ダーク・ファンタジー小説
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 人食い病(ゾンビもの)
- 日時: 2016/09/13 14:25
- 名前: 斎藤メロン (ID: k7pNoPCO)
はじめまして、メロンです。
ゾンビもの投稿します。グロ描写などがあるので、苦手な方はご遠慮くださいね。
あ、ちなみに作品に登場する地域、団体名等はすべてフィクションであり、現実に存在しません!
——————プロローグ——————
北海道某所。大晦日の前々日私たちは実家で年を越そうとある町に向かっていた。
周りを山々に囲まれた町の名前は「布浸町」(ふしみちょう)。人口2万人、高齢者はその20%を占めている錆びれた町である。
夫の実家である布浸に行く旅路、彼女は不機嫌だった。
都会生まれの彼女にとって田舎へ向かうことは苦痛でしかなかったのだ。
そしてもうひとつ…。
彼女は何か嫌な予感をしていた。
彼女の名前は小田真由美(おだまゆみ)。本作の主人公である。
>>1
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.97 )
- 日時: 2014/05/03 11:58
- 名前: 斎藤メロン (ID: I.inwBVK)
車庫にたどり着いた真由美は何か使えそうなものがないか探す。
車庫は砂や砂利が中まで入り込みコンクリートの地面が微かに見える程度で、天井にはホコリが絡まった大きな蜘蛛の巣が貼ってあった。
明らかに汚い。真由美はホコリがついた当たりのものに触りたくなかったが車庫のカベに取り付けてある棚に鉈があるのに気がつき、嫌々それを手にする。
鉈についた砂利や粘着性のある得体のしれない付着物を真由美はほろうと、真由美の手は当然の如く汚れてしまう。
「最低!だから田舎は嫌なのよ。」と苛立ちを表にしたが、今はそれどころではない。
真由美は車庫に農業用のトラクターがあるのに目をやる。
「運転はできないけど、エンジンくらいならかけれるはず。」
車庫のシャッターは両側面についており、どちらもボタンで開閉を操作する仕組みになっていた。
「よし、よしよしよし!いけるかもしれない。…弘美すぐ迎えにいくからね。」
真由美はトラクターに乗り込みエンジンをかける。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.98 )
- 日時: 2014/05/08 02:35
- 名前: 斎藤メロン (ID: 0exqyz.j)
エンジン音をかけた後の緊張感は真由美にとって測ししれないものだった。
奴らは音により確実に車庫に集まってくる…その事を考えると恐怖で身体はすくみ、視界は歪んで見えた。
エンジン音は雪が降る静寂の中、風とはまた違った雑音を響かせ、その音は奴らにも届いた。
車庫の中にも、奴らの奇声と雪の中をかける音が聞こえる。
車庫の窓から外の様子を見ると、車庫に向かう奴らの姿が見えた。
「8.9.10.11.12…嘘…。さっきより多いじゃない。」
真由美は奴らの数を見誤っていたわけではなく、確認した位置からは見えない死角にも奴らは潜んでいたのだ。
真由美は目を閉じた。
瞼の裏には自分の愛娘の笑顔の姿が写っていた。
あの天使のような笑顔をもう一度見るために真由美は決心する。
「今のところ問題はないし…やるしかない。」
真由美は車庫を飛び出し、怪物たちに向かって大きく手を降る。
「おーい!こっちだよ!私を食べたかったらここまでおいで!!」
大声で叫ぶと、真由美の姿を見てさらに怪物の表情は一層醜くなり、動きも俊敏になる。
その姿を見て、体が震えた。しかしその顔は不思議と笑っていた。
「あはは…。言っちゃったよ。」
真由美はすぐに車庫に戻り、片側のシャッターのボタンを押し、さらにもう片方のシャッターも時間差でボタンを押す。
車庫のすぐ近くには、奴らの声がする。
真由美が反対側のシャッターに走り出すと、奴らも次々と車庫に入りこんでくる。雪のない車庫の中で奴らの足は、雪に足が囚われない分早くなる。
目の前のシャッターは既に閉まりかかっていた。そして奴らの手は真由美のすぐそばに…。
真由美はシャッターの少しの隙間に滑り込んだ。
すんでのところで真由美はシャッターの外に飛び出した。それからすぐに反対側のシャッターを閉める。
真由美は息を荒げながら、シャッターを見て再び笑みをこぼす。
シャッターを叩く無数の音を見ながら「やってやった。」と一言こぼした。
しかし、その姿を見ている人物がいた。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.99 )
- 日時: 2014/06/02 09:21
- 名前: 斉藤メロン (ID: /6p31nq7)
真由美が奴らを閉じ込めて安堵したのもつかの間、とてつもない殺気に視線を感じる方向に目をやると、
そこには一人だけ平屋に入り込んできた怪物が立って真由美を睨んでいた。
真由美とそれの目があった時、獣の様な呻き声とともに怪物は真由美に向かって一直線に向かって来た。
真由美も手に持っていた鉈を振り降ろす。
ーーーーーーーーーーーーー
白衣の男はポリタンクに座りしばらく考えていた。
「さて、どうしようか。鍵はない、扉を壊せそうなものもない。」
ライトで辺りを照らしながらそうつぶやく。
白衣の男は閉じ込められてからの数分間、倒れこんでそのまま動かなかったが。
それは決して真由美に信じてもらえず、落ち込んでいたり、はたまた蹴られた部位が痛んだからではない。
白衣の男は次の算段を考えていたのだ
どうしたら、あの少女を救えるかの。
白衣の男は腕時計を見る。
「そろそろかな。」
そう言ってからすぐに目の前の扉の施錠が解除される音がし、少しづつそこから光がさしこむ。
そこには返り血を浴び、身体が真っ赤に染まっている真由美が立っていた。
「なんだ、あなたですか。まだ何か用でも?」
真由美が何を求めて来たのか、それは白衣の男もすでにわかっていたし、そう言われずとも協力するつもりだったが、あえて男は意地悪くそう聞く。
「娘が攫われたの。お願い、協力して。」
男の口元がにやける。
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.100 )
- 日時: 2014/06/03 10:04
- 名前: 斉藤メロン (ID: 13OvT5q/)
白衣の男は口をにやけさせる。
「ふっ。やはり彼らは彼女をさらいましたか。」
「そう、だからあなたの助けがいる。」
真由美は淡々と答えた。
「さっきは私の話に耳を貸さなかったのに。随分都合がいいんですねぇ」
「勘違いしないで、あなたの事を完全に信じた訳じゃないのよ。もし断るなら容赦はしないわ。」
真由美は手に持っていた鉈を白衣の男に向ける。
その眼差しはさっきよりも真っ直ぐと目的を捉えていた。
男は笑いが止まらない。
「…いい眼をしてる。貪欲な眼だ。娘の為ならどんな事でもしてしまいそうな真っ直ぐな眼…。いいでしょう。元から貴方がくる事は予測していましたし、もちろん協力を求められたら断らないつもりでした。あなたに協力する。」
白衣の男は立ち上がり、長丈の白衣をばさっと後ろになびかせた。
「だだし、あなたも勘違いしてもらっては困る。私が協力するのはあの少女の為だ。そして愛の為。」
真由美は黙って話を聞いた。
「私の名前を言っていなかったな。わたしは福井(ふくい)だ。よろしく。」
- Re: 人食い病(ゾンビもの) ( No.101 )
- 日時: 2014/06/05 23:12
- 名前: 斉藤メロン (ID: .1vW5oTT)
福井は地図を広げた。
伏見町の地図を簡潔に書いた手書きのものだったが、主要な建築物や観光名所などが所々にかかれていた。
肩に包帯を巻いた真由美は手書きの地図を見ながら
「貴方がかいたの?」という。
「そう。一通りこの町の事は調べ上げたからね。越してきてすぐに書いたもので、また使うとは思わなかったがな。今いるのはここだ。」
そういうと福井は町外れの空白の部分をマーカーで赤く囲む。
「娘が向かってるのはおそらくここだ。」
福井はさらにマーカーで線を引き、ある点に印をつける。
その少し下にはスキー場が殴り書きで記されていた。
真由美はそのスキー場が、老人たちが向かうと言っていた場所だとすぐに気づき、「あっ」といった。
「どうした?」
「あ、いや、確かあの二人。このスキー場に向かうって言っていた。」
福井は少し考える。
「その放送ならわたしも聞いた。だけど…そこが無事な可能性はかなり低い」
「なんで?頻繁に放送は流れていたんでしょう?」
「何を言ってる。昨日の吹雪から放送は流れてきていないぞ。それまでは朝と昼、夜に三回づつ呼びかけていたんだが…。恐らく奴らに攻め込まれたんだろう。」
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31