二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
上のURLからどうぞ。
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- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.76 )
- 日時: 2013/07/25 07:48
- 名前: Laevatain (ID: C5nAn.ic)
第三十話 接触と謀略〜反アライアンズ過激派【バーバリアンズ】〜 前部
オーディン部隊がグラニットとの邂逅を経て約4時間後。
ここは興業惑星「ウォルプタス」の高級ホテルだろうか。
スーツ姿の恰幅の良い男性達が約15人ほど、煌びやかなレストランホールの室内にて
一般人には口に出来ないような高級かつ美味な料理に舌鼓を打っている。
その中で、銀色に輝く仮面を顔に着け、ワインをたしなむ男の姿があった。
グラニットであった。
また、この会食の中に穏健派貴族院第3議長ロバート=アケーディアの姿もあった。
そして、煌重工業株式会社 人間工学課 課長 アキトシ=マイハマ(舞浜明敏)。
及びAI技術開発研究課 課長 ユウスケ=マツザカ(松坂悠祐)。
さらには、シヴィライゼーションコーポレーションMS開発生産課 マクシム=トルバトールの姿も確認できる。
グラニットはこう言っていた。
—この後、【懇談会】の方々と会食の予定なのでね—
つまり、ここに参加している人物全員がアライアンズの重役の集まりである【懇談会】メンバーであるようだ。
「お待たせしました。本日のフルコースメニューは以上になります。
メインディッシュは惑星【イファニド】産アステア牛のフィレ肉ステーキ、
魚料理は同惑星産ミルキーロブスターのボイル ギャッラルソース仕立てとなります。
なお、本日のワインは惑星【メジュール】産のアメジストグレープによる赤ワインであります、
【シレンティウム】の20年ものになります。
それでは、ごゆっくりどうぞ。」
料理長らしき人間が、【懇談会】メンバーに今日の料理に関しての説明をする。
「ロバート殿、MS用AIの調整はどうなっているのかね?」
アキトシが、ナイフでフィレステーキに切り込みを入れながらロバートに尋ねる。
「ええ、オーディンとの戦闘で大部分のデータは取得完了いたしました。
今後、得られた運動パターン思考ルーチンと戦闘判断思考シーケンスを加えて改良し、
本格的に実戦投入できるようにします。」
ロバートは、コーヒーに砂糖を次々に入れながら答える。
全員がスーツの中、ロバートだけはジャージであった。
また、食事には一切手をつけていない。口に合わないのだろうか?
「承知した。日程にズレのないように御願いしたい。
して…グラニット殿、貴殿は4時間前に著しく損傷したオーディン部隊と接触したはずだが…
何故奴らを撃破しなかったのだ?」
アキトシとは別の男が口を開く。
男は、目の前にあるロブスター料理の殻を丁寧にナイフとフォークではずし、口に運ぶ。
「ええ、ワーナー=ガルシア社長。それには明確な理由が御座います。」
グラニットが、ワイングラスに注がれたワインを揺らめかせながら答える。
「奴らの背後にはすでに【バーバリアンズ】が集まっていた。
オーディンと戯れ、蹴散らすのは容易ですが遊んでいるとこのドブネズミ共に我々の情報が筒抜けになります。
このドブネズミの情報収集能力にはこちらとしてもホトホト呆れているのはご存知でしょう。
よって、無駄な労力を省く、目の前にある千載一遇のチャンスだとしても、敢えて引かざるを得なかった。
そういうことになるのです。」
「むう…。グラニット殿がそう判断されたのであれば致し方ない。
アドバンスドインダストリーの社長である【オーメスト=ワールドアイズ】殿が長期取材にて不在の今、
全権を任されたグラニット殿に、アドバンス側の活動方針に関しては陣頭指揮を御願い申し上げる。
我々【シヴィライゼーションコーポレーション】としても、全力で協力を惜しまないつもりだ。」
どうやらこのワーナー=ガルシアという男、
アライアンズの筆頭企業の一角であるシヴィライゼーションコーポレーション社の社長であるようだ。
「しかし、穏健派と手を組んだのは良いものの株主総会で株主から非常に厳しい意見を頂いてだな…
彼らと手を組むメリットはあったのか、これによりアライアンズの収益はどうなるんだ、とか
耳が痛い質問がこの間の総会で聞かれて…心臓がいくらあっても足りなかったよ、ハハハハハハ。」
ワーナーは、軽い世間話へ話をずらし、美味な料理を堪能しつつあった。
その後、この空間の会話は全て世間話へと変わる。
その中をワインを揺らめかせ、真実を歪曲させた人物、グラニット。
彼が握るワイングラスに注がれた液体は、まるで血のように紅く、そう、紅く輝いていた。
—不気味な嘲笑と本意を、その紅に隠して—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.77 )
- 日時: 2013/08/13 10:08
- 名前: Laevatain (ID: nYLbaC1V)
第三十話 接触と謀略〜反アライアンズ過激派【バーバリアンズ】〜 中部
—惑星【デピドナ】、アンリミテッド研究所【アンブローシア】—
アクアスリープポッドの中に満たされた液体の中に、頭部に見慣れない装置を取り付けられた男がいる。
その男は、先程までアレスと死闘を繰り広げていた宇宙を駆けるハイエナ。
ギャレス=アードヴォルフであった。
急激に発生した頭痛により、戦闘継続が困難となったギャレス。
現在はグラニットからの指示により、アクアスリープポッドによる治療を行っている。
「ギャレス=アードヴォルフ、脳波異常なし。精神状態安定。脈拍異常なし。
現在、装置による副作用も沈静化しています。このまま、状態を安定させます。」
研究員が数名、ギャレスの治療に当たっている。
その隣に…4名の少年少女たち。
ポッドプレートには【フィアーテイマーズ】と書かれている。
そしてそれぞれのポッドには名前が刻まれている。
憎悪の炎
【インフェルノガンダム】パイロット
レオンティエン=ハース
中肉中背の印象を受ける少年。
髪の色は紅く、全てを焼き尽くす憎しみの炎を象徴するかのよう。
冷徹の氷
【ネーヴェガンダム】パイロット
アンジェリーク=フローワ
痩せ型の体系である印象の少女。
髪の色は水色で、全てを凍結させる冷厳なる氷を象徴するかのよう。
憤怒の雷
【ヴォルテークスガンダム】パイロット
アリーナ=グニェーフ
褐色肌の、体格の良い少女。
髪の色は黄色で、全てを破壊しつくす怒りの雷を象徴するかのよう。
嘆きの大地
【フォンドゥムガンダム】パイロット
ラーイド=ホーズン
がっしりとした体格の少年。やや太めではあるか。
髪の色は緑色で、全てを押し潰す嘆きの大地を象徴するかのよう。
やがて、アクアスリープポッドの水が排水され、4人のポッドが開く。
全員が一斉に眼を開く。
—負の感情を研ぎ澄まされた少年少女。
この時代へ、自分をここまで追い込ませた社会へ、いざ復讐の時…!—
【フィアーテイマーズ】のメンバーである4人の少年少女たちは、研究員に案内され、
それぞれの担当であるMSが格納されているラボへと向かう。
そして、同研究所内にあるMSラボラトリーには、
4機の実験機と思わしきガンダムが開発されていた。
まるで、今か今かと、その存在感を誇示するかのように…。
時を戻し、4時間前。
【バーバリアンズ】宙域攻撃部隊【ウェアウルフ】によるオーディンの拿捕。
この一報が組織内に広がる中、とある青年がこの情報を部下から聞いたようだ。
青年が居るのは、組織の支部だろうか?
「そうか、ウェアウルフがオーディンを…なるほど。
アレだけ反対しておきながら行動するとは。やはり彼の眼には未だG.U.が敵にしか見えていないようだ。
…まあ、我々旧ジオン公国系譜の歴史から考えれば、当然と言えば当然だね。」
「はい、ジャミロ神官。」
どうやら、この青年はジャミロと呼ぶようだ。
神官はこの組織においては高い地位らしい。
「まあ、こうなってくれれば僕としても動きやすい。
【イメカ・マルーハ】なんてものは存在しない。結局は人間の拠り所として作られた都合の良い偶像でしかない。
…彼を引き入れることが出来れば、僕の計画は達成される。彼女を僕の物にするという計画が。
さて、僕の後ろ盾にも連絡を入れないとな…。いよいよ動き出す。」
組織内で張り巡らされる謀略。
そして、歪に捻じ曲がった青年の愛情。
—過ぎた愛情は、憎悪となる場合がある。
青年は、感情の変化が起こり得る可能性を理解できているのだろうか—
場所を変えて、見えるのは沐浴場。
少女が、水の中で祈る姿勢になりながら沐浴をしている。
彼女は耐水性アンダーウェアを着用し、その上から白い羽衣を纏っている。
髪の色は白。どこか神秘的な雰囲気を漂わせる少女だ。
少女が、少し動く。
—何かを感じ取ったよう…?—
「…光が…見えました。」
少女が呟く。
少女が眼を開く。
眼の色は金色。
希望を見失わない光が、少女の眼の奥にはあった。
「え?どうされました、【アリシア様】?」
女中らしき女性が、少女へ聞き返す。
「すみません。この沐浴の中、見えたのです。光が。」
彼女に見えた光。
どうやら、彼女が探していた、【希望の光】のようだ。
「じきに会えますね。その光に。ロンメル老師が、今その案内をしてくれるはず。
【イメカ・マルーハ】は、私たちに新たなる道を授けてくれるそうです。」
女中も、少女の発言に何かを理解したようで、納得する。
「では、本日の沐浴はここまでにしましょう。
もうすぐ、私たちの前に【希望の光】が現れます。そのおもてなしをしなくては。」
少女の表情は、少しばかり明るそうだ。
「さあ、忙しくなりますね。ここからが正念場です。
…このあと、私たちには大きな【試練】が与えられるでしょう。
これを乗り越えることで、私たちは輝く未来へ大きく前進する予感がするのです。」
少女と女中は、沐浴場を後にした。
—オーディン部隊へ場面を戻そう。
「我々の指示に従えば、命の保障は約束しよう!
我々はあくまで【貴様らがアライアンズの片棒を担いでいるのではないか?】という疑念からの行動である!
疑いが晴れたら、貴様らを解放することを我らが母【イメカ・マルーハ】の名の下に誓おう!」
初老の男、ナージフ=ロンメルがバハムートゼロへ外部通信をかける。
バハムートゼロ内は、困惑した雰囲気だ。
しかし、冷静なのはザック。全員に指示を出す。
「全員、まずは彼らの指示に従おう。
まず、俺達は彼らと戦う理由が無い。そして、現在の状態では戦うことすら出来ない。
ならば、彼らの指示に従ったほうが何かと都合がいいかもしれない。」
ザックの指示に、全員が納得する。
「アレス!エリュシア!帰投してくれ!彼らの指示に従おう!」
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.78 )
- 日時: 2013/08/13 09:48
- 名前: Laevatain (ID: nYLbaC1V)
第三十話 接触と謀略〜反アライアンズ過激派【バーバリアンズ】〜 後部
4時間後、彼らは戦闘宙域から近かった砂漠・海岸が主なエリアの資源惑星【サハール・クファール】にある
バーバリアンズ本拠地であり、彼らが信仰する【イメカ・マルーハ】を崇める宗教【カダリール教】の聖地都市、
【メガラ・ジャンナ】にある基地へと連行される。
ちなみに、リベリタス・レベリオ・エンタープライズ社もバーバリアンズへ技術・資本提供を行っており、
重要支社が同都市内に建設され、密接なパイプラインと総合共同防衛を結んでいる。
これと同様に、バーバリアンズ自体も世論からは義勇軍と呼ばれる勢力である。
市民はバーバリアンズを誇りに思っている、まさに市民と市政が協力した惑星である。
基地内の広い一室に案内されるバハムートクルー。
全員が入っても余裕があるスペースのようだ。
中には冷蔵庫、コーヒーメーカー、自販機などが置いてある。
給湯室と休憩室などを一緒にした室内というイメージを持つ。
「今から、我らの導き手にして女神の申し子である【アリシア様】に貴様らの処遇に関して
報告をしなければならない!ここで待っていて貰おう。
逃げようなどと考えるなよ?従わなかった場合、射殺する場合もあるので、おとなしくしていることだ。
中には自販機、手洗い場、コーヒーメーカーなどもある。好きに使うと良い。
恐らく私は1時間後に戻ってくるだろう。それまで、余計なことはするなよ、以上だ!」
再度の警告をナージフが行い、彼は部屋を後にした。
「どうなるんだ俺達…。」
「このまま勘違いされて殺されてしまうのかしら…。」
各所でバハムートクルーの困惑の声。
「落ち着け。ちゃんと事情を説明すればわかってくれるはずだ。
相手の最高権力者は少女のようだ。話せば和解の場を設けてくれる。
少女が、ましてやかつての地球時代の全ての宗教が合集した由緒ある【カダリール教】の巫女だぞ?
無闇に殺戮許可を与えるとは考えにくいだろう。」
ザックのたしなめにより、ある程度の不安は解消されたようだ。
ざわめいていたバハムートクルーはようやく落ち着きを取り戻す。
「艦長、大変なことになりましたね…。」
アレスがザックに近づき、話しかける。
「まあ、彼らが来てくれたことにより、我々は窮地を脱することが出来た。
あのままグラニットという男が戦闘体勢だったら、俺達は確実に死んでいただろう…。
全く、あの機体といいあの男といい…完全に舐めていた。
これでは、俺達が徒党を組んでも今のままでは勝てないかもな。」
ザックが、顎を掻き毟りながら答える。
アライアンズの技術進歩により自分たちの武装では歯が立たないことを見せ付けられたオーディン。
現状の分析と打開策を考えているようだが、今のままでは難しいという考えをザックは頭の中で張り巡らせていた。
各地に居るレジスタンスとの通信も最近は取得していない。
むしろ、安否が心配される状態である。
「あの…。」
エリュシアが、アレスとザックの会話に入ってくる。
「すみません艦長…私、彼らのこと、よくわからなくて…。教えていただけませんか?
でも、何か温かい感じはします。アウェイカー能力で、少しばかり相手の心が見えるので…。
ナージフさんの心が、少し後悔が入っていたようで冷たかったです。」
エリュシアは、ナージフの会話の際にナージフが申し訳なさそうな心の温度をしていたと話す。
それを踏まえて、バーバリアンズとは何か?
この惑星とは何か?
それを聞きたかったようだ。
当然である。
エリュシアはニュースや社会情勢に触れられる機会を、あのポッド内にてほとんど奪われていたのだ。
疑問が生じるのは当たり前であり、この質問は妥当かつ当然の質問内容と言える。
「あれ?アレス…アウェイカー…消えてる?」
エリュシアが、アレスの開眼したアウェイカー能力が弱いことに気づく。
「あ…ああ。なんかまた見えなくなったよ…。
どうやって開眼するんだろう…あのときは無我夢中だったからなぁ…。」
アレス自身も詳しい開眼条件を見出せていない。
見えていたオーラは、今は見えなくなってしまっている。
当然、意識の共有化によるテレパシー会話も出来ない。
「あ、ごめんなさい艦長。質問、御願いできますか?」
エリュシアが自ら話の腰を折ってしまったため、改めて聞きなおす。
「ああ、大丈夫だ。
さて…俺の知っている限りだが、とりあえずこの惑星のことから話そう。
この惑星【サハール・クファール】は、砂漠と海洋が大部分を占める惑星だ。
砂漠の中には貴金属資源、レアコスモメタル(宇宙希少金属、観賞用の金属ではなく機械加工用の添加物に使用)、
海中にはガス資源や潤沢な海産物などが取得できる、資源惑星だな。
昔からここは【砂漠の宝箱】と呼ばれ、資源獲得紛争が絶えなかったんだ。
一番ここに執着していたのは、一昔前の企業である【キングスカンパニー】だな。
第一次企業戦争時に対峙していた主要資本企業の一社である企業だった。現在は解体されたがね。
その際に圧政を強いていたようで、ここに在住していたアラビレムニアン人種(現在のアラビア地方の人種)と、
アフリニック・ピープル人種(現在のアフリカ人種)を奴隷制度にて支配していたんだ。
彼らは圧政に屈せず、【カダリール教】を信仰し、女神に祈りを捧げ救いを求めた。
その祈りが通じたのか、彼らの中で語り継がれる英雄【ジャン=ド=セーイフ】が立ち上がり反乱を起こした。
同時期にG.U.軍もこの惑星での奴隷解放戦を行い、共闘の末見事キングスカンパニーを追い出すことに成功したんだ。
そうした惑星的英雄と女神を誇り、リベリタス社からの軍事提供を受けてこの組織が成り立った。
だが、どうやらこの調子から察するに組織内に過激派と静寂派に分断されているようだな。
じゃなかったら、ある程度のニュースで俺達の事情はわかるはずなんだが…
行き過ぎた使命感と正義感は時に真実を曇らせる。そんな状況なのかな。」
ザックが一息いれ、話し終える。
「なるほどですね…ありがとうございます。」
エリュシアも納得したようだ。
「長いこと話したから、喉が渇いたよ。コーヒーを作って来るかな。
お前たちもいるかい?」
ザックが、コーヒーメーカー向かおうとするが
サフィアに止められた。
「ダメです!艦長のコーヒーは苦いんです!
私が作ります!エリュシア、手伝ってもらえるかしら?」
「は、はい。」
エリュシアは若干困惑気味だ。
「ジェーン!ちょっと来てくれるかしら!人手が足りないの!」
サフィアがジェーンにも声をかける。
そしてコーヒーメーカー前にて。
「サフィアさん…どうして?」
ジェーンの質問。
「ふぅ…艦長、ああ見えてすっごい心配性なのよ。
それが最近の趣味としてるコーヒー作りにすっごく反映されちゃうの。
コーヒー作ると大体苦くなっちゃう。私も飲んでみたけれど、アレはブラックの域を超えてるわ…。
みんなに飲んでもらうコーヒーは、全部私が作る。そう決めたの。
…だって、みんな暗くなっちゃうじゃない。艦長の心配コーヒー飲んじゃったら。感情が伝播しちゃうわ。
こういうときこそ、女は明るくなくっちゃ☆
ね?」
サフィアの経験談。
そこには、艦長とサフィアとの深い絆。信頼できる人間関係が垣間見える。
エリュシアとジェーンも、その絆を感じていく。
約1時間後、ナージフが戻ってきた。
彼の表情は、先程よりかは曇っている。
「…真に申し訳ない。今までの非礼を許してくれ。
【アリシア様】に、貴殿らは【希望の光】だ。何故脅迫したのか。と諭されてしまった。
さあ、我らの希望の軍たちよ!【アリシア様】の元へ案内しよう!
一目会いたいと、心待ちにしておられる!」
一転した態度に、またも困惑気味のバハムートクルー。
全員が案内されたのは、大規模のホール。
そこの議長席らしき場所に座っていたのは、一人の少女。
「バハムートゼロのクルーの皆様方、我々の無礼をお許しください。
我々も今、疑心暗鬼になっております。
しかし…貴方達から光が見えました。全てを照らす光が。
…失礼しました。私の自己紹介から行います。
私は【アリシア=イシュム=カネー】。【カダリール教】の巫女を勤めさせていただいています。
以後、お見知りおきを。」
少女からは、神秘的な雰囲気を感じる。
—バーバリアンズからのわだかまりが取れ、ようやく安堵のバハムートクルー。
【カダリール教】の巫女アリシア。少女はバハムートクルーから光を見る。
しかし張り巡らされる謀略と罠。
時代は新たなる風を巻き起こし、またひとつ、全てを変えていく—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.79 )
- 日時: 2013/08/14 22:29
- 名前: Laevatain (ID: nYLbaC1V)
第31話 陰謀〜迫る負の感情、迷いの死神〜 前部
宙域を漂う3つの艦。
中型戦艦「ザッハーク」と「アリアンロッド」の姿。
宇宙蛮族「センチュリオンズ」の旗艦「ギルガメッシュ」である。
宇宙蛮族センチュリオンズ、その一団である。
ギルガメッシュ内で、一人の男がドタドタと音を立てて走っていく。
ボンテージスーツに身を包んだガタイのいい男だ。髪型はモヒカンである。
「たたたたた大変だぁぁぁぁ!アニキー!アニキはいねぇかぁーーーー!?」
大声を張り上げて、男は艦内に居る【アニキ】を捜索する。
ミーティングルーム。
ここに先ほどの男が勢いよくドアを開ける。
「ハァ…ハァ…ハァ…。な、なぁ!ここにアニキ来てないか!?」
男が尋ねる。
「さぁ…見てねぇなぁ?」
他のメンバーから、乾いた回答。
「そ、そうか。すまねぇ!ありがとよ!」
そういうと、男はミーティングルームを後にした。
「アニキイイイイイ!大変なんだよぉぉぉぉ!何処に居るんだぁ!?」
ギルガメッシュ内に、大声が木霊する。
男がすれ違ったとき、大声と目的に気がついたのか、
センチュリオンズ女性部隊【ヘル・アマゾネス】のメンバーであるハイレッグスーツの女性が声をかける。
「大声ださなくても良いじゃないの…!」
男は我に返ったようだ。
「す、すまねぇ…!」
女はため息をつき、彼の質問内容に答える。
「お兄様はトレーニングルームにいらっしゃるわ。約10分前に私もトレーニングしてたから、恐らくね。」
「サンキューだぜ兄妹!ありがとさん!」
そういうと、男は一気にトレーニングルームへと走っていった。
「やれやれ…大声やめてって言ったのにね。
まあ、それが【シルビス】の良いところなんだけれどね。
どんなに私たちが落ち込んでも、彼を始めとした【クレフティス・エレクセリア】のメンバー達が
鼓舞することで立ち上がることが出来る…。何事もくじけない。
私たちは、彼らから大きなものを学んだのよね。」
腕組をしながら、女が物思いにふける。
「アニキィ!」
男は、ようやく目的を達成しようとしていた。
男が入ったトレーニングルームのテーブルにて、シャワーを済ませたセンチュリオンズリーダー
オーランド=タイガーが、煙草とジュースで一息入れている。
「どーしたんだよ、シルビス?何かあったのか?」
「こ、こりゃなんだよ!?こんな話聞いてねぇぞ!?」
「そ、そうなんだよ!デュークの旦那と黒百合三姉妹の姉御達に借りがあるアイツらが、
バーバリアンズに拿捕されたっていきなりロンメルのおっさんからメール来てさ…!」
シルビスと呼ばれた先ほどの男が、タブレットデバイスを用いて、
バーバリアンズ攻撃部隊【ウェアウルフ】リーダーである、ナージフ=ロンメルからの
オーディン部隊拿捕に関するメール内容を、オーランド=タイガーに見せている。
「こ、こいつぁまずい!このままだと誤解されたままアイツらが殺されちまう!
おいシルビス!ロンメル老師にメール返信できないのか!?」
「何度かやってみたんだけれど、ロンメルのおっさん、どうやらアライアンズにアシがつくのを恐れて
メールアドレスアカウントを削除したみたいなんだよ!
俺たちの通信手段はこれしかないから、あとは近づいて無線で連絡するしか…!」
現在、センチュリオンズ一団は資源惑星【サハール・クファール】の宙域から少し離れた惑星宙域間に居た。
どうしても、一団が当惑星に到達するのにはおおよそ1時間弱は必要である。
「今から間に合うかも知れねぇ!センチュリオンズ、サハール・クファールに向かうぞ!
三姉妹とデュークには俺から知らせる!これは一刻を争う自体だ!
…なんで…ロンメル老師…!?」
焦りのセンチュリオンズ一団。
資源惑星【サハール・クファール】へ急行する。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.80 )
- 日時: 2013/08/14 22:29
- 名前: Laevatain (ID: nYLbaC1V)
第31話 陰謀〜迫る負の感情、迷いの死神〜 中部
—同惑星内、【メガラ・ジャンナ】に存在する【バーバリアンズ】本拠基地 会議ホールにて—
バハムートクルーが出会ったのは、一人の少女。
【カダリール教】の女神【イメカ・マルーハ】からの声を聞くことが出来る巫女。
アリシア=イシュム=カネーと言う名の少女だった。
「私は、【イメカ・マルーハ】様よりお言葉を頂きました。
《未来は、軍神に仕えし聖なる竜により導かれ、闇を切り裂くでしょう》と。
まるで神話のような夢物語かもしれません。
しかし、こうして私と皆様方がめぐり合えたことは、決して偶然や夢物語ではないと感じています。」
少女は、天を仰ぎ、言葉を空に浮かべる。
まるで女神のお告げをクルーに伝えるかのように。
「それと…ロンメル老師。」
アリシアが、ロンメルを指す。
「はっ。アリシア様。」
ロンメルはアリシアの傍に駆け寄り、跪く。
「私達の身を案じ、率先して気を遣っていただいていることには感謝いたします。
しかし、行き過ぎた心配や行動は時に誤解を生み、あらぬ方向へ暴走してしまうこともあります。
この組織も、そういった不安定なバランスにより成り立ってしまっている…、
我々も気をつけなければなりません。
そういった中での皆様への無礼と脅迫は、私は少し賛同しかねる部分があります。」
この発言に、ロンメルの顔面に冷や汗が滲み出る。
「も、申し訳ありません!行き過ぎた真似をしました!」
ロンメルの表情は曇る。
その表情に、若干の憤りを感じているように、クルーは見て取れた。
「貴方が古き時代《一年戦争》からの系譜を受け継いだ子孫であることは重々理解しています。
しかし、あなた達が望んでいるのは【ジオンの再興】ですか?
それとも、ジオン公国軍の一部の階級が犯した【罪滅ぼし】と、【戦争と言う名の悲劇を起こさない】ことですか?」
アリシアの言葉の一言が、ロンメルの表情を曇らせていく。
ロンメルは拳を握り締める。握り締めた拳の隙間から血が滴り落ちる。
よほど、憤りを感じているのだろう。
「よく考えてください。
未来を生きる子供達に残すべきは、【憎しみ】か、それとも【愛】か。
でなければ、私はあなた達を信じられなくなってしまいます。」
この言葉を最後に、アリシアとの対面は終わった。
オーディン部隊は、連戦の疲れから、このまま少しばかりバーバリアンズを隠れ蓑とすることになった。
どのみち、バハムートゼロの補給も連戦により枯渇し、どこかで補給をしなければならなかった。
また、MS部隊がほぼ壊滅的な打撃を受けており、機体修理用の機材と材料もどこかで用意しなければ
満足のいく戦闘体勢を作り出せなかった。
総合的に考えて、これからまだ執拗に狙われることを考慮した上で、アリシアが提案してくれたものである。
バハムートクルーのMS部隊メンバーは、アレスとエリュシアを除く全てのメンバーに
メディカルチェックと十分な休養を促す指示をザックは与えた。
メディカルチェックが一通り終わり、リフレッシュルームにて。
中には、MS部隊のメンバーが居る。アレスとエリュシアを除いて。
誰も話そうとしない。
それほどまでに打ちのめされたギャレスとの戦闘。
全く、歯が立たない。
そんな怪物に、アレスとエリュシアは立ち向かった。
己の死を覚悟してまで。
沈黙を破ったのは、カール。
「なぁ…。」
ダグラスが反応する。
「…どうしたのさ、カール?」
「このままじゃダメだと、思うんだ。」
全員がきょとんとする。
「どういうこと?」
ジュピアが聞き返す。
「このまま、アレスとエリュシアの足手まといでいいのか、みんな?」
カールの発言に、全員がはっとする。
「俺達は強くなった。雑魚を1VS1(サシ)で倒せるぐらいにまでは。
だが、エースクラスになると歯が立たねぇ。俺達は、奴らにして見れば、まだまだ雑魚なんだ。」
カールが拳を握り締める。
「もう一度聞く。このままでいいのか!?
アレスとエリュシアを守るのが俺達の役目だろ!?
俺だって弱い!みんな一度思い出せ!
俺達は!まだ!弱いんだ!」
カールが、悔しさと恐怖のあまり、涙ぐむ。
声を張り上げるも、声が震えている。
「だから…強くなるんだ!
俺達が!みんなを守るんだ!
男とか!女とか!関係ねぇ!
強くなって、大事なものを守るんだ!」
この瞬間、全員が我に返る。
その中で、一番衝撃を受けたのは
ジュピアだった。
(何故?何で彼は自分をまだ《弱い》と認識するの!?
私より遥かに強い彼が…!?
じゃあ、私はどうなるの!?私の《強さ》って一体!?)
ジュピアの疑問と不安は広がる。
しかし、その不安は次の言葉で消えた。
「カール…!ありがとう、眼が覚めたよ!
みんな!僕達は長所と短所がある!
僕は砲撃!カールは近接戦闘!アシュレイは戦場分析と戦術眼!
それと同じように、自分の《長所》を伸ばし、《短所》を補うんだ!
そうすれば、アレスやエリュシアに近づける!彼らを守れるんだ!」
(長所と…短所…!?
彼らはそれを知っている?
では、私とマールはそれが無いってことは…?
あらゆる状況下で、満遍なく戦えるってことかしら?
その状態で、彼らの足りない所をカバーしていく関節のような役割?
だからあの時、トーマスさんは…?)
—しかし、ねぇちゃんたちは状況判断能力と的確なMS操作技術はある—
—よって、ねぇちゃんたちは本音を言うが、ガンダムソルジャー等の汎用高性能機を扱ったほうが戦果が挙げられる—
ジュピアは、答えに到達しようとしていた。
一方、アレスはバハムートゼロ内の自分の部屋に居た。
エリュシアは、ここには居ない。
エウリスハロがふわふわと浮遊を続ける。
アレスは、様々なことを考えている。
考えては、浮かんでは消えていく。
まるでシャボン玉のように。
「アウェイカー…意志の強さ…覚悟…?」
アウェイカーの開眼条件と、自分の感情との因果関係を模索するアレス。
「ん?アレス、どうした?」
エウリスの声に、アレスは完全に上の空であった。
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