ダーク・ファンタジー小説
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- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.51 )
- 日時: 2013/03/10 12:48
- 名前: 斉藤メロン (ID: vJF2azik)
輝いた瞳で真由美を見つめる弘美には悪気はないのだろうが、真由美には死顔がどうして自分に似ているのか理解できなかった。
自分が死にそうな顔をしているのか、それとも自分の非力さに呆れた娘が遠回しに命を断てと主張しているのか、後者はないとしても、前向きな理由は思いつかなかった。
「ふむ。面白い事を言うんですね。これまたどうしてそう思ったんだい?確かにお嬢さんの母親は死んだような顔をしている。そういう事なのかい?」
真由美の考えと白衣の男の考えが合致し、やはりそんな顔をしていたかと、真由美は両手で、顔を触る。
「ううん、そうじゃないよ。」
弘美が全力で顔を横に振る。その行動に助けらた。
真由美は安堵の表情を浮かべる。
しかし、白衣の男は真由美にとって腹立たしく、奇妙な存在だった。
敬語とタメ口を交互に使う口調はもちろんの事、しゃべる内容、漂う悪人臭。
それに謎の研究、不気味な絵のセンス、総合的に見てもこの男から警戒の目を休めてはいけないのは明白だった。
もしも、この惨事が誰かの仕業だとしたら一番怪しいのはこの男だ、弘美を危険な目に合わせない為にも構えていて損はないだろう。
と、真由美はそう考えた。
「じゃあ、なぜ?」
かくいう真由美も弘美の言葉に興味があった為、ひとまずそちらに意識を向ける。
「だって、この人一生懸命でしょ?頑張って一生懸命してるから。ママもいつもパパやヒロミの為に一生懸命頑張ってるんだもん。」
この絵から頑張っているというイメージが浮かんでこない事はひとまず置いておくが、真由美は感動していた。
思えば、真由美達は共働きで弘美に十分な愛情を注ぐ事ができていなかったと思う、仕事で遅くなったり、苛立ちながら家に帰ったり、今日も車の中で弘樹に愚痴や嫌味を永遠言っていた。それを聞いて弘美はどう思っただろう。家族の雰囲気を悪くしていたのは分かってるし、正直弘美には嫌われていると思っていた。
しかし、弘美は真由美を一生懸命頑張っていると行ってくれた。
その言葉だけで、真由美は救われた気がした。
また、目から雫がこぼれそうになる。
今日何回目だろう。真由美は目の雫を服の袖でぬぐいながら「うん。」と頷いた。
白衣の男は、その答えを聞きくっくっくっと不気味な笑いを浮かべた。
そして、白衣を勢い良くなびかせ、男は武志と老人の方を向くなおす。
「あなたたち、この小さな哲学者に感謝するんですね。…いいでしょう。ガソリンは奥の部屋にあります。好きなだけ持って行くと良い。」
なにが男のツボにハマったのかわからないが、白衣の男は満足気だ。機嫌が良いうちにガソリンをわけてもらうに越した事はない。
白衣の男は眼鏡を挙げながら白衣の右ポケットに入っていた鍵を取り出し、螺旋階段の死角にある扉の鍵穴に差し込んだ。
ガチャンと音がして、鍵があき、男はその奥に入っていく。
「あなたたち、なにぼさっとしてんですか。ガソリンはこっち」
男は手招きする。
武志は拍子抜けしていた。
「なんだかわかんないが、ガソリンが手に入るみたいだな。」
最初に老人、続いて武志、真由美、弘美が順々に扉に向かい歩き出す。
歩き出す途中、武志は真由美に耳打ちをした。
「あいつはきっとこの事件の首謀者だ。これは罠かもしれないから、決して隙を見せるなよ。」
白衣の男に続いて四人は進んだ。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.52 )
- 日時: 2013/03/13 00:48
- 名前: 斉藤メロン (ID: 4sfCdz72)
建物の中に進むに連れて、空気がひんやりとし始める。
扉の奥に進むとまた扉があり、特に特徴のない部屋を部屋から部屋に移動する。
四個目の扉の前に立った時、白衣の男はポケットから先ほどの鍵を取り出して、たくさんある鍵から、この扉の鍵穴にあった鍵を入れ、あける。
白衣の男は、後ろを振り返ると自慢げな顔をして扉をゆっくりと開けた。
扉の奥はいままでの部屋よりも、広く天井も高い、他の部屋とは比べ物にならないくらい豪勢な作りの書斎があった。 本棚が部屋の大半のスペースを独占し、難しそうな本が所狭しとならべられていた。
「すごい数の本…。」
これには真由美も驚愕していた。
「ここにはほんの一部しかおいていませんが、まだまだ違う部屋に本がある。」
武志は本棚から適当に本をとりだし広げる。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.53 )
- 日時: 2013/03/13 09:24
- 名前: アリス (ID: UXNmz4pg)
アリスと言います。
とってもうまいですね!
プロみたいな!
良ければあたしのも見てくれませんか?
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.54 )
- 日時: 2013/03/15 17:01
- 名前: 斉藤メロン (ID: XURzUbRL)
アリスさんありがとうございます(^^)
プロとは程遠いですが、またみてくださるとありがたいです!
アリスさんの作品もみにいきますねー!
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.55 )
- 日時: 2013/04/29 17:27
- 名前: 斎藤メロン (ID: I.inwBVK)
真由美からはなんの本だか遠くてわからなかったが、布浸町に関する本なのだろう。老人と武志はその本を見ながら話始めた。
白衣の男もそれを止める事はなかった。
ふと、歩み寄ってきた白衣の男が真由美に耳打ちする。
「話があります。あなたの旦那の事で。」
そういうと、白衣の男は手招きしながら、武志たちに見えない位置に真由美を手招き呼んだ。
白衣の男が危険ではあるが、旦那の事で話があると言われ、真由美もそれが気になった。
「弘美。ここで待ってて。」
弘美はうなずくとその場に座りこんだ。
白衣の男の元へ行き、「旦那を知ってるの!?」と問いただす
「直接知ってるわけじゃない。だが、大事な事です。あなたの旦那、つまり小田弘樹とこの町についての…」
「どういう事?」
「あなたは理憫会を知っていますか。」
唐突に質問されるが、見当もつかない。
「知らないわよ。それがなんなの?」
「やはり…あなたの旦那は何も言わなかったんですね。」
「もったいぶらないでよ。それが夫とどう関係あるっていうの。」
「理憫会とは、この町に古くから受け継がれてきている一族の事です。名前や形を変え、今は理憫会と名乗り、大見ノ神を崇拝する、いわば宗教のようなもので、その中心にいたのが小田家、つまりあなたの旦那の一族です。」
「夫が宗教に、知らなかった…。でも、だからなんなの?」
「焦らずに聞いて、大見ノ神の伝説は聞いていますか?」
大見ノ神…真由美は老人の家で聞いた話を思い出した。
「あぁ、知ってる!さっきあの人から聞いたわ。」
「大見ノ神から力を得た町の人々は、毎年祭りを開き、神に与えられた力を返す儀式をします。また、人が死ねば、弔いのさなか、死んだ人の身体の一部を体内に取り込み、その人のエネルギーをもらうという風習もあります。」
「体内に取り込みって、つまり…食べるって事?」
「まさにその通り。二つの行動は、与え、与えられの循環を生み出し町は豊かになり続けるというのが理憫会の教えです。」
「狂ってる。」
「そうでしょうか?日本人だって、よくやるでしょ?葬儀でやる“骨噛み”。あれの派生と考えればさほど奇妙な風習とは言えない。海外の某島では未だに人間の肉を食べる部族がいる事ですし、世界的にも不思議な事ではありません。」
「…それで?わざわざ、私の夫が食人族でしたとでもいう為にこんなひそひそばなしをさせたの?」
「あなたの旦那が人肉を食べていたか?そんな事はどうでもいいですが、しかし、ここからが重要です。」
白衣の男はタメをつくって、ゆっくりと言葉を発した。
「…あなたの娘は殺される。」
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