ダーク・ファンタジー小説
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- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.41 )
- 日時: 2013/01/31 01:50
- 名前: 斎藤メロン (ID: o1hCwV2S)
しばらく脱出方法を考えていたが、特になにか案がでることもなかった。
ーーーーーが、しばらくして武志があることを思い出す。
「まぁ、どっちでもいいんだけどさ。ちょっと思い出した事があって。」
老人と真由美は武志の方を見る。
「なんだ武志。」
「あれだよ。最近すぐ近くの家に変な奴引っ越してきただろ?自称研究者の?」
彼らの住んでいる地域の高台には昔使われていた家が何件もある。
その中の一際大きな空き家に自称研究者と名乗る人物が引っ越してきたらしい。
その風貌は猫背で飄々としており、常に独り言をブツブツとつぶやいている怪しい男だそうだ。
「確か、カニバリンとかなんとかを研究してるとかいっていたな。」
「カニバリズムだよ。あいつが来てから町がおかしくなったんだ。」
「で、その男がどうしたんだよ?」
「あいつ一時期、研究の為とかいってガソリンを大量に頼んでただろ。かなりたくさん仕入れてたからまだあるだろ。そこから仕入れてくる。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.42 )
- 日時: 2013/02/01 00:32
- 名前: 斎藤メロン (ID: MZMJrm6H)
呆れた老人は、孫を一括するも、彼には少しも響いていないようで話を勝手に進めている。
「じぃちゃん落ち着けよ。どうせよそ者だ。誰もとがめはしないよ。それにあんなに大量に仕入れてるんだ。少しくらい平気だろ。」
そう言っている彼は、ガソリンを盗み出す手順を話し出す。
真由美もまずいような気がしたが、黙ってその話を聞いていた。
研究者の家はこの建物から近い、すぐ近くの坂を登って何軒か空き家を越えればすぐらしい。
周りが空き家だらけといっても奴らがいないとは限らない。
用心の為、車は使わず、歩いてその家までいくらしい。
その計画はあまりにいい加減てわ危険が伴うし、矛盾も多かったが、その時四人は最善の策だと考え、誰も反論しなかった。
話がまとまったところで、老人は真由美に不思議な事を話してきた。
「ちなみに、あなたがたもしかして、小田という性かい?」
「えっ、あっそうです。名前言ってませんでしたね。私小田真由美です。この仔は娘の弘美です。」
「やはりそうでしたか、いやいやそれなら私たちも安心ですな。」
「?…どういう意味ですか?」
「いやいや、なんでも。気にしないでください。」
質問の意味も安心の意味も理解できなかったが、真由美はとりあえず「はぁ。」といい、それ以上深く追求しなかった。
かくして四人は研究者の家に向う事になった。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.43 )
- 日時: 2013/02/06 18:24
- 名前: 斎藤メロン (ID: Cb0oSIti)
支度をし、武志を先頭にゆっくりと玄関の扉を開ける。
開けるとすぐに風の音が聞こえ、横から冷たい雪が吹きかかる。
まるで、悲鳴のような風の音は四人の不安感を駆り立てていた。
先頭に武志、そして真由美、弘美、老人の順に一列になって進んだ。
武志は猟銃の先に包丁をくくり付けただけの剣銃を持ち、老人も猟銃を構えていた。
かれらは狩をする人たちなのだろうか。
外は突然吹雪いたり、かと思ったら、雪の流れが緩やかになり視界が鮮明になったりとまばらであった、緩やかに雪が落ちてくる時に周りの音も聞こえやすくなり、時折、トンネルからであろう奴らの叫び声が聞こえて来た。
真由美は雪を踏みしめ、ひたすらに進む。
「よし、いくぞ。」
坂を登り始める前に武志はそう言った。
坂を登ると一直線に道路があり、両脇には空き家が並んでいる。
空き家にはすべての窓に板がうちつけられていて、吹雪と共に窓がきしむ音がする。
とにかく、この道路をまっすぐ進み、右に曲がるとすぐに研究所があるという。
道を進むにつれ、恐怖心から逃れたい一心で歩幅が大きくなる足早になる。
しかし、急に武志が足を止める。
「まて!とまれ!」
武志が小声で叫ぶ。
彼はある空き家を指さした。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.44 )
- 日時: 2013/02/06 22:49
- 名前: 斎藤メロン (ID: Cb0oSIti)
後少しだというのに、武志が立ち止り、指差し先には、扉が開いた空き家があった。扉は、風に吹かれ、右へ左へとゆらゆら揺れている。
ドアノブのところに微かな血痕が見えた時、真由美は戦慄した。
奴らがいる!四人に緊張が走る。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.45 )
- 日時: 2013/02/08 23:08
- 名前: 斎藤メロン (ID: Qvi/1zTB)
揺れている扉の奥に四人の視線は釘付けになる。
「いいか…物音、たてるなよ。」
武志は慎重に後ずさりしながり、そう小声でいう。
風が強く吹き抜け、扉が大きく開いた瞬間、真由美は暗闇の中に禍々しい光景を見た。
暗闇に男が一人、人間のふとももを貪る姿が見える。
胴体がバラバラに千切れ、もとももの付け根から飛びたした筋肉をまるで、手羽先にしゃぶりつく子供ように食べる男の姿は無邪気であった。
「ひっ、っ!」
真由美は思わず声を出してしまった。
すぐに口を抑えたが、遅かった。
男は真由美の音に反応し、素早く顔をこちらに向ける。
睨みつけてくる男の目は、道中夫に襲いかかった目と同じ目をしていた。
暗闇の中にいる、男が肉片を投げ捨て、立ち上がろうとした、瞬間に強風でその空き家の扉が今度は勢いよく閉まる。
それで、我に帰った武志が震えた声で
「や、やばい。見つかったぞ…。」
という。
「物陰にかくれろっ!」
すぐに四人は空き家の隙間に散り散りに身をかくした。
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