二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32



Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン配布】 ( No.87 )
日時: 2015/03/28 01:09
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

竜さん

了解です。ポリゴンですね、分かりました。NNの希望などがあれば申しつけください。

フレコ登録しておきます。ありがとうございました。

パート6:雷電霹靂(9) ( No.88 )
日時: 2015/03/28 07:09
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「仕方ガナイ。アマリ、手荒ナヤリ方ハ好ミデハナイデスガ----------!」


【相手のエーフィのマジカルシャイン!!】


 太陽のように、眩い光が放たれた。恐らくはボマーへの交換読みか。
 その光が、モーターを焼いていく。
 ダメージは決して小さくは無い。しかし。

「シット……!」


『モーター残りHP:78/157』


 以前よりも、食らうダメージの量は減っていた。

「すげぇ、3Vだったころとは比べモンにならねぇ耐久だ」
「流石、改修に出しただけはあるわ」

 さらに、それだけではない。今の攻撃でモーターのHPは見事に半分を切った。
 即ち、それは彼女の持っている持ち物の効果が発動するということ。
 彼女は手に持っていた木の実をドラム型洗濯機の蓋を開けて、放り込む。

「デリシャス! やっぱり木の実はオボンに限るネ!」


【モーターはオボンの実を食べた!】

『モーター残りHP:117/157』


 オボンの実は、自分のHPが半分を切ったときに最大HPの4分の1を回復するという効果を持つ。
 全員は思った。
 そのドラム缶洗濯機は四次元ポケットか!? と。
 どっから吸収・消化されているのであろうか、全くの謎である。


「そして、このままビリビリさせちゃうネーッ!」


【モーターのボルトチェンジ!!】


 くるくる、と回転したモーターは、電撃を放ち、エーフィに浴びせる。
 閃光で目が潰れたエーフィは、目が開けられなくなる。
 その隙に、電光石火の勢いで戻って行った。
 
「よーし、お疲れだったモーター」
「やん、お疲れだなんて、嬉しいデース、もっともっと褒めてー♪」
「調子乗るな、馬鹿」

 冷ややかな声で返したボマーは、ムゥの方を一瞥した。

「よし、行って来い」
「……あ、ハイ、行ってきます!」

 だっ、と駆け出した彼女は巨体を引っ張り、バトルフィールドに現れた。
 
「そんでもって、今回のムゥの型は何だ?」
「地震、氷の礫、氷柱針、フリーズドライで珠持ち、ACベースS調整にした型よ。単純な火力は、今までよりもかなり高くなっているわ」
「そうですねィ。今回のムゥ嬢のスタイルは、あっしとフレイさんも協力して考えましたからねィ」

 マンムーはギャラドスや、ラグラージで止まりやすい。
 しかも、彼らに起点にされるのはかなり痛い。
 ギャラドスには岩技があっても、ラグラージには有効打が無い。
 だが、それはフリーズドライを搭載することで、解決されるのである。

「ま、この試合でフリドラが生きることは無さそうだけど」
「それは言わないお約束ですよぅ……」
「ワーオ! ワタシも新人には負けていられないネ! マーベラスなスタイルだと思いマース!」

 さて、ムゥには後攻ボルチェンのおかけで、負担は掛かっていない。
 この状態から、何をされてもエーフィは倒すことができるはず。
 1発耐えて、返しの地震で倒すことができる。

「エーフィの防御面はH60 B65でかなり脆いゼィ、とっとと倒しちまいなお嬢!!」
「了解ですっ!」


【エーフィの欠伸!】


 ふぁあ、と相手のエーフィが欠伸をする。
 
「此処で欠伸ですかィ!? ループに嵌められなくてよかったですねィ……」

 安堵した表情で、ガメリオは呟いた。
 欠伸は、相手を次のターンに眠り状態にする技。交代すれば、眠りを免れることはできるが、その隙に技を使われる可能性もある、択ゲーマーの常套手段の1つだ。
 しかし、此処でエーフィを倒せるのならば、何の関係は無いのである。

「そんじゃ、頼んだぜィ!!」
「分かりました!」


【ムゥの地震!!】


 ムゥの巨大な脚から、大振動が巻き起こる。
 エーフィの華奢な体が、それに耐えられるわけもなく、あえなく倒れ、影になって消えた。


『敵のエーフィは倒れた!』


「やりました!」
「ベリーグッド! マンムー族は、確実に役割をこなしてくれるネ!」
「やはり、ガブリアスと同じ攻撃種族値持ってるからな。高火力と組み合わされば、恐ろしいことこの上無い」
「珠持ってるから尚更ね」


【ムゥは命の珠で命が少し削られた!】

『ムゥ残りHP:163/181』


 さて、こちらは手間取ったものの、1体目は何とか撃破した。
 残るは、激重のマニューラと、まだ見ぬ3体目のみである。

「しかし、さっきのエーフィの行動……相手の3体目が見えてきやしたゼィ」

 うーむ、と思案するガメリオ。
 欠伸は主に、後続の積みアタッカーの積む起点を作るために使う。
 そして、相手のパーティに居る目だった積みアタッカーといえば--------------


【番人はハッサムを繰り出した!!】


「剣はペンよりも強し……んっん〜、名言だね、これは」

 こいつだ。
 ハッサムは、虫・鋼タイプで弱点は炎のみという優秀な耐性の持ち主なのだ。
 さらに、特性:テクニシャンで先制技のため威力の低いバレットパンチの威力を底上げし、メインウェポンにできるため、通称・バレパンマンと呼ばれるほど。

「どうする、ガメリオ!! 此処は----------」
「こっちにはモーターのお嬢が居まさァ!! 少々不安だが、削るしかないですゼィ!! すまねぇが、突っ張ってくだせェ!!」
「はいっ!」

 元気の良い声が返ってくる。
 しかし。


「舐めるな、ゴミ共がぁぁぁぁ!! 俺様に敵うとでも思ったか、この間抜けがぁぁぁぁ!! モンキーが人間に勝てるかぁぁぁ!! お前らは俺にとってのモンキーなんだよぉぉぉ!!」


 奮い立たせるかのような咆哮。
 邪念が集合する。
 ハッサムの赤い鋼の鎧に、黒い瘴気が集まった。


【黒い影の怨念が瘴気を生み出す------------!!】


 一瞬、瘴気で体が見えなくなった。
 しかし、それが晴れると共に、そこには傲慢な鋼の戦士が佇んでいた。


「メガシンカ、完了ダァァァァ!!」


【敵のハッサムは、メガハッサムにメガシンカした!!】


 より巨大になった鋏、羽、装甲の厚くなった鋼の体、鋭い眼光。
 全てが、進化論を上書きしたことによって得られた力の産物だった。
 
「全テ、俺ノモノダ……、人気モ、コノ工場ノコイルモ、コノ世界モ、俺ノモノニナルンダァァァ!!」

 強欲で傲慢なハッサムの化身は、残虐に微笑んだのだった。

パート6:雷電霹靂(10) ( No.89 )
日時: 2015/03/28 13:39
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=tL2ztHq8_iw

 メガハッサムの特性は、メガシンカ前と同じテクニシャン。
 そして、特筆すべきは、底上げされた攻撃力だけではない。
 まさに、積み技を積むために強化されたかのような、鋼の耐久。
 防御種族値140、特防種族値100。HP種族値が70なのがせめてもの救いではあるが、ぶっちゃけ物理耐久力はギルガルドシールドフォルムとどっこいどっこいなのだ。
 メインウェポンが、強化された先制技のため、鈍足も然程気にならない。
 
「耐久の高さ、耐性の良さ、弱点は炎のみで半減以下を取られるタイプが非常に多い。俺が出て行っても良いが、マニューラ対面の時に削られていたら痛い」
「氷タイプはあんたの弱点よね?」
「だが、敵の氷技が氷の礫だけならばワンチャンある。俺はまだメガシンカしていないし、威嚇を入れてメガシンカしてしまえば、珠特化礫でも俺は余裕で耐える」

 ぶっちゃけると、性能がイカれているのは、どっちもどっちである。

「積まれるかもしれねぇが、モーターで受けに行けば問題ねぇ!」

 
【ムゥの地震!】

『メガハッサム残りHP:40%強』

 
 思った以上に入った。HPには全振りしていないのだろうか。
 
「オ、ノ、レィ……俺ノ鋼ノ肉体ヲヨクモ……!!」

 次の瞬間だった。
 ハッサムは戦いの舞いを踊る。
 そして、ビキッ、と何かが膨れるような音と共に、体が膨張した。


【ハッサムの剣の舞! 攻撃がぐーんとあがった!】


 そして、欠伸の効果が此処で現れる。


【ムゥは眠ってしまった!】


「よし、受け出しだ!」
「しかし、何でこのタイミングなんだ?」
「相手の技構成を見極めるためでさァ! あっしの予測が正しければ、あいつは次のターンで、あれを使ってくる!」

 眠ってしまったムゥを無理やり引っ込め、出て行くのは---------


「ワタシの出番ネ! ボマーの恨みはワタシの恨みデース!」


【チーム・ボマーはロトムを繰り出した!】

 
 モーターだ。
 そして、ハッサムのとった行動は---------


【ハッサムの羽休め! ハッサムの体力が回復した!】
『ハッサム残りHP:ほぼ満タン』


「ああ、回復されちゃったじゃない!」
「いや、ビンゴ! このハッサム、恐らく技構成はバレパン、剣舞、羽休め、後はせいぜい、とんぼ返りか叩き落とすでさァ!」

 つまり、普通のハッサムほど、攻撃技は多くは無いこと。そして、モーターに有効打が殆ど無いということ。
火傷ダメージを食らったものの、まだまだ余裕はある。

【モーター残りHP:97/157】

「オボンが無い以上、叩き落とすも余り入らねぇですゼィ! 積み型のメガハッサムに、トンボ返りを入れるスペースは、これ以上ねぇ!」
「ホザケェェェ、俺様ハ無双体制ニ入ッタンダ!! ココデ、皆殺シニシテヤル!!」

 殺意に満ちた眼差しを向けたメガハッサムは、そのまま弾丸のような拳でモーターを----------貫けなかった。


【ハッサムのバレットパンチ!!】

【効果はいまひとつのようだ】


「ベリースイート。お汁粉に蜂蜜入れるくらい、甘いデース」


『モーター残りHP:74/157』


 はっきり言おう。
 バレパンマンもクソもあったもんじゃない、と。
 たったの28ダメージ。1舞バレパンがこれである。悲しいね。
 元々、鋼技はモーターに4分の1の威力にされる。電気/水という優秀なタイプが此処で生きてくるとは。

「お、おのれィ……!」
「行くヨ! ゴーストポケモンを怒らせたら、怖いんだからネ!!」


【モーターの鬼火!】

【敵のハッサムは火傷状態になった】


 メラメラ、と鋼の装甲に青い炎が灯った。
 
「コ、コノ、ビチグソガァァァァァァァァァァァァァァァ!!」


【ハッサムの剣の舞!】

 
 やはりと言うべきか、強引に積んできた。
 しかし、こちらにも手がある。

「やれっ、モーター!! お前にはイカサマがある!! 強引に積んだ相手なんざ、怖くねぇぇぇ!!」

 そう。ロトムがORASで新たに習得した教え技、イカサマ。相手の攻撃力を利用して不意の一撃を叩き込む悪タイプの技だ。
 ただし、

「ソーリー、ボマー。教え技のデータは全てリセットして、ロストしちゃったネ!」

 覚えていれば、の話であるが。

「……え、んじゃあ今回の型は……」
「10万ボルト、ボルトチェンジ、ハイドロポンプ、鬼火のテンプレスタイルネー!」
「アホかぁぁぁ!! その構成は、強引に積まれたときにヤバいからやめておけ、と言っただろーがぁぁぁぁ!!」
「ちなみにダメ計ソフトの結果、ハイドロポンプでH振りメガハッサムに乱数二発ネ!」
「ドロポン2発ブチ込むしかねぇの、この状況!! 羽休めで粘られたら、流石のお前でも-----------」

 大丈夫ネ、と彼女は自信満々の笑みで答えた。


「ワタシを信じて、マイ・ダーリン♪」


 何か、ボマーは言い返そうとしたが、そんな気は失せてしまった。
 彼女はいつも、主人の命令に忠実だった。
 技を外したのは余り見たことがなかった。
 擬人化体を得てからも、それは同じだった。
 絶対なる信頼。
 それこそが、彼女の強さを裏付けていた。
 ここぞというときに技を外す口ばっかりの連中なんかより、多少おどけていても彼女の方が心強かった。

「勝ッタツモリダッタカ、廃材メ!! オ前ヲ、オ前ヲコントロール下ニオイテイナカッタコトガ、俺ノ唯一ノミスダ!! 
シカシ、叩キ潰セバ関係ナイ!! 貴様ナンゾニ、俺ガ倒セルカァァァァ!!」
「強がっちまって、まー」

 嘲りの笑みを浮かべたのは、今度はボマーだった。

「てめぇの自信はどっから来てんだ? 裏にいる自分たちのボスか? ボスから貰った力だから負ける訳が無いってか」
「何ヲ、貴様ァ……!!」
「馬鹿言ってんじゃねぇよ。現環境トップメタだろうが、何だろうが、この世界では負けるときは負けるんだよ。100%の勝利なんざ、この世界にはありえねぇんだよ!!」

にやり、といつもの嫌な笑みを浮かべて、彼は言った。


「冥土の土産に、こいつの力を味わいな、脳筋バサミさんよっ!!」


 次の瞬間-------------ハッサム目掛けて、全てを押し流す激流が襲い掛かった。


「照準確認、ロックオン!! いっけぇぇぇぇぇぇ!!」

パート6:雷電霹靂(11) ( No.90 )
日時: 2015/03/29 10:03
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

【モーターのハイドロポンプ!!】


 激流がハッサムを直撃した。避けようとしたが、間に合う訳も無く。

「貴様……!! 舐メタ真似ヲ……!!」

 息も絶え絶えにメガハッサムは呻いた。


『メガハッサム残りHP:50%』


 流石の耐久である。BやDにも多少裂いていたのだろうか。
 しかし、問題はない。
 火傷のダメージが2匹を同時に襲った。


『モーター残りHP:42/157』

『メガハッサム残りHP:40%』

「セ、セメテ、刺シ違エナケレバ……!! 俺様ノ、誇リガ……!!」

 虚ろな表情で、ハッサムは言った。
 その目に、フレイは何かを感じたのか。

「--------まるで、操り人形のよう」

 と、評する。
 自らの恨みや怨念への凄まじき執念。勝利への固執。
 普通のポケモンのそれでは無いことは分かりきってこそいた。分かりきってこそ居たが、やはり怨念の集合体であることが関係しているのであろうか。

「記憶は電磁波になって残る……一説ではそれが幽霊だとされていることもあるわ」
「心底不愉快だゼィ。こいつらの戦いも、こいつらを戦わせている奴も」
「奴ら、苦しんでる。全く希望なんてもんを持ってる奴なんか、居なかった。今まで戦ってきた奴も」

 ギロリ、とメガハッサムがフレイ達を睨み付ける。


「黙レ、俺様ニ同情ヲスルナ!! 俺様ニ哀レミノ感情ヲ向ケルナ!! 俺ハ強インダ、俺ハ強インダ、俺ダケジャネエ、オ前ラガ殺シタ奴ラモ、同ジダ、憎シミデ皆強クナッタンダァァァァァァ!!」


 けっ、とボマーは吐き捨てるように呟いた。


「つまんね」


 と。

「心底つまんねぇよ、お前ら。自分の思い通りにならねぇからって逆ギレして駄々捏ねてるガキんちょのそれじゃねぇか」
「貴様ニダッテ分カルハズダ、ボーマンダ……!! 自分ヲ冷遇シテイルコノ世界ヲ壊シタイト思ッタコトガ---------」
「あるわけねぇだろうが!!」

 怒気に満ちた彼の声が響いた。

「俺はいつも、自分が弱い原因が自分にあると思っていたんだ。だからこそ、色んな道を究めようとしたんだ!! 自分の待遇を嘆いて何にもしなかった、てめーらと一緒にすんじゃねぇぞ。何が憎しみのパワーだ、結局努力で培った真の力には勝てるわけがねぇんだよ!!」

 届くわけがないことは分かっていた。
 相手は所詮、恨みのデータの集合体。情緒などあるわけがない。
 そんなことは知っていた。
 だが、そんな奴如きの穢言に、自分の今までの行き方を否定されたくはなかった。
 
「ナラバ、マズハオ前ヲ殺スゾ、ボーマンダァァァァァァァ!!」

 ハッサムが弾丸の拳を場外にいるボマーに向けて飛び掛ってくる。
 しかし。
 その拳はボマーに届く前に、別のものに衝突した。
 
「勘違いも程々にして下サーイ。貴方の相手は、このワタシネ!!」

 モーターが身を挺して鋼の拳を受け止める。


【ハッサムのバレットパンチ!!】

【効果はいまひとつのようだ】
『モーター残りHP:29/157』


「邪魔ヲスルナァァァァァァァ!!」
「バッド」


 冷たい、モーターの声が静かに響く。本来のコンピューターとしての無機質なそれである。
 ドラム洗濯機の蓋が開き、超至近距離でメガハッサムの正面に向けられた。
 そして、激流は放たれる。

「よくも、ワタシのボマーに手を出しましたネ。削除(デリート)シマス」

 
【モーターのハイドロポンプ!!】


「ソ、ソンナァァァァァァ!!」


 恐怖と同時に、激流で吹っ飛ばされ、メガハッサムはそのまま沈黙した。


【敵のメガハッサムは倒れた!!】 


 さて、残る敵は唯1つ。
 パーティで激重のマニューラのみである。

「しゃーねぇ、此処でモーターのお嬢は捨てるしか無いですねィ」
「ノープロブレム! ボマーがノーリスクで出てこられるなら、此処で死んでも構わないネ!」
「ねぇ、この娘怖い」

 突っ込むボマー。
 さて、司令塔に回った番人のハッサムだが、かなり思案に思案を重ねていた。

「だがっ、ドラゴンタイプが氷タイプに勝てる訳が無い! この勝負、我々の勝利だ!!」


【マニューラの氷の礫!】

【モーターは倒れた!】

『マニューラ珠ダメで残り8/10』


 あ、とガメリオの顔が真っ青になった。

「やばいですゼィ、ボマーの旦那。あんたのハイパーボイス、あのマニューラに撃っても、80%から75%程しか削れねぇですゼィ」
「何!?」
「特防意外と高かったのね、あいつ……」
「く、くっそー、こんなことならいつも通りの物理型にしてくれば良かったぜ!!」
「どの道、やばかったですがネィ。相手が氷柱落とし持ってたらアウト」
「ちえーっ、結局あのエーフィ♂だったのかよ」
「今更ァ!?」

 待てよ、とボマーは一瞬思考した。
 そして----------今の今まで眠っていた少女---------マンムーを一瞥した。


【チーム・ボマーはムゥを繰り出した!!】


「ここでの負け筋を潰す選択は唯一つ! 眠っているムゥで何ターンか耐えて、やつに珠ダメを蓄積させれば、良いだけだ!」
「最悪ね……」
「つーか、ぶっちゃけ大文字でも良かったんだが、避けられる可能性を考えると、これしかなかった。だけど、マニューラの攻撃如き、何発か耐えて--------」


【敵のマニューラのけたぐり! 効果は抜群だ!】

【ムゥは倒れた!】


 --------くれるわけもなかった。
 全員が思い出したように、「あ」と声を上げる。
 けたぐり。相手の体重に応じてダメージが変わる格闘技。
 ムゥには効果抜群、さらに体重も重いので尚更だった。
 ようやく、意識が覚醒して起き上がったムゥが、「ボマーさあああああん!?」と呪怨の声をあげる。

「酷いです、酷いです!! 絶交なのです!!」
「いや、だがムゥ。お前のおかげで相手のHPは7割を切った! これで、次のハイパーボイスの確1圏内に入ったぜ!」
「……あんまり嬉しくないのです……」

 ぶっちゃけると、捨て駒のような戦法だが、勝ち筋をギリギリまで残しておくのは、ポケモン対戦において重要な戦術の1つなのである。
 特に、珠ダメは美味しい。
 
「それに、お前はエーフィを落としたじゃねえか。それだけでもう、十分だ」
「……うう」

 恥ずかしそうに呻いた彼女の頭を撫でたボマーは、一息つくと再び戦闘体の姿に戻る。
 が、不満そうなモーターが追いかけてくる。

「ストップ、ボマー! 後でワタシにも撫で撫でしないと、バッドなんだからネ!」
「うっせー、まずはこいつをぶっ飛ばしてからだ」

 目の前の敵を見据えた。
 そして--------------戦場へと、立った。


【チーム・ボマーはボマーを繰り出した!!】

【特性:威嚇で相手のマニューラの攻撃力が下がった!!】


 相手のマニューラは怯む。
 目の前の敵の存在感に。自分は龍を狩る存在のはずなのに。

【タクのメガバングルと、ボマーのボーマンダナイトが反応した!!】

【ボマーはメガボーマンダにメガシンカした!!】


 己の進化論を破壊し、上書きし、更なる存在へと昇華する。

「ぐっ、マニューラ、やってしまえ!!」
「了解……先制技デ落トス!!」


【マニューラの氷の礫!!】


 氷の小さな弾丸が襲い掛かる。
 しかし。


「あんだ? 結局これだけかよ」


【効果は抜群だ!!】
『ボマー残りHP:77/171』


 その場に居た全員は驚愕した。
 やはり、とんでもない耐久の持ち主だ、と。
 
「あ、が、馬鹿な、落とせなかった-----------!!」
「さあ、ライブの始まりだぜ!!」

 すぅーっ、とボマーは大きく息を吸った。
 そして、一気に空のオーラを纏った自らの声を-----------放出した。


「俺の歌を、聞きやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


【ボマーのハイパーボイス!!】


 マニューラの体がそれに耐え切れるわけもなかった。
 一瞬で、粉微塵になって吹き飛ぶ。
 同時にそれは、守護級であるハッサムの消滅も意味していた。


【マニューラは倒れた!!】


「そんな、バカな、この俺が-----------!!」


 爆音の勢いで放たれた衝撃波は、ガーディアンの鋼の装甲を貫通し、そのまま消し飛ばしたのだった。


【械域の番人との勝負に勝った!!】

パート6:雷電霹靂(12) ( No.91 )
日時: 2015/03/29 16:48
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***


 守護級が倒されたことにより、コンピューターは剥き出しとなった。
 そして、そのままそれは、ボマーの捨て身タックルで破壊された。
 これにより、雷電械域に生息していた無機物ポケモン達は全てコントロールから解放されたのだった。

「一件落着、だな」
「さっすが、ボマーネ! ベリーストロングなパワー、惚れ惚れしマース!」

 腕に縋り付いて離れないモーターを呆れた目で見た後、とりあえずさっき言われたとおり、彼女の頭を撫でておく。
 んふふー、と嬉しそうな顔で彼女は笑ったのだった。

「うわ、爆発しろリア充」
「黙れ」

 からかってくる弟分に睨みを利かせて、そのまま彼は部屋を後にしたのだった。


 ***


 かくして、ボマー達は雷電械域を出て、そのまま中央区域を目指して歩いて帰っていた。
 5つ目のコンピューターの破壊、残るコンピューターは1つだけだ。

「しっかし、今まで色んな奴と戦ってきたな」

 ボマーが呟く。フレイも頷いた。モーターは何とか引き剥がし、今は後ろで皆と喋っていた。
 今までの敵はいずれも、メガシンカポケモンで尚且つ自分の待遇に不満を持ち、世界を恨んでいるポケモンの恨みの集合体だった。
 
「ええ。いずれも何だかんだで強敵だったわね」
「そうだな。アクア達が倒した奴もいるが、強かったと聞いた」

 厳選作業の過程で淘汰されたタツベイの集合体のメガボーマンダ。
 自らのメガシンカ種族値と環境からの消失を嘆いたメガフーディン。
 性別厳選の過程で淘汰された哀れな♂ラルトスの怨念のメガエルレイド。
 進化できなかったゴーストの恨みつらみの募った存在、メガゲンガー。
 自らの外見をバカにされ続け、アクアの恨みも吸収したメガラグラージ。
 そして、今回のメガハッサム。

「悲しすぎるよな。世界を憎んだまま生かされ続けるなんてよ」
「誰がこんなことをしたのかしら……」

 いずれも背後には黒幕がいるはずだ。
 しかし、それはまだ分からない。見えない敵の存在は、確実にボマー達を足止めしようとしていることだけは確かではあるが。

「まるで、もっとデカい切札を隠していて、それを使うための時間を稼いでいるように思えるぜ」
「だけど、今は目の前に立ち塞がる守護級の討伐よ」
「……そーだったな。残るは頂龍山域か」

 しばらく、間が空いた。
 何も、喋らなかった。
 そして、沈黙を破るように、フレイが口を開いた。


「---------ねぇ、ボマーはモーターのことが好き?」


 再び、沈黙が続いた。

「……何でんなこと聞くんだ」
「べ、別に! ちょっと気になっただけよ。でも、あの子あんたのこと大好きだから……」

 狼狽した彼女の顔を見る。
 俯いて、顔が少し赤くなっていた。

「こんなはずじゃなかったんだよなぁ」

 ボマーが拾った頃のモーターは、まだ唯のコンピューターに過ぎなかった。
 徐々に自らを拾って生かしてくれたボマーを好きになり、終いには擬人化体まで手に入れ、学校に通うようになった。
 ボマーに寄せる好意はストレートになり、彼が腐っていた頃も、フレイと一緒に学校に行くよう促したり、彼のことを心配したりしていたのだった。
 しかし、だからと言って----------
 
「俺があいつのことを好きかというとな、」

 少し、間が空いた。
 そして、ゆっくりと口を開いた。


「まだ、分からん」


 意外だった。彼の気持ちが揺らぎ始めている証拠だった。
 そのまま沈黙が、再三続いた。

 
 ***


「まさか、期待以上のものを持ってくるとは思いませんでした」

 モーターを見たアクアは、そう呟いた。
 現在、此処はアクア宅、地下室。そこにボマー達は入ってきていた。

「改修終わっていたんですね」
「ああ、うん。だけど色々問題だから封印されてたコイツ」
「イエース! でも、一万年と二千年前からワタシはボマーが来るのを待っていたのデース!」
「トラック事故の前に会ったのは、半年前だろうが!!」
「ノー! ワタシとボマーは創世アクエリオンも驚きの時間を掛けて、感動の再開を果たしたのデース!」
「果たしてねぇぇぇぇ!!」

 ごほん、とアクアが咳払いした。

「いずれにせよ、モーターさん。貴方が居れば、このコンピューターの解析もスムーズに進むはず。ご協力願います」
「オーケィ! 分かったネ! でも、少しウェイトして貰って良いデスかー?」
「はぁ」

 向き直ったモーターは、ぎゅっ、とフレイのブレザーの袖を握り、言った。

「ちょっと、その前にフレイと話したいことがありマース!」
「え、ちょっと、モーター!!」

 そのまま、フレイはモーターに引っ張られ、地下室を出て行った。どうやら、誰にも聞かれたくはないらしい。


 ***


「フレイ? さっきはボマーと何話してたネ?」

 嫌悪とか、そういう感情ではなかった。興味津々、といった表情だった。

「べ、別に……何でも無いわ」
「まぁ良いデース! フレイ、ユーはワタシのライバルネ!」

 モーターは急に詰め寄るように、彼女に迫った。

「だから、ちょっと勝負しませんカー?」
「勝負?」
「そうネ!」

 にっこり、と笑顔で返した彼女は続けた。
 どうもフレイはモーターが笑顔のときには嫌な予感しかしない。
 全て、見通されている気がするのだ。


「ワタシがボマーを振り向かせるか、その前にユーがボマーに告白するか--------勝負しないデスかー?」


 ぎくり、とフレイは言葉を失った。

「勝負って……」
「まず、ワタシがボマーとくっついたらどうしよう、とかそんな風に考えていマスネー?」

 図星だった。反論する気さえ失せてしまう。
 何年も一緒に居る中ではあるが、目敏いので嫌になってしまう。
 
「---------それで、何よ。あたしは無理よ。あいつとは口喧嘩してばっか、どうせあいつもあたしのことを疎ましく思ってるわよ」
「疎ましく思ってるなら、ボマーはフレイを連れていかないと思いマース」

 大丈夫ネ! とモーターは言って、続けた。

「素直に想いを伝えたら、ボマーも応えてくれるネ!」
「何で、恋敵のあたしにそこまで--------」
「ノー。このままじゃ、フェアじゃないって思っただけデース。それに、ワタシがその前に、ボマーを振り向かせるだけネ!」

 彼女は言うと、踵を返して部屋の方に向かって行く。

「バーイ! あの分だと、アクアに当分帰して貰えないみたいデスしー。これだけ言いたかっただけネ!」

 彼女が地下室の扉をあけて、そのまま中へ入っていくのを見た後も、フレイは少しぼーっ、としていた。


「素直に、か」


 そう、呟いて。


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