二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
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- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.71 )
- 日時: 2013/06/29 09:16
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第二十八話 開眼—守る為の力 その力 無限也— 中部3
—アレスとギャレスの戦闘開始間際にて、バハムートに帰還したガンダムチーム。
全員、疲れた顔と未だに生きているのが不思議な感覚に襲われていた。
「な、なぁ…俺達…生きてるんだよな?」
力ないカールの発言。
「そ、そうね…何とか…生きてるみたいね…。」
ジュピアは放心状態気味で、眼は虚ろである。
駆けつけたトーマスと医療班。
彼らの表情から、いくらかの戦闘予想は想像できた。
—エースクラスの強敵にやられたな—
「アチャー、お疲れの様子だなぁお前さんたちよ。
ほれ!コイツらを診療室へ連れていかんかい!」
トーマスが医療班の尻を叩く形で急かす。
その中…
エリュシアだけが、一番そわそわしていた。
アレスが心配なようだった。
そのためか、彼女は帰還せず宙域内で待機していた。
ザックが、アレスの状況をエリュシアから聞く。
「…して、現在アレスが敵のエース機と戦っていると…!?」
「…はい…。私も…戦おうとしたのですが…。」
エリュシアの返答は、力が無い。
「いや、先ほどの状況下ではアレスの判断は最も正しい。このまま戦ったら間違いなく誰かが死んでいただろう。
そしてそれを遂行してくれた君にも非はない。感謝するよ。」
ザックのフォロー。しかし、若干苦し紛れにも聞こえる。
その時、エリュシアの脳裏に飛び込んだビジョン。
—ナイトメアとエキスパートバルの死闘。未来のビジョンだろうか?
しかし、ナイトメアは追い詰められていく。
ビジョンの結末では、ナイトメアは破壊されてしまう…—
(このままじゃいけない…アレスが…!彼を…失いたくない!)
考える前に体が動くとはこのことだろうか?
エリュシアの乗るセイントガンダムが、フルスピードで戦場に戻っていく。
「エリュシア!?」
全員が驚く。
「すみません、やっぱり…彼を助けないと!」
エリュシアの眼には、決意が宿る。
コバルトブルーの澄んだ少女の瞳の奥には、命の恩人。
憧れであり、初めて自分の意識に触れた人物。
優しさと温もりを教えてくれた人物。
そして…男性として意識させ、小さな胸の奥にあった人間の最も大切な感情を…
「愛」を…
教えてくれた人物。
—アレス=ウィザール—
(彼だけは…殺させはしない!私が守るの!大事な…大事な男性だから!)
「エリュシア…考えている事は大体わかってるわ。貴女、彼を守りたいんでしょう?
とことん付き合うわよ!だってうすうすわかってたもの…。
貴女が、彼を【好き】だって事…。フフフっ☆」
プラミスの悪戯な声が入る。
「も、もう!あまり言わないでよぉ!」
恥ずかしさにより赤面するエリュシア。
「…そういうことか…。」
全員がエリュシアとプラミスの会話を聞いていた。
「プッ…クスクス…。それは…守らなきゃいけないわね。彼女の【恋】のためにね。」
サフィアが堪えきれず微笑えむ。
それを皮切りに、みんな微笑みだし、そしてひとつの決意を固めた。
勿論、ザックはそれをいち早く察知。全員の意志を汲み取り、指示を出す。
「総員、バハムートゼロを戦闘エリアへ!アレスとエリュシアのカップルを援護だ!」
「「おおおおおおお!!」」
一組の愛を守るために。それが未来を救う剣となるために。
バハムートゼロ、全速前進で交戦エリアへ向かう。
—時を戻し現在。
オーバーロードクロックにより勝利の兆しが見えたかに感じたナイトメア。
しかし、エキスパートバルもまたオーバーロードクロックによる強化を行う。
雲間から見えた光は消え、再び暗雲立ち込める。
暗雲から飛び出してきたのは、落雷のような怒涛の攻撃。
ブレードが縦横無尽にナイトメアを狙い、貫こうとする。
ナイトメアはブラッドペインで切っ先をずらし、何とか躱す。
至近距離からはビームハンドガンの光の雨が装甲を溶かさんとする。
シールドと回避で凌ごうとするも、全てが凌げるわけではない。
その隙を突き、蹴撃が飛ぶ。
ナイトメアは不意を突かれ、蹴撃を食らい吹き飛ぶ。
やがて、ナイトメアは背面にあったデブリに衝突し、仰け反る体勢となる。
「ぐあああああああああああああああ!」
「残存装甲…30%!くっそおおおおお!」
圧倒的不利。
「ククククククククク…クヒアハハハハハハハハハ!
楽しいなぁ!楽しいなぁおい!だが…青年。これが限界だ。
綺麗事をいくら並べても、所詮やってることはタダの殺戮だ!
殺戮を正当化するなら、綺麗事じゃダメだ…!
綺麗事と殺戮は水と油…。結局交わらず、互いに否定しあうからこそ矛盾を感じる!
互いに否定しあうから実力を出せず、疑問を感じ、そして争い合い死んで行く!
心の奥にある闇に身を任せ、全てを引っくり返さなきゃなぁ!
青年よ、お前には…【意志】が!【覚悟】が!足りないんだよ!」
説き伏せるギャレス。
アレスの本気を見たいからだろうか?
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.72 )
- 日時: 2013/07/25 07:51
- 名前: Laevatain (ID: C5nAn.ic)
第二十八話 開眼—守る為の力 その力 無限也— 後部
「アレス!」
戦闘エリア外から純白のMS。
セイントガンダムであった。
セイントはスピリットを射出。エキスパートバルの撃破に当てる。
「これなら当たるはず!」
エリュシアも、エキスパートバルの行動パターンをアウェイカー能力である
スローモーションのような予測できる行動を【見る】ことによる敵が行うであろう次の行動の察知。
スピリットで予知できる行動から出た隙を突く形で射撃させる。
しかし、エキスパートバルはその予知を裏切る行動を取る。
あたかもその予知すら予見していたかのように、スピリットの射撃を体捌きで躱す。
その合間からアンカーワイヤーシールドを投げつけ、セイントを切り刻もうとする。
「なっ!?」
「エリュシアの反応速度を超えた!?どういうことなの!?
あの機体のパイロット…あれもアウェイカー!?
でもおかしいわ…アウェイカーならエリュシアが意識交流出来るはず…!」
プラミスは、エリュシアの脳波コントローラから、彼女の脳波を分析する。
アウェイカーの意識交流の際に生じる脳波の一種である、プサイ波。
アルファ波とデルタ波という脳波の混合から生じる、未知の脳波である。
リラックスした際に生じ、覚醒と睡眠の間の状態であるアルファ波の状態は
意識レベルが高まっており、ひらめき、問題解決、集中力が高まる脳の状態である。
デルタ波は脳波が最も遅く顕在意識が働いていない状態。
深い眠りについている状態、または、無意識の状態の際に生じる脳波である。
この集中と無意識のまどろみのなか、アウェイカー同士での意識の交流、
具体的には、相手の潜在意識、過去の記憶、意識の共有ができる状態を作る脳波が、
現在研究が進められているプサイ波である。
アウェイカー開眼のきっかけになるとも注目を浴びている脳波でもある。
このプサイ波の検出が著しく低い。
つまり、ギャレスとエリュシアとは意識交流が出来ていないということであった。
「やっぱり…!プサイ波の検出が低い!
エリュシアの意識と思考を読まれたんじゃない…!あのパイロットの戦闘技能と
行動を予見する・集中力を高めるアルファ波の発生がエリュシアより多いみたいね…!
つまり、あのパイロットは擬似的なアウェイカー能力を身につけているだけ!
エリュシア、動きを予測される可能性が高いわ!気をつけて!」
エリュシアの参戦に驚くアレス。
「エリュシア!?どうして!」
「ダメ…!ダメだよ!そうやって自分だけ犠牲になろうとするの!
私も一緒、御願いだから、一緒に居させて!戦わせて!」
アレスは、エリュシアの【覚悟】を見る。
—俺は、まだ…わからない。
覚悟ってなんなんだ?
意志って、どうすればブレないんだ?
だけれど、感じ取れたこの意識。
ブレることはない、たった一つの自分だけの【真実】。
それだけを信じている。
「アレス、ぼけっとすんな!エリュシアの意志を無駄にするのか!
敵は待っちゃくれねぇんだぞ!」
エウリスの喝で我に帰るアレス。
瞬間、ナイトメアの腕にワイヤーが絡みつく。
「しまった!」
ワイヤーに引き寄せられるナイトメア。
ビームハンドガンブレードを構え、とどめの体勢に入ったエキスパートバル。
「させない!」
セイントが、スピリットを射出する体勢で接近する。
「馬鹿が!」
エキスパートバルはワイヤーで捕まえたナイトメアを、セイントに投げつける。
二機は衝突し、体勢を崩す。
「ぐああああああああああああ!」
「きゃあああああああああああ!」
その瞬間、ワイヤーを収納させるウィンチの力を受け
エキスパートバルが急加速してナイトメア・セイントの前に現れる。
「終わりだ!」
対象は、セイント。
ブレードを突きたてようとする。
「避けられない…!」
「やめろ…!やめてくれええええええ!」
無我夢中でセイントの前に出たナイトメア。
「クククククククク、最初からお前を誘い出すのが目的だよナイトメア!」
回避不可能。
防御不可能。
そんな体勢。
咄嗟に出したブラットペインで鍔迫り合う。
「そんな防御で大丈夫か?ダメージでマニュピレータやべぇんじゃねぇのか!?」
ギャレスの指摘は的確であった。
ナイトメアは度重なるダメージにより、各種性能が劣化し始めてきたのだ。
さらに、オーバーロードクロックによる一時性能強化時間も切れ始めてきた。
エキスパートバルの鍔迫り合いに競り負けていくナイトメア。
「どうすればいい…!」
悩むアレス。
そのまま、アレスの意識はホワイトアウトしていく。
—見えたのは
大切なもの。
今の仲間達。
失ったもの。
ロン=イシューリー。
ビリーズ=ミリオン中尉。
エインフェリアの人々。
そしてその中心に居るのは
エリュシア。
と
もう一人の自分。
自信に満ち溢れる自分が見えた。
その自分がこう、告げた。
「守りたい。そう、願うんだ。強く!強く!強く!」
(強く!強く!強く!守れないじゃない!守りたい!守りたい!守りたい!)
アレスは願った。無我夢中に。
だんだん、視界が元に戻っていく—
アレスが見たものは、今までのエキスパートバルではなかった。
機体の回りに見える、黒いオーラのようなもの。
パイロットの感情や意識だろうか?
それに負けないように、願い続ける。
(守りたい!守りたい!守りたい!)
「俺は…守るんだ…!エリュシアを!仲間を!みんなを!全て!全て!」
—アレスの瞳からは、この一時だけ、迷いが消えていた—
真紅の瞳から炎のように迸る熱い意志。
ブレない心。
機械がそれに呼応したのか、ナイトメアのマニュピレータが徐々に鍔迫り合いを押し返していく。
「おおおおおお!?どういうことだ!?」
驚愕するギャレス。
「はあああああああああああああ!いけええええええええええ!」
そのまま、ナイトメアがエキスパートバルを鍔迫り合いで押し返した。
すかさずナイトメアがキックをバルの腹部に当てる。
バルはその衝撃で吹き飛ばされる。
「ぐあああああああああああ!…クククク、やってくれるじゃねぇか小僧!」
エウリスに疑問が残る。
なぜ、バルの鍔迫り合いを返せたのか?
機体性能は劣化しているはずだが…?
エウリスは、機体のチェックプログラムを検索し、解析する。
ナイトメアの各部は、ダメージにより何時破損してもおかしくない状況であった。
しかし、そのダメージにより各部のフリクション(摩擦)・電気抵抗などの機体を操作する際に生じる
エネルギー損失分がほぼ0の計算となっていたのだ。
機械には、ダメージが蓄積する中、実際のカタログスペックよりも遥かに高い性能を発揮する場合がある。
レーシングカーでブロー寸前のエンジンが、とてつもないポテンシャルを放つ場合がある。それに類似したものである。
つまり、ナイトメアは大破寸前であるが、そのダメージにより
通常以上のスペックを引き出すことが出来るようになったのだ。
しかし、これは一時的なものに過ぎない。危うい状態ではある。
(アレスの意志に呼応して、ナイトメアガンダムという機体が…奇跡を…起こしやがった!?)
さすがのエウリスも驚きを隠せない。
アレスは、今までの感覚とは違うものを感じていた。
バルに見えた黒いオーラ。
エリュシアに見える白いオーラ。
そして、ナイトメアから湧き出る溢れんばかりのエネルギー動力。
同時にナイトメア全体から見える紅いオーラ。
その瞬間、エリュシアの声が脳内に響く。
(フフフっ。わかるよ、アレス。
アレスも…目覚めたんだね。アウェイカーに。)
(お、俺がアウェイカー!?どうして!?)
驚くアレス。
意識内の会話。勿論ギャレスやバハムートにも聞こえていない。
(ほら、意識内で私と話せるよ。これが、アウェイカーの能力の証。
嬉しいな…凄く嬉しい。大切な人が、同じ能力に、可能性に、目覚めてくれたんだもの。)
(…!ありがとう、エリュシア。)
(えっ?アレス、それってどういう?)
(話は後でする!まずは、アイツを何とかしよう!)
—生と死の狭間。大事なものを守るために生まれた力。
アレス=ウィザール、アウェイカー:開眼…!!!—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.73 )
- 日時: 2013/07/14 07:21
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第二十九話 遭遇〜道化師、漆黒の闇にて嘲笑す〜 前部
—景色が、全てが、変わって見える—
そんな感覚を抱いたアレス。
彼の目の前には、漆黒のオーラのようなものを纏っている
今までの雰囲気とは違うエキスパートバル。
そのオーラのようなものの中に、アレスはギャレスが持つ
負の感情、負の意識、ありとあらゆるドス黒いモノを感じ取っていた。
そして、ナイトメアガンダムから見える紅いオーラ。
迸るような力が吹き出ている感覚に、少しフワフワした感覚をアレスは味わっていた。
まるで、高揚感に似た感覚であった。
—これが…アウェイカーの…能力?—
一方、ナイトメアガンダムの機体解析情報を閲覧しているエウリス。
不可解なナイトメアガンダムの性能向上とエネルギー効率の原因調査を行っていた。
「し、信じられねぇ…!ナイトメアの動力、効率、抵抗全てがカルい…!?
俺の制御フル稼働で、まだ推定ポテンシャルに余力があるだと…!?」
機体の全ての性能に歯止めがかからないぐらいに、現在ナイトメアガンダムの性能は向上していた。
しかし、それはダメージの蓄積によって得られたものであり、何時各部から悲鳴が上がり可動不能、
最悪大破しかねない状況であることをエウリスは把握する。
「アレス、今ナイトメアはとんでもねぇポテンシャルを出せる!
だが、臨界点がわからねぇ!何時でも何処でもぶっ飛ぶ危険を抱えている!
踏まえた上で戦ってくれよ!」
「…ああ、解った…!」
アレスの返事は若干上の空であった。
対するエキスパートバルを操るギャレス。
今までのナイトメアの雰囲気とは明らかに異なるということを感じてはいた。
だが、具体的な原因が解らない。
「…ククククククク、小僧…やってくれるじゃねぇか!
あんだけ痛めつけてもまだ強くなるか!
わからねぇ!わからねぇよその原理がよぉ!だが、面白ぇ!
面白ぇっていうのは大事なことだぜ!さあ、もっと俺を愉しませろ!」
攻撃態勢に入るエキスパートバル。
アレスは身構える。
その中に見えたもの。
エキスパートバルが構える。
エキスパートバルに纏わりつく黒いオーラのような物体が、右腕のビームハンドガンに纏まっていく。
やがて右腕は黒いオーラにて見えなくなり、右腕から獣の眼が紅く光るような影が見える。
獣は口を開いて咆哮するような形になり、その眼光はセイントガンダムを見ている。
アレスは本能的に察知する。
—エリュシアに、ビームハンドガンで攻撃をする!?—
エキスパートバルが右腕を上げ、ビームハンドガンを構えようとしたその時
—飛び出すナイトメア。
ナイトメアは、白銀の刃閃を放つ。
(な…んだと!?動きを見切られた!?)
ギャレスも焦りを隠せない。
避けられない一瞬の出来事。
刃閃は、エキスパートバルの右腕を的確に捉えていた。
(させない!俺は、彼女を…みんなを守るんだ!)
強い意志。呼応するように輝くアレスの真紅の瞳。
切り裂かれる右腕。金属音が、漆黒の宇宙に響く。
「クソがぁ!」
咄嗟に後退するエキスパートバル。
しかし、戦闘意志は失われていない。
アレスはまたも見る。
黒いオーラが、残されたワイヤーアンカー兵装「エーギル」に纏わりつく。
またも眼光紅く光る黒き獣が口を開き、攻撃体勢となる。
狙いは、自分。つまりナイトメア。
瞬間、エーギルが放たれる。
エーギルの先には黒き獣の牙。
それを体捌きで躱すナイトメア。
エーギルはまたもデブリに突き刺さる。
「くっ!やっちまった!」
「もらった!」
エーギルのワイヤー部に一閃。
エーギルのワイヤーを切り裂く。
そのまま切り裂いたワイヤーをつかみ上げるナイトメア。
「な!?野郎…!」
「はああああああああああああああああああ!」
ワイヤーを引っ張り、エキスパートバルを引き寄せる。
それと同時に、右手のエネルギーキャノン「ズロイ・ドゥーフ」よりビームを放つ。
「クソがぁ!させるかよ!」
体捻りとブーストにて直撃は避けたものの、左足にビームが突き刺さる。
そのまま、左足の太ももから先をビームにて失い、バランスを崩すエキスパートバル。
咄嗟に連続被弾を避けるため、左手に持っていた
ビームハンドガンブレードでエーギルのワイヤーを切断する。
「はぁ…はぁ…はぁ…。さっきまでのナイトメアとはダンチで違ぇ!どうなってんだ…!?」
驚愕するギャレス。
思わぬ強敵の登場。そういう感じだろうか。
「しかし…いいねぇいいねぇこの感覚!
今まで腐った政治家や狂った科学者しか見てねぇから、お前のような純粋無垢な殺意はむしろ心地良い!
もっと殺意を込めろ!もっと俺を憎め!さあ、これからだぜ…愉しもうか!」
その瞬間、ギャレスの脳に電撃が走ったような感覚。
そのまま強烈な頭の痛みが発生。
「ぐ!?ぐああああああああああああああああ!」
悶え苦しむギャレス。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.74 )
- 日時: 2013/07/15 08:06
- 名前: laevatain (ID: /AwggsBu)
第二十九話 遭遇〜道化師、漆黒の闇にて嘲笑す〜 中部
動きが止まったエキスパートバル。
「ん!?動きが止まった!?」
驚きのアレス。
「何が起こったかわからねぇが、今がチャンスだアレス!一気に畳み掛けろ!」
エウリスが千載一遇のチャンスに、アレスの尻を叩く。
「あ、ああ!」
若干戸惑いながらも、この機体は明確な【敵】であるため、倒す理由は十分であった。
アレスはエキスパートバルに接近し、ブラッドペインを振り下ろす。
瞬間、鈍い金属音と共にかなり堅い抵抗を感じた。
「な、なんだ!?」
ナイトメアが振り下ろしたブラッドペインは、目の前に現れた【モノ】により斬撃を阻まれた。
それは、翼の一枚にもにたシールド兵器。
かなり頑丈な設計のようで、ブラッドペインのような重量格闘武器の斬撃ですら一枚で防いでいた。
「彼は返してもらおうか。私の大事な【友人】なのでね。」
ねっとりと、絡みつくような男の声が外部通信から聞こえる。
その瞬間、アレスは感じたことのない悪寒に苛まれる。
アレス達の真上から現れたのは、紫色の機体。
仮面のようなバイザーで頭部を保護しており、その仮面の形状から道化師【クラウン】を想像させる。
機体は紫だけでなく関節部は黒・給排気グリルなどのアクセント部品は金にて塗装されていた。
胸元には金と銀のエングレービングが施され、格式が高い外観のMSであることが伺える。
それと同時にギャレスの背後から、アライアンズ強襲攻撃旗艦「アーリマン」が戦闘エリアに入ってきた。
アーリマンから2機のバルが出撃し、ギャレスの機体傍まで接近する。
「敵の…援軍!?まずい、このままじゃあ…!」
焦るアレス。
現在、ナイトメアもセイントも中破にも似た破損状況である。
この状況下での敵の増援は非常に危険であった。
「心配しなくても良い若者よ。私は戦闘の意志は無い。今回は【社交辞令】として、
君達に私の自己紹介と挨拶をしておきたくてね。」
紫色の機体に乗る男…
仮面の男。
アドバンスドインダストリー社兼企業軍事同盟「アライアンズ」ゼネラルマネージャー。
グラニットであった。
「アレス、エリュシア、下がれ!敵の戦艦を俺達で撃滅する!」
飛び込んできたのはザックからの通信。
「!?はい、わかりました!エリュシア、ココから離れよう!」
「わかったわ、アレス!」
二機のガンダムは、背後から接近してきたバハムートゼロの傍まで後退する。
「アトミック・フレア・ノヴァ、放てぇ!」
瞬間、竜王の口から高密度のエネルギーキャノンが発射。
まるで神話の竜が【魔力の息吹】を放ち、敵を殲滅するように。
「おやおや、乱暴な挨拶だな。まあ、この程度なら私の【アーガイグ】だけで十分だ。」
正面から向かいくるエネルギーの塊にアーガイグと呼ばれた機体はたじろぐことはない。
アーガイグのバックパックに取り付いている3枚の翼のようなシールド兵器と、ギャレスを守った
同型のシールド兵器1枚が、アーガイグの前方に展開する。
「ふむ?そういえばこの間のギリーMS研究所襲撃の際はまだ調整段階だったんだったな。
まあ、そこから実験・研究・開発を繰り返し、現在アーガイグの完成度は90%。
私も開発に関わっているから自画自賛になってしまうが、いやはや良い出来だよ。」
中型MAですら飲み込んでしまうその巨大なエネルギーの波の目の前に、
アーガイグのシールドがエネルギーよりも大きな範囲で展開する。
それと同時にビームにより4枚のシールド兵器が連結。
各部をビームで繋ぎ、そこからエネルギーの膜を形成した。
「旧時代の【ビームシールド】という技術だ。これなら問題はない。」
やがて、衝突するエネルギーの膜とバハムートゼロの主砲。
激しいエネルギーのぶつかり合いに、周辺をさまよっていたデブリは瞬く間に消滅していく。
数分後、完全にバハムートゼロの主砲エネルギーは消えてなくなる。
受け止めていたビームの膜は未だに健在している。
その後ビームの膜は消え、4枚のシールド兵器はアーガイグのバックパックユニットに格納される。
「な…!?たった1機のMSに、アトミック・フレア・ノヴァが防がれた!?」
バハムートクルーの誰もがこの事象に驚きを隠せない。
1機のMSが、戦艦の主力ビーム砲を止めるなど前代未聞であったからだ。
「愚かなる軍の飼い犬たちよ、我々企業を甘く見ては困る。
技術アドバンテージは、いつも我々【戦争屋】が握っているのだ。」
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.75 )
- 日時: 2013/07/25 07:57
- 名前: Laevatain (ID: C5nAn.ic)
第二十九話 遭遇〜道化師、漆黒の闇にて嘲笑す〜 後部
—道化師は嘲笑う。狂気に満ちた表情で—
アトミック・フレア・ノヴァを防ぎきったアーガイグ。
エネルギー充填が完了したのか、またもや翼型のシールド兵器を射出。
シールド兵器はアーガイグの周囲を回転する形で停滞し、
まるでアーガイグを護衛するかのような動きをする。
AVS-00-AUR アーガイグ
装備
ルキュリス動力式汎用ビームライフル二挺
ビームライフル二挺合体型ビームスレイヤーソード「ブルトガング」
肩部フレイムエレメントジェネレータ搭載炎熱弾頭リニアキャノン2門「ライプニッツ」
翼状シールド自律ビット兵器「フティラ・カタフラクト」
(ギリーMS研究所襲撃時はマシンガンとショットガンを装備)
アドバンスドインダストリー社のゼネラルマネージャーである、グラニットが駆るMS。
実験機としての役割も兼ねながら、最新型に逐一チューンドを施している拡張性高いMSとなり、
現在のアドバンスドインダストリー社が発売しているMSの基盤となった機体である。
紫のカラーリングに金と銀のエングレービングが施され、昨今の貴族階級に位置する人間が喜びそうな
ラグジュアリーMSとしての価値を付随したグラニットによるアドバンス社のプレゼン的な機体となっている。
現に、観賞用・保存用・嗜好用のMSとしてこのMSをベースとし、武装を取り除いたレプリカモデルが発売され、
多数の受注を受けた大ヒット商品となっている。
戦闘面においてもグラニット自らが設計から製作、可動箇所のギミック・挙動の研究・実験に立会い、
彼の戦闘スタイルに沿う形での開発内容となった。
「さて、乱暴な挨拶は済んだかな?今度は私から挨拶させてもらうとしよう。」
アーガイグが一礼をするような形でお辞儀のモーションを取る。
それを見ていたバハムートゼロのクルー達。
この男から放たれる不気味な狂気を、誰もが感じていた。
その中で二人だけ、グラニットを恐怖する人間が居た。
「サーニャ…あれは…!」
「ミーニャ…わかるわ…こわい…!先生の機体…!私たちを壊した大人たちのリーダー…!」
サイコシスターズの二人が、泣きながら震えだす。
「二人とも、しっかりして!大丈夫、私たちが守るからね!
ホラ、私の近くに来て!もう大丈夫…!大丈夫だから…!」
サフィアがミーニャとサーニャを抱きしめ、彼女達の恐怖を和らげる。
「ククククククククク、クハハハハハハハハハ!
まさかサイコシスターズが生きていたとはね!
貴方達の甘さには心底…吐き気がするよ…!
まだ、愛だの正義だの口走っている訳は無いよな?
そんなものでこの時代は変わらない。
【人間】の【欲望】、【悪意】、【支配】、【殺意】が変わることはない!
何故なら、それが【人間】の【本性】だからだよ…。」
漆黒の宇宙に、グラニットは自分の価値観を狂気染みた嘲笑を交えながら述べる。
「失礼失礼…私の本音がつい出てしまったよ。
まず、自己紹介からいこうか。
私の名は【グラニット=ゴールドグリード】だ。
まあ、周知の事実だが、アライアンズ兼アドバンスドインダストリー社の
ゼネラルマネージャーを勤めさせてもらっている。
以後、お見知りおきを…ククククククククククク…。」
—悪魔の笑い声、闇に木霊する—
バハムートクルーもこの男の狂気に嫌悪感を抱いていた。
人間の思考の域を超えている程の歪んだ価値観。
(本当に、この男は人間か?)
アレスもエリュシアも、この男から放たれる底の見えない【悪意】を感じていた。
アレスは、アウェイカーの開眼に伴いアーガイグに纏わりつくオーラを見ることが出来たが、
ギャレスのエキスパートバルよりもオーラの濃度が濃い、
つまり感情の強さが底知れないと言うことを思い知らされる。
(悪意…というか、憎んでいる?人類を…!?)
アレスは予感する。
「て、てめぇが…ミーニャやサーニャにあんなことを!
てめぇ、自分がしている事がわかってんのかよ!
吐く息、吸う息、そのツラ…胸糞悪ィなぁ!
てめぇが諸悪の根源の気がしてきたぜ…!」
沈黙を破ったのはカールの罵声。
医務室にて休んでいたカールだったが、体力が回復したため
メインデッキに戻ってきたのだ。
しかし、完全に体力は回復していないので、ふらつき気味である上、顔色も良くはない。
「若いねぇ、君は。もう少し自分を抑えるという大人の行動を覚えたほうが良い。
君のような幼稚な子供を相手にするほど、私は暇ではない。」
グラニットはさも不機嫌そうに、カールをあしらう。
「てめぇ…!クソッ!ガンダムフェンサーがあれば、
今すぐにでもてめぇをぶった斬ってやりてぇぜ…!」
苛立つカール。当然である。
「貴様…我々の撃破が目的ではないのか?
さっさと殺してしまえばいいだろう!」
ザックが、グラニットを挑発する。
今までの発言から、グラニットがこちらを攻撃する理由は少なからずある。
ザックはあえてけしかけることで、グラニットという人間を見ようとしていた。
「それでは面白くない。君達は、いわば【起爆剤】だ。
君達と言うこの時代に逆らう存在が、どうこの時代の末路に
影響するのかを少しばかり実験しているのさ。
私は…ただ、風を巻き起こしたいんだ。
この漆黒の宇宙のような黒き人類の時代に、新しい風を…ね。
クククククククククククククククククク…。」
—クククククククククククククク…—
狂喜に満ちたグラニット。
この男の思考と感情は、誰にも理解できない。
「おっと、時間も時間だ。私はここで失礼させてもらおう。
この後、【懇談会】の方々と会食の予定なのでね。」
この瞬間、カールが怒鳴る。
「て…てめぇ!ふざけんな!てめぇのようなゴミクズ野郎がのうのうと会食だと!?
てめぇにはまだ言いてぇことが山ほどあるんだ!」
グラニットは、冷めた表情だ。
「何かあるならば、秘書を通してアポイントを取ってもらおうか。私も暇ではない。
あと、ギャレスは回収させてもらう。私の大事な【友人】であり、【理解者】だからな。
…招かれざる客も来てしまったしな。」
そういうと、アーガイグは先に引き上げ、バル2機はエキスパートバルを抱え、
アーリマンへと引き上げていった。
その直後、背後から中型の宇宙戦艦が近づいてきた。
MS部隊が20機ほど展開している。
獣のようなフォルムのMSが二種類だろうか。
「ちっ!グラニットの奴、逃げ足が速い!」
戦艦のメインドックにて、初老の男が悪態をつく。
そして、そのままMS部隊に指示を出した。
「MS部隊、竜王を包囲せよ!
奴らはまだ信用してはならない!穏健派の罠かも知れん!」
MS部隊は、バハムートゼロを包囲する。
全員、威嚇攻撃態勢である。迂闊な行動は一斉攻撃の危険がある。
「な!?なんだこいつらは!どういうことだ!?」
突然の武装勢力の包囲にバハムートゼロクルー全員が戸惑う。
やがて、バハムートゼロの外部通信用モニターに初老の男が映る。
「私の名はナージフ=ロンメル!武装勢力【バーバリアンズ】攻撃部隊【ウェアウルフ】総司令である!
G.U.軍第一攻撃部隊オーディンよ!我々の指示に従ってもらおう!抵抗するなら容赦はしない!
我々は貴様らを信用してはいない!貴様らの処遇は我らが母なる女神【イメカ・マルーハ】と
女神の申し子、アリシア様に委ねられる!貴様らに選択の自由はない!」
過激派とも取れる武装勢力【バーバリアンズ】の出現。
— 一難差ってまた一難、ということなのだろうか?
またも動乱に巻き込まれるオーディン。果たして【バーバリアンズ】の真意とは…?—
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