ダーク・ファンタジー小説
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- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.107 )
- 日時: 2014/06/19 10:08
- 名前: 斎藤メロン (ID: /B3FYnni)
真由美が福井の後を追うと、福井は突き当たりの扉の前で立ち止まった。
その扉には何種類もの南京錠がつけられており、いかにも重量感を感じさせる。
扉の中心には小窓がついており、そこから何かの影が動いている様な気がした。
「予め言っておくが、何を見ても驚くんじゃないぞ。」
「もう、驚き飽きたくらいよ。」真由美が皮肉まじりにそういうと福井は扉を開ける。
扉の奥でまず目に入ったものは鎖に繋がれもがく女性が台の上に載せられてる姿だった。
しかも、驚く事にその女性の頭部はくり抜かれ、脳みそが露見していたのである。
真由美は少し動揺したが、これまでの修羅場から落ちつきをすぐに取り戻す事が出来た。
そして、あの二人が言っていた『人殺し』の意味もすぐに察する事が出来た。
真由美は恐る恐る女性に近づく。
女性は真由美をみると、鬼の様な形相になり、さらに激しく暴れた。
女性の目には光はやはりなく、口には猿轡がしてあった。
「あなた本当に解剖なんて…。信じられない。」
「もうこれは人間じゃない。」
真由美は女性をこれと言った事に少々苛立ち「元は人間だったんでしょ?あなたそれでも人間なの?」と強く返したが福井は至って冷静だった。
「私は紛れも無く人間だ。そして、変異したこれはもはや人間じゃない。怪物だ。」
「彼女苦しんでる。」
真由美が女性に触れようと近づくと福井は「触るな」と大きな声を張り上げた。
「これには苦しいなんて感情はないし、痛みも感じない。それにこれを見ろ。」
そういうと福井は台の横から赤い球状のものを取り出した。
「これは心臓だ。彼女の。彼女の胸には今心臓がない、それなのに生きている。人間の核がなくなっても、なお絶命しないこれを貴方は人間だと言えるか。」
真由美は絶句し、福井に言い返せなくなっていた。
「でも、なんで?」
「全くわからない。なぜ活動出来るのか。全く説明がつかないんだ。だだ、わかった事もいくつかある。」
福井は心臓を戻し、女性の脳みそをいじくり始めた。
「まず、脳組織のほとんどが機能していない。幸福感や悲壮感みたいな感情は持ち合わせていないし、認知レベルもかなり低い。ただ残されたのは本能的な欲求のみ。つまり、性欲や睡眠欲。そして食欲だ。」
福井は脳から手を話すと遠くの棚から電動ドリルを取り出す。
「だが、まぁ睡眠欲はないようだ。この数日間、これを観察していたが、睡眠を取る気配がない。ただ、活動機能を休止し、一時的な冬眠状態になる可能性はあるな。後はこれが何かの感染症やウィルスによるものだとするならの話だが。奴等は決まって生きた人間を捕食する事から察するに感染源は十中八九唾液や血液からの感染だな。そして食べる事によって食欲が満たされ、その過程で感染を拡大していくと推測される。」
福井は続けて「先ほど行った様に、心臓が無くても死に至ることはなく、さらには」
そう言うと女性の体に電動ドリルを押し当て、穴をいくつも開けていく。その度に周りには血が飛び散る。
「痛みを感じる事もないらしい。これじゃあまるで不死身だな。…だけど、脳を損傷した場合は…。」
今度は脳にドリルを押し当て、再び風穴を開ける。
すると先ほどまで暴れていた女性はピクリとも動かなくなった。
「このように絶命する。」
「わかってる。さっき実証済みよ。」
まるで理科の実験を行っているように淡々と行われていく虐殺の光景に真由美は目をそらさずにはいられなかった。
福井はいつの間にしていたのか手袋と目に当てていた透明の眼鏡を外し、その女性に銀色の布をかけた。
「それで?カニバリズムと何の関係があるのよ?」
「こんな未知の病気は見た事がない。一体何処からやってきたのか。それを考えるとある結論にたどり着いた。…時に遥か異国の島では未だに食人習慣がある部族がいる事を貴方は知っているか?」
「そんなの知らないわよ。」
「彼らは食人習慣により、ある病気に悩まされていたという。その病気は人間の脳を犯し、認知機能を低下させる恐ろしい病だった。布浸町にも食人習慣がある。そして彼らは必要ならば脳も摂取していたと聞く。おそらく長年の言い伝えを信じ、伝統的に食人習慣を繰り返してきた結果、長い潜伏期間を得て、今この様な形で感染症が発症したんだろう。」
「でも、かなり昔から人の肉を食べていたんなら過去にも同じ様な事が起こっていてもおかしくないじゃない。」
「おそらく、ずっと前から感染していたんだろう。もしかしたら何世代にも受け継がれ、次第に変異したのかもしれない。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.108 )
- 日時: 2014/07/04 03:05
- 名前: 斉藤メロン (ID: I.inwBVK)
そこで二人は沈黙したが、次に口を開いたのは福井だった。
福井はゆっくりと真由美に近づいた。
「まぁ、本当の原因は誰にもわからない。もしかしたら違う人知を超えた何かによるものなのかもしれないし、今言った話がおおよそ正解といえるものなのかもしれない。だが、今現在でこれ以上の追究は出来ない。私にもその知識はないからね。第一原因を突き詰めた所で私たちにこの状況を打破できるはずは無いんだから。出来てこの状況を知識をもってる第三者に伝え、なんとかしてもらうしかない。そんな所ですかね。…さて、長話が過ぎた様だ。あなたの気持ちを考えても早く娘さんを探す事を優先するべきだった。早く娘さんを助ける為にもすぐに戦略を練って車を追いかけよう。」
福井には真由美の気持ちは筒抜けだった。
彼女が福井の話を聞いている間も、実は弘美の事を早く探したいと思っていたのだ。実際のところ、原因などどうでも良かった。嫌、どうでも良いほどに真由美の頭は弘美でいっぱいだった。
「しかし、まぁ。安心していいだろう。あの二人は信用出来る。信用をもって彼らは娘さんを守り抜くと私は確信している。なぜなら彼らは神に使いを頼まれたのだからね。自分たちの神の、崇拝しているものの頼みを守れない様な事は神に誓ってしないだろう。そういう面で、彼らは信用に値する男たちだ。まぁ、らしくもなく希望的観測なのだがね。しかし、まぁ100%とまでは行かないが彼らは高確率で娘さんを守り抜くだろう。だからこそあなたもその点において彼らを信用していいだろう。そして、だからこそ、彼らが信用出来るからこそ、私たちもそれなりの準備をしなくてはならない。」
「そうでなきゃ困るわ。でも…」
真由美が言いかけたところで福井は真由美の目の前に手をかざす。
「大丈夫。私が彼らを信用している様に、あなたも私を信用している。だからこそ私を再び尋ねたんだろう?安心してくれ。ちゃんと手は打つ。」
−−−−−そういうと福井は再び、先ほどの地図の部屋に戻って行った。
いつも、先を行く男だ。そう思いながらも真由美もその後について行った。
「あなたは知らないだろうが、この街はもう2.3日もすごい吹雪に見舞われている。そしてその最中にも暴徒と化した人間の襲撃は止む事は無かった。もちろん、除雪などしている暇なんて無いわけだから、道路なんかは処理されなかった雪がてんこもりだろう。そうでなくても事故車や置き去りの車は無数にあるだろうから車で行くのは無理だ。」
「ん?ちょっと待ってよ。車で行くのは無理だって、もとから車なんてないじゃない。さっきの車はあの二人が乗って行ったし。」
福井が不敵な笑みを浮かべる。
「私がこの町から脱出用に車を確保してないと思ったか?まさか。もちろん用意してるさ。ただまだやり残した事があってそれはしなかっただけの事だ。」
「やり残した事?」
真由美の言葉に福井は顔をしかめたが、すぐに表情が戻る。
「あなたには関係無い事だ。さっきも言ったが今は娘さんを助ける事が最優先。今の私にもそれが全てだ。…話を戻そう。車はダメだ。だから違う方法で彼らに追いつかなければならない。そこでこの地図を見てくれ。」
福井は地図に赤いマーカーを引く。
「布浸町は縦に細長く、弧を描くように町が構成されている。普通に町を突破しても、娘さんたちには追いつけない。ならどうするか。」
次に福井は現在地と目的地のスキー場を一本の線で結んだ。
今度は真由美にも福井が何を言いたいのかが分かった。
つまり、
町に沿って進むと遅れをとってしまう。だが、山を通って一直線に目的地まで進めば大幅なショートカットになる。それに奴らの数も少なく安全に通れる。
福井はそう言いたいのだ。
「そう、察しがいいな。さっきも話したが、車だと途中の障害物でスムーズに進むのは困難。つまり、彼らも必ず途中で足止めを食らう事となるだろう。そこを狙うのだ。彼らが足止めを食らっているところに襲撃する。これは最悪のシナリオだが、戦闘になれば殺さなくちゃならない状況もありうる。その事も想定しなくちゃならない。」
「私はもう人を殺してる。弘美を助ける為だったらもう後何人殺したって構わない。」
福井は真由美を睨みつける。強く睨まれた真由美には彼が何故睨んでいるのかわからなかった。
「勘違いしてるみたいだからはっきりさせておくが、これまでとは訳が違うんだ。今回は人間だ。今までみたいな怪物じゃないんだ。ちゃんと生きていて、意思もある。だからこそそこはちゃんと自覚してもらわなきゃ困るんだよ。人殺しとしてこれから殺した人間の命を背負って生きていく事になる。苦い思い出とかトラウマなんて言葉じゃ到底表しきれない苦悩や苦痛と永遠付き合って行かなきゃならないんだ。しかもこれは事故ではなく故意に殺すんだからたまったもんじゃない。嫌でもやらなきゃならないんだから。…その覚悟はあるのか?」
まるで人を殺した事のあるかの様な言い方に真由美は背筋が凍った。彼に何があったのか。しかし、ここで立ち止まるわけにはいかなかった。
娘を、弘美を守る為だったらなんでもする。もう腹は決まっていた。
「私にはある。弘美を守る為だったらなんでもする。」
福井は再び、狐の様な憎たらしい顔に戻った。
「いや、何度も決意表明させて悪かった。まぁ、でも殺しはあくまで最終手段だ。出来れば人殺しなんてしたくないからね。」
「…で、どうやって車を見つけるの?」
「恐らくだが、まず彼らが足止めを食らうのはこの辺りだ。」
福井は地図に再びマーカーを引く。そこはスキー場の少ししたに位置する市街地だった。
「ここは数年前から地域の凝縮化が進められ、多くの人間が町外れからこっちに移住している。おそらく布浸でも一番栄えているところだ。障害物が多く、奴らの数もここに集中しているだろう。私の考えが正しければここで彼らは間違いなく足止めを食う。だからそこまで言ったら一旦町まで降りて娘さんを奪還。それが不可能ならばまた山へ戻り、スキー場を目指すという形でいく。」
「そんなところで足止めを食ったら、弘美だって助からないじゃない。それにどうやって探すのよ。」
「そればっかりは彼らを信じるしかないな。まぁ、彼らにも協力者は多くいるだろうし、下手を打たないかぎり大丈夫だろう。彼らが助かるのを祈るしかない。」
「そんな、無責任なっ!」
「無責任もなにも、もともとこれは暗闇で針に糸を通す様な無茶をしいられているんだから。可能性にかけるしかないんだよ。それに、ほら、さっきも話したように彼らは信用に足る人間だ。その辺に関しちゃ、あなたよりも信用出来ると言って過言じゃない。私が保証しよう。そして…2つ目の質問だが。町についたら一応探す当てはある。私は布浸について調べるに当たってある男に協力を得ていた。彼には布浸にとどまる様に命令しておいたから協力を得られるだろう。…まぁ、死んでなければの話だかな。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.109 )
- 日時: 2014/07/05 17:19
- 名前: 霊夢 (ID: YC5nxfFp)
はじめまして!東方妖々夢作者の霊夢です。斉藤メロンさんの小説は、怖いけど、そこまで怖いわけでもなく、夜に読んでも大丈夫なくらい、怖さの調節が上手ですね!わたし、正直、あなたのような小説のうまい人、初めてです。王様ゲームは、怖すぎてだめだけど、あなたの作品はさっきも書いたように、丁度良い怖さ。たぶん、この小説が本として出版されても、沢山売れること間違いなしです。更新、楽しみに待ってますよ〜(^0^)
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.110 )
- 日時: 2014/07/12 01:58
- 名前: 斉藤メロン (ID: bAREWVSY)
霊夢さんありがとうございます(´ω`)
なるほど、貴重な意見感謝です!
自覚はしてなかったですが、そう言われて初めて意識したかもしれません。
でも、きっと私が書きたい事はホラー要素とはまた違うところにあるからこそ、そういう印象を感じ取っていただいたのかもしれませんね(´・ω・`)
いや、でも。夢ですね。本になったらなんて。夢のまた夢ですね笑
とりあえず!頑張りますのでこれからもよろしくお願いします(´ω`)
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.111 )
- 日時: 2014/08/01 15:57
- 名前: 霊夢 (ID: i8MUn/7P)
夢のまた夢なんて・・・
そんな事ないですよ!貴方の小説はやっぱり今迄読んだ小説とは違います。
どこが、ときかれるといいにくいですが・・・(あ、良い意味で、ですよ)
ところで、最近更新がされてませんね。私が言える事じゃないけどwwwwwww
まあ、メロンさんにもいろいろあるので仕方有りません。
私の場合、めんどくせえとか、ゲームのが良いとかおもったりw(そして廃人になるのかw)
まあ、私以外にも、更新を待っている人がたくさん居ますので、頑張ってください!
ではまた今度コメントしますね!
さようなら!
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