちらへと近づいてくる理人たち。
確かに校庭へとは少し外れた方向へ序所に近づいていく。
まるで森の中でも歩いているかのような感覚に陥りながらも、俺は淡々と歩き続ける。
「ここ」
空悟が振り返って指差したところは、上手い具合に木々に隠れている隙間だった。確かに人1人なら通れる。
俺らは木と木の間に入り込む。何だか変な感覚だった。あれかな・・・ウサギを追いかけているアリスはこんな感じだったのかもしれない。空悟を筆頭にフードを被り始めたので俺もできるだけ深くフードを被った。
隙間に入ってすぐに見えた扉。鉄で出来ていて半透明の向こうが見えない窓がついている普通のドアだ。何かもうこんなドアが木の隙間の間にあるとかもう、本当、・・・何か嫌だ。
窓の向こうは真っ暗で、後ろにいる社井の手が俺の服の裾を掴んだ。いつぞやかの梨緒みたいだなと思いつつ、振り返ると、
「ご、ごめんなさい・・・少しだけ・・・」
とその青い目を潤ませながら見上げてきた社井に頬を赤くするなどあるわけがないだろ?何言ってるんだ、馬鹿。
仕方が無いのでそのまま前を向き直り、あとで理人に変わってもらおうと思った。
「行くぞ」
小さく声をかけた空悟に反応する声は1つもない。むしろそれが、肯定の意味を持っていたのだ。
ドアが開き、足音を立てないように注意を払いながら学校内へ忍び込む。
部室棟の中は、電気が1つもついておらず、社井の手の力が一層強まった。
「出入り口」を示す天井に浮かぶ緑色の電気や、廊下の隅に置いてある消火器の場所を示す赤い電気が妙に不気味で、息が止まる思いだった。
部活に入らない俺が部室棟に入るとは思っていなかったが、こういう経緯で入るとは。
だんだん冷や汗もかいてきたし、早くこんなところ通り過ぎてしまいたい。
早くこんなところ抜けたいのに、走ったら音を出してしまうから走れない。それがもどかしくて仕方が無い。
様々な部活の部室を通り過ぎる。小さな建物だと思っていたのに、案外長く感じる。・・・歩くのが遅いからか。
社井が後ろで震えていくのが分かる。俺の服の裾を握る手が小刻みに震えていたから。
それなりに予想はしていたけど、やっぱり不気味だな。
梅雨のじめじめとした空気も鬱陶しい。
序所に新たな空間が見え始める。さっきの空悟の説明の通りなら西昇降口だ。
やっとこの長い廊下も終わり、と思って振り返ると、案外そんなに長くない廊下で、少し拍子抜け。
そこで一旦止まり、4人が向き合う。
いつもの明るいイメージはなく、真面目な感じで俺は息が詰まりそうになった。
「じゃあ、俺はこれから別行動取るから。多分真夜もだろう?気をつけてな」
「あぁ」
小声で言われ、つい小声で返してしまう。
そのまま空悟は何の躊躇いもなく1人で進んで行ってしまった。
流石・・・と言うべきか、何というか。俺もこうなれんのかな・・・。いや、言っちゃうとマジで怖いんだけど。
「じゃあ、俺らも行こうか。真夜はもう少し一緒で大丈夫だよね。狛くんのことよろしく」
何でこいつはこの状況でも笑ってられるんだろう・・・不思議で仕方が無いんだが。
「何がよろしくだよ・・・」
と強がっておきつつ、実は社井に掴まれていることに逆に安堵している自分がいたりする。
少しだけ空気が和んだあと、俺らは1年の校舎に入る。
警備員がいるため俺は無条件で気を引き締める思いだったのだが、何故か理人と社井は普通に歩いているだけだった。
空悟のときもそうだったが、何でこいつらは1年の校舎の警備員に対して気を張ってないんだろう・・・聞きたいけど、声を出せないので保留にしとこう。
1つの教室でもかなり廊下を有するらしい。とりあえず1クラス分通り越して、渡り廊下を渡って体育館へと向かう。
ここらへんで俺は理人たちと分かれることになる。
「じゃあ、このへんで。社井、もし本当に辛くなったら火ぃつけろよ」
「う・・・ん・・・。ありがとう、ございます」
本当に体調を悪そうにしながら社井は俺から手を離し理人へと歩み寄った。
また落ち合うことを確認しながら、理人と社井は体育館の奥へと進んでいく。
やっぱり苦手だな・・・ごめんなさい
- Re: OUTLAW 【コメントその他もろもろ大歓迎っ!w】 ( No.145 )
- 日時: 2013/04/20 18:16
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
さて・・・まずは体育館担当の警備員がどこにいるか把握する必要があるな。
校庭から回るということは、北から南へ、校庭、体育館、プール、と回るはずだ。
多分今はまだ校庭にいるはず。そのうち体育館まで来るだろう。
そしたら、とりあえずそこで足止めして・・・。
・・・さぁ、ここで問題だ。
俺はまだどうやって足止めする方法を決めていないのだ。
理人からは自然にプールから遠ざけて欲しいと言われている。
でも、俺はそういった頭を使う戦法はあまり得意ではない。
できれば、見られる前に殴って気絶させるのがいいんだろうけど、逆に警備員が倒れているというのもある意味問題になりかねない気がする。
意識を持った上でプールから遠ざける・・・となると、この馬鹿広い体育館で何か物音でも起こせばいいんだろうけど・・・それをバレないようにやるとなると・・・な・・・。
とりあえず体育館に何があるのか知っておく必要があるか。
ということで、俺は体育館内を徘徊し始めた。
倉庫の数、位置、中身、・・・これについては通常の体育館より整備が完璧だった。あと、ステージの設備と、機能。
んー・・・確かに設備は異常な程整っているが、基本的には普通のと変わんないか。
1つ1つ見てたから時間を食ってしまった。
やべぇ、時間がねぇ・・・。
どうする。多分あと数分で警備員は巡回してくる。あまり凝った仕掛けはできない。
もう適当に見えないところから堅めのボールでもぶつけて気絶でもさせるか・・・?ボールは回収すればいいだろうし。
・・・それでいっか。少し離れたところで起きないか見張っとけばいいわけだし・・・。
あ、でも、あれか。帰るときに寝てる警備員なんかがいたら邪魔だな。気絶させるとしたら倉庫の中がいいな。
それこそ窓を開けといて、立てかけてあった剣道の竹刀とかわざと大きく音を立てておびき出すか・・・。んで、倉庫に入ったら後ろから・・・。
いや、それだと警備員が起きたときに相手がいることが分かってしまうか?出来すぎてるもんなぁ・・・。
様々な思考を巡らせながら、俺は竹刀が置いてある倉庫へ行った。
室内運動部が使用しているらしいロッカーの数々。仕舞うのが面倒になった竹刀は3本ロッカーの外に放ってある。
あとここにあるものと言えば、チームとかを記すホワイトボード。これは何だか不思議な構造をしていて、足が折りたためるようになっており、収納が随分と楽に見える。現に、そのホワイトボードはロッカーと壁の間の隙間に綺麗に収まっている。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・これだ。
そう思いついた俺は、音を立てないように注意しながらホワイトボードを引っ張り出し、足を広げないままロッカーに立てかけた。
竹刀とホワイトボードの位置を調整し、竹刀が倒れたら丁度ホワイトボードに当たるようにする。そうすればこの細い足で組まれたホワイトボードは簡単に倒れるはずだ。倉庫の出入り口に近いところにしておけば警備員に当たるはず・・・。気絶しなかったらその時はもう、竹刀で頭を打とう。ホワイトボードに倒れられたことのほうが印象が強いだろうし、自分が気絶していても、ホワイトボードに打ったからと勝手に解釈するはず。
俺はどっか空いてるロッカーにでも隠れてればいいし・・・よし。これでいいはず。
じゃあ、あとは窓を開けるだけ。そしたら、警備員の足音を頼りにして倉庫の前に頃に竹刀を倒せばいい。
大体の作戦が思いついた俺は、窓に近づき鍵を開けた。
そのとき。
まだ開けていない窓のガラスの向こう側で、
何かが光る。
光の形で分かる、それは
懐中電灯だ。
俺は突発的にその場にしゃがみ、窓の外から見えないように膝を抱えた。
体育館の側面は一応通れるようになっている。そこに人がいてもおかしくはない。だがそれは通常の時間に限る。
こんな時間帯に体育館の渡り廊下を通るような奴がいたとしたら、
警備員。
早い。早すぎる。今ここで窓を開けたら、絶対に気づかれる。
変に逃げて音を立てることを恐れ、俺はその場で硬直してしまう。
どうする。もしここで俺が見つかったら元も子もない。
・・・でも、待て。確かにここも警備員は通るだろうが、校庭から見回るのだとしたら階段で繋がっている中から回るはずだ。わざわざ遠回りをして渡り廊下から見回る必要性が感じられない。
体育館の渡り廊下で何か問題が発生していて、警備員が夜にも見回ることになっているのだとしたら、あの真が伝えているはずだ。学校の諸事情は全て通達されているらしいし、今回の作戦に関係あることをあいつが言わないわけがない。
だとしたら、何故。
考えられることはただ1つ。
この懐中電灯の持ち主が、警備員じゃない、ということだ。
誰かが、俺らと一緒で何かの目的のために今夜学校に忍び込んでいるのだとしたら。
警備員の目を避けて、あまり使わない渡り廊下を使っていても何も問題はない。そもそも、プールへと行った理人と社井だって、影にある渡り廊下を使っていた。
もし、この推測が正しいのだとしたら、非常に危ない事態になる。
今日という日にち。生徒も教員も全員帰った時間帯。警備員に隠れないといけない状況。そして何より、体育館のこの渡り廊下は、理人と社井が通ったのだから当然、
・・・プールに、繋がっている。
条件が俺らと似ているのだとしたら、その目的だって一緒のはずだ。
そして俺ら以外に、その目的を追える人物は1人しかいない。
生徒行方不明事件の、犯人。
3人の女生徒を行方知れずにさせている、張本人。
つまり、俺らの推測は正しく、如月美羽がプールの更衣室に何か忘れ物、または落し物をしているということ。または、自分自身が何かを落としてきてしまった、ということだ。そこだけを見るのなら、俺らのこの作戦は正しかった。
だが、そこに犯人が来てしまっているのだとしたら。
・・・かなり、まずい状況になるんじゃないのか?
珍しく文字数が残ったので少々雑談を。
んー・・・と言っても得に何もないんですよね。
というか、寒いっ。今4月でもうあと1週間とちょっとで終わるのにどうしてこんなに寒いの!?というか、桜が咲いて散ったのにどうして毛布に包まんないといけないの!?
とか、天候に対して文句を言っても仕方ないなんてことは分かってるんですけどね、はい。何か言いたくもなりますよね。
チェシャの体質が、暑いと頭痛、寒いと腹痛、っていう最悪なものでして。この間友達に「お前面倒くせぇな、何なら平気なんだよ」「え、適温?」的な会話をしました。
別に面倒とか言わなくったっていいじゃないですかねー。というか、面倒なのはあなたじゃなくてこっちだしっ!みたいな感じです。
でもあれですね、その友達に人とぶつかりそうになったときに「危ねぇ奴だな」てかばってもらったときがあるんですよ。何かいつもからかってくる奴に不意にそういうことされるとビックリしますよね。ありがとうって言いそびれちゃって、何だか恥ずかしくなったのを覚えています、はい。ごめんなさい。
・・・今邪魔だからこれ食べちゃって、と言われて雪見大福を渡されたのですが。何なんでしょう?いじめですか?拷問ですか?楽しいですか?馬鹿ですか?
とかこんな感じな馬鹿なチェシャですが、今後ともよろしくお願いします
- Re: OUTLAW 【コメントその他もろもろ大歓迎っ!w】 ( No.146 )
- 日時: 2013/04/22 00:06
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
もし、既に理人たちが犯人の今日の目当てのものを見つけてしまっていたら。3人もの女生徒を拉致または監禁しているのだ、口封じのために理人たちに危害を加える可能性がある。
ただでさえ社井は苦手な状況に疲れているというのに、あまりに酷過ぎるのではないだろうか。
壁を通してだんだん足音が近づいてくる感覚がある。挟んでいるのは壁1枚。まず理人たちに辿り着かれる前に俺に気付かれるかもしれない。
やばい。待て。どうする。もうそろそろ本当の警備員も来るはずだ。今この場から動くのは避けたい。だが、この懐中電灯の持ち主も、止めないといけない。
俺の役職は足止め。プールの更衣室にアウトロウ以外の人物を近づけないこと。
それは警備員だけに限らないはずだ。
でも・・・。
こうしている間も足音は消えない。どんどん大きくなっていく。
見たほうが、いい。もし本当に犯人なのだとしたら、顔を見たほうが絶対にいい。というか、それが最高の手段だ。
だがそれではこちらの表情も見えてしまう、そしたらまた面倒なことになりそうだ。
俺らの推測が本当に正しいのだとしたら、これは高嶺高校の教員という可能性が高い。教員と生徒では、あまりに立場に差がありすぎる。
どうする・・・?
・・・コツ、コツと。
足音が、二重になった。
壁の外から聞こえてくるものと、
ドアの外から聞こえてくるもの。
警備員が来てしまった。
タイミングが悪すぎるだろっ!と突っ込みたくなる衝動に駆られながら、俺はどんどん嫌な汗をかいていく。
鼓動が早い。呼吸が荒い。
外の奴のことは一先ず置いといて、警備員はこの機会を逃したら後はない。
ちっ・・・もう、なるようになれっ!!
とりあえず俺は、最優先として警備員を選んだ。もうこうなったら窓は開けられない。だけど、別に風がないと竹刀が倒れないわけでもないのだから、どうにかなるはず。
俺は一番端のロッカーを開けて、運よく空だったことを確認すると音を立てないように配慮しながらそこに身を潜めさせた。
そして、2つ聞こえてくる足音のうち、室内で響いている足音だけを拾う。
足音が、だんだん近づいてきて、
今、倉庫の前を通り過ぎる。
そして俺は、竹刀を横に押し倒した。
4本の竹刀のカランカランッという竹特有の音がその場に響く。すかさず俺はロッカーを閉め、外の様子を伺った。
当然のことながら、竹刀の倒れた音は外にも聞こえ、すぐ近くにいた警備員は一目散に倉庫のドアを開けた。
「何だ・・・?」
という声がしたかと思ったかと思うと、
倒れてきた竹刀にぶつかってバランスを崩されたホワイトボードが倒れる。
警備員の短い悲鳴と共に、バタンッ!という竹刀よりも大きな音が響き何も音をしなくなった。
ふと、外にいた奴の足音もどんどん遠ざかってゆく。今行っていた方向とは反対方向だ。ホワイトボードの倒れた音が、窓の外まで聞こえていたのかもしれない。
俺はロッカーの隙間から外を見て、警備員がホワイトボードの下敷きになっていることを確認する。
数秒経っても動く気配はないので、一先ず安心しロッカーの中から出た。
一応、起きたらまずいので、ついさっき自分が倒した竹刀を拾い上げ、勢いよく振りかぶって警備員の頭をぶっ叩く。気絶している警備員が危険を回避できるわけもなく、かなり気持ちのいい音を出しながら警備員は二度目の衝撃を受けた。これである程度の時間は大丈夫だろう。無抵抗の奴をぶっ叩くことに関しては、躊躇いも何もなかった。
外の足音ももういなくなった。とりあえず俺は窓を開けて、状況を作り出す。
さて、これで俺の任務は終了か?
と思ったが、俺はさっきまで渡り廊下にいた奴のことが気になる。そっちのほうも調べておいたほうがよさそうだ。
いちいち体育館の中を通って外に行くのは面倒だったので、俺はそのまま開けた窓から身を乗り出し飛び降りた。
向かって左に行けばプールだが、さっきの奴が行ったのは右だろう。
少し怖い気もするが、ここで怖気づくのは男の恥だ。そう思い、俺は慎重に道を進んでいく。
ここは一体どこに繋がっているんだろう・・・?こんなことになるんなら、地図をちゃんと記憶しとおけばよかった。などと後悔しても後の祭りなわけで。
足音の間隔は早かった。つまり、向こうは走っていたということになる。ならば、歩いている俺が追いつけるわけもないか。
などと考えながら、俺はひたすらに渡り廊下を進む。
でも、渡り廊下がそんなに長いわけもなく。
すぐに渡り廊下は終わりを告げ、俺は開けた場所に出た。
校舎にも繋がっているようだが、別にここから靴を履いて校庭へと出てもいい、みたいな場所だった。
あいつは、一体どこに行ったんだろう・・・?
と思っていたら、俺はもう1つの道を見つけた。
道、というよりただの隙間、と行ったほうがいいかもしれないが、その隙間はもう少し奥へと繋がっている。
他の警備員がいる校庭や校舎に行くより、多分こういった場所のほうが分かりにくいはずだ。
入っていい場所なんだろうか、と思いつつ俺はそのまま進む。
道ではなくただの地面と言った方が正しいところを歩くと、先ほどの隙間と同じような隙間を見つける。
そこは、教員用の自転車置き場だった。生徒用の自転車置き場は他にあるが、よくよく考えればそこに近い場所に思える。
ある意味抜け道、とでも言うべきだろうか。近道をする際に丁度いいかもしれない。
何で、自転車置き場なんか・・・?と考えているとき、俺は決定的なものを見つけてしまう。
全員が帰ったはずの学校。当然、自転車通学の教員、生徒だっていないはず。
でも。
自転車置き場の門が、
開いていた。
それはつまり、
今この学校内に、俺たちと警備員以外の人がいることを意味している。
***
空悟と真夜と分かれ、僕と狛くんは今は一般生徒は立ち入り禁止のプールへと足を踏み入れた。
プールに入るのは単純計算でも1年振りで、何だか慣れない感じ。
普通の学校のプールよりは大きいはずのこの更衣室を2人で全部探すのは少し手間がかかる。しかも、狛くんはさっきからもう、本当見るに見かねるくらい震えてるわけだし。
いつもなら狛くんには外で見張り役とかをやってもらっているんだけど、今回ばかりはつい頼んでしまった。
かなりの罪悪感を感じながらも、助けてあげられないことに自分が情けなく思ってくる。今僕が狛くんに出来ることは、できるだけ早く目的を果たしてこの場から去ることだろう。
というわけで、即刻僕たちは作業を開始する。
「えっと、僕はロッカーのほうを見てくから、狛くんは個室のほうを見てくれる?あと、もう無理そうだったら言ってくれていいからね?」
「あ、はい・・・。えっと・・・火、つけても大丈夫でしょうか・・・?」
そんな真っ青な顔で言われたら、断るに断れないじゃないか。
別に、ライターの火くらいなら外にも漏れないだろうし、大丈夫かな。
狛くんポケットからライターを取り出し、不慣れな手つきで火を灯した。何だかミスマッチな組み合わせに、つい苦笑してしまう。
コメントくださいっ
- Re: OUTLAW 【コメントその他もろもろ大歓迎っ!w】 ( No.147 )
- 日時: 2013/04/23 23:36
- 名前: Cheshire (ID: f7CwLTqa)
僕の言った通り、狛くんは個室のほうに向かってくれたので僕もロッカーのほうを見ることにする。
ロッカーは、多分2クラス合同で使ったとしても、1人1個のペースでロッカーを使用することができるだろう。現に男子のほうではそうだった。
これを1つ1つ丁寧に見ていくとなると、ちょっと骨が折れそうだな・・・。そう思いつつ、頑張ってくれている狛くんのことを思い直し、僕も早々に取り掛かる。
次々に見ていくが、何も見当たらない。ロッカーの中は空ばっかりだ。
単調な作業にだんだん飽きてきたけど、僕の手は止まらない。
・・・やっぱりないな。僕の読みは外れたのだろうか。
となると、また踏み出しに戻るわけだ。そうなると、いろいろ面倒だな・・・。
被害者はもう3人だ。そろそろ学校側が問題を直視し始めるだろう。保護者側が騒ぎ出したらそれこそ教育委員会とか出てくるかもしんないし、高嶺高校は大きな学校だから最悪の場合報道されてもおかしくはなくなってくる。
そうなったら、無闇に収集がつかなくなってしまう。警察みたいなのに変に介入されると、こちらが動きにくくなる。明らかに怪しい行動を起こすことになるからね。
そうなる前に一刻も早く終わりにするのが僕たちアウトロウの役目なんだろうけど・・・。
ロッカーの数が残り3分の2くらいになったとき、
「阿九根さん」
と小声で狛くんが僕を呼んだ。
驚き半分と期待半分という気持ちで、僕は狛くんがいる個室へと向かう。狛くんがいたのは端っことも中間とも言えない何とも微妙な場所の個室の中だった。
ライターの光のためか、狛くんの周りは大分明るくて狛くん自身さっきよりも落ち着いている様子だった。
僕が来たことに気付いた狛くんが振り返り僕を手招きする。
狛くんがしゃがみこんでいるすぐ傍まで行くと、狛くんが呼んだ理由がよく分かった。
そこに落ちていたのは、随分古い感じがする小さなくまのストラップだった。もうかなり年期が入っていて、もし高校生の持ち物なのだとしたら幼稚園生のときに買ってもらったのではないかと推測できるくらいの。
そして僕は、そのストラップに身に覚えがあった。
少し前、「昔、お父さんたちに誕生日に買ってもらった初めてのプレゼントなの」と笑いながら自慢げに話してくれた、如月美羽の携帯電話についていたものだ。
「これ、美羽ちゃんのだ」
と反射的に僕は声を零していた。
今時売っているような真新しいストラップなら美羽ちゃんのものだと特定するのは難しいが、こんなに汚れてもう売っていないようなデザインのストラップはこの世に2つとしてないはずだ。しかも、糸が切れていることから、故意に取り外されたのではないということが分かる。
携帯のストラップ、なんてものが取れていたらすぐにでも分かるはずだ。金曜日以前に落としていたとしても、毎日ここに来ていた彼女が見つけないわけがない。つまり、これは金曜日の放課後に彼女がいたことを示している。
それに、彼女はこのストラップをお守りのように大事に扱っていた。それを落としてすぐに気付かないわけがない。学校の教員は9時までいるわけだから、理由を説明したら取りに行くくらいさせてもらえるはずだ。
ということは、彼女はこのストラップを落としてから、ストラップを探しに行けない状況になった、ということだ。
もしかしたら、何かしらの事情、親から貰った唯一のプレゼントより優先すべき事情があったのだとしたら、困難かもしれない。
が、この場合、ここで誰かに拉致されて身動きが取れなくなった、という推測もできる。
とりあえず、これで被害者たちが自分の意思で行方を眩ませているという推測は破られた。何せ、もし美羽ちゃんが行方を眩ませるのだとしたら、絶対このストラップを取ってから、そうするはずだからだ。
「やっぱり、そうですか?じゃあ・・・」
狛くんの言いたいことは何となく想像できた。多分、僕とそう変わっていないだろう。
まず、これは僕らにとって大きな一歩だ。そして今回の作戦の目的が果たされた。
でも、もう少し時間がある。真夜が上手いことやってくれてるみたいで警備員の心配はないし、そもそも空悟との待ち合わせ時間にはまだ少しある。
今動いても空悟がいないのだからどこに行けばいいのか分からない。そう思うと空悟は一番難しい役を買って出てくれた。空悟はできるだけ早く逃げる道を確保して、そしてそれをあちこちにいる俺らに伝えなければならない。当然学校中を移動することになるため警備員のことを一番気に掛けないといけなくなるのだ。
「とりあえず、それは僕が預かっておくよ」
そう言うと、狛くんは慎重にストラップを持ち上げ、ポケットからハンカチを取り出し包み、僕に渡してくれた。
「僕はもう少し見るけど、狛くんどうする?大体はもう平気だからもう外にいても大丈夫だよ。空悟が来たら迎えに行くし」
狛くんは暗いところが苦手だが、夜の暗さは大丈夫らしい。つまり、建物の中ではなく外にいるのなら大丈夫ということだ。
警備員は真夜のおかげで当分来ないだろうし、プール側なら誰からも見つからないだろうし・・・。
何より、僕がこんなに狛くんに無理させたくない。
「本当・・・ですか?なら、すみません。お言葉に甘えさせていただいて・・・」
と言うあたり、相当無理してくれたんだろう。引き止める理由もない。
「うん、分かった。じゃあ、また後でね」
プール側の外、なら思い当たる場所は1つしかないし、問題はないはずだ。
ライターの小さな灯りを頼りにしながら、ふらふらと立ち上がった狛くんはゆっくりと慎重に外へと出て行った。
これで、一先ず安心だ。
僕は立ち上がり、ハンカチに包まれたストラップを落とさないように大事にポケットの中に仕舞う。
残った個室を確認するが、やっぱり何1つ落ちていなかった。まぁ、確かに着替えるのに複数の個室を使うわけがないか。
カーテンやカゴ、その他もろもろを確認し、残していたロッカーも一通り見終わる。
今回の収穫はこのストラップ1つだな。
と結論づけ、僕は狛くんの元に向かおうと思い、ドアに向かった。
・・・あれ?何だろう。
ドアがある壁の隅に何かが落ちている。狛くんのライターがなくなったから真っ暗であまりよく見えない。
僕はしゃがんで、その物体に触れた。・・・柔らかい。というか、乾燥してる。いや、それよりもこれは・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・パン?
しかも食パンとかその辺の・・・?
ひとかけら、って感じで1枚、という単位ではなかったが、それでもパンだということは分かった。随分小さくなってて、それこそネズミとかが食べるサイズだ。
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