ダーク・ファンタジー小説
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- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.26 )
- 日時: 2012/09/20 13:34
- 名前: 斎藤メロン (ID: j0x8WVaG)
ジルさん
ありがとうございます!怖いと言って頂けて感無量です(^ー^)
頑張って更新しますのでこれからもどーぞよろしく。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.27 )
- 日時: 2012/10/05 10:13
- 名前: 斎藤メロン (ID: .lMBQHMC)
真由美は今まであった事を話した。道中男性に襲われた事、幸弘を置いてきた事、藁をも縋る思いでここまで来た事。
全てを詳細に語った。
「もう何が何だか…。」
真由美は震えた声でそう言う。
「それは、大変でしたね。しかし、よく噛まれずに此処までこれましたな。」
「あの…先ほども言っていましたね。噛まれてないか?と…。一体どういう事なのですか?」
「…噛まれたら病るんだよ。」
窓を眺め、腕を組んだ武志が淡々と語る。
「5日前、ある葬儀があったんだ。その葬儀の途中である女性が突然倒れた。しかし…そして数分後に起き上がり、今度はその場にいた人達に次々と噛みつき始めたらしい。女性はその後、すぐに病院に搬送された。友達の消防団員曰く酷い有り様だったらしい…。その場にいた人達は重軽傷を負い、なかには首を噛み千切られ死亡した人もいたんだと。しかし数分後にその場にいた人全員に女性と同じ症状がみられ…その後に死んだ。」
そして生き返ったんだよ…。
「生き返った!?」
真由美は耳を疑った。人間が一度死にまた生き返る等有り得ない事なのだ。
しかし彼は間違いなくそう言った。
「ああ、その人達もまた、病院の人達を襲い始めた。そして5日でこの様さ。」
皮肉染みた言い方で、武志は鼻で笑う。
「四日前、武志が血相変えてその話をしてきた時にはにわかに信じられなかったが、次第に状況が変わっていき信じさるをえない状況になりました。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.28 )
- 日時: 2012/09/21 01:42
- 名前: 斎藤メロン (ID: FTx5/VHw)
極めて信じられない話だ。まさにファンタジーの世界、SF の世界の話だ。真由美は脳に大量の情報が一気に入ってきた間隔に襲われ、混乱した。
しかし、真由美も見てきた今までの出来事と照らしあわせても、老人の言葉では無いが信じざるを得ない事だった。
「もう大みそかなのに、大見神社に参拝も出来ない。」
老人は独り言のようにそう呟く。
「この有り様じゃあ恐らく警察も動いてないだろーな。」
警察は機能していない。事態を収集出来ていない所を見るとそれは明白だった。しかし、それは真由美にとって許されない事だった。
「それは困ります!弘樹は!…夫は私たちが助けを呼んで戻ってくるのを待ってるんですよ!傷も追ってます。早く…早くいかないと。」
弘美は真由美が突然叫んだ事に驚き。びくっとなる。
「ママ。」不安そうに袖を引っ張る。
「」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.29 )
- 日時: 2012/09/21 02:13
- 名前: 斎藤メロン (ID: OBZwk3oo)
弘美の肩を抱き寄せ、真由美は立ち上がる。
「私行きます。警察に言って直接助けを求めます。」
「待ちなさい!何をいってるんだ。貴方も見たでしょう。外は危険です。」
「構いません。ちょっとの間ありがとうございました。」
真由美は弘美の手を掴み、その場を後にしようとした。
「待てよ!さっきの話じゃあんたの旦那は噛まれたんだろ?さっきも言ったか噛まれた人間は…」
「そんなの分からないわ!噛まれたせいとは限らない!違う原因でそーなるのかも知れないし!」
「おい…、噛まれたらあいつらになるのは間違いないって!何人も見てきたんだよ。」
「貴方お医者さんなの?…」
「は?」
「医者でも無いのに勝手に推測して!いい加減に診断して!!何も分からないのに!確認でもしたの!!」
「おいおい。こっちは親切心で言ってやってんのに、そりゃないだろーよ。」
お互い睨み合う。険悪なムードがその場を包む。
弘美にもその雰囲気は感じ取れた。
真由美は無意識に弘美と繋いでる手を強く握っていた。
「ママ…いっ、痛いよ。」
真由美と武志のにらみ合いに終止符を打ったのは弘美の言葉だった。
真由美は気付き、直ぐに手の力を弱める。
「と、とにかく。私は行きますから。」
真由美は再び振り替える。
その瞬間、武志は「ちっ…。」と舌打ちした。
「俺の親父と母さんもやられたんだよ…。目の前でな。」
真由美は足を止める。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.30 )
- 日時: 2012/10/05 10:10
- 名前: 斎藤メロン (ID: .lMBQHMC)
一時間が経った頃…
真由美はまだ老人の平家にいた。
それも、ひどく険悪な雰囲気を保ったままで
ベニヤ板で張り付けた窓から粉雪がまた降り始めたのが見える。
老人の孫、武志は窓から周りの様子を見渡しているが、しばらくするとその場を離れ、また数分で戻って来ては窓際から様子を伺うという行為を繰り返していた。
真由美は辺りを見回す。
高い位置になんだか見慣れない変わった形の神棚がある。何処をどう変わったという事は説明出来ないが、真由美にはそれが目についた。
見とれていると、奥まった所にある台所から老人はお菓子とお茶の御代わりを持ってきた。
「少しは落ち着かれましたか。」
真由美は「ありがとうございます」とお茶をすすり、次にこう切り出した。
「あの…変わってますね。」
真由美は神棚を見てそう言う。
「あ、あぁ。あの神棚ですか。あれは布浸に昔から住まわれている大見ノ神を祀った神棚なんです。変わってますかね。」
大見ノ神。
真由美は幸弘から昔その神について聞いたことがあった。
なんでも、大昔に布浸に災いが襲った際に、大見山の神が人々の前に表れ災いを沈めたとかなんとか。
その頃は彼の話を話し半分で聞いていて真由美の記憶は曖昧だった。
「夫から少し聞いた事があります。地元にある山の大見山には神が住んでいると。」
「おぉ、旦那さんはなんと信仰心の強い人だ。昔は大見ノ神を崇めている者も多かったのですが、今はもう忘れ去られかけております。致し方無いでしょう。それも時代の常です。」
老人は少し寂しそうにしている。
続けて、大見ノ神がもたらした奇跡について話始めるが、先ほどとは打ってかわり無邪気な子どもの様に見えた。
災害により布浸は、多くのものを失った。しかし、それでも布浸を災いが去ることはなかった。しかしそんな最中、大見山の彼方から大見ノ神が舞い降り、人々に体の一部を与えた。体の一部を与えられた人々は災害を振り払う知恵と労力を手に入れ、自力で災いを沈めたとされる。
そして、大見ノ神は災いが静まった後、大見山に戻り長い居眠りに着いたという話である。
布浸町では、大見ノ神にもらった体の一部を返すため、今でも大晦日の夜に祭りを行うらしい。
老人は「最近の若者は本来の祭りの意味を知りませんがね」と笑いながら答えた。
真由美はその話に思う所があった。そもそも彼女は元来神などという存在を信じない性格であり、神という不確かなものは苦手なのである。そういうところもあり、真由美は現実的に今のこの状況に大して何もアクション起こさない大見ノ神に大してやはり信憑性を疑っていた。が、口には出さないでおこうと胸にしまう。
しかし、幸弘がこの話を知っていた事には少し驚いていた。
老人の話では最近の若者の中にこの話を知るものは少ないとされている。
ならばなぜ知っていたのだろう。
いや、百歩譲り知っていてもおかしくは無いものの、知らない方が自然だ。
幸弘はもしかしたら私には言わなかっただけで実は神を信仰していたのかも。と、真由美はそう考えていた。
「はは、すいませぬ。少々つまらなかったかな。まぁ、老いぼれの戯れ言です。」
「い、いえ。興味深い話でした。」
真由美は心にもないことを口走ってしまった。
「さて、あんた。さっきの俺の話に納得したんだろ?旦那はもういないって事で納得したんだよな?」
武志は立ち上がり、真由美に挑発的にそういった。
「こら、武志。口さ慎め!」
「まぁ、なんでもいーけどよ。思い出した事があって。」
武志の思わせ振りな話の前に一時間の事を話すべきだろう。
時間は彼が身の上話を始めた一時間前に戻る
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