ダーク・ファンタジー小説
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- ライトホラー・ショートショート(最終更新8月12日)
- 日時: 2015/08/12 16:54
- 名前: あるま (ID: Ba9T.ag9)
参照してくれて、ありがとうございます。
続き物じゃないので、お好きなところから読んでいただけます。
最近に更新したものはこちらです。
「隣町のカラオケ」>>167(2015年8月12日アップ)
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「ねたみ」>>21
「カギ」>>28
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「隣町のカラオケ>>167」
「操り人形」>>156 >>157
「日常はかけがえのないもの」>>158 >>159
あとがき・おまけ怪談>>162
一言でもなんでもいいので感想くれると嬉しいです!
- Re: 私が聞いたようで見ていない、ちょっぴり怖い話(怪談集) ( No.93 )
- 日時: 2013/07/02 17:29
- 名前: あるま ◆p4Tyoe2BOE (ID: Ba9T.ag9)
第21回「まっちゃのちゃろすけ」
その夏、留学生のCは日本人のNと一緒に住むことになった。
Cは真っ白な肌に青い瞳を持ち、癖のないブロンドが腰まで伸びていた。
Nは女どうしだというのに一目ボレし、「リアルフランス人形だ。ぜったい一緒に住む!」と思った。
Nの住まいは築40年という安アパートで、貧乏学生が多く住んでいた。
それでも外国人には珍しいようで、部屋を見たCは、
「OH! タタミですね。日本の家屋デース。ふすまの穴も、風情がアリマス」
と言って楽しそうだった。
「ナンダカこの部屋、美味しそーな匂いがシマス」
「すぐ隣がラーメン屋さんなの。いくら家賃が安くても、私、これには三日で嫌になっちゃった。そっち側の窓は開けないでね。ラーメン屋の換気扇が目の前だから……」
こうして二人の清純な共同生活が始まったが、その夜から不思議なことは起こった。
Cが日本語の勉強をしていると、台所の方から音がする。
バシ、バシ、と、何か平たいもので床を叩く音だった。
それから、シュゥゥゥゥゥゥっとスプレーのような音。
「N、何やってるデスカ」
Cが戸を開けると、Nが目の前をふさぐように立っていた。鼻につく、化学的なにおいがした。
「何でもない何でもない。内職よ、内職。私、貧乏学生だからさ」
「ソーデスカ。私もアシスタント(手伝い)できればいいデスケド」
「ありがとう。でもこれ私の仕事だから。Cが居るだけで家賃も半分だし、それだけでも助かるよ」
その後も、同じような音が何度も響いた。Cは遠慮して、気になってものぞかなかった。
「さて、寝ようかC」
「え! もうデスカ? 日本人はヨフカシするって聞いたのデース」
「早く寝るのもいいんだよ。この家って、遅くまで起きてるといいことないんだ」
そう言ってNは蚊帳(かや)をつりはじめた。
Cは聞いたことがある。日本には蚊が多いから、寝る時はこの中で寝るらしい。最近はあまり使われなくなったと聞いたが。
「ほら、おいで」
Nは先に入ると、中で手招きした。言われるまま、Cはそい寝する。
「C の生まれた国って、どんなとこ?」
耳元でNがささやいた。タンクトップ一枚の、楽なかっこうだ。
Cは自分の国について語った。言語、文化、気候、食べ物のことなどを。
「ふーん、そうなんだ。C の国って、とっても寒いんだね。日本は暑いでしょ。そんな厚着してたら、寝られないよ」
Nが手を伸ばしてきた。Nが求めてくる過剰なスキンシップは、キリスト教で育った彼女にとってはカルチャーショックだったが、これも日本の風習だと思って受け容れた。
Nだけ先に満足して眠ってしまった。Cはなかなか寝付けず、そのうちトイレへ行きたくなった。Nを起こさないよう、そっと蚊帳の外へ出る。
すると、どこからか音がする。低い音が小刻みに揺れていた。
(分かった。窓を開けるとラーメン屋の換気扇が目の前だって、Nが言ってた。夜しずかになると、その音が聞こえてくるんだろう)
Cは母国語でそう、独り言した。
しかし近くまで来ると、その音は昼間より強烈だった。ババババババババ、と、まるで飛行機のプロペラみたいな音がしているのだ。
それから、コツン、コツン、と、窓を叩く音。小さくて硬い何かが、窓に当たっていた。まるで、プロペラのついた小石が、ひっきりなしにぶつかっているような。
Cは薄明かりの中、目をこらして、その窓にぶつかるものの正体を見た。
「OH! コレは……日本にはホントにいるのデースネ」
翌朝、Cが目を覚ますと、Nがゴミ出しに行くところだった。
「おはようC。今日は燃えないゴミの日なんだ。ちょっと行ってくるね」
Nが抱えるビニール袋には、キラキラしたスプレー缶が何本も入っていた。そこに描かれた虫のデザインが、Cには見覚えがあった。
「N、私キノーの夜それ見ましたよ! Nが寝た後、おトイレ行く時ニ見ました!」
「げっ……見られちゃったか。だからヤツが出てくる前に、蚊帳の中で寝かそうと思ったのに」
「台所ニモいましたし、トイレにも、浴室ニモいました。私知ってマス。まっくろくろすけね! 日本のアニメで見ました」
「うん。そうだよ。まっくろくろすけ」
Cは何か勘違いをしているらしかったが、その方が都合もいいので合わせた。
「でもおかしいデスネー。私が見たのは、モット細くて、グロテスクでした。色も茶色っぽかったデスシ」
「ああ、それはね、まっちゃのちゃろすけだよ」
「まっちゃのちゃろすけ? それは知らないデス」
二人は学校へ行くため、支度を済ませると、そろって家を出た。
隣のラーメン屋はまだゴミを出していないらしく、店の脇には例のスプレー缶が五本くらい転がっていた。
「ゴミの日はシューに一回って聞いたのデース。このスプレーって、そんなに使うモノなのデスカ?」
Cは無邪気にそう聞いた。彼女の国にはあの虫が出ない。だから、あの虫を恐がるという、日本人に共通の感覚もないのだった。
___解説___
夏になると現れる、おなじみのあの虫。
「まっちゃのちゃろすけ」は「チャバネゴOブリ」という種類。
Nは毎晩、アパートに出るそいつを始末するのが日課になっていた。
寝室にも出るから、寝る時は蚊帳に入るというわけ。
Nは貧乏なので、誰かとルームシェアしたかった(家賃が半分になるから)。
でもこんな所だから誰も住みたがらない。
そこへ何も知らない留学生のC が現れたというのが背景。
夜中になると物凄い羽音をひびかせて窓を叩くのは作者の実体験。
ラーメン屋の裏にスプレー缶がゴロゴロ転がっていたのも実話。
- Re: 私が聞いたようで見ていない、ちょっぴり怖い話(怪談集) ( No.94 )
- 日時: 2013/01/27 14:05
- 名前: かの ◆2cawlrbjPU (ID: P3.L1.aj)
「蚊」ですかね?
で、ソイツが出てきたときのスプレーと蚊が吸った血が変色したのがC
のいう「まっくろくろすけ」。
そういえば、蚊のせいで亡くなる人間が世界で100万いるとか。
- Re: 私が聞いたようで見ていない、ちょっぴり怖い話(怪談集) ( No.95 )
- 日時: 2013/01/28 20:07
- 名前: あるま ◆p4Tyoe2BOE (ID: Ba9T.ag9)
コメント、ありがとうございます。
なんか、自分のアイデアよりかのさんの発想の方が鋭くて、恐縮です笑
今回は題名が示す通り、夏になると現れる、あの虫が正体でした。
「あの虫」って、はっきり言えばゴOOリなんですが。
西の方言ではアブラムシというって辞書に書いてあったので、題名がそれです。
「怪談」ということなら、コメントでの指摘とおり、もっと妖怪チックにすべきだったかな? と思います。
モンスターレベルの蚊が現れて命を狙われるとか。
なぜかそのアパートにだけ出現するとか。
コメントを参考に、もっと違った視点の作品も書けちゃいそうですね(^^
助かります。
蚊で100万人というのは、すごいですねぇ。
日本の害虫はまだ大人しい方なんですね。
ゴOブリ見て大騒ぎしてる場合じゃないのかな笑
さっき見てみたら、かのさんが新連載を始めたようなので。
まだプロローグの段階みたいでしたが。
本編が始まったら、読ませてもらいますね。
- Re: 私が聞いたようで見ていない、ちょっぴり怖い話(怪談集) ( No.96 )
- 日時: 2013/01/28 20:05
- 名前: あるま ◆p4Tyoe2BOE (ID: Ba9T.ag9)
では解説をここに。
そのアパートは、ゴOブOがめちゃくちゃ出るんです。
例のスプレー缶は、「ゴOジェット」といったところでしょうか。
それを週に4〜5本は消費するという笑
「まっちゃのちゃろすけ」は「チャバネゴOブリ」っていう種類だと思われます。
蚊帳の中で寝るのは、電気を消すと寝室にもヤツが現れるからです。安全なのは、蚊帳の中だけだと。
Nは家賃を安くするため、一緒に住んでくれるひとを待ってました。
でも若い女性は誰も嫌がって住まなかったんです。
そこに、何も知らない留学生のCが現れた。
ババババババババとプロペラみたいな音を立てて窓に体当たりしてくるのは、実話です笑
以前、親戚の家でゲームをしていたら、巨大ゴOブリが飛びながら窓を叩いてきました。
意地でも中に入ろうとしてきてるんです笑
その他、ラーメン屋の裏にゴOジェットの空き缶がゴロゴロ転がっていたのも実話です。
客に見せて大丈夫なのかよと笑
- Re: 私が聞いたようで見ていない、ちょっぴり怖い話(怪談集) ( No.97 )
- 日時: 2013/01/30 16:24
- 名前: かの ◆2cawlrbjPU (ID: P3.L1.aj)
そうなんですか(笑)
私は妖怪&オカルトマニアなんで、結構知ってるんですよね(笑)
手の目という妖怪の対処法は今のところ無いとかかっぱがたまに人と結婚して子供を産むと手に水かきがついているとか。
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