二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32



Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン対戦小説】 ( No.42 )
日時: 2015/03/01 18:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

Orfevreさん


いや、違いますね。ORASのGTSで探して厳選し、育てた個体ですよ。当時の自分からすれば、カクレオンなんてフレンドサファリでハズレだと思っていたのが、今では嘘のようです。
特殊耐久はあるし、リザードンを岩雪崩で、サザンドラをけたぐりで持っていくほど。先制技があるというのが何より大きいです。

あ、了解しました。対戦の件については。それでは、また。

パート4:忍の街(9) ( No.43 )
日時: 2015/03/08 18:37
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

【ゲンガーの祟り目!】

 
 恐怖を誘う瘴気がガメリオに襲い掛かる。

「おいおい、ゲンガー。そんな技、俺には利かないゼィ」

 しかし、闇の瘴気はガメリオの身体をすり抜けて消えてしまった。ノーマルタイプにゴーストタイプの技は利かない。当たり前の事である。
 だが問題はそこではない。

「ボマーの旦那。今の奴の行動、どう思いやすか」
「は? どうって何がだ」

 分かってやせんね、やっぱ脳筋ですか、とガメリオは続ける。
 「よし、ならば戦争だ」と捨て身タックルの体勢に入るボマーをムゥが氷の礫で黙らせた。

「ごめん、うん。脳筋で悪かった」
「あんたも本当は分かってるでしょう。今の祟り目、そしてパーティの面子で全部分かるはずでさァ」
「---------ああ、敵のパーティは重力催眠祟り目構築って言いてぇんだろ」
「そうでさァ」

 重力催眠→祟り目構築。これは、マスターがかなり泣かされたことのある構築である。
 重力を誰かで発動し、回避率の下がった相手を催眠技で相手を眠らせ、ゲンガーの祟り目(威力2倍)で一方的に屠る、というものだ。

「そして、大抵重力起点にはステロなどを踏まないので襷を持たせやすく、尚且つ素早いフーディンが担当するんでさァ」
「だが、フーディンはいなかった」
「そう。あっしやムゥさんの先制技がよっぽど怖かったと思われますゼィ。だから、あっしらを警戒して先発にバナを置いた。だから、残りの1体。恐らく、自分から状態異常を撒ける奴をもう1体用意しているやもしれません」

 此処まで推測できるのも素晴らしい。ボマーは、自分も戦闘面の知識はあると思っていたが、完全に思い上がっていたと反省した。

「どーやら、作戦云々はお前に任せることになりそうだ」
「でも、もう1つ。何で相手はメガシンカしやがらなかったんでしょうね、旦那」
「そりゃーよ……え?」


【ゲンガーは引っ込んだ!】


「チッ、折角影打ちを選択したのに、逃げ足だけは速い野郎だ」


【番人はリザードンを繰り出した!】


「オマエ、焼ク、オマエ、焼ク------------!!」
「うるせぇっ!!」

 べろーん、と長い舌を伸ばし、ガメリオの影が更に長く伸びて、リザードンの身体を貫く。


【ガメリオの影打ち!】

【ガメリオは変幻自在でゴーストタイプになった!】

『リザードン:残りHP80%』


 ガハッ、と黒い血のような影を噴出すリザードンだが、それでも「オマエ、焼ク、オマエ、焼ク」と言い続けて不気味な限りだ。
 此処での行動は唯一つ。

「野郎に岩雪崩ブチ当てて一撃で倒す、それだけでさァ」
「よし、見せてやれ、お前の力!」

 「あいよっ!」と駆け出したガメリオ。しかし、相手のリザードンの口角が不気味に上がった。


「---------分カッテネェナァ、テメェミテェニ良イ気ニナッテル奴ホド、焼キ殺シタ時、気持チ良イッテモンダゼ----------!!」


 むっ、とガメリオは一瞬踏みとどまる。
 相手の行動、それは---------


【リザードンの鬼火!!】


 だった。
 青白い炎がガメリオに襲い掛かる。
 そして、確実に身体を焼いていく。

「ぐああっ! まさか、これは流石に予想外……!」
「倒セルモンナラ、倒シテミロ、コノド腐レガ! 言ッタダロ、テメェハ焼クッテナ!」

 ギャハハハハ、と笑うリザードン。
 これで、物理アタッカーのガメリオは機能停止。
 何故ならば、物理技の威力が半減してしまうからだ。

「おいっ、大丈夫かガメリオ!」
「ボマーの旦那」
「んあ、何だ?」

 ニヤァーッ、と今度はガメリオが不気味に笑った。

「あっしが好きなことは何か、分かりやすか?」
「んなもん分かるわけねぇだろーが」

 心配そうな表情のボマーを見ても、尚余裕そうに、いや違う。
 この状況を楽しんでいるかのように、ガメリオは言った。

「正解は、コイツみてぇに自分が強い、と思ってる奴の踏ん反り返った寝首を-------------」

 ぐらぐら、と地面が揺れる。
 そして、天井から大量の岩が降り注ぐ。


「-------------チョン切ることだ」


【ガメリオの岩雪崩!】

 リザードンが憫笑した。

「ギャハハハハ、テメェミタイニ俺トハ違ッテ攻撃モ特攻モ低イ奴ガ火傷ニナッタラ、不一致弱点ノ岩技デモギリギリ耐エ----------」
「ああ、世間はそれを---------」

 
 ぐさり


【ガメリオは変幻自在で岩タイプになった!】


 つまり、だ。変幻自在は使った技の威力をタイプ一致のボーナスで1.5倍にできる。
 リザードンの背中に岩が突き刺さった。そして、羽根を破り、尻尾を潰していく。

「バカ、ナッ----------!!」

 そして最後に頭蓋を貫通した。


「慢心って言うんだゼィ、リザードン」

 
 断末魔の叫びと、ガメリオの声が小さく消えていく。
 リザードンの影は一瞬で消滅した。


【効果は抜群だ!】

【敵のリザードンは倒れた!】


「耐久に振ったXじゃなかったみたいですぜ、ボマーさん。ちーと安心しやした」

 ちなみに、羽根休め耐久型メガリザXは、軽く筆者のトラウマである。鬼火は食らうし、相手は回復するし、しかも上がった防御で並の攻撃でも入らない。
 正直、ボマーに空元気を搭載させた理由の1つでもある。

「ま、火傷食らってもXにメガシンカしなければ、一致4倍が一致2倍になるだけだからな」
「すごいです! 本当に一撃で持っていっちゃうなんて!」
「こんなもんでさァ。……」

 ガメリオは考え込むように黙り込んでしまった。そして。

「成る程。相手のポケモン3体はメガシンカポケモンだったんですよ、旦那。恐らく、状況に合わせて使い分けようだなんて魂胆だったんでしょ。と、一概には言い切れませんが」
「んじゃあ、さっきメガシンカしなかったのは、他の奴----------つまりはバナでメガシンカする可能性を残したかったから、か?」
「真相は闇の中。連中が何考えてるのか、なんてあっしらには全部は分かりやせん。ですが、まだ1体持っていっただけですゼィ、ボマーの旦那」

 そうだ。まだ、敵を1体しか倒していない。
 後続には、ゲンガー。そして、フシギバナがいるのだ。
 しかも、ゲンガーの方が可能性が高いとはいえ、相手はまだメガシンカを見せていない。
 
「そうだな。だけど、逆に言えばだ。1体、こっちは瀕死無しで持っていけたんだ。気張っていこうや」
「……旦那ァ。悪いがそれが油断だ。逆に言えば、その2体にパーティが壊滅させられる恐れがある」

 そして、相手が繰り出したのは------------

「ホレ見た」


【番人はフシギバナを繰り出した!】


「悪夢の第二章だ」

パート4:忍の街(10) ( No.44 )
日時: 2015/03/01 22:04
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=ZbP5gGsmny0

 現れたのはフシギバナ。このままでは、フシギバナとの我慢比べになって、ジリ貧になるのが見えている。
 しかも、先ほど岩技を食らって、ガメリオは岩タイプになっている。つまり、バナのメインウェポンで一致弱点を食らってしまうのだ。
 万が一、ボマーもフレイもゲンガーに落とされたとき。手負いのゲンガーを倒せるのはガメリオだけだ。

「ですが、策は考えていやすゼィ」

 ガメリオが指を指した方向には、眠ったフレイの姿があった。

「--------フレイのお嬢を此処で出すんでさァ」
「ちょっと待て、テメェ」

 そんなことをすれば、どうなるかは目に見えていた。

「そしたら、ゲンガーが出てきて-----------」
「分かっていまさァ。だけど、相手はゲンガーはあっしを見ているにも関わらず、素直に祟り目で殴ってきますかねィ?」
「---------それを突くのか」
「ええ、そうでさァ。少々運が絡みやすが。それに、あんたが出て行ったら、交代読みの眠り粉が来る可能性だってある。エースのあんたを此処で危険には晒せねェ」

 と、答えたガメリオだったが、本心は違った。
 ---------ボマーの旦那。旦那が仲間思いなのは、さっきのバトルでも分かっていまさァ。ムゥのお嬢を身を挺してあっしの岩雪崩から守ったことから、な。一見傲慢に見えても、自分勝手に見えても、傍若無人な立ち振る舞いをしても、あんたは結局自分のことより仲間のことを何より思っている。

「なら、仕方がねぇか。とりあえず、フレイをフィールドに出すぞ!」

 ---------でも、生憎旦那。それだけじゃあ、この先の戦いにはあんたは勝てない。戦いとは、時に切り捨てるべきものを切り捨てることも重要。忍の訓練を積んできたあっしだからこそ、分かることでさァ。勿論、仲間を捨てろだとか、優しさを捨てろって言ってる訳じゃない。

「寝てるところすまねぇが、頼むぜ、フレイ」

 ----------俺があんたに捨てて欲しいのは、恐らく足手纏いになるであろう、今も見せたその甘さだ。
 優しくあっても、甘くあってはいけない。それが勝負の世界なのだ。
 ガメリオは、もしも自分の思ったとおりのシナリオになり、ボマーにどう言われることになろうが、既に覚悟はしていた。
 しかし、彼とて仲間の仇討ちという使命を背負っている。平和だった街を乱そうとする悪を討たなければならない、という覚悟を背負っている。

「----------分かってるさ、本当は、こうでもしねぇと勝てねぇのは」

 しかし、その葛藤を断ち切ったのは、意外にもボマーだった。

「旦那」
「お前の考えてることが分からねぇと思ったか、ガメリオ。フレイをクッションにして、俺を死に出しし、ゲンガーとバナを突破する、だろ」

 図星だった。
 ボマーはバカかもしれない。いや、バカだけど。
 だが、どうすれば勝てるのかも分からない程、頭が悪い訳ではない。

「俺だって、出来れば完勝してぇ。特にこういう連中相手には」

 それに、とボマーは続けた。

「フレイにも二度とあんな辛い思いをさせたくねぇんだ」

 だけど、とボマーは続けた。

「本当に勝ちたいなら、例えどんなにそいつが好きでも、俺らがポケモンである以上は勝つために犠牲は出さないといけねーのかなっ、て」
「---------生憎、あっしはチームの勝利のために作戦を考えてまさァ。そのために、切り捨てるモンは何でも捨てる。それが納得できないなら、この試合は負けるしかない」
「いや、俺は納得したぜ。フレイも納得してくれる」

 ---------後味は悪くなったとしても、だ。

「それに、自分の所為で負けたって思ったらフレイは、もっと傷つくはずだ」
「すいやせん、旦那。あんたも辛いでしょうが-----------」
「いや、これで良かったんだ」


【チーム・ボマーはフレイを繰り出した!】


 眠ったままのフレイが繰り出される。

「どうしやすか、旦那ァ」
「俺はお前の指示に従うだけだ。それに、まだお前の言ったとおりになるとは限らねぇ」
「---------了解しやした」

 そして、相手の行動は----------


【フシギバナのギガドレイン!!】


 攻撃行動。一度目の読みは外れで終わった。
 そして。


【番人はフシギバナを引っ込めた!】


 フシギバナを引っ込めて--------------


【番人はゲンガーを繰り出した!】


 ゲンガーを繰り出した。

「やっぱり来やがったか、ゲンガー」
「クククク、どうしたものですかね、ここは……」

 そして、ボマー達の選択肢は唯一つ。

「---------此処で突っ張ることだ」

 相手の読み違いを狙ったその行動だけ。これ以上、後続に負担を掛ける事も出来ないのだ。

「頼む、読み違えてくれ-----------!!」

 祈りの中、相手が放った行動は自身の身体からヘドロを----------


「---------やっぱ、やーめた」


 生成、しなかった。

「はははははは、大方、読み外しを狙おうとかそう考えて居たんでしょう?
 ざーんねんでしたァァァァァん!! 相手の行動に甘えてんじゃねえよ、このド低脳の抜け策がッ!! 消し飛べや、ボケッ!!」

 一気に瘴気が襲い掛かる。
 そして-----------フレイを吹き飛ばした。

パート4:忍の街(11) ( No.45 )
日時: 2015/03/01 23:16
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「分かっていたさ、こうなるのは----------」

 ガメリオに、さっと運び込まれたフレイは気を失っているようだった。
 だが、しかし。これで活路が出来た。
 後は、ボマーが一撃耐えて、反撃をするだけなのだ。

「だけど、お前のおかげで俺は無償光臨することが出来たんだ。感謝するぜ」

 彼女の頬を一瞬、擬人化体に戻ってから撫でる。
 そして------------再び原型となって飛び出した。


【チーム・ボマーはボーマンダを繰り出した!!】

 不気味な笑いを浮かべるゲンガーは、叫ぶように言う。

「--------ヒャハハハハハハ、貴方が私に勝てると思っているんですかァ、ボマーさん。私は、貴方が倒した同属から、貴方の選出時のデータを解析したんです。つまり、貴方がどういう型なのかは既にお見通しということですよ!!」

 それに、と彼は続けた。

「よくもまぁ、仲間だの友情だのと言った寒い茶番劇で我々の同胞を消してくれたものだ……!!」
「仲間や友情に恵まれなかったテメェには分からないだろうな」
「何だと、貴様……」

 ゲンガー、いや交換進化でゲンガーになれなかったゴーストの集合体は、怒りの怨嗟を紡ぎ出す。

「お前に、何が分かる-----------!! 友達なんて居なくて、いじめられていた俺の気持ちが----------」
「分からねーな」

 キッ、とボマーは哀しいゴーストの集合体を睨んだ。

「てめぇは努力したか?」
「何!?」
「友達や仲間を作るために努力したか?」
「貴様----------」
「俺には仲間だなんて呼べる奴なんか、一生できないって思ってた時期があった。いや、作る必要なんかない、が正解か」

 遠き日を思い返すように、ボマーは呟く。
 
「だけどな、無茶ばっかする俺を心配して、フレイが付いてきた」

 ---------今度練習の時はあたしがあんたを見張っておくわ。あんたが無理しないように、ね?

「BOHに1人だけで出るとかバカを抜かした俺に、チャモとアクアが着いて来た」

---------たった1人でフリーに潜ろうって、貴方はやっぱりバカのようだ。そして、バカにはストッパーが必要。僕が貴方を抑える足りないブレインになります。
 ---------あたしだって、先輩に迷惑掛けてばっかりは良くないって思ったもん!

「----------辛いこともあった。だけど、こうして仲間が着いてきてくれたことに、俺は感謝するぜ」
「貴方に、何が分かる!! 知ったような口を、利くなぁぁぁぁぁ!!」
「来いよ、ゲンガー。道連れなんて捨てて掛かってきやがれ」

 そして、互いの所持しているメガストーンが反応する。一方は、光が。一方は瘴気が。その身体を包み込み、進化論を上書きした進化、即ちメガシンカを生み出した!!


【タクのキーストーンとボマーのボーマンダナイトが反応した!】

【黒い影の怨念が、瘴気を生み出す-------------!!】


 ほぼ、同時に互いに更なる進化を遂げた。

「それに、フレイは唯の捨て駒で終わった訳じゃねえぜ。お前らの構築が分かった上に、メインウェポンが祟り目しかなかったってことを見ると、大方他は重力と組み合わせるための低命中率技ってところか?」


【ボマーはメガボーマンダにメガシンカした!】


「----------オマエモ、アノ蛙ト同ジ目ニ遭ワセテヤルヨ!!」


【ゲンガーはメガゲンガーにメガシンカした!】


 ああ、そうかい。とボマーは呟いた。
 しかし、相手の鬼火も警戒せねばならない。

「----------此処は、イチカバチカだが----------!!」


【ボマーの空元気!!】

『ゲンガー残りHP:赤突入』


 ボマーの渾身の突撃。
 しかし、耐えられた。まずい。そして、後に続くようにゲンガーが攻撃を仕掛けて来る。

「舐メルナァァァァァァ!!」


【ゲンガーの雷!!】


 雷が落とされて、ボマーの身体をたたきつける。
 熱い電撃が体中を駆け巡り、ボマーは堪らず悲鳴を上げた。そして、ようやく放電が終わる。
 ゲホッ、と吐血し。相手の方を見た。
 2発。耐えられるだろうか。


『ボマー残りHP:89/171』


 相手の方を朦朧とする意識の中で見る。
 麻痺状態になっていないだけ、まだマシであるが。
 どうせ、相手の方が速いだろう、というマイナス思考に頭が持っていかれそうになる。
 さらに、どうせ一撃耐えるのならば、此処は起点にして舞ってしまった方が良かった気さえする。
 というか、今の空元気は完全に悪手そのものだっただろう。

「くっ、くそっ、こんなところで終わるわけには-------------!!」

 そう、ふらつき、身体が揺らめいたそのときだった。


「こんの、バカマンダァァァァーッ!! しゃきっとしなさい、しゃきっとォォォォーッ!!」


 声が響いた。
 ちらり、とその方に目を向ける。フレイだ。既に、擬人化体に戻っていたが、辛うじて声を張り上げられるようにはなっていた。

「お前……」
「分かってるわよ。あたしをクッションにしたんでしょ。そんなの気にしてないわ。今回のは完全にあたしの自己責任だし」
 
 そんなことより、とフレイの声が大きくなる。


「これで負けたら本当に許さないんだから!!」
「お前って奴は」


 そういえば、だ。
 ---------あれ? 何でさっきのターン、奴より先に俺は攻撃できた?
 そういえば、ゲンガーは自分の型を調べたと言っていた。その瞬間、全てが繋がる。
 

「相手は、素早さに性格補正を掛けていないんだ!! ゲンガーを育成する上でSの努力値を裂くのは有り得ねぇ、だから考えられるのはそれしかねぇ!!」

 
 ---------そうだ、何を心配する必要があったんだ。俺はいつでも何も考えずに目の前のものをぶっ壊してきたじゃねえか!! そして、今回もだ!!

「ぶっ壊すだけしか能のねぇ奴は、大人しく、いや大人しくせず------------ぶっ壊すだけだ!!」

 次の瞬間、再び轟!! と勢いをつけてボマーは加速する。目の前の敵に向かって。
 ゲンガーの顔が青くなる。そして、喚き散らした。

「ソンナ、私ノデータハ完璧ナハズナノニ!!」
「残念だったな、ゲンガー。今日の俺は------------」


【ボマーの恩返し!!】


 一瞬で、ゲンガーの身体をボマーは貫いた。


「----------最ッ高に、”陽気(ハイ)”って奴なのさ」


【敵のゲンガーは倒れた!!】


 ゲンガーの影は断末魔と共に、消滅するのみ。
 そして、辛うじて最後のポケモンを繰り出す。


【番人はフシギバナを繰り出した!!】


 しかし。メガシンカもない弱点ポケモン如きに--------------


【ボマーの恩返し!! 効果は抜群だ!!】

【フシギバナは倒れた】


 ---------メガシンカしたボマーは止められない。


【街域の番人との勝負に勝った!!】

パート4:忍の街(12) ( No.46 )
日時: 2015/03/02 20:28
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「あ、がっ……タノシ……ソウダナ……アハハ……」

 断末魔は、あっけなく、そして切ないものだった。ゲンガーはそのまま、本当の影として、消滅した。
 はぁ、と息を漏らすボマー。

「何だかんだ言って、こいつは寂しかっただけ、ってことか」
「だが何であれ、脅威は去りやした。クナイさんも、これで安らかに眠れるはずでさァ」
「いや、拙者まだ死んでないから」

 杖をついたクナイが、苛立ちを込めた眼差しと声で突っ込む。

「まあ、倒せたし良いんじゃないの?」
「そうですねっ!」
「だけど、結局こいつらが何で生まれちまうのかも、俺らは調べていかないといけねェな」

 そう言い、ボマーはさっき影が消えていった方向に目を向けたのだった。
 「それより!!」と、フレイが切り込む。

「あんたら、あたしがレーダー改造してる間に、団子屋でのこのこと団子を食べていたみたいじゃない」

 ビキビキ、と彼女のこめかみに血管と本来のゴーストとしての怖さが浮き上がった。
 
「2人で仲良くお話してたの、しっかり見てたわよ?」
「ご、ごめんなのです!」
「……ま、まさか、全部話の内容聞いていたのか?」
「ええ、勿論そうに決まって------------」

 フレイは言葉を失った。顔が真っ赤に染まっていく。
 そして、半ば諦めたように、縦に首を振った。
 
「あっちゃー、お前に全部聞かれているとは思わなかったぜ……。ちげーよ? ちげーんだよ? 全部このマセガキが----------」
「分かってるわよ、そんなことくらい!」
「あうう、不憫なのです……」
「まあまあ、店の中からあっしも話は聞いてましたゼィ、要するにボマーの旦那とフレイのお嬢、これなんでしょ?」

 と、ガメリオが小指を立ててからかってきたのを見たボマーとフレイの意思は合致していた。


【ボマーの捨て身タックル!!】

【フレイの大文字!!】

「いや、ちょ、おま、待ち----------まだ、あっし何にも技使ってな-----------」


 ズドォン。
 爆音が響いて、完全にガメリオは伸び切っていた。2人の最高火力技だから、当然といえば当然ではあるのだが。

「誰がこんなバカ、好きなもんですか!!」
「右に同じく、こんな特攻お化けと恋仲になるなんて、ボーマンダ族の末代の恥ってもんだぜ!!」

 と、完全に2人はぎくしゃくしてしまったのだった。
 ----------お、おっかしーなぁぁぁ? 今のは、息ピッタリの連携でしたゼィ、お二方ァ、ぐふっ。

 
 ***

 
 あの後、コンピューターはしっかりとボマーが破壊した。どうやら、レーダーがおかしくなっていたのも、コンピューターの妨害電波が原因だったらしい。

「いや〜、散々迷惑掛けてすいやせんでした、御三方。はい、あっしの自慢のみたらし団子でさァ」

 団子屋・隠れ蓑。あの後、空腹を満たすのと、彼が謝罪したいと言ったのも兼ねて、タダで此処で食べさせて貰っていたのだった。
 勿論、団子の中にキノコの胞子が入っていることはない。

「タダなんだな? 何本食ってもタダなんだな、ガメリオ」
「ええ、そりゃあ、旦那から金を取ろうだなんて、とんでもない。勿論、お連れのお二人もですよ」
「うん、美味しいじゃない。今度静炎邸の皆にも紹介してあげるわ」
「どうも、ありがとうございやす、フレイのお嬢」
「ほんっと、美味しいです!」
「いやいや、そう褒められると嬉しいですゼィ、あははは」

 陽気に笑う4人。だけど、とガメリオは続けた。

「しばらく、この店も閉めなきゃいけねーでさァ。俺も戦うつもりですゼィ、ボマーの旦那」
「これからも私達の力になって頂ける、心強い限りです」
「そうね。ま、こいつに似てちょっとお調子者だけど、さっきも火傷を負いながら、リザードンをやっつけたらしいし? 実力は確かだからね、あんた」

 ---------忍をやりながら、団子屋やる気ままな生活も悪くは無かったゼィ。だけど、俺の力を頼りにしてくれる人たちが此処にいる。
 ボマーの手は、いつの間にか、ガメリオの手を強く握り締めていた。

「そうだな。これからも、頼むぜ。ガメリオ!」

 ---------クナイさん。俺ァやってみますゼィ。あんたが認めた程のポケモン達に遅れを取らないように、自分を磨き続けまさァ。そんでもって、このボックスを守って見せますぜィ。
 
「ええ、勿論でさァ!!」

 こうして、ボマー達に新たな仲間が加わった。そして、同時に残るエリアは3つ! そのうちの1つは----------

 ***

 ----------天獄峡域。アクア達は、北風が吹き荒れる厳しい気候のこのエリアにやってきていた。
 これは、くじの結果というよりは----------

「ボマーさんに必死に頼んだ結果って奴だよね、あっくん」
「あの人があっけらかんとした人で助かりました」
「必死って程でも無かったよーな? ま、いーか。俺は誰でもいいから、特殊型の♀ポケモンがいれば、それで十分なのさー」
「うん、もうこの人無期懲役で良いや」

 アクアが、さらりと怖いことを呟く中。


 ----------風が----------泣いている。


 それを見つめる、1つの影-------------!!


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