二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
日時: 2015/07/25 13:01
名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/

今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。

作成者は妄想大好きなおじさんです。

こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。

STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。

—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—

用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。

ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。


GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。

企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。

コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。

オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」

プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。

企業戦争グリードウォー
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。

モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。

ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。

ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。

※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。

なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。

ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
上のURLからどうぞ。

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Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.116 )
日時: 2014/07/09 21:29
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)

第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 中部1

—時は戻り、場所は移ってここは娯楽惑星「エンティニア」内にある大型スポーツジムセンター「オリュンピア」より—

秋口あたりの季節。運動にはもってこいの気温。

気温28℃、湿度50%、天気は晴れ。

ちょうど休日のためか、老若男女問わず、このスポーツジムセンターには多くの人が、
運動不足解消や自己鍛錬のために訪れては健康的な汗を流していく。

この施設には各種フィットネスマシンをはじめ、プール、サウナ、
柔剣道場、フェンシングエリアなどをはじめ、
ローラースケート・ローラーボードエリア、テニスコート、サッカーコート、
野球場はおろか、ゴルフエリアまで存在する。

大きさ的には、現代日本で言うところのハウステンボスぐらいの敷地に、各種スポーツ施設が存在する形。
(ハウステンボスの敷地は152万平方メートル。
東京ドーム約33個分。東京ディズニーランドの約二倍である。)

まるで一種のテーマパークである。

この施設は、エンティニア首都郊外にある自然公園「ヴァーサズフォレスト(女神の遊森地)」の中にあり、
公共事業団体所有の物件として運用され、市民からは憩い、自己啓発、仕事や学業のストレスを
健康的に発散する場として人気が高い。

このような充実した施設に対し、良心的な価格により利用できるのも利点である。

そんな憩いのエリアにて、何故か似合わぬ声が聞こえる。

フィットネスエリアから悲鳴が聞こえてくるのは気のせいか。

フィットネスエリアにて、阿鼻叫喚するのはダグラスとアシュレイ。

終いにはダグラスはスタミナ切れのせいか、今まで走ってた室内用ランニングマシンのベルトコンベアから
ちょうどよくコロコロと落下したところである。

「ぜぃ…ぜぃ…ぜぃ…、も、もう動けない…!」

完全にグロッキー状態のダグラス。

「はっ…はっ…はっ…、運動不足が祟っているなぁ…。」

苦しい表情ながらも、何とか耐えているのはアシュレイ。

「ダグラス、お前やっぱりバハムートゼロでのトレーニングメニューサボってたな!?」

ショルダープレスにてトレーニングするのは、カール。

ダグラスの体力の無さに、呆れながら察する。

MSパイロットは、時々バハムートゼロ内での対MS操縦時の衝撃に耐えるため、自己トレーニングメニューが
課せられるのだが、ダグラスはたまに参加していないことをカールはうすうす感じていた。

自分のトレーニングが終わり、ダグラスの様子を見ていると、
彼は寝ているかミーニャサーニャ姉妹と遊んでいたのをカールは記憶していたのだ。

「あ、みなさん来てましたか〜。」

遅れて合流したのは、マルス、ラウス=コロッセウス、オーランド=タイガー。
そしてタイガー率いるセンチュリオンズのモヒカンメンバーが数十名。

「アニキ!俺たちはいつもどおりに!」

「おう、しっかりボランティアしてやんな!」

「おっしゃー!俺たちはスポーツスクールの手伝いだー!」

この一連の流れの後、モヒカンメンバーは散り散りに各エリアの持ち場へ動いていった。

「ん?さっきのモヒカン兄ちゃんたち、どこいったんだ?」

疑問のカール。

「おう、あいつらはボランティアでスポーツ施設のスクール活動の手伝いやってるんだ。
あいつら見た目はアレだが、根はいい奴らなんだよ。子供にすげえ懐かれやすいんだ。」

タイガーの回答に、納得する面々。

ラウスはすでに知っていたようで、頷きながら同意する。

「ふう…とりあえずトレーニングしてますが、この後どうするんです?」

アシュレイが、ランニングマシンのメニューが終わったようで、一息入れながらの疑問。

そう、この発端は合同会合でのラウスのこの一言だった。

—「さて、【俺達のことを知ってもらうわけだが、ただ話しあうだけじゃダメだ。
そう、熱く滾る汗と共に、コミュニケーションを図ろうじゃないか!】」—

「あー、それなんだがな…なにやら、めんどくさいことに巻き込まれてな…。」

頭を掻き毟るラウス。

どうやら少々言いにくいことらしい。

「どういうことで…うぉああああ!?」

ラウス・タイガー以外の男性陣の表情が一瞬強張る。

トレーニングコミュニケーションは、男性だけのものでないと言わんばかりにトレーニングジムエリアに入ってきたのは、
バハムートクルーのMSパイロットの女性陣、リリア=スピカ、真紅の百合三姉妹クリムゾンリリィシスターズ

全員、トレーニング用のタンクトップにショートパンツ姿である。
プロポーションがしっかりしている女性が勢ぞろいなため、随分と刺激的な面々である。

エリュシアはお世辞にもグラマラスなプロポーションとは言い難いが、
随所に見え隠れする筋肉質な体つきが、彼女の潜在体力の高さを物語る。

あと、もじもじしながらアリシアの姿も見える。
彼女は体育会系ではないようだが、どういうことなのだろうか?

「あ、あんたら、何してんだ!?」

困惑するカール。無理も無い。

「ああ、ラウス、何も話してなかったのね?
良いわ、私が説明しましょう。」

女性陣の中からずいっと前にでたのは、リリア。

「これから、
【第一回、マスターピース・オーディン・センチュリオンズ合同ドキドキ体力測定大会】
を開催します!
スポーツの秋ってことで、面白企画を考えてたのよね〜☆
もちろん、グッドスタッフコーポの代表として、成績優秀者には豪華商品も用意!
さあ、張り切っていくわよ!」

右手を掲げ、ポーズを取るが若干場が白けている。

男性陣の後頭部に困惑の汗。

「あらぁ?バハムートゼロの男性パイロットはチキンなのかしら?
私に負けるのが怖いの、カール?」

挑発的なセリフを吐くジュピア。

「ちょ!ちょっとジュピア!何言ってるのよ!」

慌てて押さえ込もうとするマールだが、最早遅かった。

この挑発が、カールのくすぶる闘争心に火を点けた。

「テメェ…いい度胸してるじゃねえか…!
丁度いい、今日こそジュピア!テメェと白黒決着つけてやるぜ!」

ジュピアとカールの間に迸る火花。

もう、誰にも止めることは出来なかった。

—大型スポーツジムセンター「オリュンピア」に、突如として勃発した体力勝負…!
ガンダムの歴史の中で、史上最高に、どーでもいい戦いの火蓋が、今、切られようとしていた…!!!!!—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.117 )
日時: 2014/07/10 00:02
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)


第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 中部2


—同時刻、こちらはリベリタス社所有の大型中継宇宙コロニー「コクーン」にて—

ここに、ゴードン=オブライエン所有のプライベート戦艦「セファリウス」が停泊していた。

流石に、アレスの新機体を開発するとなると、大規模な設備が必要になる。
従って、このコロニーにある開発、生産設備を使用し、本格的な開発へと乗り出したのである。

ここにある、MS研究所のとあるトレーニングエリア。

アレスのナイトメアガンダムに似た、灰色のガンダムが一機。

そこに、フロンティア社のガンダムソルジャーが10機、立ちふさがる。

エリアは仮想空間の市街地。どうやら模擬戦闘らしい。

「おーしアレス君!ガンダムソルジャーを行動不能にしてくれ!
擬似ビームサーベルを相手に接触させればソルジャーは機能停止する!
相手はウチの会社に在籍する選りすぐりの精鋭たちだ!遠慮は要らんぞ!」

「わかりました!では、模擬戦闘を開始します!」

オペレーションルームと、灰色のガンダム内コクピットとのやり取りが終わり、模擬戦闘が始まる。

模擬戦闘開始を知らせる重低音のブザーが鳴り、戦闘開始。

まず、アレスは相手の動きを見極めるため、回避行動に専念した。

ガンダムソルジャーたちも、擬似ビームサーベルを手に持っている。

擬似ビームサーベルとは、発光するエネルギーフィールドを持つ実体の無いブレードである。
機体への外的ダメージはほぼゼロであるが、特殊回路を組み込んだ実験用の機体が発光部に接触すると
機体の電気系が強制的にシャットダウンする仕組みになっており、実験・試験・訓練用の擬似武装として使用される。

10機のガンダムソルジャーが、回避困難なフォーメーションでアレスを翻弄し、機能停止に追い込もうとする。

この動きを避ける。

なるべく直感と短い思考、そして反射へ。

アレスは自分の思考を慣らすかの様に、素早い手捌きでMS操縦グリップ、ブーストペダルを操作しては
逐一モニターに表示されるレーダーや各種機器系統の数値を確認し、的確な動作を繰り出す。

—自分の勘を、自信を、そして覚悟を、取り戻すんだ。
そのためには、MSで【敵を斃す】訓練をしなくては—

【覚悟】を終えているアレスにとっては、手馴れた精鋭パイロットのフォーメーション攻撃も苦ではない。

敵のオーラを見ずとも、彼に元々備わっていた反射神経、危険予知能力、戦闘へのセンスが
彼の中から目覚め、育ち、彼を一人前の戦士へと変えていくのだ。

四方八方から来る敵機の中に見える一筋の回避への道。

【見えた】アレスは、まるでダンスのステップを踏むかの様に、回避動作を淀みなく行う。

これを繰り返し、5分経過。

未だに精鋭部隊は、アレスを捕らえられずにいた。

「ま、マジかよ…!この猛攻を5分以上回避だけで凌いでいるなんてな…。」

流石のプロも、アレスの潜在能力の高さに感服せざるを得なかった。

—回避の慣れはあらかた済んだかな。
次は攻撃だ。俺が、【敵を殺す】。

血塗られた俺の手でも、俺の信ずる道を進むんだ…!
手段を選んでいる、暇は無い!—

アレスの気迫か?

それとも殺気か?

彼が【敵を斃す】覚悟を完了したとき、その場にいるガンダムソルジャーのベテランパイロットたちは、
体が、意識が、危険察知の本能が、アレスが乗るナイトメアガンダムらしき機体から放たれる未曾有の恐怖を
感じずにはいられなかった。

鳥肌が、止まらない。

—殺される!寒気が、とまらない!—

一瞬の刹那だった。

硬直したガンダムソルジャーに、一気に詰め寄り、擬似ビームサーベルにて一機ずつ的確に薙いで行く。

擬似ビームサーベルの一閃を受けた機体は、エラー音を吐き散らして機能停止していく。

こうして、全てのガンダムソルジャーが機能停止するまで、わずか1分。

擬似戦闘終了を知らせるブザーの重低音が鳴り響く。

—30分後—

アレスは、一通りの訓練メニューを終え、シャワーを浴びた後にリフレッシュルームにいた。

「アレス、お前変わったよな。」

「ん?そうかな?」

「ああ、こう…雰囲気というか、意識改革っつーか。」

「そこまで変えた記憶は無いけれどな…。」

「とりあえず、吹っ切れたって解釈すればいいんだな?」

「そんな感じでいいさ。俺は、もう、逃げないから。」

宙を漂うエウリスハロと会話しながら、アイスコーヒーを飲み干すアレス。

そんな中、リフレッシュルームにゴードンが入ってきた。

「お疲れ様アレス君。調子はどうだね?」

「ええ、大丈夫ですよ。ゴードンさんこそ、すみませんお忙しいのに…。」

「いいさいいさ、これは私が【 趣 味 】でやっていることだからな!ハッハッハ!」

上機嫌な笑みを浮かべるゴードン。

「大まかな調整は済んだ。あとは君のトレーニングや機体操作時に得たデータを元に、
君の操作に支障の無い程度の調整を済ますだけになっているぞ。」

開発エリアにあるアレスの新機体。

未だに多くのスタッフが各種調整に入っている。

灰鈍色はいにびいろに赤が映え、全体的なフォルムも変更されている。
むき出しの赤いフレームに装甲が付随する形。

まるで、機動力を失わないように施された、軽装かつ堅牢な「戦士」の鎧のように。

「戦士」は待つ。戦いの刻を…。

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.118 )
日時: 2014/07/12 14:07
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)

第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 中部3

—スポーツセンター内に突如として勃発した体力勝負。その前に、起こった出来事—

今回対象となる選手は

バハムートチーム
カール・ダグラス・マルス

エインフェリアチーム
ジュピア・マール・エリュシア

クリムゾンリリィシスターズ
ナルキス・ウィオラ・カリディア

マスターピースチーム
ラウス・リリア・アリシア

なお、アリシアは人数あわせのため、人数が足りないチームへと割り振られた。

エリュシアは、ほぼジュピアとマールに引っ張られた形での割り振りである。

今回、サブスタッフとして、飲料・汗拭きタオルなどの物品用意スタッフに
サフィア・ジェーン・カロラス・キャスタ・ミーニャ・サーニャなどの
十数人のバハムートクルーが、面白半分で参加している。

タイガーは自身のトレーニングがてら、彼らの総合審判となる。

こうしてルールと配分が固められていった。

「3種目の総合評価にて判定するわ!

先ずは脚部体力!【20mシャトルラン・100m走・反復横飛び】!
2.上半身体力!【ソフトボール投げ・握力・上体起こし】!
3.水中運動能力!【自由形100m・水中歩行による持久力・メドレーリレー300m】!

こんな感じかしらね〜。」

リリアが大まかな種目内容を提示する。

何やらパンフレットらしきものを持ちながらの会話。

…あらかじめ企画していたのだろうか?

「あと【豪華商品】は…コレ!

【グッドスタッフコーポ監修、特別顧客用のゴールデンカタログ】!

この中にある商品は、付属のウォレットカード1000アース(日本円で約1500万円)で支払える、
特別顧客のお返しみたいな形のカタログよ。

一部の株主や顧客にしか配布してない、貴重品というか、現金をオブラートに包んだものね。

これをチームに一つ、差し上げます!

…私たちが勝ったら、まあ、みんなに参加賞みたいな感じで、何でも使えるクーポン券を渡すわね…。(ボソッ)」

…身もフタも無い説明である。

「リリアさん、それオブラートに包んでないです…。」

マールが的確に突っ込む。

「お嬢様は肝心なところで抜けがあるのです。ご容赦くださいませ。
皆様方、本日はお嬢様が企画されました、素敵かつ所々に抜けがあるざっくばらんなイベントをお楽しみくださいませ。」

リリアの後ろから、真っ黒いハロが現れては、毒の効いた丁寧な解説を行う。

「【ヴォルト】。貴方はいつも一言多いわね…!その減らず口を閉じないとスクラップにするわよ。」

「どうぞご自由に。私には口が無いものですから、お許しくださいませ、お嬢様。
そもそも、私が居なければ【バレットガンダム】の制御は、どのAIが行うのでしょう?
私用にアクセスパスワードを変更しておりますので、恐らく既販AIでは制御できかねるかと。」

体力測定をそっちのけで始まった黒いハロ【ヴォルト】とリリアとの口喧嘩。

「あの…そのハロさんは?」

エリュシア、口論に割ってはいる形での質問。

「失礼しました。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ない。

私、リリア様の執事兼、搭乗MS制御AIの【ヴォルト】と申します。

以後、お見知りおきを。」

黒いハロが丁寧に自己紹介をする。

ラウスの後ろからも、赤、白、青の
トリコロールカラーに身を包んだハロが現れる。

「ヴォルトのついでだ。俺も自己紹介しとくぜ。

俺は、ラウスのトレーナー兼、搭乗MS制御AIの【アーサー】ってんだ!

よろしくな!」

「アーサー殿、今日も暑苦しい自己紹介、ありがとうございます。
おかげで、このエリアの気温が約0.75℃上昇しましたよ。」

「おう!サンキューな、ヴォルト!」

ヴォルトの毒も、熱血バカらしきアーサーには通用しないようだ。

「ラウスさんもリリアさんも、MSに乗るのかい!?」

カール、ふとした疑問。

「ああ、俺たちはマスターピースのリーダー格だが、それだけってわけじゃない。
いざとなったら先陣を切り開く尖兵になるのさ!」

ラウス、ガッツポーズをしながらの返答。

いよいよ体力測定勝負が開始される雰囲気が形成されてきた中で、

「とおおおおおおおおおおおおおお!」

「やああああああああああああああ!」

突然の乱入者。

少年と少女の二人。

その中の少女は、宇宙アイドル【アフロディーズ】メンバーのアカネ=ナツメだった。

何故か、地球時代の学校にて体育の授業があった際に着られていた、体育服(しかも紺色のブルマ)である。

少年も同様に、男子用の体育服。下は紺色の短パン。鉢巻をしている。

少年は身長160cm前後。中肉中背で、年齢は思春期あたりだろうか?

髪の色は黄色で、髪の毛は逆立っている。目の色は緑。

まだ幼さが残った、あどけない表情の少年である。

「アカネちゃん!?しかも、その子…!?

まさか、宇宙少年アイドルグループ、アフロディーズの兄妹分【クリシュナ】のメンバー、

【アロイド=マーティン】じゃない!?」

「あはは…ばれてるや…。

僕は、アロイド=マーティンです!はじめまして!」

アイドルオタクのジェーン。流石の知識量というべきか。

コスプレをしたアロイドという少年の素性を看破した。恐るべき洞察眼。

「ちょっと二人とも!ダンスの練習はどうしたの!?」

「ジーニアスさんが、遊びに行って来いってこの衣装渡されて、来ちゃった…てへへ。」

申し訳なさそうなアカネ。

「全く…いいわ。確かみんなここで練習してるはずよね?」

「うん、みんないるよ〜!」

「オーケー。なら、後でバハムートクルーの皆さんに、彼女たちを紹介しましょう。
あなた達、私たちの代わりにチームになりなさい。私たちは、主審を務めます!」

突然の来訪者にチーム変更。

マスターピースチーム
ラウス・リリア・アリシアから、アロイド・アカネ・アリシアへ。

「皆様、どうぞよろしくお願いしますね。」

アリシアが、丁寧な挨拶。

「アリシアちゃんだね!お話は聞いてるよ!がんばろうね!」

こういう時、アカネの分け隔てない性格は非常にありがたいものである。

「さあ、全員準備はいい!?

体力測定勝負、開始と行くわよ!」

—くだらない全面戦争、開始のゴングが鳴り響く!—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.119 )
日時: 2014/07/20 09:29
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)

第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 体力測定1

−−−−−−−−−− ROUND 1 脚部体力 −−−−−−−−−−−

どこかの職人やら名人やらを競っていた、TV番組のようなSEが流れる。

そして、メンバーが居るのは、大型スポーツジムセンター「オリュンピア」敷地内にある、多目的体育館である。

この体育館、アリーナ面積が約4,000平方メートルと広大であり、さまざまな陸上競技が天候を気にせずに行える。

まずは、20mシャトルランから行われるようだ。

「ここでー!20mシャトルランとはどのような運動かを説明します!

1.まず、20m間隔で平行に引かれた2本の線の一方に立ちます。
2.合図音に合わせて他方の線へ向けて走り出し足で線をタッチします。
3.次の合図音で反対方向へ向けて走り出し、スタートの線にタッチします。

こうして、合図音に合わせてこの走行を繰り返します。

注意点として、合図音より先に線に到達したときには、次の合図音が鳴るまで線上で待機します。

合図音は開始当初は時間間隔が長いが、約1分ごとに短くなっていきます。

合図音についていけなくなり、2回連続で線にタッチできなくなったときを終了とし、
最後にタッチできた回数が記録とします。

合図音内に線にタッチできなければ、タッチできなかった線をタッチしてから繰り返し走ります。

こうして、持久力と最大酸素摂取量を測定するのですが、基本は持久力の測定に用いられます。

ちなみに最大酸素摂取量とは、漸増ぜんぞう運動で測定された酸素消費の最大量のことで、
徐々に肉体的な負荷が増えていくシャトルラン運動により消費された酸素量の測定に用いられます。

最大酸素摂取量は基本的にL(リットル)/min(分)などの絶対量
もしくは、ml(ミリリットル)/kgまたは分などの
体重に対する相対量を使用します。

後者の単位は、持久力競技のアスリートが持つ能力を比較するのに用いられます。

果たして、モビルスーツパイロットの体力は一体どれほどのものか、いよいよ戦いの火蓋が!」

「「サフィアさん、誰に向かって話しているの?」」

「ん?フフフ。この物語を見てくれている、見ず知らずの人たちによ〜。」

フリップとぐるぐる眼鏡(瓶底眼鏡)をかけ、状況解説をするサフィアと、
それを不思議がったミーニャ・サーニャ姉妹。

姉妹の回答をさらっとはぐらかし、
くるくる回りながらそそくさとカメラ(皆さんが見ている視点)から離れていく。

シャトルラン、参加選手はこの4名

マルス

エリュシア

カリディア

アリシア

である。

「位置について!」

ラウスは、審判兼スターターのようだ。

「用意!」

選手が構える。

スターターの合図と共に、ポータブルミュージックデバイスより
シャトルラン用ガイダンスサウンドとナレーションが流れてきた。

「レベル1、開始します」

全員が走り始め、20m先のラインに足をかける。

合図が変わり、元のラインに戻り、足をかける。

これをまずは1分。

「レベル2、開始します」

1分間隔で、必要速度が増加する仕組み。

こうしてレベル3.4.5…と、長い戦いが続いていく。

…この中で、一番早く根を上げたのはアリシア。

「はっ、はっ、はっ…。」

アリシアの足取りが重い。

「がんばれー!後もうちょっとー!」

アカネの応援もむなしく、レベル5、累計往復回数45回目で、ガイダンスサウンドの合図音に追いつけなくなった。

「はい!アリシアさん脱落!残念だったわね〜お疲れ様!」

膝に手をつき、荒い呼吸を整えるアリシア。

すぐさま、ミーニャ・サーニャ姉妹が、スポーツドリンクと汗拭き用タオルを持ち寄る。

「「はい、お姉ちゃん。」」

二人から受け取った品物を、笑顔で受け取るアリシア。

「ありがとう。あなたたち、きれいな心ね。

まるで、美しいステンドグラスを見ているみたいだわ…。」

アリシアの【アウェイカー】能力だろうか?

アリシアは、他人の心が見えるのかもしれない。

「そういえば、アリシアさん…なぜこの体力測定に参加したの?」

ジェーンが、ふと思った疑問をアリシアに聞いてみる。

「…私には、叔父がいるんです。

凛々しくて、立派で、【英雄】と呼ばれた、そんな私自慢の叔父です。

その叔父が胸を張って誇れるような、姪になりたいんです。

たぶん、この話は、皆さんに大いに関係する話になるとは思いますが、今は言えません。

機会を伺い、必ず皆さんにお話させて頂きます。」

アリシアが、自分が感じた不安をこらえて話す。

彼女の【能力】が、彼女の叔父にかかる危機を知らせたのだろうか。

アリシアが脱落して、約3分。

次に脱落したのは…

「はぁはぁ…、流石にキツイですね…。僕もここまで、みたいです…。」

足から崩れ落ち、その場に倒れこむマルス。

累計往復回数72回にて、マルス、ダウン。

すぐさま、双子姉妹とジェーンがマルスに飲料及びタオルを持ち寄る。

「ああ、ありがとうございます。いやぁ、やっぱり、体を動かすのは楽しいですね。
運動が人間にとってどれだけ重要か、再認識しましたよ。」

笑顔を絶やさないマルス。

彼の人柄は、多くの人の心を掴む。

「そうですね、私たちもできる限り努力をしなくちゃ。
マルスさん、共に、頑張りましょうね!」

先に休憩していたアリシアが、マルスの手を握る。

アリシアの頬が、少し赤らんでいるようにも見える。

「え、ええ!そそそ、そうですね!僕もががが頑張らなくちゃ!」

顔を赤らめながら、動揺するマルス。

…そのやりとりを、タオルをかみ締めながら、嫉妬の眼差しで見つめるのは、ジュピア。

「悔し泣きやめなさいよジュピア…。」

マールの的確なツッコミ。

ここから、経過すること1分。

ラストに脱落したのは、エリュシア。

「ハァ、ハァ、ハァ…。これが…限界…かなぁ…。」

膝に手をかけ、ラインを踏むことをあきらめた。

累計往復回数85回、17歳の少女にしては、かなり驚異的な数字である。

「エリュシア…すごいわね貴女!」

サフィアをはじめ、ギャラリーも驚いている。

この小さな少女の体に、ここまでの体力が備わっていたのだから。

「んー!しょっと!

やっぱり、体動かすの楽しいね…!

もっと体力つけなくちゃ、ね。」

伸びをして、体の凝りをほぐす。

一片の曇りの無い笑顔を見せるエリュシア。

彼女の迷いは、アレスが生きているという事実を経て払拭された。

彼女自身も、強くならなくては、弱いままではいられない、ということを認識しているのだろうか。

よって、最後まで残ったのは、カリディア=ヴァーミリオン。

なんと、類型往復回数95回にして、まだ余力があるようにも感じる。

「ふう。楽しい運動でしたわね。

皆様、お疲れ様でした。

申し訳ないのですが、私が勝ってしまいましたね…。」

若干困惑顔のカリディア。

物足りなさを感じているのか。

恐るべき真紅の百合三姉妹、三女の体力である。

「はい、結果ね!
チーム、クリムゾンリリィシスターズに3pt!
チームエインフェリア2pt!
チームバハムート1pt!

この調子で、次の種目行くわよ!」

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.120 )
日時: 2014/08/07 07:14
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)

第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 体力測定2

—自分の弱さ、自分の脆さ、自分の深層心理が見えていない部分が現れ、それが他者に見えてしまう。
運動とは、自分を見つめなおし、自分の【逃げ】の気持ちを改めるきっかけになる場合がある。

彼らは、自分の歩んできた道を見つめなおし、また歩き出す意志を確認したかったのかもしれない。

【体力測定大会】という少々荒っぽいコミュニケーションは、なお進行していく—

脚部体力測定項目2:反復横飛び。

「反復横飛びとは、1メートル間隔の三本の線を引いた上で、敏捷性を競うスポーツです!

競技内容は、

1.1m間隔で3本のラインをガムテープなどでひきます。

2.真ん中のテープをまたいで立ち、20秒間で何回サイドステップで移動できるかをカウントします。
この開始時は、必ず右足から行います。

3.ラインは超えなくても、踏めばOKです。
真ん中のライン、左、真ん中、右と繰り返します。

4.1〜3を二回行って、良い方を記録します。

敏捷性は年々衰えていくもので、
自分の身を守るためには欠かせないものです。
敏捷性は自分で意識してトレーニング、維持することで、
先々の転倒や障害予防、生活活動の質を大幅に改善することができます。

さあ、一番素早いのは誰だ!?」

またも瓶底眼鏡のサフィア。

このフリップ、いつ用意したのだろうか。

そして始まった反復横飛び。

参加していたのは

カール

ジュピア

ウィオラ

アカネ

であった。

「うおおおおおおおおおおおおおおお!」

カール、ここぞとばかりに鍛えた体力を生かそうと、全力の反復横飛び。

もちろん、彼の俊敏な体力は、18〜22歳のままであった。

結局、カールが圧勝。

回数は62回/20秒 であった。

全員から、感嘆の声が上がる。

しかし、当のカールはジュピアに負けじと無理をしていたらしく、息切れが。

「ぜっ…はっ…ぜっ…はっ…無理…しすぎたか…。」

コテンと倒れ、グロッキー状態のカール。

続いて脚部体力測定項目3:100m走。

「100m走とはその名前の通り、直線レーンコース100mをいかに短い時間で走るかを競う陸上競技で、
短距離走に分類されます!

ルールは簡単。

100mのコースを全力で駆け抜けるだけ!

なお、スタートはスターティングブロックを使用し、クラウチングスタートでスタートします。
「On Your Marks(オン・ユア・マークス;位置について)」、「Set(セット;用意)」の後の
号砲がスタートの合図になります。

「On Your Marks」は、400m以下のレースで使います。
不正スタート(通称:フライング)は各レースで1回しか許されません。
2回目以降にフライングをした選手は、たとえその人にとって最初であっても失格となります。

オリンピックなどの競技ではこのようなルールですが、私たちには強力な秘密兵器が!」

サフィアが、ピンク色のハロ、プラミスハロを指差す。

「ええ、私のアイカメラで記録して、フライングなどの不正があった場合に加算される時間を伝えるわね。」

クルクル回るプラミスハロ。

それにしてもプラミスハロ、ノリノリである。

そしてサフィアのフリップと眼鏡にも慣れたところで、なにやらサフィアが奥でゴソゴソしている。

箱…だろうか?

そこには【イベント用アイテム入れ】と書かれたダンボール。

横には、グッドスタッフコミュニケーショングループの社章が。

…どうやらリリアが用意したものらしい。
用意周到過ぎな感もあるが。

参加選手はこちら。

ダグラス

マール(マーキュルス=レベッカ)

ナルキス

アロイド

の4人。

「On Your Marks(オン・ユア・マークス;位置について)!」

ラウスの掛け声と共に、全員がスタートラインにつく。

「Set(セット;用意)!」

全員が前かがみになり、クラウチングスタート用のステップに足をかける。

スターターガンの炸裂音が鳴り響き、全員が飛び出した。

が、その目の前で休憩していたカールに、カリディアが忍び寄る。

「ふふふ。お疲れ様でしたカールさん。

それにしても素敵な筋肉…いつも鍛えてらっしゃるのかしら?」

おどおどしながら、ぎこちなく答えるカール。

カールよりも少々年齢が上であるカリディアに戸惑っているのか。

「あ、ああ!そ、そうだけれど…。」

話をはぐらかし、ダグラスの下に行こうとするカールをカリディアが離さない。

「ふふふ、そう急がないでくださいませ。

もっと、貴方のこと知りたいわ。

お話できないかしら?」

「は、話すのは問題ないんだが…あ…やべえ…!」

そう、カールの恐怖は別にあったのだ。

競技中のマールから、邪悪な黒いオーラが出ているのが、アウェイカーでない人間でもわかる。

【カールさん…カールサンカールさんかールさンカーるサんカールサンカールさんかールさンカーるサん…!
今、その害虫を追い払い、安全な私の部屋へ監禁ひなんさせなきゃ…!!!】

現在、100m走のトップ争いは、アロイドとナルキス。

「坊や、なかなかやるじゃないか!だが、アタシもまだ負けちゃいないよ!」

「僕も負けないよ!勝負だ、お姉さん!」

二人がスポーツマンシップに則り、正々堂々と戦うなか

「カアアアアアアアアアアアアアアアアルサアアアアアアアアアアアアン!!!!」

アロイドとナルキスは後方からすさまじい悪寒と邪悪な波動に気がついた。

マールが二人を追い抜き、ゴールラインを越え、カールに襲い掛かろうとしていたのだ。

「ひ、ひいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!」

もちろん、全力で逃げるカール。

「しょ、勝者はマールさんね!でも、彼女やばいわあれ!理性を失ってる!」

「出ちゃった…マールの【ヤンデレモード】…。」

頭を抱えるジュピアと、唖然とするリリア。

愛に暴走する悪鬼と化したマール。

全力で逃げる子羊、カール。

カールの体力が尽き、その場に転げ落ちる。

「カアアアアアアアアルサアアアアアアアアアアアン!」

マールがカールに飛び掛ろうとした時、

「はいネエちゃん!ストップだ!」

トリコロールカラーのアーサーハロが目の前に。

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

アーサーハロを突き飛ばそうとしたマール。

が、

その直後、高圧の電気ショックをもらう。

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

一定時間電流を浴び続け、その後、マールは気絶した。

「はっ…はっ…はっ…死ぬかと思った…!」

涙目のカール。

「と、とりあえず、マールさんは大会続行不可能ということで…どうしよう?」

困惑したリリア。

ジュピアの頭上に電球が浮かび、アイディアがひらめく。

「よし、アシュレイ!緊急バッターであんたスカウトよ!」

指名されたのはアシュレイ。

「ええええええええええええええ!?」

もちろん困惑。

「よし、脚部体力測定終了!

結果は

暫定1位 クリムゾンリリィシスターズ6pt!
2位 チームエインフェリア5pt!
3位 チームバハムート4pt!
4位 マスターピースチーム3pt!

次、いくわよ!」


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