二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
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- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.26 )
- 日時: 2013/03/13 07:51
- 名前: Laevatain (ID: lQjP23yG)
第十三話 胎動—狂いだす運命の歯車— 前部
「みなさん!こんにちは!そして…初めまして!
僕はマルス=フォーチュナー。何故僕が選ばれたのかわからないけれど
革新派の議長をやってます!よろしく御願いします!」
面談として構えていた新兵たちの前に現れた革新派の議長。
そしてそれは意外にも、ポニーテールの髪型をした美しい顔立ちの
…間違えれば女の子にも見えるかもしれない、そんな少年だった。
「…議長、相変わらずテンション高いですね。」
ザックが、薄目でマルスを見つめながらつぶやく。
「やだなぁ、ザックさん!いつも通りに、「マルス」でいいですよ!
あと皆さん、僕のモットーは「裸の心付き合い」です!
隠し事は嫌いなので、どんどん僕に付き合ってくださいね!
あと、議長だからって敬語も堅苦しいですね。
僕の口調は敬語がメインで定着しちゃったので、このままでいきますね。
僕のことは、気軽に「マルス」でいいですよ!」
結構、さっくりした少年だなというのが、新兵の感想であった。
その後、彼らは食事を取ることになった。
超高級ホテルか…と思いきや、彼行きつけの老舗ジャパニアン(日本文化)庶民料理店であった。
カウンター席で、丁度8人。
「すみません!カツ丼8人分ください!」
「おお、マルス君かい!革新派の小さな大議長さんの来店だね!
ん?今日はザックさんに…彼らは新兵か!こいつぁいい!
丁度いい肉が入ってきたんだよ!今日のは格別な味になるよ!」
店長のおじさんと打ち解けているマルス。
革新派の議長とは、ずいぶんとかけ離れているイメージだった。
「ああ、ここ僕の行き着けなんですよね。
カツ丼がおいしくて、大体ここでご飯食べてますね、お昼時は。
今日は僕のおごりなんで、気にせず食べてくださいね!」
議長からおごられた、カツ丼。
温かかった。そして、美味しかった。
新兵たちは、心の温かさ、人の絆を噛み締めながら、味わった。
食事中の会話で打ち解けていくアレス達。
マルスという少年の器の広さを、思い知らされていく。
「僕は、前議長のマクスウェル=ゴドリックさんからの推薦で議長になったんです。
ゴドリックさんは僕のスクールを訪問してたときに、偶然に僕のクラスを訪れたんです。
そしたら、何かを感じ取ったみたいで、議長へ推薦されちゃったんですよね。
そうそう、僕の両親は、公務員をやってます。とある惑星の管理職ですね。
僕が議長になったからといって褒めもせず、自分の信じたことをやってみなさいって
僕を抱きしめてくれたんです。
それが…僕にとって最高のプレゼントだったなぁ…。(うっとり)
両親の絆を感じて、もっともっと絆で宇宙が創れればいいなって思いました。
でも…お金って、絆より大事なんでしょうか?権力ってそんなにいいものですかね?
僕は、みんなが喜んでくれるために、みんなの笑顔を見るために、頑張ってるだけですよ?」
アレス達の思うことは、同じだった。
—この少年は死なせてはならない。未来の救世主だ—
「嬉しいねぇ!大賢者さんがそういってくれると、俺達も力を貸したくなるよ!
よぉし、新兵さんの祝いと大賢者さんの頑張りに応えて、
今日の代金、半額にしとくよ!
また来ておくれ!新兵さんもね!またお得意さんから旨い肉、仕入れておくからさ!」
これが、本当の絆なのだ。
新兵は、思い知らされた。そして、彼の偉大さを知った。
「マルス…これからは俺達にも、気を遣わなくていい。
気軽にアレスと、呼んでほしい。」
「ふふっ、やっと見えてきましたよ、絆の糸が!
アレス、これからもよろしくおねがいしますね!」
こうして、アレス達は互いの絆を裸にし、新しい強い絆を結びつけた。
ガーディアンオブロウ議事堂「賢者たちの遊歩道」にて。
散歩しながら、マルスが話していく。
「えっと、まず僕らの仕事であるG.U.に置ける、政治活動の構造から教えますね。
まずはメインであるG.U.議会なんですが、議会を行う議院は4つあります。
「元老院」「貴族院」「衆議院」「参議院」の4議院から成り立ちます。
革新派は「衆議院」「参議院」、穏健派は「元老院」「貴族院」となります。
これはご存知の通りですが、現在革新派・穏健派の改革案件は、お互い通ることがありません。
完全対立に近い状態で、派閥の相互否定により改革案件の認証が成されないのが原因ですね。
そして一番の問題が、現在革新派が選挙により勝利し、実権を持ってはいますが、
穏健派管轄の2院の議席数が、我々革新派の議席を越える形となっています。
いわゆる「ねじれ議会」という奴ですね。
与党派である我々よりも、野党派である穏健派のほうが人数が多くなっています。
これにより、穏健派に有利な案件が通りやすくなってしまうため、
僕たちの理想である自由な社会からはかなり遠のいています。
主な原因の一つとして考えられるのは、
「貴族院」の議員定数増加法案の無理矢理な可決です。
ここ数年で、「貴族院」の議席数が急激に伸びているんですね。
穏健派が何かしでかす前触れなんじゃないかと、周りからは警鐘を鳴らす人もいるほどです。
僕も…心配ですね。」
一人を除く全員が、うなずきながら聞いている。
後ろで取り残されている人物…。
頭から煙を上げ、プスプスと変な音を立てているのは
カールであった。
「カール!しっかり!しっかりして!」
カールは、どうやら政治関連の話には疎いようだ。
アシュレイとダグラスが、カールを引き戻そうとする。
「あちゃー。でも大丈夫!このドリンクを飲みましょう!
「暗記ドリンク」〜!さあ、ぐいっと!」
と、マルスがカールに暗記ドリンクを飲ませる。
赤い色の禍々しい液体を、故障したカールが飲み干す。
次の瞬間、異音を立てて、カールの頭が爆発した。
爆発と言うか、耳・鼻・口から勢いよく煙が発生し、
数秒してからカールがようやく現実に戻ってきた。
「はっ!オレハイッタイナニヲシテイタノダ!」
「マルス、その暗記ドリンク、何が入ってるんだ?」
アレスが尋ねる。
「見るからに危ない液体だよな…。」
エウリスハロが、禍々しい液体を見つめてつぶやく。
「えっとですね、青唐辛子に鷹の爪に青汁にオクラに…。」
聞いてて喉が痛くなってきた。
「ごめん、聞いた俺が悪かった。」
謝るアレス。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.27 )
- 日時: 2015/04/01 18:58
- 名前: Laevatain (ID: Jg8CXhDq)
第十三話 胎動—狂いだす運命の歯車— 後部
同刻、ウィザール家屋敷にて。
「あのゴミクズめえええええええ!調子に乗りやがって!ふざけるな!
誰に向かって口を利いているんだああああああああ!」
ジヴォル=ウィザールが、安物の花瓶や家具を手当たり次第にぶち壊す。
「ハァハァハァ…おい、役立たず!これを全て片付けておけ!」
ジヴォルが、メイドに八つ当たりな指示を出す。
「クソッ!なんでアイツが戻ってきているんだ!死んでしまえばいいのに!疫病神め!
なんでパパとママはアイツに肩入れしたんだ!どうしてアイツがウィザールを名乗っているんだ!
なんでなんだよ…!親戚の叔母様たちは僕らを褒めてくれたぞ!認めてくれたぞ!
なんで僕らが頑張っても、パパとママはあんなに寂しい目をしていたんだ…!
アイツにだけ、凄く優しい目をしていた!クソッ!くそっ!くそっ!」
ジヴォルは、アレスに対しかなりの嫉妬と憎悪を抱いていた。
「お兄様、落ち着いて。あんなゴミクズ、そろそろ死ぬじゃない。
お兄様に代わって、あの金の亡者達が始末してくれるわよ。
安心なさって。」
ミスィーが、ジヴォルをなだめる。
その上空で・宙域で静かに蠢く影。
影から放たれた、3機の小さな影が、ガーディアンオブロウに差し掛かる。
約30分後、アップタウン・ロイヤルフィールドに、巨影が3機現れた。
その瞬間、マルスが新兵とザックに話す。
「すみません、僕もバハムートに乗らなくてはならないようです。
ちょっと雲行きが怪しくなりましたね。
せっかく、僕が出る議会をお見せしたかったのに…。」
マルスがすこし残念そうに話す。
「マルス、まさか例の奴か?」
ザックが問う。
「ええ、恐らくは。警戒したほうがいいですね。
僕の特殊通信機に反応がありました。
あまり隠し事はしたくないのですが…。
皆さんには追って教えます。どうか理解していただきたいです。
そして…女性の皆さん、申し訳ないですが
僕より早めにバハムートゼロに戻っていただけませんか?
そして、クルーの皆さんに帰投指示と発進準備を御願いしますと
伝えてください。
結構緊急です。御願いします。」
「わかった。ダグラス、アシュレイ、女性をエスコートしてやってくれ。」
「了解です、艦長。」
「アレスとカールは、俺と共にマルスの護衛だ。頼む。」
アレスとカールは、うなずいて了承した。
20分後、ロイヤルフィールドは焦土と化していた。
そしてその同刻に—
押し寄せるG.U.軍兵士達。
取り囲むは—
アレス達。
兵士は全員、一斉にアサルトライフル「M81ヴァルゴXEED」を構えている。
「失礼します。マルス=フォーチュナー革新派議長。
貴方に、アライアンズ結託疑惑及び、クーデターの首謀疑惑がかかっています。
真偽の確認のため、ご同行願います。」
—運命の歯車が、音を立てて狂いだす—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.28 )
- 日時: 2014/02/09 17:00
- 名前: Laevatain (ID: KCnf7FEj)
第十四話 逃亡—闇の毒牙研ぎ澄ます蜘蛛達— 前部
—マルス=フォーチュナー、クーデターの首謀疑惑—
この疑いにより、アレス達が兵士に包囲される20分前…
惑星ガーディアンオブロウ高級住宅街「アップタウン・ロイヤルフィールド」。
ここに、3機の巨影が着陸した。
アライアンズ勢力・アドバンスドインダストリー社製MA「ヴォン・ヴィ・ヴァン」。
惑星の資源獲得戦争において、侵略・防衛戦に優れた四足歩行戦車型MAである。
主砲「ヴァルヴァリ」は、小型〜中型の惑星に至っては、壊滅すら可能とする規格外の
武装を搭載した恐るべき兵器である。
3機のヴォン・ヴィ・ヴァンの胴部からハッチが開き、搭載していたMSが次々に出撃する。
その中には、量産が確定したMS「ゲルググ・ベリアルナイツ」を始め、
Civ社主力の「バル」、さらには煌重工業の主力MS「アインツ」、
アドバンスドインダストリーの主力である「ザナスタム」の姿があった。
MSが出撃した後、ヴォン・ヴィ・ヴァンは動き出す。
ヴォン・ヴィ・ヴァンに搭載された、高密度地中収束型(グランドゲイザー型)レーザーキャノン
「ラピアス・ラピリス」から細いビームが地上に照射された。
次の瞬間照射されたエリア全体に、すさまじい爆風が発生し貴族の屋敷を次々となぎ払う。
「な、なんだ!?あれは…アライアンズの兵器じゃないか!
なんでここに来ているんだ!なんでココを破壊しているんだ!?」
屋敷の中から、ジヴォル=ウィザールが叫ぶ。
「お兄様!とりあえず外に逃げましょう!お前達、私達が安全に逃げられるように
今すぐエアビークルを用意しなさい!早く!」
ミスィー=ウィザールが、メイドと執事に指示を出す。
だがその時、一機のバルがウィザール家の屋敷に向かいハンドグレネードを投擲する。
ウィザール家の屋敷は、半壊状態まで破壊された。
ジヴォルとミスィーは瓦礫に下敷きになり、動けない。
メイドや執事の姿は、見えない。
「くそっ!役立たず達め…!あとで全員クビにしてやる…!
なんで、なんで僕達がこんな目に…!」
ジヴォルは、血まみれである。
「お…おにい…さま…た…す……け…」
ミスィーは、動かなくなった。
さらに、二人の真上からバルの足が振り下ろされた。
…20分後、ロイヤルフィールドは、焦土と化した。
爆炎の中を無数のMS部隊が侵攻する。
「…了解。すぐに向かいます。MS部隊!全員帰投せよ!
ここの作業は終了だ!次は革新派と太いパイプのある企業「メルカトール」の
管轄惑星「イファニド」に侵攻する!」
指揮官の指令と共に、MS部隊はヴォン・ヴィ・ヴァンに戻る。
ヴォン・ヴィ・ヴァンは、ロイヤルフィールドを離れ、母艦へ帰投した。
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.29 )
- 日時: 2013/04/18 23:55
- 名前: Laevatain (ID: VHURwkNj)
第十四話 逃亡—闇の毒牙研ぎ澄ます蜘蛛達— 後部
そして20分後、アレスの状況。
アレス達は兵士に包囲され、アサルトライフルを突きつけられていた。
「…信じたくはないのですが、マルス議長、貴方の机から
アライアンズへの作戦指示書を発見いたしました。貴方の指紋も付いています。
また、貴方の所持するタブレットコンピュータから、今日侵攻したアライアンズの兵器、
敵兵器識別番号XD58769-EOへ、作戦指示暗号となるような記述のメールが送られていました。
…このように、証拠が出てしまっては我々もお助けしたくても出来ません。
身の潔白を証明して頂きたく、我々に同行願えませんでしょうか?」
この兵士の表情には、まだ迷いが生じていた。
恐らく真実を知らないのだろう。未だにそんなことはありえないと言った表情であった。
(マルス、これは…穏健派か?)
アレスがつぶやく。
(ええ、あとで詳細を説明します。ただ、穏健派に惑わされた兵士が大半です。
すこし手荒ですが、実力で通させて頂きましょう…。)
マルスが、合図としてうなずく。
それを皮切りとし、アレス達は兵士にIC(インファイティング・コンバット)を仕掛け、
アサルトライフルを奪い取る。
「すみません兵士さん。事情は後に説明させて頂きます。
ただ今は…進ませて頂きます!」
アレス・ザック・カールがアサルトライフルを構えながら先導し、
マルスを引き連れて、第8エアポートへ逃走する。
包囲した兵士達は真実を知らないためか、追いかけようとしない。
まだ、マルスを信じているためだ。
しかし、議事堂の出口ホールに差し掛かったときに問題が発生した。
すでに、穏健派により差し向けられた穏健派傘下の兵士が陣取っていたのだ。
「待ってください!彼らはすでに事情を知っている。
僕達を射殺する目的で来るでしょう…。
しかし、すでに後ろや横の通路からも穏健派傘下の兵士達が次々と来るはずです。
左手の防火扉の奥に、非常通路があります。そこから各エアポートへいけるはずです。
時間がありません!急ぎましょう!」
アレス達は、気づかれないようにホール左手の防火扉を目指そうとする。
だがそこに、兵士達が赤外線センサーを張っていた。
赤外線センサーが反応し、警報が鳴る。
「居たぞ!あそこだ!射殺許可が出ている!構うな、殺せ!」
穏健派兵士が、一斉に射撃を行う。
アレス達は、近くの物陰に隠れた。
「くっ!これじゃあ通路に行けない!」
焦るアレス。
「ここで俺の出番だ、アレス!出口ホールの陣取っているエリアがあるだろう!?
そこにある消火栓水配管にライフルを当てて、あいつらを水浸しにしてくれ!」
「!?わかった!」
エウリスハロの言われるまま、アレスがアサルトライフルによる射撃を行う。
見事消火栓水配管に当たり、水が吹き出る。
「うわっ!なんだ!何処を狙っている!」
穏健派兵士が驚くが、構わず射撃を続ける。
「へっへっへ!ここだぜ!」
エウリスハロが水浸しのエリアに、カロラスに取り付けてもらった
スタンガンユニットを設置し、電流を流し込んだ。
帯電対策を施してあるハロを除く、水浸しになった全ての兵士に
気絶するほどの高圧電流が流れる。
「うぎゃあああああああああああああああああ!」
ホールに陣取っていた兵士は、全員気絶した。
「…カロラス、なんて物騒なものを付けてるんだ…。」
アレスが呆れていた。
「まあ、いいじゃねえか!ホラ行くぜ!」
アレス達は防火扉を抜け、非常通路からエアポートに向かう。
非常通路を抜け、エアポート前のストリートホールに差し掛かる。
そこに待ち受けていたのは…
穏健派の兵士と、8人の穏健派議員だった。
「クククク、年貢の納め時じゃのうマルス…。
小賢しいお互いの揚げ足取りも、もう辞めにしようか。」
最高齢と思われる老人が、口を開く。
「あの爺さん達、なんなんだよ一体!?」
カールは、彼らを知らない。もちろんアレスも。
「彼らは穏健派所属議院における最高責任者クラスの人間だ。
【毒蟲女帝の8君主】と呼ばれている、狡猾な議員たちだ。
ゾディアック=マイルフィック、ガウェート=アウァリーティア、アザック=ルクスリア、ロバート=アケーディア、
ヴィルヘルム=スペルヴィア、ホセ=グーラ、アントニオ=イーラ、ジャック=インウィディアの8人だ。
穏健派議院のエンブレムが蜘蛛を表しているのは、この異名と
情報社会の統治者を謳う奴等のメッセージを誇示するためらしい。」
ザックが説明する。
「お前達革新派と遊んでやるのも、ここまでだ。
人類の欲望が進化を促すなら、なぜ抗う必要がある?
多少の犠牲は必要であろう?我々が口にする生き物の血肉は犠牲ではないのか?
食べ物には情を持たないくせに、人命には情を持つのか?
おかしな話であろう。結局、人間なぞいつかは死ぬのだから、
我々のため、ひいては人類の明日のために死ねれば、これほど名誉なことはあるまい?
そのためには、敵であるアライアンズとの共同歩調と言うのも大事なことであろう。
ある程度を黙認すれば、戦争は終わる。
犠牲を最小限にしつつ、彼らの進化と共に我々人類が総合的に豊かになる。
実に効率的ではないかね?」
筋肉質な議院、ガウェート=アウァリーティアが話す。
効率、生産、削除、廃棄。
穏健派の意見は、合理主義の典型例である。
企業の生産ラインのような命のサイクル。
これを正当化するというのだ。
もちろん、弱肉強食である効率化社会。
弱者は淘汰され、強者は生き延びるのだ。
—弱者を食いつぶし、腹を膨らませ満たして、肥え続ける強者—
歪で、幸せの本質が見えない格差社会。
これに、人類の幸福などあるのだろうか。
いや、彼らにそんなことは考えていないのだろう。
自分がよければそれでよい。
それが、彼らの根本原理であり、真実なのだから。
「貴方達の欲望の正当化も、もう聞き飽きましたね。
貴方達のように、正当化はしたくないです。
僕達人間は、罪深い生き物です。何かを犠牲にしなければ、生きていけません。
だけれど、他の生物も、同じ環境の下生きているはずです。
他の命を犠牲にしたならば、その命の分まで生きなければならないんです!
それを意識し、より良い方向へ未来を導かなければならないんです!
貴方達は、犠牲を当然のように考える!犠牲を当たり前のように発言する!
それ自体が!もう歪んでいる思考なんです!
貴方達のような権力を自分のために振るう人間の犠牲になった人たちの魂は、一体何処に行くんですか!
貴方達は…命をもすら効率化する!そこに絆なんて、生まれない!」
マルスが反論する。
人や動物など、命あるものは効率などで測れるものではない。
命を犠牲にしたのなら、その命分だけ生きる覚悟をもたねばならない。
覚悟や責任を持ち、人としての毅然とした自覚ある行動。
責任を擦り付け合うのではなく、お互いに分かち合い背負いあい、
助け合う人間や動物本来の姿。
マルスは、それを貫きたいのだ。
穏健派にとっては、マルスの綺麗事は目障りでしかない。
最早、話し合う道理もないと判断したのか、苛立ちの表情を見せる
元老院第1議長ゾディアック=マイルフィック。
「もういい!おしゃべりは終わりだ!全軍構え!殺せぇ!」
彼の射殺号令で、一気に射撃体勢を取る穏健派軍。
緊張が高まる。
その時、ザックのバハムートゼロとの通信機が音を鳴らす。
「おし、バハムートと通信がとれた!こっちに向かってくれるぞ!」
ザックが準備完了を知らせる。
「皆さん、目を閉じてください!行きますよ!」
掛け声と共に、マルスがフラッシュバン(閃光手榴弾)を投げつける。
フラッシュバンが炸裂し、穏健派兵士は行動不能になる。
次の瞬間、ガンダムガンナーとセイントガンダムがホールに舞い降りる。
「お待たせしました、艦長!」
「アレス、大丈夫!?さあ、マルス君と一緒に手に乗って!」
「撃てぇ!逃がすなぁ!」
兵士達が行動不能から復活し、ガンダムに向かい射撃する。
もちろん、対人兵器がMSに有効なはずが無い。
全くダメージの無いまま、2機のガンダムはバハムートゼロへ帰投する。
「バハムートゼロ、発進!ガーディアンオブロウを離脱せよ!」
バハムートゼロは、そのまま宙域へ離脱する。
「取り逃がしたか…。」
「大丈夫ですぞご家老。私が行きましょう。」
「そうか、ではガウェート、任せたぞ。」
「ガウェート、やりすぎるなよ?ワシの強化人間部隊の獲物が無くなっちまう!」
「アザック、お前の出番は無いぞ。私の部隊で十分だ。
では、穏健派第05攻撃部隊【マンモン】、出撃するぞ!」
この会話の後、8人の議員に砂嵐が現れて消えた。
立体映像だったのだ。
穏健派の陰謀と言う名の毒牙が、いよいよオーディンを狙う—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.30 )
- 日時: 2013/03/13 07:58
- 名前: Laevatain (ID: lQjP23yG)
第十五話 追撃—結託する権力と財力、人間の欲望— 前部
ガンダムガンナーとセイントガンダムにより帰投したザック率いるアレス達。
早速デッキドックに向かう。
「皆、無事か!?」
ザックが心配する。当然である。
部下の安否は、上の立場に立つ人間なら配慮すべきことなのだから。
「問題ありません、艦長!」
「全員いますよ!安心してください!」
クルーが、問題が無いことを伝える。
「そうか…まずは、ありがとう。マルスも無事だ。
とりあえず…奴らの陰謀がいよいよ牙を剥いたな。想定していた範囲内だ。
とにかくこの場所はまずい。宙域へ離脱してから事情の説明をしよう。
バハムートゼロ、発進!ガーディアンオブロウを離脱せよ!」
ザックの号令が下る。
「了解!」
クルーの一斉合図と共に、バハムートゼロが対空砲火を潜り抜け宙域へ離脱していく。
—ガーディアンオブロウ宙域から離れた宙域エリアにて。
巨大な戦闘母艦「マンモン」が、宇宙の海を航行する。
「さて、これで大義名分ができたな…先行部隊に連絡を入れろ!
あの忌々しい竜を叩き落せとな!ああ、そうだ!当然だ!
「ダンタリアン」に向かうように伝えろ!私も、すぐに向かう!
ククク、さあてG.U.の反逆者共…地獄に落ちるがいい!」
デッキドックにて、自分が率いる部隊に指示を出しているのは、
穏健派所属 貴族院第4管轄院長にして、穏健派第05攻撃部隊【マンモン】の責任者である
ガウェート=アウァリーティアであった。
「議長!私には、未だマルス議長が我々を裏切るとは思えませ」
船内に入っていた、マルスの裏切りに動揺している兵士が、ガウェートに詰め寄る。
ガウェートは自分の腰に携えていたハンドガンを抜き取り、兵士を撃ち抜いた。
兵士は心臓を貫かれ、動かなくなった。
「ふん、下らん情にほだされおって!誰か、このゴミを片付けておけ!」
—アライアンズ管理領惑星「デピドナ」内、高級ジャパニアン料亭にて。
そこには仮面の男グラニットと、穏健派所属 元老院第4管轄院長のアザック=ルクスリアの姿があった。
「それでは先生。まずは一杯。」
グラニットが、アザックに酌をする。
「おお、すまんね。…んぅ、旨い。ここの日本酒は味がいいな。」
アザックが、高級日本酒に舌鼓を打つ。
「お気に召していただいて光栄です。こちらとしても、和平の話に進みやすいので。」
「うむ。して、貴殿らアライアンズの意思としては?」
「こちらへ。」
そういうと、グラニットの横に居たアライアンズの役員が、アタッシュケースを持ってきた。
アタッシュケースの中身を開ける。そこには、おびただしい量のユニバース貨幣(1ユニバース当たり、日本円にて約1.5兆円)が
アタッシュケース一杯に入っていた。
「ふむふむ。なかなか。では、こちらも和平の印を見せなくてはな。
ワシの管轄しているイモータル研究所から、「アウェイキニング・アンリミテッド」をくれてやろう。
「イズン」と「アンブローシア」は好きに使うがいい。だが、所属はワシらとさせてもらうぞ。手柄が欲しいのでな。
ワシらのプロジェクトは、すでに第二段階に進行している。純粋なアウェイカーなど、もう眼中には無いんだよ。」
アザックは、酒を口にしては淡々と話す。
「了解いたしました。すぐに我々のスタッフを派遣させていただきます。
そういえば…あの竜王に乗っている純白のガンダム、アウェイカーの少女が乗っているようなのですが…。
心当たりはございませんか?」
グラニットが尋ねる。
「ん?ああ…なんだったっけかな。ああ、思い出したわ。
ワシが若い頃に、MS研究所訪問にて見初めた女の子供はずだ。名は忘れてしまったよ。
いやぁ…あの女は実に抱き心地が良かった…だが、飽きてしまってな。
切り捨てる形であの研究所へ放り込んだんだ。
ワシの血でアウェイカーになったのであれば、あの女も、子供も浮かばれるだろう。
しかし、他にも床上手な女はいくらでもいるのでな。
ワシの優秀な遺伝子を受け継いだ子を孕んだとなれば、どの女も幸せだろう。ハッハッハ。」
どうやらこのアザック、かなりの好色家らしい。
いい女性を見初めては契りを無理矢理交わさせていた経緯があるようだ。
「そうでしたか…。」
対するグラニットは、冷ややかであった。
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