二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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ポケモンバトルM・EVO【サン・ムーン編突入!】
日時: 2016/12/23 03:17
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: y0p55S3d)

『読者の皆様へ』

どうも、初めましての方は初めまして、タクです。今回のこの小説は、所謂対戦実況小説といったところでしょうか。
現在、他の小説の進みがなかなか良い感じになっているため、この小説の連載を決意しました。
タイトルはM(メガ)・EVO(エヴォ)、その名の通りメガシンカをテーマにした作品になると思います。また、第六世代で追加要素のあったポケモンに視点を当てていきたい所です。
また、今回のサン・ムーン発売に合わせて、第七世代を舞台にした対戦も描いていく予定です。

そして、この小説は種族値、努力値、個体値とった3値やHABCDSVなどの記号や、略称なんかが出てくる、所謂「廃人仕様」となっております。
一応、初心者の方にも配慮したような表現を極力心がけたいですが、あらかじめこういったことを知っている前提で読んでほしいと思います。

また、この作品と舞台は違いますが世界観を共有している、モノクロさん著『BOHパ対戦記録譚』があります。そちらの方も、よろしければご覧下さい。


ちなみに、作者のフレンドコードも載せておきます。XYにおけるフレンドサファリのタイプはノーマルで、ヒメグマ、ドゴーム、ラッキーが出ます。

フレコ:2809−9638−8089


※注意※
・本作品はバトルビデオを元にして作られたノンフィクションと一部フィクションです。
・そして、ストーリー中心です。小説という以上、当然ではありますが。
・ポケモンの擬人化あります。つーか、それらのポケモン中心です。
・分かりづらいかもしれない設定多々。
・選出画面があったり無かったり。
・イラストは後々用意するかもしれませんが、クオリティは期待しない方が良いです。
・メタ発言? んなもん日常茶飯事。
・にわか発言&下手糞プレイ? んなもん日常茶飯事。
・対戦相手の名前は改変して使用します。
・対戦相手への誹謗中傷はおやめください、メガボーマンダのスカイスキン捨て身タックルとシャンデラの眼鏡大文字が襲い掛かります。
・BGM置いてるけど、ポケモンじゃないかもしれない。



 また、作者は対戦・交換などは大歓迎です。フレコは自分の雑談スレ『タクのノベルス・ポケモン図書館』に置いています。バトルビデオをこの小説に使わせていただくかもしれません。

以上のことを守ってうちのポケモン達の活躍を生暖かい目で見守ってやってください。


目次

第一部:エリア開放編


プロローグ
>>01

パート1:謎の敵・静炎邸
>>02 >>03 >>04 >>05 >>06 >>07 >>10 >>11

パート2:遮断された箱庭・氷海水域
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16 >>17 >>18 >>19 >>20

パート3:湖の決闘・中部緑域
>>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26 >>27 >>28 >>32

パート4:忍の街・群雲街域
>>33 >>34 >>35 >>36 >>37 >>38 >>39 >>40 >>43 >>44 >>45 >>46 >>47

パート5:この風が泣いている・天獄峡域
>>48 >>51 >>52 >>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>58 >>59 >>60 >>61 >>62 >>63

パート6:雷電霹靂・雷電械域
>>75 >>76 >>77 >>78 >>79 >>80 >>81 >>82 >>83 >>88 >>89 >>90 >>91 >>92

パート7:暴龍警報・頂龍山域

#1:絶望の淵へ
>>103 >>104 >>105 >>106
#2:反撃の狼煙
>>107 >>110 >>111 >>112 >>113 >>114 >>115
#3:龍の守護者
>>116 >>117 >>118 >>119 >>120
#4:最後の守護級
>>121 >>126 >>127 >>129 >>131 >>134 >>135 >>136


パート8:仲間達が待つ場所へ
>>137


第二部:新世代編

パート1:セントラル・フィールドへ
>>138 >>139 >>142 >>143 >>144 >>145 >>146 >>147 >>148 >>149 >>150 >>151 >>152 >>153 >>154

パート2:留学生は突然に……


登場携帯獣紹介
>>70

用語解説
>>71


番外編:始末屋の日常と非日常

パート1:前々前作でラスボス役やっててもキツい奴はキツいので以下略
>>95 >>96 >>97 >>98 >>99 >>100 >>101 >>102

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32



パート3:湖の決闘(2) ( No.22 )
日時: 2015/02/24 00:58
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

 --------どこだ? 敵はどこに隠れた?
 開けた湖の中、”彼”は呟いた。
 しかし、その答えはすぐに訪れる。

 がぱぁっ

 物の怪の口のように、背後の空間がばっくり、と割れた。

「っちぃ!!」

 伸びてきた手にすかさず肘の刃を突き立てる。
 ざくり、と切れたそれは、黒い血の様なものを噴出した。

「龍のっ、波動ォーッ!!」

 そして、ダメ押しに一発。龍の力が篭った波動を撃ち込んだ。
 しかし。

「刃デコノ私ニ勝トウトハ、100年早イナッ!!」

 一瞬で相手の腕から伸びている刃に受け止められた。
 敵の特殊防御力が高いことが伺える。

「ソシテ、貴様ノメガシンカエネルギー……貰ウゾ!!」

 白い手が伸びる、すかさずそれを自身の巨大な尾で振り払う。
 が、そのまま掴まれてしまう。

「捕マエタ……!!」
「いーや、形勢逆転だよ!!」

 次の瞬間、木の葉が彼の周りに浮き上がる。

「残念、無念、再来年っ!! リーフストームを食らえええええ!!」

 そして、手が掴んでいた尾は回転し始め、次の瞬間-------------巻き起こる木の葉の竜巻とともに、ミサイルの如く放たれた。
 

 ***


「着きましたよ! 流石僕のレーダー!」

 森を抜けた先にあったのは、やはり湖だった。相当広く、周囲には木が生い茂っているものの、水は澄んでいた。

「どうやら、僕らはぐるぐる回っていたみたいですが、もう此処まで来れば大丈夫です!」
「ほんっと、疲れたよー」
「お、俺もー」
「何でレイドさんまで着いて来てるんですか」
「だって俺んちこの近くだしー」

 と、レイドは言った。
 まあ仕方があるまい。
 しかし、次の瞬間だった。
 ピキ、ピキ、と目の前の空間が割れる。
 そして、幾多もの牙が生え中央から人影が現れた。ぞくり、と肌があわ立つ。
 何の前触れも無しに現れたからだろうか。

「影、ですか……!!」
「ちょっと、ちょっと! まだ3人目が見つかってないのにぃ!」

 慌てるチャモ。しかし、影の中の人影は”何か”を無機質に放る。それは、人のようだった。
 そして、静かに一言告げた。


「……こいつは、置いていくぞ……」


 放られて、横たわっているのは、アクアと同年代ほどの少年だった。それも、アクアにとっては見覚えのある少年だった。

「ラ、ラプターさんっ!!」
「ラプター……? あっくん、知り合いなの?」
「ええ、以前組んだこともあります。とあるパーティを組もうと思ったときに(マスターに無断で)協力してくれたんですよ」
「はは、しくじった」

 フランクな笑みを無理して浮かべようとするが、身体がずきずき痛むのか、ラプターと呼ばれた男は顔を歪めた。

「大丈夫ですか!?」
「アクア、悪いがオイラはもう無理だ。あと少し、あと少しのところだったんだ……! 御三家最速が情けねえ」

 この男こそが、アクアが探していた人物だった。
 しかし、時既に遅し。影と戦い、ラプターは敗れていたのだ。

「私はこのエリアのガーディアン。近付く者は排除する」

 影の奥にある人影は、無機質な声で言った。

「くっ、ホウエン御三家が揃えば敵無しと思ったのですが、流石に都合が良すぎましたか……」

 ちらり、とアクアはレイドの方を見た。

「仕方がありません、レイドさん頼みますよ」
「俺でいーのー?」
「止むを得ません。逃げるのも気が引けてきました」

 何故ならば、とアクアは続ける。


「今の僕は、最高に怒っているので」


 フフフ、と目の前の影から声がする。
 割れていた周りの空間が収束し、携帯獣としての原型に近くなった。
 それは、刃ポケモン・エルレイドだった。
 両腕の肘に刃がついている人型のポケモンで、腰周りが大きいものの、スマートな外見の男性的な容姿のポケモンだった。

「私に勝負を挑むと。良いだろう。完全体に成った今、もう無差別に相手を襲う必要もない。貴様らの土俵で命と命を賭けた決闘をしてやろうではないか」

 エルレイドの影は、嫌な笑みを浮かべた。次の瞬間、5つの影が背後に現れる。
 
「成る程、今回は6対ですか。こちらには選択肢はありませんが」
「気をつけろ……!」
「ラプターさん、休んでいてください。絶対に勝つので」

 前に進み出たアクアは一度息を吐くと言った。

「チャモさん!」
「おっけー!」
「レイドさん!」
「こっちも覚悟は出来たぞー」

 戦ってくれる仲間がいる。
 
「ま、仕方ないわな。BOHで一緒に戦った仲だー、此処で逃げたら触手が廃るってもんだぜ」
「頼みますから、触手は廃れていてください」

 些か不安ではあるが。

「私に勝てる訳が無かろう。私はラルトスの恨みから生まれたのだ」

 憎しみに満ちた眼差しで影は言った。

「サーナイトは女性的な容姿のポケモンだ。♀を望むプレイヤーは多い……故に!! 我々は理想個体にも関わらず、♂という理由だけでエルレイドにも成れずデータの塵になって消えていった……!」
「いや、知ったこっちゃないよ!」
「そーだなー、サーナイトたん可愛いもんなー、♀が良いよなー」
「あんた、もうこの湖に沈めてやりましょうか!?」

 クハハ、と目の前の影は笑う。

「馬鹿馬鹿しいと笑いたいならば笑え。だが、性別厳選などという下らん趣味の所為で、我々は無念のまま消えていった……!! 切り刻んでくれる、我は我が主の命に従うのみだ-------------!!」

 そして、選出画面に移行した。

「これはまた、面倒な敵ですね……!!」

パート3:湖の決闘(3) ( No.23 )
日時: 2015/02/24 01:47
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

 ***

「さて、相手の面子を見てみましょう」


エルレイド
メタグロス
マッスグマ
マンムー
レントラー
クロバット


 ???、と微妙に反応に困る面子だった。いや、正確に言えばマッスグマが。

「あれですかね、これが噂の神速マッスグマって奴でしょうか」
「でも、格闘1体、岩1体がいるこっちに出してこないとは思うよ」
「まずは出てきそうなやつを考察しようぜー」

 そうだ。出てきそうにないのをあれこれ考えても仕方が無い。
 まず、メタグロスも出てこないとは思う。メインウェポンの通りは良いが、チャモに焼き尽くされておしまいだ。
 問題は、エルレイド、クロバット、マンムー。
 この3体が少々きつめだ。
 
「しかも、エルレイドがリーフブレードを持っていた場合、3タテあるんじゃねーの、これ」
「……言われてみれば」

 確かにやばい。
 エルレイドが激重である。

「次に、クロバットも鉢巻物理型だったら、俺じゃ無理だね。俺はあくまでも特殊受けだし」

 とりあえず、だ。

「先発にはマンムーが出てくる気がします。それを利用し、雨乞いの起点を作ります」
「雨乞いって、あっくん、何の型を使うの?」

 にやり、とアクアは笑ってから言った。


「前回、あのボーマンダに奪われましたが、何とか取り戻せたメガシンカ型に決まってるじゃないですか」



 選出確定
 アクア:ラグラージ♂

 
 様子見もあるが、相手のステロに合わせて雨乞いをすれば、メガシンカ後の特性・すいすいで135族抜きまで速度が上がった化物が1ターン目で誕生する。
 
「残り、僕らには選択肢がありません」
「分かってる! 行くしかないよね!」
「ま、仕方ないっちゃないよねー」

 
 選出確定
 アクア:ラグラージ♂
 チャモ:バシャーモ♀
 レイド:ユレイドル♂

 
 選出が決まった。3人は、原型の姿となり、3匹となる。

「では、行きますよ! こんなとき、ボマー先輩だったら何て言うのか」
「”祭りの始まりだ”! じゃなかったっけ?」
「そうでしたね。それじゃあ行きますよ、僕らの祭りの始まりです!」
「おっけー、可愛い特殊アタッカーの子、いるかなー」
「あんたはあんたでブレないですね……」

パート3:湖の決闘(4) ( No.24 )
日時: 2015/02/24 02:38
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)
参照: https://www.youtube.com/watch?v=6SxJC-9PZmE

 ***

【緑域の番人が勝負を仕掛けてきた!】

【行け! ラグラージ!】


 飛び出したアクアは、手に隠し持ったメガストーンを見て呟いた。

「これに恥じない戦いをしなければ」


【番人はエルレイドを繰り出した!】

 
 先発、早速出し負けた気がした。
 エルレイドはリーフブレードを覚える数少ないポケモンの一角。
 つまり、此処でエースのアクアが出オチしたら危ないのである。

「とりあえず、チャモさんお願いします!」
「おっけー!」

 しかし、此処で一貫して負担をかけられる思念の頭突きとか、そういった技を使われるのが一番怖いのである。
 だが、此処は安定行動だ。極力、リスクの少ない選択をしていきたい。


【ポケモントレーナーのタクは、チャモを繰り出した!】

【黒い影の怨念が、瘴気を生み出す-------------!!】


 次の瞬間、邪悪な瘴気がエルレイドを包み込んだ。

「メガシンカ、完了。排除スル……!」

 巨大になった腕の刃、純白の胴体。
 そして、黒く汚れきった瞳-----------
 翻されたマントの色は、復讐の赤に染まっていた。


【エルレイドのリーフブレード! 効果はいまひとつのようだ】

『チャモ:残りHP113/154』


 流石、A種族値165。半減でもそこそこ入る。

「あ、あぶなかったです、何とか受け出しには成功ですね」
「変な読みしなくて良かったなー」

 とりあえず、この状況を打開するには、まずは1度加速することが大前提だ。

「守れば、次のターンに珠大文字であわよくば持っていけるはずです!」
 

【チャモの守る! チャモは守りの体勢に入った!】

【エルレイドの地震! チャモは身を守った!】

【チャモの特性:加速発動! 素早さが一段階上昇した!】


 今のところ、両者共に無傷。しかし、次のターン、盤面が動き出した。
 まず、タイプ一致珠大文字の威力は伊達ではない。
 しかし、メガエルレイドは特防が高いのである。
 万が一、耐えられでもしたらそれが負けに直結する可能性すらある。

「というか、当たらなかったらその時点でGAMEOVERですから!」
「だいじょーぶ! あたしの大文字の命中率は驚きの100%だよっ!」
「それがフラグだって、何でどいつもこいつも分からないんですかぁぁぁぁぁ!!」


【チャモの大文字!】


 大の字に広がった炎が、相手のエルレイドへ向かって直進し------------------爆散した。
 しかし、エルレイドは確かにそこに立っていた。

「マダ分カラナイノカ。私ノ特防種族値ハ115……一致等倍デハ落チン」
「あれ、何でしょうかこのデジャブ」

 え、ちょ、やば--------とチャモの声が聞こえる。
 しかし、エルレイドの残りHPはぎりぎり。強がってはいるが、どうやら、辛うじて耐え切ったに過ぎないようだ。


『エルレイド:残り体力僅か』


 だが、それでもだ。


「落チロォォォォーッ!!」


【エルレイドの地震攻撃っ! 効果は抜群だ!】

【チャモは倒れた!】


 こうなるのは見え見えであった。
 エルレイドの放つ揺れによって、チャモは足をとられ、力尽きる。

「……うっ、そんな……」

 涙目になるチャモ。当然だ。このままでは負け筋を作ってしまう。

「……待ってください」

 アクアは口を開いた。

「相手はこの状況で、不一致4倍弱点を食らう僕と、一致弱点を食らうレイドさん、どちらを出してくると思いますか?」
「えーと……そーいえば、あっくんの耐久だったらメガバナの花吹雪でも耐えるんだよね?」
「そうです。これは相手依存の読みですらないゲームですが------------」

 え、とレイドの顔が青ざめていく。

「ちょっと死ぬ目に遭って来て下さい」
「えええええー!? ちょっと待て、アクア! 何考えてるんだよぉー!」
「此処で、わざわざ一致弱点を突かれる貴方を出した場合、相手はどう考えるでしょうか?」
「えーっと。……ひょっとしてあっくん」

 そうです、とアクアは言った。

「あたかも僕がゴツメを持っていて、インファイトを誘っているかのように見せかけます!!」
「ちょ、ちょ、ちょ、それってかなり無理が入った奴だよね!?」
「仕方がありません。さもなきゃ、この試合ジ・エンドです」

 
【タクはユレイドルを繰り出した!】


 いやいやではあったが、無理矢理戦闘に出されるレイド。
 顔は既に、インファイトでぶち壊されるのではないか、という未来への恐怖で真っ青になっていた。


『ポケモンDETA
レイド:ユレイドル♂
HP193/193
性格:一言で言えば、楽観主義であっけらかんとした性格。しかし、加えて気に入った♀ポケモンに容赦なく触手プレイを仕掛けるド変体。しかもしぶとく、以前相手のメガクチートに纏わり付いた際、返しのアイアンヘッドで粉砕されたにも関わらず、試合の後には自己再生で復活していたほど。
性能:積まない特殊アタッカーに対しては滅法強く、粘り強く相手を定数ダメージで苦しめていく。纏わり付くはタイプ無効がないのも強み。また、自己再生以外は攻撃技を採用しているため、挑発にも強い。対水タイプポケモンとして使うのが一般的。
火力:C 速度:D 耐久:S 自覚:A 変体力:SS』


「ちょ、ちょ、ちょ、死ぬって-----------」

 しかし、そんなレイドの恐怖心とは裏腹に、相手のエルレイドは葛藤していたのだった。
 --------何ダ? インファイトヲ誘ッテ裏ノラグラージノゴツメデ私ヲ倒スツモリカ? ダトスレバ美味シクナイナ、リーフブレードデ行クカ?
 空城の計。わざと無用心な陣形、つまり城の門を開け放しておくことで、逆に相手に罠があるのではないか、と錯覚させる戦法。
 というのは建前で、アクアはこの段階で勝てるなどとは既に考えてはいなかった。
 とりあえず、逃げるための考えを巡らせていたのだ。
 
「エエイ、仕方ガアルマイ!!」

 ひいい、とレイドの顔が青ざめた。
 そりゃ、一致弱点突かれる相手の前に放り出されたら、誰だって怖くなるというか、心底絶望するだろう。
 アクアの指示は”ギガドレイン”だった。
 が、そんなもの撃つ前にやられる予感しかしない。
 レイドは心底後悔した。ああ、何でこいつらに関わってしまったんだろうか、と。
 そして、一瞬で間合いを詰めたエルレイドが刃を振り下ろす------------







【エルレイドのリーフブレード!!】

パート3:湖の決闘(5) ( No.25 )
日時: 2015/02/24 03:35
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

「バ、バカナ-------------!!」
「う、うおおおお!!」

 当然、一致等倍程度、余裕でレイドは受かる。


『レイド:残りHP126/193』


「引っかかりました!」

 にやぁー、とアクアが笑みを浮かべた。内心は、うっそマジかよぉぉぉ、と信じられないような気持ちだったが。そして、次の瞬間だった。
 レイドの触手がまるで、締め付けるようにエルレイドの首に絡みついた。
 
「吸い尽くしてやるぅぅぅーっ!!」

 その触手は、エルレイドの命を吸い尽くす。


【レイドのギガドレイン! エルレイドから体力を吸い取った!】

【エルレイドは倒れた】

【レイドの体力が回復した!】

『レイド残りHP:132/193』


 間一髪、ぎりぎりラッキー。見事、3タテされる危険性の高いメガシンカポケモンを処理することに成功する。
 アクアは未だ信じられないといった顔をしていたが。
 さらに、レイドは持ち物の食べ残しでHPを回復する。


『レイド残りHP:144/193』


「こいつは……まだ希望がありますね」
「う、うおおおお!! 生きてる!! 生きてるぞおおお!!」
「油断しないで下さい! 次が来ますよ!!」

 ポケモンの指揮に戻ったエルレイドの影は、次のポケモンを繰り出す。


【番人はクロバットを繰り出した!】


 クロバット。毒タイプでは、メガシンカを除くと最も合計種族値の高いポケモンだ。それだけ、能力が高い。
 まず、目を引くのは130という素早さだろう。

「ホホウ、エルレイド様ヲ倒ストハ、ナカナカ見所ノアル小僧ネ……」

 物理毒技はレイドに対してかなりきつい。押し負けるのは目に見えている。

「レイドさん! 残りは僕に任せてください!」
「ちょっと待て、アクア。コイツなんか、”俺の好きな匂い”がするぞ?」
「頭がイカれてるのは知ってますけど、鼻までイカれましたか。とっととやられてください!」
「やかましい! そうじゃねえんだよ!」

 そうこうしている間に、相手のクロバットが急降下してくる。毒を帯びた羽を交差させながら。
 

【相手のクロバットのクロスポイズン! 効果は抜群だ!】

『レイド残りHP:101/193』


 アクアは押し黙る。
 これは、何かがおかしい。

「……耐久ポケモンのユレイドルにどくどくを撃たなかったあたり、どくまも型じゃない。にも関わらず、一致弱点でこれだけしか食らっていない。ということは、まさかこのクロバット----------!」

 
【レイドの纏わり付く! 効果はいまひとつのようだ】

【相手のクロバットは、レイドに纏わり付かれた!】

『クロバット残りHP:ミリ減った』


 アクアが言い終わる前にレイドの触手がクロバットの羽を縛った。これで、もう逃げることはできない。
 さらにターンの終わり。

 
【クロバットは纏わり付くでダメージを受けた!】

『クロバット残りHP:約7/8』

【レイドは食べ残しで体力を回復】

『レイド残りHP:113』

 
 そして、こうである。
 良い方向に進んでいるといえば進んでいる。あるとすれば、クロスポイズンで毒を貰ったらきついくらいか。
 そして、今までの違和感の原因がようやく分かった。


【クロバットのギガドレイン! レイドから体力を吸い取った!】

『レイド残りHP:95』

『クロバット残りHP:ほぼ満タン』


 両刀。それも、恐らくCSベースの両刀型なのだろう。クロスポイズンで殆どダメージを食らわなかったのが分かる。
 そして、レイドは慌てず騒がず---------

「ほい、再生っと!」


【レイドは自己再生した!】

『レイド残りHP:192/193』


 成る程、これは確かにレイドの好きな型、つまり特殊ベースに当たったようだ。

「うへへ、君って俺の好みなんだよねー。一緒にイイ事しようよぉー」
「ウワアア、離レロ、ニュルニュルスル、気持チガ悪イィィィ!!」


【クロバットは纏わり付くのダメージを受けている】

『クロバット残りHP:約7/8』

『レイド残りHP:食べ残しで全快』

 
 敵のクロバットの方が可愛そうに思えてくる。運が悪いことに、このクロバットは♀だったのだ。
 触手で体中のあらゆる場所を触られている。

「……最も、クロバットとか誰得ですけど」
「これは……引くしかないね」
「あはははー、触手isジャスティス! はっはっはー!」

 さて、次のターン。相手はクロスポイズンでも大したダメージにならないと思っているだろう。
 だからギガドレインで粘り強く戦ってくるはずだ。

「そこに狙いを定めます。あれを使ってください」
「あれだね? オーケー!」

 レイドは意気込む。
 しかし、相手のクロバットも黙ってはいられない。

「落チロォォォーッ!!」


【クロバットのエアスラッシュ!】

『レイド残りHP:163/193』


 しかし、運は時に非情である。


【レイドは怯んで動けない!】


 これは一体どういうことであろうか。自覚が欠けているのではないか、とは思うかもしれないが読者の皆様、レイドはこれでも実戦では活躍してくれる方なのだ。それを称えて自覚Aを差し上げたまでで。


【クロバットは纏わりつくのダメージを受けている!】

『クロバット残りHP:70%』

『レイド残りHP:食べ残しで175/193』


 結局、このターンは殆ど何も起こらなかった。
 進展なし、だ。

「あっくんとれーくん、何しようとしてたの?」
「見れば分かります。トゲキッスじゃあるまいし、次は動けるでしょう」
「おう!」

 そして次のターン。逃げられないクロバットは、今度は悪の波動を放ってきた。命中安定だろうか。

「来たな? その程度!!」


【クロバットの悪の波動!】

『レイド残りHP:156/193』

 しかし。特殊技を撃ってきた時点で、相手は既にレイドの術中に嵌っていたのだ。

「もがいてる? もがいてる? 苦しそうだねー、じゃあ俺が楽になるお手伝いをしてあげるよ-----------!!」


【レイドのミラーコート!!】


 それは、特殊技を跳ね返す鏡の壁。
 これにより、さっきの悪の波動は、倍の威力になってクロバットへと還っていく。


『クロバット残りHP:40%』


「やりました、結構削れましたよ!」
「すっごい! これを狙ってたんだ!」

 しかも、ミラーコートは攻撃技。レイドはギガドレイン、纏わり付く、ミラーコート、自己再生という技構成なので、挑発がそこまで痛くない。
 つまり、ユレイドルは特殊受けという点ではかなり強い部類に入るポケモンなのだ。


『クロバット残りHP:纏わり付くで30%程』

『レイド残りHP:食べ残しで168/193』


 そして、次のターン。

「相手もミラコを見た以上は、再びクロスポイズンで攻撃してくるでしょう。とりあえず、自己再生してください」
「おっけー!」

 とは言ったものの。現実はなかなかそう上手くはいかない。


【クロバットの悪の波動!】

『レイド残りHP:167/193』

【レイドは自己再生した!】

『レイド残りHP:全快』

『クロバット残りHP:纏わり付くで10%程』


「うーむ、読まれたんですかね?」
「相手は完全にクロバットを捨てる気でいるんじゃない?」
「うへへへ、もうちょっと楽しませてよぉー」

 ダメだこの変体、早く何とかせねば。


【クロバットの悪の波動!】

『レイド残りHP:172/193』

【レイドのギガドレイン!】

『クロバット残りHP:赤突入』

『レイド残りHP:178/193』


 うむ、何故此処でギガドレインを選択したのか、謎である。

「ですが問題ありません。纏わり付くのダメージで、このターンで落とせるはずです」
「でもあっくん、確か今何ターン目だっけ?」
「……あ」


【クロバットは纏わり付くから開放された!】

『レイド残りHP:食べ残しで190/193』


 そういえば、既に5ターン相手に纏わり付き続けていた気がする。
 となると、相手はクロバットを引っ込めてくるだろう。

「一体、相手は何を繰り出してくるんでしょうか-------------」

パート3:湖の決闘(6) ( No.26 )
日時: 2015/02/24 14:47
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: oLjmDXls)

【番人はクロバットを引っ込めた!】


 やはりだ。クロバットは番人の下に戻っていく。

「おのれ……下郎め……!!」
「戦いに卑怯もらっきょうも、ましてや下郎もアホウも無いと思うけどー?」

 しかし、番人はレイドの挑発に乗る前にポケモンを繰り出した。


【番人はレントラーを繰り出した!】


 電気タイプの中でも、高い物理攻撃力を持つポケモン、それがレントラーだ。特殊型もいるといえばいるが。しかし、レイドは再び目をハートマークにしていた。

「やりぃ、また♀だぜー! あいつ程度の攻撃なら余裕で耐えてやんよやんよ」


【レイドの纏わり付く! レイドはレントラーに纏わり付いた!】

『レントラー残りHP:減った?』


「とりあえず、特殊型の可能性もありますからね、様子見でミラーコートを使っておけば、良いんじゃないですか」
「……なんか忘れてる気がするんだけど」


『レントラー残りHP:7/8弱』

『レイド残りHP:食べ残しで全快』

 チャモは何かが気になるようだったが、構わずレイドは再び特殊攻撃を跳ね返す壁を貼る。
 しかし、次の瞬間チャモが声を上げた。

「や、やばいよあっくん! 相手は100%物理型だって!」
「……え?」
「だって、相手のレントラー、威嚇した?」

 そういえば、そうだ。
 つまり、相手のレントラーの特性は威嚇ではない。
 そして、威嚇以外のレントラーの特性で考えられるのは------------

「し、しまった! レイドさぁぁぁん!?」

 
【レントラーの氷の牙! 効果は抜群だ!】

『レイド残りHP:111/193』

【レイドのミラーコート! しかし、上手く決まらなかった!】


「ですよねぇぇぇ!!」

 根性。状態異常時に攻撃をあげるというもの。つまり、必然的に構成は物理技に絞られる。
 というか、レントラーという種族自体物理型が多い。というか、ミラコ持ってる奴にわざわざ交代してまで出す訳が無い。

「言い訳のしようがないプレミです……」
「ど、どんまいっ! ミスは誰にでもあるよ!」
「とりあえず、自己再生で回復してください! 定数ダメを稼いで、僕に繋げるんです! 今のダメージは80、つまり確定3発、悪くて乱数2発! 余裕で受けられるはずです!」
「わ、分かってるよ!」


【レントラーの氷の牙! 効果は抜群だ!】

『レイド残りHP:37/193』


 成る程、これだけを見れば余裕で受けられるだろう。再生込みで。しかし、現実はそんなに甘くはないのだ。


『レイドは凍ってしまった!』


「って、おいいいい!!」


 カチンコチンに噛まれた場所から凍っていき、しまいには氷漬けになってしまったレイド。
 多分これ、口は利くことは出来ないと思う。

「大丈夫、即溶けがあるはず!」


【レイドは凍ってしまって動けない!】


「だと思いましたよ、ちくしょー!!」


『レントラー残りHP:纏わり付くで55%程』


 まずい。恐らく、レイドはこのターンで氷の牙を食らって倒れる。
 そうなった場合、アクアで2体を相手にすることになる。

「クロバットはギガドレイン持っていますし、命中不安なこの技じゃ些か不安ですね……!」

 頼む。どうにか奇跡が起こってくれ。


【レントラーの氷の牙!】


 冷気を纏わせたレントラーの牙が、そのままレイドに襲い掛かった--------------


【しかし、レイドには当たらなかった!】

【レイドは凍って動けない!】


 レイドは凍って動けなかった。しかし、時間は十分に稼げた。


『レントラー残りHP:纏わり付くで40%』

『レイド残りHP:食べ残しで61/193』


 纏わり付くの定数ダメージは、凍っていても発動するのだ。
 これならば、アクアでも余裕を持って倒せる。
 ----------へへ、後は頼んだぜ、アクア。


【相手のレントラーの氷の牙!! 効果は抜群だ!!】

【レイドは倒れた!】


 その身体を噛み砕かれ、レイドは力尽きる。

「へへー、此処までお膳立てしてやったぜ。後はお前が暴れるだけだろー?」
「全く、あんなところで凍るなんて……」

 しかし、アクアの顔はレイドの活躍を称えるように、輝いていた。
 残るは手負いの2体のみ。

「あっくん! 頼んだよ!」
「お前が頼みの綱だぜ!」

 アクアは振り向かない。
 唯、頷いただけだ。


【タクはラグラージを繰り出した!】


 普通のラグラージならば、レントラーを撃破してもクロバットのギガドレインで倒される危険がある。
 しかし、今回のアクアはそんなヤワな型ではない。

「行きますよ」

 此処で2体共倒すため、まずは全抜き体勢を整える。


【アクアのラグラージナイトとタクのメガバングルが反応した!】


 激しい光にアクアは身が包まれる。
 そして、その光が弾け飛んだとき、アクアは更なる限界を超えた進化を果たしていた。


【アクアはメガラグラージにメガシンカした!】


「ウラァァァーッ!! メガシンカ、完了ですよぉーっ!!」

 凛々しい瞳、更にたくましく、太く、そして強靭になった両腕。
 全てが邪魔をするものを破壊し、勝利へ突き進むために存在する。

「これが、あっくんのメガシンカスタイル……とっても強そう!」
「重戦車、パワーファイター、飾る言葉は幾らでもあるが、今のアクアは、さっきまでのアクアとは一味も二味も違うぜ」

 その言葉の通り、インテリ系だったアクアの姿は無い。
 純粋なパワーファイターとしての姿がそこにあった。


【敵のレントラーの氷の牙!!】


 その強靭な筋肉は、並大抵の攻撃では傷つかない。逆に跳ね返してしまったほどだ。


『アクア残りHP:164/200』

 アクアは地面を叩き天に向かって吠える。次の瞬間、暗雲が立ち込め始めた。
 そして、大雨が降り始める。


【アクアの雨乞い! 雨が降り始めた!】


 次の行動は唯1つ。
 特性・すいすいによって雨になるとメガラグラージの素早さは2倍になる。よって、レントラーは愚か、後続のクロバットよりも速い。
 もう、殴るだけだ。

「地震でもいいのですが、雨のターンを稼ぐ為に交代されたら嫌なので、僕の必殺技で決めてやりますよぉ!」

 激流を尾に纏わせ、レントラーをめがけて振り下ろす。

「おんどりゃああああああああああ!!」


【アクアのアクアテール!】

『敵のレントラーは倒れた!』


 猛々しい咆哮と共に、命中。そして、その勢いに跳ね飛ばされたレントラーは地面に激突し、そのまま消える。
 アクアテール。命中不安ではあるが、水タイプの物理技では威力が最高なのである。


【番人はクロバットを繰り出した!】


「バカな、私が負けるはずが----------!!」
「もう一丁ですよぉ!!」


 アクアは吠えると、再び激流を尾に纏わせる。
 そして、クロバットめがけて、咆哮と共に---------------振り下ろした。

「ふんぬらばあああああああああああ!!」


【アクアのアクアテール!!】

【敵のクロバットは倒れた!!】


 真っ二つ。
 手負いでボロボロだったクロバットは悲鳴を上げ、そのまま消滅した。

「あ、ぎ……そんな、何故誰も……私の存在を認めてくれないのだ……もはや、これまで……」

 そして同時に、影の本体・エルレイドも消滅していく。
 しかし、その顔はどこか満足気だ。

「だが認めてやる、アクアよ……エースとしての活躍も然る事ながら見事な采配だったぞ……!」

 そこに絶望はなかった。最後の言葉を残し、完全にデータの塵となって消滅する。
 その最期を見届けたアクアは呟いた。

「勝者へのリスペクトを忘れない姿勢、自分が認められなくても、認めようと思う相手は素直に認める姿勢、騎士道というやつでしょうか。敵方にも貴方のような人がいるなんて……少し残念だ」


【緑域の番人との勝負に勝った!】


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