二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32



参照1000突破記念:ポケモン配布 ( No.72 )
日時: 2015/03/25 11:42
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

ボマー「つーわけでだ、さっき確かに参照が1000突破したのを確認したぜ」

アクア「すいません、先輩。僕、さっき先輩を問い詰めてましたよね? シリアスなムードが全て台無しなんですが。何ですかコレ」

ボマー「あ? 参照が1000突破したから記念の雑談回だコノヤロー。これで更に参照が稼げるってもんだろ、あわよくば」

アクア「誰の指示ですか、それはぁぁぁーっ!!」

ボマー「マスター以外の誰が居るってんだよ、そりゃあ。良いところでキャラ紹介とか用語解説とか連レスしまくって、『お、最新話かな?』とやってきた読者共を釣って参照を増やそうとしたところ、見事作戦大成功☆ この小説は見事に参照1000突破したのだった。焦らしに焦らされた読者は、恐らくこの小説のレスを確認しないと生きていけなくなるはずだ」

アクア「ワケガカワラナイヨ」

ボマー「まあまあまあ、落ち着け。冷パンの準備やめろって。寛大な読者諸君は、許してくれる、そうだろ
兄弟(ブラジャー)」

アクア「うん、一旦死のうかアンタ」


【アクアの冷凍パンチ!!】


 ***


ボマー「やめろおおお、その卵は厳選に厳選を重ねた良個体の奴だぞおおお、俺の首が斬られるぅぅぅ!!」

アクア「お詫びと言えばそうなんですけどね。マスターが厳選したポケモンを配布しようと思います。多分全部5V理想個体だと思います」

ボマー「そんなもんをタダで配布するとか、てめーの頭はイカれてんのかあああ!?」

アクア「タダで配布? 当然ですとも。この5種類のポケモンを。それも、レアな遺伝技があったり、性別が無くて厳選が難しいポケモンです」

ボマー「ゲホッ」


【ボマーは倒れた!】

 ***


 皆さんに感謝の気持ちを込め、今回のポケモン配布を決定しました。
 もし、今から上げる5種類のポケモンの中に目ぼしいものがあれば、レスしてください。 
 ただし、1人につき1匹までです。
 いずれもレベル1でニックネームは付いていませんが、ニックネームは申し付ければこちらが指定されたものを付けます。

 そして何より、いつもの交換ならば孵化余りを出すのですが、今回は全てが理想個体5Vです!(ただし、めざパ理想個体の都合上、4Vにしなければならないアチャモを除く)
 しかも、技マシンや教え技でレベル1の段階では覚えない技を覚えている個体もいます(ただし、そのまま対戦で使えるわけではありませんが)
 募集期間は、〜4/2日まで。いずれも無くなり次第終了です。
 また、人数次第では抽選とさせていただくこともあります。用意しているのは、1種類につき数も決まっています。(尚、性別は選べません)
 また、ひょっとしたら作者のきまぐれで数が増えるかもしれませんが、期待しない程度に。
 


ポリゴン 図太い トレース 
残り1匹
技:電磁波/どくどく/シャドーボール/10万ボルト
すごいポイント:厳選が難しいポリゴンの5V。以上。でも、ポリゴン2に進化させて進化の輝石を持たせると、驚きの超耐久。

ウリムー やんちゃ 厚い脂肪 
残り2匹
技:フリーズドライ/地震/氷柱針/氷柱落とし
すごいポイント:フリーズドライはドーブル遺伝じゃないと覚えさせることができない。ギャラドスやラグラージを叩きのめせ!

オンバット 臆病 お見通し 
残り2匹
技:サイコキネシス/シャドーボール/追い風/すり替え
すごいポイント:すり替えは遺伝経路が面倒。GTSでも余り流れていない。拘りめがねを押し付けて、相手を機能停止にできる!

ミニリュウ 意地っ張り 不思議な鱗 
残り1匹
技:逆鱗/神速/電磁波/竜の舞
すごいポイント:神速を覚えるにはハートゴールド・ソウルシルバーでワタルから貰えるミニリュウ、またはそのミニリュウから遺伝させるしかない。
個体値も良いし、此処でしか手にはいらないかも。

アチャモ 無邪気 加速 
残り0匹
技:大文字/めざめるパワー(氷)/辻斬り/守る
すごいポイント:めざパ氷厳選はかなりキツいが、これでもう大丈夫だ、うん。これから対戦を始める君にこそプレゼントしたい。


 この5種類の中で欲しいものがあれば、申し付けてください。フレコを交換して、オンラインになれる時間帯を指定してくださればOKです。そちらが渡されるポケモンは何でも構いません。それでは、また。

Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン配布】 ( No.73 )
日時: 2015/03/24 13:23
名前: Orfevre ◆ONTLfA/kg2 (ID: .g3iy5Ut)


5を希望したいOrfevreです。

後は、トレースではなくダウンロードのポリゴンがいればそちらは1〜5とは別に欲しいです。

Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン配布】 ( No.74 )
日時: 2015/03/24 14:11
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

Orfevreさん

了解です。
後、ダウンロードポリゴンはいないんですよね、残念ながら。
ちなみに、配布する個体にはあらかじめ技マシンで幾つか技を覚えていたりするのでご了承ください。
NNをつけて欲しいとか、そういうのはありますか?

パート6:雷電霹靂 ( No.75 )
日時: 2015/03/25 14:48
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***


「……おめーの言うとおり、だ」

 静炎邸、玄関。立ち話をするのはアレだが、余裕をくれる様子は無かった。
 仕方が無いので、その場でボマーは語りだす。いつもの猛々しさとか、傲慢さはその表情には無く、至って真剣なものだった。

「俺はお前らに嘘をついていた。1つ目、俺と旋の過去。これはまだ隠していただけだからまだしも、だが-----------」

 ボマーの顔が曇る。


「2つ目、旋が何でボックス内を回る旅に出たのか、それについては完全に嘘をついた」


 やはり、嘘だったか、とアクアは確信した。
 あの時のボマーの態度、後から考えて見れば不振すぎる。

「嘘って、どういうことよ、ボマー。あたしらにも言っていなかったことがあるってこと?」
「そうだよ! BOHに一緒に出たあたし達にも隠し事してたの」

 非難の眼が集まる。しかし、アクアだけは少し違った。
 ----------やっぱり、か。
 そんな、淡白とした反応だった。ぶっちゃけると、アクアはボマーが嘘をついたことについては、それ程気にしてはいない。
 彼の真意さえ知れれば、それで十分なのだ。この程度で殺気立つほど、アクアは子供ではない。
 が、それを許さないメンバーも当然居る。
 
「ふざけてんじゃ、ねぇよテメェッ!!」

 叫んだのは、レイドだった。足りない背でボマーに食って掛かり、普段の彼からは考えられない程の剣幕でボマーに詰め寄った。
 年下の中では特にボマーになついており、まるで兄弟のようだった2人。それ故、彼が嘘をついたことが許せなかったのだろう。

「BOHに一緒に出て、俺達ゃいつまでも仲間なんじゃなかったのかよ!! 何で嘘なんかついたんだ、言え!! 言うんだ!!」
「すまねぇ。これを言ったら、おめーらが旋の事を怖がったり信用できなくなるんじゃねえか、って思った」
「その程度だったのかよ……このクソ野郎ォ……!!」

 振り絞るように、レイドは反駁した。

「俺らはお前からすりゃ、その程度の奴にしか見えていなかったのかよ! 人から聞いた第一印象だけで、そいつを軽蔑するような奴にしか見えていなかったって言うのかよ!!」
「レイドさん……! それ以上は……!」

 ムゥの制止する声も聞かず、レイドは捲くし立てた。
 怒りだった。ひたすらボマーへの怒りが込められていた。

「てめぇの仲間は俺らの仲間だろ!? 少なくとも、旋はお前が言うような怖かったり、信用できねえような奴じゃなかった!! てめぇは俺らのことをバカにしたどころか、旋のことまでバカにしたんだ!!」
「悪い、少し下がれ」

 気迫の篭った声で、ボマーは言った。
 しかし、突っぱねるような言葉が余計にレイドを苛立たせた。

「おい、ボマー、まだ話は------------!!」
「レイドさん」

 真意を悟ったのか。彼の肩をアクアは無理やり引っ張り、ボマーから引き剥がす。
 そして、当のボマーは地面に正座し、そして--------------思いっきり頭を地面に付けた。


「本当に、申し訳無かった!!」

 
 つまり、土下座だった。
 アクアも察していたとはいえ、これには驚いていた。
 ボマーが、人前で誰かに頭を下げたことなど滅多に、いや一度も無かったからだ。

「俺は最低な野郎だ。どうやったら仲間を傷つけないで済むか考えていて、結局逃げ回っていたんだ。その結果がこれだ。お前らに不信感を抱かせ、旋にも要らない迷惑を掛けちまった」
「お、おい、やめろよ、ボマー」

 先ほどの態度とは一転、レイドの感情は怒りから戸惑いに変わる。

「ふざけんなよ。そんなになって謝られたら、怒鳴れねぇじゃねえか……」
「すまなかった。俺の嘘で結局皆を混乱させちまった。仲間を想っているだなんて馬鹿馬鹿しい。結局、一番仲間を信頼していなかったのは、俺じゃねえか!!」
「誰だって空回りすることはあります」

 言ったのはアクアだった。


「ボマー先輩が仲間思いなのは、本当は皆知っていますから」


 下げた頭を上げ、ボマーは呟くように言った。後悔と自責の念が滲んでいた。

「俺は、嘘をついたんだぞ」
「先輩のいい所が不器用なりにも仲間想いなところだとすれば、悪いところを敢えてあげるとすれば、お人好しすぎてしまうこと、ですから」
「俺は、お前らを信用していなかったんだぞ」
「誰だって、そんなときはあります。一時的な感情に惑わされて、本当の自分を見失わないで下さい」

 それに、とアクアは続けた。

「僕は先輩を責めに来たんじゃない。貴方から真実が聞ければ、それだけで十分ですから」

 屈託のない笑顔だった。
 それだけで十分だった。
 ボマーの眼には涙が浮かんでいた。

「ま、訳があるんでしょうし。何であたし達に言わなかったの、って話よね」
「そーだよ! 幾らでも相談に乗れたと思う!」
「ま、あっしらも同感でさァ」
「そうです。もう私達は仲間なんですから」

 アクアの言葉で、メンバーの疑念など無くなっていた。
 そして、こんな自分を改めて仲間と認めてくれた彼らに、ボマーの涙腺は完全に壊されたのだった。

「は、は、俺はつくづく馬鹿だ……お前らが、こんなにも良い仲間だということにも気づかなかったなんて」
「もう、良いんですよ。それよかレイド」

 ぞくり、とレイドは悪寒を感じた。
 阿修羅豪傑夜叉般若が逃げ出すような形相でアクアが睨んでいる。

「誰がしゃしゃり出て良いって言いましたか」
「悪かったって! 俺だって」
「いーや、レイドのおかげで目が覚めた。やっぱ隠し事なんざ向いちゃいねぇな、俺にゃ」

 ぽん、とレイドの頭に優しく手を置いたボマーの顔は、既に晴れていた。

「あんがとな」

 慣れない言葉を掛けられた所為か、少しレイドは照れて、そのまま言葉を失ってしまった。
 しかし、これでわだかまりは消えただろう。

「ま、何だかんだで一件落着ね」

 フレイの言葉で、この件は一旦幕を閉じ---------

「とりま、中で話すぞ」

 るわけがなかったのだった。

「……これ、ひょっとしてあたしが人数分の夕食追加しないといけないパターン?」

 今は既に6時。正直、もうすぐ夕飯の時間だった。

「……不憫だわ」

 この邸のコックは、今出払ってしまっている。入院とかで。
 料理ができるのは彼女くらいなものなのだった。

「……待ちなさいよ、こういうときのための------------」

 にやり、と彼女は笑みを浮かべた。そして、そのまま皆の後に着いていくのだった。

パート6:雷電霹靂(2) ( No.76 )
日時: 2015/03/25 17:43
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

 ボマー達はフレイに案内されて、食事会場に集められた。

「……夕食ができるまで、此処で話をすると良いと思うわ」
「誰が作ってくれてるんだよ」
「その辺は大丈夫。少々、不安だけど」

 言葉を濁した彼女に不審そうな眼差しを向けるボマーだった。
 が、全員が席についたのを確認すると、柄にもなしに咳払いをし、話を始めた。
 
「今から話すことは全て事実だ。キーワードはメガシンカ」
「メガシンカ……?」
「そうだ」

 
 ***

 
 大いなる力には大いなる代償が必要だ。
 メガストーンとキーストーンは、その代償の代わりとなっている。
 その力を得ることが出来る者は限られてはいるが、その限られたものでも幾つもの修羅場や条件を乗り越えた奴じゃねえと、完全に扱うのは難しいと思うぜ。
 そんな前置きは置いておいて、だ。旋の教育係を任されたのは半年前だった。

「----------ピジョットの旋……だっけか。あれだね、君種族値見直して来たらどーだよ、コノヤロー」
「はい、我ながらゴミのような種族値だと自覚しています!」
「ストレートな自虐だなオイ!! うん、本当ざっけんなって話だぜ。普通、仮にも落ちぶれとは言え、600族の俺様が序盤鳥(笑)の教育係を任されるってこと自体がだな」
「はい、先輩も600族最弱で馬鹿と揶揄されているのも知っております! マスターが『馬鹿正直な奴には馬鹿教官がお似合いだ、コノヤロー』と言っていたので」
「殺すぞ、テメエ!! 後マスターも!!」
「ですが、」

 旋は馬鹿みてえに正直で、俺よりも不遇なはずなのに、


「誰よりも、馬鹿みたいに真っ直ぐ空を見ていることも知っています!!」


 当時の俺よりも、ずっと空を見ていて、

「だからこそ、その先輩から学ぶべきことを全て吸収し、いつかは龍も倒せるような猛禽になりたいです!!」

 誰よりもずっと夢を気高く持っていた。

「ケッ、馬鹿かテメー」
「自分には無理でしょうか」
「アホか、一回心の中で誓ったのならば、無理だとかそういうのは二度と思うな」

 俺は、自分と通じるモンを感じたのかもしれねぇ。

「先輩」
「それにな、なりたいじゃねえ。なるんだよ!! 俺だって600族最強になるって夢があんだ。お前ももっとでけぇ夢持ったって良いんだぜ」

 そして、あいつは、


「はいっ!! ならば、自分は600族最強になった先輩も倒せるような猛禽になります!!」


 ムカつく程生意気だった。


「ケッ、くそムカつく野郎だ……が、気に入った!! 覚悟しとけよ、旋!!」


 ***


「特殊技のトレーニング、か。両刀なら俺もやったことがある。タイプも同じだし、それで俺に任せたのかね、マスターは」

 うおおおお、と今日も旋の気迫が聞こえてくる。
 精神統一、組み手、技のトレーニング。
 流石の種族値だ。特攻は元は低いだけあって、物覚えははっきり言って悪い以外の何者でもなかった。

「大体暴風なら、カイリューにって、特殊カイリューなんかうちのボックスにいねえのか、確かに問題ではあるな、問題では」

 うああああ、と暴風に失敗して、跳ね返った風に巻き上げられてるのをみながら、んなことを思っていた。

「先輩、此処はどうすれば良いんでしょうか」
「風向きを考えろ。純粋な飛行タイプは、風の声が聞こえるって聞いたことがあるぜ」
「風の……声?」
「つーか、聞こえなくてもな、俺でも身体の回りを舞う風を纏って……って言い方が合ってるか。とにかく、風と一体になれば良い。風がどこに吹くのか分かんねぇなら、自分が風になれば良いんだ」

 あいつには、俺の知っていることや、マスターから教わったことを一杯教えた。

「『嵐吹く、三室の山のもみぢ葉は、竜田の川の錦なりけり』。嵐の後に川の上に浮かぶ紅葉の散った紅葉の美しさを歌った短歌だが川に浮かべたのは紛れもない、嵐」
「はあ」
「嵐ってのは人に害なすこともあるが、こういうのもオツだと思った。芸術のための道具に出来る」
「芸術、ですか」
「おかしいか? 馬鹿な俺だが、こういうのが好きなところはあいつに似たのかね。ま、何であれ、だ。旋。どうせなら、変に荒ぶった風なんかより、美しい風を起こせ。脳筋の俺が言うのもなんだが、お前には俺のようにはなって欲しくねぇからな」

 くっさい話だ。後から考えてみればみるほど、な。
 

 ***


「最近は、めきめきと力を付けてるんじゃねえか、お前」
「はいっ、師匠のおかげです!!」
「その師匠って呼ぶのはどーにかならんかね……。俺ひょっとして老け顔? じじ臭くて嫌なんだけども」
「いえ、俺を此処まで鍛えてくれたのは、貴方です。それを師匠以外の名で呼ぶことは許されません」
「堅苦しいにも程があるんだよな」
 
 この頃から師匠と呼ばれるようになった。老け顔なのか、俺。ヤンキーと言われたことはあってもジジイ呼ばわりされたことはなかったんだけどな。

「そーいえば、だ。暴風は完成したのか」
「はい、勿論です!」
「撃ってみろ、俺に向けて」
「い、いえそんなことは---------」
「つべこべ言うんじゃねえ!! 早くしねえと、ストーンエッジブッ刺すぞ!!」
「うわ、もうボーマンダの姿に----------」

 とっとと戦闘体になって、俺は突っ込んでいった。どうせ、奴がよっぽど臆病じゃねぇ限り、俺より先制できるんだから俺を暴風で巻き上げることができるはずだった。
 
「そ、それでは、恐縮ですが-------------」

 俺の周りの風が変わった。いっきに、上昇気流は俺を巻き上げていく----------


「うおおおおあああああ!!」

 
 信じられなかった。とんでもねえ速度の習得だった。
 息を切らした旋を労いに、俺は擬人化体に戻っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……!!」
「おい、やったじゃねえか!! 此処までとは思わなかったぞ!!」

 旋の羽根を撫でてやっている途中で、俺はあることに気づいた。
 どうもおかしい。
 様子が。
 妙に息が荒くて、目の色が殺意を放っているような------------

「……殺ス……!!」
「は?」
「……オ前、殺ス……!!」

 一瞬、何があったか分からなかった。
 だけど、俺の肩は確かに旋の嘴に貫かれていたんだ-----------


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