二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 【イナズマイレブン】〜試練の戦い〜アンケートやってます☆
- 日時: 2011/07/03 20:08
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: PODBTIS5)
- 参照: http://ncode.syosetu.com/n2574t/
お知らせ(new!)——キャラの掛け合いにしてみた
蓮「今年の夏はどこに行く?」
綱「そりゃ沖縄だろ。熱いし、暑いし、サイコーだぜ!」
蓮「……お粗末様」
コメント返しが滞っている件について>>361
>>446懲りずに七夕アンケート。ご協力願います^^
↑url。小説家になろうというサイト様に投稿しました。こっちの方が纏めやすいので;;よければ感想や評価のレビューをお願いします^^って、つながっていませんでしたね><今度は通じているので大丈夫です。
●過去の話を随意整理中。初見の方や見直したい! と言う方はヒンメル様のサイト(URLは↑)へどうぞ!
●ふぁーすと
初めまして^^ イナイレに脳内を侵略されつつあるしずくと申します。お好きに呼んでください^^
コメントや小説の宣伝はいつでも大歓迎です^^むしろ宣伝してくだされば直行します。
友達の影響でイナズマイレブンにハマり始めたので、オリキャラとイナイレキャラ達の友情を、勝手気ままに執筆します。そのせいでサッカーより、友情話が多いと思いますv
イナズマイレブンの友情には、興奮したりしたので、上手く表現できたらいいです><
誤字脱字天国なので気づいたら、指摘してくださると嬉しいです。
イナイレしらねぇって方でも、わかるように書いていきたいと思うので、知らない方、暇だからクリックしてやったぜと言う方も是非読んでくださいね!
どうでもいいですが、筆者は涼野・風丸・吹雪好き。染岡さんや南雲も好きですよ—!
以下の方はしっぷうダッシュでお戻りを!
○目が目がぁぁあああな残念な文はオレの好みじゃない
○インチキキャラもいい加減にしろ!
○荒らし!悪口!最高!
☆イナズマイレブンとは?☆
レベルファイブ様原作の、サッカーゲーム。アニメも水曜日7時から放映中。
雷門中学校を中心とし、サッカーで様々な相手と戦うゲーム。サッカーなのに、人が炎を吐いたり、動物を出したり……とにかくそんな「超次元」が売り物。今挙げたものは「必殺技」と呼ばれ、ドリブル(相手陣内へ進む)、ブロック技(相手の攻撃を防ぐ)、オフェンス技(ゴールを狙うのに使う攻撃技)、ゴールキーパーが使用するキャッチ技(ボールを取るのに使う技)に分類される。ポケ●ンを知っている方は、わかりやすいかもしれません^^;サッカーの知識がなくても、楽しめる!。ストーリーもいい、神ゲーです!
ただいま3、世界への挑戦!の発売が決定し、発売した。携帯サイトでも絶好調!
では、小説go! オリキャラ集は>>2へ移動。
本編
第一部
一章
「それがその始まりだった……」>>2,>>7,>>9,>>12,>>15,>>19,>>22,>>24
二章
「狂う。全ては予め決められていたように……」>>26,>>27,>>31,>>35,>>38,>>39,>>40
三章
「その光は輝く太陽か。イカロスの翼を焼く灼熱か」>>43,>>46,>>50,>>51,>>55,>>56,>>62,>>70,>>71,>>80,>>81,>>85->>87,>>93,>>112,>>118,>>122,>>123,>>130,>>131,>>134,>>136->>137,>>139,>>140,>>147->>148,>>158,>>162,>>165,>>169,>>171
四章「その出会いは、幸せか。それとも不幸せか」
>>177,>>183,>>184,>>185,>>189,>>194,>>196,>>197,>>209,>>210,>>213,>>214,>>217,>>309,
,>>313,>>314,>>316,>>319,>>320
五章「あの人はわたしの思いを正しく知らない」
>>336,>>339,>>346,>>354,>>356,>>357,>>360,>>370,>>372,>>373,>>376,>>377,>>383,>>411,>>418,>>420-
外(またの名を駄文集合体)
ガゼバン(?)>>77
くりあ様リク(アイリス×風丸)>>200
アンケート返し>>204
韓国組と年を越そう!(蓮がファイドラ所属設定)>>221,>>222
無題(ふぁいん様りく)
>>231,>>235,>>241,>>242,>>244,>>247,>>248,>>252,>>256,>>257,>>263,>>265,>>269,>>270,>>271,>>272
to elf from elf(入れ替わりバレンタイン。蓮←韓国3TOP)
>>274->>287,>>288,>>293,>>297->>298
蓮の誕生日編
イナズマジャパン>>386
ファイアードラゴン
>>388,>>392,>>394,>>395,>>399,>>401,>>404->>407
呟き
>>408
オリキャラ募集は一時停止です;;
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- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.35 )
- 日時: 2010/06/22 16:19
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: XHLJtWbQ)
翌朝——よく晴れ渡った空の元、キャラバンは高速道路を進んでいく。
辺りの景色も山が多くなってきた。古株さんの話によると、もうすぐ奈良に着くとのことだ。その中で。
「白鳥! すげ〜量の菓子だな……」
隣の席から覗き込む円堂があんぐりと口をあけた。それは昨晩涼野が詫びだと言っていた袋の中身のせいである。
袋の中はとにかく大量の菓子袋だらけであった。みんなでつまめそうな子袋入りの菓子から、グミにポテトチップスとてんこもり。値段から言えばあのせんべいと同等はありそうだが、とても一人で食えるような量ではない。
「風介のやつ……何を考えているんだ?」
「そのお菓子、みんなで分けたらどうだ?」
風介への文句を言っていたが、それは後ろから話しかけてきた風丸の声に消されてしまった。
「お菓子! そうッス! 先輩一人じめなんてひどいッス!」
その声に続くように、かなりふくよかな体格で、よくふくらんだあんぱんのような顔。目はだるまのように丸く、動物のような印象を与える。それと顔に貼りつくように生える緑の短い髪を持つ後輩——壁山 塀五郎(かべやま へいごろう)が声を上げた。
「だな。全部一人で食べるつもりだったのか?」
「いや〜景品だよ。そう景品。くじ引きで当たったんだ」
「はぁ……お菓子が景品なら、俺も夜にやりに行けばよかったッス」
適当ないいわけをすると、壁山が崩れるように席に座った。思い切り座ったので、バスが少し揺れた気がした。
「あはは……分けてあげるから元気だしなよ」
蓮がそう言うと、壁山は目に星を宿して拳を天に突き上げた。
「やったッス〜!」
みなの笑い声を乗せ、キャラバンは西に進んでいく。
「…………」
白くツンツンとチューリップのように逆立つ髪と、黒いツリ目を持つ少年——豪炎寺 修也(ごうえんじ しゅうや)一人を除いては。
それから数時間が立ち、キャラバンは奈良の地に到着した。
今は市街地を走っているためか、歴史の教科書で習ったような遺跡がところどころに見られ、一年生数人がはしゃいで夏未にしかられた。そんな光景を見ながら蓮はぽつりと一言。
「やっぱり東に来ると違うね。もっとあったかいし、空気もなんか違う気がする」
「……白鳥。奈良県の周りの県と府を全部言ってみろ」
「え〜っと。青森県と沖縄県と名古屋県? あと大阪府かな?」
「…………」
*
キャラバンは奈良のシカ公園の駐車場に止まった。外に出ると東京より少しばかり暖かい空気に身を包まれた。
「さっそく財前総理がさらわれた現場に向かうわよ」
瞳子の一言で、一同は公園の中に足を進めた。
中は、どこまでも広がる鮮やかな緑の芝生が広がる。今は桜の季節であるためか、ピンク色の桜が空いっぱいに両腕を広げていてグリーンのコントラストが美しい。さらにあちこちにいる鹿が、アクセントとなり風景をいっそう盛り上げてくれている。
辺りを見ると黒いスーツ姿でなおかついかつい面持ちの男たちがぎろりとした目つきで辺りをうかがっているのが見えてきた。
「ひぇええ〜おっかないッス」
怖がりな壁山が身を震わせながら、頭を抱えた。
「…ッ」
その横で風丸が顔をゆがめ、一度足を止めた。
「風丸くん?」
「白鳥。なんでもない気にしないでくれ……」
「……そう? ならいいけど——」
蓮は再び歩き出す。
「総理が攫われたんだ。仕方がないだろう」
「先を急ぐわよ」
しばらく進むと、ふいに巨大な台座のようなものが見えてくる。
石段を数段登った先には、銅で作られた立派な台座が鎮座していた。ただその上にあったらしい透明な鉱石で作られた石造は、包丁で野菜を切ったかのようにきれいに真っ二つにされ、今は鹿らしい動物の後ろ足部分だけが無残に残されている。
「ひどいね……」
像の前で蓮が眉を細めていると、不意に壁山が指を指して声を上げた。
「あああああ! このボール!」
指の先は台座の石段前を指している。その先に目をやると、サッカーボールが落ちていた。フィーが持っていたものに酷似(こくじ)した白い部分が黒く、黒の部分は黄緑で塗られたサッカーボール。
一番近くにいた円堂が近づき、持ち上げようと試みるが——
「お、重い」
沸騰したやかんのような顔をした円堂が何度上に上げようとしても、ボールは何故だかびくともしない。ついには円堂がダウンし、荒い息を吐きながら地面に片ひざをついてしまう。
「く」
「宇宙人め! ようやく尻尾を出したな!」
円堂の声をさえぎるように、少し低めな少女の声がした。なんのことかと雷門イレブンが声のほうを見やると、黒いスーツをびしっと決めた少女一人と、やはり黒スーツの、しかしさまざまな年齢層の大人たちがずらっと並んでいた。
「へ? 宇宙人ってオレたちがか!?」
「あんたたち以外に誰がいるって言うんだ」
リーダー、なのかわからないが少女が前に進み出てきた。
ふんわりとふくらんだ濃いピンク色の髪の上に、青地に中央に白いラインが描かれた青いニット帽を被っている。
「オレたちは宇宙人じゃない!」
「とぼけないでよ。そのボールがなによりの証拠だ。犯人は現場に戻るって言うけど……本当らしいね」
少女の一方的な言いがかりに雷門イレブンは困惑。サッカーボールに触っただけで犯人扱いなんて失礼だろ! と他にも声をあげたが聞いてもらえそうにない。
しばらく水掛け論が続いたところで、少女が思いついたように、
「だったらサッカーで証明してみなよ」
となんだか予想外な提案をしてきた。
「あたしたちSPフィクサーズと戦って……勝てたら、認めてあげる。どう?」
「いいぜ! サッカーでオレたちが宇宙人じゃないってことを証明してやるぜ!」
円堂は憤っていたためか、すんなりと受け入れてしまう。
雷門イレブン一同はああ……と困ったようにため息をついた。
〜つづく〜
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.36 )
- 日時: 2010/06/22 16:26
- 名前: あむ (ID: XHLJtWbQ)
今回も面白い!
あげっ!
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.37 )
- 日時: 2010/06/22 17:28
- 名前: 空紅 ◆.cU92yuIQo (ID: hQNiL0LO)
うぉう!!
風丸ぅぅぅぅぅ((強制終了
……え、誰だか分からない??
ごめんごめん。風梨です。
面白い!!つーか塔子登場ひゃほーい((ぇ
頑張ってねw
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.38 )
- 日時: 2010/06/29 15:50
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: XHLJtWbQ)
巨シカ像からほんの少し離れた場所に、サッカーフィールドがあった。広さはごく一般的な広さ。フィールドの周りを残し芝生はすべて刈られ、砂地が顔を出している。ラインマークは、学校によくある石灰で書かれたものらしく、ところどころ消えかかっていた。
「ところで、どうしてオレたちはサッカーやるんだ?」
こちら側のゴールの前で円堂が首をかしげた。怒ることに夢中で、ほかの事は気にしていなかったらしい。円堂の発言を聞いた夏未が少し眉間に顔を寄せながら、
「SPフィクサーズは総理を守るためのボディガード……まあ偉い人を守る警察のようなものですって。——サッカー好きな総理の影響で、サッカーで体を鍛えているそうよ」
「……ずいぶん無茶だね。サッカーだけで政府要人を守るなんて」
「まあ、いいんじゃないか」
少し間があき、鬼道が口を開く。
「監督。今回の作戦は?」
「そうね。きみたちの好きなようにやってようだい」
またもしごくあっさりとそんな一言。チーム内に小さなどよめきの嵐が起きる。あるものは声を上げ、あるものは無言のまま。だが大抵は不安げな表情をし、互いに顔を見やりながら意見を交わしている。
「お、おい。大丈夫なのか?」
「作戦なしで勝てるんッスか!?」
そんな中でも鬼道ただ一人だけ顔色をまったく変えず、冷静な口調で言う。
「監督は、オレたちのプレイが見たいんだろう」
「そ。新しい子も加わって、あなたたちのプレーは変わるはず。力を見せて頂戴」
そして瞳子は蓮へと向き直る。
「……白鳥くんは、下がっていなさい」
「そっか。体力がな……」
無遠慮な壁山が口を開きかけ、チームからあちこち冷たい視線を投げかけられ、慌てて口を閉じた。蓮へとびくしくしながら視線を向ける。蓮は少し微笑み、気にしてないよ。と声をかける。
チームは押し黙った。蓮はわかっていたとはいえ、改めて自分がお荷物であることを悟らされる。
10分しかプレイできない選手など、本来なら捨てられてしまうのだろう。それでも円堂くんは、雷門のみんなは自分をチームに入れてくれた。監督がどのタイミングで入れてくれるかはわからないが、出れたら頑張ろう。時間が長くなるのを待っているチームのために、精一杯やろう。
「わかりました」
はっきりと蓮は頷くと、チームメイトをぐるりと見渡して、
「みんな頑張ってきてくれよ!」
と声援を送った。みんなは、白鳥待っているぜ。後で頑張れよ、等と逆に励ましてくれた。そしてフィールドの中へと進んでいく。
試合は雷門の劣勢(れっせい)だった。
パスをまわそうとして、SP側にボールを奪われてしまう。ドリブルをしていても、カットされてしまう。サッカーの優勝校とは思えない、凡ミスが目立つ。特に風丸、染岡、壁山の三人が誰よりも反応が遅い。時々苦痛に顔をゆがめ、足をさすっている。その光景をフィールドの中央部分の外側にいる蓮は見て、
「風丸くんたち……足、怪我しているんじゃあ」
独り言のように呟く。瞳子の表情が少し険しくなったが、蓮は気がついていなかった。
「かもしれないわね。傘美野でのケガは、おそらくまだ完治していないはず。ぴんぴんしているのは、白鳥くんと、友達に会いに行っていた、一之瀬くん、土門くんくらいでしょう」
「え! 怪我したままプレイして大丈夫なのか?」
「…………」
夏未からの答えはなかった。そして同時に——時計を見ていた古株さんが、鋭くホイッスルを吹き鳴らす。スコアは、0−0のままであった。
「みんな。後半からの指示を伝えるわよ」
休憩時間の時、不意に瞳子監督が口を開いた。スポーツドリンクを飲んでいたり、ベンチに座って休んでいたりしたメンバーは、視線を瞳子に集中させる。
「風丸くん、壁山くん、染岡くん。後半はベンチに下がっていなさい」
ざわざわっと再びどよめきの嵐。納得がいかないのか、3人とも瞳子に食って掛かる。
「監督! どういうことだ!」
「そうっス! ただでさえ人数が少ないのに!」
「オレたちが抜けたら、チームは余計戦いづらくなりますよ!」
いつも通り表情をまったく変えないまま瞳子は、
「……白鳥くん。風丸くんの位置に入りなさい」
「え? DFってことですか?」
またチームが混乱するようなことを言った。白鳥はFWじゃないのか? なんでDFなんだ? とあちこちでクエスチョンマークが飛び交う。
それは蓮自身も同じである。小学校のころ——倒れる前は、ずっとFWをこなしてきた。エースストライカーとまでは行かないが、そこそこの活躍はしていた覚えがある。現におとといの試合だって、あいつら点を取れた。それなのに……何故?
「作戦は以上よ」
「でも監督!」
「お〜い! そろそろ後半の時間じゃぞ」
古株さんから声がかかり、しぶしぶメンバーはフィールドの中へと進んでいく。蓮は、ジャージを脱ぎ、雷門の鮮やかなユニフォームに袖を通していく。
〜つづく〜
かきましたぁ^^私はポジションではFWが好きです。吹雪やガゼル、かっこいいですよね。
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.39 )
- 日時: 2010/07/16 10:32
- 名前: しずく ◆UaO7kZlnMA (ID: ErINZn8e)
フィールドの中に一歩足を進めると、ドクンと蓮の胸が高鳴る。同時に心臓の鼓動がいつもよりはっきりと感じられた。この感覚は小学校のとき以来だ。強い相手と戦えると思う——ワクワクした感覚。傘美野の時は必死で思えなかったけど、サッカー前は本来こういうものなのだろう。
ゴール前をゆっくりと通り過ぎ、しっかりと持ち場に足をつける。風丸がもともといたゴール前のDF。あたりを見渡すと、心なしかこちらがスカスカな気がする。DF、FWが欠けたフィールドは不安を駆り立たせる。
「大丈夫かな」
「白鳥! 無理するなよ!」
心配そうに蓮が呟くと、背後にいる円堂が大きな援を送ってきた。蓮は一度振り向くと、大丈夫! と言う意味合いをこめて円堂に大きく手を振った。
「……蓮。キミのプレイ、見させてもらおう」
そのずっと後ろ——ゴールから数メートル離れた木の後ろに涼野がいた。もちろん誰も気づいていない。
やがてキックオフの、後半開始を合図するホイッスルが空気を振るわせる。今ボールは雷門側にある。豪炎寺が鬼道へとボールを蹴った。
「行けるか……?」
鬼道は敵に近づかれると、遠くにいた一之瀬にロングパス。一之瀬がそのままドリブルをし、一気にゴールへ近づく。
「行け! 豪炎寺!」
と見せて、左側にいた豪炎寺にボールを回す。SPフィクサーズのDF陣は一之瀬に気を取られていたのか、左サイドはガラ空。豪炎寺はゴール前へ進むと、ボールを空中へと蹴り上げ、自分自身もジャンプした。
「<ファイア・トルネード>!」
ボールより若干高い位置にジャンプしていた豪炎寺は空中で体をクルクルと回転。同時に彼の左足に炎が渦を巻きながらまとう。その左足を上からボールに叩きつけると、ボールは炎の塊(かたまり)となってゴールへまっすぐ向かう。エースストライカーの必殺技<ファイア・トルネード>。目の前で見ると、迫力が違う。
「負けるか! <タフネス・ブロック>!」
SPのGK——30代前半ほどのふくよかな男は、両手を胸の前でクロスさせ、手を腰の位置まで持ってくる。そして強靭(きょうじん)な胸元で、炎をまとったボールにぶつかっていった。ボールと体がぶつかる。GKは初めこそふんばっていたものの、とうとう足元から崩れた。ボールがネットに入った。
「よっしゃあ!」
そこから先の試合は完全に雷門のリズムで流れていった。蓮がDFに入ったことにより、ボールを上手いことカットし、味方へパス。蓮の持ち味の俊敏さは、どうやらDFとしても上手く役に立ったらしい。結局のところ、SPフィクサーズの誰もが円堂の元へ来ることなく、試合は終了した。
「白鳥! お前、30分プレイできたじゃないか!」
時間が長くなったことに円堂が歓声を上げる。しかし今回はたいして技も使わなかったし……
「今回はワザを使わなかったから——」
今気がついた。自分は技を使うたびに、身体の力が吸収されていくような感じがする。この前フィーとの戦いでも、技を使った瞬間に意識を失った。つまり……技さえ使わなければプレイはできるのかもしれない。
蓮と円堂が話し合っていると、SPフィクサーズの少女がこちらに歩み寄り、にこやかに笑いかけてきた。
「さすが全国大会で優勝した雷門イレブンだね」
「え!?」
「いやぁ〜それほどでも……」
驚いている蓮の横で、円堂は頬を赤く染め、へこへこと頭を下げた。しかしすぐにはっとしたような表情になり、
「え! どういうことだよ!?」
「知ってたよ。あんたたちが全国大会で優勝した雷門イレブンだって。……あ、自己紹介しなくちゃな! あたしは財前 塔子(ざいぜん とうこ)。塔子って呼んでよ」
そう塔子はにこやかに自己紹介をしたが、”財前”と言う名字に、雷門イレブンの間には少なからず衝撃が走った。
「そ、総理大臣の娘!?」
「そっか〜。よろしくな、塔子!」
ただ一人、円堂だけは臆することなく塔子に話しかける。SPフィクサーズの視線が少々鋭い気がするのは気のせいだろうか。
「それにしても……どうして無理やり試合を挑んできたの?」
蓮が尋ねると、塔子は凛とした表情になり、
「あたし、パパを助けたいんだ。エイリア学園のやつらはパパを誘拐しておいて、今も堂々とあちこちで破壊活動を繰り返している。それが悔しいんだ。でも…
…一人じゃ無理って悩んでいたらあんたたちが現れた。雷門中なら行けるかもって思ってさ、力試しをさせてもらったんだ。無理に試合させて悪かったと思ってる」
と、申し訳なさと強い決意が混じったような 複雑な顔で塔子は頭を下げた。
騒動の顛末(てんまつ)が、塔子の悪く言えば自分勝手な思いのせいだったので、雷門イレブンに少し不穏な空気が流れる。しかし謝ってくれたんだからいいだろ、と円堂が言ったので許す方向に雰囲気が変わる。
「いいぜ塔子! オレたちと一緒に財前総理を救おうぜ!」
「い……いいのか! ありがとう!」
目に星を宿した塔子は、嬉しさのあまり跳び上がった。同時にSPフィクサーズがざわつく。すぐさま、SPフィクサーズの一人が、中年で顔が四角に近く、色黒な男が顔色を変えて塔子の前に出てきた。
「塔子お嬢様! 危険です!」
その男を見た塔子は思い切りむくれた。
「なんだよスミス! あたしは円堂たちと一緒に、エイリア学園からパパを助けるんだ!」
「危険です! 総理だけではなく、あなたまで誘拐されたらどうするのですか」
「あたしは子供じゃないんだ! 誘拐なんてされないよ!」
ここから先は水掛け論。スミスが危ないから止めろといくら言っても、塔子は子供の様なわがままで……時には核心をついた言葉で反論。それが永遠に自分の尾を噛み続けると言うウルボロスのごとく続く。
そんな騒動を数メートル離れた木陰から、涼野が見物していた。相変わらず感情があるかないかわからないような顔つきだが、その双眸(そうぼう)は緩められていた。彼の澄んだ青緑の瞳には——塔子とスミスを仲裁しようと奮闘する蓮の姿が映っていた。
「彼は変わっていないね」
涼野の真後ろの木から声が飛んできた。少し低い少年の声。その声を聞いた途端、涼野は目つきを鋭くした。だが振り向かない。
「グランか。何の用だい?」
声の主『グラン』にそっけない返答をした。グランは少しだけ笑った。
「相変わらず白鳥くんにご執心だね。……ガゼルがなかなか帰ってこないから、心配して見に来た。それだけのことさ」
『グラン』と呼ばれた声の主は、落ち着いた口調で微笑しながら答えた。涼野……いやガゼルは相変わらず蓮を見つめながら、淡々とした調子で話す。
「キミは私の心配をする人間ではないだろう。父さんの命令か?」
「ううん。オレが勝手に来ただけだよ。バーンだってキミがいないのを気にかけている」
「バーンが? だが私は——しばらくそちらに帰るつもりはない。雷門のことをもう少し調べたい」
「だったらすぐに調べられるよ。ほら」
グランがそう言った同時に、蓮たちがいる場所でくぐもった爆発音がし、もうもうと茶色の土煙が広がっているのが見えた。
「……なるほど。彼らと雷門を戦わせるのか」
「そう。フィーたちから一転奪い取ったんだろう? その実力ってやつを見てみたいからさ」
一方その頃蓮たちは、土煙に視界を奪われていた。やがて波が引くように砂煙が治まり、ようやく目を開けてみると——そこにはさっきまではいなかった人間たちがいた。
全部でおよそ11人。ふくよかな男から、標準体型の少女に見える人物まで……色々混ざっているが、彼らはダイビングで着用するようなスェットを身につけていた。そして首からはサスペンダーが下げられ、さらに腰のあたりにある丸いリングにつながっている。正三角形を下にした形の物体があり、その中央には青く丸い石の様なものがはめ込まれている。スェットの色は灰色で半袖、下は膝小僧の上まである。袖と身体のラインの外側にあたる部分は、白いぎざぎざが付いている。
(だ……だれだあいつら!?)
謎のサッカー集団を見ていた蓮は、急に息が荒くなってきた。何故だか心臓が脈打つスピードがいつもより速い。速すぎて、逆に胸が痛くなってくる。立っているのに耐えられず、胸を押さえたまま地面にがっくりと膝をつく。
「白鳥!」
近くにいた円堂が異変を察知し、蓮に駆け寄る。見る見る間に蓮の顔は青ざめて行き、半ば気を失いかけようとしていた。そのまま前に倒れそうになり、円堂が慌てて両腕で抱きかかえる。顔がこちら側を向くように抱きなおし、
「おい白鳥! 白鳥!」
必死に呼びかけながら円堂が体をゆする。だが蓮は目を覚ますどころか呼吸だけが荒くなっていき、顔にはびっしりと汗が張り付いてしまっている。
「お前たちは何者だ!」
蓮と円堂の横で、塔子が威嚇をするように声を上げた。するとその中の一人——緑の髪を抹茶ソフトクリームのように逆立てている人間が進み出て来た。
「我らはエイリア学園セカンドランクチーム”ジェミニストーム”なり。愚かな地球人どもよ……こうしてわざわざ挑戦しに来てやったことを感謝しろ」
「エイリア学園! パパを返せ!」
塔子がジェミニストームに飛びかかろうとして、スミスが後ろから抑えにかかる。暴れる塔子を尻目に、鬼道が警戒気味に声を上げる。
「ジェミニストームと言ったな? オレたち雷門に何の用だ」
「全国大会優勝校である貴様らを倒し、世界中に我らの恐ろしさを示すのだ」
「要するにオレたちを倒すと言うことか」
「この試合は逃げることは許されない。もし貴様らが逃げると言うのなら、この奈良にある学校をいくつか破壊させてもらおう」
「そんなことはさせない!」
先ほどからずっと蓮の介抱をしていてようやく終わった円堂が、大きな声で叫んだ。その横では顔色がだいぶよくなった蓮が、少しハイテンポの息を吐きながらジェミニストームを睨んでいる。
「オレたちだって強くなっているんだ! 今度こそ、エイリア学園にだって負けやしない!」
「……愚かな」
相手チームのキャプテンは憫笑した。
「地球にはこんなことわざがある。”弱い犬ほどよく吠える”」
「吠えるのが無駄かどうか……やってみなきゃわからないよ」
〜つづく〜
グランも出してみたり。ガゼル率が高いですね^^;
世界への挑戦でも、今ガゼルばかりを使っています。
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