二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
日時: 2015/07/25 13:01
名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/

今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。

作成者は妄想大好きなおじさんです。

こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。

STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。

—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—

用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。

ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。


GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。

企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。

コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。

オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」

プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。

企業戦争グリードウォー
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。

モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。

ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。

ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。

※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。

なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。

ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
上のURLからどうぞ。

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Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.66 )
日時: 2013/06/02 19:46
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

第二十七話 飢えた牙—銀河を揺さぶる野獣の咆哮— 中部2


時間を正し、現在。

マールとジュピアの目の前に居るのは、暴帝闘士:ケイゼル・ケンプファー。

AVS-18E-KAP ケイゼル・ケンプファー

「オールド・リニュー・モデル」の不足分であった、白兵戦闘強襲型MSの市場ニーズに合わせるため、
ケンプファーの残存データから復元と改修を加えた機体。
高性能ながら量産化できるように武装に吟味を重ね、近接戦闘を重視したモデルとなった。
また、次世代テクノロジーである「エレメント・ジェネレータ」を採用している。
撹乱・強襲に優れた、まさに暴帝闘士となりうるMSである。

暴帝闘士がゆっくりと動き出す。
「調整良好。ジェネレータ出力正常。感度異常なし。エレメント・ジェネレータ稼動確認。」
一つ一つ確認を取りながらガノヴォがケンプファーを動かす。
そして、加速。
ジュピアとマールは、相手の動きに立ちすくむ。

—追いつけない。反応できない。躱せない—

ブーストの出力が、ガンダムソルジャーと比べて段違いであったのだ。
おおよそ目算で2〜3倍の速度であろうか。
反応できず、ジュピアのガンダムソルジャーの目の前に現れたケンプファー。
そのままガンダムソルジャーの腹部にキックを当てる。
コクピットへ、衝撃が伝う。
「きゃああああああ!」
吹き飛ばされるジュピアのガンダムソルジャー。
体勢を立て直すも、止む無く続くケンプファーの攻撃。
「ブースト調整良好。目算比でフロンティア社のガンダムソルジャーの約2〜3倍の速度と推察。
引き続き、ビームショットガン武装「バルトアンデルス」の威力・射程確認を行う。」
ケンプファーが、体勢を立て直した直後のガンダムソルジャーに銃口を向ける。
放たれる殲滅の光。
「くっ!」
ジュピアがシールドを構え、ショットガンの射撃を防ぐ。
しかし、ショットガンは連射と至近距離射撃により威力を稼ぐ武装である。
至近距離の防御では、やがてシールドが破損・大破してしまう。
案の定、シールドの装甲が見る見るうちに剥がされて行く。
「やめなさーい!」
マールのガンダムソルジャーがビームライフルによる攻撃妨害を目的とした射撃を繰りだす。
ケンプファーは難なく回避し、一度距離をとる。
引き続きケンプファーの射撃。しかし、距離が離れているため、割って入ったマールの
ガンダムソルジャーにはダメージがほぼ入っていない。
「武装「バルトアンデルス」射程距離確認。「バルトアンデルス」性能データ取得完了。
エレメントジェネレータ武装フリーズバズーカ「レーゲンアイス」の性能データ取得開始。」
ケンプファーのバックパックからアームが伸び、そこへショットガンを格納し、収納させる。
続いてバックパックアームからバズーカが肩から担ぐような形で飛び出し、右手と左手で
バズーカにセットされているトリガーグリップを握る。
「バズーカ!?いけない!ジュピア避けて!」
「目標捕捉。被弾したガンダムソルジャーをロック。発射。」
バズーカから放たれた砲弾。砲弾内部に搭載された水分が蒸発と凍結を繰り返しながら宇宙を駆ける。
ジュピアが弾道を避けようと砲撃軌道上から逃げる。
しかし、
バズーカは、誘導してきたのだ。
「な!?バズーカの弾道が誘導式!?」
ジュピアの回避は甘く、もはや避けられない。
「仕方ない、これで!」
ジュピアのガンダムソルジャーがシールドを構える。
レーゲンアイスの弾頭が着弾。爆風が舞うかと思いきや…?
次の瞬間、ガンダムソルジャーのシールドを含む左腕全体が凍結していた。
「これは!?マルス様の凍結式グレネードランチャーと違う!?」
ガンダムセージにも、凍結式のグレネードランチャーが搭載され、数秒の足止め用武装として使用されていた。
しかし、この武装はMSフレーム・駆動関係・エネルギー配線関係などを完全に凍結させていたのだ。
MS各可動部の発熱量は低くは無い。凍結対策もされていれば、そこまで時間を掛けずに凍結からの回復が可能である。
しかし、ケイゼル・ケンプファーの加速性能では、凍結解除までの無駄な時間が命取りとなりかねない。

「フリーズバズーカ「レーゲンアイス」調整良好。敵MSへ深刻な凍結効果を確認。
最後に、エレメント・ジェネレータ武装チェーンマインフレイムブレイド「オピオン」の性能確認に入る。」
ケンプファーはバズーカを収納させ、腰部に手を伸ばす。
腰部にマウントしていたのは、炎が迸る剣だった。
剣を手に取り、一気に加速させジュピアのガンダムソルジャーへ攻撃を仕掛ける。
「させない!」
ケンプファーとジュピアのガンダムソルジャーへ割ってはいる形で
マールのガンダムソルジャーが目の前に飛び出してくる。
「まあいい。お前から排除してやろう。」
迷い無く、ケンプファーは剣を振り下ろす。ガンダムソルジャーはシールドで防御。
振り下ろされた剣は、剣の関節部からチェーンワイヤーにて分離し始めた。
まるで鞭のように不規則な動きでマールのガンダムソルジャーが構えた
シールドを切り刻んでいく。
また、斬撃と同時に、エレメント・ジェネレータの炎エネルギーにより爆発が発生。
斬撃と爆炎による熱ダメージを受け、瞬く間にガンダムソルジャーのシールドが大破した。
「な、何!?この武器、威力が違う!」
ジュピアが大破したシールドを投棄し、後腰部にビームライフルを格納。
バックパックからビームサーベルを取り出し展開。敵のチェーンマインフレイムブレイドの迎撃にかかる。
「やはり雑魚か。この武装の恐ろしさをわからんとはな。ただの剣じゃないんだよ!」
ビームサーベルで切りかかろうとするマールのガンダムソルジャーの斬撃を躱し、
ケンプファーはオピオンでガンダムソルジャーのビームサーベルを絡めとる。
そのまま引き寄せビームサーベルを奪い、爆炎により大破させた。
「ああっ!このままじゃ危ない!一度距離をとらないと!」
下がりながらビームライフルを取り出そうとしたガンダムソルジャーの右腕をオピオンが絡めとる。
「しまった!」
「ふん。逃がさんよ!」
そのままケンプファーに引き寄せられるガンダムソルジャー。
その後、成すがままにオピオンの爆炎斬撃を浴び続ける。
ガンダムソルジャーのメインコンソールが警告音をけたたましく鳴り響かせ、
装甲数値を示す円グラフの色の着いた残存装甲を示すエリアが一気に減り続けていく。
「このままじゃ、やられる!」
爆炎と斬撃により、打ち上げる形に仰け反ったガンダムソルジャー。
ケンプファーのレフトバックパックアームが動き、左手でバルトアンデルスを握る。
バルトアンデルスを一回転させ、ガンダムソルジャーを射線に捕らえる。
至近距離。止めの体勢。

—終わりだ、雑魚め!—

別方向から放たれたのは、光の輪。
光の輪はケンプファーの構えられた左手を切り裂き、とある機体に戻って行く。

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.67 )
日時: 2013/06/10 22:01
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

第二十七話 飢えた牙—銀河を揺さぶる野獣の咆哮— 後部

「大丈夫か、マール、ジュピア!」
現れたのはガンダムフェンサー。カールであった。
「遅くなってごめん!敵の増援に手間取った!」
続いてダグラス・アシュレイ・マルスのガンダムたちも合流してきた。
「ちぃ!無人機では奴らを止められなかったか!」
悪態をつくガノヴォ。
多勢に無勢。そう判断したのだろう。
「…下がるか。」
ガノヴォが、後退した。

ガノヴォが後衛のケンプファーチームと合流した時、
ケンプファーチームが、両腕または全武装を破壊されていた。
「…やはりコイツらでは死神と聖女の相手は無理だったか。」
表情を崩さないガノヴォ。
「主任、申し訳ありません…。」
「いや、サンプルデータは手に入った。よく生き延びた。あとは盗賊に任せよう。
どうやら俺達すらも食いかねないほどに腹をすかせているらしい。面倒だ。引き上げるぞ。」
ガノヴォのケンプファーがナイトメアを睨む。
「どうした!?俺は戦闘の意志がない敵は攻撃しない!引き上げるなら引き上げろ!」
外部通信でアレスは投降と撤退を促す。
(甘いな、死神のパイロットは。その甘さで、これから出でる血に飢えた獣をとめられるかな?)
ガノヴォがこれから起こる惨劇を予想して可哀想にと同情の眼差しでナイトメアを見つめては
部隊を引き上げていった。

「さあ、引き上げましょう!アレス達の敵も引き上げたようです!」
マルスがアレスの状況を述べ、引き上げようとした瞬間—

ワイヤー2本。

ジュピアとマールのガンダムの胸部に刺さるはワイヤーアンカー。
そのまま引き寄せられていく。

「な、何!?」
「敵!?…!ジュピア、デブリの後ろすぐ!」

デブリから飛び出してきたのは、オレンジカラーのバル・エキスパートスタイル。
ギャレス=アードヴォルフであった。

「さあて、手当たり次第に食わせてもらうぜ!」

引き寄せたマールとジュピアのガンダムソルジャーの腹部にパンチを当てる。
殴り飛ばしたあとに、エキスパートバルは両腕に取り付いていたシールドを前方に構える。
シールドから出てくるのは、360°全方位回転式ビームマシンガンであった。
そのまま殴り飛ばした2機のガンダムにビームの乱射を浴びせていく。
ケンプファーとの戦いでボロボロの2機。大破まであともう一押しである。

「やめろおおおおおお!」
「させません!」
カールとマルスが格闘武器でエキスパートバルに攻撃を仕掛け、射撃の妨害に入る。

「ふん、甘いんだよ若造共がぁ!」
エキスパートバルは射撃をやめ、シールドにて防御。
しかし、シールドの裏から二枚のブレードが飛び出す。
ブレードは回転を加速させていく。
「食らえ!」
ブレードの飛び出たシールドで斬撃を繰り出すエキスパートバル。
咄嗟に回避する2機。

「ハッ!甘いねぇ!」

エキスパートバルはワイヤーアンカーとシールド兵器を合体させる。
マグネットアタッチメント式合体システムを取り入れることにより、幅広い武器のスタイルが
可能となっている現代のMS戦闘。これは最早周知の技術である。

合体させたシールドワイヤーの1機をそのままガンダムフェンサーに投擲。
ガンダムフェンサーは対艦剣で受ける。

「良いのかなぁ?刻んじまうぜオルァァァァァァ!」

シールドからまたもや2枚のブレードが展開・回転。
対艦剣との火花を散らしながら鬩ぎ合いを行う。

「なっ!?コイツ…速度と威力が強えぇ!」
気を抜いたら押し込まれると感じたカール。

「カール、下がって!」
「行きますよ!」

後方から、ガンダムセージとガンダムガンナーによるビーム砲撃である。

「テメェら…ナメてんのかぁぁぁぁ!」

エキスパートバルがワイヤーを引き寄せ、シールドを射線上に配置する。
的確なワイヤー捌きにより、セージとガンナーの射撃は全てワイヤーシールドに防がれた。

「今までの敵とは…明らかに違う!」
アシュレイが戦闘中から感じ取った敵の異質さに気がついた。

—これが、エース—

彼らは、まだ自分たちの実力を上回る敵と戦ったことが無い。
それが、バハムートMSチーム最大の弱点であった。

初めてのエースレベルの強敵との遭遇。
バハムートMSチームにとっては、未知の領域。
目の前に居るは、血に飢えた獣。
付け焼き刃の草食獣では、そのままエサになってしまう。
まさに格が違うということを見せ付けられるバハムートMSチームの面々。
その顔には、少なからずの死の不安と恐怖がよぎる。

「お前ら…もっと愉しませろよぉ!
何も出来ずに死ぬなよ?良い悲鳴こえ上げて足掻いて見せろ!」

—解き放たれた牙。野獣の咆哮。暴れ狂う猛攻を止める術はあるのか…!?—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.68 )
日時: 2013/07/06 20:03
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

第二十八話 開眼—守る為の力 その力 無限也— 前部

「お前ら…もっと愉しませろよぉ!
何も出来ずに死ぬなよ?良い悲鳴こえ上げて足掻いて見せろ!」

—漆黒の宇宙。吼え猛るは荒ぶる獣。眼前には熟れた美味な果実。
 眼前の餌を喰い荒らすまで、獣の雄叫びと暴走は止まらない—

突如として、ケンプファーチームと無人バル軍団の猛攻を辛うじて退け
ボロボロのバハムートゼロ管轄のガンダムMS部隊の前に現れたのは…
「ハイエナのギャレス」こと、ギャレス=アードヴォルフが操る
オレンジカラーのオリジナル武装が搭載されたバル・エキスパートスタイルである。
ギャレスのバルは通常のエキスパートスタイルとは異なり、武装の型に捕らわれない
変則的なスタイルを用いて戦うように彼のオーダーにより改造された特注品であった。

「ククク…【リーパースタンス】は堪能したか?さあ、次は【レンジャースタンス】だ!」

エキスパートバルが、展開していたワイヤーシールド兵装【エーギル】を戻し
ワイヤーはバックパックユニットへ、シールドは両腕へと戻っていった。
そして、側腰部から取り出したのは、二挺のビームハンドガン。
それを合体させ、ビームライフルへと変化させたのだ。

「さあて、踊れ踊れぇ!」

次の瞬間、エキスパートバルからシールドのビームマシンガンと
ビームライフルによる弾幕射撃が放たれた。
ジュピアとマールのガンダムソルジャーは、一撃で大破を貰いかねない威力である。
しかし、激戦と過度のダメージによりブースター速度が低下しており、
満足に回避行動を行えないのが現状であった。

それを察知したマルスとカール。

「ジュピアさんとマールさんが危ない!カール、援護願います!」
「わかったぜ、マルス!」

二機のガンダムが、ジュピアとマールのガンダムソルジャーの前に立つ。
二機はシールドを展開し、破滅を呼ぶ光の雨を被弾しながら守っていく。

—馬鹿が!—

死角から、ワイヤーアンカーがマルスのガンダムセージを襲う。

アンカーは、ガンダムセージの腰部と右腕に刺さり捕らえる。

「しまった!」

「貰ったぁ!」

ガンダムセージが引き寄せられる。
エキスパートバルは、そのままキックの体勢でワイヤーに捕らえられたガンダムセージを狙う。

そのまま、蹴撃がガンダムセージを捕らえる。
コクピットに、衝撃が伝わる。

「うああああああああ!」

「まだまだぁ!」

吹き飛ばされたガンダムセージに、光の雨。エキスパートバルの一斉射撃。
防御体勢になれないガンダムセージは、そのまま被弾を重ねていく。
コクピットの残存装甲を示す円グラフは、見る見るうちに減少。
大破の危険を知らせる紅いランプと警報がけたたましく鳴り響く。

「この…まま…じゃ…!」

「そのままくたばれぇ!」

「やめろぉ!」

エキスパートバルの射撃を止めたのは、アシュレイ。
ビームガン二挺による牽制射撃だった。
勿論、何の問題もなくビームガンの射撃を躱すエキスパートバル。

「なるほど…テメェは戦闘向きじゃないな…。なら…!さあ行くぜ、次は【ハンタースタンス】だ!」

エキスパートバルのシールドに内蔵されていたブレードが、アームと共に現れる。
そのまま、アームごとブレードがビームガンに搭載された。
…出来上がったのは、ビームハンドガンブレード二挺であった。

その瞬間、またもや死角からワイヤーが現れる。

—まるで、蛇のように絡めとリ、逃がさない—

捕らえたのは、ガンダムディスターブ。アシュレイのMSである。

「熱源反応が…無い!?」

「ククク、センサーステルスシステムを舐めるなよぉ!」

熱源・動体などのセンサーを意図的に妨害する電波を発するシステム。
それがセンサーステルスシステムである。
高性能センサーを搭載しているガンダムディスターブは、ワイヤーの発見が可能な数少ないMSであった。
しかし、前述のシステムによりレーダー上に投影されず、発見が遅れたために回避が不可能であったのだ。

そのまま引き寄せ、ガンダムディスターブ切り刻もうとするエキスパートバル。
それを止めたのは、カールとダグラスであった。

カールがビームブーメランによる牽制。
その後ダグラスが弾幕砲撃による射撃。

「効くかよぉ!」

シールドで的確に防御と回避を繰り返しながら、ダグラスに詰め寄るエキスパートバル。
そして、秒間の動作でハンドガンの射撃を武装に当てる。
ダグラスのビームキャノンとビームマシンガンは直撃を受け、損傷・使用不可となった。

「くそっ!」

「させるか!」

別方向から、ビームブーメランが襲い掛かる。

「しゃらくせぇ!」

エキスパートバルは、ビームブーメランを射撃で撃ち落す。

「な、なんだとぉ!?」

動揺を隠せないカール。

「ククク…行くぜオラァ!」

ガンダムフェンサーに対象を移し、一気に距離を詰める。

「くそっ!かかってこいよ!」

ガンダムフェンサーも、対艦剣を抜き取り反撃の態勢に入る。

「甘めぇ!」

ガンダムフェンサーに襲い掛かる双刃。
ガンダムフェンサーは対艦剣で受ける。

「ハッ!」

その後、エキスパートバルから繰り出されるのは、回避不可能防御困難の連続斬撃。
全て、ガンダムフェンサーは対艦剣で受け止めるが、反撃が出来ない。

「クソっ!反撃できねぇ!」

「甘いねぇ兄ちゃん!対艦剣のようなデカブツは、大体小回りの利く兵装に弱いのさ!
一撃の重い武装は、手数で封殺しちまえば終わりなんだよ!」

ギャレスの的確な弱点を突く攻撃を受け、徐々にジリ貧になっていくガンダムフェンサー。
そして、生じる致命的な隙。

「いただきぃ!」

ガンダムフェンサーから、対艦剣を弾く。

「しまった!くそぉ!」

「終わりだぁ!」

斬撃が、ガンダムフェンサーを襲う…!

「危ない!!!」

飛び込むガンダムディスターブ。

—瞬間の火花、閃光—

次の瞬間、カールの眼に飛び込んできたのは





—胴体を貫かれた、ガンダムディスターブであった—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.69 )
日時: 2013/07/06 19:18
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

第二十八話 開眼—守る為の力 その力 無限也— 中部1


それと同時に戦場に合流したアレスとエリュシア。
目の前には、胴体を貫かれたガンダムディスターブ。

「…ククククク。遅かったなぁ…死神…。いや、ナイトメア!」

ゆっくりとビームハンドガンブレードのブレードを引き抜き、
力の抜けたガンダムディスターブを宇宙へと放り投げた。

眼を疑うアレス。

「なぁ…おい…嘘だろ?嘘だと言ってくれよ!アシュレイ!聞こえたら返事してくれ!アシュレイ…!」

—また、守れなかった…!—

そう思い、絶望しかけた瞬間、通信が入る。

「ジジジ…いじょうぶだよ…!大丈夫だよ、アレス!」

アシュレイの声である。

「アシュレイ!よかった…!」

胸をなでおろすガンダムチーム。

「やられたのはエネルギー接続供給部分だ!攻撃間際に全ての動力を切っておいたんだ!
これで爆発はしないけれど、稼動は無理だね…!」

現在のディスターブは、爆発の危機は免れたものの、戦闘継続は困難であるということだった。

「ちっ…!悪運の強い奴め…!
だが、お前ら…安心して良いのか?
俺はお前らをたやすく殺せるんだぜ…!?」

ガンダムチーム全員に、死の恐怖と絶望が押し寄せる。

淀んだ空気。

伝う生温い汗。

切り裂いたのは

—ナイトメアの一撃の鎌—

反射でブラットペインを振るうナイトメア。
受けるはビームハンドガンブレード二挺。

火花散らし、死を振り払うアレス。
どうやら、ギャレスもアレスの戦闘意志を汲み取ったようだ。
そして感じる心地よい生と死の狭間に恍惚を抱きながら、興味の薄れたような目で
他のガンダムチームを見下し、そして背を向けた。

「こいつは俺がやる!みんなはバハムートへ!」

ガンダムチームはもうボロボロである。
ほとんどのメンバーは、了承するが…

反論したのはエリュシアだった。

「待って!私のセイントはまだ大丈夫よ!
一緒に戦ったほうが…!」

その瞬間、エリュシアのビームビット攻撃展開を予見していたかのように
エリュシアのセイントに向けてビームハンドガンブレードを向け、そのまま射撃。

セイントはいち早く察知し、ビームシールドを展開させたスピリットで防御。
意外にもビームハンドガンの出力は高く、スピリットはエネルギー枯渇を起こし、チャージングのため
バックユニットへ戻っていった。

「…!?この人…私の攻撃を予見した!?どうして!?
アウェイカーでもないのに…!?」

エリュシアからは、ギャレスがアウェイカーだという感じはしなかった。
アウェイカーは、開眼者特有の特徴である「意識の共有及び記憶の閲覧」が出来るものである。
しかし、ギャレスとはそれが出来なかった。

カールの通信により、エリュシアは我に返る。

「エリュシア、下がれ!ここはアレスに任せよう!俺達は邪魔だ!」

全員が、ガンダムディスターブを抱えて帰還する。

「アレス…気をつけて…。」

悲しみの表情を浮かべながら、エリュシアも戦闘エリアを離れていく。

「行ったか…。」
「気を抜くなアレス!コイツはエースだ…油断したら、死ぬぞ!」
「解っているよ、エウリス…!この機体は見覚えが何度かある!
ロンのときも、ミーニャとサーニャのときも…!こいつは絡んできていた!
この機体から伝わる生温い絡みつく空気…不気味な感覚…!死を想像させる…!」

アレスの汗は止まらない。

「ククク…さあ、思う存分やれるなぁ…行くぜナイトメア!」

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.70 )
日時: 2013/07/07 08:44
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

第二十八話 開眼—守る為の力 その力 無限也— 中部2

直後、エキスパートバルからの蹴撃がナイトメアを捉える。
ナイトメアはブラッドペインの柄で防ぐが、胴体は吹き飛ばされ、漆黒の宇宙そらへと放り出される。

「ぐっ!いきなりかよ!」

体勢を立て直すナイトメア。だが—
視界に入ってきたのは、エキスパートバル。そのままビームハンドガンブレードの刃を突きたてようとする。

「はああああああああ!」

野獣の咆哮を広大な宇宙へ響かせるギャレス。
ナイトメアは、ブラッドペインを回転させながらブレードの切っ先を逸らす。
火花が散り、金属の甲高い音を発しながら、両者鎬を削りあう。

「クククク…なあ青年よ。お前はこの戦いに何を見る?」

外部通信がナイトメアに入る。ギャレスであった。

「俺はこの戦いに、生を!死を!恍惚を!快楽を!実力を!慟哭を!殺意を!恨みを!憎しみを!悲しみを!全て、全て!
感じるのさ!人間の感情が!人間が内に秘めていた負の感情が露になる様を戦いから見ている!そして、その空間に
身をおくことを最大の喜びとしている!だが…お前達はどうだ?」

「何を言っている…!」

「結局のところ、お前達がやっていることだって無駄なのさ!
元来、古い歴史から人類は争いの歴史を繰り返してきた!
結局、どの時代でも人は憎しみ、裏切り、争いそして血を流し死ぬのさ!
これは摂理!人類が決して切り離すことの出来ない生と死の輪廻!
最早これはサイクルとして文明の切り替わりに行われて、人類は成長していった!
足掻こうと足掻いても、人はこの輪廻から逃れることは出来ないんだよぉ!
ククククク…無駄だよなぁ?滑稽だよなぁ?愚かだよなぁ!?
だったら、何も考えずにただ本能のままに殺せばいいんだよ!
お前も…そうなんだろう!?」

ギャレスが、アレスの心の闇を深くしようとしているのか。
「人は本来殺しあうもの」を唱え続けていく。
暗い闇はまだ拭えないアレス。
しかし、人を殺して自身の正義を正当化する気は毛頭無く、それは自分の中では許してはならないと
アレスは確固たる譲れない「モノ」を持っていた。

「そうやって…お前は自分を正当化するのか!ふざけるなぁぁぁぁぁ!」

ナイトメアの反撃。ブラットペインの一振りがエキスパートバルを捕らえる。
エキスパートバルはその斬撃をビームツインガンブレードで受け流す。

「ハッ!何を言っても無駄か…しょうがねえなぁ…。ならば、俺に食われちまえよ!」

エキスパートバルは、ビームハンドガンブレードをナイトメアに向け、
シールドのビームマシンガンと共に集中弾幕を浴びせる。
ナイトメアはシールドで防御するが、全てをカバーできるわけではない。
少なからずのビームがゼウスメタル装甲を融解していく。

「被弾!損傷軽微!残存装甲約80%!余り食らい過ぎるなよ、アレス!」

エウリスからの残存装甲警鐘。

「くそぉ!」

焦りから、苛立つアレス。
ナイトメアの反撃として、腕部エネルギーキャノン「ズロイ・ドゥーフ」の射撃。
それと共にシールド内内臓グレネードランチャーを発射し、射撃弾幕に絡めて行く。

「ハッ!甘いな!」

エキスパートバルは、ゼウスメタルには効果が見込めなかったのを把握していたため使用しなかった
ワイヤーアンカー兵装「エーギル」を近くのデブリに打ち込む。
そのままデブリに引き寄せられる形でバルは跳躍し、ナイトメアの弾幕を躱す。

「なっ!?」

驚くアレス。

「野郎…武装の応用技術が半端じゃねぇ!流石はエースってことかよ!
くそっ!奴の攻撃パターンが読みきれねぇ!このままじゃジリ貧だぞ、アレス!」

「解ってるよ!だけれど…悔しいが…強い!」

エースとの格差を、アレスとエウリスはひしひしと感じていた。
その後もナイトメアは無意味と知りながらも牽制の射撃を繰り出すが
デブリにワイヤーアンカーを駆使し、跳躍するバルには全くのダメージを与えられていない。
まるで密林を領域とし、庭のように駆け巡る野獣の如く。
新米の狩人では、密林の主である野獣を捕らえることは絶無。
むしろ、そのまま食われてしまうのが当然の結末である。

「そんな射撃、当たりゃしねぇよ!
解る…手に取るように解る!
敵の動きがスローモーションで予見できる!
これが…アウェイカーの予見能力か…すげえなぁ、おいよぉ!
さて…今度はこっちから行くぞオラァ!」

ギャレスに取り付けられた通信装置。あれはアウェイカーの能力開眼を無理矢理こじ開ける装置のようだ。
脳内に取り付けるのも、脳内にある感覚を解放させるためである。
ギャレスの装置は、そのプロトタイプであった。

アレスからの射撃を掻い潜り、ワイヤーに繋がれたデブリを機軸として回転をかけていくエキスパートバル。
ブーストで加速を加え、回転は増していく。

「そぉらよぉ!」

瞬間、ワイヤーを収納。
エキスパートバルが回転速度を維持しながらナイトメアに突っ込む。
同時に、頭上と下半身に向けてビームハンドガンブレードを向ける。
エキスパートバルは、回転するカッターと化し、ナイトメアに斬りかかる。

「避けられない!スピードが速すぎる!」

やむを得ず、ナイトメアはブラッドペインの柄で受ける。
しかし、斬撃を受けた瞬間に両腕のマニュピレータが過負荷の警告音を発する。

「なっ!?計測荷重…5F(フォリウス)!?
野郎…斬撃に回転とブースト加速を加えて、荷重、すなわち威力を増やしてやがる!」

—宇宙力学者、アレクサンドラ=フォリウスが新たに定義した「フォリウスの力学論」。
地球時代のアイザック=ニュートンの定理を上書きする形で人類に浸透した。
参考数値として、1GN(ギガニュートン)≒1F(フォリウス)。
N(ニュートン)の基礎知識として、質量100gの物体にかかる重力の大きさは,約1Nである。
地球時代の単位では、この時代の工業機械などの膨大な力は測れなくなっているのである。

その後、エキスパートバルはリーパースタイルへとモード変更。
シールドとワイヤーアンカー兵装「エーギル」を合体させ、遠距離からの斬撃と射撃でアレスを追い詰める。

「ぐああああああ!」
「損傷拡大!残存装甲約50%!不味い…!不味いぞアレス!」

全くの不利。

勝ち目すら薄い。

どうすれば勝てるのか、アレスには解らなかった。

が、少しでも追いつく方法があった。

アレスのナイトメアが、蒼白く光っていく。

—オーバーロードクロック、発動!—

全性能が上がったナイトメア。少し余裕ができた。
アレスは敵のワイヤーの動きを把握。エウリスもそれを蓄積し、予想できる攻撃パターンへと変換する。

「アレス、ココだ!」
「OK!いくぞ!」

連続攻撃・そして変則攻撃が主体のエキスパートバル・リーパースタイル。
しかし、必ず穴は存在する。

デブリに突き刺さる形でワイヤーシールドカッターを誘導するアレス。
案の定、シールドカッターがデブリに突き刺さる。

「!?野郎…そこを狙ってきたか!」
「いただきだ!」

突き刺さったワイヤーを切り裂く。

エーギル、1基使用不可。

やっと一矢報いることが出来た。
勝機が見えたアレスたち。

「おし!このまま押し切るぜ!」

エウリスが鼓舞したのも束の間—

エキスパートバルが、アレスの反応速度を超えて接近。
蹴撃と射撃を一気に浴びせる。

「なっ!?ぐあああああああああああ!」

衝撃が、コクピットを揺らす。

アレスが見たエキスパートバル。
蒼白い光を放っていた。
ギャレスもまた、オーバーロードクロックを発動させていた。

「オーバーロードクロックによる全性能強化か…考えたな。
だが、コイツはお前だけの専売特許じゃねぇんだよぉ!」


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