コメディ・ライト小説(新)

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暁のカトレア 《完結!》
日時: 2019/06/23 20:35
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: 9i/i21IK)

初めまして。あるいは、おはこんにちばんは。四季と申します。
今作もゆっくりまったり書いていく予定ですので、お付き合いいただければ幸いです。


《あらすじ》
レヴィアス帝国に謎の生物 "化け物" が出現するようになり約十年。
平凡な毎日を送っていた齢十八の少女 マレイ・チャーム・カトレアは、一人の青年と出会う。
それは、彼女の人生を大きく変える出会いだった。

※シリアス多めかもしれません。
※「小説家になろう」にも投稿しています。


《目次》
prologue >>01
episode >>04-08 >>11-76 >>79-152
epilogue >>153


《コメント・感想、ありがとうございました!》
夕月あいむさん
てるてる522さん
雪うさぎさん
御笠さん
塩鮭☆ユーリさん

Re: 暁のカトレア ( No.1 )
日時: 2018/04/29 18:25
名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: HBvApUx3)

prologue

 その日は突然やって来た。
 生まれて十年。私——マレイ・チャーム・カトレアが暮らしてきた村は、一夜にして滅んだのである。
 謎の化け物の襲撃によって。

「逃げろ!」
「あれはまずいぞ!足が多すぎる!」
「助けて!」
 その夜、私が目を覚ました時、村は既に赤い炎に包まれていた。
 耳をつんざくような女の悲鳴。子どもの泣き声。腹の底から出るような男の叫び。村人たちの声が飛び交う異常な空気の中、起きたばかりの私も家から逃げることになった。
「マレイ!逃げるわよ!」
「う、うん……」
「早く早く!」
 カトレア家の一人娘だった私は、母に手を引かれ、あてもなく走る。
 背後には黒い影。その形から、巨大蜘蛛のような形をしていることだけは推測できる。
 赤い炎の中、忍び寄る黒い影は、死という名の魔の手が迫ってきているかのようだ。恐ろしすぎる。
 私は暫し懸命に駆けた。
 寝起きの、まだ目が覚めきらない状態なので、何度も足が絡みそうになる。それでも一生懸命に走った。背後から謎の化け物が襲いかかってくる今、止まることは死と同義だからだ。
 だが、ついに私は転んでしまった。地面の小石につまづいたようである。
「マレイ!」
 少し先を行っていた母が戻ってくる。
「立つのよ、マレイ。早く。急いで」
「膝痛いよ……」
「擦りむいたのね。後で消毒するわ。とにかく今は——危ないっ!」
 それが母の最期の言葉となった。
 謎の化け物が放った凄まじい火炎が、辺りを焼き尽くす。咄嗟に私を突き飛ばした母は、その炎に巻き込まれ、灰と化した。ほんの数秒のことだった。
 私は逃げようと試みる。だが足が震えて立ち上がることさえできない。
 最悪だ。こんな最悪の日が、前触れもなく来るなんて。
「あ……」
 漂う煙の隙間から、蜘蛛のような脚が何本も覗く。高さは三メートルくらいだろうか。今まで見たことのないような巨大な化け物が、じわりじわりと、私の方へ歩を進めてくる。
 吐き出す炎に焼かれるか、太く長い脚に踏み潰されるか。
 もはや逃げようのない私に残された道は、その二つのうちどちらかしかない。いずれにせよ、私を待ち受けるのは死しかないということである。
 これまた最悪としか言い様のない展開だ。
 私は諦めた。
 こんな巨大な化け物に襲われたのだ、死ぬのも仕方ない。
 そんな風に。

 ——しかし、その直後。

 黄金の光が視界を駆け抜ける。
 そして気がついた時には、蜘蛛のような化け物の脚が二本ほど切断されていた。脚を失いバランスを崩した化け物は、動きを鈍らせる。
「今のうちに!」
 いつの間にか目の前に立っていた白い衣装の青年が、化け物を睨んだまま叫ぶ。
 化け物の脚を切断したのは、恐らく彼なのだろう——というのも、彼の手には白銀の剣が握られていたのだ。しかも、その細く長い刃には、薄紫の粘液がまとわりついている。
「逃げて!」
「で……でも……」
「早く!」
 青年に鋭く叫ばれた時、私はようやく「逃げよう」と覚悟を決めた。
 しばらくもがいて何とか立ち上がり、震える足を必死に動かす。激しい震えのせいで千鳥足のようになりながらも歩く。擦りむいた膝が軋むように痛むが、それでも歩く。そして、徐々に速度を上げていく。
 次第に体が温まり、足が動くようになってくる。私はそのペースに乗り、走った。
 黒い影が遠ざかっていく。
 今日はひたすらついていない私だったが、最悪を免れることができる可能性が出てきた。
 助かるかもしれない——。
 そんな細やかな希望を胸に、私は駆けていく。赤い炎に彩られた、夜の闇を。

Re: 暁のカトレア ( No.2 )
日時: 2018/04/29 22:04
名前: 夕月あいむ (ID: HPru.2N2)

新作キター(・∀・)
今回も面白そうですね。ってか面白かった。
エレミナーレは現代みたいな世界観でしたけど、今回は帝国でしたね。(あと化け物いたし…)
謎の青年、気になりますね~。
次回楽しみにしてま~す!


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