二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

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パート8:仲間達が待つ場所に ( No.137 )
日時: 2015/05/07 02:59
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***


 グラードンが倒れたことで、気温が急激に下がっていったのは言うまでも無かった。
 終わりの大地の効果は、発動主であるゲンシグラードンが消滅したことで、また消滅したのである。
 へろへろ、と墜落するようにボマーは地面へ落ちた。

「終わった、か……」

 彼は呟いた。ボックス内を支配していた6体の守護級は、今此処に全て討伐されたのだった。
 
「すごいよ、ボマーやってくれたじゃない……」

 フレイはふらふらになりながら、ボマーの胸へ倒れこんでくる。
 大分無理をさせてしまったようだ。またしばらく休ませねば。

「ありがとな、フレイ」

 ぎゅっ、と彼女を思わず抱きしめる。
 彼女はいつも自分を信じてくれた。何だかんだ言っても助けてくれた。
 
「そして、お前らも。俺みてーな馬鹿に着いてきやがって」

 ガメリオ、モーター、そしてまだ目を覚ましていないムゥ。
 

「本当、おめーら最高の大馬鹿野郎だ……!」


 彼の笑顔は、とても眩しく見えた。
 さっきの黄金の太陽を遥かに上回るほどだった。

「まだ、色々問題は残ってますがねィ」
「ま、何とかなるだろ」
「そうネ! ボマーなら絶対大丈夫!」

 ふぅ、と一度ため息をついたボマーは、「帰るか」と言った。



「-----------仲間達が待つ場所に!」



 ***


 --------------数日後。セントラル・フィールド郊外。


 ----------おい、お前達分かってんだろーな。

 ----------どうしたのよ

 ----------……いつになく、やる気……

 ----------この大会の優勝賞品……これを獲れば俺達の借金も帳消しになるかもしれねえ、いや、それどころか滞納している家賃も全て払えるやもしれん

 ----------HAHAHA!! いつの間にか僕達全員の借金になっていませんかぁ?

 ----------オレ達……お前の借金返済に協力してるだけ……保証人になった覚えは無い……

 ----------ま、そうだよねー? 私達本当は関係ないよねー?

 ----------押し付けてきた元凶はお前だろうが!!

 ----------はいはい喧嘩しない。でも良いの? この子達を危ない目に遭わせたら、マスターに貴方、世界の拷問事典に書いてある全部の拷問処刑食らわされるわよ。

 ----------何だその趣味の悪い事典は

 ----------そうですよっ。あたし、少し怖いです……。
 
 ----------その辺は大丈夫だ。あの主人野郎には、仕方なく許可は取った。し か た な く な。

 ----------あら? 珍しいわね。許可が貰えるなんて。

 ----------私の方からも頼んだのもあるのだがな

 ----------何でお前と頼みにいかねばならんかったのやら

 ----------また燃やされたいか? この話を持ちかけてやったのは、私だぞ?

 ----------うっせ、知るか。わざわざこいつらの力も借りないと、この大会はヤバそうだったからな。

 ----------子供の手も借りたいくらいに?

 ----------いつまでも子供扱いしてやるのも可愛そうだってもんだ。つーか、やばいのが出るらしいからな、この大会。

 ----------やばいの? ……まさか。

 ----------最近、会っていなかったっつーかな……見かけなかったし、対戦する機会も無かったが、あいつらだ。

 ----------あいつら……それは、少し、まずい……

 ----------だけどっ、皆居るんだし、大丈夫だよ!

 ----------よりによって、最も知る人物のポケモン達か

 ----------相手もあたし達のこと知ってるでしょうね

 ----------だいじょーぶ! この私がベンチにいる限り、チームの勝利は絶対だよ!
 
 ----------それ……ただの……役立たず……

 ----------で、でも何ででしょうかぁ? 何で今になって彼らがまた、このセントラル・フィールドに……。

----------知らん。知らんが-------------とにかく、俺達が気ィ引き締めないといけねえ相手であることは確かなのは、分かってるよな----------



 ***


 再び、激戦が繰り広げられようとしていた。
 そして時は、再び数日前に遡る------------------------第一部(完)

パート1:セントラル・フィールドへ(1) ( No.138 )
日時: 2015/05/31 13:27
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「”リリム”さん、チャモの容態は?」

 男は医師のリリムという女に問うた。彼女は

「再生率90%、もうすぐよ。でも、チャモさんって、あのアクア君って子と仲が良かったんでしょ? 問題はそこなのよ」
「……どーしたものか」

 アクアとチャモの関係が今後どうなるか。それが一番心配だった。

「私達も日々研究を重ねているけど、あの状態はメモリー全部持っていかれたのと同じだからね。記憶の再生は多分、出来ない」
「まっとうな精神でよくそんなことが言えるもんだ」
「事実だから仕方が無いじゃない! 当事者ならともかく、あんたにだからこそ言ってるの。そもそも記憶や思い出は一番デリケートなところなんだから。この再生治療も極端に言えば古いものを新しいものにとっ変えるやり方だからね。本当はやりたくないのよ。一番良いのは、再生、そして記憶も戻る。これがベストなのは皆分かってる。でも、それが出来ないから、諦めるか無理やり外面だけ戻すか選択させるのよ……」
「マスターが諦めるだなんて言う訳ないしな」

 はぁ、と溜息をついたの男・ボマーは先日久々にマスターと話をした。どうやらマスターも出来るだけのことはしていたらしい。特にこの間の決戦で、ボマーに最後の気力を与えたのもマスターなのは言うまでも無く。
 そして、肝心なところまで全く役に立たなかったのもマスターなのは言うまでも無く。


 ***


 ------------ごめんね、あっくん。



 チョキン




 ぽとり




「--------------うわああああああああああああああああああ!!」


 絶叫しながら、アクアは飛び起きた。
 ぜぇぜぇ、と肩で息をしている。現在は心療内科医のススメで彼も入院をしていたのだった。
 しかし、やはりというべきか。
 悪夢に毎晩苛まされる。彼女の首が落ちる夢だ。それも、寂しげな言葉を呟いて死んでいくのだ。
 同じような夢を何度も見る。いつか気が狂ってしまいそうだ。そうならないように、鎮静剤を渡されているのだが。
 
「チャモさん……」

 ---------この戦いが終わったら、一緒にパフェ食べに行こうよ!
 悔しい思いがこみ上げてくる。
 
「……あのときのシーンがまだ頭の中から抜けないなんて……僕はどうかしてるんだ」

 
 
 ***


 運命の日から10日が経った。あれから、バトルスポット、GTSも使えるようになり、そして影の携帯獣の脅威も去ったのだった。
 ボックスは平和を取り戻した。小さくない犠牲の上で。
 ボマーは、そのことを悔やんでいた。
 チャモの頭部の再生は未だに終わっていない。仮に終わったとしても、彼女は以前のことは覚えていない。
 一番辛いのはアクアかもしれないが、ボマーとて同じだった。
 静炎邸の一室。ぼんやりしながら渡された報告書を彼は読んでいた。
 ----------マスターもやはり、俺とフレイ、モーターの相性補完が最高だということは分かってる。分かってるが、問題はメガガルーラがこのままだとめっさ重いということだな。
 だが、そんなことはぶっちゃけどうでも良かった。
 ----------この状況、早く打開してぇな。
 はっきり言って、気分が悪かった。アクアもチャモもこんな状態だからだ。

「どーしたの、神妙そうな顔をして」

 顔を覗き込んできたのは、フレイだった。

「……べっつに」
「色々問題抱えているからね、あんたも。アクア君とチャモちゃんのことも旋君のことも、あたし達に関係ないことじゃないんだから。もっと頼っても良いのよ」
「……俺は”あのとき”、お前にアクアを慰めに行かせた。お前はそのとき、何て言った?」

 う、と彼女は言葉に詰まる。

「……あたしだって勢いでつい出ちゃった言葉だから反省してるの。おかしいでしょ? 思い出を無くしたなら、また新しい思い出を作れば良いって。……残酷すぎるわ」
「……いーや、どうなんだろうな。俺だって何て言えば良いのか分かんないしよ。ゴーストポケモンのお前なら生死の倫理とか分かるんじゃねえかって思ったんだ」
「むしろ、ズレてるって思ってた方が良いわよ」
「お前に頼んだ俺が馬鹿だった」
「下手に頼まれたあたしも馬鹿だったわよ」

 はぁ、と2人は溜息をついた。

「……んあ、何だこれ」

 ふと、ボマーは報告書の一番下に、もう1枚紙があるのに気付いた。


 ***


「〜♪」

 ムゥは、厨房でボマーとフレイに差し入れするクッキーを焼いていた。
 パッと見は鼻歌を歌っていて元気そうに見える。
 しかし、彼女の心境もあまりよろしいものではなかった。
 ----------アクアさん……可哀想なのです。
 早く彼にも元気になってもらいたい。クッキーは、後で面会のときにアクアにも渡すつもりだった。
 さて、何個か焼いてボマーとフレイが居るであろう部屋に入ろうとした、そのときだった。


「あの馬鹿マスタァァァァァァァァ!!」


 ボマーのシャウトが響き渡り、彼女の胸が飛び跳ねた。危うくクッキーを全て返してしまうところであった。

「あの野郎、俺にまた面倒ごとを押し付けやがってぇぇぇぇぇぇ!!」
「何コレ……セントラルフィールドの、地下闘技場?」

 紙、それはボマーへの命令書であった。
 
「くそっ、折角影の携帯獣の件が終わったかと思えば!」
「セントラル・フィールドに行けるようになったのは良いとして、怪しいわよ、この場所」
「こういうミッションはよー、あの三つ首龍に頼みゃあ良いんじゃねぇか」
「あ、あの……どうしたのですか?」

 ムゥが心配そうに声を掛けてきた。
 
「悪い、驚かせたか?」
「い、いえ……差し入れを持ってきたのです……」
「うわ、ありがと! ムゥちゃん!」
「それはそうと……何があったのですか?」

 ああ、とボマーは機嫌が悪そうに言うと、「マスターからの依頼だ」と説明する。
 マスターの依頼=命令だ。絶対服従が基本である。
 ボマーはバトル以外での命令を嫌っていたのだ。面倒ごとが嫌いという性格もあるのだが、マスターも面倒くさがりな性格なので、大抵それが降りかかってくるのである。

「……マスターが信頼を寄せている携帯獣の1体、”ルカ姉”と会え、とのことだ。セントラル・フィールドの地下闘技場でな」
「ルカ……ねぇ、さんですか」
「あたし達も会った事があるけど、とんでもない人よ」
「異名は”血涙(ブラッド・ティアー)のルカ”だったか」
「ふぇええ!? 何か、やばくないですか、その人」

 ムゥの顔が真っ青になっていく。

「……ガブリ姉同様、第四世代出身の”強襲型”携帯獣。そしてかつては第四世代の”破壊力SS”の座を賭けて、何度もガブリ姉と戦っている。ヤバいのはあながち間違ってねぇな。ガブリ姉と会う前の話だが、かつてのボックスで暴れまくり、破壊行為を繰り返したことから先の異名が付けられた」
「ふぇえええ!?」

 さらに、とボマーは続けた。

「その暴れまくった理由が、当時も強かったガブリ姉をわざと怒らせて誘き出し、全力で戦うためだった、というとんでもねぇ戦闘狂なのさ」
「そのときにガブリさんからこっぴどく絞られて、以来は丸くなったのよね」
「だが、それ以来懲りないルカ姉は何度もガブリ姉に勝負を挑み続けた結果、2人はいつの間にか親友になっていたのさ。相性が不利にも関わらず、メガシンカを得た後は両方共ほぼ互角の実力に。まさに、ガブリ姉の最大のライバルってわけだ……はぁ」

 まだ、何かあるのだろうか。ボマーは呆れたように顔を顰めて、天井を仰いだ。


「……それを抜きにしても、とんでもねぇ問題児だってマスターも言ってたがな……」

パート1:セントラル・フィールドへ(2) ( No.139 )
日時: 2015/06/11 21:13
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「……考えてみれば、考えてみるほど分からんもんだぜィ」

 デスクトップパソコンに端末を繋げ、過去のバトルビデオを見ているのはガメリオであった。
 その内容は、フレ戦のものであった。調べてみると、ボマー、というかマスターは何度も同じ相手と戦っている。
 だが、ガメリオの呟きはそのバトルビデオから得られた疑問によって発せられたものではなかった。

「……パーティの構築、か……」

 カタカタ、と無機質にキーボードを叩く音が響く。現在、このパーティで最も警戒するべきポケモン。それは-----------


 ”メガガルーラ”、”ポリゴン2”、”ラッキー”


「ノーマルタイプかィ。全く、流石にあっしが相手できる敵じゃねェ」

 格闘技を持つガメリオでも、先に潰されたり、逆に数値が足りなかったりで対処のできない敵であった。だからといって、ほかの面子でも対処はできない。特にメガガルーラは異常だ。特性:親子愛はチートに尽きる。
 それは、完全にボマーが考えていたことと一致していたのであった。
 その火力はボマーの捨て身タックルをも上回るやもしれないのだから。
 さらに、耐久型のポケモンに対しても脆いところがあるこのパーティ。
 ------------マスターは言っていた。火力でごり押せない相手には----------
 画面に映ったのは、2つの英単語。前にマスターに同じ質問をしたところ、送られてきた回答であった。


 ・poison
・trick


「はぁー、こんな凝った回答にしなくてもねィ。つまりはどくどくを使った戦法とトリック戦法か……誰にやらせるかは----------うーん」

 と、そのときであった。

「……HEY! ガメリオー! 何やってるデース?」
「……モーターのお嬢。何用で」

 天井にぶら下がっているのは、ロトムのモーターであった。にししー、と無邪気な笑顔を浮かべている。
 それを呆れ顔で一瞥したガメリオは、再びパソコンに向かったのだった。そのまま、ぐいっ、と紙コップに注いだ麦茶を喉に押し込み、渇きを潤すと集中をそのまま崩さなくなる。
 モーターも面白くなくなってきたのか、その場を離れようとしたが---------そのときだった。



「おきてるか、ガメリオーッ!!」



 意識は馬鹿でかい声で一気に呼び戻された。

「うるせぇ、何の用ですかィ。今夜の何時だと----------」
「昼の二時だ馬鹿野郎。いつまでやってやがる」
「……やっべ」

 PCの時計を確認し、ようやく自分が約13時間もの間集中していたことに気づいたガメリオは一気に脱力感が襲い掛かり、椅子にもたれ掛ったのだった。

「ボマー! ハロー!」
「ああ、モーター。良いから離れろ」
「相も変わらずの女ったらしですねィ」
「黙れ」

 とりあえずだ、とボマーがガメリオに向かって言った。

「セントラル・フィールドの地下闘技場に今から用があって行くんだが、お前も来い」
「強制ですかィ。まあ、旦那らしいとは思いますがねィ。ま、ちょっくらいきますか」
「ボマーのいくところならどこでも着いて行くネ!」
「分かったから、てめーは離れろ!!」


 ***


 ------------中央区域、セントラル・ゲート。この先はセントラル・フィールドに繋がるワープゲートとなっている。
 久々に行く中央都市。
 
「地下闘技場か……。しばらく行ってねぇな、あそこも」
「あんたもあそこで戦ったことあるんだっけ?」
「いや、観戦しかしたことがねぇ。マスターからは危険だとキツく止められていたからな」
「確かに。メガシンカも無いあんたが行ったところで、返り討ちに遭うだけね」
「るっせ。今はこうして力も付けた。もう参加しても大丈夫だ。大体、お前がランプラーだった頃の話だぜ?」

 当時のボマーはまだメガシンカしておらず、フレイもランプラーだった。
 マスターが止めるのも無理はないというものだろう。

「旦那ー! 早くしてくだせぇ!」
「ボマー! こっちへカムヒアー!」
「先に行っちゃいますよー!」

 ああ分かった、と彼は答えると、すぐさまワープ装置に飛び乗った。フレイも後に続く。


「んじゃ、行くぜ! 行き先はセントラル・フィールドだッ!」



 ***


「……それは本当なのか?」

 男は問うた。緑の地に黄色い斑点のコートを着込んだ男だった。
 向かいにいるのは、白髪でスマートでありながらも筋肉質な武人肌の人物だった。

「ああ。既にいくつかのユーザーのポケモンは、セントラル・フィールドとの行き来を可能にしている」
「うちの主人野郎はどうした?」
「未だ音沙汰なし、だ」
「ケッ、使えん」
「それと、地下闘技場の件だが、あそこには”血涙(ブラッド・ティアー)のルカ”がいるらしい」
「血涙のルカ? 何だそいつぁ」
「以前、裏社会で暴れまわった”狂犬”だ。今は地下闘技場で暴れまわっているという」

 そこで、だ、と向かいの白髪は言った。

「地下闘技場に一度行くことを私は勧めるが」

 んあ?、と男はため息混じりに返す。

「何で行かないといけねーんだ。大会は10日後だろ?」
「まず、奴のことは私も知らない。仕事の都合上、裏社会の重要人物は調べることが多いが、奴の場合そもそも何者かによって情報が隠され、分からない。奴が誰のトレーナーなのかもな。大会で優勝するなら、奴が一番の壁になると考えている。奴にパーティがいるならな」

 それに、と白髪は続けた。

「あそこでは毎日小規模のトーナメントが開かれる。どうだろうか? あそこにいる面子を偵察するために、まずはそれに参加するというのは」
「成る程。それで敵のことが知れるなら、悪くは無い。それに優勝商品がそれで手に入れば多少の足しにはなるわな。お前にしてはよく考えたな筋肉女」
「しばくぞ」
「やんのか、てめぇ」

 しばらく睨み合ったが、それも馬鹿馬鹿しくなったのか。
 オーケー、と彼は言って立ち上がった。

「じゃあ、まずはそのトーナメントとやらに優勝してやろうじゃねえか。てめぇをぶっ飛ばすのはその後だ」

Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン対戦小説】 ( No.140 )
日時: 2015/05/10 14:18
名前: モノクロ ◆QpSaO9ekaY (ID: RHpGihsX)

 コメントしてたと勘違いする症候群にかかったのではないかとふと思います、モノクロです。

 確か第一部のラストに関して語っていた気がしますが、あれは雑談板の方でしたか……いやはや、あちらとこちらを行き来するようになってから、こんなボケが多くて困ります。もう歳ですかね。

 ま、こんな半端に区切れ目について述べるのもあれですし、というかもう語ったので焼き直しするのもなんですし、第二部から触れていきますか。
 第二部はいよいよセントラル・フィールドに乗り込み、奴らの存在もちらちら覗いておりますが、それ以上にアクアとチャモの問題ですよね。さて、どう解決するのやら。白衣の天使を装ったピンクの悪魔が、ヒントを指示しているようにも思えますが、さてこれはミスリードなのか……タネを探ろうとすればするほど、疑心暗鬼になりそうです。
 とか思ったら、その部分は修正されているんですね。だとすると、ややはりミスリード……いや、あえて隠したのか……? やっぱ疑心暗鬼になりますね、こりゃ。
 後は、うちのPTではゲロ重な波導使いの存在も見え始めてきましたが、それよりガメリオのキャラの崩れっぷり……まあ、今更なにも言いますまい。これは作風の一端だと捉えておりますゆえ。

 とりあえず、現段階の気になる点は三つでしょうかね。すぐさま向かうらしい闘技場と10日後の大会のリンク度、そしてそれに伴った対戦内容(は概ね察しがつくので、その前後のやり取りが主)。
 それから、影の携帯獣は本当に消え失せたのか。どう考えても黒幕がいますよね、これ。話の落としどころっていうんですかね、それが見えないです。
 ……まあ、謎があるうちは純粋に更新を楽しめるので、色々明かされるその時を待つとしましょうか。

 うむ……今回は800文字程度で収められました。やはり二部からコメントしたのもそうですが、意識するだけで文筆量も変わりますね。
 それじゃあ、今回はこれにて。
 ではでは。

Re: ポケモンバトルM・EVO【ポケモン対戦小説】 ( No.141 )
日時: 2015/05/10 15:49
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

モノクロさん >>140

どうも、コメントありがとうございます。色々修正した結果がこれです。なかなか構想が決まりませんでした、この辺は。
リリムは後々でも結構重要な役を担うことになるので、注目です。
アクアとチャモの2人についても、ですね。

さて、先ほどの試合でも大活躍した波動使いですが、実際に登場するのはもう少し先かと。
そして何より、地下闘技場での戦いに乞うご期待。あいつ、ボマーが苦手な相手を殆ど起点にできるので、とても便利です。

ガメリオのキャラ崩壊ですが、キャラがキャラを捨ててボケるなんて自分の小説ではよくあることです、気にしないでください。ちなみに、今の自分のお気に入りもビックスなんですよ。早く昇格させないと……。大戦略とかをやったこともあるので、陸戦にも興味はあったんですよ。

それはともかく、影の携帯獣がこの先出てくるか-----------その辺は流石にネタバレですね。唯一つ言うなら、まだ終わっていないってことです。

それでは、また。


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