二次創作小説(映像)※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター)
- 日時: 2015/07/25 13:01
- 名前: Laevatain (ID: rZuUN0S4)
- 参照: http://laevatain1408.blog.fc2.com/
今までのガンダムシリーズ(主に一年戦争以降からの時代観)を踏襲して
作成したガンダムの二次創作になります。
作成者は妄想大好きなおじさんです。
こんなつたない小説ですが、お付き合いいただければと思います。
STORY
かつて、人類は母なる大地「地球」を方舟に生活していた。
だが、その過剰な人口はやがて「地球」を取り合い、争いを引き起こした。
そして宇宙に生活圏を拡大させてもなお、「地球」をめぐる争いは終わらなかった。
やがて「地球」は人類の手によって汚染され、醜くなっていった。
人類は相談し、「地球」を巣立ち、新たな新天地「火星」に生活圏を移す。
それから約2世紀。
銀河系第35宙域管轄コロニー「サイドアルファ」。
ここにコスモポリスとして従事する青年「アレス・ウィザール」
彼と1体のMSの出会いから、全ての歯車は動き出す。
絶望の運命を希望の未来へ変える歯車が・・・。
—人は、誰かを守るために、「騎士」となる—
用語
セカンド・ノア(第二の箱舟)
第二の地球。火星をテラフォーミングし、地球と同じ環境にした惑星である。
ロスト・ガイア(失われた楽園)
過去の地球。過去の大戦やMSによる戦争により、自然環境コントロールが乱れ、化石燃料は
潰え、汚染されて人類が住めなくなった地球。火星移住から2世紀後、大気は完全に無くなり、
かつての青く美しい星は黒ずんだ地表が見える無残な姿となった。
GU(ギャラクシーユニオンズ:銀河連合同盟)
銀河惑星間での統治が進み、各惑星の政府による政治・法律上におけるルールを確約させる
政治機関。とどのつまり現代の国際連合。
現在は革新派(自由な未来と悪質企業の根絶を訴える派閥)と穏健派(現在の企業紛争を
黙認する派。闇献金を受け取る悪質な議員が多い。)の争いが激化している。
企業
地球時代における国がつぶれてから、企業が力を持つようになり、もはや企業が惑星政府と
同じ権力を持つようになった。それにより、圧政や重労働なども問題になり、
GUが企業の暴走を抑えようと奔走している。しかし、反発する企業も少なくは無い。
現在は各企業間における未統治惑星の資源獲得戦争や紛争が後を絶えない。
そのため、軍備拡大を急ぐ企業が増えつつあり、各企業がGU軍へ宣戦するのではと危惧されている。
そしてそれは、30年前の第一次企業戦争により現実のものとなった。
コスモポリス
GU管理下の宇宙警察機構。
オーディン
GU軍第01強襲攻撃部隊。
革新派の傘下軍であり、自由を目指し戦う軍。市民からはヒーロー扱いされている。
母艦はたった1隻だが、その実力は計り知れない。
母艦は強襲戦闘艦「バハムートゼロ」
プロジェクト ライト&ダークネス(光と闇の機兵計画)
「第二次企業戦争」において、アライアンズに対抗すべく計画されたGU軍極秘新型MS開発プロジェクト。
ライトサイドとダークネスサイドのコンセプトから成り立つ。
ライトサイド セイントガンダム
ダークネスサイド ナイトメアガンダム
この二機のMSを基盤に、アライアンズ撃破のきっかけを生み出そうとしていた。
このプロジェクトの進行部隊はオーディンである。
企業戦争
企業がGUに反発し、起きた戦争。
第1次企業戦争では、全企業が一斉に武装蜂起し、GU軍との全面戦争となった。
GU軍が市民の安全と自由を主張し、企業側が利益の優先、そのための人命の犠牲は必要経費だという反論。
もちろん企業の横暴を市民が許すはずが無い。各企業の従業員は一斉にボイコットしたため企業側の戦力補給がストップ。
企業は窮地に立たされる。
そして企業は、禁断の大量破壊毒物兵器による非人道的な虐殺を敢行。サイドクスィーとサイドツェーラを毒殺し、壊滅させた。
この悪行により世論は大激怒。GU軍はこの後押しもあり、ついに企業側を屈服させる。企業側も降伏を宣言。
これにより、18年間に続く第1次企業戦争は終幕した。
それから10年後、ちりばめられた解体企業を収束させて、新たに3つの大企業が設立される。
その企業達が軍事同盟と産業通商同盟を締結。組織名をアライアンズとする。
アライアンズは、約2年前にGU軍に向かい「復讐のときは来たれり!」と宣戦を布告。
こうして、第2次企業戦争の火蓋が切って落とされたのだった。
モビルスーツ
宇宙開発時代と呼ばれる「宇宙世紀」時代において勃発した、
「一年戦争」と呼ばれる戦争により生まれた人型戦闘兵器。
宇宙の微細粒子により、レーダーなどの無視界戦闘が不可能となった本戦争にて、
有視界戦闘の基盤を確立させた兵器でもある。
特に後述する「ガンダム」と、当時戦争を繰り広げた「ジオン公国」は、
歴史の教科書にその名を刻まれる程、
人類とモビルスーツの歴史を学ぶ上では欠かせない存在。
その後、様々な企業においてモビルスーツは建設用・土木作業用・宇宙開発用などが開発され、
あらゆる分野で人類の開発を支えてきた産業機械となり、今日の宇宙経済の基盤を固めている機械となった。
個人で所有するものも珍しくなく、モビルスーツは「兵器」としてではなく「ありふれたもの」として、
人々に浸透している。
ガンダム
「一年戦争」と呼ばれる、モビルスーツ最古の戦争において、
地球連邦軍が開発した高性能モビルスーツ。
さまざまな派生機種が存在する、由緒ある機体。
現在ではガンダムの特徴的なVアンテナとフェイス、G-ロンダクトプログラム
テクノロジー社が販売するGUNDAM OSを搭載した登録商標商品として流通しているモビルスーツを指す。
ガンダムは主に、フロンティアワークショップ社が
生産、販売を行っている主力商品として認知されている。
独占商品ではなく、さまざまな機種が他企業からも
進出しているが、ガンダム単体の性能では
フロンティア社の右に出るものはいない。
そのため、他企業はガンダムを上回る製品の開発に
奔走するケースが後を絶たない。
ちなみに、ガンダムは大衆の間では最も馴染み深く、
モビルスーツの象徴とも呼べる機体である。
ジェネレータ技術
ムーンレィス(∀ガンダム時代)戦乱後に始まった、宇宙開拓時代の中で新たに見つけた鉱物。
そこには、未知のエネルギーが詰まっているものだった。
その鉱物の名は「エーテライウム」。
このエーテライウムから抽出したエネルギーを「エーテネルゲンエネルギー」と呼ぶ。
エーテネルゲンエネルギーは、簡単な電気変換回路により電力へと変換される。
しかしその発電規模が、既存の化石燃料のおよそ3000倍〜5000倍に相当するものであった。
これにより化石燃料・原子力により起動されていた各機械のジェネレータは淘汰され、
エーテネルゲンエネルギー式のジェネレータ「エリクシル式ジェネレータ」へと移行される。
また、エーテネルゲンは人体への影響がほぼ無く、安全に使えるものとしての評価もあり、
瞬く間に時代はエーテネルゲンエネルギー循環型社会へと変貌する。
エーテライウムにはもうひとつ特徴があった。それは「精錬」に伴う「エネルギー付与」。
エーテライウムは加工のしやすさも売りであり、鉄などの金属の添加物にエーテライウムを数%含ませて精錬させると、
精錬された金属にエーテネルゲンエネルギーを帯びた状態で精錬することが出来るのだ。
これもあり、たやすくなおかつ大量にエネルギーの元を生産できるとして、化石燃料の枯渇に伴う人類の衰退の心配は完璧に無くなり
人類は安心して宇宙開発を行うことが出来るという現在の社会形態が確立したのである。
※この作品におけるビームサーベルは、ビームの噴出によって刃が形成されるものではない。
ビーム出力の上昇によって、ビーム噴出を維持することが
テクノロジー上不可能になったからである。
この作品でのビームサーベルは、折りたたみ式アンテナのように、
伸縮可能な棒状の兵装の表面からビームが噴出し
形成されるものである。
ビームサーベルにも耐久性があり、出力の低いビームサーベルは、
鍔迫り合いの際に負けて破損する可能性もある。
なお、このガンダムはジャンプ漫画の根源である
「努力・友情・勝利」をモチーフにしております。
何卒ご容赦ください。
ツイッターやってます。ご意見ご感想はこちらまで。
要望なども受け付けております。
上のURLからどうぞ。
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.21 )
- 日時: 2014/02/09 16:54
- 名前: Laevatain (ID: KCnf7FEj)
第十一話 コインの表と裏—相反する欲望と人の願い— 前部
バハムートゼロが、主任を撃破して3日が経過。
バハムートゼロは、いよいよ本来の目的地であるG.U.総本部惑星「ガーディアンズオブロウ(秩序の守護者達)」へ
到着しようとしていた。
アレスたち新兵の正式な着任式と革新派議長との面談、次の行動指針を決定する会議など、
決めなければならないことやアレスたちの人脈を熟成させることを含め、
目的が多数あるからであった。
一方、アライアンズのアドバンスドインダストリーサイドでの
ゼネラルマネージャーである仮面の男・グラニットは、主任への警告をしたあとに
バハムートと交戦せず、帰投した。
現在は、アライアンズ管理領惑星「デピドナ」にて行われる、
ゲルググ・ベリアルナイツを皮切りに開始するMSシリーズ「オールド・リニュー・モデル」の
発足記念及び、ゲルググ・ベリアルナイツの生産記念祝賀懇親会に出席するため、
当惑星を訪れていた。
この懇親会にて、彼が祝辞を述べるスケジュールになっているのだ。
(ククク、死神に続いて聖女の降臨か…まるで神話のおとぎ話だな…。
しかし、私が描く悲劇のシナリオのスパイスには、素晴らしい脇役じゃないか!
王子様とお姫様がどのように悲劇を引き立ててくれるのか、楽しみで仕方が無いよ…ククク)
グラニットの感情と目的は、誰にも理解できない。
不敵な笑みを浮かべながら、彼は正装し、会場へ向かう。
高級ホテルの大ホールにて行われる懇親会。
煌びやかなシャンデリア。思わず見とれてしまう大理石の彫刻。
テーブルには黄金やプラチナ、宇宙貴金属や宝石がちりばめられた燭台に
食器が無数に並んでいた。
もちろん、一般の庶民では口に出来ないような高級かつ美味な料理が、
テーブルからはみ出さんばかりにあふれている。
テーブルを取り囲むのは、アライアンズ参加企業の重役達。
正装を施し、煌びやかな宝石やブランド物のアイテムを
無数に着けている。
「お待たせしております、【懇談会】の皆様方。
ただいまより、新規MS生産プロジェクト発足記念及び、新型MS生産記念祝賀懇親会を
開催いたします。皆様、温かい拍手を御願いいたします!」
形式染みた乾いた拍手が、会場を包む。
ここにいる重役全員が【懇談会】参加者のようだ。
「ではここで、アライアンズゼネラルマネージャーである、
グラニット氏より、祝辞と乾杯のご挨拶を頂きたく存じ上げます。
では、グラニット氏、前へ御願いいたします!」
グラニットが、マイクの前に立つ。
「皆様方、本日はお忙しい中お集まり頂きありがとうございます。
兼ねてから、シヴィライゼーションコーポレーション様、
煌重工業株式会社様には、我々アドバンスドインダストリーへの
事業協力、資本援助など、常日頃からお世話になっております。
この場をお借りしまして、厚く御礼申し上げます。
さて、皆様方の温かいご協力、ご援助のおかげにより、
我々アライアンズは、新しい第一歩を踏み出すことに成功いたしました。
旧時代「一年戦争」から「グリプス戦役」「ネオジオン戦役」「伝説の男の反乱」
「ラプラスの呪縛」「コスモ・バビロニア」「ザンスカール」「ムーンレィス」を経て2世紀余り、
ついに我々はMS発端の基礎となる先人たちの遺産を、この時代に呼び戻すことが出来たのです。
その皮切りが、この一年戦争での名機・ゲルググ。
これに我が社の独自テクノロジーをエッセンスとして加えるだけで、
現代MSを凌駕するほどの性能を持つMSへと生まれ変わるのです。
これも、皆様方の厚いご援助があってこその賜物であると、改めて感謝の気持ちを述べさせていただきます。」
饒舌家であるグラニットは、演説にも取れる祝辞を淡々と述べる。
「さあ、皆様もご存知の通り、いよいよ歴史が動き出します。
古くから人類を縛り続けてきた枷を解き放ち、より高みへ文明を・進化させ・煌かせるのです!
それを先導するのは、我々アライアンズそして企業!
企業が率先して、人類へ働くことへの喜び!
我々統治者へ貢献することへの喜び!
そして進化、発展することへの喜びを、善良な市民達に教えねばならないのです!
そのためには、邪魔な壁が存在します。
その壁を打ち砕き、輝かしい未来を手に入れようではありませんか!
では、長くなりましたが乾杯の挨拶を致します。お手元のグラスをお持ちください!
それでは…アライアンズと企業への輝かしい未来のために、乾杯!」
—乾杯!—
【懇談会】の重役達は、超高級赤ワインを飲み干し、勝利の美酒と栄華に酔いしれていた。
—そのワインは、弱者から搾り取った血(金や命)から作られたことを知ろうともせずに—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.22 )
- 日時: 2013/03/07 07:52
- 名前: Laevatain (ID: 9RGzBqtH)
第十一話 コインの表と裏—相反する欲望と人の願い— 後部
同刻内、バハムートゼロにて。
「…ふう。ありがとう、アレス。これでエリュシアとも話せるわ。」
ピンク色のハロが、アレスにお礼を言う。
「これでいいかな?【プラミス】?」
「ええ。…アレス、私の名前を覚えてくれたのね。嬉しいわ。
あの娘の【姉】として、貴方があの娘のそばにいてくれるから安心できるわね。」
アレスが赤面する。
セイントガンダムの制御AIである女性人格【プラミス】。
例に漏れず、彼女もメモリーカードからデータをハロへ転換できるみたいだ。
アレスとプラミスハロが、デッキドックへ入ってくる。
「アレス、ありがとう。彼女を連れてきてくれて。」
エリュシアが、アレスに駆け寄る。
「ああ、はい。【プラミス】だよ。」
アレスが、ピンク色のプラミスハロを渡す。
「フフフ。よろしくね、エリュシア。」
「ええ、よろしく姉さん。」
ふと、カロラスが質問する。
「エリュシアにお姉さんっているの?」
「いいえ、違うわ。彼女は、私が眠っていたときにずっと語りかけてくれてたAI人格。
私にとっては【姉さん】みたいな存在なのよ。」
エリュシアは、プラミスハロを抱えながら答える。
「さて、ごめん。エリュシア、さっきの【アウェイカー】に関して、説明してくれないかな?」
アレスが申し訳なさそうだが質問する。
「そんなに気を遣わなくていいの。大丈夫よ?
えっと【アウェイカー】を話す前に、【セブンスセンス】に関して話さなきゃいけないわね。
えー、オホン。
まず、【セブンスセンス】っていうのは…たとえば、第六感って知ってる?
えーっと、そうだなぁ…人の動きが予測できたりとかしたことってない?
それが第六感なの。でも、これは普通の人じゃあ自分の力でコントロールできていないのが現状なの。
みんな素質はあるんだけれど、変な感覚を身に付けすぎちゃうと自我や、精神が壊れちゃうみたい。
でも、ごく稀にさらにそれらを超えた感覚を身につけることが出来る場合があるの。
それが…んー、第六感を自分の意思でコントロールできたり、
それを自分の反応速度に合わせて行動することが出来ること…などかな。
それを第六感を超えた第七の感覚「セブンスセンス」と呼ぶのよ。
旧時代では「ニュータイプ」と呼ばれた感覚に近いけれど、
現代人類は大体すでに「ニュータイプ」なのよね。
ただ、みんなが超人みたいな感覚ではないの。
さっきも言ったとおり、自分が壊れちゃうから、無意識に自分の感覚をセーブするみたい。」
エリュシアの説明に、誰もが驚愕する。
「それで、このセブンスセンスをコントロールして、開眼できた人間をアウェイカーと呼ぶの。
セブンスセンスの発動コントロール時に発する脳波を応用して、私の思い通りに
動かすことが出来るのが、セイントガンダムの無人遠隔攻撃ユニット「スピリット」よ。」
続いてのアレスの質問。
「もしかして…あのネクタールの施設は?」
「そう、アウェイカーの研究施設。
アウェイカーの存在証明と保護、平和活用は主に革新派が行っていたわ。
あそこはアウェイカーやそれに準ずる子を訓練するための施設。
彼らは、進んでみんなの力になりたいって入っていったの。
研究員の人たちも優しかったし。
イモータル研究所っていうのは、穏健派を欺くためのカモフラージュね。」
ザックが勘違いをした、申し訳ないという表情を見せる。
ここでカロラスが思い出す。
「ああああ!なるほど!僕がアカデミースクール通ってたときも、
数人の友達が軍の施設に行くって言ってたね!
もしかして、それもアウェイカー訓練の流れだったのかな?」
「ええ。軍管理のアカデミースクールからも希望制で
軍施設に入る子もいるほど、アウェイカーの研究は進んでいたみたい。
でも、現在アウェイカーは別の施設に移されているわ。
ネクタールが廃棄された理由は、アウェイカーの子をさらって
強化人間に改造しようとした穏健派の謀略によるものね。
いくつかの研究所を襲撃した記録もあるの…。
やっと、ある程度までは思い出せたわ…でも、私のお母さんまでは
思い出せない。」
エリュシアが俯く。
「思い出したいのに…。」
泣き出しそうなエリュシア。
「…無理に思い出さなくていい。つらい思い出なら、なおさら。
まずは、俺達と歩んでいこう、な?」
エリュシアの顔を、アレスが抱き寄せる。
アレスは、人間的反射で、彼女に共感したのだ。
が、これをはやしたてるはカール。
「ヒュー!アツいねぇアレス君!やっぱり脈アリかぁ!?」
ダグラスは、顔を赤らめている。
ジェーンはなんかやきもきしており、
アシュレイは、負けじと抱きつくキャスタにタジタジ。
「お前らなああああああああああああ!」
ほぼ突っ込み状態で叫ぶアレス。
「まあまあ、いいじゃないかアレス。色恋沙汰に
年齢は関係ない!青春を謳歌したまえ、若者よ!」
ザックが、アレスの肩をたたく。
「艦長まで…」
アレスはもはや呆れている。
が、まんざらでもないエリュシア。
頬を赤く染めながら、アレスの胸にちょっと甘えている。
…アレスは、まだ彼女の想いに気づいてないが。
こうして、バハムートクルーは目的地に到着しようとしていた。
が、ガーディアンオブロウの中ではかなりあわただしい動きをしていた。
「議員、人員の配備、完了いたしました。」
「そうか…手筈通りに行くぞ。今回の議会で、革新派を出し抜く最高のチャンスだ。
せいぜいアライアンズにもがんばってもらわなきゃなぁ?
…やっとあの忌々しいガキを舞台から引き摺り下ろせるんだ。
失敗したらワシらの首が飛ぶ。失敗は許されん。」
「…はっ。」
「全てを革新派に擦り付け、ワシらは金を貰い権力を維持しながら
奴らを叩き潰せる。
実に合理的じゃないか…あの仮面の男、やりおるわ。
が、奴らが何時手のひらを返すかわからん。
警戒に越したことは無いな。」
不穏な動きのガーディアンオブロウ。
裏切りという名の毒は、味方をも蝕もうとしていた—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.23 )
- 日時: 2013/03/08 19:36
- 名前: Laevatain (ID: 2xWGAyvP)
第十二話 余暇—アレスの過去、受け継がれる意思— 前部
—バハムートゼロ、ガーディアンオブロウに帰還せり—
複数の足音が、響く。
「バハムートが戻ってきましたか!さあ、忙しくなりますよ!
なにやらザックさんの話だと、新兵さんが頼もしくてかなり賑やかだそうですねっ!
僕も早く、皆さんに会いたいなぁ…どんな人たちだろう!
ワクワクしますね、新しい絆の芽生えは!僕、心がトキメキますっ!」
中心を歩くのは少年のようだ。
少年は、足取りを軽くして光り輝く回廊へ進んでいく。
バハムートゼロが、第8エアポートに着陸する。
G.U.軍革新派部隊が、誘導サインをしながらバハムートに合図を送る。
徐々に高度が下がってゆき、竜王はようやく、翼を休めるときが訪れた。
ザックを先頭に、バハムートクルーが次々に降りていく。
新兵であるアレスたちは、最後尾に降りてきた。
久しぶりに見る恒星からの光が反射するアスファルトの地表が、アレスにはまぶしく感じた。
エアポート内にて、ミーティングが行われている。
「さて、これから我々革新派のリーダーである議長との面談になるが、
それは…明日なんだ。」
ザックの肩の抜けた発言に、全員がずっこけそうになる。
「というわけで、今日は全員羽根を休めてもらい、明日からの
英気を養ってもらいたい。休養も、ちゃんとした任務だぞ?
あ、そうだそうだ。新兵達にはまだ給与口座の説明をしていなかったな。
G.U.軍に入隊したら、専用の口座が与えられる。
そこに月給として一ヶ月ごとに現金支給されるので、有効活用してくれ。
買い物もOKだ。気分転換をしてくるといいぞ。」
ザックから、新兵全員に給与暗号と認証用キーが配布される。
「あと、アレス。君は未成年のエリュシアを保護・養育している…ということで登録してしまった。
従って、未成年保育補助金が支給されている。エリュシアに分けてやってくれ。」
さらりと爆弾発言。
「ええええええええ!?なんでそんな重要なこともっと早く教えてくれないんですか艦長!?」
アレスがかなりマジメにビビっている。、
エリュシアは、顔を赤らめてアレスの背中にくっつく。
「…すまん、忘れてた!」
全員がとうとうずっこけた。
「まあまあ、私も人間だからな。あとエリュシア、君は我々の学徒兵という扱いで所属することになる。
アレス伍長の直属学徒兵だ。階級は…すまないが現段階では二等兵となってしまう。留意してくれ。」
「まーたそういう重要なことを…。」
アレス、もうお手上げ状態である。
「わかりました。よろしくね、アレス伍長?」
意地悪風に、エリュシアがアレスにウィンクしながら呼びかける。
最早、アレスは泣いていた。
「サフィアさん、このエリアで買い物とか楽しめるエリアって無いですか?」
エリュシアが、サフィアに問いかける。
「ええ、あるわよ。ここだと…コスモセントラルショッピングモールなんか近くていいわね。
ファッションショップやコスメティック、男性用ファッションショップなんかもあるわ。
この際だから、みんなで行ってみましょうか?」
サフィアの提案に、一人を除く全員が同意する。
「すみません、俺、ちょっと寄らなければならないところがありまして。」
アレスである。
「あら…残念だわ。せっかくおめかししたエリュシアを見せたかったのに…。
でも、仕方ないわね。気をつけてね。帰ったら、エリュシアやジェーンのファッションショーやるわよっ?」
サフィアがノリノリである。
エリュシアは面白そうと楽しみそうだが、ジェーンが恥ずかしがっていた。
「わ、わ、私…そんなおしゃれとか…もう…年齢がね…。」
まだ23歳の癖に、よく言えた言葉である。
「大丈夫だよジェーン!楽しもう?」
エリュシアが、ジェーンに呼びかける。
「ねえねえ!そこに電気屋さんあるかな!?」
カロラスが飛び回って聞く。
「ええ、家電量販店ならあったはずよ。」
「よーし、エウリスハロの改造パーツ探すぞー!僕も行く!」
「そうなったら、キャスタガレージの出番ね!アタシも行くわ!」
キャスタ・カロラスは大はしゃぎである。
「また改造してくれるのか!今度はどんな機能がくっつくんだ!?
悪いアレス!俺もカロラスと行動するわ!」
エウリスハロも、どうやらショッピング組に付くようだ。
「アレス、気をつけてね。今日宿泊予定のホテルで会いましょう。」
「ああ、プラミス。行ってくるよ。」
こうして、アレスはみんなとはぐれることになった。
まず、口座を確認する全員。
「なんじゃこりゃああああああああ!?」
新兵は驚く。
それもそのはず。口座には大体7桁の大金が振り込まれていたのだ。
この時代では、通貨はルナ・アース・ソル・ユニバースが流通している。
1ルナが最も少ない通貨単位である。
彼らの口座には100アース単位で入っていたのだ。(日本円にして約150万円)
アレスは、まず花屋に行く。
口座キーをエリュシアに渡し、自分はコスモポリス時代に貯金していた口座から
5アース(日本円にして約75000円)を引き出し、花を購入する。
彼の養父と養母が好きだった、カーネーションの花束。
締めて1000ルナ(日本円にして約1500円)である。
アレスが訪れたのは、高級住宅街「アップタウン・ロイヤルフィールド」からすこし離れた
高台の墓所であった。
彼は、養父・養母の墓を探し、墓を磨き、墓前に花を添えた。
「養父さん、養母さん、久しぶり。
俺…やっと軍人になれたよ。」
ここから、アレスはふと過去を思い出す—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.24 )
- 日時: 2013/03/08 11:08
- 名前: Laevatain (ID: C5nAn.ic)
第十二話 余暇—アレスの過去、受け継がれる意思— 中部
—俺の本当の名前は、ウィザールじゃない。
俺のファーストネームは、ブレイゼフ。
俺の本当の両親は、MS研究所にて働いていた。
ただ、俺と会える日はほとんど無く、俺は祖父のジェイドに育てられたんだ。
ジェイド爺ちゃんは元軍人だった。
爺ちゃんはよく言っていた。
「大事なものを守るために、軍人になったんだ。まるで騎士になったような気分だった。
お前も、大事なものを守りたいなら軍人になるといい。命の重みを…教えてくれるぞ。」
俺が5歳の頃…っていっても、俺覚えてないんだよな。
第一次企業戦争の終戦間際にMS研究所が襲撃されて、俺の両親は帰らぬ人となった。
さらに、俺の住むエリアにも企業の連中が押し寄せてきて、無差別に人を殺して回りだした。
俺が6歳の誕生日。血の誕生日。
いきなり男2人が俺達の家に入ってきて、手榴弾をぶち込んだんだ。
爆炎で見えなくなって…気がついたら
爺ちゃんが俺の上にかぶさってて、そのまま動かなくなってたんだ。
命の重みを教えてくれた爺ちゃんが死んだ。
理不尽な命の奪い合いが、心底憎くなったんだ。
俺は無我夢中で奴らから銃を奪い取り、奴らを殺した。
でも、気分は晴れなかった。むしろ苦しんだ。何度も吐いた。
死にたいとまで願ったよ、あの時は。
そしたら、養父さんと養母さんが、俺達戦争孤児を引き取ってくれたんだ。
戦争孤児の施設に入れてくれたが、孤児の中で俺は浮いていた。
苦しいままで引き取られたからなぁ。
苦しみながら、俺は7歳のときに、とある答を見つけたんだ。
「誰かを守りたい」
そして、10歳のときに養父さんと養母さんが訪れて、俺は嘆願したんだ。
「御願いだ、俺達を学校に行かせて欲しい。
俺達は、未来に絶望したくない。明日を生き抜く力が欲しい。
だから御願いだ。学校に行かせてくれ。仕事できるまで面倒を見て欲しい。」
やさしかったなぁ。戦争孤児用の学校まで作っちゃうんだもんな。
そしたらなんか気に入られたみたいで、俺が屋敷につれてこられちゃったんだ。
だけれど、俺だけみんなよりもよい生活を送る気は無いと思ってた。
人殺しのクソ野郎が、うまいご飯食べて温かい布団で寝ていいはずが無いって、思ったんだ。
「ありがたいんだけれど、みんなよりもいい思いをしていい人間じゃないんです。
俺はすでに2人、人を殺してます。俺は他の子よりもクズなんです。
だから、あそこの掃除用具小屋ありますよね?そこをすこし使わせてください。
そこで俺は、みんなと同じ学校に行きます。
あなたたちの手伝いもします。自分のことは自分でやります。
クズなりに、生きさせて下さい。御願いします。」
そうして、俺はいつか見つかるであろう希望「誰かを守りたい」を
見つけるために、養父さんと養母さんの好意に応える為に、
必死に足掻いたさ。
親戚から蔑まれたけれど、なんとか生き抜いて、
コスモポリスアカデミーを卒業できた。
それで、今やっと、守りたいものも見つかった。
そして…軍人になれた。
ありがとう、俺のもう一人の父さん、そしてもう一人の母さん。
俺、もう大丈夫だからさ—
- Re: 機動騎士ガンダムInceptor(インセプター) ( No.25 )
- 日時: 2015/04/01 18:57
- 名前: Laevatain (ID: Jg8CXhDq)
第十二話 余暇—アレスの過去、受け継がれる意思— 後部
過去を振り返った直後、後ろから罵声が聞こえる。
「よくもまあ、パパとママの墓の前に立てるなぁ…?ゴミクズが!」
「汚らわしい、今更何をしにきたのよ!」
アレスの養夫婦の実の子供、長男ジヴォルと長女ミスィー兄妹である。
「お前のせいで、パパとママが死んだんだぞ…わかっているのか?
親戚から冷たい目で見られ、苦しがっていたんだぞ!
お前は、ウィザール家を滅ぼす疫病神だ!
僕が本来の家業である穏健派議員直属の医師と
ミスィーが企業コンサルタント系エリートアカデミーに進学できて、
ようやくウィザール家の栄光を取り戻せるのと思ってたのに…!
お前の顔なんか、見たくないんだよぉ!
お前が、パパとママを騙して、ウィザール家を没落させたんだ!
周りが、あのドブネズミはどうにかならないのかって
苦情まできたんだ!
挙句の果てには、革新派のゴミ連中と愛だの正義だの偽善者ぶりやがって!
全て…お前がいけないんだ!」
全てのウィザール家におきる不幸を、アレスに勝手に擦り付けるジヴォル。
「あんたたちよりも、養父さんと養母さんのほうが徳があるって現実を知ったら、
お二人とも…悲しむだろうな。」
この瞬間、ジヴォルがアレスに殴りかかる。
「おまええええええええええええええええ!」
アレスは、ジヴォルの拳を、躱そうとしない。
頬に、ジヴォルの拳を受ける。
「ハァハァハァ…お前がぁ!パパとママを語るなぁ!」
彼らの脳裏に、両親の言葉が響く。
(ジヴォル、ミスィー。御願いだ。お前達は優秀だ。他の人間に比べたら、優秀だ。
でも…彼には敵わない。何故かをお前たちが導き出せるよう、私達は信じたい。
彼にあってお前達にないもの…これを見つけ出して欲しい。御願いだ。
偉い人間に流されるだけの人間にはならないでおくれ…。)
「あんたたちがどう言おうと、俺は自分を曲げる気はない!
あんたたちに振るう拳も無い!
俺が振るう拳の先には、守るべき人々の願いがある!
あんたたちに、俺たちの家族も!俺の恩人も!俺が守りたい人々の思いも!願いも!希望も!
踏みにじる権利は無い!」
アレスが、きっちりと言い返す。
「ククククク…まあいい!どの道お前らは死ぬんだ!
企業と歩調を合わせた穏健派によって、お前ら偽善者は死ぬんだからな!
この宇宙時代で重要なのは、財力と権力だということを
お前達は知ることになる!
その時まで、せいぜい足掻いていることだな!」
ジヴォルとミスィーが、その場を離れていく。
アレスの答え。それは間違っているかもしれない。
だが、彼の答えを間違っていると後ろ指を差す権利は、誰にも無いのだ。
アレスもホテルに戻り、夜が明けた。
「アレス…その頬の傷どうしたの?」
エリュシアがたずねる。
「ああ、ちょっと寄るところ寄る最中に、うっかり捨ててあったバナナの皮に脚をとられてだね…。」
これで…ごまかせるのだろうか?
「さあて、革新派議長との面談だ。みんな、静かにしていてくれよ?
御願いします、マルス議長!」
いよいよ、会議室の扉が開く。
どんな荘厳で聡明な老人か賢人だろうと、新兵全員は思っていた。
が、
—現れたのは、14〜15歳ぐらいの少年だった—
「みなさん!こんにちは!そして…初めまして!って素敵な表情と雰囲気だぁ!
感じますよ…ザックさん、今回の新兵さんはすごいですね!
僕、心がトキメキましたっ!絆って素晴らしいなぁ!
あ、ごめんなさい…浮かれちゃって。えっと、自己紹介しますね!
僕はマルス=フォーチュナー。何故僕が選ばれたのかわからないけれど
革新派の議長をやってます!よろしく御願いします!」
「ええええええええええ!?こ、この子が…革新派の議長!?」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28
この掲示板は過去ログ化されています。