ダーク・ファンタジー小説
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- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.11 )
- 日時: 2012/04/22 04:12
- 名前: 斉藤メロン (ID: RnkmdEze)
真由美は携帯電話を開く。そこには圏外と表示されている。
もう少し進まないと…。真由美は携帯電話をしまうと運転に集中した。
看板を過ぎると、家がちらほらと現れ、ゆっくりと町の片鱗を見せ始める。
しかし、やはり田舎町。等間隔にある街灯が寂しく光っているだけだった。
しばらくすると、トンネルに入った。
しかし、そこには想像し得なかった光景があった。
「なによ…これ。」
薄暗いトンネルの中には無数の車が重なりあい道を塞いでいた。
玉突き事故を起こしたのか、形が歪んだ車がスクラップのようになっていた。
誰の目から見てもこれは大事故である。それにも関わらず、警察や救急車がこの事故を掌握しようとしている形跡がない。
「なんなのよ。なんでこんな…。警察は?警察はなにやってるのよ!」
焦りが苛立ちに変わる。
真由美は携帯電話を開いて再び画面を見る。
やはり圏外。でも、このトンネルを抜ければ携帯電話が使えるようになるはず。
しばらく考えた後、真由美は決断する。
助手席の引き出しから真由美はライトを取りだし、光るかどうか確認する。
ライトは大丈夫のようだ。
「よし。」
「ママ?」
「弘美。ママは今からトンネルの先を見て来るからここで待っててね。弘美は強い子だからちゃんと待ってられるわよね?」
弘美は無言で頷いた。
「いい子ね。」弘美の頭を撫でて、視界を戻そうとすると、
車に乗り込む時に後部座席に投げ捨てていたバールが目に入った。
明らかに異常な事が次々に起こっている中、真由美は自分の命の危機を感じバールを持っていく事にした。
バールとライトを両手に持ち、深く深呼吸する。
次の瞬間勢い良く慎重に車から飛び出した。
ライトを照らしながらゆっくりとそこに近付く。
良く見ると、大型車が多い。バスやトラックなどが横転し、その奥に普通自動車が無数にある。
炎上し終わりかけの車が一台離れた場所にあり、外部は黒く焦げ、灰を飛ばしている。
炎上した車からは異臭がするのを感じ、バールを持っていた手でとっさに鼻を塞ぐ。
異臭の強さに車を照らすと、運転席と助手席には焼け焦げた人間らしきものがあった。
そう、この異臭は肉が焼け焦げた臭いだった。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.12 )
- 日時: 2012/05/03 23:17
- 名前: 斉藤メロン (ID: 9AGFDH0G)
人間が焼け死んでいるという状況に真由美は動揺を隠しきれない。
パチパチと残り火が音を立て、火の粉が微かに舞い上がりすぐに消える。
肉が焦げる臭い鼻をつく。
真由美は腕で鼻と口を抑え、その車からは目を背ける。
それと同時に現実にも背を向けた。
感覚が麻痺する。
積み上げられた異様な状況を、燃え続ける黒い造物を見ていても冷静でいられた。
いや、興奮していたからこそ冷静でなければならなかった。
炎上した車を過ぎ、さらに前に進む。
途中、人間が何人も倒れていたが、真由美はそれを見ても顔をしかめる程度の感情しか抱けなかった。
それでも微かな感情を求めて、死体から距離を置く。
車の玉突き事故の現場にはすぐに近づけた。
やはり様々な死体がある。
轢かれ押し潰された上半身だけの死体。
骨が肉を突き破り突出した死体。
車と車に挟まれた手だけの死体。
血みどろの光景を死体が花を添える。
真由美はあたりを照らす。
良く見ると、ガードレールの横に歩道があり、軽自動車程度なら通れそうだった。
真由美はその道を抜け、奥を覗いた。
その先には事故で道を塞がれた逃げ場のない車を乗り捨てた痕跡があった。
真由美はその中で、歩道に飛び出した一台の車に目がいく。
車にはだれも乗っていなく、運転席の扉が開けられたままになっていた。
「なにがあったのよ本当に。」
真由美は車に近づきすぐに乗り込む。案の定車はキーが刺さったままだった。
キーに手をかけ、エンジンをかける。
エンジンはすんなりかかってしまった。
車の幅と歩道の幅は同じぐらい。真由美は通れる事を確信した。
後確認する事は、トンネルへの抜け道だ。
後ろを振り返ると歩沿いに行けば、抜けられそうだ。
真由美はワゴン車に取り残した娘を迎えにいくために車を発進させる。
車を壁に擦り付けながら、進むがその途中で一台の車にぶつかってしまった。
ぶつかった車からブザー音が鳴り響く。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.13 )
- 日時: 2012/05/04 12:12
- 名前: ひいらぎ ゆあ (ID: stosdHau)
情景描写がハンパなくうまいっすね!
やばいよ〜、怖い〜。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.14 )
- 日時: 2012/05/07 09:42
- 名前: 斉藤メロン (ID: JMwG2Hoo)
ひいらぎさん
めちゃくちゃですよ(T_T)
あぁ、適切な表現力が欲しいです☆
これからもよろしくお願いします!
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.15 )
- 日時: 2012/05/07 10:00
- 名前: 斉藤メロン (ID: IvmJM/UO)
車からは警報音が鳴り響く。
真由美はあまり気に止めず、そのまま車を走らせる。
事故現場を抜け、歩道をガードレールの終わりまで進む。
ワゴン車までたどり着いた。
すぐに軽自動車を降りて、ワゴン車の助手席の扉を明ける。
弘美は無事にそこにいた。
「おかえり、ママ。」
「弘美。降りて、トンネル抜けるよ。」
真由美は娘を抱えようとした時、何かを感じ振り返る。
トンネルの奥ではまだ音が鳴り響き、何かがうごめいていた。
とっさにライトを当てる。
「何!?」
トンネルの奥では先程まで動かなかった死体が蠢いていた。
その者たちの動きはゆっくりでふらふらと真由美たちの方に近づきながら呻き声を上げている。
真由美はその姿をみて、道中出会ったあの男を思い出す。
背筋が凍り、顔がひきつる。
すぐに弘美を抱えると、真由美は後ろに走り出す。
しかし、すぐに足を止めた。
トンネルを抜けた先にも、雪の中でトンネルに向かう人影が数体見えたのだ。
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