二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32



パート7:暴龍警報(13) ( No.117 )
日時: 2015/05/03 04:43
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=u3XCTloHsLs

 ***

【影の携帯獣が勝負を仕掛けてきた!】

 
 見た所、敵の中にメガシンカを使うポケモンは居ないようだった。今までの影の携帯獣は、いずれもメガシンカを使うポケモンがいたため、些か不自然に感じてしまう。

「今までと、少し違うわね……?」
「やつらは、影の携帯獣の”巡回級(パトロール)”と呼ばれる級種だ」

 トトが口を開いた。まるで、忌々しいものでも見るかのように、それを一瞥する。

「かつて、セブンスドラゴンが現れたとき、”中央電脳政府”は掃討班をまだまっさらだったこのボックスに送り込み、幾つ物データの部屋の中から敵のバックアップの居場所を突き止めた」

 そして、と彼は続けた。とても、悲しい顔だった。

「僕以外、送り込まれた掃討班は全滅した」
「……待って。だとしたら、貴方は----------」

 フレイの問いにトトは険しい顔で頷く。


「--------僕も、そのとき掃討班の一員だったんだ」


 全員に衝撃が走る。そして察することができた。あのときのトトの躊躇いがちな態度、そして彼らを止めようとしたのは、彼がかつて彼らと相対したことがあるからだ、と。
 
「かつては第五世代。まだ発見されていないポケモンだったニンフィアに至っては打つ手なしだったんだ。”運営”が放った”フェアリーワクチン”が散布される前だったからね。誰もフェアリーのことなんか知らなかったのさ。あそこにいるニンフィアは、誰かがフェアリーワクチンのデータを盗んで作ったんだろう」

 フェアリー・ワクチン。それは適性のあるポケモンに妖精の力を与えるものだった。
 しかし、目の前の敵は盗まれたそのデータで生まれたのだろう。

「ドラゴンの敵はドラゴン……だから、その敵であるフェアリーに守らせる。敵の敵は味方という言葉があるように、やつらは情報量の少なかった僕らをそれで一方的に屠った訳だ」
「関係ないわ」

 言ったのはフレイだった。毅然とした態度で彼女は戦場へ赴く。身体が燃え上がり、そのまま霊としての姿・シャンデラの原型へと成り、目の前の敵を見据えた。

「相手が誰だろうが、あたしが焼き尽くすだけ! マスターのポケモンは、あんたが俯いてる間に以前と比べ物にならないくらい、強くなったのよ!」


【チーム・ボマーはフレイを繰り出した!】


 今回のフレイの型は、ラムみが型。安定した強さで自分よりも遅い敵、または身代わりにものを言わせて好き勝手してくる害悪ポケモン共を焼き払うスタイルだ。
 しかし、敵もそれはある程度想定していたのか---------


【巡回級はニンフィアを繰り出した!】


「ノコノコト……マタ、ヤッテキタノカ……」


 現れたのは、結び付きを司る妖精・ニンフィアであった。その特性は十中八九フェアリースキン。
 ノーマルタイプの技の威力を1.3倍にし、フェアリータイプにするというもので、ほぼボマーのスカイスキンと同じようなものと考えて良い。
 問題は、ニンフィアの特防は非常に高い上に、ハイパーボイスはこの理屈だと非常に威力が高くなるということだ。
 しかし、フレイは生憎炎タイプ。ニンフィアのフェアリー技は半減される。

「だからといって、こちらからの有効打も無いわね……」
「あっしに引いても、倒せるかどうか。瞑想型だったら、メガマンダの捨て身タックルをギリギリ耐えれるくらいまで調整してあるはずでさァ」
「そうね。なら、火傷狙いで一発燃やしちゃいますか」

 試しに、一発ブチ込んでみることにする。幸い、フレイは不一致抜群程度ならば耐えられる耐久をしているので、相手の型を見極める意味でもこの選択は正解だったと思いたい。


【フレイの火炎放射!】

『ニンフィア残りHP:70%』


「うわっ、しょっぺぇ! これC145の補正あり一致技なんでしょ、入らなさすぎでさァ!」
「うるさい! あたしだって、好きでこんなダメージ入れたわけじゃないわよ!」
「しかし、これは相手耐久に振っていますねィ」

 問題は、相手の次の行動だ。殴られたら困るが-----------


【ニンフィアの瞑想! ニンフィアの特攻と特防が上がった!】


 積んで来た。このままでは全抜きされる可能性すらある。
 フレイが向こうに与えられるダメージはより小さくなり、相手は逆により大きなダメージを与えられるようになってしまったのだ。
 ---------どうする、僕……? またあのときと同じことを繰り返すのか?
 目の前で起こる惨事に逃げることしかできなかった自分。
 ---------いや、駄目だ。僕が立ち直ることを信じてマスターもメガストーンをくれたんだ。
 しかし、いざ敵を目の前にすると脚が竦んでしまう。

「しっかりしろ、トトの旦那!! 今はあんたがエースなんだ!! ドラゴンの意地はどこに行ったんだ!!」

 叫んだのは、ガメリオだった。
 龍の意地。
 それは一度は捨てた。
 しかし。ボマーは、後輩は言った。
 ---------俺たちが負ける、道理はねぇ。
 メガストーンがある。仲間がある。


「もう、二度とあの無様なトトには戻らない!!」


 ばっ、とトトが躍り出る。そして、フレイに呼び掛けた。

「フレイ君、下がっててくれ! 僕が奴を仕留める! 仲間の仇は僕が討つ!」
 

【チーム・ボマーはフレイを引っ込めた!】

【チーム・ボマーはトトを繰り出した!】


 トトは高らかに言った。
 目の前の妖精は龍の力では倒すことなど、到底成し得ない。
 しかし、別の力ならばどうだろうか。
 妖精に傷を付けられたことで発現したトトの力、それが妖精の魂だった。
 それは、妖精をこの手で葬るため。
 仲間を討った敵を今度は倒すため。

「ケキャキャ……馬鹿メ……死ニニ来タノネ……」
「違う。死ぬのはお前だ」

 トトの身体が龍へと変化していく。羽毛に包まれた龍へと。

「ボーマンダが力、破壊を司るならば」

 そこに叩き込まれる、影の玉。


【敵のニンフィアのシャドーボール!】


 だが、それを受け止めたトトは微動だにしなかった。



「僕達、チルタリスが司るは護り、そして---------正義」


『トト残りHP:82/151』


 次の瞬間、トトの首輪に付けられたメガストーンが反応した---------

パート7:暴龍警報(14) ( No.118 )
日時: 2015/05/04 02:31
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=fKgbX3AVM5w

【トトのメガストーンとタクのメガバングルが反応した!】

 
 激しい光がトトを包み込んだ。それは、目の前のニンフィアを覆う偽りの光を掻き消す程であった。
 光は羽のように飛散した。ひらり、と地面に落ちる光の羽。
 ニンフィアは目の前の敵を前に後ずさった。
 これは、自分が以前対峙した敵なのだろうか、という疑問さえ感じられた。
 そう。今、目の前にあるのはトトであってトトではない存在。
 龍でありながら、宿敵・妖精の力を手に入れた哀れな存在。
 そして、絶対なる正義を聖なる力を以って執行する存在。
 

【トトはメガチルタリスにメガシンカした!】


 その綿のような羽毛は、入道雲のように増量し、真珠のように光り輝いていた。
 妖精というよりは、純白の天使か。
 
「これが……メガシンカ……ありがとう、マスター」



『ポケモンDETA
トト:チルタリス
HP152/152
性格:物腰が柔らかく、温和で朗らかな性格。滅多に笑顔を崩すことが無い。昔は掃討班として目の前の敵を容赦なく屠っていた。しかし、影の携帯獣との戦いで大敗を喫したことで、心に傷を負う。そのため今は優柔不断で前線面では頼りなさを見せるが、知識面は非常に優秀で心強い。
性能:真価はメガシンカにあり。ステータスは平坦だが、その分何をしてくるのか全く分からない。物理型、特殊型、耐久型までを無理なく行えるのは他のフェアリーやドラゴンには無い利点といえるだろう。特性:フェアリースキンでメインウェポンとなる技が最低限揃っているのも強み。
火力:A 速度:B 耐久:B 自覚:B スタミナ:B 知識:SS』


 メガチルタリスの種族値はA110、B110、C110と非常に平坦だ。一般的にこういったポケモンは、使われにくい傾向にある。
 しかし。メガチルタリスは此処まで思い切った配分と特性:フェアリースキンで物理特殊どちらも行けるため、読まれないのが最大の強みなのだ。

「ガ……ギ……死ネ、オ前モ……アノゴミ共ト一緒ニ------------!!」

 ニンフィアの瞳孔がキッ、と開いた。
 狙いは完全にこちらを向いている。
 しかし、先に動いたのはトトだった。

「お前が殺した僕の仲間の分まで-----------僕は執行する。お前に罰を」

 全身に力を溜め、トトは----------突貫した。


「砕け散れ、影よ!!」


【トトの恩返し!!】


 それは一瞬でニンフィアの身体を触れる前に---------溶解させた。
 真実の光の前に、偽りの影は居座り続けることが出来なかったのか。
 
「バ、バカナ……」


【相手のニンフィアは倒れた!!】


「すごいわ! ちょっと削っていたとはいえ、物理耐久にも振っているはずのニンフィアを一撃で----------」
「やっぱり、スキン特性は技の威力を底上げするから優秀ですゼィ」
「火力はボマーに及ばないけど、やっぱり強力だわ。差別点は優秀なタイプと範囲でしょうね。ボマーも見習って欲しいわ」

 それでけではない。チルタリスは多くの補助技を持つ。そのレパートリーは攻めるために補助技を使っているようなボーマンダとは比べ物にはならない。
 ボーマンダも使う竜の舞のみならず、防御を三段階上げるコットンガードから流星群を撃って下がった特攻を相手に押し付けるパワースワップなど、他にも多くの変化技を有すのだ。

「多彩な技で相手を落とす。これが僕の戦い方だ。そして、これが真の妖精の力だ」

 今回こそ単純な竜舞アタッカー型であったが、この型でもまだまだ変化技を搭載するスペースが残っているのが恐ろしいところである。

「さて、相手が恐らく次に出してくるのは-----------」


【影の携帯獣はジバコイルを繰り出した!】


「シンニュウシャ……ハッケン……ハイジョ、ハイジョハイジョハイジョ、ハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョハイジョ……」

 磁場ポケモン・ジバコイル。マスターも所有しているポケモンであるが、特攻が非常に高く、一致弱点でも突かれたそのときは一撃で落とされるしかないだろう。
 しかも、ジバコイルの有力特性は頑丈。どんな攻撃も一撃は耐えてしまうのだ。

「此処は、僕が奴に致命傷を負わせる」
「で、でも、もし本当に頑丈だったら-----------」
「後は任せた!!」

 トトは地面に降り立ち、激しくそれを揺さぶる。
 同時に、鋼・電気タイプであるジバコイルは身体の中の磁力が狂いまくり、ショックを受けたのだった。


【トトの地震! 効果は抜群だ!】


 4倍弱点の地面技が襲い掛かる。
 しかし。


『ジバコイル残りHP:1
特性:頑丈によって踏みとどまった!』


 踏みとどまった。ジバコイルは辛うじて立っている。そして、磨き上げられた自分の身体から、光の一閃を-----------放った。


【ジバコイルのラスターカノン! 効果は抜群だ!】

【トトは倒れた!】


 トトはその場に崩れ落ちる。
 しかし、同時に相手も満身創痍。敵を1体倒し、さらにもう1体を機能停止に追い込んだトトの行動は決して無駄には出来ない。

「ゲホッ、後は、頼んだよ……」
「トトさん。ありがとうございます。あたし達、絶対勝ちますから!」
「此処はあっしが出まさァ。影打ちで確実に仕留めるゼィ!」


【チーム・ボマーはガメリオを繰り出した!】

 
 ガメリオには、先制技の影打ち、不意打ちがある。ジバコイルがスカーフだろうが、なんだろうが、必ず倒せるはずだ。
 問題は、トトがジバコイルを抜けたことから、スカーフではない、つまりまだどのような型なのか分からないということなのであるが。


【影の携帯獣達はジバコイルを引っ込めた!】


 ---------んあ? 此処で引っ込める? どーゆーこったィ?
 ガメリオは相手の行動に違和感さえ感じた。
 もう、このHPのジバコイルを残しておく道理は相手にないはずだ。にも関わらず、何故引っ込めたのか疑問である。
 そして、相手が繰り出したのは-------------


【影の携帯獣達はゴウカザルを繰り出した!】


 ---------爆炎の猿であった。

パート7:暴龍警報(15) ( No.119 )
日時: 2015/05/05 15:52
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ゴウカザル。AC104という割と高い水準の攻撃面と高い素早さを持つものの、第六世代になってインフレが進んだ環境から取り残されたかつてのトップメタ。
 と言いたい所であるが、珠両刀からがむマッパまで何でもできるが故に厄介極まりないポケモンだ。フットワークもバシャに比べると当然ながら軽い。守るで技スペがきついバシャと違い、多くのポケモンに役割がもてるのだ。故にマスターもかつて愛用していたほどである。とんぼ返りでサイクル戦にも強い。
 そして残りの2匹、猿に対して弱すぎる。フレイでも珠エッジ、珠地震を耐えるか分からないし、ガメリオに至っては物理技を食らったら押し負ける可能性が高い。
 インファイトの所為で、耐久は低いと思われがちだが、速攻アタッカーにしてはなかなかの耐久もあるため、舐めてかかるのは危険だ。

「とりあえず、インファイトをスカす意味でも影打ちで攻撃するっきゃないですねィ」

 自分の身体から影を薄く伸ばして行く。
 しかし、それはゴウカザルの背後に回りこんだ瞬間一気に濃くなり、そのままガメリオの姿そのものとなり実体化した。
 

【ガメリオの影打ち!】

【ガメリオはゴーストタイプになった!】


「ドーモ、ゴウカザル=サン。ガメリオ=デス。出会って0.2秒、カイシャクしてやる!!」

 そのまま、ゴウカザルの背中を切り裂いた。しかし。


『ゴウカザル残りHP:80%』


 弱い。弱すぎる。流石に殆どダメージは与えられなかったようだ。

「しょっぱ! これAぶっぱ、性格上昇補正掛けてるんでしょ、入らなさすぎよ!」
「今回のあっしは慎重HDの耐久型でさァ!!」
「はぁぁぁ!?」

 今回のガメリオは影打ち、イカサマ、どくどく、自己再生@食べ残しの特殊耐久型である。チョッキを持たせた方が耐久自体は高いが、こちらは高速回復技である自己再生を持っているのが強みだ。
 
「これは、どくどくで恒久的にダメージ与えた方が強いですねィ」
「え、ちょ--------」

 相手が普通のアタッカーならば、殴ってくるはずだ。しかし、オバヒ程度は余裕で耐えられる。
 オバヒならば、の話だが。


【ゴウカザルの身代わり!】


 身代わりだ。普通の両刀アタッカーではないのだろうか、とこのときガメリオは思い始めた。
 そういえば、さっきのジバコもスカーフではなかったし、一体相手は何を考えているのであろうか。


【ガメリオのどくどく! しかし、うまく決まらなかった!】

【ガメリオは変幻自在で毒タイプになった!】


 身代わりに阻まれて毒盛りも失敗してしまった。

「とりま、身代わり壊すっきゃねーですねィ!」
「あ、馬鹿---------」


【ガメリオの影打ち!】


『ゴウカザル残りHP:80%
身代わり有』


「壊れてないじゃない!」
「あ、あっれー、おかしいですねィ……」
「おい、相手の行動を見るんだ!」

 トトが叫んだ。
 見れば、ゴウカザルの拳に炎が集まっていく。
 それをガメリオに向かって一直線に-----------打ち込んだ。


【ゴウカザルの炎のパンチ!】


『ガメリオ残りHP:62』

『食べ残しで少し回復した!
 ガメリオ残りHP:72』


「おえっ」

 腹から臓物が出るかと思った。
 重い鉛のようなパンチだった。
 フレアドライブではなく、炎のパンチを搭載しているということは-----------

「相手は恐らく、陽気ASの鉄拳型……。技は恐らく炎拳に加え、雷拳、そしてインファイト、マッハパンチまたは身代わりを持っていたところから気合パンチってところだろうね」

 特性は恐らく鉄の拳といったところか。
 鉄の拳はパンチ系の技の威力を1・2倍に底上げする(硬い爪の完全下位互換は禁句)ので、炎のパンチを搭載しているのは然るべきことと言えるであろう。

「あ、あぶねー、鉄拳気合パンチなんてそうそう受けられねぇですからねィ」
「気合パンチといえば、某白黒したトレーナーのクチートね……」

 メガクチートの気合パンチ。タイプ一致のじゃれつくを上回る火力で、ボマーの捨て身タックルさえ凌駕する指数を誇る。作者のトラウマの1つである。かつて、レイドはこれで木っ端微塵にされたこともあるのだから。ただし、その後に自己再生で復活したが。
 それを思えば猿の気合パンチなど可愛いものである。が、実際のところどうなのだろうか。タイプ一致だし。何であれ、この選出に気合パンチが刺さるポケモンなどいないのであるが。
 
「とにかく、フレイのお嬢! 頼みましたぜィ!」
「あんたがいないと、ジバコが最速だったとき怖いからね……オッケー、頼むわよ!」

 敵の技を考えると、これ以上フレイには有効打が無いはずだ。
 少し怖いが、受けに行く。


【戻れ、ガメリオ!】

【チーム・ボマーはフレイを繰り出した!】


「よし、何でも来なさい!」


【ゴウカザルの炎のパンチ! 効果はいまひとつのようだ】


 炎を纏った拳がフレイを打ち抜いた。

『フレイ残りHP:96』


「BD種族値90を舐めないでよ!」

 受けだしに成功したものの、まだまだ相手次第なところはある。
 相手が繰り出したのは--------



【ゴウカザルの炎のパンチ! 効果はいまひとつのようだ】


『フレイ残りHP:60』


「痛ッ、でもこの程度----------!!」

 どうやら、他に有効打が無かったらしい。残る1枠はマッハパンチだった、というところか。
 身代わりに阻まれて普通ならばきついところだ。しかし。

「あたしの特性はすり抜け! 壁だろうが、身代わりだろうが、全て貫通して相手にダメージを与えられるわ!」

 害悪キラーの異名は伊達ではない。正面でぶつかり合わないことを、彼女は許さない。
 
「消し飛びなさいッ!!」


【フレイのシャドーボール!】

【ゴウカザルは倒れた!】

 
 流石C145から繰り出される一致シャドーボール。その火力は伊達ではなかった。
 BDだけはバシャよりも高い猿だが、そのまま自らよりも深い深淵の球に消し飛ばされたのだった。
 残るは1体。ジバコイルだけだ。


【影の携帯獣はジバコイルを繰り出した!】


「よし、行くわよ! これでトドメ--------!」


 と、フレイが叫び突撃しようとしたそのときだった。


【ジバコイルはイバンの実で素早さを上げた!】


「が、頑丈イバン型--------そうか、最初から敵はこれを狙っていたのか!」

 イバンの実。HPが3分の1以下のときに行動する際、優先度を+1させる木の実だ。
 ジバコイルはイバンが無ければ抜けたかもしれない。
 しかし、時既に遅し。
 ジバコイルの左右の2つの目、そして中央のサーチアイが照準を定めた。


【ジバコイルの10万ボルト!】

【フレイは倒れた!】


 C135から繰り出される10万ボルトをこの体力で受けられるはずもなく。 
 フレイは地面に墜落したのだった。
 しかし。

「これでチェックメイトだぜィ」

 ジバコイルのHPは1しかない。幾らジバコイルがイバンで素早さを上げても、ガメリオがAに全く振っていなかったとしても-----------


【ガメリオの影打ち!】


 ---------先制技には勝てない。
 ガメリオの影が抜き去ったとき。
 そのままジバコイルは真っ二つに切り裂かれ、爆発四散したのだった。


【影の携帯獣との勝負に勝った!】

パート7:暴龍警報(16) ( No.120 )
日時: 2015/05/04 15:35
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「やった! 後はバックアップの生産をしているコンピューターを破壊すれば良いだけだ!」

 もう、この中にこちらを阻むものはない。それだけではない。今まで拘束されていたムゥがどさり、と転げ落ちるように倒れたのが見えた。

「大丈夫!? ムゥちゃん!」
「は、はい、何とか……」

 縛られていただけで、他には何もされていなくて何よりだ。問題はボマーであるが、先ほどの攻撃を受けた後、どこに行ったのか分からず仕舞いだ。
 仕方が無い。防衛プログラムに復活されても困るので、コンピューターの破壊を優先することにする。あの程度で死ぬボマーではない。
 部屋の奥へ、奥へ、と進んでいくフレイ達。
 そこには、巨大なコンピューターがあった。
 そこから、水晶状の物質が作られ、中にドラゴンが現れる。バックアップの生産装置だ。

「後は、これを壊すだけ---------」

 と、フレイがシャドーボール、ムゥが氷柱針を放とうとしたそのときだった。
 妙な音が聞こえる。
 振り向けば、そこには先ほどのニンフィアが口に強大な光を溜めているところだった。
 悪寒がした。
 あれは破壊光線の体勢である。
 まさかまだ生きているとは思わなかった。

「死ネ、ゴミカス共-------------!!」

 完全に追い詰められた。コンピューター諸共自分達を消去するつもりなのだ。

「やばいやばいやばい、どうすんのよ!」
「まずい、ニンフィアの破壊光線なんて此処でブッ放されたら全滅でさァ!!」
「此処、袋小路ですよぉ!?」
「万事休す、か-------------」


 全員が身構えたそのときだった。何かがニンフィアの背後から迫る。
 それが通り過ぎた刹那、ニンフィアの身体は一瞬で切り裂かれて今度こそ消滅した。
 そこには、メガシンカしたボマーが咆哮を上げていたのだった。

「おめーら、俺を忘れるなよ?」

 彼は、にやり、といつもの笑みを浮かべたのだった。
 

 ***


 粘液に触れるたびに溶解していく群雲街域。クナイはヌメルゴンと死闘を繰り広げていた。
 これ以上、街を傷つけさせるわけにはいかない。しかし、目の前の相手は倒しても倒しても再び復活するのだ。

「く、くそっ!!」

 とうとう、精も根も尽き果てた。
 ヌメルゴンの前に跪くしかない。
 最後の力を振り絞り、冷凍ビームをヌメルゴンにぶつける。
 閃光が走った。
 思わず目を瞑る。そこには、氷付けになったヌメルゴンの姿があった。
 それを砕く気力もない。
 しかし、ばたりと倒れた途端に氷が砕け散った。
 軟体龍は二度と、再生しなかった。


 ***


「くっ、何て奴----------!」

 ラプターは、呻き声を上げる。何度倒しても復活する目の前の敵に。
 情けない。エルレイドに倒された自分が。
 また、負けるのか。また負けて屈辱を味わうのか。

「くそっ、この野郎ォーッ!!」

 何度目かもう分からない。龍の波動がオノノクスの肉体を貫く。
 また復活するであろう、と身構えた。
 しかし。
 オノノクスは一度断末魔の叫びを上げたかと思えば、そのまま爆発四散し、肉片(ミンチ)と化したのだった。

「これは……勝ったのか?」


 ***


「しぶとい奴!!」

 一方、ユキキングはキングドラと接線を繰り広げていた。
 しかし、それもすぐに終わりそうだった。
 フィールド中に張り巡らされた”根”。それがキングドラを捕らえる。
 
「食らうが良い!!」

 ユキキング渾身の一撃。
 全身を震わせて、猛吹雪を巻き起こした。
 それが、キングドラを直撃する。
 吹き飛ばされたキングドラは、次の瞬間にはアイスバーのようにカチコチに凍えていた。
 もう、二度と起き上がることはなかった。


 ***


 何度も復活する二体の龍、サザンドラとカイリュー。天獄峡域を舞台に空中戦が繰り広げられる。
 戦況はだんだん不利になりつつあった。
 谷間の間を飛び回り、追う追われるの関係が逆転し続ける中。旋は何か思いついたようだった。

「二体を一気に食い止めます。そうするしか方法は無い」
「どうやって」

 説明はしなかった。そのまま旋は再び敵が居る渓谷へ突っ込んでいく。
 そのまま、両方の羽根を羽ばたかせて荒れ狂う暴風を巻き起こす。
 しかし、風程度では最早二体の龍は動じなかった。戦う中で敵も成長を続けているのである。

「無茶だ! 1人で突っ込むなんて!」

 しかし。旋が狙ったのは二体の敵ではなかった。
 此処までの暴風を起こせば、脆い岩質の地形に生えている樹木は根元から圧し折れる。
 そして、根という支えるものを無くした岩の壁は----------一気に崩れた。
 岩ごとサザンドラとカイリューを巻き込んでしまおうという寸法なのだ。
 しかし、この作戦には欠点があった。
 旋の特性はノーガード。旋にも岩が直撃してしまう----------!!


「エアスラッシュ!」
「鋼の翼……!」


 しかし、空気を切り裂く刃、そして鋼の風きり羽根が飛んで行き、降りかかる岩を全て切り刻んだ。

「無茶をしないでください! 刺し違えるつもりだったんですか!」
「……馬鹿……」

 申し訳ない、と旋は言ったものの「でも、」と逆接して続ける。

「命を賭さねばアクアに、師匠に失礼だと思ったまでです」


 ***


「ガブリ! それ以上はやめろ! お前の腕は折れているのであろう!?」

 相手のガブリアスと激しい撃ち合いを続けるガブリ。しかし、もう限界であった。
 限界であったが、自分が今此処で倒されればまた多くのポケモンが倒される。それだけは絶対に自分のプライドが許さなかった。

「うらあああああああああああ!!」

 ドラゴンクローが相手のガブリアスを切り裂く。
 しかし、敵はこれまでに何度も再生している。このままでは---------と思った矢先。
 相手は怯まずに今度はドラゴンダイブでガブリへ攻撃してきた。まだ、倒れないというのだ。

「く、くそっ----------!!」

 避けられない。激痛が全身を動かさない。
 もう、駄目だと思ったそのときだった。


「標準ロックオンッ!! ハイドロポンプ!!」


 ガブリアスをめがけて一直線に激しい水流が突き刺さった。
 ドラゴンダイブに失敗したガブリアスは、そのまま力なく落下してくる。
 そこに、最後の力を振り絞ってガブリは-----------腕を振り下ろした。
 ガブリアスは真っ二つに切り裂かれ、そのまま消滅。
 そして、今度はもう再生しなかった。

「……終わったのか?」

 ガブリの力なき問いには誰も答えなかった。
 そして-----------

「すまない、モーター。また助けられたな」

 ---------彼女の視界には、既に改修を終えたモーターの姿があった。

「ボマーのところに行ってきマース。心配ネ……」
「ああ、頼む。私はもう動けそうに---------」

 そこまで言いかけて、彼女の意識は糸が切れたかのように離れる。 
 そのまま、バタリと床に倒れたのだった。


 ***


 各地に侵攻していたセブンスドラゴンが全て倒された、というのはボックス中にすぐさま報道された。
 しかし、脅威はまだ去っていない。

「いくぞ、頂龍山域に」


 ボマーは再び、そう言ったのだった。

パート7:暴龍警報(17) ( No.121 )
日時: 2015/05/05 11:00
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***


 ----------お、やっと繋がった。


 ----------”こっち”からあんたの方に連絡取れるとは思わなかったよ。ボックスは大変らしいね。

 
 ----------俺? 俺は相変わらず地下闘技場の方にいるけど?


 ----------勝って稼いでるからって飲みすぎはやめろ? マスター珍しく優しいね。でも別にいーじゃん、ヒック。俺はアルコールが少し入ってるくらいがフツーなの。


 ----------それで、だよ。”ブレッド”のおっさんが今調べてるところ。例の件についてはね、ヒック。


 ----------ほら、あの人政府の幹部やってんじゃん? とりあえず向こうのことはあのおっさんに任せときゃ大丈夫って。


 ----------ちょ、俺のどこがおっさんなんだよ! 仮にもレディーに対してそれは失礼じゃねーのか!?


 ----------あー、そうだよ! どうせもうすぐ三十路だよ、ちくしょー飲んでやる……マスターの財布から。


 ----------あんたには一滴もあげないからね、どーせ未成年だしさ。ガキの癖してあたし達に命令してるのも気に食わないのに……。


 ----------ああ、悪かったよ! 俺達はこれでもあんたのこと信じてんだよ?


 ----------そして、今のこの状況を打開するには、間違いなくもうすぐ行われるトーナメントの優勝商品である”アレ”を手に入れる必要がある。


 -----------だけど、それには絶対あの空飛び坊主達の力が必要だ。


 -----------何故ならそのトーナメント、恐らく”あいつら”も参加するだろうからね。何せあれは相当高価な値打ちモン。あいつらのとこのリーダーは金のためなら何でもやるからな。


 -----------あ、誰のことか分かんなかった? でもあいつらのことは、あんたが一番知ってるはずだぜ。


 -----------特に! あそこの”二口女”はあんたと、空飛び坊主のトラウマなんだから。あ、やっと分かったみたいだ。


 -----------他にもヤバい面子はいるけど、リーダーの男がまだ龍の魂を持っていないのが幸いか。あれがメガシンカしたら、今度こそ坊主達は勝てなくなる。


 -----------はっ! そんなことよりエリア開放はどうなった!?


 -----------成る程、残るは頂龍山域だけか------------



 ***


「何とか、やりましたね!」
「……ああ」

 トトの部屋に戻り、ボマー達は一先ず勝利の喜びを噛み締めていた。そして、セブンスドラゴンが全て討伐されたという情報を聞いたときは歓喜しそうになった。

「待って」

 しかし、フレイがそれを止める。

「中央区域へ接近していたセブンスドラゴンは、6体……。セブンスドラゴンって7体いるからセブンスドラゴンなんでしょ? 残りの1体は?」
「残りの1体、か」

 ボーマンダ。ボーマンダだけがセブンスドラゴンの中で唯一確認されていなかったのだった。

「恐らく、それは頂龍山域にいるとみて間違いねーだろ」

 戦力は最低限残したということだろう。敵サイドの頭を叩けば、それで済む話ではあるのだが。

「僕はもう少し調べておきたいことがある。君達、悪いけど行ってくれないか」
「あ、ああ。色々世話ンなったな、あんたには」
「いや、こちらこそ礼を言いたい」

 手を差し出すトト。ボマーも、しっかりとその手を握る。


「幸運を祈る」
「こっちこそ」


 にこり、と微笑んで返したトトはそのままボマー達を見送ったのだった。


「……君達の仇、彼らのおかげで取れたよ。ゆっくりお休み……」


 そして、どこかうわ言の様に悲しげに呟いたのだった。


 ***


 セブンスドラゴンが討伐されたことにより、ワープ装置は開放された。そして、ボマー達もまた頂龍山域に足を運んでいたのだった。
 目の前に聳え立つ山の頂上から、敵の反応がした。
 間違いない。守護級はいる。
 山道に入り、しばらくするとそこには-----------

「見るな、ムゥのお嬢!」

 咄嗟にガメリオがムゥの目を手で隠す。
 ボマーとフレイの視界には、阿鼻叫喚の様が広がっていた。

「これは……ひでーな」
「むごすぎる……」

 マスターに育成されたはずの妖精ポケモンが、全てデータの塵になって消えかけていた。
 妖華園域の精鋭が此処までやられるとは思わなかったのだ。
 あるものは、恐怖の表情のまま息絶えており、あるものは四体をもがれて達磨のようになっていた。
 そして、あるものは全身をぐしゃぐしゃに潰されていた。

「おい、このまま通り抜けるぞ。ガメリオ、ムゥの目ェ隠しておけよ。それと、”リリム”さん達に連絡は入れておくか」
 
 ボックス内の病院の院長を務めるピンクの悪魔である彼女に此処は任せるほかない。
 それぞれが壮絶な最期を迎えたであろうこの戦場。
 彼らは、改めて敵の強大さを思い知ったのだった。

「あれも、再生できんのか?」
「……肉体わね。でも、恐らく”生前”の記憶は戻らないでしょうね」
「チャモみたいに、か……」


 ***


 開けたエリアに辿り着いた。そこから、原型に戻ったボマーは、ガメリオとムゥ、フレイを背中に乗せて頂上目掛けて飛び立つ。
 
「アクアの奴……大丈夫じゃねえだろうな」
「……当然よ。チャモちゃんが惨殺されるところを、目の前で見てしまったんだから」
「……アクアさん……」
「仕方ねェ。俺らは信じるっきゃねえぜィ。あいつが戻ってくるのをよォ」
「なあ、俺達電脳生命体の生死の定義ってのは何なんだろうな。頭もがれるような目に遭っても、バックアップを保存しておけば再生するしよ」
「人間の生死に対する考えが反映されているからか、その辺は曖昧になりつつあるわ。でも、アクア君にも言ったの。あたしが思うに---------」

 と、フレイが言いかけたそのときだった。
 目の前に影が現れる。
 ボマーは静止した。
 そこには咆哮をあげている自らと同じ姿をしたドラゴンが-----------!

「同属……畜生、またかよ!!」


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