ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.46 )
- 日時: 2013/02/12 03:04
- 名前: 斎藤メロン (ID: 8BUvyu0j)
武志と老人は、向かえの空き家と空き家の隙間に身をかくし、真由美と弘美はは男がいた空き家の脇に身を隠す形となった。
すぐに男は空き家の扉を蹴破り飛びたしてきた。
あたりを見回し四人を探している。
弘美は怖がっていて、今にも泣きそうだ。
今声を出せば、男に気づかれてしまう。
しかし、男は真由美たちの方へどんどんと近づいてきていた。
このままでは、どっちみちやられる。そう考えた真由美の手に尖った木材が触れる。
男が近づいてきたら、この木材を突き刺すしかない。
そうしなければ死んでしまう。弘美も助からない。
真由美は決心する。
手に持っている角材を両手でしっかり持ち上げた。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.47 )
- 日時: 2013/08/22 01:51
- 名前: 斎藤メロン (ID: mvR3Twya)
空き家から、真由美たちを探す男が横顔を覗かせる。
まだ真由美たちには気付いていないようだ。
意を決して真由美は男の身体目掛けて角材を突き刺す。
「!!」
尖った角材は男の身体に突き刺さり、男は一瞬よろめく。
やった!そう思い、真由美は男の顔を見上げる。
男の口からドロっとした血が流れ、真由美の頬に落ちる。
しかし、男は絶命してなかった。
刺さった木材等なんとも感じていないかのように男は真由美の肩をがっしりと掴んだ。
そして、口が避けそうな程、大きな口を開ける。
「な、なんで!?」
真由美は驚きと同時に、恐怖を感じた。
凄い力で抵抗してもびくともしない、真由美と男はそのまま体制を崩し地面に倒れこむ。
「ママ!!」
真由美は倒れこみ、その上に男がまたがる形になったが、刺さった木材が邪魔で男は真由美に後一歩届かないでいた。
しかし、男がもがく毎に木材は深く刺さりどんどん真由美に近づいていく。
「いやぁぁ!!」
真由美は微かに触れる男の手を必死に払いのけて抵抗するが、男が真由美を捉えるのは時間の問題だった。
刺さった木材が男の身体を貫通し、そのまま真由美の手を掴む。
噛まれそうになった時、大きな音が鳴り響く。
真由美の目の前で、男の頭部右半分が吹き飛び、肉片が真由美の顔にかかる。
次の瞬間男の力がすっと抜け、その場に崩れ落ちる。
すぐ、後ろには猟銃を持った老人が立っていた。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.48 )
- 日時: 2013/02/21 02:38
- 名前: 斎藤メロン (ID: zvgOH9ns)
「奴らを殺す時は頭を狙うんじゃよ。」
老人は真由美に歩みより、覆いかぶさる男を横に転がした。
「噛まれていないか?」
真由美は顔に着いた肉片を拭うと、手に着いた血を見つめる。
手には黒い血がべったりと付着していて、そこに真っ白な雪が落ちるとすぐに赤く染まり消えた。
真由美の身体が震え出す。
「真由美さん、噛まれたのか聞いているんだ。」
老人は真由美を起こす、凄い剣幕の老人にふと我に帰り、首を横に振る。
老人は安堵の表情を浮かべると、弘美の下に歩み寄った。
すぐに武志も真由美に駆けつけてきた。
「今の銃声で奴らが集まってくるかもしれない。さっさと動くぞ」
真由美は横に倒れている男を見ていて上の空だった。
「おい!聞いてるのか?」
「えっ…ええ。」
「大丈夫か?震えてるぞ」辺りに注意を払いながらそう言った。
「無理もないじゃろ。それより、急がないといけませんな。」
すぐに、四人はその場を離れ、目的の家に急ぐ。
目的の家は、周りの平屋と違い、立派な家だった。
正面玄関も立派で、茶色ね二枚扉にノック用の虎の彫刻が施されている。
洋館のような造りの外見に、日本語の表札と正月の飾りがなんとも不釣合いに飾られていた。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.49 )
- 日時: 2013/03/06 00:14
- 名前: 斉藤メロン (ID: GlabL33E)
建物の前に立った四人
老人が扉に手をかけると、武志はとっさに備えて銃を構える。
扉には鍵がかかっていないらしく、老人はゆっくりと扉を開けた。
開けるとそこはひらけた広間になっていて、人魚の形をした置き時計やライオンの彫刻が彫られた水瓶が壁をよせてあった。
真ん中には螺旋階段がある。
四人は建物の中に入った。
「だれもいないのかの?」
「わかんない。だけど、奴らがいるかもしれないな。」
扉が空いていたし、奴らがいる可能性は高い。
「なんだか、悪趣味だな。」
武志は様々なオブジェを見ながらそういう。
「それは前の主人が置いていったもので、私の趣味じゃありませんよ。」
突然、螺旋階段の上から声がすると、建物の明かりが付く。
武志と老人は声の方に銃を向ける。
「おっと、そんな物騒なものをうちに持ち込まないでくれるかな。」
螺旋階段からゆっくりと降りてくる男は白衣に眼鏡で、背が高く、細身だった。
飄々としている男はなんとも怪しい雰囲気を出していた。
「よそ者め!町に何をした?」
武志がすごい剣幕で怒鳴る
「一体なんの事ですかねぇ」
「とぼけるんじゃねぇよ!町がこんなになったのはお前の仕業だろ!!」
「何を根拠に…、突然私の家に上がりこんで来たかと思えば、そんなつまらない事をいいにきたのか?」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.50 )
- 日時: 2013/03/10 11:28
- 名前: 斉藤メロン (ID: vJF2azik)
白衣の男は眼鏡を指でくいとあげると武志を睨みつけた。
銃を突きつけられてるのに物怖じせずしない姿に真由美は関心してしまった。
「くっ、あんたの立場がわかってないようだな。」
武志は男に狙いを定めようとするが、老人がすかさず銃を手で抑える。
「じぃちゃん!何すんだよ!」
「落ち着け武志!ワシらは争いにきたわけじゃないぞ。」
老人は続けて、白衣の男に目を向ける。
「ワシらは、あんたにガソリンをわけてもらいたいだけなんだ。少しで良い。わけてはくれんか?」
「確かに私はガソリンを持っている。…しかし、ガソリンを分ける私はどうなる?何を得るというんですかねぇ。」
「もちろんタダ、というわけではない。ガソリンが手にはいればワシらはスキー場へ向かうつもりだ。そこには生存者が沢山いるらしい。あんたも一緒に連れて行く。」
「スキー場…。」
白衣の男は少し考えている。
「ふん、その情報は何処で手に入れた?」
「ワシのラジオから流れてきた。そこでは奴らから安全を保証すると行っていた。」
「利閔会(りびんかい)の罠じゃないでしょうね。」
利閔会。何かの団体だろうか?
「ばかもの!こんな事態にそんな事をいっている場合か!」
急に老人は険しい顔で怒鳴りだし、真由美は正直驚いた。
「くくく…ちょっとした冗談ですよ。しかし、その提案は却下する。」
「なぜだ!ここにいては直ぐに奴らがやってくるぞ。」
「まず、その情報に信憑性が微塵も感じられない事、そしてそこに行って助かる保証がない事が、理由ですよ。わかったら帰ってくれ。」
そういうと、白衣をなびかせ男は振り返り螺旋階段を登ってゆく。
真由美は直ぐ横にいる弘美を抱き寄せようと手を出すが、その手は意外にも空を切る。
下を向くと弘美が居たはずの場所に弘美の姿が無かった。
真由美は辺りを見回す。
後ろを振り向くと、弘美は壁にかけられた大人一人分の大きさの油絵を見上げていた。
「弘美!!」
真由美は駆け足で弘美にかけより、両手で弘美を抱き寄せる。
「勝手に何処でも行っちゃダメじゃないの。」
「ママーこの絵はなんていう絵なの?」
「えっこの絵?」
見ると、油絵のタイトルは「死顔」と書かれている。悪趣味なタイトルだ、と真由美は嫌悪感を抱いたが、油絵を見上げると、そこには
公園のような場所にたたずむ男性が鳩が羽ばたく空を見上げ両手を広げてる、というタイトルとは正反対に清々しい絵であった。
それだけにその油絵の不気味さが真由美の中でより一層強くなった。
「これはね…」
「それは死顔というタイトルの油絵です。」
真由美は死顔というタイトルを明るいタイトルに変えていうつもりだった。
死顔なんてタイトル、教育上良くないし、タイトルと絵のギャップに混乱するだけだと考えたからだ。
しかし、それを螺旋階段を登っていたはずの白衣の男が、なぜかこちらに歩みを寄せながら阻止したのだ。
「お嬢さん。その油絵に興味を持ったのですか?」
「うん…しにがお?っていうの?」
「そう、これはグデという画家が四年前、闘病の末完成させた、生前最後の作品です。…しかし、お嬢さん。なんでこの絵に興味を持ったんだい?絵なら他にも飾られているでしょう。」
「ん〜とねー、なんだか、この人。ママに似ているんだもん」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31