二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
上のURLからどうぞ。
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- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.11 )
- 日時: 2013/03/03 22:32
- 名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)
第七話 敵機急襲—忍び寄る悪魔の手— 前部
ロスト・ガイア近辺のアステロイドエリア。
ここに、索敵ビーコン及び通信用レドームを設置し、オーディンを迎え撃たんとする
アーリマン部隊が存在した。
彼らは、バハムートゼロの進行想定ルートを把握し、全てのルートに対応できるように
索敵ビーコンをアステロイドエリア全域に張り巡らせていた。
「ククク…MSシュミレータで確認したが、この新型は素晴らしい。
機動力は単純計算でバルの2倍〜3倍、攻撃力は総合でバルの4倍となる。
Civ社のバルもなかなかだったが、やはり我が社の科学力は宇宙一だな!
早く…死神に引導を渡したいものだ!」
ゲルググ・ベリアルナイツ内にて、逆襲に燃える主任の姿があった。
「あんまり焦らないでくださいよ主任。」
その中には、ギャレスの姿もあった。
「黙れと言っているだろう盗賊風情が!貴様の手は借りん!」
主任が激昂する。
(あーあ、こいつ自分がただの捨て駒ってことに気づいてねぇや…。)
ギャレスは、オレンジカラーのバル・エキスパートスタイル内にて肩をすくめている。
「主任、お待たせしました!出撃できます!」
「よし、これでゲルググ先行試作型は4機だ。死神を屠るには十分だな!」
背後から、3機のゲルググ・ベリアルナイツが合流する。
(ま、せいぜい生産試作サンプルデータを切り詰めるための生贄になってくれやおっさん。)
バハムートゼロ内部 MSドック内にて。
「おーし!大体纏まったぜ!お兄ちゃん達!見てくんな!」
トーマスが一通り作業を終えたらしく、カールとダグラスを呼び出した。
「な…なんじゃこりゃ!?」
「すごい!こんな改造もできるんですね!」
二人とも驚きの表情を隠せない。
「へへん!アタシとおじいちゃんの腕にかかればこんなもんよ!」
トーマスの横に、13歳ぐらいの少女が見える。少女はツナギを着ており、なおかつ暑いのか、上を脱いで
タンクトップを着ていた。ちなみに肌には油汚れが見える。手にはスパナを持っていた。
「い!?こんなお子様も…メカニックなのか?」
カールがきょとんとしている。
「お子様とは失礼ね!アタシはれっきとしたレディよ!」
少女は頬を膨らませてご不満の様子だ。
「ああ、すまねぇな!紹介が遅れちまったよ!この子は俺っちの孫娘、キャスタ=ギルバートだ!よろしくな!」
「よろしくね!カールとダッグ兄!」
キャスタは二人に向かってウィンクをする。
「ダッグ兄…って僕のこと?」
「おいまてクソガキ!なんで俺だけ呼び捨てなんだよ!」
「カールはレディにむかって失礼だから呼び捨てでいいのよ!ベーだ!」
「ぐぬぬぬぬ…このガキンチョめー!」
カールが飛び出そうとする。
「やめなって!相手は女の子だよ!カール、落ち着いて!」
ダグラスがなんとか抑える、
「うおおおお止めてくれるなダグラス!俺はこのガキンチョに世間の厳しさをだなぁ!」
なんとも大人気ない光景である。
「おめぇらわっけぇなぁ!カッカッカ!まあ、自己紹介はこんぐらいにして、お兄ちゃん達のMSの解説をするぜ!」
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.12 )
- 日時: 2013/03/03 22:34
- 名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)
第七話 敵機急襲—忍び寄る悪魔の手— 後部
トーマスは、カールのガンダムソルジャーを指差す。
ガンダムソルジャーに厚めの追加装甲が施され、シールドは両手に装備されている。
しかし、ビーム射撃武装が撤廃され、バックパックにビームブーメランが二枚装備されていた。
シールド内部にはグレネードランチャーが装備されている。
そして目を引くのは、バックパック中央に携えている巨大な対艦刀であった。
「カールって言ったかい?おめえさんは突撃傾向があるから、接近戦に優れたカスタマイズをしたぜ!
名づけて「ガンダムソルジャー・フェンサースタイル」だ!」
「おおおおおお!爺さんわかってるじゃねぇか!すっげえええええ!」
カールの目がキラキラしている。
「続いて、ちょっと太目のダグラスだっけか!おめえさんはコイツだ!」
トーマスが、続いてダグラスのMSを指差す。
格闘武器が取り外され、シールドが撤廃されている。
しかし、右手にはビームマシンガン、左手にはビームキャノン、
バックパックの肩部兵装にはビームスラッグガンが二挺、脚部には特殊機雷発射ポッドが取り付いていた。
「おめえさんは中、遠距離戦を好むらしいみたいだから、中遠距離に特化したMSにしてみたぜ!
弾幕で敵を牽制してやるんだ!コイツの名前は「ガンダムソルジャー・ガンナースタイル」だ!」
「なるほど!僕にピッタリですね!」
ダグラスが納得したように頷く。
しかし、二人は後にその隣にたたずむガンダムソルジャーの別モデルに気がついた。
「なあ、爺さん。このガンダムソルジャーってなんていう…?」
すると、後ろから若い青年の声が聞こえてきた。
「す、すみませ〜ん!遅れましたぁ〜!」
優男のようなイメージの青年だ。
「もー!遅いよダーリン!整備終わったよ!」
キャスタはどうやらその青年にメロメロのようだ。目の輝きが違う。
「いつもありがとう、キャスタ。」
優男はキャスタの頭をなでる。
キャスタは顔を赤らめてもじもじしている。まんざらでもないようだ。
「おっせぇぞ、アシュレイ!おめえはどーしていつもこうチンタラしてんだよ!
ほれ!カールとダグラスに挨拶せんかい!」
トーマスの雷が下る。
「す、すみません!ええっと…僕は、アシュレイ=ブリオールと言います。
階級はまだ上等兵ですが…よろしく御願いします!」
アシュレイは深々と二人に頭を下げる。
「い、いや…俺ら兵長だけれど、ぶっちゃけ新人だから…なぁ?」
「だね。お互いなかよくやっていこうよ。ね?」
カールとダグラスは、アシュレイを気に入ったようだ。
「ほら、同い年っぽいから、タメでいいからよ。」
「あ、ありがとう…!」
カールが珍しく気を遣っていた。
「そういえば、このガンダムソルジャーは君のかな?」
ダグラスが、最後の1機のカスタム機をアシュレイに尋ねる。
「あ、ああ。僕のガンダムだね。「ガンダムソルジャー・ディスターブスタイル」だよ。」
MSドックでのやりとりの30分後。
バハムートゼロは、ロスト・ガイアに差し掛かる。
「これが…かつての青き星、地球か…」
アレスがじっと見つめる。母なる大地を。
「かつての…母なる星…。」
そう、かつての美しき母なる地球は、もうないのだ。
ロスト・ガイア(失われた楽園)。
青き星:地球は、過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった。火星へのテラフォーミングに成功し、
火星への移住を経てから2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となったのだ。
ロスト・ガイアを通過後、いよいよ問題のアステロイドエリアに差し掛かる。
「ここで一発、索敵いくよ!」
カロラスが、オペレーションコンソールから操作をする。
バハムートゼロの中央からレドームが展開される。
「スキャニング開始!」
レドームからEXZ(イグズ)線のレーザーが周辺に照射され、さまざまなエリアをチェックする。
EXZ線とは放射線の1種で、人体の影響は少ないものである。
EXZ線のスキャンレーザーと高性能解析ソフトウェアにて、物陰に隠れている異物や機影をチェックできるのだ。
「索敵ビーコン多数、敵通信用レドーム多数。あと未確認MS機影が4機前後!」
スキャン結果をカロラスが報告する。
「よし、MS部隊はあらかじめ宙域内の偵察に入れ!周囲を警戒するんだ!」
艦長から指示が下る。
「アレス、君が主導でMS部隊の展開に当たってくれ!」
「了解いたしました、艦長!」
「おらおらぁ!各機体に通信強化レドームつけんぞ!もたもたすんな!」
MSドックもフル稼働である。
ジャミングエリアのため、通信強化用レドームをサブで取り付けないと、
通信はおろか、レーダーすらまともに扱えないのだ。
「おじいちゃん、隠し玉つかう?」
キャスタが問いかける。
「おう!ディスターブスタイルにぶちこんどけ!」
4機のMSが射出され、バハムートゼロを護衛する形でアステロイドエリアに差し掛かる。
「おおおお…久々のコンソールだなぁ…。」
「お前、ハロになってから動きすぎなんだよ…。」
ナイトメアコクピット内にて、アレスとエウリスの会話である。
「しかし驚いたな。ハロから抜き出したAIメモリーを差し直すだけで、
MSコンソールのAIとの同期を行ってデータ更新できるとはなぁ。」
「最近の科学力をなめちゃいけないぜ若者!…っと、どうやら敵らしいぜ。
レーダーに未確認機が前方アステロイドの影からちらちら見える…来るぞ!」
次の瞬間、アステロイドの巨岩の影から、まるで悪魔にも見える禍々しいMSが飛び出してきた。
「待っていたぞ、死神ぃぃぃぃ!」
ゲルググ・ベリアルナイツである。
ゲルググは、ビームナギナタ「オーハ」を展開し、ナイトメアに斬りかかる。
「させるかぁ!」
ナイトメアも瞬時にブラッド・ペインを展開、オーハと鍔迫り合いになる。
「ククク…この距離こそ私の望んでいたものよ!」
ゲルググの背部バックパックから、隠しマニュピレータ「ラ・マーロ・デル・ディアブロ」が伸びる。
マニュピレータの掌に相当する部分から、光が集中していく。
「食らえ!」
次の瞬間、マニュピレータから放たれる閃光。
ナイトメアに避ける余裕はない…!
悪魔の脅威、果たしてナイトメアの運命は…!
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.13 )
- 日時: 2013/03/03 22:38
- 名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)
第八話 岩林の攻防戦—紡がれる戦友との絆— 前部
ロスト・ガイア圏内、アステロイドエリアにて—
鍔迫り合いにて火花を交わす2機のMS。
ゲルググ・ベリアルナイツとナイトメアガンダムである。
しかし、この拮抗はゲルググにより崩されようとしていた。
「食らえ!」
隠し腕「ラ・マーロ・デル・ディアブロ」から、内臓ビームガンによる
接近射撃が行われる。
「くっ!危ない!」
僅差でアレスがバリアントマントを起動させ、鍔迫り合いを離し距離を少し取りながらマントを前方に向ける。
隠し腕からビームガンから光が放たれ、ナイトメアを飲み込む。
「うぐっ!」
バリアントマントによりある程度のビーム相殺が発生したが、それでも距離の少ない接近射撃である。
少なからずの熱ダメージと衝撃がコクピットを揺らす。
「損傷軽微!左腕残装甲値約20%減少!胸部残装甲約10%減少!総残存装甲約90%!連発は受けるとまずいぞ!」
エウリスが現状報告と警鐘を鳴らす。
「ああ、たしかにこんな攻撃受け続けたらいくら耐衝撃性に優れているゼウスメタル装甲ですら、
穴が開いてしまうな…!」
アレスの額に冷や汗が伝う。
「反撃だ!食らえ!」
ナイトメアがゲルググに向かい、左手のシールドロケットランチャーを発射させる。
ロケットランチャーは熱源追尾機能により、ゲルググを追尾する。
「しゃらくさいわ!」
ゲルググがバックパックからフレアを撒き、ロケットランチャーはフレアに誘導される。
対象を失ったロケットはアステロイド隕石に着弾し、爆散する。
「ちっ!ならば!」
ナイトメアが、右手のエネルギーキャノン「ズロイ・ドゥーフ」を連射する。
ゲルググは、シールドを駆使しながらナイトメアが放つ光の雨を切り抜けていく。
その中を掻い潜り、ナイトメアが接近。ブラッド・ペインを振るう。
「ハッ!甘いわ!」
避けられないかと思いきや、ゲルググは自分の背後にあるアステロイド隕石に
隠し腕を突き刺した。
隠し腕を軸とし、ゲルググはバック転しながらプラッド・ペインの斬撃を躱す。
ナイトメアの斬撃は、虚しく空を斬った。
その後、ゲルググはアステロイド隕石に着地し、ナイトメアを見下ろす。
「ハハハハ!さすがは一年戦争の産物!旧時代の物ながら、そのテクノロジーの基盤は素晴らしい!
昔から、武器開発は切磋琢磨を繰り返し、人は殺戮の兵器を創り上げてきた!
それにより、人類の生活基盤は飛躍的な進化を遂げた!戦争が!闘争が!人類を進化させた!
我々武器商人が、人類を「進化」させてきたのだ!
貴様ら偽善者に我々を裁く権利などない!これからも我々を主導として人は進化し続ける!
貴様らは、人類の可能性を否定しているのだ!愚か者め!
私達が、神であり、主導者なのだああああああああああ!」
主任が高らかに、自社の、ひいてはアライアンズの軍事制圧の正当性をアピールする。
事実、戦争による技術革新は人類の歴史では度々見られた光景である。
そして、人を殺す技術を考える度に人類の技術は進化していったというのも事実である。
ただ、これを道徳的に当てはめると、大体の人間が疑問を持つだろう。
武器製作及びこれに伴う殺人の正当化を訴える人間の意見は
通常の人間にして見ればただの自己満足のアピールでしかない。
絶対的な力を持った自らを主導者、神を崇めよと強要させるその姿は
ただの軍国主義・実力主義に陶酔した軍人の姿にしか見えない。
力が正義と自ら吐露している、滑稽な光景である。
「お前らの殺人主義は、そうやって継承されていくのか…!?
お前らのやってることは、ただの虐殺だ!
神だと!?ふざけるな!人間はどう足掻いたって人間なんだ!
殺した人間の数で人の価値が高まる訳じゃない!
人を殺して何故罪の意識がない!?
お前らの血は、何で出来ているんだ…!
弱者を虐げるのがお前らの正義なら、そんな正義叩き潰してやる!」
アレスが反論する。
「ハン!ならば、我々を止めてみるがいい!偽善者め!」
主任のこの言葉の後、3機のゲルググ・ベリアルナイツ先行量産型が到着する。
4対1の圧倒的不利な環境に、窮地に立たされるナイトメア。
「こんなイカレ野郎なんざ何言ったって無駄だぜ、アレス!
ぶっ飛ばして目を覚まさせてやろう!」
カールの通信が聞こえる。
アレスがレーダーを確認する。
カール・ダグラス・アシュレイのガンダムソルジャー3機が、増援として駆けつけたのだ。
「みんな!ありがとう!」
「気を抜かないでアレス!ココからが本番だよ!」
ダグラスが喝を入れ、アレスは一段と気を引き締める。
「さあ、来ます!警戒を!」
アシュレイが、敵の攻撃態勢を警戒する。
「まずは肩慣らしだ!受け取れぇ!」
ゲルググ4機のビームライフル+ビームガンによる射撃弾幕が張られる。
ガンダムチームは散開し、2機のペア行動に移る。
ナイトメア・ガンダムフェンサー(カール機)が、アステロイド隕石を影に射撃を避けながら
ゲルググ部隊に詰め寄る。
残るガンダムガンナー(ダグラス機)が、ガンダムディスターブ(アシュレイ機)を庇いながら
砲撃によりゲルググの位置をずらしながら牽制する。
ガンダムディスターブは、高性能索敵センサーと分析ソフトウェアにより、
敵のウィークポイントを検索していく。
しかし、最新機種のため思うようにウィークポイント検索がうまくいかない。
「くそ!どうやったら奴らを出し抜けるんだ…!」
焦りの色を表すアシュレイ。
その間にゲルググ2機が隠し腕を用いて、アステロイド隕石の軌道を変更する。
軌道が変更された隕石は、ガンダムディスターブ機へ直撃する軌道コースを向いた。
「まずい!一度戻ろう!」
アレスとカールのペアは、一度ディスターブへ戻ることにした。
しかし、ディスターブへ着実に隕石が向かっている。
「ビームライフルでは…止められないか!?」
アレスとダグラスのガンダムは、ビームと実弾による砲撃を試みるが、アステロイド隕石はびくともしない。
「ハハハハ!そのまま潰れろ偽善者め!」
アステロイド隕石は、もう目の前である。
「一か八かだ!俺に任せろ!」
カールのガンダムフェンサーがアステロイド隕石に向かう。
そして、背中の対艦刀を抜き取り、構えの体勢に入る。
「はああああああああああ!どうだあああああああああ!」
カールのガンダムフェンサーが、アステロイド隕石に向かい対艦刀にて線を描く。
次の瞬間、アステロイド隕石は描かれた線に沿って分解し、四方に散らばった。
「あ…ありがとう!助かったよ!」
「いや…俺も無我夢中だったからなぁ…。」
カールも、まさか成功するとは思っていなかったようだ。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.14 )
- 日時: 2013/03/03 22:42
- 名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)
第八話 岩林の攻防戦—紡がれる戦友との絆— 中部1
「次はこっちの番だ!」
ナイトメアとガンダムフェンサーが一気に攻勢をかける。
「来たな!フォーメーション・ダイヤモンドディフェンス!」
「包囲!」
ゲルググが、主任の一声により背中合わせの円状に並んだ。
円状の陣形を形成したゲルググが、陣形を維持しつつ回転しながらビーム射撃を繰り出していく。
これでは接近することが出来ない。
「今だ!フォーメーション・アサルトスペード!」
「突撃!」
次にゲルググチームは、前衛が中心に2機、後衛が左右に2機に整列する。
前衛がオーハを構え、後方機体が射撃援護の体勢に入る。
その後、前衛が突貫しナイトメアとガンダムフェンサーに斬りかかる。
「うおっ!危ねぇ!」
両者とも格闘武器で捌くが、敵の後衛による援護射撃により防戦一方になる。
両陣営とも決定打を放てないが、オーディン側が若干の劣勢を強いられる戦いとなっている。
集団戦術において、ゲルググチーム陣営がフォーメーション戦術を使用するため1枚上手なのだ。
しかし、ようやくアシュレイがゲルググチームにおけるフォーメーション戦術の要を見抜いた。
「…そうか!奴ら、索敵用ビーコンと通信強化用レドームの恩恵により、コンビネーション戦法による波状攻撃が
できるんだ!これを破壊できれば…!カロラス、敵の通信エリアを検出できないかい!?」
バハムートゼロ・メインデッキ内にてカロラスが指を鳴らして、アシュレイに応える。
「僕とバハムートの能力をナメないでよね!それぐらい朝飯前さ!待っててね…
検出…捕捉…エリア範囲…ここだぁ!って、ビームバリア展開されてるから、解除必要だよ!
防衛システムダウンプログラム送るから、これでバリアを無効化してから破壊してね!」
間もなくして、ガンダムディスターブへバリアジャミングプログラムと
敵の通信設備設置エリアの一覧マップが送信される。
「よし、僕が各エリアの通信設備を破壊して回るよ!誰か僕の援護を御願いできないかな!?」
この提案に、ダグラスが了承する。
「わかった!僕がアシュレイの援護に回るよ!」
「すまないダグラス!俺とカールで、奴らをひきつける!」
カールとアレスは、陽動のため攻撃中のゲルググチームを刺激する。
「さあ、鬼ごっこの始まりだ!」
エウリスの掛け声と共に、全速力でナイトメアとガンダムフェンサーが疾走する。
「ちょこまかと…小賢しい!」
釣られる形で4機のゲルググが追跡を行う。
一方では、ダグラスとアシュレイがビームバリアで覆われているアステロイド隕石を次々に発見。
バリアジャミングプログラムを駆使してビームバリアモジュールを無力化し、通信設備を破壊していく。
「主……通…が……おか……く…。」
いよいよもって、ゲルググの通信機能に障害が発生してきた。
「どうした、聞こえない!雑音が混ざっている!」
主任も異変に気づいたようだ。
「…まさか!奴ら、我々の通信設備網に気がついたのか!クソッ!」
主任に焦りの色が伺える。
「私ともう一機で死神と片割れを始末する!残りの二機で通信設備を破壊する小賢しい蝿を始末しろ!」
「了……解…。」
残りの2機のゲルググが、チームを離脱していく。
順調に設備を破壊していく2機のガンダム。
しかし、後方から2機のゲルググが追跡してきた。
「やっぱり来たね!アシュレイは作業を継続してて!」
ガンダムガンナーが、ゲルググに対し砲撃を行う。
ゲルググ2機は散開し、難なく躱す。
「あたらない!くそっ!」
焦りと不安の表情が、ダグラスに浮かぶ。
「ダグラス!やはり危ない!僕と十字砲火を狙おう!」
「…!わかった!やってみよう!」
ガンダムディスターブが作業をやめ、ビームガンを両手に携えてダグラスに合流する。
ゲルググの一機が、ディスターブに詰め寄り、オーハを抜き取る。
「ここだ!」
ガンダムディスターブのビームガンによる射撃が始まる。
ゲルググは上下左右に躱す。その瞬間動きが止まる。
「いけえええええええええええ!」
ガンダムガンナーのビームキャノンが光を放つ。
光はゲルググの胴体を貫き、ゲルググは散った。
「あっ!ダグラス危ない!」
安堵も束の間、ガンダムガンナーの背後からもう一機のゲルググが忍び寄っていた。
ゲルググと距離を離すも、ゲルググのビームライフルにより両腕が破壊されてしまった。
「くっ!ここまでか!?」
死をも覚悟したダグラス。
「すこし離れてて!隠し玉いくよ!」
アシュレイがそういうと、ガンダムディスターブがグレネードのような物体を投げつけた。
その物体は、5秒後に炸裂し、そこに強烈な電磁パルスを発生させる。
パルスの中心に居たゲルググのコクピットに、すさまじい砂嵐とメーター系の誤差が発生する。
「こ、これは!?」
「隠し玉って言って持たされた、対MS用EMP(電磁パルス)グレネードさ!」
悶え苦しむゲルググ。今が好機だ。
「食らえ!」
中破したガンダムガンナーがゲルググの上部に位置取り、脚部から特殊機雷を散布する。
機雷に囲まれたゲルググは、機雷炸裂と同時に閃光と爆炎に飲まれ、消えていった。
「やったねダグラス!僕達の勝利だ!」
アシュレイが、コクピット内でガッツポーズをする。
「ああ…勝てたんだ…!」
ホっと一息のダグラス。
そして、最後の通信設備を壊し、敵の戦略を完璧に封殺したのだった。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.15 )
- 日時: 2013/03/03 22:42
- 名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)
第八話 岩林の攻防戦—紡がれる戦友との絆— 中部2
アシュレイ達が交戦している同刻内にて、アレスサイドの状況はこうなっていた。
「…味な真似をしてくれるじゃないか…!貴様らが囮だったとはな!一杯食わされたということか…。
私をコケにした罪は重いぞ死神イイイイイイイイイイイイイイイ!」
主任のゲルググが、オーハを抜き取りナイトメアに斬りかかる。
「またそれか!ワンパターンだな!」
ナイトメアは、受け止めず躱す。
その瞬間、ゲルググの隠し腕がナイトメアを向き、ビームを放つ。
ナイトメアはバリアントマントとシールドにてこれを防ぐ。
続いて死角からガンダムフェンサーが、対艦刀にて主任のゲルググを切り裂こうとする。
しかし、部下のゲルググがそれをビームライフル射撃により牽制した。
「めんどくせぇ!一気に行くぜ!アレス、援護頼む!」
「わかった!無茶するなよカール!」
「ああ、行くぜ!はあああああああああああああああああああああああああ!」
ガンダムフェンサーが、一気にブーストを吹かして部下のゲルググに詰め寄る。
部下のゲルググがオーハを構え、カウンターを狙う。
先にゲルググのオーハが振り下ろされ、ガンダムフェンサーを狙う。
ガンダムフェンサーはこれを左腕のシールドで防ごうとする。
しかし、オーハの軌道はシールドに行かず、ガンダムフェンサーの左腕の胴体関節部を描いた。
斬りおとされるガンダムフェンサーの左腕。
ただ、これで勢いが衰えることはなかった。
右腕に対艦刀を携え、構え、一気に振り下ろす。
「肉を切らせて骨を断つ!いっけええええええええええええええええ!」
対艦刀の一閃は、的確にゲルググを捉えていた。
ゲルググは対艦刀に描かれた線を軸にずれていき、爆発した。
「甘いわああああああああ!」
ガンダムフェンサーに向かい、主任のゲルググが襲い掛かる。
「…後ろ、がら空きだぜ…。」
その背後からナイトメアが現れ、主任のゲルググの右腕と左足を瞬時に切り裂いた。
「ぐおおおおおおおおおおおお!クソッ!クソッ!クソオオオオオオオオ!」
揺れるゲルググのコクピット内にて、主任の精神が崩壊していく。
「許さん!許さン!ユるサンぞおおおおおおおおおおおおおおお死神イイイイイイイイイイイイイ!」
しかし、彼のゲルググはもう戦える状態ではない。
「…次だ。次こそは貴様ら偽善者に引導を渡してくれる!」
そう負け惜しみにも聞こえる台詞を言い残し、主任は戦闘エリアを離脱する。
MS隊は、見事ゲルググチームを退け勝利した。
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