二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
日時: 2015/07/25 13:01
名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/

今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。

作成者は妄想大好きなおじさんです。

こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。

STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。

—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—

用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。

ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。


GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。

企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。

コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。

オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」

プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。

企業戦争グリードウォー
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。

モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。

ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。

ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。

※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。

なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。

ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
上のURLからどうぞ。

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Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.121 )
日時: 2014/09/23 22:56
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)


第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 体力測定3+小休止

−−−−−−−−−− ROUND 2 上半身体力  −−−−−−−−−−−

上半身体力も、壮絶なる戦いが繰り広げられた。

しかも、不慮の事故でルールに大幅な改変が加えられることとなる。

その状況を、ダイジェストで説明していこう。

サフィアのソフトボール投げの解説。

「まず、投手は投げるエリアである円の中心に立ちます。

円の直径は2m。その中心からハンドボールを投げます。

その先には1m間隔で曲線が引かれており、大抵は50〜60mで線は終わっています。

縦線(距離を測る横線の横に引かれる線)の角度は30度。
その線から投げたボールが出るとファウルになります。

二回測定し、距離の遠い記録を結果とします。」

しかし、この競技において、またしても事故が発生する。

「せえええええええええええい!」

ここで、裏方スタッフのミスが発覚する。

女性陣が投げた球の一部が、ゴムのような弾力と衝撃により硬化する金属「ステュクライト」で作られた
投擲によりコンクリートの貫通力を競う競技「グランドスラム(地震爆弾の意)」専用の硬球だったのだ。

もちろん、コントロールがままらない女子から放たれる投球は、休憩中の男性陣を襲った。

最早、砲撃である。

「げへえ!」

「いだっ!」

「誰だーーー!ステュクライトボールもって来た奴はーーーーー!?」

これにより、ダグラス・アシュレイが打撲。

競技続行困難となる。

チームの補充が不可能となった参加選手のカールから提案が。

「あのさ、リリアさん。

俺たちのチームから代表1名で、ラストの水泳勝負の100m自由形で決着つけさせてもらえないスか?

時間も時間ですし、あいつらあんな状況じゃぁ…。」

そういうと、負傷中の3人に目を向ける。

マール・アシュレイ・ダグラス。彼らの体力測定続行は不可能である。

特にダグラスは頭部に投球を受けてしまっており、打撲箇所にたんこぶが。
軽く脳にも響いているようで、彼の頭の上にはひよこと星が回っている。

投げた際の速度で硬度が変化する金属で、幸い女性から放たれたものだったので損傷は少ない。
が、もちろん成人男性が全力で投球した場合、当たったのが人間なら大怪我である。

そして、ROUND1の勝負でかなり時間を費やしてしまった。

時刻はPM13:30。閉園まではかなり時間はあるが、
温水プールの開放時間はいかなる場合でも、水質の安全確保のため、16:00で閉まってしまう。

「そうね…一度お昼休憩して、そこで決着つけますか…。

みんな、ごめんなさいね。私たちのミスで…。」

困り顔と申し訳ない顔が入り乱れているリリア。

しかし、当の本人や、参加しているスタッフたちは、不測のハプニングに大爆笑している。

「「面白ければそれでいいですよ!」」

ダウン中のアシュレイ・ダグラスも、白旗を振りながらリリアに非は無いことをアピール。

こうして、一時休戦の昼休憩が設けられた。

スタッフが用意した弁当が配布され、皆が食事を取る最中。

ラウスの元に、自作のお弁当を持ってきた女性が一人。

「あ…あの…その…なんだ…。ラ、ラウ…ス。」

「おお、ナルキス!どした?」

なんと、今まで凛とたたずんでいた、真紅の百合三姉妹クリムゾンリリィシスターズの長女・ナルキスが
ラウスに自作の弁当を携えてきたのだ。

「ああああああのそのええと…こ、これ…よかったら…!」

顔面が赤面になり、恥ずかしい気持ちを抑えながら自作の弁当を渡そうとするナルキス。

「おお、いつもすまねぇな!サンキュー!

そうそう、こないだの試合前の弁当、すげえ旨かったぜ!

ありがとうな!あれのおかげで、大事な試合も落とさずに済んだってもんだ。

ありがたく、この弁当も頂くとするぜ!」

ラウス、満面の笑みで彼女の弁当を受け取る。

その瞬間、緊張と恥ずかしさの限界がピークを迎えたか、彼女が一気に赤面。

顔から蒸気を噴き出してそのまま卒倒してしまった。

「姉様!」

「ナルキスお姉様!」

慌てて妹たちが、姉の介抱に入る。

その光景を、全員がまるで食い入るような眼で見つめている。

そして、不気味にニヤつく。

若干怖い光景にも見える。

こうして迎え入れた最終ラウンド。

ポイント制廃止の水泳一発勝負で決着をつけることになった。

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.122 )
日時: 2014/09/24 00:31
名前: laevatain (ID: uPu37vxy)

第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 体力測定4

−−−−−−−−−− ROUND 3 水中体力  −−−−−−−−−−−

場所を移し、温水プールの運動エリアへ。

50mの9レーン式プールといった競技用プールをはじめ、ジャグジー・打水などの健康入浴エリアといった
スパリゾートの設備も兼ね備えている。

もちろん、水着着用である。

参加選手はこの4人

アロイド

カール

ジュピア

ウィオラ

である。

カール・アロイド・ウィオラは施設内で販売されている競泳用の水着を着用。

しかし、ジュピアだけは異なっていた。

「ふふふふ、見なさいカール!
これがアンタを倒す、秘策の最終兵器よ!」

そういうと、ジュピアは着替え終えた水着を披露した。

そこには、この間ショッピングモールにて、スポーツウェアを品定めしていた成果があったのだ。

彼女が着用しているのは、最新繊維や最新のスポーツ力学に沿って製作された
スポーツ用品専門大手の「ソニックフィール・スポーツ」社製スイムウェアであった。

着心地抜群にして、流水抵抗を極限に低減させた、まさに「速泳」を追求する最新製品である。

さらにビジュアルを重視する彼女のスタンスとして、ハイカットの女性用水着を着用している。
これにより、彼女が持つグラマラスなボディラインを形成していた状態で競技に望めるのだ。

「テ、テメェいつの間にそんなガチアイテムを…!?」

「ちょっとリリアさんから話を聞いていたのよ、ホホホ〜。」

下目でカールを見下し、勝ち誇るジュピア。

「なんの!水泳は筋力がものを言うぜ!
最新鋭の装備など、微々たる差でしかないことを教えてやる!」

カールとジュピア。
相変わらず、この二人は火花を散らしている。

「ここで、自由形水泳競技の説明をします!

自由形は基本どの形での水泳で構いませんが、最もスピードが出る泳法としてクロール泳法があります。
よって、自由形はクロール泳法による競技となるのが一般ですね。

ルールは100m走の水泳版と考えればいいですね。

審判長の笛の合図の後、スタート台に乗り、静止します。
出発合図員の「Take your marks:位置について」で構え、号砲まで静止しなければなりません。

号砲までに動作をおこした場合、フォルススタート(フライングの意)と見なされ失格です。

号砲後に飛び込み、プールの壁まで自分のレーン以外のところに行ったりコースロープに触れたり、
プールの底を歩いたり蹴ったりしなければどのような泳法でも可能です。

ただし、スタート後及びターン後の潜水は壁から15メートルまでとされ、
それ以外の競技中は体の一部が水面上に出ていなければなりません。

これを守れば、あとは全力で泳ぐだけ!

さあ迎えました最終決戦!勝つのは誰だ!」

見慣れた光景であるサフィアの解説。

競技中、レーン外で泳ぐのはミーニャ・サーニャ姉妹とアカネ。

アカネは、ビート板で双子姉妹に泳ぎを教えていた。

「はいはい、こっちこっち〜☆」

小さい足で懸命に水面を蹴り、初めて[泳ぐ]ことを覚えようとしている幼き少女たち。
[運動]という行為が、大いに彼女たちの脳内に刺激を与えていく。

審判長のラウスが笛を長く吹くと同時に、選手たちが飛び込み台に上がる。

「Take your marks,set.(位置について、用意)」

全員が構える。

電子スターターガンの電子音が鳴り、全員が一斉に飛び込む。

水中の中、潜水からまず浮かび上がったのはカール。
自慢の筋力を活用し、力強くクロールの体勢に入る。

ジュピアも負けじと浮上。
若干カールから出遅れたが、やはり最新水着の恩恵があるのだろうか。
徐々にカールに近づこうとしている。

残りの二人も浮上し、先頭集団のカール・ジュピアに追いつこうとするが、
なかなか追いつけない。

やがて40m付近にて、ジュピアがカールに追いつく。

迎えた折り返しのターン。

僅差でのターン。ここでジュピアがカールをわずかに追い抜く。
競泳用水着の恩恵が、キックターンでのアドバンテージを生んだようだ。

(やべえ!巻き返さねぇと!)

(フフフ、もらったわ!)

ジュピアのリードを受け、カールも自分のペースを上げる。

両者の差はわずか。いつ逆転が起きてもわからない状態。

しかし、ここでまたしてもハプニングが。

なんと、ミーニャがコース側に寄っていくではないか。

ゴール付近まで接近してしまったミーニャ。

このままでは、隣接するカールと接触してしまう。

「あ〜!あぶない!」

アカネが向かうが、現在競技中の彼らはゴールまで25mを切っている。
アカネの位置はゴールから30m。かなり無理がある。

20m付近でブレス(息継ぎ)動作と同時に前方を確認したカール。
目の前のミーニャに気がついた。

(まずい!減速しねえと!でも…勝負が…!)

勝負を取るか、彼女の身の安全が先か。

考えを錯綜させること、0.5秒。

彼らの思考は、この男により無意味となる。

「やああああああああああああ!」

ジュピアとカールの目の前に現れた大男。

ダグラス。

ミーニャを守るため、無我夢中で競技中のジュピア・カールのレーンに飛び込む。

(おいいいいいいいいいい!マジかよおおおおおおおおおお!)

(ちょ!ダグラス、アンタ何やってんのよおおおお!)

まもなく、ダグラス・カール・ジュピアは頭部の正面衝突事故を起こした。

衝撃が強すぎたのか、当事者たちは気を失いプールに浮かび上がる。
たんこぶをつくりながら。

まるで、ドザエモン(水死体)である。

「あ、危なかったわね…。
でも、これどうしようかしら。」

このハプニングから、競技中の残り二人も競技を中断。
急いで3人をプールから引き上げる。

カール・ジュピアはすぐに気がついたが、気絶したままのダグラスは飛び込んだ際に水を飲んでいたようだ。
双子姉妹が懸命にダグラスの腹を押し、口から水を吐き出せる。

ダグラスの口から、噴水のごとく綺麗な形で水が吐き出される。

「勝負、おじゃんになっちまったなぁ。
まあ、いいか。面白かったし。」

ダグラスが持つ【男気】を見せ付けられ、自分の器の小ささを改めて実感するカール。

そして、決心する。

「リリアさん、さっきの勝負、ジュピアの勝ちにしてくれ。
俺は…ダグラスに負けた。チームメイトに負けたんじゃ、他のチームメンバーに勝てるわけがねぇや。」

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.123 )
日時: 2014/10/13 06:57
名前: laevatain (ID: Jg8CXhDq)

第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 体力測定5+後部

「ちょ、ちょっと!?何勝手に決めてんのよ!?
それじゃあ私が納得できないわ!もう一回仕切りなおせばいいじゃな…!」

不満気のジュピアを、カールが遮った。

「そういう単純な問題じゃない!」

プール内に、カールの怒号が響く。

「…悪い。つい怒鳴っちまった。

あんたと競い合うことに夢中になっちまって、本当に大事なものを、【自分の弱さ】を忘れようとしてた。

ダグラスは…こいつは…やるときにはやるんだ。

俺、カッコ悪いとこをダグラスやアシュレイみ見せたくなくて、負けず嫌いを装ってたんだ。

ダグラスは、俺よりも【心が強いんだ】。それは俺がよく知っている。

俺は管轄下のコスモポリスでこいつと知り合い、そこからの長い付き合いがある。俺にはわかるんだ。
一度言ったら絶対に曲げない。そんな【心の強さ】がこいつには備わっているんだ。

あの時…サーニャ・ミーニャを救ったときも、あいつはすでに決心していた。

【後悔する前に、やらせてくれ!頼む!】ってな。

そんなダグラスの心の強さに、いつも憧れて、いつも尊敬してて、いつも嫉妬してた。

ダグラスにもMSの操縦技術で俺を超えてほしい。
ダグラスにもアレスに匹敵する程のエースパイロットになってほしい。

そんな思いを巡らせながら、いつも行動していた。

そして…俺は、目先の勝負に執着し、目の前の危機を【迷った】。

戦いでは【迷ったら死ぬんだ】。

だからこそ、俺はダグラスに、そして自分自身に対して【負けを認めるんだ】。

これで、今までのチャラけた自分から、また一つ歩み進むことができる。

そう…思っただけなんだ。」

力なくカールが話す。

ジュピアは、カールとダグラスの友情の強さと、その信頼の強さに自分の考えを改める。

(何故?何故に友達のために自分のプライドを捨てられるの?

何故、自分の弱さを簡単に認められるの?

私は認められない。認めたくない。

だから、もっと強くならなきゃって…!)

ジュピア、ここで気がつく。

(!!!!!!!!!!!

そうか!自分で全て解決しようと思うからこそ、焦るんだわ!

チームは自分の長所・短所を補ってこそ初めて光り輝くもの!

私は、自分が万能型になろうとして、カールたちを超えようとして…それが間違いだったのね!?

そうしたら、私ができることは…!?)

ジュピアは、自分の悩みが答えに辿り着く寸前の段階にまで到達する。

—結局勝負はジュピアの勝利ということで、体力測定はチームエインフェリアが総合優勝となる。が—

「え?賞品は受け取れない?」

リリア、きょとんとした顔。

「ええ。私は賞品を受け取る資格がありません。賞品に関してはリリアさんのほうでお願いします。」

「うーん、困ったわねぇ。」

チームエインフェリア、賞品の受け取りを辞退。

困った主催者のリリアを尻目に、プール内にアナウンスが流れる。

「ただいま、16:00となりました。
水質保持のため、本日のプールのご利用は終了とさせていただきます。
なお、スパリゾート施設は引き続き21:00までご利用できます。
繰り返します…。」

「いっけない!16:30からアフロディーズメンバーと打ち合わせあるのよ!
みんな、片付けの協力お願いできないかしら!?」

全員が頷き、後片付けを終えてアフロディーズメンバーとの打ち合わせに向かう。

—「オリュンピア」施設内、ダンスフロアにて—

ここに、アフロディーズのメンバーが集まっているということで、向かうことになった一行。

ドアを開けたそこには、伊達眼鏡をかけたリオラ=オニハスが。

そして、2人の少女。

「あ、リリアさん!お疲れ様です。
ダンスの練習、一通り終わりました!」

ツインテールの大人びた少女が、リリアに挨拶をする。

「あ、リリアさん!ボクね!面白いパフォーマンス考えたんだ!見てみて!」

一人称ボクのショートヘアのボーイッシュな少女。
しかし、しっかりとプロポーションの高いボディラインをしている。

「みんな、お疲れ様。
早速悪いんだけれど、自己紹介してもらえないかしら?」

リオラの挨拶を終え、残り二人の挨拶。

「はじめまして〜!
ボクは【シオン=L=ワグネル】って言います!好きなことは人を驚かせることです!」

「皆様、お初にお目にかかります。
私は【イルミナ=アーリウェール】です。以後、お見知りおきを。」

シオンとイルミナが、バハムートゼロの主要メンバーに挨拶をする。

「そういえばジーニアスさん、これからアレだよね?

アライアンズさんたちと【こうしょう】するっていう話だったよね?」

首をかしげながら、リリアに確認するシオン。

「ええ、そうね。

シオン、あまりそういうことは口に出しちゃだめよ?

【誰が何処で聞いているか、わからないものね】。」

リリアがシオンに注意する。

—その頃、フロンティア社の社長室では—

静かな空間の中、待つ男が一人。

ジーニアス=ツァイス。

彼は待つ。

【敵】を。

やがて、聞こえるのは、ドアのノック音。

「どうぞ。」

ドアをあけた先に見えるのは…

「ご無沙汰しております。Mr,ツァイス。」

穏健派貴族院第3議長、ロバート=アケーディア。

そして

煌重工業株式会社 

人間工学課 課長 アキトシ=マイハマ(舞浜明敏)
AI技術開発研究課 課長 ユウスケ=マツザカ(松坂悠祐)

シヴィライゼーションコーポレーション

社長 ワーナー=ガルシア

アライアンズ【懇談会】メンバーの重鎮、フロンティア社へ電撃来訪。

—そして—

リベリタス社所有の大型中継宇宙コロニー「コクーン」に、警報が鳴り響く。

「緊急信号確認!未確認戦艦とMS部隊多数が、エンティニアに進行中!
信号の解析中ではあるが、恐らくアライアンズの大軍隊である可能性高し!
繰り返す!」

研究員・作業員が慌しく動き始めた。

「こうしちゃおれん!アレス君!いよいよ出陣じゃ!」

「はい、ゴードンさん!」

—いよいよ、大いなる脅威がエンティニアに襲い掛かろうとしている。
果たして、彼らオーディンを含む人類の希望は、この最大の危機を凌ぐ事ができるのだろうか…!?—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.124 )
日時: 2015/04/22 00:25
名前: laevatain (ID: Jg8CXhDq)

第三十九話 侵略〜希望を刈取りし欲望、人々を喰らわんとす〜 前部1

—足音が響く。

絶望か?

欲望か?

ゆっくり響く足音。

スーツに身を包んだ紳士。

にも見える。

しかし実際は?

そう、彼らは【人の皮を被りし悪魔】である。

【人の死から血(金)を啜り、肉(欲望)を食らう悪魔】なのだ—

ここは、フロンティアワークショップ本社ビル。
地上から約4km、階層800階にも及ぶこのビルは、惑星エンティニアからの
衛星軌道エレベーターリフトの発射口としても活用されているが故の高さを誇る。

エンティニアには人工コロニーや惑星が数箇所存在し、全てがビームユニット誘導式の
スペーストレインシップにて交通手段が確立されている。
さらには、エンティニアの各地には衛星軌道エレベーターリフトの発着点があり、そこから
気軽に宇宙への限定旅行をも楽しむことができる。

このビルは中層の400〜600階がフロンティア社の専用オフィスになっており、
宇宙各地に散らばるフロンティア分社やグループ会社の経理や運営状況・売り上げや
新商品の開発企画のたたき台を、このオフィスエリアにて行うのだ。

そういった、エンティニアの象徴とも呼べるビルの500階層目。

ここは、フロンティアワークショップの社長室が存在する。

社長室に向けて、足音が近づいていく。

その数は3人。

さらに専属スタッフらしき黒服の男たちが10人ほど。

アタッシュケースや、機材を包んだような黒袋を携えている。

女性の案内役に誘導され、足音は、やがて社長室の前で消えた。

ドアのノック音。二回—



—社長室の中では、男が一人。

眼を閉じ、神経を研ぎ澄ませ、呼吸を整えている。

(いよいよ来たか。さあ、【腹を括ろうか】。)—



—「どうぞ。」

覚悟を決めた男は、いつものひょうきんな男の声ではなかった。

【戦う意志を決めた男の声】が、社長室から聞こえてきた。

—男の名は、ジーニアス=ツァイス。
フロンティアワークショップ代表取締役—

ゆっくりと、開いたドアの先に見えるのは

「ご無沙汰しております。Mr,ツァイス。」

穏健派貴族院第3議長、ロバート=アケーディア。

そして

煌重工業株式会社 

人間工学課 課長 アキトシ=マイハマ(舞浜明敏)
AI技術開発研究課 課長 ユウスケ=マツザカ(松坂悠祐)

シヴィライゼーションコーポレーション

社長 ワーナー=ガルシア

アライアンズ【懇談会】メンバーの重鎮、フロンティア社へ電撃来訪。

「はっはっは。お久しぶりですなぁ、Mr,ツァイス。
めっきり貴社との商談の話が上手く行かなくて、申し訳ない。
どうですかね、商売のほうは?」

「お久しぶりです、ガルシア社長。
まあ、ボチボチといったところですよ。

今は、商売よりもその先にある【人類の未来を明るくするため】に
精力的に【ボランティア】を行ってますので、そちらの方が忙しいと言いましょうか。」

ワーナー=ガルシアからの社交辞令を躱すジーニアス。

「最近はかなり暗いニュースや話題が多いですしなぁ…。
そんな中、人々の暮らしに貢献するボランティア活動に余念がないとは!

流石フロンティア社、頭が上がりませんなぁ!

そこで今回は、明るい【商談】の話を持ってきたんですよ!
これでお互いに

【Win-Win(取引などにおいて、関係する両者ともにメリットのある状態であることの意味)】

の関係を築こうではありませんか!

さて、我々の企画した案件をご説明したいので、少々ばかり機材と電力を頂けませんでしょうかな?」

「ええ、構いませんよ。

機材やテーブルはこの部屋で用意できます。少々お待ちください。」

ガルシアが持ちかけた【商談】の話を聞くために、ジーニアスが社長机にあるコンパネを操作する。

社長室の中央にあったソファーとテーブルが収納用の床パネルに収納される。
その後、10〜20人ほどの会議用デスクとチェアが、床パネルより現れた。
デスクにはコンセントやパソコン・デバイス接続用のプラグインケーブルが10機装備されている。

「では、始めましょうか…。」

こうして、静かな会議から、絶望へのカウントダウンが始まったのだった—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.125 )
日時: 2014/11/10 14:00
名前: laevatain (ID: 1ePXRc1v)

第三十九話 侵略〜希望を刈取りし欲望、人々を喰らわんとす〜

—カウントダウン:9—

重低音や、機械の蠢く音が聞こえる。

クレーンや浮遊型リフトが慌しく動き、巨人とも呼べる大きさを誇るモビルスーツの前・後ろ・横を
通り過ぎたり、装甲を外して中を詳しくチェックする作業員の姿がちらほらと見える。

作業員と白衣を纏った技術員が、タブレットデバイスを見ながら
情報の確認や相談を行う姿も確認できる。

ここは、フロンティアワークショップ地下工場都市「デ・レ・マシニカ」。

フロンティア社が、技術の粋を結集し創設した、惑星エンティニアの裏の顔。
エンティニアが誇る地下要塞都市であり、最新鋭の防衛設備なども存在する。

最悪、ここにはエンティニアに住む全ての人々が避難できる場所としての機能もある。
最も、避難するべき事態が起きたことが一度も発生してはいないのだが。

ここに、損傷したバハムートゼロや、バハムートモビルスーツチームのモビルスーツが格納され、
修繕・改良が日夜行われている。

ジーニアスとアライアンズとの取引会議が始まった同時刻に、
自分のモビルスーツをメンテナンスするカール・ダグラス・アシュレイの姿があった。

「君たちのモビルスーツは、旧型の【コントロールパネル制御式】なんだな。
カメラも固定型だ。操作デバイスも、グリップやペダルといった旧式の物だな。
これでよく戦えたものだ。最近のモビルスーツは【タッチパネル系制御システム式】が主で、
操作デバイスは【ユニットコントロールスティック】や【音声認識システム】などが主流なんだが…。」

コクピットやモビルスーツの各部位を確認する技術員が、バハムートチームのパイロット達と会話している。

「いやぁ、こっちに慣れちまってさ。どーも【タッチパネル制御】には戻れなくなっちまったんだよ。」

「そうか。なら、コンパネのセットアップは君たちが行ってくれ。
我々が下手にいじると、君たちの命に関わることにもなりかねん。
一応、メンテナンスの為に、全てのデバイス部品を我が社の在庫にある
最新の機器に変更するが、構わないかな?」

「ああ、そこはそちらでうまくやっておいてくれ。」

カールと技術員との会話が終わり、休憩所へ向かうバハムートチーム。

作業エリアに隣接する休憩所は、1人がけの椅子4つに円テーブルが1つとして1セット。

これが約20〜30ぐらいはあるだろうか。

その中の中央部にある円テーブルに腰掛ける2人。

カールとダグラス。

アシュレイは、何かを思い出したようだ。

「あ…そういえば、【エイロックス】君…大丈夫かな?
モビルスーツで買出しに付き合ったら、気持ち悪くなったんだっけ。」

この話を思い出して、カールがしかめっ面する。

「あー…、あいつかー。
俺のガンダムフェンサーでちょいとトバしてたら、コクピット後部のトイレエリアでゲロゲロ吐いてたな…。
おかげで俺のフェンサー、トイレがゲロまみれだったぜ…ったく…。
消臭剤撒いといたが、あれはぶっちゃけメンテするおっちゃんたち、すげえ叫び散らすぞ。
【うわぁ!ばっちいなこれ!】ってな。」

カールのこの発言の後、後ろから作業員の叫び声が聞こえてきた。
しかも、カールのガンダムフェンサーをメンテナンスする方向から聞こえる。

カールの予言、的中っ……!

「まぁまぁ。彼、モビルスーツ乗った事無いっていう話だし、多めに見てあげようよ。
今、彼は医務室にいるから、迎えに行ってくるね。」

「おーう。あ、ついでにアシュレイ、俺たちの飲み物買って来てくれねぇかな?ほいっと!」

この会話の後、カールがアシュレイに向かってコインを投げる。

アシュレイ、これを受け止める。
確認すると、これは500ルナ通貨であった。(日本円にして約750円相当。)

硬貨をポケットに入れ、アシュレイは医務室を目指す。

医務室に入ると、アシュレイは、室内に充満した消毒液や薬液の刺激臭を感じ取り、顔をしかめた。

アシュレイは足を進め、医務室奥にあるベッドで青ざめた青年が一人、横たわっているのを見た。
ベッドの横には、嘔吐感を感じたらすぐに吐瀉物を受け止められるように、銀色の受け皿が置かれている。
酔い止め薬を服用した彼は、どうやら嘔吐感には苛まれていないようで、受け皿には何も入っていない。
時折、照明の光が銀色の受け皿に反射し、アシュレイの顔を映し出す。

「エイロックス君、気分はどうだい?」

「ああ、アシュレイさん…すみません、買出し中に気分悪くなってしまって。」

白髪とも取れる髪の色。少年のような顔立ちが残る、19歳の若手作業員。
名前は【エイロックス=レイブランク】。

バハムートチームメンバーとエイロックスは、ガンダムソルジャーを用いて、
地上の機材屋から機材や金属材料を買い取る作業をしていた。

そこに同乗していたエイロックスが、モビルスーツによる不規則な乗り心地に不快感を抱き、
そのまま酔ったということだった。いわば、モビルスーツによる乗り物酔いである。

「とりあえず、薬は服用したので、だいぶ楽になりました。
そろそろ作業に戻ろうと思います。ご心配をおかけしました。」

「いいんだよ。君が大丈夫なら。
作業は少しまだ休んでからでいいからさ、休憩室まで来てくれるかな?」

「はい。わかりました。」

二人は医務室を後にし、休憩室まで戻ることにした。


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