二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
日時: 2015/07/25 13:01
名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/

今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。

作成者は妄想大好きなおじさんです。

こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。

STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。

—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—

用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。

ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。


GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。

企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。

コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。

オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」

プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。

企業戦争グリードウォー
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。

モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。

ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。

ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。

※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。

なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。

ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
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Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.36 )
日時: 2013/03/16 18:22
名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)

第十八話 決闘—射抜く眼光、虚ろゆらめく意志— 前部

—デューク=ストレイン。歴戦の勇者。求めるは強者—

メタリカ宙域内。
5機のMS部隊と、3機のMSチームが、メタリカへ大気圏突入する。
現代MSは、単独でのオプション無し大気圏突入が常識となっている。
技術革新により、機体装甲・設備関連の冷却効率と耐熱温度の向上が成された為である。

—メタリカ内、革新派軍ダミー基地にて。

アレス達オーディンが、【エインフェリア】と合流した時である。
ダミー基地の第2エアポートには、エインフェリアの母艦である「ノルン」が着陸していた。
G.U.軍管轄戦艦であるリヴァイアサン級の戦闘強襲艦である。
MSは25機格納でき、ノーディックが15機、ガンダムソルジャーが9機、コマンダーが1機搭載されていた。
が、今回エインフェリアからの人員変更と言う形で、ガンダムソルジャーが2機バハムートゼロへ動くことになった。
その人員として選ばれたのが、ジュピア=セルリス伍長とマーキュルス=レベッカ兵長である。
ジュピアは3年の経歴を詰んでおり、アレス達の先輩に当たる。
マールは元々オペレータとして3年ジュピアの相方を務めていたが、
彼女の要望により、パイロット訓練を受けて現場作業の職務に就いた。パイロットの腕前は新兵同然である。

「全く、礼儀をわきまえなさい!私は貴方達よりも実戦経験の多い先輩に当たるのよ?
礼儀のなってない人間は淘汰されるってことを知らないのね、新兵たち!」
早速、ジュピアがおかんむりである。
「あー!うぜぇぇぇぇ!いい加減にしろこのクソ女!」
カールがとうとうキレた。
「てめぇのエリート精神はどーにかならねぇのか!エリートがなんだ!クソ食らえだぜこの野郎!
表出ろ!テメェのガンダムごとボコボコにしてやるぜ!」
「生意気な口だこと新兵の癖に!いいわ、返り討ちにしてやるんだから!」
もはや一触即発である。
アレス達は、止められないようだ。呆れ返っている。

これを止めたのは、ザックの怒号だった。
「いい加減にしろ!カールもカールだ。くだらないことでMS事にするんじゃない!
それと、ジュピア伍長!口が過ぎるぞ!
カール兵長は新兵であるが、我々の危機を何度も救ってくれた戦士だ!
彼を侮辱するのであれば、この艦から降りていただくことになる…。
俺達は仲間であり、家族だ。家族を侮辱されて黙っているほど父親の堪忍袋は大きくないのでな!」
珍しく、ザックが本気で怒っている。
久しぶりの恩師の雷に、ジェイク中尉は懐かしいものを感じている。
この発言に、さすがのジュピアも黙ってしまった。

「…申し訳ありません、艦長。頭を冷やしてきます。」
そういうと、ジュピアは自分の部屋へ戻っていった。
「…ふう。慣れないなぁ、憎まれ役は。」
ザックがため息をつく。
「艦長…、まさか?」
アレスが感づく。
「ああ、俺がわざと憎まれ口を言ったんだよ。
じゃなかったら収拾がつかないだろう?だが、後半のカールに対する俺の信頼は本音だ。
あいつを侮辱することは、許すことが出来ないんだ。
カールだけじゃない。アレス、エリュシア、ダグラス、アシュレイ、ジェーンの新兵たちをはじめ、
オペレータやメカニック、給仕係だって俺の家族だ。侮辱や暴言は、俺が許さない。許せないんだ。」
ザックが頭をかきむしりながら話す。
「…すみません艦長。俺…言い過ぎましたね。」
カールが申し訳なさそうな表情だ。
「ああ、いいさ。だが、そうやって喧嘩腰になるのはよくないぞ。
一度引くというのも手だ。なんでもかんでもエリートを目の敵にするのは好ましくはない。」
ザックが、カールをたしなめる。
「カール君、彼女の安易な暴言は監督者である私の責任だ。許してくれ。」
ジェイクがカールに謝罪する。
「大丈夫です。…あああ、こんなの俺じゃねぇ!ちっと謝ってきますよ!
マール、彼女の部屋を教えてくれ!」
「は、はい!」
カールが、マールの手を引きジュピアの部屋へ向かう。
道中、廊下でどうやらマールが赤面して卒倒しかけているのが数回あったようだ。
「大丈夫かマール!終わったら医務室いくか?」
「だだだだだだ大丈夫ですよおおおおおお!」
…もどかしい物を、アレスは感じていた。

ジュピアの部屋。ドアの前にカールとマールが立っていた。
部屋からは、何も聞こえない。
「…ジュピア…さん…だっけ?さっきは…悪かったよ。
ザック艦長からも結構注意受けた。ジェイクさんには謝っておいた。」
先手を打ったのはカール。
「ジュピア、御願い。あけて?」
マールも、それに続くように話す。
次の瞬間、扉が開いた。
ジュピアの目はにじんでいる。
「別にいいわよ、大丈夫だから。だけれど、貴方達にはちゃんと説明しないといけないわね。」
と言い、カールが小さなミーティングルームを指定する。三人はそこへ向かう。
「…ほい。」
カールが、缶コーヒーとジュピアとマールに渡す。彼の自腹だ。
「あ、ありがとう。」
「ありがとうございます。」
缶コーヒーを開ける音が、乾いた空間に響く。
「…羨ましかったんだ、貴方達が。」
ジュピアが、胸の本音を打ち開ける。

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.37 )
日時: 2013/05/01 09:57
名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)

第十八話 決闘—射抜く眼光、虚ろゆらめく意志— 中部

「私は、セルリス財閥党首アーノルド=セルリスの娘。父は私に優しかった。母は私を生んだ後に病弱で亡くなった。
新しく迎えた母親は、私には冷たかった。自分の連れてきた子供だけを可愛がった。
そして、その女は私に対しては「エリート意識」を植えつけるようになってきた。まるで私を選民主義にするかのように。
父もそれに気づいて、女に注意した。しかし、効果は全く無かった。
…聞いた話だと、穏健派の重役議員からのお見合いだったそうよ。父もしぶしぶ了承したみたい。
だから、父もあまりあの女には愛情を持てなかった様だった。話す内容は「体裁」「金」「事業拡大」「金の使い道」ばかり。
しかし、離婚を持ちかけると穏健派からの社会的黙殺が付きまとう。不本意ではあるが、彼女を置いておいたのは当然よね。
父は私によく言ってくれた。「人の価値は、心で決まる」と。私にはその意味がわからなかった。
そしてあの女に植え付けられた選民主義も少なからずあり、人に負けないように努力した。
ミリタリーアカデミーでは首席で卒業。当然の結果であると自分でも自惚れていたわ。
しかし、実際に私が配属されたのはエインフェリア。エリート達が戦うオーディンではなかった。
何故私はオーディンの元で戦えないの!?私では力不足なの!?って思ってたわ。今までは。
軍に配属されて、マルス様と出会って、そして貴方達に合流して思った。
学歴・財力だけでは計り知れない「絆」、心の力を凄く感じたわ。
オーディンはエリートの集まりではなく、強い絆の集まりなんだ。そう強く感じたわ。
今までの努力が無駄になるって自分を否定されそうで…だからあんな心にも無いことを口走っちゃって…ごめんなさい。」
ジュピアは、話し終えた後に缶コーヒーを飲む。
苦い。
味だけではない苦さを、彼女は感じていた。
「…私は普通の家庭で育って、ミリタリーアカデミーの在学中に彼女と出会ったんです。
彼女、結構悩んでいたようで、私でよければと結構話してましたね。」
マールが、自分のいきさつを説明する。
この後に、カールが自分の腹を割る。

「…俺はあんた達と違って、ただのクズだったよ。ジュニアスクールからほっとんどスクールに行ってねぇし、
16のときは、エアーバイク乗り回して地元のダチと暴走族やってた。
大人からはクソガキだのバカだの落ちこぼれだの何度も言われてたよ。ジュピア、あんたとは大違いだな。
コスモポリスと何度もカーチェイスしてたな。あんときは俺、バカの頂点極めてた。
んでとっつかまって、世話になったのが、ガストっていう刑事さんだった。
ガストさんの紹介で、バカでも職に就ける通信講座やって、そこで警察資格を取得したんだ。
んーで、ガストさん居なくなった後に地元のコスモポリスで5〜6年間警官やって、
ワルガキの取り扱いで俺がしょっ引かれ、さんざんっぱらあいつらをたしなめたな。
そしたら軍への召集がかかって、今に至るというわけだ。
だから、エリートだの、高学歴だのっつーと、カッカきちまうわけだ。クソ食らえってな。
俺みたいなクズだって人のためにやれんだっつーことを生き様にしてやろうとして今生きてる。
アレスやエリュシア、ダグラスやアシュレイみたいな、ツルむ仲間ダチも出来たしな。
その…なんだ…悪かった。ごめん。」
カールが頭をかきむしりながら、照れくさそうに話す。

「カールさん、素晴らしいです!その心、私も見習いたいです!」
マールが、目を煌かせてカールに近づく。
「お、おう…。わかったから…近過ぎだって…。」
カール、マールにはタジタジである。
思わず、ジュピアから笑みがこぼれる。
それに連鎖して、3人全員が笑い出す。
新しい「絆」。繋がり。新しく強くなる、守護龍の力。

緊急警報が、基地全体に響き渡る。
「未確認機影8機確認!称号番号無し!識別信号…アライアンズ・穏健派MS該当無し!こちらに向かっています!」
バハムートゼロへ、艦内放送が響く。

未確認機が接近し、基地前へ着地する。
その中からパイロットが降り、基地前の正門前にて並ぶ。
眼帯の男、デューク=ストレインが、小型拡音機を取り出し発音する。
「こちらはセンチュリオンズ所属「ブラッドドラゴン・クルセイダーズ」隊長、デューク=ストレイン!
死神のMSを駆るパイロットよ、死神に乗り込み俺と戦え!これは、正式なる決闘の申し入れである!」

紅く塗られたMS、パンタールが3機。
竜戦士のような無骨なMS、ドラーケルが4機。
そして竜騎士のようなMS、ライザードが1機、構えている。
どうやら戦闘の意志は無いようだ。

全員が、正門前に向かい彼らと対峙する。
警戒のため、警備兵がアサルトライフルを構える。
「死神のパイロット、前に出よ!その他の人間は攻撃を控えろ!
俺は決闘を申し込みに来ただけだ。戦闘の意志は無い!」
デュークが、声を上げる。
ザックが、前に出る。どうやらデュークに面識があるようだ。表情が驚いたような印象である。
「デューク中将…生きていたのですか…!」
「ザック、久しぶりだな。この通り、俺はどうやら死の女神から嫌われているらしい。
まだ冥界に来るなと言われてしまってな。お前も、無事で何よりだ。
今では、宇宙の無法者と共に我が復讐と信念の完遂を生きがいにしているよ。」
デュークが、不敵に笑う。
「ザック艦長、この人は…!?」
エリュシアの質問。
「ああ、この人は元G.U.軍のデューク=ストレイン中将だ。俺の…直下の先輩でもあった。」
ジェーンが思い出したような表情。
「聞いたことある…!第一次企業戦争にて、数多くの敵を撃破したと言われる竜騎士の部隊があったって…。
MSも竜騎士に似たフォルムで、まるで神話に出てくる神々の軍隊として敵からは恐れられていたと。」
「それが、彼らか…!」
アレスの腕の震えが止まらない。
デュークが放つ、エースのプレッシャーによるものである。
「ふっ、英雄か。裏を変えせば、人殺しの大虐殺者なのだがな。
さて、本題に戻ろう。死神のパイロット、前に出るがいい!」
アレスが、一歩前に出る。
「お前か。若いな…ザック、お前が選んだのか。」
デュークが、アレスの眼を見つめる。
「…良い眼だ。名を聞こう!」
「アレス!アレス=ウィザール伍長だ!」
「アレスか、良い名だ!」
ここで、ハイレッグスーツに身をまとった3人の女性のうち、真ん中にいた女性が口を開く。
「何かわかったようだね、デューク。」
「ああ、まあな。」
「そうだ、俺と彼女達、そして後続の彼らの紹介をしなければな。
いくら敵とは言え、敵に自らの名を名乗らないのは、虐殺の場以外では無礼である。
そして、敵も自分を斃した敵の名前ぐらいは知っておきたいだろう。
俺はデューク=ストレインだ。彼女達は「真紅の百合三姉妹クリムゾンリリィシスターズ」。
俺の後ろに居る兵士達は、俺の部下である。」
三姉妹が、自己紹介をする。
「サンキュ、デューク。私は長女、ナルキス=ヴァーミリオンだよ!」
「アタシは次女、ウィオラ=ヴァーミリオンよ!」
「わたくしは三女、カリディア=ヴァーミリオンで御座います。今後とも宜しく御願い致しますわ、オーディンの皆様方。」
自己紹介の後、センチュリオンズ勢力が全員MSに搭乗する。
「アレスよ、死神に乗り俺について来い!ここはふさわしくない、戦いの場を設けよう!」
「わかった!すぐに向かう!」
バハムートに戻ろうとするとき、アレスは呼び止められる。
「アレス、気をつけろよ!中将は歴戦の勇者だ!」
ザックの警告。
「アレス…無理しないでね…。」
プラミスハロを抱えながら、エリュシアが心配そうに見つめる。
「ああ、大丈夫だ。では、出撃します!」
アレスのナイトメアは、程なくして発進した。

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.38 )
日時: 2013/03/16 13:01
名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)

第十八話 決闘—射抜く眼光、虚ろゆらめく意志— 後部

デュークのライザードが先導する中、ナイトメアコンソールのエウリスが喋る。
「あのMS、すげえ威圧感だな…今までの奴とは訳が違うぜ…。」
「AIでも感じるのか、あのプレッシャーを…。」
「機械では測れない強さがあのMSにはあるな。気をつけろよ、アレス!」
空の雲行きが、怪しくなってきた。

「ここでなら、遠慮なくやれるだろう。」
デュークが、人気のない山岳地帯を選ぶ。
MSが全て、着地する。
「よし、この決闘のルールを説明する!
武器は格闘武器のみだ!シールド・射撃武器の使用は一切禁止する!
勝敗は2パーツ破壊または相手をまいったと言わせるまで!
以上だ、質問はあるか?」
「…」
10秒間の沈黙。
「よし、ではナルキス、合図頼む!」
「さあ、いくよ!決闘、はじめ!」
ナルキスが、決闘開始の合図を下ろす。

「俺のスタンスは、まずは敵の動きを躱すことから始めている。さあ、かかって来い!」
デュークは余裕の表情を見せている。
「遠慮なく、いくぞ!」
ナイトメアは、ブラッド・ペインを展開し、ライザードに斬りかかる。
ライザードは、いとも簡単に躱す。
その後もナイトメアは何度も斬撃を繰り出すも、全て躱されていく。
袈裟斬り、横薙ぎ、打ち払い、脳天割り…
全て看破され、空を切る。
「全ての攻撃を…読まれている!?」
アレスが戸惑う。
「迷いがあるな。迷いがあるからこそ、全ての攻撃の前に、空白が生じる。空白は相手に攻撃の方向を教え、
相手はそれに対し避けるだけ。お前は、相手にわざわざ逃げるチャンスを与えている!」
デュークが、アレスの迷いと欠点を見抜く。
「くっ…くそぉ!」
アレス、どうやら図星を突かれたようだ。

—そう、これは決闘と言う名の「対話」である。
デュークは、アレスの心を見るつもりであった。

刃の軌道は、信念を映す。真っ直ぐな刃は、迷いを持たない意志の表れ。
しかし、アレスは迷っている。正義の在り方、命の在り方、戦争の在り方。
全てが迷い、ブレている。そのために振り出す鎌はぎこちなく、そして不安定である。

—その迷いこそが、戦場では命取りとなる—

「さあて、そこまでか?ならこちらからも行くぞ!」
デュークのライザードは、背中にマウントされていたツインビームスレイヤーセイバー「ティソーナ」を構える。
ティソーナのビーム噴霧口からビームが射出され、ビームエッジ部を形成する。
次の瞬間、ライザードの姿が消える。
ステップブースターにより、左右への高速移動を行ったライザードが
左から斬りかかる。
ナイトメアはこれをロッド部にて防御。
しかし、もう一本のティソーナが腹部を狙う。
ナイトメアは、これをバックステップにて回避する。
続いて、ライザードはティソーナを合体させる。
グリップ部の末端にあわせ、接続する。
両刃の巨大格闘兵装が出来上がり、ナイトメアに斬りかかる。
またもやこれもロッド部で防御。
切りかかった体勢から、姿勢をひねり、回転を加えた連続攻撃によりナイトメアに肉薄する。
ナイトメアは受け止めるが、続く次の攻撃により反撃が出来ない。

—英雄と殺戮者はカードの表と裏である。
デュークは、英雄と言う栄誉と殺戮者と言う汚名を同時に背負う「覚悟」を決めた。
今、アレスにその器があるか、そしてその「覚悟」があるかを確かめたかったのだ。

メッセージをこめた一撃一撃を、剣閃に込めてデュークは、アレスに問いかける。
しかし、アレスにはこのメッセージが、一撃一撃が

重い。

重い。

重く圧し掛かる。

決意を、握りつぶすかの様に。

アレスの全身に、押しつぶすかのようなプレッシャーと意志。
全身が汗まみれになり、息が荒くなる。

戦う「覚悟」とは、数多くの命を奪う決意をしなければ出来ない行為である。
アレスには、その「覚悟」に対する決定的な答えが欠如していた。
それは、彼自身が自分の行動に対する答えを導き出さなければ、出来ないのだ—

結局、無理な姿勢を強いられたナイトメアが出し抜かれ、ティソーナにより打ち払われたブラッド・ペインが宙を舞う。
ナイトメアの武装が無くなり、首元にティソーナを構えられる。
地面に突き刺さるブラッド・ペイン。

「なるほどな、この程度か。MSの性能に頼りすぎた、お前の負けだ。」

勝敗は、決した。

「迷いがある中で俺に勝てるとでも思うな!自分の中で、その答えを見つけることだな。
いつか…その迷いが自分の足を引っ張ることになる。せいぜい足元をすくわれぬようにな。」

決闘終了。センチュリオンズのMSが帰投していく。

ナイトメアの上空に、冷たい雨が降り注ぐ。

「…負けた。完膚なきまでに。そして、見抜かれた。俺の…」
コクピット内で、絶望するアレス。

—失意の雨は、戦士の決意を鈍らせていく—

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.39 )
日時: 2013/03/17 14:08
名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)


第十九話 罪の意識—目覚めし生けるアウェイキニング・アンリミテッド— 前部

—アレスとデュークの決闘前と同時刻。
産業惑星「メタリカ」近郊のコロニー「サイドメニーナ」
強化人間「アンリミテッド」研究所【イズン】にて—

仮面の男グラニットとハイエナのギャレスが、2機のアクアスリープポッド(液体仮死睡眠装置)の前に居る。
装置の中には10歳程と見える少女が二人、仮死状態で眠っていた。双子なのか、顔はよく似ている。
「彼女たちのVRプログラム遂行度はどのぐらいだ?」
グラニットが、研究員に尋ねる。
「はい、現在95%を達成しております。もう10分付近で全てのカリキュラムを達成します。」
研究員が、タブレットデバイスを調べながら答える。どうやら装置とリンクしているようだ。
「わかった。遂行度が100%に到達したら、彼女達を起こせ。このお姫様たちに、やって頂きたい仕事があるのでな。」
「はっ。ゼネラルマネージャー。」

そして10分後。

少女達は目覚めた後に精神リフレッシュを受け、完全に意識を取り戻した。
「ここは…?」
「どこ?」
少女達が口を開く。
目の前には、グラニットとギャレス。
「やあ、お嬢さんたち。私の名はグラニット。といっても、VRプログラムの中で先生をやっていたから、君達はわかっているだろうね。
VRプログラムの指導役として、グラニットの人格プログラムを組み込んでいたのだ。
よって、彼女達は彼に面識がある。
「先生、おはようございます。」
「今日は、何をすればいいですか?」
双子が尋ねる。
「ああ、プログラムの最後で言ってた悪い怪物を倒さなければいけないという君達にしかできないことをやってもらいたんだ。
ギャレスという私のサポート役である先生が引率する。君達はVRで練習していたように、それぞれの機体に乗って欲しい。」
双子は、グラニットの言葉に納得したようだ。
「わかりました先生。」
「悪い死神を、」
「「斃します。」」
この瞬間、グラニットの表情に不敵な笑みがこぼれた。

—そして時は戻り、現在—

センチュリオンズ勢力は、決闘を終えて帰投している途中であった。
8機のMSが、雨の中を駆けぬけながら上昇していく。
「デューク、あの子の何かがわかったかい?」
ナルキス=ヴァーミリオンが尋ねる。
「…あの小僧、必ず俺を超えるだろう。今までは予感だったが、今確信した。」
デュークが答える。
「そうなのかい?アタシにはどーみてもあんたよりも劣っているように見えたけれど?」
ウィオラ=ヴァーミリオンが、そうには見えなかったといった表情だ。
「それは違う。俺も最初はあの小僧を舐めていた。だが俺は、迷いの中に俺達とは違う強さを感じていた。」
「違う強さ…でしょうか?」
カリディア=ヴァーミリオンが首をかしげる。
「ああ、もしかしてあの小僧とあの機体は相性が良いのかも知れんな。恐らく…人間と機械の力が合わさった強さだと思う。
MSというハードウェアに人間。これだけでMSという兵器が完成する。問題はそこに新しく入ってきたAIという概念だ。
このAIにより、機械と人間の距離が縮まり更なる強さになる…俺の推測だがな。」
デュークが遠い眼差しで答える。

「おいデューク、リリィズ!メタリカ周辺に戦艦「マンモン」と護衛艦数隻が近づいている!
恐らく狙いはオーディン達革新派だろうが、復讐のチャンスがきたんじゃねぇか!?」
通信が入ってきた。声は、オーランド=タイガーのようだ。
「デューク!これはチャンスだよ!」
ナルキスが声を上げる。
「…フフフ、死の女神は俺を嫌っていたが、運命の女神は俺が好きらしいな!我が復讐、今果たされん!
タイガー、クルセイダーズを全員出動させてくれ!さあ、戦いの始まりだ!
リリィズ、この戦いは俺達だけにやらせてくれ。これは、俺たち敗残兵の戦いだ!」
デュークの顔つきが変わる。戦争をする顔になった。
自らの、そして部隊の誇りを取り戻す瞬間が訪れたのだ。
しかし、上昇途中に見慣れない戦艦が一隻、彼らの上空を通過する。
「ん?あれは…」
デュークは、それを見たような記憶があった。が思い出せなかった。
そのまま、センチュリオンズ勢力のMSは上昇していく。

Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.40 )
日時: 2013/03/17 14:11
名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)


第十九話 罪の意識—目覚めし生けるアウェイキニング・アンリミテッド— 中部

「…ス、……レス。…い、アレス…!おいアレス!」
失意のアレスを現実に戻したのは、エウリスだった。
我に返ったアレス。顔は蒼白している。
「おいアレス、大丈夫か!?お前最近調子悪そうだぞ!?」
「あ、ああ。大丈夫だ…。」
上の空で返事をするアレス。
自分の心の闇を見抜かれ、戦いへの疑問は大きくなる。
その瞬間に、ダミー基地からの警報が鳴り響く。
「アレス、至急戻ってきてくれ!敵襲だ!」

アレスが基地に戻り、目の前を見る。
遠くから巨影が空を駆けて、こちらへ向かってくる。
「ザック艦長、あれは!?」
アレスが問いかける。
「あれは…!イモータル所属戦闘艦「ズー」だ!
くそっ、穏健派め!なりふり構わず攻撃してくるか!
非人道的な計画にて洗脳した人々すら、戦争の道具に…断じて許せん!」
ザックが怒りと焦りを見せる。
「基地の被害を抑えるために、バハムートゼロはこれをもって補給を終了し、
エンティニアに向かう!ノルン、援護を頼む!」
ザックから、全軍に指示が下る。

バハムートゼロとノルンが起動し、飛翔する。
ズーと鉢合わせになる状態となる。戦闘は避けられそうに無い。

ズーのMS格納ハッチが開き、MSが次々に射出する。
アドバンスドインダストリー社製のアウェイカー対応型MS「ジャンマ・ジャンガ」である。
恐らく数で20機前後。
オーディン、エインフェリアMS部隊はあらかじめ展開していたため、先手を取られることはなかった。
しかし、マルスのMSは調整+エネルギー充填中のため、出撃出来ていない状況である。
「総員、迎撃!」
エインフェリアとノルンの放火と同時に、MS部隊が散開。
武装簡略化を施しているジャンマ・ジャンガの武装はシンプルである。
無人攻撃オービット「フェーヤ」と前方爆炎形成ボム「ズローヴァ・アゴーニ」である。
無人攻撃オービットの有効射程は1kmであるため、ほぼ突撃の形で接近していく。

ジャンマ・ジャンガのオービットが次々に展開し、MS部隊を攻撃していく。
オービットが発射するビームはそれほどの威力ではないが、複数方向からの射撃により、徐々にダメージを与える。
数機のノーディックが射撃をすり抜け、格闘攻撃を仕掛けるが、ジャンマ・ジャンガは
格闘回避用に搭載した、前方に爆炎の壁を形成する緊急ボムにより防衛を図った。
爆風を避けるため、咄嗟にバックステップをしつつシールドにて爆風を防ぐノーディック部隊。
「気をつけろ!このパイロット達は恐らく強化人間達だ!通常のパイロットよりも強いぞ!
彼らに罪は無い!なるべく武装のみを狙って、機体の戦闘能力を削いでくれ!」
ザックの厳しい条件付戦闘のため、苦戦を強いられるMS部隊。

しかし、セイントガンダムにて迎撃に当たっていたエリュシアに、またもビジョンが浮かぶ。

—闇に苦しむ人々が見える。彼らはパイロットスーツをまとっている。
…ジャンマ・ジャンガのパイロット達だろうか?
彼らは、泣き付きながらエリュシアに嘆願する。
「…御願いだ…殺してくれ!」
「…みんなに不幸を撒き散らすぐらいなら、いっそ死なせてくれ!」
「俺達、薬物と装置により…自分の意志すら無くなっているんだ…」
「苦しい、つらいの…お願い、楽にして!これ以上、悲劇を作らせないで!」
彼らの、苦痛と決断のメッセージであった—

バハムートドックと全MSに、エリュシアの通信が届く。
「彼ら…苦しんでる!薬物と何かの装置によって操られている!
でも、彼ら自分達が戻れないのをわかってて、私達に殺して欲しいって…。」
言葉がつまり、エリュシアの眼から涙が伝う。

ザック、苦渋と懺悔の末、決断する。

「…悲劇を、彼らの魂を救う!総員、敵MSを撃破せよ!彼らの苦しみを、取り除いてくれ!」

ザックにも、そしてサフィア、カロラス、キャスカ、トーマス、マルスに、悲しみの涙が伝う。

この瞬間から、MS部隊は反撃に出る。
次々とオービットの射撃をすり抜け、ジャンマ・ジャンガを撃破していく。

ジャンマ・ジャンガの1機が、ジュピアとマールのガンダムソルジャーに襲い掛かる。
「喰らいなさい!」
「御願いあたって!」
二機のビームライフルは、虚しく躱される。
反撃にと、ジャンマ・ジャンガはズローヴァ・アゴーニを前方に発射する。
爆風の壁が形成され、ジャンマ・ジャンガの姿が消える。
その壁から、オービットが射出。二機のガンダムを狙う。
次の瞬間、上空からビームブーメランとビームスラッグガンの弾幕が
彼女たちの前方のオービット目掛けて飛んでいく。この攻撃によりオービットは、全て破壊された。
そして、壁が晴れた目の前のジャンマ・ジャンガは、
カールのガンダムフェンサーにより一刀両断され、爆発した。
「…!なかなか…やるじゃない!」
少し強がるジュピア。
「大丈夫ですか!?」
二人を気遣うダグラス。
「すすすすす凄いですうううう!さすがカールさんですね!」
眼を輝かせるマール。
「…なんか、恥ずかしいな…。」
照れくさがるカール。だが、まんざらではないようだ。

そして、撃破を重ねていくアレス。心の中で黒いものが滲み、頭が少しずつ痛くなっていく。
MSの操縦グリップが、重く感じていく。

ジャンマ・ジャンガ部隊の撃破後、3機のMSが出撃していく。
そしてズーは上昇し、大気圏に消えていった。

オレンジ色のバル・エキスパートスタイルが中央に立つ。
左右に構えるのは銀色のMS、KRM-02-MIQ ミキューラ と KRM-03-IGR イギュール。
煌重工業が開発した、特殊実験機プロジェクトの実験機。トラップ戦術を得意とする。


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