二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
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- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.31 )
- 日時: 2013/04/17 22:11
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第十五話 追撃—結託する権力と財力、人間の欲望— 後部
バハムートゼロ、ドック内にて。
「して、この状況はどういう経緯で?」
アレスが、全員が集まった中で質問を切り出す。
「これは、僕が説明したほうがいいですね。」
ザックが答えようとしたところ、マルスが一歩踏み出して答える。
「ザックさん、僕は言いましたね?隠し事は嫌いだって。
だから、僕に言わせてください。責任は僕にあります。
では…まず、あの証拠ですが、全て捏造ですっていうのはわかりますね。
現在の科学なら、僕の指紋を複製するのも容易ですし、
タブレットコンピュータにメール送信ウィルスプログラムを仕込めば、
アドレスを知らない僕でもメールを送ることが可能になります。
こうしてアリバイを作り、僕にクーデターの首謀を擦り付ける。
あとは、彼らがアライアンズと停戦か終戦を結べば、晴れて穏健派の偉業があたかも完成する…
かのようになりますね。
そうすれば、市民の世論は少なからず革新派へ敵意が向くのは確実ですね。
あとは、残党狩りのように僕らを叩き潰すだけ。
残るのは腐敗した政治機関と、一部の特権階級の人間だけが
栄華を誇ることが出来る歪な未来。これで彼らのシナリオは完成する。
と言う形になります。
これは僕らの間ではすでに予見できていたシナリオで、こういう風に流れるのは予測できていました。
だから、彼らに予め監視を御願いしておいたのです。」
「彼ら?」
「コスモポリスです。彼ら警察省は、僕ら革新派の管理下で働いてもらってます。
G.U.の省庁は10省あり、その中のひとつ警察省は革新派の傘下なんですよ。
こういった政治の腐敗の監視も、彼らの役割として御願いしてたものなんです。」
新兵は、初耳のことなので驚愕する。クルーは予め知っていたようで、再認識する。
「で、マルス兄ちゃん、今から何処へ行くの?」
カロラスが質問する。
「ああ、カロラス。これから説明するよ、安心して。
これから僕らは、興業惑星エンティニアへ向かいます。
そこに僕の知り合いが居るので、彼を尋ねたいと思います。
彼らにもすでに連絡を入れていて、快く承諾してくれました。
そして、オーディンの皆さんにも御願いして、本当の絆を取り戻す戦いをして頂きたいんです。」
マルスの目は、真っ直ぐである。純粋に、真っ直ぐである。
「かといって、僕は偉そうにふんぞり返っているわけではありません。
力なき正義に意味は無し。そうですよね?
彼らと違って、僕は自らが危険に飛び込み自分の意思を表現することで、
皆さんの信頼と絆、そして意志を頂けるものだと思っています。
なので、ちょっと寄りたい場所があるのでいいですか?
そこに、僕のMSが置いてあるんですよっ☆
そうすれば、僕も皆さんと共に戦うことができます!」
マルスが、ウィンクをしながら話す。
彼は、自分の思いをどうやったら人の心に伝えることが出来るかを知っている。
そう、アレスには感じた。
バハムートゼロ、デッキドックに警報が鳴り響く。
「敵機捕捉!識別信号…穏健派戦艦「ダンタリアン」確認!
さらには、穏健派所属のガルーダ級巡洋艦を3機確認!
攻撃態勢のようで、艦載MSを次々に射出していきます!」
「総員、第一次戦闘配備!MS隊に発信指令を出す!
アレス、敵は俺達を本気で殺す気だ、情け無用になる。
遠慮は要らない。暴れてきてくれ!」
アレスはすこし抵抗があるものの、了解する。
「わかりました!出撃します!」
アレスは迷っていた。
—正義とは一体何なのか。
—悪。絶対の悪ではないのか。結局は相対悪なのか。
—命とは、こんなにも軽く扱われるのか。
—命を失うのは怖くない。命を奪うのが怖い。
さまざまな思いが、アレスを縛り付けていたのだ。
バハムートMS部隊が出撃する。
ナイトメアを筆頭に、各機が散開し敵のMSを撃破していく。
G.U.軍の標準機である「ノーディック」は、ガンダムソルジャーと比べると少々見劣りする。
人海戦術を用いてくるが、アレス・エリュシアのエース機を始めとし、
成長を続けるカール・ダグラス・アシュレイも奮闘し、次々にノーディックは撃ち落とされていく。
「ガイナス指揮官!このままでは劣勢です!」
「うろたえるな!私が出る!新型のMSを用意しろ!」
「ハッ!」
—ノーディックの部隊を撃破したかと思った束の間、別のMSが出現した。
ノーディックよりかは機数は少ないものの、明らかに雑魚ではなかった。
蒼い狂戦士のようなMS。
左腕にガトリングシールド、背中のバックパックには、高出力スラスターが付いている。
重鎧に身を包んだかのような、狂戦士のMSであった—
「クククク!一年戦争の「グフ」を継承したこの機体、ベルグルフ!
そこらの汎用機とは違うことを、教えてやる!」
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.32 )
- 日時: 2013/04/06 18:03
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第十六話 宇宙蛮族—反政府テロリスト・センチュリオンズ— 前部
CIV-06-VER ベルグルフ
Civ社が、熟練兵の要望に応えて作られた、格闘戦主体のMS。
といいつつも、あらゆる状況に対応して作られた汎用性高いMSとなっている。
一年戦争の名機「グフ」を技術のモチーフとして使用し、オリジナルネームを持たせている。
狂い暴れる戦士のようなフォルムがふさわしいMSとなっている。
10機のベルグルフが、穏健派戦艦「ダンタリアン」から射出する。
「目標、敵勢力の殲滅!総員、かかれ!」
穏健派勢力、ガイナス指揮官の合図と共に、ベルグルフは一斉に攻撃を開始する。
まずは、セイントガンダムの遠隔攻撃ユニット「スピリット」に
数機がワイヤーウィップ「グラップルビュート」を絡ませる。
そのままワイヤーアクションにてスピリットを投げつける。
スピリットは宙域の岩に衝突し、エラーを発する。
「くっ!一度戻すしかないわね…!」
スピリットを収納し、後退するセイント。
残りの機体が、ビームガトリングシールド「サルンガ」を発射しながら
ガンダム部隊に詰め寄る。
「舐めるなよぉ!アレス、援護頼む!」
「わかった、カール!」
まずは、スラスターによる機動力の優れたナイトメアと
ガンダムフェンサーにて、ベルグルフの動きを確認する。
戦術眼が成長しつつあるカールと、幾多の戦闘経験により敵の動きを読み取るアレス。
間もなくして敵の行動、攻撃パターンを読みとった二人。
「おしわかったぜ、アレスいくぞ!」
「ああ、後ろは任せろ!」
二機のガンダムが、ベルグルフの動きを逆手に取り、
格闘攻撃で仕留めようとする。
が、これをベルグルフ部隊は察知し、シールドに格納されていた
ビームスレイヤーソード「ティルヴィング」を展開。
二機のガンダムが繰り出す格闘攻撃を寸前で受け止める。
「くっ!さすがに上手くはいかねぇか!」
敵ながら天晴れ、の表情を見せるカール。
「!上から来るぞ、気をつけろ!」
別のベルグルフが、背中のスラスターユニットに内臓搭載されていた
バーティカル(垂直落下)ミサイルポッド「アーキィヴァーシャ」を発射していた。
ナイトメアとガンダムフェンサーの頭上から、炎の雨が降り注ぐ。
二機のガンダムは、炎の雨を縫うようにすり抜けていく。
ベルグルフ部隊が、戦術と武装のバランスにより戦況を有利に進めていく。
が、これを打開したのは、ガンダムディスターブとセイントガンダムであった。
「よし、解析完了!エリュシアちゃん、このエリアからのスピリット射撃で
敵は反撃できないはずだ!やってみて!」
エリュシアの防衛と敵戦術の把握に専念していたアシュレイのガンダムディスターブが
敵の弱点を看破したのだ。
が、これをさせまいと、3機のベルグルフが詰め寄る。
「かかったな!ここだ!」
ベルグルフの上に位置取ったダグラスのガンダムガンナーが飛び出る。
ガンダムガンナーは、脚部の機雷散布ポッドから機雷を射出する。
3機中の1機は機雷によって完全に包囲され、爆風により撃破される。
残りの二機は、アシュレイに詰め寄る。
まず一機が、グラップルビュートでディスターブの脚を絡め、引き寄せる。
「うわああああ!しまった!」
もう一機が、ティルヴィングにてディスターブを切り裂こうとする。
「一か八かだ!いくぞお!」
ディスターブの両腕に取り付けてある緊急格闘武装「パイルドライバー」
(パイルバンカーと呼ばれる兵装である。)が起動音を鳴らしながら動き出す。
「はああああああ!いけええええええ!」
ベルグルフのティルヴィングが振り下ろされる。ディスターブのパイルドライバーによるパンチ攻撃も同時に繰り出す。
甲高い金属音と共に、砕け散る破片の刹那。
ディスターブのパイルドライバーはベルグルフのティルヴィングを叩き折り、そのままコクピットを直撃。
ベルグルフを貫いた。
ベルグルフの腹部に風穴が開き、そのまま爆発する。
しかし、ワイヤーを引き寄せたもう一機のベルグルフによる攻撃は終わっていない。
サルンガから放たれる光の雨により、ディスターブは徐々に被弾していく。
「ぐっ!残存装甲50%を切った!まずい!」
ディスターブの装甲はボロボロになる。
次の瞬間、射撃していたベルグルフに、ガンダムガンナーのビームマシンガンとビームキャノンの雨が降り注ぐ。
ベルグルフは攻撃に専念していたため、そのまま雨を受け、爆発した。
「アシュレイ、無茶しちゃダメだよ?」
ダグラスも成長を遂げていた。焦る表情を見せなくなっている。
バハムートゼロの新兵たちは、恐るべきスピードで確実に強くなっていたのだ。
一方のアレス達。ベルグルフの動きを解析し、攻撃アドバイスを受けたエリュシアが
セイントのスピリットにより、ベルグルフの動きを制限していた。
その隙を突き、二機のガンダムは格闘攻撃を行う。
シールド・ティルヴィングにて回避できない体制を強いられたベルグルフ2機は
そのまま切り裂かれ、爆発した。
「新兵ごときに新型が5機やられただとぉ!?馬鹿な!
たがが若造の烏合の衆になぜ勝てない!」
この言葉を発している時点で、勝敗は決しているとも言っていい。
相手の力量を測れないのは、指揮官としても、戦士としても、
戦場で相手を軽視する=死に繋がるということを把握していないも同然なのだから。
「だが…負けたわけではないぞ!まだだ!
ノーディック部隊第二陣、出撃!かかれぇ!」
しかし、ノーディック部隊は全滅していなかった。
前半戦で倒したノーディックの数とは明らかに多いノーディックが
戦艦から出撃する。
「まだあんなにいたの!?もう、こっちは厳しいのに!」
前半戦のノーディック部隊、ベルグルフ5機。
かなり温存せずに戦っていたツケが回ってきた。
万事休す、そんな状況である。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.33 )
- 日時: 2013/04/06 18:12
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第十六話 宇宙蛮族—反政府テロリスト・センチュリオンズ— 後部
が、いきなり
現れたのは
大音量のスピーカーを有した偵察機と
1機のMSであった。
スピーカーからはロックが流れる。
まるで、登場BGMのように。
「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶ!悪しき政治の生贄たちが、俺に救いを求めてる!
ならば行ってやろうではないか!成敗してやろうではないか!
今日もどこかで雨の空!子猫が寂しく泣いている!愚者に全てを奪われて!一人寂しく泣いている!
その涙を拭う為!人の絆を救うため!俺達無法のならず者!悪い奴らにおしおきよ!
我ら、宇宙蛮族「センチュリオンズ」!ただいま、颯爽参上だ!」
MSが、決めポーズをしている。
まるで、特撮ヒーローのように。
「おーしおし。いい感じだ!お前ら、戻っていいぞー!
俺は、この「ダンタリアン」に用があるからな!」
「ヒュー!アニキー!今日もイカしてたぜー!」
「サンキューだぜお前ら!愛してるぜ!」
そういうと、スピーカー搭載偵察機は帰還していった。
そして、バハムートゼロへの通信。
「おい!お前ら!G.U.軍なのになんで追われているんだ?
まあ、んなことはどーでもいい!
ここは「センチュリオンズ」のナワバリだ!
ここに入ってきた穏健派の戦力は俺たちの獲物だ!
手出しは一切許さねぇ!
んで、お前らも俺たちの獲物だ!後悔するなよ?
俺達に、そんじょそこらのクズ政治家野郎じゃないっていうところを見せてくれれば
俺たちの対応も変わるかも知れねぇしな?
とりあえず、お前らは今この段階ではほっとく!
わかったら、さっさといけ!次あったら…喧嘩で互いの腹を知り合うとしよう!」
「な、なんかざっくりした人ですね…。」
マルスが拍子抜けしている。
「ま、まあなんだ。とりあえず命拾いはしたか。MS部隊引き上げてくれ!
目的地へ向かうのが先だ!」
ザックが、仕切りなおして指示を出す。
「ぐぅ!取り逃がしたか…盗賊が…!たった1機で我々に勝てるとでも思うなよ!」
ガイナス指揮官が威嚇する。
「ハッ!てめぇらクズなんざぁ…俺一人で十分だ!」
すると、アニキと呼ばれた男のMSが起動する。
スラスターカウルに身を包まれた、ビームキャノン内臓のクローアームを搭載したMS。
「ズゴック・カルハリアス」である。
一年戦争の名機ズゴックを、現代カスタマイズした、彼の愛機である。
ズゴックの起動と共に、全身のスラスターカウルが噴射される。
次の瞬間、ベルグルフの反応速度を超える素早さで
ズゴックが消える。
—迸る閃光、銀河の大鯱がその牙を振るう—
ベルグルフ3機とノーディック15機は、一切の反撃や防御を許されない速度で
ズゴックのビームクローによる格闘攻撃を受ける。
腹部や、胸部を貫かれる敵MS。
次々にMSは爆発していき、爆炎の中に虚ろに見える影。
—銀河の鯱。ズゴック・カルハリアスの影—
「な、なんだこの機体は!化け物か!」
うろたえるガイナス指揮官。
「化け物?いいや、てめぇらが平和ボケしてんだろうがぁぁぁ!」
その後も、一切変わらぬスピードでズゴックは
ダンタリアン率いる部隊を次々と撃破していく。
「ふーぅ。準備運動もこんぐらいか?さあて、エンジン暖まってきたなぁ。
いくか!アベンジャーモードだ!」
ズゴックの排気口・関節部から、ジェネレータのエネルギーが漏れ出したことによる
蒼白い光が吹き出る。
それと同時に、スラスターカウルのハッチが全開放される。
また、背中にマウントされていた専用バイザーがズゴックの頭部にスライドし、
モノアイ部にドッキング、センサーの共有化と高密度索敵モードへと変化する。
さらに速度を上げるズゴック。
最早、その宙域には閃光の軌道しか見えない。
ただの兵士では、彼に敵わないことは明白であった。
閃光が駆け巡り、残存していたノーディック部隊は全滅した。
その後閃光は、ダンタリアンを護衛していたガルーダ級巡洋艦3機を貫き、撃沈させた。
「逃がすかよおおおおおおおお!」
指揮官の死亡に伴い、撤退しようとするダンタリアン。
しかし、一筋の閃光が、ダンタリアンを貫いた。
ダンタリアンは、なす術も無く撃沈していく。
「ふう。今日もいい調子だぜ、カルハリアス!
さあて、あいつら上手く逃げ切れたかね?
まあいいか。いつかは拳を交えないと見えない絆もあるもんだ。
にしても…あの死神に乗ってたあんちゃん、迷ってんな?
迷いを断ち切らないと、人は強くなれないぜ?」
突如として現れた新しい勢力、宇宙蛮族「センチュリオンズ」。
彼らは敵なのか、味方なのか—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.34 )
- 日時: 2013/04/06 18:14
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第十七話 哀愁・謀略・合流—動き出す時代— 前部
「ふう。今日もいい調子だぜ、カルハリアス!
さあて、あいつら上手く逃げ切れたかね?
まあいいか。いつかは拳を交えないと見えない絆もあるもんだ。
にしても…あの死神に乗ってたあんちゃん、迷ってんな?
迷いを断ち切らないと、人は強くなれないぜ?」
—銀河を駆ける大鯱、咆哮と共に戦場の虎となる—
穏健派第05攻撃部隊【マンモン】の先行部隊として、バハムートゼロに立ちはだかった
戦艦部隊を壊滅させたMS、ズゴック・カルハリアス。
「ジジ…タイガー、あんたあの子に思い入れあるみたいだね?」
ズゴックのコンソールから、女性の声が響く。
「おお、俺の愛しき女性ローザよ!さすが鋭いねぇ!」
タイガーと呼ばれた男が、見抜かれたと言わんばかりの表情を見せる。
「あんたの考えてることは大体わかるよ。若い頃のあんたに似てる部分あるからね。
…あんたは、もう後悔しなくていい。答えを見つけたんだ。
でも、あの子はまだ答えを見つけてない。だから迷ってる。だろ?」
「鋭いねぇハニー。そう、その通りだよ。
あのあんちゃんは…迷ってる。味方同士で戦わなくちゃならないことに。命を無駄に奪い合うことに。
しかし、割り切らないと、そう、答えを見つけないと、もっと残酷な現実に太刀打ちできない。
全ての攻撃行動がワンテンポ遅れてるんだよ。それが、あのあんちゃんの迷いを表している…。」
今まで陽気だった男から、哀愁の表情が垣間見える。
「大丈夫だよ、生身のアタシはあんたに殺されて、幸せだったはずだ。むしろアンタに殺されて、よかった。
あの子も、そんな現実にぶち当たっちまうかもしれない。今のままじゃいけない。…だろ?
そこは、アタシもあんたも、あの子を信じるしかない…でしょ?」
「ああ、そうだな…。」
タイガーが、煙草を取り出し、火をつける。ゆっくりと紫煙をくゆらせ、そこに自分の過去を合わせる。
「…さあ、しんみりするのはおしまいだよ!あんたの帰りを、みんな待ってるよ!」
ローザと呼ばれた女性の声と共に、映像通信が割り込んできた。
「そうだぜ、アニキ!早く帰ってきてくれよー!We・love・ア・ニ・キー♪
他の兄弟たちも、アニキと姐さんの帰りを待ってるぜー!」
モヒカンやリーゼントなど、独特のヘアスタイルとボンテージスーツに身をまとったガタイのいい男達が見える。
「早くお兄様帰ってきてー!わたくし達、お兄様とお姉様の元気なお顔を見たいのー!」
「もう!この娘ったら、お兄様が大好きみたいな甘えんぼさんで困っちゃってるのよねぇ!」
レオタードにプロテクターをまとったハイレッグスーツの女性達も見える。
「タイガー、次の指示を頼む。革新派が失踪した今、穏健派の暴走は俺達が止めなくてはいけないだろう。」
左目に眼帯をした、無骨な男が映る。
「タイガー!アタシ達姉妹にも指示をくれよ!こっちはうずうずしてるんだ!」
「タイガー兄ちゃん、早く暴れたいって、パンタールが言ってるよぉ!」
「お兄様?悪い子達には…めっ!でしょう?さあ、わたくし達と「オ・シ・オ・キ」致しましょう?」
三姉妹と思われる女性が3人映る。どの女性も左腕に真紅の百合をあしらったタトゥーをあしらっており、
ハイレッグスーツに身を包み、背中にはマントを携えている。
「そうだったな…おし、我が兄弟達よ!待ってろよ!さあ、愛しき女性よ、帰ろうぜ!
【大宇宙の猛鯱】、オーランド=タイガー!今からホームへ勝利の凱旋だ!」
ズゴックは、銀河の海へと駆けていった。
彼もまた、数奇な運命をこじ開けて生きてきた勇者であり、絆を紡ぎあげてきた人物なのだ。
—彼らが敵であって欲しくないものである—
—産業惑星メタリカ、第4地区。
産業の発展エリアとして名高い本惑星は、あらゆる製造業や建設業、ひいては食料の卸売りなど、
さまざまな産業で賑わっていた。
ここの第4地区に、革新派勢力はダミー会社を設立し、土地と労働力を購入。
労働者は内情を知っており、なおかつ穏健派やアライアンズに対抗するレジスタンスとしても
活動している。
ここにマルスのMSが格納されているため、補給も兼ねてアレス達オーディンは着陸。
長期的な活動になるため、可能な限りの補給作業が行われていた。
アレス達は、主に資材の計算や自分のMSメンテナンス。
トーマスたちメカニックは、卸売業者へ武装の補給のため、飛び立った。
ザック・マルスは今後の方針を各エリアに点在する革新派のレジスタンスとの協議。
そんなこんなで、1週間が経過した。
「ふう、こんなものかな。」
アレスは、MSコンソールの反応速度を引き上げる作業を行っていた。
反応速度を自分に合わせないと、操作誤差が発生するからだ。
「おーし、調整いいぞ!OKだ!」
エウリスも、感度良好を伝える。
「アレス!みんな!デッキに来て!」
エリュシアが、MSドックにいる全員を呼び出す。ザックの指示らしい。
全員が、駆け足でデッキに向かう。
「どうしたんだ?」
アレスの発言。
「これを見てくれ!いよいよ世論が動き出した!」
ザックが返答し、エアスクリーンモニターにニュースが報道される。
「昨日未明、アライアンズとG.U.穏健派勢力との紳士的会合が行われ、友好的な解決をG.U.が提案。
アライアンズがこれを了承し、武装の解除を宣言。戦争の終戦宣言が両陣営から発せられました。
解決案には、アライアンズの事業制約の解除・軍備拡大の了承・G.U.議会との友好的な連携が盛り込まれています。
これをアライアンズは妥協する形で了承したため、これにより第二次企業戦争は、わずか2年で事実上の終戦となります。
アライアンズは「革新派にそそのかされた。自分達にも落ち度はある。穏健派と一からやり直したい。」と述べています。」
「なるほど、終戦にしましたか。これは…ちょっとチャンスですね。」
マルスがつぶやく。
ニュースは、まだ続く。
「なお、これに伴い各地に点在する反政府テロリスト及び反アライアンズ武装勢力が一斉に武装蜂起を起こしました。
しかし、アライアンズとG.U.は友好的解決の案件に【相互安全保障同盟】を結んでおり、
この同盟に基づいて両軍が結託し、現在の段階で約80%のテロリスト組織が壊滅状態になっております。
残りの組織の壊滅も時間の問題として、見解を強めています。
さらにこの同盟は、議会の転覆と恐怖政治の謀略を企てた人類の敵として、革新派勢力を敵視しており、
残存する革新派勢力を根絶する姿勢を見せております。
現在、議会転覆を企てようとした独裁者、マルス=フォーチュナー議長は、オーディン部隊と共に姿を消しており、
目下、穏健派・アライアンズ連合が全力を持って人類の敵を捜索しております。」
「終戦か…言ってる事が滅茶苦茶だ…。」
「さすが穏健派だな。よく言うぜペテン師が…。」
船員からの声。
「だけれど、これはある意味で好機です。彼らは「終戦」を宣言した。
つまり、彼らは当面の間互いの腹を探りあい、出し抜くということが不可能になります。
停戦なら間髪入れずの開戦が出来ますが、終戦となると世論が付きまとう。
その間にどちらかがガタつけば、元々いがみ合ってる中で損得勘定を考えながらの付き合いです。
瓦解するのは簡単でしょう。」
マルスが、敵の状況を推察する。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.35 )
- 日時: 2013/04/22 08:04
- 名前: Laevatain (ID: C5nAn.ic)
第十七話 哀愁・謀略・合流—動き出す時代— 後部
—戦闘母艦「マンモン」にて—
「なんだと!?「センチュリオンズ」が出しゃばって来ただと!ちっ、厄介なことになった…!
まさかダンタリアン部隊が壊滅するとはな…忌々しい!
奴らを駆逐するならたやすいが、奴らのバックには「リベリタス・レベリオ・エンタープライズ」が居る…!
あの会社はなかなか癖のあるMSを所有している上、戦力も十分だ。民衆からの支持も厚い。
また「マスターピース」と同様に「センチュリオンズ」も
世論から支持を受けている義勇軍!…うかつに手を出せば、民衆からの反感を買いかねない…!」
リベリタス・レベリオ・エンタープライズ社。
反アライアンズまたは反穏健派武装組織への資本援助と
武力提供を主に行っているMS企業である。
また、市民への慈善活動も積極的に行っており、
世論を味方につける能力に長ける企業でもある。
センチュリオンズを始め、複数の武装組織へ援助と
技術提供を行っているのだ。
穏健派やアライアンズにとっては、迷惑この上ない企業である。
ガウェートが焦りの表情を見せる。
「ガウェート、調子はどうかな?」
突然、アザックからの通信が入る。
「アザック!?お前、一体どうした?」
「なあに、お前がてこずっているのではないかと思ってな。」
「ふざけるな!私があんな烏合の衆にてこずることなどないわ!」
「まあまあ、そうカッカするな。短気は損気、だぞ?老いぼれのいうことも聞くものだ。
そうそう、ワシと仮面の男との交渉はうまくいった。ワシのアウェイカー施設をやるといったら
あの男、かなり食いついてきおったわ。スタッフを派遣して、結構好き勝手やってるらしい。
んで、ワシの手塩にかけて育てた強化人間達に奴ら実験機を量産したようで、そいつらに乗ってほしいっていうんだ。
奴らのサンプルデータ収集とワシもといお前の手柄として、お前の部隊の増援にとジジイの気配りなのじゃが、どうかな?」
ガウェートが、沈黙して何かを考えている表情を見せた。
—戻って、バハムートゼロ。
マルスのMSが見える中、カールとダグラスのガンダムに手を加えるメカニックたち。
ちょうどそこへ、カールとダグラスが様子を見に来た。
「爺さん、今度は何をしてるんだ?」
「おお、カールにダグラスか!お前さんたちのガンダムは装甲が旧式の装甲、スチールに宇宙元素添加物を
加えた、コズミックスチール合金だったが、市場でゼウスメタルの板材が安く手に入ってな!
早速装甲に加えて、総合的な守備力の向上を図っているわけよ!」
「なるほど、それは凄いですね!でも、被弾はなるべく避けないとですね。
カールと共に、僕も精進しなきゃね!」
3人の会話の中に、2人の女性が近づいてくる。
バハムートクルーではない。見かけない顔だ。
「貴方達、ザック艦長とマルス様が何処にいるかを知らないかしら?」
ザックの居るデッキドックに、指揮官と思わしき軍人が入ってくる。
指揮官は、ザックに敬礼をする。
「ご無沙汰しております、中佐!【エインフェリア】、ただいまオーディンに合流いたしました!
おお、マルス様!ご無事で何よりです!」
「堅苦しい挨拶はそこまでだ、ジェイク。もう少し肩の力抜けって。」
「いえ、お世話になった大恩人の方と、救世主様に失礼な態度は取れません。
自分は、自分の忠を尽くしオーディンと共に絆の戦いを行う所存です!」
この堅苦しくも熱い男は、ジェイク=フリーナス中尉。G.U.革新派所属軍【エインフェリア】の若き指揮官である。
ザックの後輩にあたり、彼の指導を受けたため恩を感じている。
程なくして、アレスたちがドックに入ってくる。
続いて、カールたちが先ほどの女性達を連れてくる。
「ザック艦長、この方達は?」
「ああ、俺の後輩の堅物、ジェイク中尉だ。」
「君がアレス君か!あのナイトメアを扱いこなすとは、大物新兵って聞いているぞ!」
「そ、そうなんですか…。」
アレスは、自分が軍内でどういう風に拡大されていってるのか、後の話を聞くのが少々怖くなった。
「で、カール。そっちの女性は?」
「ああ、ザック艦長とマルスに用があるって…。」
女性の一人が、カールの会話を遮る。
黒い長髪をたなびかせた、スレンダーな体つきの女性だ。年齢は20歳前半に見える。
「あのねぇ!あんたみたいな新兵がマルス様に対して無礼だと、何度言わせれば気が済むの!?
まったく、ザック艦長!新兵の礼儀がなっていません!」
女性は、カールのマルスに対する態度が気に食わないようだ。
「いいんですよ、ジュピアさん。僕が、カールに気を遣わないでほしいって御願いしたんです。
カールもラフで構わないって言ってくれたので、友達感覚でお付き合いさせてもらってます。
貴女も、僕にはラフで構わないんですよ?気が張りすぎです、リラックス、リラックス!」
マルスが、笑顔で彼女に返す。
「…ああ、マルス様!なんてお優しいの!そして美しすぎるそのお顔、その心!私、貴方と出会えて幸せです!」
ジュピアと呼ばれた女性は、マルスにメロメロのようだ。
「…うわぁ、なあアレス。俺この女苦手だわ。」
カールが、ボソッと本音を漏らす。
「…確かに。」
アレスも、つい同意してしまう。
「あの、私はカールさん…嫌いじゃないですよ?ジュピアのことはいつものことです。気にしないでくださいね?」
眼鏡をかけた、ツインテールの女性がカールのそばに来てフォローする。
「あ、ああ。そうなのね…まあ、熱中しすぎもどうかねっていうことだよ。
って、君の名前を聞いてなかったな。名前はなんて言うんだい?」
女性は、もじもじして答える。
「わ、私は…マーキュルス=レベッカ。マールってよく呼ばれます。よろしく…御願いします!」
「ああ、俺はカール=ウッドネス。改めて、よろしくな!」
カールは、何の気なしに彼女に握手をする。
彼女は一気に舞い上がり、赤面しながら卒倒しかける。
「っておいおいおい!大丈夫か!?」
一方、メタリカ宙域内。
5機のMS部隊と、3機のMSチーム。
「デューク、めずらしいねぇ。あんたが興味持つパイロットなんて、何時ぶりだい?」
「まあな。タイガーの話を聞いて、興味がわいたのでな。」
どうやら、彼らからは殺気がみなぎっている。
—デューク=ストレイン。歴戦の勇者。求めるは強者。彼の求める絆は、戦いにのみ見い出される—
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