二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
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- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.111 )
- 日時: 2014/09/02 21:19
- 名前: laevatain (ID: uPu37vxy)
第三十七話 過去・現在・未来〜少女の過去、戦士たちの現在、破滅の未来が響かせる足音〜 中部2
「終わりだ、【歴史の重みを忘れ、自らの欲望により消え去り行く種】よ!」
グラニットが、デュークのライザードにとどめを刺すべく、ライプニッツを構える。
エネルギーは充填完了済み。あとは発射される刹那を待つのみであった。
が
次の瞬間、
アーガイグの上空から、閃光二つ。
雲を貫き、アーガイグを狙いつける光。
アーガイグコクピット内に、熱源感知のアラートが鳴り響く。
「何!?上空から攻撃だと!?
デューク=ストレイン、貴様…援軍をよこしたか!」
間一髪の回避行動。
アーガイグは、止むを得ず閃光を躱すためライザードと距離を取る。
行き場を失った閃光は、青白い光と共に放電される。
しかし、アーガイグを狙うものはこれだけではなかった。
アーガイグの下方向から、ビームスピアを構えた小型の戦闘機らしきもの。
突撃体勢の様で、凄まじいスピードを持ってアーガイグに襲い掛かる。
「くっ!?」
連続の回避動作。
戦闘機は、そのまま軌道を変更し再びアーガイグに襲い掛かる。
「小賢しい!」
戦闘機を躱し、撃ち落そうとライプニッツを構える。
しかし、
アーガイグを狙うは、またしてもあの閃光。
「おのれ!」
反撃の隙も与えられないアーガイグ。
止む無しの回避行動。
やがて、奇襲する戦闘機の数が明確になる。
2機である。
「小型戦闘機2機ごときで、私を斃せるものか!」
アーガイグが、ブルトガングを分離。
二本のビームライフルに変更し直す。
即座に反撃のビームライフル射撃。
アーガイグが放つ緑色の光を躱し、緑色の戦闘機二機は、
大空を舞いながら飛翔する。
「さあて、そろそろ良いかな!?」
戦闘機から聞こえてきただろうか、別の男の声。
紫煙をくゆらせる、飄々とつかめない男。
まるで【風】のような…?
戦闘機を駆る男の発言と共に、二つの戦闘機は可変を始めた。
突撃した機体は、ウイングを畳みバックユニットを形成。
戦闘機のボディは折り畳まれ、やがてMSの上半身とも取れる形に。
射撃を繰り広げた機体は、ウイングスラスターが変形し、脚にも見えてきた。
射撃武器は脚と同方向に向きを変え、
それはやがてMSの下半身とも取れる形に。
そして二機の戦闘機は、互いの可変を終えた後、
大空の中でドッキングを行い、1機のMSとなった。
緑色の機体。
腰部のフロントアーマーには【疾風迅雷】の文字。
「センチュリオンズはブラッドドラゴン・クルセイダーズリーダー、デューク=ストレイン殿とお見受けします。
俺は、【ガスト=ウィンディアス】です。
元コスモポリス警視兼、現G.U.革新派軍所属05部隊【レジスタンス】のサブリーダーを勤めています。
恩師【ザック=ドラウロト】の縁と、【レジスタンス】内任務【センチュリオンズとの共同戦線を取れ】により、
貴方をサポート致します!」
あの戦闘機を駆っていたのは、アレスの恩師。
ガスト警視であった。
「ザックの教え子か…なるほどな。
済まない、援護感謝するぞ!」
肩を撫で下ろしたデューク。
「というか、その機体は…見覚えがあるぞ…。
確かAI派生機種だった気がするが、俺が在籍していたときはまだ試作段階だったはずだな。
名前は…【バウ】だったかな?」
「ええ、合ってますよ。
こいつは【バウ・パニッシャー】って言うんですよ。
どうです?イカすでしょ?」
自慢気のガスト。
緑色に染められたのは、可変機の名機として有名な、旧時代のMS「バウ」。
しかし、アレンジが加えられ、新しいMSとして進化を遂げていた。
REFT-107-BOW バウ・パニッシャー
無人機搭載型可変合体MS
ララッツェ動力式ビームライフル
シールド有り
ビームコーティングショートスピア二本「ペネトレイト」
ショートスピアはバックパックユニットに収納
エレメントジェネレータ【雷】腰部搭載リニアガン「サンダーバード」
エレメントジェネレータ【雷】腰部搭載プラズマサイクロンキャノン「リンコー」(ガスト機専用装備)
脚部エレクトロロケットポッド
上半身可変無人ユニット「トップ・ランサー」
ペネトレイトが前方に構える形。
デトネーターからの射出により、対象に刺突ダメージを与える。
また、ビームライフルも上半身にマウント。射撃によるダメージも与えられる。
下半身可変有人爆撃戦闘MA「バック・ナッター」
サンダーバードorリンコーのメイン射撃による射撃と、
腰部バックフレームから、エレメントジェネレータ【雷】搭載の
エレクトロロケット弾を発射。着弾対象をショートさせ、行動不能に陥れる戦い方を行える。
行動不能からの爆撃を可能とする、射撃戦用MA。
トップランサー+バックナッター合体型可変爆撃強襲MA「デトネーター」
サンダーバードorリンコー、ロケット弾による砲撃、ペネトレイトによる突撃。
バランスの取れた高機動型爆撃戦闘機に変貌するMAである。
フロンティア社との合同企画「クロスオーバーズ・リバイバル」計画により、
無人機の原点となったMS「バウ」を、データ残骸よりリメイクしなおした機体。
バウ自体は元々、Z(ゼータ)ガンダム(あるいはZプロジェクトによる他の機体)の
デッドコピー(技術や設計を盗用)したMSであるという説が有力である。
また、当時のコンセプトである「今の型に当てはまらないモビルスーツ」をベースとして
バウを開発していたというエピソードも存在した。
そういったコンセプトを生かしつつ、AI技術の発達により
無人機における単機での戦闘活用性が大幅に向上し、多目的戦闘において
確実かつ堅実に成果を上げることができる機体として、長い年月を経て舞い戻った機体である。
この機体の最大の特徴は、「無人機を活用した分離・合体による戦闘可能枠の拡大」である。
無人機に頼ることは無いが、無人機により戦闘の幅を広げることができる機体である。
データに残された「上半身と下半身が分離変形」のコンセプトを維持しつつ、
さらに合体させることにより、総合的な戦闘能力、戦略性の可能性をこじ開けることに成功した。
エレメントジェネレータ搭載のリニアガンは、電極による弾頭に電撃を付与させた状態で発射させる武装。
着弾時に、雷撃と衝撃破により対象をなぎ払う。
ガスト機のプラズマサイクロンキャノンは、高密度の電圧をプラズマキャノンに付与して打ち出す。
間一髪交わしたとしても、爆風と雷撃により各部電子機器への過電圧により、深刻なダメージを与える武装。
量産機は赤、ガスト機は緑に塗装され、機体の種別がわかるようになっている。
このMSを皮切りに、無人機の技術は格段に進歩することになるだろう。
無人機の可能性をこじ開けた、紅き先駆者のMSである。
ガストとデュークの合流後、無数のMSたちが上空より現れる。
全員、アーガイグを取り囲み、警戒態勢だ。
MSは全て、【レジスタンス】勢力のMSであった。
赤色のバウ・パニッシャー。
そして、この二機種である。
REFT-0003-NEM ネモ・シグニフェル
次世代型白兵戦闘用汎用MS
ヴィータ動力式ビームライフル
ビームウェイブエッジ式ビームアックスブレード二本「ワッバ」
ビームアックスを上下に連結可能。
ツインビームアックスブレードとしての運用ができる。
シールド内臓二連装バズーカ「マークスマンフレイム」
リベリタス社がフロンティア社との合同企画「クロスオーバーズ・リバイバル」計画の初期機体として、
グリプス戦役における最も機体バランスとコストパフォーマンスに優れた量産MSの傑作機「ネモ」を
現在の科学技術においてリメイクし直した機体。
徹底的に基礎構造と各種武装バランスを吟味し、コストを抑えつつもより汎用性を高くすることに成功。
同系のコストにて生産されるノーディックと比較すると、1.5倍から2倍ほどの機体性能を保有する。
もちろん、パイロットの腕によりその差は埋まる微々たる物ではあるが、ベテランパイロットでも
初心者のパイロットでも安心して扱えるように、OSシステムを簡略化してある。
武装も初心者にわかりやすいシンプルかつ高性能な装備を搭載。
この機体は、秘密裏にリベリタス社からG.U.革新派レジスタンス部隊へと支給され、
レジスタンスの主力MSとなっている。
過去から未来へ舞い降りたネモは、新たなる自由と慈愛を守るため、反抗者として戦う。
【シグニフェル:旗手】とは
1 軍隊・団体の行進などで、そのしるしとなる旗を持つ人。
2 思想・芸術などの運動で、その先頭に立って活躍する人。
の意味を持つ。
自由を勝ち取り、不平等な現代社会を破壊するために戦陣を切る旗手。
その名にふさわしい、新たなる人類を守る青き巨兵である。
REFT-96-ANG アンプラン・エイビース
重装甲射撃・爆撃用可変MS
エレメントジェネレータ【風】
シールドアーム内臓高風圧ストームレーザー「ハルピュイア」
腰部搭載レールガン「ザグレム」
エレメントジェネレータ【風】
シールドアーム内臓ハリケーングレネードミサイル「ウィングラプター」
シールドアーム搭載ショートビームスピア2本
MA形態 高機動MS運搬可能MCA(モビルキャリアアーマー):アルケオス
リベリタス社がフロンティア社との合同企画「クロスオーバーズ・リバイバル」計画の発展機体として、
グリプス戦役における高機動戦闘用可変MSの傑作機「ギャプラン」と、同時期に活躍した機体「アッシマー」を
ラプラスの呪縛紛争にリメイクした機体「アンクシャ」の残存サルベージデータを元に製作された機体。
MA形態の発展型ともいえる、MSを運搬する目的での使用を前提に考慮され、最大2機のMSを同時に運搬することができる。
新しいMAの形:MCA(モビルキャリアアーマー)の位置づけを明確にした機体である。
可変形態はアッシマーが原型のためドーナツ状のMAではあるが、各部に小型スラスターが搭載されており、
空中・宇宙空間におけるMA時の移動性能と旋回性能には目を見張るものがある。
また、ギャプランの脚部構造を転用しているため、脚部スラスターが大型化。
これにより、より素早いスピードで戦場を駆けることができる。
武装はエレメントジェネレータ技術を採用。
エレメントジェネレータは別会社の開発物のため、アライアンズの専売特許ではない。
これを【風】に変更。風を操る翼獣をイメージし、この機体の開発コンセプトを作成。
ストームレーザーは、超高圧の風とビームを混合して発射。
弾速が早く、着弾時には突風による衝撃で強制的に相手の姿勢を崩す。
腰部搭載レールガンは熱発生に優れ、着弾時に相手を熱暴走させる。
ハリケーングレネードミサイルは、着弾エリアに小規模の竜巻を発生。
竜巻はMSを足止めするには十分の風量を持っており、巻き込まれるときりもみ回転しながら機体の自由を奪われる。
機動力を生かし、武装を駆使して相手の動きを止めた上でのインファイトを想定してショートビームスピアを搭載。
時代を経て蘇りしアンクシャ(アッシマー)とギャプランは、進化の元に一つとなって風の加護を受け、希望の翼を手に入れた。
爽やかな未来の風を呼び込み、邪悪なる欲望の権化を、裁きの旋風にて吹き飛ばす。
自由に空を翔る、風の霊獣のMSである。
周囲を完全に取り囲まれたアーガイグ。
「さて、アライアンズゼネラルマネージャー、グラニット=ゴールドグリード殿!
我々は、現段階において貴殿との戦闘を望んではいない!
我々の目的は、デューク=ストレイン殿の保護である!
これが問題なく実行されるならば、我々は兵を退く用意がある!
なお、それでもデューク殿を始末したい場合、我々は全力を持って抵抗に当たらせてもらおう!」
ガストが、外部スピーカーにて音声を発する。
「…くっ、多勢に無勢か。
それに、あの【疾風の怪鳥ガスト】が相手では、無傷では済むまい。
いいだろう。ここは大人しく引き上げよう。
だが、貴様ら…次は無いぞ。覚悟しておくことだな。」
こうして、竜覇将 VS 道化師 の一騎打ちは、結局引き分けという形で幕引きとなった—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.112 )
- 日時: 2014/05/04 10:10
- 名前: laevatain (ID: PwsOoYFR)
第三十七話 過去・現在・未来〜少女の過去、戦士たちの現在、破滅の未来が響かせる足音〜 後部1
—場所と時を戻し、オーディン、センチュリオンズ、マスターピース合同会合。
一通りの形式的な挨拶を終え、会食となった合同会合。
高級ホテル「ジェイナスグループ・ロイヤルホテル」の大会食会場には、
さまざまな料理がバイキング形式で立ち並ぶ。
現代の食事にたとえると、エスニック、フレンチ、イタリアン、中華、和食などなど。
各種料理の名シェフたちが、腕を振るった豪勢な料理は、これから襲い掛かるであろう
邪悪な存在と立ち向かう戦士たちを奮い立たせる栄養素となっていく。
「うっわーすっごいわねぇ…。AAAA(クアドラエー)、AAAAA(ペンタエー)クラスの料理人が勢ぞろいだわぁ…。
【Aの数で料理人のランクを決定する仕組みになっている。】
ミツヒコ=イチムラにジャーネック=ジョージ、カルロッソ=ツェーリ、シー=ジーレン…
ってか、シー氏って【神龍楼(シェン・ロン・ロウ】のオーナーシェフじゃない!?なんでここに来てんのよ!」
会場に設置された、鑑賞可能大規模オープンキッチンにて、鮮やかな手さばきを見せつつ
厳選された食材を調理していく名シェフを眺めるジェーン。
その中に、昨日食べた高級レストランのオーナーシェフを見つけたから驚きだった。
「フフフ、昨日貴女たちをご馳走したときに、お願いしておいたのよ。」
後ろから聞こえるのは、女性敏腕実業家【リリア=スピカ】の声。
手に持つワイングラスがよく似合う、大人の女性である。
「ってか、おいおいおいおい!ゴーセンバーグのおっちゃんとおばちゃんいるぞ!?
何やってんだよあんたら!!」
カールがキッチンに向かって、困惑しながら叫ぶ。
オープンキッチンのシェフに混ざりながら、自ら腕を振るうのは
バハムートゼロの給仕係の夫妻、ゴーセンバーグ夫妻だった。
「いやぁね、名シェフの手さばきを見てたら、俺たちも料理したくなってさ!」
「あたしたちの料理でみんなが元気になるならって思ったら、つい体が疼いちまってさ!
さあ、アレスちゃんも戻ってくるだろうし、ここで気合一発、みんなたらふく食べるんだよ!」
料理人としての性か、バハムートクルーとしてのプライドか、己の信念に基づいた行動か。
迸る高火力コンロの炎を操り、中華料理を調理するシー=ジーレンとデミグトリ=ゴーセンバーグ。
「デミグトリさん、あなた…すごいですね!私はこれを学ぶのに5年はかかりましたよ!?」
シー氏も、デミグトリの料理の吸収力とその確かな腕前に驚愕のようだ。
「素晴らしい…まるで母の料理のようだ…!この繊細な味付けを見ただけでほぼ完全に…!?
しかも、私の料理とはまた違う味付けだ…こんな味付けもあったのか…!」
「いやぁね〜、カルロッソちゃん!褒めても何も出ないわよ!?
あたし、スイーツには目が無くてね!大体口にすると、レシピが頭に浮かぶのよ!」
フレンチの巨匠、カルロッソ=ツェーリを驚愕させるのは、アップリア=ゴーセンバーグ。
彼の名スイーツを味見した後に、彼と同じコピー品を作りだした。
しかもその味は、カルロッソ氏を唸らせる新しい味付けを施していたのだ。
「やはりこの宇宙は広い…私も精進せねば!」
カルロッソ氏、アップリアをまた一人の師として認めたようだ。
「ははは…すげえやおっちゃんにおばちゃん…。
名シェフ相手に全く料理の腕が落ちてねぇ…。」
呆れながらも、感服するカール。
カールは、そばで話していたジェーンとリリアに気がつく。
ジェーンのそばで、アカネやリオラと談笑するエリュシアを見つめながら、
リリアは溜息を漏らしているようにカールは見て取れた。
「いよいよ、言わなければならないのね。
ジェーンさん、貴女も…聞いておいたほうが良いかも。」
リリアの神妙な顔から、これから語られることはとても重要なのだろうと把握できたジェーン。
無言で首を縦に振る。
「でも、これは、みんなで聞いたほうが良いと思います。みんなを呼んできますね。」
こうしてジェーンの呼びかけにより、ザックを始めとするバハムートの主要メンバー、
マスターピースのリーダーメンバーが集まった。
全員が、高鳴る心臓の鼓動を抑えながらエリュシアの元へと向かう。
—何が語られるのだろう?—
期待と不安が、彼らを襲っていた。
「エリュシアさん…ちょっとよろしいかしら。」
声が若干震えながらも、リリアはエリュシアに話しかける。
「あ、リリアさん!どうも!」
笑顔で挨拶を返すエリュシア。
—エリュシアの笑顔が、逆に胸を締め付けてくる—
葛藤中のリリアの後ろから、ピンク色のハロが飛び出してくる。
プラミスハロである。
「プラミス?どこ行ってたの?」
今朝方からプラミスがいなかったことを思い出し、プラミスに問いかけるエリュシア。
「ええ、リリアと少しね。」
「リリアさんと…知り合い?あれ?」
疑問が沸いたエリュシア。
そして、リリアの後ろに他の主要メンバーがいることに気がつく。
「エリュシア、お願いがあるの。
今から話す事は、貴女にとって、皆さんにとっても、大事な話。
どうか、最後まで聞いてほしいの。
そして…これは【貴女にとっては確実に酷な話になるわ。】
それでも…いいかしら。」
一瞬の無言。
全員が、エリュシアの表情を伺う。
しかし、エリュシアは…
「いいよ。
逆に聞きたいの。
【私が何者なのかがわかるのなら、私はどんな痛みも受け入れる。】
そして、これは、私が成長するために必要なことだと思う。
強くなって…アレスを迎えなきゃ。」
微笑んでいた。
エリュシアは、薄々感じていたのだ。
—この話は、私の生い立ちを知るために重要なこと。
聞き逃したら、多分、後から知っていくと立ち直れなくなる。
覚悟は出来ているわ。私も強くならないとね。
過去を知り、自分を知れば、戦う理由と守るものがわかる、そんな気がするの。
今、聞いておかなくちゃ。みんなのために、アレスのために、私のために—
そこへ、オーランド=タイガーとローズハロもやってきた。
「おうおう、何を話しているんだ?
って…なんだみんな?神妙な顔で…?」
オーランドの疑問は、すぐに解決された。
震える声で発せられた、ローズハロの一言で。
「エ…エリュシア!?あんた…エリュシアかい!?
大きくなって…!無事で…本当によかった…!」
そこへ、ピンク色のハロを見つけ、大方の察しがついたローズハロ。
「貴女、【シルエラさん】だね!?
ここまで貴女が、彼女を導いたんだね!?
貴女も…アタシと同じ…殺されて…!?」
「ええ、ローズ。お久しぶりね。
大丈夫よローズ。全ては想定内の出来事。
何故なら、奴らの計画は、【エリュシアという、私の娘を最悪の兵器にすること】が目的だったのだから。
その計画は、アレス君という、私の娘が惚れちゃった、素敵な彼氏により失敗に終わるわ。
【だって、彼の存在が、私の娘を強くしちゃったんだもの。もう手に負える存在じゃないわ。
アレス君とエリュシア、この二人は、奴らにとって最大の脅威になる。そう思うの。
楽観的な推察だけれどね。】」
明るい声で、ローズの悲しみと無念、力になれなかった嘆きを慰める。
そして、赤面しながら困惑するエリュシア。
「そ、そんな!私がアレスの恋人だなんて…!やだ…!
ってプラミス、貴女が私の母親…!?え…!?」
見え見えの好意を何度も見ているバハムートクルー。
全員がニヤニヤ顔で、エリュシアを見つめている
「まあまあ、ひとつずつ整理していきましょう。
ちょっと長くなるから、ゆっくり話していくわね。」
こうして、プラミスハロから、エリュシアにまつわる昔語りが始まった—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.113 )
- 日時: 2014/09/17 02:00
- 名前: laevatain (ID: C6aJsCIT)
第三十七話 過去・現在・未来〜少女の過去、戦士たちの現在、破滅の未来が響かせる足音〜 後部2
—まず、【私について話すわね。】
私の本当の名前は【シルエラ=ラクーン】。
エリュシアの生みの親。
性別は女性。まあ、わかってるわよね。
私はアウェイカーの存在と平和活用の為、G.U.軍の革新派傘下研究部門【ソーマ】に従事していたの。
そこでの仕事は楽ではなかったけれど、恵まれた後輩はいたわね。
ローズ=シンディア、リリア=スピカ。
彼女たちは、私の研究部門に助手として入ってきたわ。いわば後輩ね。
ローズはアウェイカーの資質があり、また素晴らしく面倒見がよかったのよ。
姉御肌ってやつね。
リリアは私のミスをカバーしてくれたわ。
細かいことに気付いて、すぐに修正してくれたの。
私って大雑把だから、リリアには苦労をかけたわ。
そして、私は恋に落ちた。
ここからは、【エリュシア、あなたの父親の話。】
同じ研究機関で、私の良き理解者だった【ジュリアス=ラクーン】。
彼と同期に研究所入りを果たし、彼の研究内容は私と一長一短。
私は脳波関係で彼より優れ、彼は肉体構造、精神関係で私には思いつかない研究結果を打ち出した。
お互い、持ちつ持たれつ、そして二人は認め合い、恋に落ちたわ。
彼は、私の心の支えにもなり、目標になり、そして大事な男性になった。
だけれど、平穏な日々は、そうも長く続かなかったの。
ここで、【私たちが斃さなくてはならない敵の話になるわ。】
【斃さなくてはならない敵…私とジュリアスの命を奪った男】。
まず殺されたのは、ジュリアス。
男はまず、私を好色的な目で見ていた。
私を食い物にしたいってね。
彼は権力で革新派の圧力を諸共せずに、私に近づいた。
男は、財力・権力で、執拗に私を誘惑した。
それで私を抱けるなら安い、そう思ったのね。
しかし、ジュリアスがそれを拒んだ。
もちろん、私もそんな軽い女じゃないわ。
二人の【愛の力】で、悪い男を退散させたのよ。
当時、私たちは婚姻まで結びつき、結婚式まであと少しってところだったの。
拒まれたときから、その男は嫉妬していた。
ジュリアスの若さ、その強靭な肉体、強い精神に。
そして、結婚式当日。
彼と別れたのが…私の過ちね。
私を迎えに来た新郎は…【その男だったの】。
私たちを悲劇に陥れたその男。
【穏健派所属 元老院第4管轄院長 アザック=ルクスリア。】
アザックは、私の結婚式場に…ジュリアスの首を剥製にして持ってきたわ。
[お前を愛する男は、ワシが頂いた…!
ワシはこいつを得て、またひとつ、若さを手に入れた!
お前と言う、極上の女を抱くためになぁ!
DNAなんぞいらん!奴のDNAを食らい、ワシは生き永らえる!
女という女を抱きつくし、ワシは…永遠の乾きを満たすのだ!グハハハハハハハ!]
そう言うと、アザックは新郎用礼服の上半身を脱ぎ捨て、私に見せた。
そこに見えたのは…ジュリアスの【肉体】。
彼の若く、強靭な肉体を、アザックは移植したの。
つまり、【精神、頭脳をそっくりそのまま入れ替えた】ということだったわ。
とりあえず、式どころではなくなり、アザックから逃げる形で私はその場を離れた。
そうしたら、今度は研究所を買収し、私がアザックの妾(めかけ:経済援助を伴う愛人)にならない場合
手当たり次第に研究所の女性を買収し、慰安婦にすると言い出したの。
流石にみんなには迷惑をかけられなかったわ。
私はその条件を飲むかわり、ひとつだけ確認を取らせた。
それは、【ジュリアス=ラクーンのDNAがどの程度残っているか】ということ。
彼のDNAがあれば、私は彼との子供を残すことができる、そう考えたの。
その結果、【アザック=ルクスリアのDNAは、度重なる肉体移植により消滅してしまっている。
現在、アザックのDNAはジュリアス=ラクーンのDNAとほぼ同一である。】という結果が出た。
アザックの出生時に得た母体のDNA情報は、もう影も形も残っていなかったのよ。
奴は、肉体移植の際、顔の骨格も別人からのDNA情報をベースとして、整形していたの。
つまり、彼がずっと生きているのは【脳の知識・記憶・人格】だけってこと。
これを聞いて安心したわ。
その後、不本意ではあったけれど、アザックに抱かれ、身篭った。
その子供が、【エリュシア】、あなたよ。
ここからは、【エリュシアの成長、アレス君との出会い、そして、私が殺された理由の話になるわ。】
私は、エリュシアの成長を見守る中、エリュシアに【アウェイカー】の素質があることがわかったの。
そして、アウェイカーの成長と育成技術に援助をしている【ウィザール家】を尋ねて、
その経済援助、人材援助を得たことで、なんとか革新派監視の下で、穏健派の謀略を掻い潜りながら
エリュシアを守り、アウェイカーたちを育てていったの。
そこで、ウィザール家のお屋敷を尋ねる際に、エリュシアはアレス君と会ったってわけ。
運命の出会いかしら?お母さん…エリュシアの小指に、赤い糸見つけちゃったわよ?
フフフ、ごめんなさい、からかうのが私の癖みたい。
彼からは、【人の心から、人間を変えることが出来る力】を感じたわ。
それを確信したからこそ、アズガルドさんも、彼を迎えたのでしょうね。
こうして、エリュシアが11歳になるまでは、平穏な日々が続いていたわ。
しかし、またもここで穏健派の魔の手が伸びるの。
穏健派が、アウェイカーたちを拉致し、薬物と脳波制御装置で傀儡化し始めた。
もちろん、革新派傘下の研究所を襲撃してね。
当時、最も高いアウェイカー能力を秘めていたローズも、彼らの被害者ね。
ローズも傀儡と成り果て、確か…当時恋人だったカイサク=タイガくんという青年によって葬られたって聞いたわね。
その前に人格データをコピーして、ハロにバックアップさせたって聞いてたかな?
あら?もしかして…ローズハロの近くにいる素敵な男前さんが…タイガくんかしら?
…まあ、またそこは後で伺いましょう。
ごめんなさい、話が逸れたわね。
そして、エリュシアの12歳を迎える誕生日、ここで私の母体の人生は終わる。
【ソーマ】の研究施設【ネクタール】に、穏健派が襲撃してきたの。
目的は、二つ。
【エリュシアのアウェイカー能力に目をつけた穏健派が、エリュシアを最強の
目覚めし生ける屍にするために、彼女を拉致しに来た】。
もうひとつは、
【私がジュリアスと共に開発した、アウェイカー特有の脳波を生かした兵装を搭載した試作MSの奪取】だった。
試作MSのコンテナは、私の知人経由から、別の研究所へ移動していたために危機を回避した。
しかし、エリュシアはそうもいかなかったの。
エリュシアをアクアスリープポッドに入れて、20年ぐらいは持つバッテリーをセットした私。
彼女と今生の別れをしないといけないと思うと、やっぱり涙が止まらなくてね。
[私の代わりにセイントを…未来を繋いで欲しいの。私の大切なエリュシア…。
そして、貴女の大事な人を…恋人を…家族を…守るのよ…。]
この言葉をエリュシアに託し、私はその部屋をロックした。
部屋に出た瞬間、銃を構えた兵士と、あの男、【アザック】がいたわ。
[あの娘を出せ。ここにいるんだろう?
あと、お前からは試作MSの所在を聞かなきゃな。
クククククク…これがうまくいったらワシはさらなる金と名誉を手に入れられる!]
[残念だけれど、あなた達のような欲望の塊に、ウチのエリュシアは渡さないわ。
あと、私とジュリアスとの愛の証、試作MSのコンテナとエリュシアはすでにここには無いの。
だって、別のコロニーへ輸送しちゃったんだもの。ごめんなさいね。]
この瞬間、私に向かってハンドガンを抜き、撃ってきたわ。
[このアマァ!一体誰のおかげで今まで生かされていると思っているんだ!
ワシのさじ加減でお前は死ぬんだ!今置かれている状況をもう一度考えるんだな!]
私は時間稼ぎをしたかったの。
エリュシアの部屋の完全ロックが完了するまで。
そして…この部屋に、毒ガスを撒いて、アザック諸共道連れにするため。
腹部に受けた銃創をおさえて、私は精一杯あいつの感情を逆撫でした。
そして、時間が来たの。
お互いの防火シャッターが逃げ道をふさぎ、そこから二酸化炭素の消火ガスが撒かれた。
二酸化炭素の中毒性は凶悪よ。
濃度が3〜4%を超えると頭痛・めまい・吐き気などを催し、
7%を超えると炭酸ガスナルコーシスのため数分で意識を失うわ。
この状態が継続すると麻酔作用による呼吸中枢の抑制のため呼吸が停止し死に至るの。
二酸化炭素中毒ってやつね。
しかし、アザックたちは、先に防火シャッターを壊し、脱出した。
私も脱出しようとしたけれど、
銃創を受けながらの脱出は不可能だったわ。
まあ、時間稼ぎできたし、いいかって考えた。
あと、予感もしてたしね。
【ここでエリュシアを奪われなければ、
エリュシアは奴らにとって最大の脅威になる。】
そう感じてたの。
私の役目は終わったってね。
そんなことを思いながら意識を失い、
二酸化炭素中毒で私の肉体は最後を迎えたの。
その時に記憶していたデータを脳内装置にて保存。
あと私が死んだことを監視カメラで録画してあったから、これもついでに保存しておいたの。
これら全ての私に関わるデータをエリュシアのドックタグチップに転送して、プラミスへの引継ぎは完了。
こうして、全ての情報を引き継いだ形で、私はプラミスというAI人格として蘇ったわ。
これが、エリュシア、そして私に関わる過去の全てになるわ。
あとはご存知のとおり、エリュシアがセイントを起こし、
エリュシアとアレス君に再会できたってわけ。
不思議な感覚よね。
だって自分が死んだことすら記憶している私が、
今ここにいるのだから。
我ながら、運命や人生ってすごいって思うわ…—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.114 )
- 日時: 2014/05/05 06:52
- 名前: laevatain (ID: PwsOoYFR)
第三十七話 過去・現在・未来〜少女の過去、戦士たちの現在、破滅の未来が響かせる足音〜 後部3
ひとしきり話し終え、リリアが口を開く。
「私は、シルエラさんの最後まで研究所にいたの。
シルエラさんから、【防火シャッターと二酸化炭素消火ガスの噴霧を依頼されていた。】
その後、速やかに研究所を脱出するように、と。
シルエラさんを守ろうと、数人の科学者も武装して迎え撃とうとしたわ。
でも、アザックの雇ったSPたちの戦闘技量には適わなかった。
一瞬でシルエラさん以外の科学者が蜂の巣にされたわ…。
シルエラさんを守れず、見殺しにした。
その罪は、今になっても拭えない。
ごめんなさい、エリュシアさん…。」
震えるリリアの声が、徐々に小さくなる。
「アタシの最後は、シルエラさんの話したとおりだよ。
アタシを含むセンチュリオンズの女性メンバーは、大体アンリミテッドの研究所へ拉致されたアウェイカーだ。
5年半前ほどに、別の研究施設でAIに関する研究を、アウェイカーたちと共同で行っていたとき、
研究所は襲撃され、アタシたちは拉致された。
そのときに、脳内に装置を埋め込まれ、なんとか命からがら脱出したんだ。
でも、そのときから違和感を感じていた。
徐々に思考が鈍くなって、感情のコントロールができなくなって…
不安に駆られて、万が一、最悪の事態を想定した上で
タイガーにお願いしていたんだ。
【アタシがもし、過ちを犯したならば、アタシを殺してほしい。】ってね。
やっぱり予想は的中した。
アタシの脳内に取り付けられた装置が、遠隔操作でアタシを洗脳する装置だった。
そしてアタシは、奴らの傀儡と化し、アウェイカー拉致の片棒を担がされた。
気がつくと、アタシはMSで何百人、何千人の革新派軍の人々を殺していた。
アタシは、罪滅ぼしにはならないけれど、せめてタイガーに討たれることで、悲しみの連鎖を断ちたかった。
研究所にあったアタシの人格データをバックアップし、
今、アタシはハロの中で第二の人生を歩んでいる。
罪滅ぼしの人生を、タイガーとね。」
陽気なタイガーの表情も、この一時だけは悲しみを感じさせていた。
ローズも、悲劇に巻き込まれた一人の女性だったのだ。
悲しき過去の話。
ひとしきり話し終えたあと、全員がエリュシアを見る。
エリュシアの頬を伝うのは、涙。
「エリュシア…やっぱり、辛かったでしょう?
この話は…貴女にとって辛いと思ってはいたけれど、やはり話さなくてはならないと思ったの。」
プラミスハロ…いいや、実の母親シルエラからのフォローを横に振るエリュシア。
「違うの。
この涙は…私って幸せだったんだなって。
ちゃんと、お父さんとお母さんの愛情を持って生まれたんだなって。
そう、感じたの。
私たちの悲しみをこれ以上増やしてはならないわ。
アザックを…【色欲の権化を、倒さなくちゃ。】そう思ったの。
そう考えると、この話はとても大事だった。
聞いてよかったなって。
そして、みんなの深い私への愛情を知ることができた。
【私は、幸せだった。
お父さん、お母さんの愛。アレスとの出会い。みんなが、私を受け入れてくれた。
だから、私もこの過去を受け入れる。そして、強くなる。
セイントガンダム。私に託された希望の証。】
みんな、見ててね…!私、強くなる…!」
涙を拭い、笑顔を見せるエリュシア。
サフィアが、エリュシアを抱き寄せる。
「…貴女は…強いわ。
でも、さらに強くなりたいと望むのね。
なら、【この宇宙に住む、全ての人々を守れるように、ぶっちぎりで強くなっちゃいなさい!】
アレスを超えるぐらいに、ね。」
女性メンバーから溢れる涙。
男性メンバーも、ダグラス、アシュレイは涙ぐんでいる。
ザックは潤む涙を見せないように、帽子を深く被り直す。
「エリュシア…強くなったわね。」
「…みんなのおかげだよ、お母さん。」
—破滅が忍び寄る未来。危機迫る現在を脱した歴戦の勇者。純白の少女の悲しき過去。
全ては、近いうちに起こる、かつてない危機を戦うために必要な出来事。
刻は待つ。
悪夢から目覚め、己の資質を覚醒させた戦士と
聖女が昇華する女神の再開を—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.115 )
- 日時: 2014/09/17 02:11
- 名前: laevatain (ID: C6aJsCIT)
第三十八話 余暇と暗動〜戦士たちの休息、陰謀内に動く欲望の断片〜 前部
—惑星サファール・クファール内、首都【メガラ・ジャンナ】に存在する【バーバリアンズ】本拠基地。
ちょうど、アリシアたちがバハムートゼロクルーによりサファール・クファールを脱出したと同時に、
アレスがグラニットたちの襲撃を受け、ナイトメアガンダムが撃墜された後の出来事—
ナージフ=ロンメルは、現在の状況を理解できずに、ただ呆然と立ち尽くしている。
無理も無い。
目の前にいるのは、バーバリアン所属の元ジオン公国残党の子孫たち。
アンドレアス=グラーフ。
ジャミロ=カエディー。
ズィヤーダ=ムクタヤーン。
だけではなかったのだ。
そこにいたのは
仮面の男、悲劇を演出するプロデューサー。
グラニット=ゴールドグリード。
そして、
G.U.政府 穏健派元老院第1議長 ゾディアック=マイルフィック。
ゾディアックのそばには、厳かな女性用の衣装に身を包んだ少女が一人。
「これは…どういうことか説明してもらいたい…!
【我々バーバリアンズの目的は、穏健派とアライアンズとの連合組織の壊滅のはず。
何故我等の敵である穏健派議長とアライアンズゼネラルマネージャーが此処に居る!?】」
興奮気味のロンメル。
それもそのはずである。
彼には、何故倒すべき敵と味方が結託しているのか、状況の整理がついていないのだ。
「不思議がることは無いのですロンメル老師。
【私たちの目的は、ジオンが新たなる指導者となること。
その利害の一致が、偶然彼ら穏健派・アライアンズ同盟軍と結びついたのですから。】」
淡々と説明するのは、ジャミロ。
どうやら、ロンメルなどの一部の人間だけが知らなかったらしい。
【バーバリアンズの後ろ盾が、自分達の敵であるということに】。
「さて、ロンメル老師、ひとつだけ伺いたい。
【私の未来の妻、美しく麗しく愛しいアリシアはどこにいるのでしょうか?】」
この発言から、ジャミロの精神状態に違和感を感じるロンメル。
「アリシア様…?アリシア様なら、すでに我々を見限り、バハムートゼロにてオーディンと共に旅立たれた。
お前の状態を見て、納得がいったよ。アリシア様は、お前達の異常さをすでに見抜いておられたのだろうな…ん?」
会話途中のロンメルが、一瞬口を止めた。
目の前に話しかけていたジャミロが、急に頭を抱えて唸り始めたのだ。
「そんな…そんなそんなそんなそんなそんナソンなソンナソンナソンナ…!
そんなこトがあってハなラなインダよおおおおおおお!
アリシア…!ボクにふさわしい、うるワしく美しい唯一のじょセイ…!ハァ…ハァ…!
【ザビ家の末裔である僕】が、人類をシハイするのにフサワシイのダ…!!!」
激しい動悸と息切れ、極度の興奮状態。
愛する物を手に入れようとした矢先、その対象物から愛を拒絶される。
これにより、彼の【何か】が、壊れかけようとしていた。
「ジャミロ様!お気を確かに!」
「ジャミロ様!まだ【肉体安定剤】の安定化時間になっておりません!
少し落ち着かねば、ご老体に鞭を打つ形になりますぞ!」
年配のはずの他の二人が、ジャミロの異変に気付き、介抱する。
「待て…ジャミロ、貴様は一体!?」
困惑するロンメル。
ジャミロの肉体年齢は、明らかに自分より若い。
しかし、その精神錯乱からのジャミロの肌が、徐々にやせ細った老人のように色あせていく。
「…ちっ、バレては仕方あるまい。我々は【ザビ家の末裔】よ。
ワシらは、兼ねてからお主に近づき、ジオン再興の旗を掲げるために【亡国の英霊】という組織を創り上げた。
その中で、ご老体であったザビ宗家の現党首ジャミロ様に、若返りの医薬術を施した。
お前たちを欺くためにな。」
「なっ…!?」
あまりに唐突過ぎる現実を突きつけられ、困惑するロンメル。
そのロンメルを、大柄な筋肉質のSPが二人、掴み掛る。
「な!?何をする!貴様ら!」
必死に抵抗するロンメルだが、SP二人の筋力が強く、振りほどけない。
「ご苦労さん、皆さん方。
そして、お疲れ様でございます、ゾディアック議長。
こいつの後始末は、ワシにお任せください。」
SPを指揮していたのは、元老院第4議長、アザック=ルクスリア。
「うむ。好きにするがいい。アザックよ。」
そういうと、ゾディアックと少女、そしてジオンのザビ家末裔の3人は、小型運搬艇に乗り、母艦へと戻っていった。
「さあて、素材としてはいい感じだな。おし、精神洗脳実験の試し役としては優秀だ。」
アザックが不気味に微笑む。
—バーバリアンズの実態、ジオンがまた、人類に牙を剥こうというのか。
その邪悪な陰謀、暗動を覆い隠すように、サファール・クファールには、いつものように砂嵐が吹き荒れていた—
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