ダーク・ファンタジー小説
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- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.133 )
- 日時: 2015/07/28 05:38
- 名前: 斉藤メロン (ID: GudiotDM)
みーこさんありがとうございます!続き書きます。
多分これから矛盾点たくさん出てきますが、温かくお願いします笑
「なるほど。つまり小田さんの娘さんが理憫会の過激派に連れ去られてしまった。彼らは昔からのいい伝えに従い小田家の血筋である娘さんを生け贄にしてこの惨劇を終わらせるつもりだと…。そしてそれを阻止するために小田さんと福井さんはスキー場にむかっているんですね。」
真由美は小さくうなずいた。
「そうだ。」
「なるほどなるほど。それにしてもその人たちは馬鹿なんですかね。そんなことをしても意味が無いのはわかってるはずなのに。」
「窮地に立たされた人間はどんな事をするかわからない。藁にもすがる思いなんだろう。」
福井は何故かさびしそうな表情を浮かべる、それを見た速水は 「まぁ、事情はわかりました。」と言う。その光景は福井を心情を察して話をそらしているようにも真由美には見えた。
「それにしても黄色い軽自動車かー。うん、やっぱり見た記憶ないです。」
「本当か?お前の事だから気づかなかったんじゃないのか?」
「なんですかその言い草!大体その軽自動車オンボロでエンジン音がすごかったんでしょ?それなら奴等が騒ぎだすからわかるだろうし、さっき見たと思いますけど、橋には車が沢山放置されていて通れないはずですよ。」速水は少し不機嫌そうに答えた。
「そうか…。もしかしたら違う道から通ったのかもしれない。」
「でも、さっきここ以外にスキー場に向かう道はないって言ってたじゃない。」
「そうだが、可能性としてはなくはない。町の人間しかしらない道があるのかも。」
腕を組み考えていた速水が何かを思い出したように「そうだ。」という。
「小田さん、福井さん。確かにありますよ道。」
「本当!?」
「はい、ここをちょっと戻った所に理憫会の集会場に繋がる道があって、そこからスキー場に抜けられる道があります。普段は歩いていくんですが、軽自動車くらいなら通れるし、理憫会の会合が最近あったので除雪もされているはずです。多分ほとんどの人が知らないでしょうが。」
「速水さんは随分詳しいんですね。」
「速水さんはやめてくださいよ。速水くんでいいですよ。ちなみに詳しいのは僕も理憫会の人間だからです。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.134 )
- 日時: 2015/08/05 10:28
- 名前: 斉藤メロン (ID: GudiotDM)
「理憫会の人間です。」爽やかな笑顔を浮かべる速水に真由美は戦慄した。
肩が痛みだす。
真由美はたまらず後ろに後退りする、「じゃあ、あなたも?」
怯える真由美を見て、速水はクスクスと笑いだす。
「安心してください。彼らは理憫会でも過激派みたいなもので、僕やほとんどの人間は生け贄や神話を信じていませんし、そんな事をしませんよ。勘違いしないで欲しいのは理憫会の人間が全員そういう人種じゃないってことです。」
「速水のいう通り、貴方には危害を加えないよ。安心していい。」
すかさず福井も真由美にそういう。
真由美の怯えようは尋常ではなかった。それを気づいた福井は速水の弁解は疑うとしても、自分の言葉は信じると確信してそう言ったのだ。
結果、真由美はある程度落ち着きを取り戻す。
「御免なさい、私。助けてくれたのに…。」
「いいんだ。こいつが理憫会を名乗ったら貴方が怯えるのをわかった上で言ったんだ。貴方に非はない。」
「一応、理憫会についての認識を改めてもらおうと思いまして。しかしそんなに怯えるとは思いませんでしたよ。すいません。」
まだ笑っている速水に「黙れ」と福井が一喝する。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.135 )
- 日時: 2015/08/06 16:33
- 名前: 夜望 羅闍() (ID: Va4IJVQE)
はじめまして、らとです。
初見なのですが、とても面白い話ですね!
怖いです。こわいのですが、すごく物語の中に引き込まれます。
真由美さんのあたたかいお母さん像がすごく細かなところまで描かれていて、夢中になってしまいました!
これからも執筆活動頑張ってください!
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.136 )
- 日時: 2015/08/16 04:46
- 名前: 斉藤メロン (ID: 0exqyz.j)
らとさん、ありがとうございます。
これからもがんばります!
ーーーーーしばらくして、完全に落ち着きを取り戻した真由美は部屋の角に腰を下ろしていた。
やつらの呻き声はまだ聞こえるが、弱まっている。かわりに雪が強くなり吹き荒れる風が窓を叩いた。
暖炉のないここは冬の寒さを直に感じ、雪山を下った真由美の足は濡れて凍り、体が震える。古汚い毛布をあてがわれそれでなんとかからだの震えを押さえるが、体の芯まで温まることはかなわなかった。
そっと速水が真由美の横に座る。
「さっきは御免なさい。心から謝ります。」
「いえ、良いのよ。悪気は無かったんだし。」
「さっきの発言もそうですが、理憫会の人間が真由美さんにひどいことをしたのも含めて謝ろうと思いまして。」
真由美は黙りこむ。
「私、さっき橋で、死を覚悟したの。助からないって。だけど、福井さんが諦めるなって大声で叫んで娘の顔がふっと浮かんだのよね。死ねないって再確認できたわ。」
「福井さんらしいですね。あの人は絶対に諦めないですから。」
「あの人とは昔からの付き合いなの?」
「そんなに昔から知っているわけじゃありませんが、そこそこ深い仲ではありますかね。」
「なにそれ、やらしいわね」
ふくみを持たせた速水の言い方に真由美は笑う。
「あー、でもこんなに短時間にあの人にかなり助けられてるなー私。」
「そういう人なんです。利害が一致したにからに福井さんはあなたの願いを叶えますよ。必ず。」
「そこなんだけど、私とあの人の間にどう利害が一致したのかが未だに分からないのよね。どうしてこんなに助けてくれるんだろう。」
「それは...」
速水がいいかけた時、福井が「そろそろ休めただろう。世間話は後にしてこれからどうするか話し合うぞ。」と話をたちきった。
「はい!あ、真由美さん。この話はまた今度。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.137 )
- 日時: 2015/11/24 00:52
- 名前: 斉藤メロン (ID: KBFVK1Mo)
三人はテーブルを囲んで向かい合った。これからのことを話すためだ。
「迂回して、脇道を抜けますか?」
「だめだ。それじゃあまたあの橋をわたらなきゃならない。そのまま町を突っ切ろう。」
「それこそ、危険すぎます。今は騒ぎも収まって奴等が町に戻ってきてます。それに遠すぎる。」
二人は真由美そっちのけで議論を進める。
真由美がそれをどうと思うことはなかったが、それでも自分の意見は聞かないのかと少し残念に思っていた。
真由美がふと、窓から外の様子を見る。
雪がゆっくりと落ち、真由美たちが通ってきた道にくっきりとついていた足跡は新雪で消えかかっていた。
通りは広く、少し先は下り坂になっているようだ。そしてその先には今度は上り坂が見える。
道路には自動車がぽつぽつと乗り捨ててあったり、引火して炎をあげているものもある。
車だけではない。建物もいくつか黒煙をあげている。
助かった人はいるのだろうか?みんな奴らに変わってしまったのか…。
弘美は、無事だろうか。
そんなことを考えていた。
「やはり町を抜けよう。この町さえ抜ければすぐにスキー場だ。」
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