二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32



パート1:謎の敵(1) ( No.2 )
日時: 2015/02/26 23:50
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 英雄、英傑、という言葉は誰しも聞き覚えがある。誰もが笑った巨大ネットワーク大会『Battle of Hoenn〜バトル・オブ・ホウエン』への出場、そしてランク100以内への進出。
 それを成し遂げたポケモン達---------という小見出しで綴られた新聞を手にした少女は何やらブツブツ呟いていた。
 
「すごいよね、脳筋の癖してあいつも。ま、対戦環境トップメタだったのもあるけど」

 黒いブレザーの女制服にさらりと伸ばした黒髪。胸の蒼いリボンと黄色い瞳が目を引く少女は青い炎のような妖精っぽい何かが運んできたティーカップに手をとり、紅茶を啜った。
 瞳の奥には静かに燃えるような炎がゆらめいているような妖しさを思わせる。
 仕事仲間のその男を称えているのか、貶しているのかははたまた謎だが。
 

「今、良いか?」

 
 という声と共にノック音。
 ええ、と答えた後、青い炎の精が何匹か飛んで行き、扉を開けた。入ってきたのは背の高い気の強そうな女だ。武人肌、というかそういうものが見るだけで伝わってくる。
 が、そんな空気などとっくに慣れているのだろう。

「何のようですか? 貴方がわざわざ此処、”静炎邸(ジョウエンテイ)”に来るなんて」
「いや、な。うちのバカの弟分が此処まで成長するとは思わなかったんでな。同僚のお前に話聞きに来たのさ。それに、怪我も心配だったからな」
「バカ、ですか。ま、その通りですけど。でも、バカ程真っ直ぐに成長するものですね。バカですけど。後、怪我なら心配なく。今すぐ実戦にも復帰できますよ」
「普段からお前とあいつは組んでたじゃないか」
「暑苦しくて鬱陶しいだけです、あんな奴」
「そうか、だけど実はお前が一番、今回の件を喜んでいるんじゃないか?」
「へっ?」

 一瞬フリーズ。
 解凍。
 そして、かあああ、と彼女の顔が真っ赤になる。

「そ、そんな訳無いじゃないですかぁーっ!!」

 そうかそうか、と鼻で笑うように女は青い炎が持ってきたティーカップを取り、中身を啜る。

「ひ、ひどいですよ! あたしがあんな奴、の心配なんか!!」
「ひどいのはお前だ、あんなに入院してた時に心配してもらってからに」

 ケラケラ、と笑う女に少女は真っ赤になったままの顔を俯かせて言う。

「心配しろって頼んだ覚えはないです、あんなやつぅ〜!!」

 オカルトチックではあるが、どこか神秘的な書斎の明かりは、彼女の付き役をしている蒼い炎達だけだ。
 しかし、今は”本体”の彼女の感情に呼応してか、メラメラと赤く激しく燃えている。
 ようやく、彼女が落ち着いた頃、女は続けた。

「今じゃ、私に代わってあいつはマスターのエースとして先陣切ってくれている。こりゃ、私が引くのはもうそろそろか」
「とんでもない。マスターもマスターです。クラス:6Vという生まれながらの天才を勿体無い」
「6Vだって5Vとは変わらない。要らない能力にVが入っていたって邪魔なだけだ。役割破壊の大文字なんて、今時あたしらガブリアスでやることでもない」

 ”V”。その能力値が最強であることを表す勲章。それが多い者が育成され、対戦に出る権利を獲得する。
 制服の少女は5Vの称号を持つ。Vがないのは、対戦では使わない能力のみ(物理型のポケモンならば特殊攻撃力、特殊型のポケモンならば、物理攻撃力)。
 一方の長身の女は生まれながらの天才、6Vの称号を持っていた。軍人肌の彼女はいつも周囲を引っ張ってきた。

「だから、それに奢ることなく、努力してきたつもりだが、私だって引き時は分かる。私にはマスターの求める物は無い」
「火力、ですか。馬鹿馬鹿しい、A種族値130を火力不足と自分で言うんですか。PGLランキングだって、貴方の種族が1位じゃないですか。あのバカは圏外に転落したのに」
「……ランキングの問題ではないさ」

 はぁ、と彼女は溜息をついた。


「私よりも、奴のほうがマスターの求めるそれに合致していた、それだけだ」

 
 その顔には絶望だとか、そういう色は無かった。
 むしろ、清清しい気分だったであろう。

「……メガシンカ」
「……」

 少女の呟いた一言で、女は押し黙ってしまった。

「メガシンカさえ使えば、貴方だってエースの座に---------------」

 ***


「だーっはっはっはっ!! 粉砕、玉砕、大喝采☆」
「バカがバレるのでやめてください」

 これが、噂のバカである。青と赤のメッシュの髪が特徴的な彼は、サングラスを掛けており、威圧感ばっちりだが、台詞の所為で威圧感など無くなってしまっている。
 それを窘める少年は、眼鏡にオレンジの突起がついたヘッドフォンが目を引く。優等生、という言葉が似合うが、目は生憎三白眼でワルっぽい。

「今日も3タテだったぜ、なぁ!?」
「ええ、僕が起点を作ったおかげですね」
「あ? 俺以外誰も出てないだろ」
「てめぇぇぇ、好い加減にしろよぉぉぉ!! アンタは自分が活躍すりゃ、それで良いんですかぁぁぁ!!」

 キレた眼鏡の少年。どうやら、気は長い方ではないらしい。

「勝ったときは100%俺のおかげ、負けたときは100%お前らモブの所為だろ」
「最低だよ、コイツ!! エース失格だよ!!」
「エースは、このボマー様一択だぁぁぁ、俺以外あり得ん!」
「自惚れも度が過ぎますよ、全く……」

 ふはははー、と叫ぶバカ(ボマー)。いまや、チームは愚かボックス全体のエースとして名を馳せる彼は、バトル・オブ・ホウエンでも見せた超火力で今日も相手を3タテしたのだった。
 そう、彼の種族はボーマンダ。オメガルビー・アルファサファイアからメガシンカを得た600族ポケモンの一角だ。

「ボマー先輩、バトル・オブ・ホウエンの後から、相当元気になってるよね」
「チャモさん……このバカ先輩は最初ッから元気です」

 頭を抑えながら、眼鏡の少年はチャモと呼んだ少女を見るが、つい目を逸らしてしまった。何故なら、彼女の格好は開け放した丈の短い白のパーカーの下に赤いチューブトップのみを纏っている、というもので結構露出が多い。本人曰く「暑いから」。
 今はもう慣れたと思ったが、最近、また彼女の格好を意識してしまっていた。いや、ひょっとして意識しているのは彼女自体か?

(僕の顔が熱くなりそうです……)
「どしたのー? あっくん?」
「何でもありませんっ!」

 しかし、本当疲れる面子だ。彼の名はアクア。ポケモンの中でも御三家、と呼ばれる最初の三匹の最終進化系・ラグラージだ。その中でも最強クラスの能力を彼は持っている。誇張ではなく、種族値的な話だ。
 が、好きなことはアタッカーよりも起点作りや頭脳戦。どちらかというと、物理攻撃力の方が高いにも関わらず。
 さて、他の面子はボマーに呆れて帰ってしまったところである。
 自分達も早く、このネットワークの海・バトルスポットから自分の居場所に帰りたいところだ。

「早く帰りましょう、皆さ------------」

 そう言って、踵を返したそのときだった。


 ズドン


 爆発した。
 背後で、何かが。轟音と共に。
 直後、振り返ればネットワーク空間の壁をブチ破るように現れたのは、黒いもやもやの塊-----------だった。
 それは直後、一気に黒い玉を放った、玉は周辺に居た他のポケモンに襲い掛かり、再び爆発する。
 同時に、何か光のようなものが黒い塊の元に集まっていく。


 ----------我、汝ラニ復讐スル者ナリ。


 アクアは気づいた。
 さっきまで普通に話をしていた少女が痛そうに肩を抑えているのだ。

「い、痛い、よぉ……!」
「チャモさん!!」

 慌てて駆け寄る少年。心配そうに彼女を安静にする。

「……よくも、よくもチャモさんにこんな真似を---------------!!」
「あっ、くん……!!」
「アクア、待て!! 無闇に突っ込むんじゃない!!」

 アクアの姿は、先ほどまでの人間の姿ではなかった。
 完全に”原型”と呼ばれる携帯獣(ポケモン)の姿へと変化していた。
 此処にいるポケモン達は、普段こそ擬人化された姿をしているが、対戦のときのみ、または闘争本能が高ぶったときのみ、こうして元の姿へと戻れるのだ。
 ただし、かなり疲れる。体力を多く消費するのだ。普段の対戦の時は、模擬戦なのでこういった体力消費を心配する必要は無いが。
 さらに、アクアは主の持つキーストーンの力を無理矢理借り、(実際はその場に居なくとも、気合で何とかできる)自身のメガストーンに力を注ぎ込んだ。
 激しい光と共に、その姿をより屈強に、そして

「メガラグラージの馬鹿力、見せてやりますよぉ!!」

 ”進化”した。
 限界を超えた更なる進化、それがメガシンカ。
 アクアもまた、メガシンカを可能とする種族・ラグラージ。そして、バトル・オブ・ホウエンでは決して自分からはやらなかったアタッカーを自ら進み出たのである。
 その火力は、馬鹿にはならない。

「アクアテールッ!!」

 激流を尾に纏わせ、黒い塊に向かって-----------突撃する。
 辺りのもの、全てを押し流すように。
 しかし、そのときだった。
 黒い塊は確かに呟いた。


 オマエノメガシンカパワー-----------貰ウゾ……!!

パート1:謎の敵(2) ( No.3 )
日時: 2015/02/18 18:56
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「よくも、チャモさんを、僕の仲間をーッ!!」

 激流に身を委ね、巨大化した腕を振り上げるアクア。しかし。
 黒い塊から、腕が伸びる。人間のような白い腕だ。黒い塊の奥に人の姿が見える。
 どうしてか、その姿にはとても見覚えがある。
 ------------ボマー、さん!? いや、違う-------同属か!?
 それが、アクアの胸に突き刺さる。同時に、彼を纏っていた激流が消えた。
 
「アクアァーッ!!」
「う、が、バカ……な、何者なんだお前は-----------!!」

 どくん、と腕が脈打った。そして、するり、と腕が抜ける。元の人間体に戻ったアクアはそのまま地面に倒れた。
 しかし、胸にそれらしき穴は開いていない。

 -----------メガシンカエネルギーハ幾ツカ集メタガ……マダ不十分カ

「次ハ、オ前ダ」

 今度はボマーの方を向く。そして、さっきの白い腕を伸ばして襲い掛かってくるが-----------!!
 
「させませんっ!! 大文字っ!!」

 轟!! と唸りを上げる炎が黒い塊を包み込んだ。流石に直撃を貰ったのか、怯んだようだ。
 チャモが携帯獣としての姿、バシャーモとなって迎え撃ったのだ。
 しかし、余り利いていないように見える。

「なら、目覚めるパワー(氷)で-----------!!」

 追尾するエネルギーの玉が黒い塊に再びぶつかる。
 冷気を込めたこの技ならば、利くか? と直感で感じたのだ。
 目の前の相手、何故かボマーと同じような気配がする。
 直撃した。
 その黒い塊は、極端にそれを恐れているようだった。

「クッ、マアイイ……オ前ラハ最強ノメガシンカを以ッテ相手ヲスルカ……!!」

 案外、あっさりと影は別の方向へと飛んでいく。
 ふぅ、と溜息をつく一行。
 しかし、その中で唯一その方向を目で追い、顔を青くした者が居た。
 ボマーだ。


「お、おいっ、あの方向って『静炎亭』じゃねえか--------------!!」

 真っ青な顔を更に真っ青にしたアクアは、起き上がった。ふらふらとしてはいるが。

「えっ、ちょっと待ってください!! 今日、”ガブリさん”もあそこに--------」

 ---------バトル・オブ・ホウエン、勝ち抜いたようだな。
 ---------あたぼーよ! 3500位中、100位以内に入ったぜ!
 ---------百の位から下を全部覚えていないところ、お前らしいが……まあ、良い。精進しろよ。
 ---------それだけかよ。けっちぃな。
 ---------何だ? 何か欲しかったのか?
 ---------別に、そういうわけじゃねーけどよ。
 ---------なら、くれてやる。
 ---------何をだよ。
 ---------エース。エースの座だ。
 ---------ちょ、マジで言ってるのかよ!! 
 ---------マジだとも。私が相応しいと認めた男だ。エース、にな。

「姉御……!」
「ガブリさんも心配だけど、フレイちゃんも、大丈夫かな……?」
「そういえば、この間退院したとは聞きましたが、忙しくて大会終わってから直接は会っていませんでしたね--------!!」

 ---------ねえ、ボマー。あんたが戦ってる姿見たら、あたしも勇気が出るかな……? 
 ---------ああ? 知らねぇ。んなもん、テメー次第だろ。復帰できるかできねえか、なんてよ。それよか、今は怪我を治せ。
 ---------冷たいなー、ちょっとくらい心配してくれたって。寒いんだよ……。最近。あたしの身体の中の炎が消えちゃいそうなくらい、寒いんだよ……。あんな負け方したからかな。
 ---------弱気になってねぇか、お前。幾ら入院してるからって。
 ---------いっつも、あたしのことをうるさいって言うじゃん。
 ---------お前は煩いくらいが丁度良いんだよ、特攻お化け。
 ---------うるさい、脳筋の癖に……。絶対、無様な試合はしないでよ!
 ---------分かってら。俺は最強のエース、ボマー様だぜ。

「フレイ……!! ちくっしょぉぉぉーっ!!」

 ボマーは携帯獣の姿ならば飛べることも忘れて、駆ける。それをアクア達は追っていく-----------!
 
 ***

 
 『静炎邸』は別プレイヤーのサーバーから来ていた、シャンデラが建てた、ゴーストポケモン用の古びた見た目の居住施設だった。
 しかし、これがゴースト達には大うけで、多くのものが此処に移り住んだくらいだ。
 そのシャンデラは嬉々とした様子でこのサーバーからは去っていった。一人娘にこの館のやりくりを任せて。
 どうやら、一人娘に館のきりもりの修行をさせるのもあるらしい。別サーバーからたまに様子を見に来る。
 さて、その一人娘の名はフレイというが-----------レートでもいつも此処一番というときに活躍していた。
 しかし、それが祟ってか。クリスマスの日、大怪我を負い、しばらく入院することになった。
 無理をし過ぎたのだ。ある対戦で、一撃必殺技の絶対零度を炎タイプでありながら食らったのだ。しかし、負けず嫌いな彼女はその後の対戦で、自分から炎統一でパーティを勝手に率いていくも、最後はメガオニゴーリのフリーズスキン大爆発に巻き込まれて、倒れた。
 何でこの世界観に病院とかあるんだ、とかそういう質問は無しでお願いします。

「フレイさん----------何も無ければ良いんですけど!!」
「俺、まだ会ってあいつに何にも報告してねぇんだよ!! だけど、ゴーストだから死にはしねぇよ! 死には!!」

 ----------問題は、死ぬ以上に痛めつけられるってことだけどなっ!!

「全く心配だ……!」
「そりゃ、レートでもしょっちゅう組んでいましたからね、あんたら」
「小指と小指が赤い糸で繋がってるみたいだったねー!」
「ばーっきゃろぉーっ!! スカイスキン捨て身タックルでぶっ飛ばすぞ!!」

 赤面している辺り、こいつ色恋沙汰は理解できたんだな、とアクアは察してやった。もっとも、まだ付き合うとかそういう段階ではないらしい。
 2人は顔を合わすといっつも口喧嘩してばっかりだったし。
 が、んな茶番をしている暇は無い。
 すぐに館へ駆け込んだ。
 そして、中へ入ると薄暗い洋館のそれだが------------悲鳴が聞こえた。

「誰だ!?」
「たぶん、住んでいるゴーストポケモンが襲われたんですよ!!」
「いや、今の悲鳴は------------!!」

 ***

 2階、大広間。そこには多くのゴーストポケモンが倒れていた。いずれも、ガチの育成を受けた強者ばかりにも関わらず、だ。
 そして、その死屍累々の山の中には(ゴーストポケモンには死ぬとか無いけど)ガブリの姿があった。

「姉御ォーッ!!」

 駆け寄るボマー。メガシンカした姿の彼女だったが、すぐにそれは解けて人間体に。
 そして、声を掛けても返事をしない。あの彼女が。

「出てきやがれ!! 誰がこんな真似をォーッ!!」

 
 ぽつん。


 音がした。
 見れば、中央に少女の姿があった。
 制服姿の彼女は、ボロボロだった。
 そして、泣いていた。

「ごめんね、ボマー。歯が……立たなかった」

 空ろな目で、壊れたように、何度もごめん、ごめん、ごめん、と繰り返す。

「寒いよぉ……あの時みたいだ、あはは……痛いよぉ、冷たいよぉ……」

 
 どさり


 倒れた彼女は、そのまま動かなくなった。

「フレイ、おい、何でっ……!!」
「最強のメガシンカのエネルギー……メガシンカポケモンの中でも、メガラグラージとメガガブリアスは特に最高だった。そして、その他のポケモン達のエネルギーも」

 声が聞こえる。
 その声は、寒気がするほどボマー自身に似ていた。

「われわれは、貴様らに復讐するために此処にいる!!」

 3つの靄が目の前に現れる。
 2つはポケモンの姿をしている。
 そして、中央には------------ボマーと瓜二つの男が立っていた。

「多くのタツベイの恨み……此処で晴らさせて貰う!!」

 ---------多くのタツベイ、だと!?
 アクアはその言葉に引っかかりを覚える。タツベイ、即ちボマーの種族・ボーマンダの進化前のポケモンではあるが。
 しかし、そんなことはボマーには関係なかった。

「てめぇ……俺の仲間を……もう、プッツンしそうだぜ!!」

 怒っていたのだ。ボマーは最初から。アクアを止めたときも。

「ならば、ポケモンバトルで勝負だ。我々はこの”完全体”をもって、お前達と対等の戦いに勝つことで、存在を認められるのだ!!」
「……おい、アクア。チャモ。戦えるか」

 言ったボマーに気おされ、2人は頷くしかない。
 そして、ボマーは叫んだ。

「胸糞悪ィ……こいつはぶっ飛ばす!!」

パート1:謎の敵(3) ( No.4 )
日時: 2015/02/16 21:54
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

 フレイを安全な所に寝かせた。刻まれた傷が痛々しい。ガブリも目を覚まさない。
 相手の影は3体。こちらも戦えるのは3体。

 「安心しろ。さっきも言ったとおり、汝らの世界でのルールで我々は戦う。さもなければ、この復讐の意味が無い」

 つまり、シングルバトルで戦ってくれるということだ。
 ならば都合が良い。こちらもそれで行かせて貰おう。
 早速、自分の主人を呼ぼうとする。

「おーい、マスタァーッ! お前の出番だ、采配を頼む-----------!」
「無駄ですよ、ボマーさん。あの人は……」
「どうしたんだよ」
「偏頭痛の症状が出たので、今日はもう起きられないかと」
「ちょ、ちょぉーっ!? じゃあ俺達だけで戦うのか!?」
「仕方がないよー。てか、ポケモンする元気はあったんだね、マスター。でもすぐに尽き果てたみたいだよ」
「全く、肝心なときに役に立たない主人です」
 
 仕方がないであろう。頭がたまに痛くなるときがある。
 どの道、今回は3対3。選出の余地は無い。こちらは、バトル・オブ・ホウエン準備期間で何度も試した----------

「起点構築で行くぞ!! つーかそれしかねぇ」

 とのこと。相手が何をしてくるか分からないが、こちらのやりたいことを押し付けるだけだ。
 しかし、バシャーモがいる辺り、起点バトンか? と思う方もいるかもしれないが。

「生憎、アタッカー型だ。つまり、やることは1つ。俺も今回の型(スタイル)は普通の竜舞捨て身型。つまり、アクアが起点を作って、俺達残りで殲滅するってものだ」
「はぁ、折角メガシンカ型も持ってきたのに……。まあ自業自得ですが。でも、チャモさん大丈夫ですか? 戦えますか?」
「あたしは大丈夫っ! 何とかいけるよ!」

 こうして、初手・アクア。
 後続にボマーとチャモという構成になった。

 選出確定メンバー
 1.アクア(ラグラージ)
 2.チャモ(バシャーモ)
 3.ボマー(ボーマンダ)

「よし、掛かって来やがれっ!!」

 原型に姿を戻し、3人は戦闘体制に入った。
 さて、本体の人型も含め、相手の影が実体化する。
 3体のポケモンが現れた。
 ドーブル、ローブシン、そして--------------ボーマンダ。

「成る程、同属だったって訳か。最も、普通のポケモンじゃ無さそうだぜ」

 ふぅーっ、と溜息をつきボマーは叫んだ。

「行くぜ、バトルスタートだ!!」

 ***

 余談であるが、次のレスのURLにはBGMを貼っている。ぜひ、聞きながら対戦を楽しんでいただきたい。

Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン対戦小説】 ( No.5 )
日時: 2015/02/16 21:26
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=U6Iy3MYdUkI

***


【謎の影が勝負を仕掛けてきた!】

【行け! ラグラージ!】


 ぶるっ、と巨大な体を振るい、アクアは呟く。

「さて、一応ですが僕らのデータを随時表示出来るようにしておいたので、ボマーさんとチャモさん、アドバイスお願いします!」
「オーケー! 分かったぜ!」
「いつものことだけどね」

 ぴっ、とデータが表示された。
 
『ポケモンDETA
アクア:ラグラージ♂
HP207/207
性格:冷静沈着ではあるが、少々キレやすい。常識人の突っ込み役。
性能:頭脳戦が得意ではあるが、本来は近接格闘が得意。ただし、メガシンカ時に限る。また、ラグラージ族にも例外はあるのか、擬人化体の顔は整っている方ではある。総じて、ラグラージには見えない。
火力:C(A) 速度:C(S) 耐久:A 自覚:C スタミナ:A 頭脳:SS』

「おおー、成る程。これは分かりやすい」
「さて、相手は何を出すのでしょう」


【謎の影はドーブルを繰り出してきた!】


 絵描きポケモン、ドーブル。種族値はお世辞には優秀とは言えず、特性もそこまで強いものではない。
 本来は。

「奴は確か、スケッチで何でも技を習得していたはず。何を使ってきても文句は言えませんね」
「下手したら、時の咆哮とか飛んでくるかもな」
「奴の火力じゃ、大したことはありません。それより----------」


【ドーブルのキノコの胞子! アクアは眠ってしまった!】


 キノコの胞子。命中率100%で相手を必ず眠らせる恐怖の技である。かのボクサーキノコはこれで第五世代のレーティングを荒らし回った、とんでもないポケモンだ。
 そして、これは本来ならばキノコ系のポケモン以外は習得が出来ない技。
 それを平気な顔でドーブルが覚えているのには訳がある。
 スケッチ、だ。先ほどボマーが言っていた通り、このスケッチは直前に相手が使った技をコピーすることが出来るという代物。
 それを駆使し、何をしてくるのかが読めないのが、ドーブルの特徴である。ダークホールだろうが、なんだろうが、使われても本当に文句は言えないのである。

「……お休みなさい」
「うぉぉおおおい!! てめぇぇぇ!! 何やってんだ!! 寝てる間にギロチン連打して一撃必殺狙う型かもしれんぞ!!」
「ぐーすかぴー」
「あはっ、寝てるあっくん可愛い」
「可愛いとか言ってるバヤイかぁぁぁ!!」

 ん、待てよ……。奴の特性って確か……。

「や、やべぇ。もう1つやばいルートを思いついてしまった」


【ドーブルのムラっけ発動! ドーブルの命中率がぐーんと上がった! ドーブルの回避率が下がった!】


「連打っつーか、命中率上げて一発で当てるつもりだ、あの犬野郎ォーッ!」

 これはやばい。一撃必殺を使うと決まった訳ではないが。
 ドーブルの特性:ムラっけはターンの終わりに自分の能力のいずれかが2段階、つまりぐーんと上がり、それ以外の能力が一段階下がるというもの。
 この特性は使い方次第では凶器になりえる。
 例えば、上がった命中率で一撃必殺技を当てたり、上がった回避率でひたすら避けまくったり、などである。


【ドーブルの殻を破る! ドーブルの防御と特防が下がった! ドーブルの攻撃と特攻と素早さがぐーんと上がった!】

【アクアはぐうぐうと寝ている】

【ドーブルのムラっけ発動! ドーブルの命中率がぐーんと上がった! ドーブルの回避率が下がった!】


 おかしい。一撃必殺技など飛んでこない。

「えっと待てよ? 何故に殻を破る、だ?」
「もしかして、相手って積みバトン構築じゃ……」
「あっはっはー、そんな訳……起きろぉぉぉーっ!! アクアァァァーッ!! 相手は積みバトンだ、死ぬぞぉーっ!!」

 必死の形相で叫ぶボマー。しかし、アクアは気持ちよさそうに寝ているだけだ。
 積みバトン。つまり、積み技を使った後にバトンタッチを使い、そのまま能力変化を後続に引き継がせて全抜きするという戦法だ。


【ドーブルのキングシールド!】

【アクアはぐうぐうと眠っている】

【ドーブルのムラっけ発動! 攻撃がぐーんと上がった! 命中率が下がった!】


 何故、此処でキングシールドをしてきたかはすぐに分かった。
 まもみがオニゴーリと同じように、確実にムラっ気の試行回数を増やすため。
 殻を破るを下手に使えば、防御面が下がり、アクアがアタッカーだったときにやられる可能性がある。

「悠長な……! くそっ!」


【ドーブルのキングシールド! しかし、うまく決まらなかった!】


 この際、キングシールドの発動か否かは関係ない。
 此処で奴を”ほえる”で吹き飛ばせば、上がった能力を全て無かったことに出来る。
 次の瞬間、むくり、とアクアは起き上がった。

「お、おおおーっ!! 起きたか、アクア! 吼えて奴を吹き飛ばすんだ!」
「うう、起点作り……しないと」


【アクアのステルスロック! 辺りに尖った岩が漂い始めた!】


 岩が浮遊する。交代して出てきた相手に突き刺さる潜伏する岩だ。
 しかし、場違いすぎた。
 ボマーの顔が真っ白になる。

「何で吼えなかった、てめぇぇぇぇーっ!!」
「あり? やっちゃった感じですか、これ」  


【ドーブルのムラっけ発動! 素早さがぐーんと上がった! 攻撃が下がった!】


「ええ!? 積みバトンかもしれない!?」
「寝てたから、仕方ねぇか。くそっ」
「でも、だとしたら、相手の後続ってローブシンかマンダですよね、これって詰みゲー-----------」


【ドーブルのキノコの胞子!】


「お休みなさいです」
「この役立たずーっ!!」


【アクアはぐうぐう眠っている!】


 これはまずい。好い加減、相手も積みバトンならばバトンタッチを使ってくる頃合だ。
 そして、本日何度目か知らないが、相手のドーブルのムラっけが発動する。

【相手のドーブルの攻撃がぐーんと上がった! 回避率が下がった!】

 そして、間もなく----------

【ドーブルのバトンタッチ!】

 相手の恐怖のバトンが繋がれた。そして、現れたのは-------------


【黒い影はローブシンを繰り出した!!】


 2柱のコンクリートを掲げたポケモン、ローブシンだった。

パート1:謎の敵(4) ( No.6 )
日時: 2015/02/18 18:59
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「そ、そんな……!!」

 ボマーは項垂れた。まさか、後輩がポカをした所為で、フレイやガブリへの仇討ちが出来なくなってしまうとは。

「こ、此処までって言うのかよ!!」


【ローブシンの叩き落とす!!】

「ふ、此処までか。あっけないな」

 黒い影が笑う。
 無駄な抵抗だ、と。
 巨大なコンクリート柱がアクアに襲い掛かる--------------------!!


 ガッ


 鈍い音がして、思わずボマーとチャモは目を背けた。
 しかし。
 

「誰がこの程度で吹っ飛ぶって、言いましたか?」


【オボンの実が叩き落とされた!】
『アクア:残りHP2/207』

【アクアは目を覚ました!】


「御三家最強をっ、舐めんなぁぁぁぁぁぁーっ!!」


 轟!! という轟く咆哮。
 アクアの目は、既に覚めていた。
 そして、ローブシンはその咆哮に押されて、吹っ飛ばされる。


【アクアの吼える! ローブシンは手持ちに戻っていく!】


「バ、バカな……!!」

 黒い影は信じられない、といった顔をした。その顔はボマーそのものなのだが。
 実際は、Aに殆ど振っていないローブシン(A五段階上昇)が叩き落とすで攻撃した場合、H252B152の配分なら、ラグラージは乱数でこの攻撃をギリギリ耐えることができるのである。

「ぐっ、くっ!!」

 そして、今度はボーマンダ、即ち黒い影の本体が現れる。


【ボーマンダは戦闘に引きずり出された!】

【ボーマンダに尖った岩が突き刺さった!】

『ボーマンダ:残りHP3/4』


 ふぅー、と息をつき、アクアは言った。

「間違いなく、メガシンカ型でしょうね」

 お、の、れぇ……と呪詛音のような声が響く。
 目の前のボーマンダからだ。
 
「我らの恨み、思イ、知レ……!!」

 ビキ、ビキ、と体から音がする。すぐにボーマンダは邪悪な覇気に包まれ、姿が見えなくなるが、間もなくパリン、とガラスの割れるような音とともに、その姿を現した。


【黒い影の怨念が瘴気を生み出す------------!!】


「メガシンカ、完了ォ……塵ニ帰スガ、良イ……!! 死ネ!! 沈メ!!」


【ボーマンダはメガボーマンダにメガシンカした!】


 三日月の形をした刃の羽根、鋼の装甲。その姿は、全てを破壊し尽くす戦闘機そのもの。
 そして何より、邪悪な気配が漂ってくる。

「此処まで、ですか」


【メガボーマンダの捨て身タックル!!】

【アクアは倒れた!!】


 余りの速さに受身を取ることも忘れた。ふっ飛ばされたアクアは当然戦闘不能。
 心配して駆け寄るボマー。普段の対戦ではあり得ないが、今は別だ。

「アクア、大丈夫か!?」
「っつー、かなり痛いですね。でも、それなりにタフに鍛えているつもりなので、げほっ」
「強がるな。もう無理すんじゃねえぞ」
「ボーマンダなら、あたしが有利だねっ!」

 チャモが出て行く。


【ポケモントレーナーのタクはバシャーモを繰り出したっ!】


 今、此処にはいない作者の代わりに、自分から出て行くチャモ。
 格闘タイプの彼女が飛行タイプのボーマンダに勝つのは難しいと思われるが------------

「彼女は目覚めるパワー氷を持っています。此処で何とかボーマンダを処理できれば良いのですが」


『ポケモンDETA
チャモ:バシャーモ♀
HP:154/154
性格:活発で陽気な性格だが、うっかり屋でドジや失敗も多い。しかし、一生懸命で裏表が無いので基本は好かれている。
性能:彼女の型は基本、両刀のみだが、目にも留まらぬ速さと超火力は脅威。あのギルガルドさえも珠&ステロ込みで確1取れるよう調整してある。ついでに言うと、擬人化体の胸部装甲は他の女子面子より大きい。
火力:A 速度:∞ 耐久:C 自覚:B スタミナ:C 良心:SS』


 速度∞。つまり、特性・加速によって場に居座り続ける限り、延々と速くなり続ける脅威の能力を持つ。
 それだけではない。

「命の珠を持っためざパ氷でマンダは確定1発! 読み勝てるよ!」
「勝てれば良いんですが……フラグにしか聞こえません」


【チャモの守る!】


 これにより、彼女は防御体制に入った。1ターンの間、時間を稼ぐことが出来る。
 これにより、次のターンからは加速でボーマンダを追い抜くことが可能なのだ。
 しかし。時間を稼ぐことが出来れば、の話だが。


【ボーマンダの竜の舞! 攻撃と素早さが一段階アップした!】


「安定行動? 甘エルナ……沈メェェェッ!!」

 アクアは溜息をついた。まずい。相手の安定行動を逆手に取るこちらの戦法さえもコピーされたのか、それとも選択が安易過ぎたのか。 
 次のターン、守るの成功率は30%。
 このまま彼女を引っ込めるわけにもいかない。

「え、ちょ、やば-------------!!」


【チャモの守る! しかし、うまく決まらなかった!】

【ボーマンダの捨て身タックル!! 効果は抜群だ!!】


「きゃあああっ!!」

 彼女が吹っ飛ばされてくる。特性:スカイスキンによって、捨て身タックルは飛行タイプになり、さらに威力1.3倍の補正が追加された。
 オーバーキルにも程がある。


【チャモは倒れた!】
『チャモ残りHP:0/144』

「うぐぐ……読み負けるなんて……!」
「大丈夫ですか?」
「悔しいよ……こんな負け方……っ!!」

 アクアに肩を貸して貰い、彼女は悔しそうに言った。

「でも、完全に無駄だった訳ではありませんよ」


『ボーマンダ残りHP:反動で50%程
攻撃一段階上昇、素早さ一段階上昇』


 相手の体力は捨て身タックルの反動とステロによって、かなり削れている。

「それに、攻撃力ならば-----------俺が出るだけで殺げるだろ。+が0に戻るだけだが」
「残りの敵を貴方に任せる、ですか。いつものことですが」
「仕方が無い、よね」
「何、安心しろよ。ぶっ飛ばして来らぁ」

『タクはボーマンダを繰り出した!』

【ボマーの威嚇が発動! 敵のボーマンダの攻撃力が下がった!】

 ギラリ、とボマーの目が光った。

「舐めてんじゃねぇぞ、ボケコラァーッ!! 世界で一番強いのは、この俺様だぁーっ!!」


『ポケモンDETA
ボマー:ボーマンダ♂
HP171/171
性格:不良のような荒い気質。高飛車で考え無しに動くことから、バカと呼ばれがち。勝ったときも自分のおかげと威張り散らすが、本当は素直になれないだけである。実は仲間思いで、それを傷つけるものには憤然として向かっていく。意地っ張りで、こうと決めたことには頑として譲らない。
性能:彼を語るには、メガシンカ前でも高いA種族値から繰り出される破壊、破壊、破壊。目の前の敵をぶっ飛ばすために生まれたようなものだ。物理、特殊、両方行ける上に、彼の本領はメガシンカにある----------!
火力:S 速度:S 耐久:A 自覚:A スタミナ:C 破壊力:SS
 頭脳:D?』


「威嚇=メンチ切る、なんですね」
「ボマー先輩らしいけどねー」
「アンタもちょっとは、活躍してくださいよ」
「あたしを見放した運が憎い」
「運ではなく、読み勝って下さい」

 此処の選択肢は1つ。殴る、それだけだ。

「此処で、エースの登場だぜぇぇぇぇーっ!!」


【ボマーのメガストーンとメガバンクルが反応した!】


 ボマーの秘められた力と、とりあえず持ってきたトレーナーのメガバンクルが反応し、強大な力を呼び起こした。
 飛竜としての本能は、高みを目指し続け、遂に空へ--------------!!

「……メガシンカ完了だっ!! それも、本物のな!!」


【ボマーはメガボーマンダにメガシンカした!】


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